第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度における我が国経済は、輸出や生産が持ち直し、雇用情勢が改善するなど、緩やかな回復を続けました。また海外は、米国やユーロ圏で景気の回復が続く中、中国でも持ち直しの動きが見られるなど、引き続き回復基調での推移となりました。

当社グループでは、モバイル型ロボット電話「RoBoHoN※1」やプラズマクラスター空気清浄機「蚊取空清※2」、お出かけに携帯できるコンパクトな洗浄機「超音波ウォッシャー※3」、ウォーターオーブン「ヘルシオ グリエ※4」、コードレスサイクロン掃除機「RACTIVE Air」など、独自商品・特長デバイスの創出と販売強化に努めました。さらに、液晶材料の研究で培った技術をベースに開発した蓄冷材料を活用し、社内ベンチャー「テキオンラボ」で保冷バッグ※5を開発するなど、新たな取り組みも進めました。また、今後の海外での事業拡大に向け、中国やASEAN向けの家電製品の開発強化を目的として、中国・深圳に家電製品の研究・開発センターを設立※6しました。

当連結会計年度の業績は、エネルギーソリューション、ディスプレイデバイスなどの売上が減少したことにより、売上高が2,050,639百万円(前年度比16.7%減)となりました。営業利益は、健康・環境システム、エネルギーソリューション、ディスプレイデバイスなどが改善し、62,454百万円(前年度は161,967百万円の営業損失)となりました。経常利益は25,070百万円(前年度は192,460百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は24,877百万円(前年度は255,972百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

当第4四半期連結会計期間(平成29年1月~3月)は、売上高が559,361百万円(前年同期比7.9%増)、営業利益が43,516百万円、経常利益が40,369百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が16,287百万円となりました。黒字が継続するとともに、事業拡大に向けた取り組みの効果もあり、売上高が11四半期ぶりに前年同期を上回りました。

なお、鴻海精密工業グループとの戦略的提携に伴い、平成28年8月12日に第三者割当増資による新株式の発行を行ったことから、筆頭株主及び主要株主の異動がありました。

 

※1 小型で手軽に携帯できるモバイル型ロボット電話。詳細につきましては、2016年4月14日公表の「モバイル型ロボット電話『RoBoHoN(ロボホン)』の販売を開始」をご覧ください。

http://www.sharp.co.jp/corporate/news/160414-a.html

※2 蚊の習性と空気清浄機の吸引力を利用し、薬剤を使わずに粘着式「蚊取りシート」で捕獲する蚊取り機能を搭載したプラズマクラスター空気清浄機。詳細につきましては、2016年3月17日公表の「プラズマクラスター空気清浄機『蚊取空清』を発売」をご覧ください。

http://www.sharp.co.jp/corporate/news/160317-a.html

※3 洗濯機や手洗いでは落ちにくい衣類や布製品の部分汚れを、毎秒約38,000回の超音波振動で弾き出して素早くキレイに落とす、超音波ウォッシャー。詳細につきましては、2016年8月4日公表の「超音波ウォッシャー<UW-A1>を発売」をご覧ください。

http://www.sharp.co.jp/corporate/news/160804-a.html

※4 「ヘルシオ」と同じ過熱水蒸気を用い、コンパクトかつ短時間で手軽に揚げ物・焼き物の加熱や調理ができるウォーターオーブン専用機。詳細につきましては、2016年9月2日公表の「ウォーターオーブン専用機「ヘルシオ グリエ」を発売」をご覧ください。

http://www.sharp.co.jp/corporate/news/160902-a.html

※5 独自技術の「蓄冷材料」を活用し開発した日本酒専用の保冷バッグ。詳細につきましては、2017年3月28日公表の「社内ベンチャー「テキオンラボ」で保冷バッグを新開発」をご覧ください。

http://www.sharp.co.jp/corporate/news/170328-a.html

※6 詳細につきましては、2017年1月20日公表の「中国・深圳に家電製品の研究・開発センターを新たに設立」をご覧ください。

http://www.sharp.co.jp/corporate/news/170120-b.html

 

 

セグメントの業績は、概ね次のとおりであります。

なお、第2四半期連結会計期間より報告セグメントの区分を変更しております。以下の前連結会計年度との比較については、前連結会計年度の数値を変更後の区分に組替えた数値で比較しております。報告セグメントの変更については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」に詳細を記載しております。

 

