第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

 次の100年における持続的成長を確実なものにするため、「8KとAIoTで世界を変える」という事業ビジョンの下、「人に寄り添うIoT」と「8Kエコシステム」を実現する企業へトランスフォーメーションを進めてまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

 上記の経営方針に沿って、2019年度は事業規模の拡大と収益性の改善の両立を目指しています。具体的には、2019年5月9日公表の、売上高2,650,000百万円(2018年度比10.4%増)、営業利益100,000百万円(売上高比3.8%、2018年度比18.8%増)、経常利益95,000百万円(売上高比3.6%、2018年度比37.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益80,000百万円(売上高比3.0%、2018年度比7.8%増)を全社目標に置き、事業拡大と構造改革を進めています。

 

(3) 経営環境及び対処すべき課題

 当社グループは、さらなる経営の効率化を行うとともに、ビジネスモデルの変革やグローバルでの事業拡大、経営基盤の強化などに取り組み、2017年度は、大幅な売上高の伸長と、親会社株主に帰属する当期純利益の黒字化を達成しました。2018年度は、米中貿易摩擦や大手顧客の需要変動等により、中期経営計画策定時の想定に比べ厳しい事業環境となったことから、第2四半期連結会計期間以降、事業拡大より収益力強化を優先するという判断を行いました。これにより、売上高及び利益の額は中期経営計画に基づく期初想定値を下回ることとなったものの、期初の想定を上回る、親会社株主に帰属する当期純利益率を達成することができました。また、資本の質を向上させ、普通株式の価値を高めるという観点から、希薄化リスクや優先配当などを有するA種種類株式200,000株のうち、92,000株を取得・消却しました。

 足もとの国内経済は、雇用・所得環境の改善が続き、各種経済対策による効果もあるため、緩やかな回復が続くと思われますが、一部に弱さも見られます。海外の景気は全体として回復の継続が見込まれるものの、アジアや欧州では弱さもみられ、中国で景気の緩やかな減速が続く見通しです。また、米国における各種政策ならびに金融資本市場の動向、中国をはじめとするアジア諸国の経済情勢、英国EU離脱問題の影響、通商問題の動向などにも留意する必要があります。

 こうした状況の下、当社は、8K+5G EcosystemとAIoTの最先端技術を核に次々と新規事業を創出し、様々な事業分野でイノベーションの実現を図ります。「グローバル事業拡大」「新規事業の創出」「M&A/協業」「競争力強化」を進め、特長商品・サービスを創出するとともに、グローバルブランド企業“SHARP”の確立を加速していきます。これにより事業拡大を図るとともに、引き続き、収益力の強化や資本の質的向上にも取り組んでまいります。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループは、電気通信機器・電気機器及び電子応用機器全般並びに電子部品の製造・販売を主な事業内容として活動を行っております。その範囲は電子・電気機械器具のほとんどすべてにわたっており、ユーザーも国内外の一般消費者、事業会社から官公庁に至るまで多岐にわたり、また地域的にもグローバルな事業展開を行っております。従って、当社グループの業績は、多様な変動要因による影響を受ける可能性があります。

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項には、以下のようなものがあります。

 なお、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在(ただし、必要に応じて有価証券報告書提出日現在)において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)世界市場の動向・海外事業について

 当社グループは、日本だけではなく、欧米やアジア諸国を中心に世界の各地域で事業活動を行っており、日本を含む世界各地域における景気・消費の動向(特に個人消費及び企業による設備投資の動向)、他社との競合、製品の需要動向や原材料の供給状況、価格変動などは、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当該地域の政治的・経済的な社会情勢が、同様に影響を及ぼす可能性があります。さらに、各地域における事業の監督や調整の困難さ、世界経済の低迷から受ける影響の増加、外国の法令及び課税等に関するリスク、事業を行うに際しての多様な基準や慣行、米中貿易摩擦などの貿易問題、政治的不安定及びビジネス環境の不確実性、日本との政治的・経済的関係の変化及び社会的混乱並びに人件費の増加及び労働問題等が、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)為替変動の影響

 当社の連結売上高に占める海外売上高の割合は、2017年3月期68.1%、2018年3月期73.0%、2019年3月期70.0%であります。また、当社グループは、海外で製造した製品を国内においても販売するなど、製造された国以外の国においても当社製品を販売しております。このため、為替予約及び最適地生産の拡充・強化等によるリスクヘッジを行っておりますが、当社グループの業績は為替変動の影響を受ける可能性があります。

 

(3)特定の事業・製品・顧客に対する依存について

 当社グループのアドバンスディスプレイシステム事業の売上高は当社グループの売上高の約40%を占めているため、液晶ディスプレイ関連製品に対する顧客の需要の減少、製品価格の下落、代替性若しくは競争力のある他社製品の出現又は新規企業の参入による競争の激化等により当社グループの業績は悪影響を受ける可能性があります。また、当社グループのIoTエレクトロデバイス及びアドバンスディスプレイシステム事業の一部の製品については、少数の特定顧客に対する売上依存度が高く、こうした重要な顧客向けの販売は、当社グループ製品の問題だけでなく、当該顧客の製品に係る需要の減少や仕様の変更、当該顧客の営業戦略の変更などを理由として落ち込む可能性があり、そのような場合には、当社グループの業績及び財務の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)戦略的提携・協業等について

 当社グループは、2016年4月2日に、鴻海精密工業股份有限公司(以下、「鴻海精密工業」といいます。)、Foxconn (Far East) Limited(以下、「Foxconn FE」といいます。)、Foxconn Technology Pte. Ltd.(以下、「Foxconn Technology」といいます。)及びSIO International Holdings Limited(以下、「SIO」といいます。)の4社(以下、「割当先4社」といいます。)との間で株式引受契約を締結しました。同契約では、当社普通株式3,281,950,697株を1株当たり88円にて、C種種類株式11,363,636株を1株当たり8,800円にて、第三者割当による新株式を割当先4社が引き受けることを定めております。本契約に基づき、2016年8月12日を期日として、払込手続きが完了しました。

