第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。
  また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績の状況

当中間連結会計期間(2024年4月1日~2024年9月30日)における世界経済は、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や中東情勢の緊迫化による地政学リスク、本格化した米国大統領選挙等、先行きを注視すべき状況が続いております。

国内経済においては、ロシアへの経済制裁等によるエネルギー価格などの物価上昇や、衆議院議員選挙結果の影響が懸念される一方で、円安を背景とした好調なインバウンド消費や賃上げ、雇用情勢の改善等により、景気の緩やかな回復が期待されております。

このような状況の中、当社グループは、2024年度から新たに第3期中期経営計画「Realize-EV100」をスタートしております。コロナ禍による急激な経営環境の変化と顕在化したものづくりの課題を踏まえ、業務効率化、新事業・新商材の開発、国際事業の更なる拡大に取り組んでまいります。

当中間連結会計期間の経営成績といたしましては、受注高は49,013百万円(前年同期比13.6%減)、売上高は40,380百万円(前年同期比18.1%増)となりました。損益面につきましては、営業利益は1,794百万円(前年同期比401.8%増)、経常利益は2,487百万円(前年同期比125.1%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は1,631百万円(前年同期比214.1%増)となりました。

 

 事業の概況をセグメント別に申し上げますと、次のとおりであります。

 

[交通運輸インフラ事業]

「鉄道信号」では、国内市場においては、鉄道事業者各社向けに自動列車制御装置や連動装置、案内表示設備等の受注・売上がありました。また、地上設備削減と保守点検省力化に資する地方鉄道向け無線式列車制御システムの開発にも注力し、伊豆箱根鉄道大雄山線での導入が正式に決定いたしました。今後も引き続き安全で快適な移動の実現に貢献してまいります。

海外市場においては、インドネシア、台湾、インド等で鉄道信号システムの受注・売上がありました。これまでの導入実績をもとにアジア諸国のインフラ需要に応え、交通インフラによる快適で安全な街づくりに貢献してまいります。

道路交通安全システムを中心とする「スマートモビリティ」では、交通信号灯器やMVNO(回線提供事業サービス)等の受注・売上がありました。将来を見据えた取り組みとしては、自動運転実証実験の各種プロジェクトに参画し、「インフラ協調」関連の製品、技術を提供することにより、自動運転車両の安全確保に資するシステムの開発に取り組んでまいります。

海外市場においては、ウガンダで交通管制改善プロジェクト関連の受注がありました。7月にはウガンダ営業所を開設しており、東アフリカ市場での営業活動を展開してまいります。

結果といたしましては、受注高は26,441百万円(前年同期比4.5%減)、売上高は19,262百万円(前年同期比12.7%増)となりました。また、損益面につきましては、セグメント利益は802百万円(前年同期比74.0%増)となりました。

 

[ICTソリューション事業]

駅務ネットワークシステムを中心とする「AFC」では、国内市場においては、各種ホームドアや券売機、改札機、駐車場機器等の受注・売上がありました。また、大都市圏を中心に全国各地で導入が見込まれるクレジットカードやデビットカード等のタッチ決済及びQRコード認証を用いた新しいキャッシュレス乗車サービスの実証実験にも積極的に取り組んでまいりました。

海外市場においては、バングラデシュやベトナム、エジプト等でAFCシステムやホームドア等の受注・売上がありました。

 

ロボティクス及びセンシングを中心とする「R&S」では、多機能鉄道重機や建機・農機に搭載する3D距離画像センサ、危険物の有無を短時間で探知できるX線手荷物検査装置等の受注・売上がありました。多機能鉄道重機は、7月から鉄道設備メンテナンスに社会実装され、各種メディアで注目を浴びたほか、TVアニメのモデルにも取りあげられました。当社は、フェールセーフの基本思想のもと、これまでに培ったセンサ、画像分析等のコア技術に最新のロボティクス技術を融合させ、人とロボットが協働する未来社会の実現に向けた取り組みを推進しております。

結果といたしましては、受注高は22,571百万円(前年同期比22.3%減)、売上高は21,117百万円(前年同期比23.5%増)となりました。また、損益面につきましては、セグメント利益は2,821百万円(前年同期比74.6%増)となりました。

 

(2)財政状態の状況

 当中間連結会計期間末における総資産は、棚卸資産の増加6,722百万円等がありましたものの、受取手形、売掛金及び契約資産の減少13,886百万円、政策保有株式縮減を目的とした売却及び時価の下落による投資有価証券の減少1,641百万円等により、前連結会計年度末に比べ9,814百万円減少の155,480百万円となりました。

 負債は、支払手形及び買掛金の減少2,869百万円、短期借入金の減少2,800百万円、未払法人税等の減少1,053百万円等により、前連結会計年度末に比べ8,780百万円減少の59,692百万円となりました。

 純資産は、親会社株主に帰属する中間純利益の計上1,631百万円等がありましたものの、利益剰余金の配当による減少1,496百万円、その他有価証券評価差額金の減少1,080百万円等により、前連結会計年度末に比べ1,033百万円減少の95,788百万円となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は10,325百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,435百万円の減少となりました。

当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローは次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産の増加や仕入債務の減少等がありましたものの、主に売上債権の減少により、4,389百万円の資金の増加(前年同期は7,582百万円の資金の増加)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却等がありましたものの、有形・無形固定資産の取得等により、1,368百万円の資金の減少(前年同期は579百万円の資金の減少)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の返済や配当金の支払等により、4,297百万円の資金の減少(前年同期は5,011百万円の資金の減少)となりました。

 

(4)研究開発活動

当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、1,285百万円であります。

なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

 

(5)対処すべき課題

2024年度から中期経営計画「Realize-EV100」をスタートし、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応としてROIC経営を進めています。また、顧客や社会ニーズに対し、DXを活用した新ビジネスのより一層の推進、脱炭素ソリューションの展開やものづくりの効率化等を進め、中期経営計画の実現を目指します。特に、重点課題としては3つのRealize(実現)を掲げています。

 

<重点課題1>「新事業・新商材のNext Stage」

鉄道・自動車の自動運転、キャッシュレスサービス、CBM(Condition Based Maintenance:予防保全を実現する状態監視)、ホーム監視システム、ロボット等の省力化に資する開発の推進、脱炭素や顧客の構造改革を支えるソリューションビジネスの拡大等、新事業・新商材の社会実装の加速に取り組みます。

 

<重点課題2>「国際事業のNext Stage」

案件履行から継続的な保守・メンテナンス、更なる延伸案件の受注と市場開拓による新たな受注により、国際事業の成長と収益力向上を図ります。 また、海外現地化を進め、グローバル対応力強化を目指します。

 

<重点課題3>「ものづくりのNext Stage」

脱炭素、ソフトウエアファーストに対応した商材開発強化とグループベースでの設計標準化、ものづくり内製化の推進、 設備投資による生産性向上等により、QCD最適化を目指します。

 

<その他>「サステナビリティ経営の実現」

脱炭素化に向けた温室効果ガスの削減に努め、環境負荷の低い交通手段である鉄道の普及や維持を通じて持続可能な社会の実現に貢献してまいります。また、従業員エンゲージメント向上や地域密着型の社会貢献活動に努め、 コーポレートガバナンス強化を図り、企業価値向上を目指します。さらに、PBR1倍以上の実現に向けたROICによる経営管理と事業ポートフォリオの評価・見直しや政策保有株式の見直しといった投資家・株価を意識したIR・SRに取り組みます。

 

3 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。