①IoT通信

携帯電話などの販売が減少しました。利益面では、コストダウンや経費削減により収益性が改善しました。この結果、売上高は164,777百万円(前年度比 83.5%)、セグメント利益は16,303百万円(前年度比 112.4%)となりました。

 

②健康・環境システム

空調機器や冷蔵庫などの販売が減少しました。利益面では、物流や海外オペレーションの適正化によるコストダウン・経費削減に取り組んだことにより、収益性が大幅に改善しました。この結果、売上高は282,177百万円(前年度比 94.6%)、セグメント利益は29,907百万円(前年度比 254.5%)となりました。

 

③ビジネスソリューション

複合機の販売が減少した結果、売上高は317,780百万円(前年度比 89.5%)、セグメント利益は22,536百万円(前年度比 62.9%)となりました。

 

④カメラモジュール

カメラモジュールの販売が減少した結果、売上高は204,738百万円(前年度比 83.6%)、セグメント利益は1,307百万円(前年度比 14.3%)となりました。

 

⑤電子デバイス

センサモジュールの販売が減少しました。利益面では、コストダウンや固定費削減に加え、構造改革を強力に推し進めたことにより、収益性が改善しました。この結果、売上高は208,900百万円(前年度比 85.3%)、セグメント利益は6,747百万円(前年度は7,619百万円のセグメント損失)となりました。

 

⑥エネルギーソリューション

国内で太陽電池の販売が減少しました。利益面では、国内市場の需要低迷に伴う影響が大きかったものの、原材料契約の見直しやコストダウンにより、収益性が大幅に改善しました。この結果、売上高が103,669百万円(前年度比66.1%)、セグメント利益は2,209百万円(前年度は18,425百万円のセグメント損失)となりました。

 

⑦ディスプレイデバイス

テレビ用大型液晶や中国スマートフォン向けの中小型液晶、液晶テレビの販売が減少しました。利益面では、売上の減少やOLED開発費負担があったものの、デジタル情報家電の黒字やコストダウン、経費削減に取り組み、収益性が大幅に改善しました。この結果、売上高は842,010百万円(前年度比 77.5%)、セグメント利益は3,552百万円(前年度は177,258百万円のセグメント損失)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ303,944百万円(203.3%)増加し、当連結会計年度末には453,477百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動による資金の収入は、127,231百万円であり、前連結会計年度に比べ146,096百万円増加しました。これは、前連結会計年度に比べて、売上債権及びたな卸資産の増減額が減少から増加に転じたものの、税金等調整前当期純損失が減少したほか、仕入債務の増減額が減少から増加に転じたことなどによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動による資金の支出は、90,677百万円であり、前連結会計年度に比べ50,164百万円(123.8%)増加しました。これは、前連結会計年度に比べて、有形固定資産の取得による支出が31,033百万円増加したほか、有形固定資産の売却による収入が20,364百万円減少したことなどによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動による資金の収入は、272,199百万円であり、前連結会計年度に比べ287,559百万円増加しました。これは、前連結会計年度に比べて、種類株式の発行による収入が224,606百万円から99,624百万円に減少したほか、短期借入金の純減少額が190,177百万円増加したものの、長期借入れによる収入が328,672百万円増加し、また普通株式の発行による収入が287,495百万円あったことなどによるものであります。

 

(注) 消費税等の会計処理は税抜方式によっております。以下「第2 事業の状況」及び「第3 設備の状況」に記載されている金額も同様であります。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

IoT通信

162,402

△13.9

健康・環境システム

282,317

△1.3

ビジネスソリューション

299,735

△14.4

カメラモジュール

207,454

△13.1

電子デバイス

192,046

△9.3

エネルギーソリューション

100,934

△31.6

ディスプレイデバイス

818,085

△9.9

合計

2,062,976

△11.5

(注)1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 上記の金額には、外注製品仕入高等を含んでおります。

3 平成28年8月27日付の組織変更に伴い、第2四半期連結会計期間より報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較は、変更後の報告セグメントの区分に基づき作成しております。

 

(2)受注状況

 当社グループは原則として見込生産を行っております。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

IoT通信

163,814

△17.0

健康・環境システム

281,505

△4.9

ビジネスソリューション

310,169

△11.0

カメラモジュール

201,377

△16.6

電子デバイス

186,475

△13.8

エネルギーソリューション

102,810

△33.9

ディスプレイデバイス

804,489

△20.1

合計

2,050,639

△16.7

(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 平成28年8月27日付の組織変更に伴い、第2四半期連結会計期間より報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較は、変更後の報告セグメントの区分に基づき作成しております。

3 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

APPLE INC.