 割当先4社からの出資により、当社の自己資本比率が大幅に改善し、また、それ以前の財政状況により抑制せざるを得なかった成長投資の実行、親会社グループ(鴻海精密工業、及びその子会社・関連会社を含みます。)の技術力・生産性・コスト力を活かした事業シナジーの追求が可能となりましたが、当社グループが親会社グループとの間の事業シナジーを想定通りに実現できる保証はありません。

 また、当社グループはこれまでにも、企業競争力強化と収益性向上及び各事業分野における新技術や新製品の開発強化のため、外部企業との間で戦略的提携・協業を推進してきましたが、かかる戦略的パートナーとの間における戦略上の問題やその他の事業上等の問題の発生及び目標変更等により、提携・協業関係を維持できなくなった場合や、提携・協業関係から十分な成果が得られない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)取引先等について

 当社グループは、多くの取引先から資材の調達やサービス等の提供を受けております。取引先については、十分な信用調査のうえ取引を行っておりますが、需要の低迷や価格の大幅な下落等による取引先の業績等の悪化、突発的なM&Aの発生、自然災害や事故の発生、また、法令違反等の不祥事の発生や、原材料の高騰による影響及びサプライチェーンにおける「紛争鉱物問題」をはじめとする人権・環境問題等や法的規制の影響、さらに一部の部材等において供給業者が限られていることなどにより、調達先から部材等が十分に供給されない、あるいは、調達した部材等の品質が十分に確保できないことが考えられます。そのような場合には、代替調達先との間で現在の取引条件よりも不利な条件での取引を余儀なくされる可能性があり、また代替する調達先を適時に見いだせない可能性があります。これらにより、当社グループの製品の品質の低下、コストの増加、顧客への納期の遅延等が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)財務状態の及ぼす影響について

 当社グループは、事業資金を銀行・生命保険会社等の金融機関からの借入及び社債の発行等により調達しており、総資産に対するこうした借入金等の割合は当連結会計年度末現在34.8%となっております。このうち当該借入金等に対する短期借入金等の占める割合は17.2%となっております。このため、当社グループは、こうした借入金等の返済のためキャッシュ・フローの使途に制限を受け、また、金利水準が上昇した場合に費用の増加を招く可能性があります。また、既存債務のリファイナンスも含め、必要な資金を必要な時期に適当と考える条件で調達できない等、資金調達が制約されるとともに、資金調達コストが増加する可能性があり、それにより、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。当社グループが複数の金融機関との間で締結している借入金に係る契約には財務制限条項が定められているものもあり、今後当社グループの連結純資産が財務制限条項に定める水準を下回ることとなった場合又は連結の営業利益及び親会社株主に帰属する当期純利益が一定の水準を下回ったにもかかわらず、これに伴い当社が誠実に協議しなかったような場合には、借入先金融機関の請求により、当該借入金について期限の利益を喪失する可能性があります。さらに、当社が当該財務制限条項に違反する場合、社債その他の借入金についても期限の利益を喪失する可能性があります。

 また、㈱みずほ銀行及び㈱三菱東京UFJ銀行は、当社の主たる借入金融機関であり、必要に応じて両行に対して財政状態の改善策等に関する相談も行っております。

 こうした当社グループの借入金等への依存及びこれに関連した信用格付けの低下、又は当社グループの財政状態の悪化は、財務状態の強固な競業他社との競争において不利に働く可能性があり、また、借入先又は取引先との契約関係上の問題を生じさせる可能性もあります。

 

(7)技術革新について

 当社グループが事業を展開する市場は、技術革新が急激に進行しており、それに伴う社会インフラの変化や市場競争の激化、技術標準の変化、技術の陳腐化、代替技術の出現などにより、新製品を適時に導入することができない、製品在庫の増加や開発資金を回収できないなど、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、技術面以外に、価格やマーケティングの観点からも厳しい競争下にあり、当社グループがかかる競争を勝ち抜いていくことができるとは限りません。さらに、当社グループは、他社との共同開発契約に基づいて協力して研究開発を行っており、かかる協力関係を維持できない、協力関係から十分な成果が得られない、又は協力関係の円滑な解消ができない可能性があります。加えて、貿易摩擦を発端として、米国において一部の新興技術を輸出管理の対象とする動きがあり、米国からの当該技術の持ち出しや、対象となる技術の付加価値が一定以上含まれた製品の日本など外国から第三国への輸出(再輸出)に制限が加わることなどから、事業に間接的な影響を与える可能性があります。

 

(8)知的財産権について

 当社グループは、独自開発した技術等について、国内外において特許権、商標権その他の知的財産権を取得することにより、若しくは他社と契約を締結することにより、その保護に努めております。

 しかしながら、特許出願等に対し権利が付与されない場合や、第三者からの無効請求等がなされる場合等により、当社グループの十分な権利保護が受けられない可能性があり、また、ライセンス提供によるロイヤリティー収益が十分に確保できない可能性があります。加えて、当社グループ保有の知的財産権を第三者が不正に使用する等、当社グループが保有する知的財産権が競争上の優位性をもたらさない、又はその知的財産権を有効に行使できない可能性があります。また、当社グループが第三者から受けているライセンスがライセンス期間の満了その他何らかの理由により終了する可能性や、第三者により知的財産権の侵害を主張され、その解決のために多額の費用を費やす可能性があり、さらに、第三者による侵害の主張が認められた場合に多額の対価の支払い、当該技術の使用差し止めなどの損害が発生する可能性があります。

 

