第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更があった事項は、次のとおりです。なお、変更箇所の前後については、記載を一部省略しています。

 なお、文中の将来に関する事項は、本半期報告書提出日(2024年11月11日)現在において判断したものです。また、以下の見出しに付された項目番号は、前事業年度の有価証券報告書における「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3.事業等のリスク」の項目番号に対応したものです。

 

(前略)

(4) コンプライアンス・訴訟・レピュテーション等に関するリスク

a. 特に重視しているリスク

コンプライアンスリスク

(中略)

 

人権・労働コンプライアンス

(中略)

 

サプライチェーンに係るリスク

(中略)

 

品質コンプライアンス

 当社グループは、経営基本方針に則り、常に製造・販売する製品の安全性を確保して、お客様に安全・安心をお届けすることが経営上の重要課題であり、社会的責任であると考えています。また、グループの品質方針を「常にお客様及び社会の要望に合致し、満足していただける製品及びサービスの提供を通じ、真にお客様に奉仕する」と定めています。各事業会社が、担当する製品の品質に対する責任を持ち、品質マネジメントシステムを構築・運用しています。特に、品質不正への取り組みは、パナソニックグループ コンプライアンス行動基準にある法令と企業倫理の順守に基づき、法規・法令だけでなく、業界基準やお客様とのお約束等も守ることを明確にしています。

 

 こうした中、当社の子会社であるパナソニック インダストリー㈱(以下、「PID」)において、同社の電子材料事業部における米国の第三者安全科学機関であるUL Solutions(以下、「UL」)の認証に関する複数の不正行為(以下、「本件」)が判明しました。これを受け、PIDでは、UL違反事案の調査、その他の品質不正の有無に関する調査及び調査結果を踏まえた原因分析と再発防止策の提言を目的に、社外有識者による外部調査委員会を設置のうえ調査を実施し、2024年11月1日に調査報告書を公表しました

(https://www.panasonic.com/content/dam/panasonic/jp/industry/info/20241101/report_jp_241031.pdf)。同報告書においては、電子材料事業部以外の部門における品質不正を含む複数の指摘がなされるとともに、原因分析を踏まえた再発防止に向けての提言がなされました。なお、PIDにおける全社点検活動は今後も継続し、問題があれば適切に対応してまいります。また、当社グループでは、本件を受けた点検活動を継続しております。

 

 PIDは、本件に関して、対象となる製品をご購入いただいているお客様に対し、引き続き真摯に向き合い、説明責任を果たしてまいります。また、PIDは、外部調査委員会よりPIDが指摘を受けた、品質保証の本質に関する理解不足や組織風土の問題、品質コンプライアンス体制の不備等の原因分析を踏まえて再発防止策を策定しました。当社グループとしての強い決意と不断の努力のもとで再発防止策を遂行し、信頼回復に努めてまいります。PIDにおける再発防止策は、同社ホームページにて公表しています

(https://www.panasonic.com/content/dam/panasonic/jp/industry/info/20241101/investigation_result_and_measures_to_prevent_reoccurrence_jp.pdf)。

 

 PIDは、本件に関連し、ULによる2024年5月31日付の一部製品のUL認証の取消しに続き、2024年6月28日付で、一部製品のUL認証を追加で取り消されました。なお、一部の製品のUL認証の取り扱いについては、PIDとULとの間で協議が続けられています。UL認証の登録を有しないPID製品のうち、今後もUL認証品として販売を継続する必要があるものについては、その認証の取得に向けて引き続き取り組んでまいります。

 

 また、PIDは、本件に関連し、ISO9001(注1)及びIATF16949(注2)の登録認証機関であるLRQAリミテッドから、郡山工場、郡山西工場、四日市工場及び南四日市工場のISO9001認証及びIATF16949認証を取り消されております。PIDは、ISO9001認証及びIATF16949認証についても、その認証の再取得に向けて、引き続き取り組んでまいります。

 

 本件に関連する損失や、新たな品質不正行為の判明に伴う損失が発生した場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(注1) ISO(国際標準化機構)9001は、品質マネジメントシステムに関する国際規格です。

(注2) IATF(International Automotive Task Force)16949は、自動車産業向け品質マネジメントシステムに関する国際規格です。

 

(後略)

 

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、本半期報告書提出日(2024年11月11日)現在において判断したものです。

 

(1) 経営成績

 当中間連結会計期間の世界経済は、総じて力強さに欠け、緩やかに減速しました。インフレ鈍化により日本や欧州では景気が緩やかな持ち直しの傾向であったものの、米国は緩やかな減速局面にあり、また、中国では不動産市況の低迷を背景に、弱い動きが続きました。先行きについても、米国や中国をはじめとして世界経済は減速が引き続き見込まれる一方、日本経済は総じて緩やかな持ち直しの継続が見込まれます。