 また、当社グループからライセンスを受けている他社が第三者に買収された場合には、従来当社グループがライセンスを付与していない第三者がライセンスを獲得し、その結果、当社グループが知的財産権の優位性を失う可能性もあります。

 また、職務発明に関して、社内規程で取り決めている特許報償制度にて発明者に対して報償を行っておりますが、発明者より「相当の対価/利益」を求める訴訟を提起される可能性があります。

 以上のような知的財産権に関する問題が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)長期投資・長期契約について

 当社グループは、これまで製造設備等に対し積極的な投資を行っており、多くの固定資産を有しております。かかる製造設備等については、それらが想定通り稼働しないこと、又は設備の性質や契約上の制約から他製品のための転用が難しいこと等から、想定していたような収益の獲得に結びつかず、場合によっては減損損失を計上する必要が生ずるなど、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、のれん等の無形固定資産も有しております。今後、事業の収益性が悪化したり、保有資産の市場価格が著しく下落したこと等により、減損処理が必要になった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 加えて、当社グループは、多数の長期契約を有しており、それらの長期契約の多くは、その契約期間中、固定価格又は定期的にのみ調整される価格による取引を約束するものであるため、当該契約期間における価格又は費用の変動は当社グループの事業に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。特に、ソーラーパネルの原材料に関してこうした契約が存在しており、中でもポリシリコンの購入契約は、最長で2020年末まで、合計して6,600トン(当連結会計年度末現在)を直近の時価水準を大幅に上回る価格(当連結会計年度末現在の時価を加重平均で1キログラム当たり約2,595円上回る。)で購入することを当社グループに義務づけるものとなっております。そのため、ポリシリコンの市場価格の更なる下落により、追加の損失が発生する可能性があります。

 また、堺工場において電気等の供給につき、複数のサプライヤーとの間で長期契約を締結しております。当該契約の当連結会計年度末の未経過残高は合計で21,795百万円(残年数は最長で10年)となっており、いずれも中途解約は不能であり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)製造物責任について

 当社グループは、高品質の製品の提供をめざし、厳密な品質管理基準に従って各種の製品を製造しておりますが、当社グループの製品には、消費者向けのものが多く、また、革新的な技術を利用したものも含まれており、これらの製品に欠陥等が存した場合には製造物責任その他の責任を負う可能性があります。当社は、万一、製品の欠陥等が発生した場合のメーカー責任を果たすために、製造物責任に基づく賠償に備え保険に加入しておりますが、予期せぬ事情による大規模なリコールや訴訟の発生が、ブランドイメージの低下や、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)法的規制等について

 当社グループが事業を展開する各国において、当社グループは、事業や投資の許可、輸出制限、関税、会計基準・税制をはじめとする様々な規制の適用を受けております。また、当社グループの事業は、通商、独占禁止、製造物責任、消費者保護、知的財産権、製品安全、環境・リサイクル関連、内部統制、労務規制等の各種法規制の適用を受けております。これら各種法規制の変更及び変更に伴う法規制遵守対応のための追加的費用発生の場合、あるいは当社グループにおいてこうした法規制の違反が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社製品に関連した事故が発生した場合、消費生活用製品安全法や関連通達による事故報告及び公表制度に基づく事故情報の公表により当社ブランドイメージが低下する可能性があります。

 

(12)訴訟その他法的手続きについて

 当社グループは全世界で事業活動を展開しており、各国で訴訟その他の法的手続きの当事者となるリスクを有しております。当社グループが訴訟その他の法的手続きの当事者となった場合、各国の法制度・裁判制度の違いもあり、事案によっては巨額の損害賠償金や罰金等の支払いを命じられる可能性もあります。

 その場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)個人情報、その他情報流出について

 当社グループは、顧客、取引先、従業員等の個人情報やその他秘密情報を有しております。これら情報の保護に細心の注意を払っており、全社管理体制の下、管理規程を遵守するための従業員教育及び内部監査の実施等の施策を推進しておりますが、万一、情報の流出が発生した場合、当社グループの信用低下や多額の費用発生(流出防止対策、損害賠償等)により当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)親会社グループとの関係について

 電子機器受託生産サービスを提供する鴻海精密工業を中心とする親会社グループは、「IT」「通信」「自動化設備」「光学産業」「精密機械」「自動車」「家電製品に関わる各種コネクター」「筐体」「ラジエーター」「ネットワーク機器」に関する生産、販売及びアフターサービスの分野で事業を展開しております。

 当社グループは、「シャープ」ブランドの電気通信機器・電気機器及び電子応用機器全般並びに電子部品の製造・販売を主に行っております。

 親会社グループの中核会社である鴻海精密工業は、直接に当社の議決権の24.5%を保有し、また、鴻海精密工業の完全子会社であるFoxconn FEが保有する17.2%と併せて41.7%の議決権を直接又は間接に保有しております。さらに、Foxconn Technologyは鴻海精密工業がその議決権の20%以上を保有する会社であり、SIOは鴻海精密工業の董事長であるテリー・ゴウ氏が実質的に支配する会社であることから、両社は鴻海精密工業と緊密な関係があることにより同一の内容の議決権を行使すると認められる者に該当します。両社の議決権と鴻海精密工業が直接又は間接に保有する議決権とを合計すると60.8%となっており、当社に対する大株主としての一定の権利を有しております。しかしながら、将来において、上記4社における当社株式の保有比率に大きな変動があった場合、あるいは親会社等の企業グループ(親会社グループに加え、当社株主であるSIO、堺ディスプレイプロダクト株式会社(以下、「SDP」といいます。)及び今後SIO又はSDPが出資を行う会社を指します。)の事業戦略が変更された場合等には、当社株式の流動性及び株価形成、並びに当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 親会社グループでは電子機器受託生産サービスを中心とした事業展開を行っており、当社グループの電気通信機器・電気機器及び電子応用機器全般の製造・販売事業においては、「シャープ」ブランドビジネスを行っていることから、親会社グループ内において当社グループの当該事業に影響を与える競合は生じていないものと考えております。しかしながら、親会社グループの戦略に変更が生じた場合や将来的に親会社グループとの間で何らかの競合関係が生じた場合には、当社グループの事業及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

① 人的関係について

 有価証券報告書提出日現在における当社取締役9名のうち、以下の通り、4名が鴻海精密工業及び鴻海精密工業の関連会社の役職員を兼務・兼務予定です。

シャープ役職

氏名

親会社グループでの役職

代表取締役

会長兼社長執行役員

兼中国代表

戴 正 呉

鴻海精密工業股份有限公司

董事(2019年7月就任予定)

取締役

Woo Kwok Fai

Hon Hai Group

Special Assistant to CEO

Falcon Faith Holdings Limited

Chairman

Jiaxing iFengPai Trading Co., Ltd.

Chairman

Foxconn Industrial Internet Co., Ltd.

Chairman of Supervisory Committee

取締役

林 忠 正

FOXCONN BAJA CALIFORNIA, S.A.de C.V.

Director

FOXCONN SLOVAKIA, spol s.r.o.

Supervisor

鴻海精密工業股份有限公司

Eサブグループ総経理

ファインテック㈱

取締役

FOXCONN PRECISION IMAGING PTE.LTD.

Director

取締役

陳 偉 銘

鴻海精密工業股份有限公司

Sサブグループ副総経理

 

② 取引関係について

 当社グループと親会社グループの間では、中国を中心として仕入・販売等の取引を行っております。その他に、知的財産・物流・医療分野でのグループ外収益拡大を目指した子会社及び関連会社の設立を通じた業務提携、一部海外拠点の事務所賃借等の取引を行っております。

 なお、当連結会計年度における重要な取引は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 関連当事者情報」に記載しております。

 

③ 親会社からの独立性の確保について

 当社グループの経営方針、事業展開等の重要事項の意思決定において、当社グループが独立して主体的に検討の上、決定しており、独立性・自律性は保たれていると認識しております。

 当社は、親会社グループとの間で相互に独立性を十分に尊重しつつ、綿密な連携を保ちながら成長・発展、業績の向上に努めており、親会社グループと連携して当社業務の効率化や売上・利益の拡大等を図ることは、非支配株主の利益につながるものと認識しております。

 当社は、「関連当事者取引規程」を制定し、親会社等の企業グループと新規に取引を開始する場合、事業上の必要性、合理性、取引条件の妥当性を検討し決定しております。なお、経営戦略会議付議案件及び経営者関与取引については社外取締役が出席する取締役会で審議し、決定しております。

 

(15)大規模自然災害の発生について

 当社グループは、地震・台風を始めとした大規模自然災害に備え、被害を最小限に抑えるため、予防・応急対策及び早期復旧・復興に向けた事業継続計画を作成し、影響の回避に努めておりますが、想定を超えた災害の発生により、当社グループ及び取引先の事業活動に直接的または間接的な被害が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)気候変動の影響について

 当社グループの事業は、気候変動の影響を受ける恐れがあります。気候変動抑制のための温室効果ガス排出規制の強化や炭素税導入に伴うエネルギーコストの増加及び温室ガス削減施策の強化等により、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 

(17)電力不足および電気料金上昇に伴うリスクについて

 東日本大震災に伴う原発事故のように、今後天災などを起因とした電力供給不足に伴う電力使用制限や電気料金値上げ等の事態に至った場合には、工場の操業低下やコスト負担増加等で当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(18)有能な人材確保における競争について

 当社グループの持続的な成長を確実にしていくには、技術及びマネジメント分野における優秀な人材の確保が欠かせません。しかしながら、現在在籍している有能な人材の流出防止や事業方針に沿った新たな人材獲得、並びに、当社の重要な従業員の管理能力及び業務遂行能力の向上が適切に推進できない場合は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(19)その他の主な変動要因

 上記の他、当社グループの業績は、事故や紛争・暴動・テロ等の人為的災害、新型インフルエンザや新たな感染症の流行、株式市場や債券市場の大幅な変動などの多様な影響を受ける可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、雇用情勢の改善や個人消費の持ち直しなどにより緩やかに回復しましたが、輸出や生産の一部に弱さがみられました。また海外の景気は、米国で回復が続く一方、ユーロ圏の一部で減速傾向を示したほか、中国では緩やかに減速しました。

こうした中、当社グループでは、事業ビジョン「8KとAIoTで世界を変える」の実現に努めました。また、事業環境を勘案し、今後のさらなる成長のため「量から質へ」の転換に取り組み、収益力の強化と財務体質の改善を進めました。

世界初となる8Kチューナー内蔵液晶テレビ「AQUOS 8K※1」や、水なし自動調理鍋「ヘルシオ ホットクック※2」、「プラズマクラスター冷蔵庫※3」、「プラズマクラスター洗濯乾燥機※4」などAIoTクラウドサービスに対応した製品を順次発売したほか、動画撮影中にAIが自動で静止画の撮影を行う「AQUOS R2※5」を商品化するなど、独自商品・特長デバイスの創出に努めました。加えて「COCORO KITCHEN」「COCORO VISION」「COCORO WASH」などのクラウドサービスの拡充に取り組みました。さらに、Dynabook㈱を連結子会社化するなど、グローバル市場で競争力のあるAIoTソリューション提案力の一層の強化を図りました。このほか、4年振りに米国の家電見本市「CES2019」に本格出展し※6、8KとAIoTの取り組みを訴求しました。また、資本の質を向上させ、普通株式の価値を高めるという観点から、希薄化リスクや優先配当などを有するA種種類株式20万株のうち、9万2千株を取得・消却しました。

 