 このような経営環境のもと、当社グループは、2022年度から取り組む中期戦略の最終年度として、ROE(株主資本利益率)向上に資する取り組みに注力しており、特に、投資領域と定めた車載電池・空質空調・サプライチェーンマネジメント(SCM)ソフトウェアの3事業について、事業基盤をより強固にするために収益性の向上に取り組んでいます。また、人的資本経営や競争力強化を加速する取り組みによるグループ全体の経営基盤強化も進めています。

 当中間連結会計期間においては、パナソニック エナジー㈱が、ノルウェーのHexagon Purus ASAと日野モータース セールスU.S.A.㈱によって米国で販売される大型EVトラック向けのリチウムイオン電池の供給開始を5月に発表しました。加えて、㈱SUBARU及びマツダ㈱と、それぞれの協業において、車載用リチウムイオン電池の国内工場新設及び増強に関する計画等の準備を開始することを9月に発表しました。さらに、パナソニック コネクト㈱の子会社であるBlue Yonder Holding, Inc.が、米国のOne Network Enterprises, Inc.の買収(要約中間連結財務諸表注記「9. 企業結合」参照)を8月に完了しました。

 

 当中間連結会計期間の連結売上高は、4兆2,513億円(前年同期比3%増)となりました。オートモーティブやエナジーの販売減はありましたが、くらし事業、コネクト、インダストリーの販売増に加え、為替換算の影響もあり、増収となりました。

 営業利益は、2,160億円(前年同期比12%増)、税引前利益は2,510億円(前年同期比12%増)となりました。インフレによる固定費増加や戦略投資の増加などはありましたが、合理化の進捗や、持分法による投資損益及びその他の損益の良化などにより、増益となりました。

 親会社の所有者に帰属する中間純利益は、1,889億円(前年同期比34%減)となりました。前年にパナソニック液晶ディスプレイ㈱の解散(特別清算)及び同社に対する債権放棄を決議したことに伴う法人所得税費用の減少があったこと(要約中間連結財務諸表注記「8. 補足説明」参照)の反動により、減益となりました。

 

(2) セグメントの経営成績

 当中間連結会計期間のセグメントの経営成績は、次のとおりです。

 なお、2024年4月1日付で、一部の事業をセグメント間で移管しており、前中間連結会計期間のセグメント情報については、当中間連結会計期間の形態に合わせて組み替えて算出しています。

 

(a) くらし事業

 売上高は、1兆7,440億円(前年同期比5%増)となりました。需要低迷の影響を受けた中国の家電や欧州のヒートポンプ式温水給湯暖房機(A2W)の販売減などはありましたが、国内家電や電材が堅調に推移したことに加え、為替換算の影響もあり、増収となりました。

 営業利益は、電材などの増販益はありましたが、中国家電や欧州A2Wの減販損に加え、為替悪化の影響などもあり、前年同期に比べ減益の494億円(前年同期比18%減)となりました。

 

(b) オートモーティブ

 売上高は、7,144億円(前年同期比1%増)となりました。一部モデルの生産終了や中国などでの販売不振などにより実質販売減となりましたが、為替換算の影響があり、若干の増収となりました。

 営業利益は、減販影響や固定費増加はありましたが、機種構成の良化や合理化、部材高騰分の価格改定などの取り組みにより、前年同期に比べ増益の242億円(前年同期比58%増)となりました。

 

(c) コネクト

 売上高は、6,196億円(前年同期比13%増)となりました。大型案件も含め受注堅調な現場ソリューションのほか、プロセスオートメーション、アビオニクス、ブルーヨンダーなどの販売増があったことに加え、為替換算の影響もあり、増収となりました。

 営業利益は、アビオニクスの先行投資や機体製造の停滞に伴う出荷遅延影響、ブルーヨンダーの戦略投資、メディアエンターテインメントでの市況悪化の影響による減販損などはありましたが、プロセスオートメーションや現場ソリューションの増販益などがあり、前年同期に比べ増益の251億円(前年同期比69%増)となりました。

 

(d) インダストリー

 売上高は、5,467億円(前年同期比7%増)となりました。主に欧州の市況低迷により、産業用リレーや車載向けのリレー・コンデンサの販売減はありましたが、生成AIサーバ向け製品の販売増などに加え、為替換算の影響もあり、増収となりました。

 営業利益は、増販益に加え、合理化や価格改定、円安の効果もあり、前年同期に比べ増益の309億円(前年同期比134%増)となりました。

 