当連結会計年度の業績は、アドバンスディスプレイシステムの売上が減少し、売上高が2,400,072百万円(前年度比1.1%減)となりました。営業利益は、アドバンスディスプレイシステムが減少し、84,140百万円(前年度比6.6%減)となりました。経常利益は69,011百万円(前年度比22.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は74,226百万円(前年度比5.7%増)となりました。

 

※1 世界初の8Kチューナーを内蔵した液晶テレビ。詳細につきましては、2018年10月15日公表の「8K液晶テレビ『AQUOS 8K』3機種を発売」をご覧ください。

https://corporate.jp.sharp/corporate/news/181015-d.html

※2 材料と作り方を画面と音声でお知らせする水なし自動調理鍋。詳細につきましては、2018年7月5日公表の「水なし自動調理鍋「ヘルシオ ホットクック」2機種を発売」をご覧ください。

https://corporate.jp.sharp/corporate/news/180705-a.html

※3 業界で初めて「ウォーターオーブン ヘルシオ」「ヘルシオ ホットクック」といった調理家電と連携し、献立提案から調理までをサポートするプラズマクラスター冷蔵庫。詳細につきましては、2018年8月6日公表の「プラズマクラスター冷蔵庫 メガフリーザーシリーズ4機種を発売」をご覧ください。

https://corporate.jp.sharp/corporate/news/180806-a.html

※4 天気情報や季節、洗濯履歴に応じた洗濯方法を音声やスマートフォンのアプリでお知らせするプラズマクラスター洗濯乾燥機。詳細につきましては、2018年10月5日公表の「プラズマクラスター洗濯乾燥機<ES-W111>を発売」をご覧ください。

https://corporate.jp.sharp/corporate/news/181005-a.html

※5 世界で初めて「動画用」と「静止画用」の2つのアウトカメラを搭載し、動画と静止画を同時に撮影できるスマートフォン。詳細につきましては、2018年5月8日公表の「スマートフォン AQUOS R2を商品化」をご覧ください。

https://corporate.jp.sharp/corporate/news/180508-b.html

※6 詳細につきましては、2018年12月18日公表の「4年振りに米国の家電見本市「CES2019」に本格出展」をご覧ください。

https://corporate.jp.sharp/corporate/news/181218-a.html

 

セグメントの業績は、概ね次のとおりであります。

なお、第2四半期連結会計期間より、組織変更に伴い、従来「スマートビジネスソリューション」セグメントに含めておりました先進設備開発事業を「IoTエレクトロデバイス」セグメントに含めて表示しております。以下の前連結会計年度との比較については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組替えた数値で比較しております。

 

スマートホーム

エアコンが大きく伸長したほか、洗濯機や冷蔵庫の販売が増加したこと、また2018年10月にDynabook㈱を連結子会社化した効果もあり、売上高は696,936百万円(前年度比 114.6%)となりました。利益面では、白物家電を中心に販売が増加したことに加え、コストダウンが進んだことなどから、セグメント利益は48,018百万円(前年度比 109.8%)となりました。

 

スマートビジネスソリューション

複合機などの販売が増加したことから、売上高は320,403百万円(前年度比 100.7%)となりました。利益面では、価格下落の影響はあったものの、販売が増加したことなどから、セグメント利益はほぼ横ばいの21,699百万円(前年度比 98.8%)となりました。

 

IoTエレクトロデバイス

スマートフォン向けカメラモジュールのほか、半導体などが伸長した一方、センサモジュールなどの販売が減少したことから、売上高は499,094百万円(前年度比 98.9%)となりました。利益面では、コストダウンに取り組んだものの、大手顧客の需要変動の影響や、成長投資に伴う償却費の増加などにより、セグメント利益は2,894百万円(前年度比 86.9%)となりました。

 

アドバンスディスプレイシステム

アジア地域における液晶テレビの販売が増加したほか、PC・タブレット向けをはじめとした中型液晶パネルの売上が増加しました。一方、「量から質へ」の転換に向けた取り組みの一環として、流通在庫を勘案し、中国で液晶テレビの販売を抑制したことや、スマートフォン用液晶パネルの販売減により、売上高は959,689百万円(前年度比 88.3%)となりました。利益面では、コストダウンを推進したものの、米中貿易摩擦の影響などによる市況の悪化や、競争環境の激化に加え、有機ELディスプレイの立ち上げ費用などもあり、セグメント利益は27,066百万円(前年度比 73.1%)となりました。

 

当連結会計年度末の財政状態は、資産合計が、前連結会計年度末に比べ42,112百万円減の1,866,349百万円となりました。これは、受取手形及び売掛金が増加する一方、現金及び預金が減少したことなどによるものです。

負債合計は、支払手形及び買掛金や未払費用が減少したことなどから、前連結会計年度末に比べ12,870百万円減の1,493,877百万円となりました。また、純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益を計上する一方、A種種類株式の取得及び消却などにより資本剰余金が減少したことから、前連結会計年度末に比べ29,241百万円減少し、372,471百万円となりました。

なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、繰延税金資産は投資その他の資産の区分に表示し、繰延税金負債は固定負債の区分に表示しております。前連結会計年度の連結貸借対照表についても、当該会計基準等を遡って適用し表示しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ175,203百万円減少し、当連結会計年度末には228,798百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動による資金の収入は、79,043百万円であり、前連結会計年度に比べ26,227百万円減少しました。これは、前連結会計年度に比べて、税金等調整前当期純利益が13,828百万円減少したほか、仕入債務の増減額が増加から減少に転じたことや、未払費用の減少額が10,423百万円増加したことなどによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動による資金の支出は、167,587百万円であり、前連結会計年度に比べ41,580百万円増加しました。これは、前連結会計年度に比べて、定期預金の払戻による収入が11,212百万円増加したものの、定期預金の預入による支出が40,417百万円増加したほか、有形固定資産の取得による支出が24,196百万円増加したことなどによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動による資金の支出は、88,517百万円であり、前連結会計年度に比べ59,383百万円増加しました。これは、前連結会計年度に比べて、短期借入金の純増減額が減少から増加に転じたものの、自己株式の取得による支出が85,132百万円増加したほか、配当金の支払が21,076百万円あったこととなどによるものであります。

 

(注)消費税等の会計処理は税抜方式によっております。以下「第2 事業の状況」及び「第3 設備の状況」に記載されている金額も同様であります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

スマートホーム

688,744

+16.1

スマートビジネスソリューション

318,452

△1.0

IoTエレクトロデバイス

414,820

△11.3

アドバンスディスプレイシステム

957,731

△8.2

合計

2,379,750

△1.9

(注)1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 上記の金額には、外注製品仕入高等を含んでおります。

3 組織変更に伴い、第2四半期連結会計期間より、従来「スマートビジネスソリューション」セグメントに含めておりました先進設備開発事業を「IoTエレクトロデバイス」セグメントに含めており、前連結会計年度との比較は、変更後の報告セグメントの区分に基づき作成しております。

 

b.受注実績

当社グループは原則として見込生産を行っております。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

スマートホーム

681,330

+14.5

スマートビジネスソリューション

319,215

+0.4

IoTエレクトロデバイス

441,231

△4.6

アドバンスディスプレイシステム

958,295

△8.9

合計

2,400,072

△1.1

(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 組織変更に伴い、第2四半期連結会計期間より、従来「スマートビジネスソリューション」セグメントに含めておりました先進設備開発事業を「IoTエレクトロデバイス」セグメントに含めており、前連結会計年度との比較は、変更後の報告セグメントの区分に基づき作成しております。

3 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

APPLE INC.

575,836

23.7

563,336

23.5

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的な基準に基づいて実施しております。

なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は次のとおりであります。

a.経営成績等の状況

当社グループは、「8KとAIoTで世界を変える」という事業ビジョンを掲げ、2017年5月26日に発表した「2017~2019年度 中期経営計画」及び、2019年1月30日公表の通期連結業績予想(売上高2,500,000百万円、営業利益107,000百万円、経常利益96,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益90,000百万円)の達成に向け、「人に寄り添うIoT」「8Kエコシステム」をキーワードに事業拡大に取り組んでまいりました。しかしながら、当連結会計年度においては、米中貿易摩擦や大手顧客の需要変動の影響等が強まり、年度末にかけて想定以上に厳しい市場環境となりました。一方、当社は、環境変化に先んじ、第2四半期連結会計期間以降、「量から質へ」の転換を進めてまいりました。

当連結会計年度の連結業績については、スマートホームセグメントは堅調に事業拡大し、スマートビジネスソリューションセグメントも底堅く推移しました。一方、デバイスの顧客需要に変動があったこと、また中国においてテレビの販売抑制を行ったことから、IoTエレクトロデバイスセグメント及びアドバンスディスプレイシステムセグメントの売上高が減少し、全社の売上高は2,400,072百万円と、上記の通期連結業績予想に達しませんでした。利益についても上記要因により、営業利益84,140百万円、経常利益69,011百万円、親会社株主に帰属する当期純利益74,226百万円と、いずれも上記の通期連結業績予想に達しませんでしたが、環境変化に先んじて収益力の強化を進めた結果、親会社株主に帰属する当期純利益については、売上高比3.1%、前年度比5.7%増と、金額及び利益率ともに、前年度(70,225百万円、売上高比2.9%)を上回ることができました。

なお、上述の環境変化を踏まえ、2019年5月9日に、2020年3月期連結業績予想(売上高2,650,000百万円、営業利益100,000百万円、経常利益95,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益80,000百万円)を公表いたしました。2020年3月期は、上記業績予想の達成に向け、「グローバル事業拡大」「新規事業の創出」「M&A/協業」「競争力強化」を進め、事業拡大を図るとともに、更なる収益力の強化や資本の質的向上に取り組んでまいります。

当連結会計年度末の財政状態については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりでありますが、「資本の質の向上」を図るため、2019年1月30日にA種種類株式92,000株を総額85,107百万円で取得し、同日その全数を消却したことから、純資産合計は372,471百万円、自己資本比率は18.8%と、いずれも前連結会計年度末(純資産合計401,713百万円、自己資本比率19.8%)から減少しました。ただし上記のA種種類株式の取得及び消却の影響を除くと、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、純資産合計及び自己資本比率いずれも前連結会計年度末より改善しております。

なお、セグメントごとの経営成績の状況およびキャッシュ・フローに関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループは、資金の支出効果の見極めを十分行いながら、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉の安定的確保を図る趣旨の下、短期運転資金は自己資金及び短期借入で、設備投資や長期運転資金の調達につきましては長期借入及び社債発行で賄うことを基本原則としております。連結会計年度においては、利益計上を主な要因として、営業活動による資金の増加が79,043百万円となりました。一方、持続的成長や経営効率化を具現化するための有形固定資産取得や、新規事業領域への足がかりや既存事業の競争力強化を目的とした投資有価証券の取得などの投資支出を行いました。また、財務活動面では、A種種類株式92,000株の取得のための支出85,107百万円や、配当金の支払21,076百万円を行いました。

その結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は228,798百万円となっております。また、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は、前連結会計年度末に比べ29,424百万円増加し、667,208百万円となっております。