(e) エナジー

 売上高は、4,304億円(前年同期比10%減)となりました。データセンター向けの蓄電システムが好調な産業・民生は増収となりましたが、車載電池は国内工場減産や、原材料価格の低下等に伴う価格改定もあり、減収となりました。

 営業利益については、国内工場での減産影響や、カンザス工場・和歌山工場の立ち上げ費用の増加などにより、車載電池は減益となりましたが、産業・民生は蓄電システムの増販益や材料相場の良化などにより増益となり、全体では前年同期に比べ増益の543億円(前年同期比3%増)となりました。

 

(f) その他(報告セグメントに含まれない事業)

 売上高は6,716億円(前年同期比7%増)、営業利益は前年同期に比べ増益の346億円(前年同期比6%増)となりました。

 

(3) 財政状態

 当中間連結会計期間末の連結総資産は、9兆3,154億円となり、前連結会計年度末に比べ958億円減少しました。これは、有形固定資産の増加などはありましたが、主に円高の影響により減少したものです。負債は、4兆7,031億円となり、前連結会計年度末に比べ138億円増加しました。これは、社債残高の減少や円高の影響などはありましたが、一時的なその他の流動負債の増加があったことによるものです。

 親会社の所有者に帰属する持分は、4兆4,390億円となり、前連結会計年度末に比べ1,051億円減少しました。これは、親会社の所有者に帰属する中間純利益の計上はありましたが、円高に伴う在外営業活動体の換算差額の減少によるものです。また、親会社の所有者に帰属する持分に非支配持分を加味した資本合計は、4兆6,123億円となりました。

 

(4) キャッシュ・フロー

 当中間連結会計期間の営業活動により増加したキャッシュ・フローは、4,576億円(前年同期は3,918億円の増加)となりました。前年同期差の主な要因は、運転資本増減等が悪化した一方で、米国IRA補助金の第三者への権利売却による資金化があったことによるものです。投資活動により減少したキャッシュ・フローは、4,958億円(前年同期は2,303億円の減少)となりました。前年同期差の主な要因は、車載電池を中心とした設備投資の増加や、One Network Enterprises, Inc.の買収に係る支出があったことなどによるものです。この結果、フリーキャッシュ・フロー(営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローの合計)は、マイナス382億円(前年同期差1,997億円の悪化)となりました。

 財務活動により減少したキャッシュ・フローは、1,219億円(前年同期は1,031億円の増加)となりました。前年同期差の主な要因は、前中間連結会計期間において償還を上回る無担保普通社債の発行があったことなどによるものです。

 これらに為替変動の影響等を加味した結果、当中間連結会計期間末の現金及び現金同等物の残高は、9,230億円(前連結会計年度末差1,966億円の減少)となりました。

 

(5) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定に重要な変更はありません。

 

(6) 研究開発活動

 当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発費は、2,546億円(前年同期比8%増)です。当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(7) 設備投資

 当中間連結会計期間におけるグループ全体の設備投資は、3,601億円(前年同期比68%増)です。

 

(8) 減価償却費(有形固定資産)

 当中間連結会計期間におけるグループ全体の減価償却費は、1,082億円(前年同期比8%増)です。

 

(9) 従業員数

 当中間連結会計期間末の従業員数(就業人員数)は、229,249人(前連結会計年度末差829人増)です。

 

(10) 株式会社の支配に関する基本方針

 当中間連結会計期間において、株式会社の支配に関する基本方針について重要な変更はありません。

 

(11) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

 

3【経営上の重要な契約等】

 当中間連結会計期間における経営上の重要な契約等の決定又は締結は、以下のとおりです。

 

(プロジェクター事業等の戦略的資本提携)

当社は、2024年7月31日付の取締役会において、当社の100%連結子会社であるパナソニック コネクト㈱(以下、「PCO」)のプロジェクター事業等に関して、PCOがオリックス㈱(以下、「オリックス」)と戦略的資本提携することを決議し、PCOとオリックスは同日付で戦略的資本提携に関する契約(以下、「本件資本提携」)を締結しました。本件資本提携に基づき、PCOのメディアエンターテインメント事業部を母体とする新会社を設立し、プロジェクター事業等の更なる成長を目指します。オリックス及びPCOは、当該新会社の株式の100%を保有する特別目的会社の株式のそれぞれ80%及び20%を保有し、当該新会社は、当社の持分法適用会社となる見込みです。本件資本提携は、関係当局における承認等が得られること等の前提条件が充足されることを条件に、2025年4月1日に実行する予定です。