今後、在庫の適正化を始めとした運転資本の改善や、効率的な投資の実施に努め、キャッシュ・フローの改善を図ってまいります。

なお、当社は、2019年1月30日に、A種種類株式200,000株のうち92,000株を総額85,107百万円で取得し、同日その全数を消却しましたが、2019年6月11日の取締役会において、残るA種種類株式108,000株の全数の取得および消却について決議し、同日、A種種類株式を保有する㈱みずほ銀行及び㈱三菱UFJ銀行と、「自己株式取得に関する契約書」を締結いたしました。また、これに基づき、2019年6月21日、A種種類株式108,000株を総額97,072百万円で取得し、同日、その全数を消却いたしました。(詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載のとおりであります。)これにより、A種種類株式が有していた高配当率での優先配当権や普通株式や金銭を対価とする取得請求権に起因する、企図せぬ希薄化や多額の金銭支出可能性が排除され、「資本の質的向上」が達せられたと考えております。引き続き、業績の向上、財務体質の強化により、普通株式の価値向上を図ってまいります。

 

c.経営成績に重要な影響を与える要因について

「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

(1) 吸収分割契約

当社は、2018年12月26日の取締役会において、2019年4月1日を効力発生日として、当社のIoTエレクトロデバイスグループに属する電子デバイス事業の一部(以下、「電子デバイス事業」といいます。)及びレーザー事業(以下、「レーザー事業」といいます。)を、当社の100%子会社として新設する会社2社(以下、「受皿会社」といいます。)にそれぞれ吸収分割で承継させることにより分社化する旨の決議を行い、2019年1月30日に、受皿会社との間で、吸収分割に関する契約を締結いたしました。

本吸収分割の概要は、次のとおりであります。

 

① 会社分割の目的

当社は、企業価値向上に向け、構造改革を継続しつつ、事業ビジョン「8KとAIoTで世界を変える」を実現する企業へのトランスフォーメーションを進めております。その一環として、電子デバイス事業及びレーザー事業をそれぞれ新設する子会社への吸収分割により分社化することで、事業環境の変化に機敏に対応すべく、より自律的な事業体制を構築することを目的としております。

② 会社分割の方法

当社出資の受皿会社として設立する、シャープ福山セミコンダクター(以下、「SFS社」といいます。)及びシャープ福山レーザー(以下、「SFL社」といいます。)を承継会社とし、当社を分割会社とする吸収分割方式です。

③ 分割期日

2019年4月1日

④ 吸収分割に係る株式割当内容及びその算定根拠

本吸収分割に際して、SFS社及びSFL社から当社への株式の割当、金銭その他の財産の交付はありません。

⑤ 承継会社が承継する権利義務

a.SFS社

半導体及び半導体応用デバイス/モジュール事業、オプトデバイス事業、高周波デバイス及び高周波応用モジュール事業並びに半導体ファウンドリ事業に属する資産、負債及びこれらに付随する権利義務を、当社とSFS社との間で締結する吸収分割契約書に定める範囲において承継します。

b.SFL社

レーザー及びレーザー応用デバイス/モジュール事業に属する資産、負債及びこれらに付随する権利義務を、当社とSFL社との間で締結する吸収分割契約書に定める範囲において承継します。

⑥ 分割する事業の経営成績(2019年3月期)

売上高

金額(百万円)

SFS社に対し

分割する事業

59,802

SFL社に対し

分割する事業

9,316

ただし、他セグメントへの内部売上高を含んでおります。

⑦ 分割する資産、負債の状況(2019年4月1日現在)

a.SFS社に対し分割する事業

資産

金額(百万円)

負債

金額(百万円)

流動資産

7,270

流動負債

29

固定資産

5,128

固定負債

6

合計

12,398

合計

36

b.SFL社に対し分割する事業

資産

金額(百万円)

負債

金額(百万円)

流動資産

2,578

流動負債

固定資産

1,682

固定負債

合計

4,261

合計

 

⑧ 本吸収分割後の承継会社の概要

 

SFS社

SFL社

名称

シャープ福山セミコンダクター

シャープ福山レーザー

所在地

広島県福山市大門町旭1番地

広島県福山市大門町旭1番地

代表者

代表取締役 森谷 和弘

代表取締役 森谷 和弘

事業内容

電子デバイス(半導体、LSI、センサ等)の企画・開発・生産等

半導体レーザーの企画・開発・生産等

資本金

30百万円2019年4月1日現在)

30百万円2019年4月1日現在)

 

(2) その他の契約

相手先

国名

又は

地域

契約内容

㈱みずほ銀行

㈱三菱UFJ銀行

日本

日本

2018年10月30日の取締役会において、発行済のA種種類株式200,000株のうち92,000株の取得及び消却に係る事項を決議し、A種種類株式を保有する㈱みずほ銀行及び㈱三菱UFJ銀行との間で、「自己株式取得に関する契約書」を締結いたしました。

(注)1 上記は当社との契約であります。

2 2019年1月30日、当社はA種種類株式92,000株を取得し、同日、その全数を消却いたしました。

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、独自技術の開発を経営理念に掲げ、製品はもとより新材料や生産技術の開発に至るまで、積極的な研究開発活動を行っております。

 研究開発体制として、基礎・応用研究開発を担う研究開発事業本部、全事業本部の設備開発を統轄する先進設備開発本部、カンパニー/事業本部傘下の研究開発組織には、目的別開発センター、具体的な製品設計を担当する事業部技術部を設置するとともに、全社横断的な技術・商品開発を推進するプロジェクト体制で推進しております。また、海外の優秀な人材の活用と海外現地のインフラやニーズに対応した開発を行う目的で、英国、米国、中国他に研究開発拠点を設け、グローバルな開発体制の下、密接な連携・協力関係を保ち、先進技術の研究開発を効率的に進めております。

 「8KとAIoTで世界を変える」という事業ビジョンの実現に向け、2018年度には、研究開発事業本部を中心とするプロジェクト体制で「SHARP 8K Lab」を立上げ、8Kエコシステムの拡大と8K関連事業の早期拡大に向けた活動を開始、また、AIoT対応製品と連携して顧客価値を高める『COCORO+』サービスを実現する各種技術開発をスマートホームグループを中心に推進し、さらなるサービス・ソリューションの充実に取り組んでおります。

 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は108,545百万円であります。この内、スマートホームに係る研究開発費は28,029百万円、スマートビジネスソリューションに係る研究開発費は14,971百万円、IoTエレクトロデバイスに係る研究開発費は18,035百万円、アドバンスディスプレイシステムに係る研究開発費は40,931百万円、全社(共通)に係る研究開発費は6,578百万円であります。

 なお、セグメントごとの主な研究成果は、次のとおりであります。

 

(1) スマートホーム

 通信事業においては、世界で初めて動画用と静止画用2つのアウトカメラを搭載し、動画と静止画を同時に撮影できるスマートフォン<AQUOS R2>、自社で開発・製造した有機ELディスプレイを搭載するとともに、世界最軽量を実現した<AQUOS ZERO>、新たにお留守番機能を搭載し、家電連携・プログラミングなど多彩な機能が充実したモバイル型ロボット<RoBoHoN(ロボホン)>等、様々なシーンでの利便性や快適性を追求した商品を創出しました。さらに、㈱NTTドコモと共同で、第5世代移動通信方式(5G)による高精細8Kの映像コンテンツをライブ伝送することに成功するなど、8K映像技術や伝送技術を核に幅広い分野で、8Kエコシステムの構築・拡大を推進しました。

 IoT HE事業においては、耳にかけることで自分の噛み方を測定できる<bitescan(バイトスキャン)>を法人向けに発売。また、猫の尿量や体重を計測し、独自の異変検知アルゴリズム(AI)より解析することで健康管理をサポートする<猫用システムトイレ型ペットケアモニター>を発売するなど、人とペットの健やかで快適な生活環境づくりを提案しました。さらに、業界で初めて当社独自の空気浄化技術であるプラズマクラスター技術が、ペット皮膚病原因菌に抑制効果を発揮することを実証しました。

 エネルギーソリューション事業においては、急速充電に対応し、満充電にかかる時間を従来機比の半分に短縮した住宅用<クラウド蓄電池システム>等、最先端の創エネ、省エネ商品を創出しました。

 2018年10月の東芝クライアントソリューション㈱(2019年1月にDynabook㈱へ社名変更)の株式取得により加わったパソコンおよびシステムソリューション事業においては、軽量かつ堅牢なボディを実現し、駆動時間、拡張性、セキュリティ性能のすべてを追求したモバイルノートPC「dynabook G」シリーズを商品化しました。

 

(2) スマートビジネスソリューション

 POSターミナルのディスプレイ部に透明なNFC(近距離無線通信)アンテナを搭載し、スマートフォンやICカードをかざすことで簡単に決済できる<セルフ決済システム>を開発しました。また、汎用性の高いAndroid OSを搭載したコントローラー内蔵により、“パソコンレス”でデジタルサイネージの運用が可能な<インフォメーションディスプレイ>を発売しました。設置環境や店舗の営業形態などに応じた、画面輝度500cd/m2の<PN-HMシリーズ>と350cd/m2の<PN-HBシリーズ>を取り揃え、外光の差し込む場所でも鮮明な表示を実現しました。

 

(3) IoTエレクトロデバイス

 デバイス事業においては、フルハイビジョン映像の32倍の大容量データの高速演算処理が可能で、8Kコンテンツの美しい表示はもちろん、2Kや4Kの映像を高品位な8K映像に変換する<AQUOS 8K Smart Engine PRO 画像処理エンジン>、動画と静止画を同時に撮影することができるスマートフォンAQUOS R2に搭載した<高画質動画用・静止画カメラモジュール>、当社従来モデルの約4.3倍にあたる業界最高の光出力130mWを実現した<緑色半導体レーザー>の量産化などにより、様々な製品の魅力度アップに大きく貢献しました。

 先進設備開発事業においては、200~1,200万画素の高画素カメラをラインアップし、様々な撮影条件・設置環境に対応した<業務用ネットワーク監視カメラ>等、幅広いシーンで活躍するセキュリティソリューションを提案しました。また、工場で生産する製品の微細なキズ汚れ、欠陥などを高速で検知する<画像センサカメラコントローラ>、生産工程で油やワックス汚れが付着した金属部品等を洗浄から乾燥まで一貫して行う<1槽式真空洗浄乾燥装置>等、業務自動化および省人化による生産性向上とコスト削減に貢献する商品を創出しました。

 

 ※フルハイビジョン(1,920×1,080画素,60Hz)に対し、解像度16倍、表示フレーム数2倍。

 

(4) アドバンスディスプレイシステム

 世界で初めて新4K8K衛星放送の受信に対応した<8Kチューナー>および8Kチューナー内蔵液晶テレビ<AQUOS 8K>、AQUOS 8Kと組み合せ、8K放送の立体音響を楽しめる<AQUOSオーディオ>、新4K8K衛星放送の録画に対応した<8K対応USBハードディスク>、新4K衛星放送の受信が可能な<4Kチューナー>、4K高画質のまま視聴・録画できる<AQUOS 4Kレコーダー>等、新4K8K衛星放送に合わせた商品の拡充を図りました。

 また、テレビやスマートフォンの音声を耳元で楽しめる軽量タイプと、迫力の重低音と振動による臨場感を実現した高音質タイプの2機種を揃えたウェアラブルネックスピーカー<AQUOS サウンドパートナー>を発売、時代のニーズに合ったライフスタイルを実現する商品を創出しました。さらに、<自社で開発した有機ELディスプレイ>を国内で量産化するとともに、スマートフォンやICカードを画面にかざすことで容易に通信が行える<透明NFC(近距離無線通信)アンテナ搭載ディスプレイ>を開発するなど、ディスプレイ技術の革新及び新たな用途提案を通じた事業拡大を進めました。