667,299

27.1

542,068

26.4

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 

(1)経営方針、経営環境及び対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 経営方針

 次の100年における持続的成長を確実なものにするため、平成29年5月26日に公表した中期経営計画に取り組み、「人に寄り添うIoT」と「8Kエコシステム」を実現する企業へトランスフォーメーションを進めていきます。

 

② 経営環境及び対処すべき課題

 当社グループは、大幅な親会社株主に帰属する当期純損失を計上し、平成28年3月期末に債務超過となりました。こうした状況の下、平成28年8月12日に鴻海精密工業グループを割当先とする総額3,888億円の第三者割当による新株式を発行するなど、財務及び事業基盤の強化を図りました。さらに、経営資源の最適化など構造改革を断行したこともあり、平成29年3月期下期に親会社株主に帰属する当期純損益は黒字化し、平成29年3月期末の自己資本比率は16.6%となりました。

 今後は、中期経営計画の下、「ビジネスモデルの変革」、「グローバルでの事業拡大」、「経営基盤の強化」に取り組み、成長軌道への転換を図ります。これに向け、「スマートホーム」、「スマートビジネスソリューション」、「IoTエレクトロデバイス」、「アドバンスディスプレイシステム」の4つの事業ドメインを設定するとともに、全社に横串を刺す2つの戦略推進室(AIoT戦略推進室、8Kエコシステム戦略推進室)を新設しています。あわせて、ガバナンス体制を刷新し、監査等委員会設置会社へ移行するとともに、執行役員制度を復活させ、「監督の強化」と「業務執行の機動性強化」を図っています。また、新事業・新産業の創出に向けた独自技術の強化や、事業拡大を支える人材の育成も進めていきます。

 

(2)会社の支配に関する基本方針

 当社は、「当社株式の大量買付行為に関する対応プラン(買収防衛策)」(以下、「当社買収防衛策」といいます。)を導入し、平成26年6月25日開催の第120期定時株主総会において、その有効期間を平成29年6月30日までに開催される第123期定時株主総会終結の時までとすることにつきご承認をいただいておりましたが、平成28年8月12日に、鴻海精密工業股份有限公司、Foxconn (Far East) Limited、Foxconn Technology Pte. Ltd.及び SIO International Holdings Limitedに対し第三者割当による新株式(普通株式及びC種種類株式)を発行したことによって、当社買収防衛策を継続する必要が乏しくなったことから、平成28年8月13日開催の取締役会の決議により、当社買収防衛策を廃止いたしました。

 

 

4【事業等のリスク】

 当社グループは、電気通信機器・電気機器及び電子応用機器全般並びに電子部品の製造・販売を主な事業内容として活動を行っております。その範囲は電子・電気機械器具のほとんどすべてにわたっており、ユーザーも国内外の一般消費者、事業会社から官公庁に至るまで多岐にわたり、また地域的にもグローバルな事業展開を行っております。従って、当社グループの業績は、多様な変動要因による影響を受ける可能性があります。

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項には、以下のようなものがあります。

 なお、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在(ただし、必要に応じて有価証券報告書提出日現在)において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)世界市場の動向・海外事業について

 当社グループは、日本だけではなく、欧米やアジア諸国を中心に世界の各地域で事業活動を行っており、日本を含む世界各地域における景気・消費の動向(特に個人消費及び企業による設備投資の動向)、他社との競合、製品の需要動向や原材料の供給状況、価格変動などは、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当該地域の政治的・経済的な社会情勢が、同様に影響を及ぼす可能性があります。さらに、各地域における事業の監督や調整の困難さ、世界経済の低迷から受ける影響の増加、外国の法令及び課税等に関するリスク、事業を行うに際しての多様な基準や慣行、貿易制限、政治的不安定及びビジネス環境の不確実性、日本との政治的・経済的関係の変化及び社会的混乱並びに人件費の増加及び労働問題等が、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)為替変動の影響

 当社の連結売上高に占める海外売上高の割合は、平成27年3月期65.2%、平成28年3月期69.5%、平成29年3月期68.1%であります。また、当社グループは、海外で製造した製品を国内においても販売するなど、製造された国以外の国においても当社製品を販売しております。このため、為替予約及び最適地生産の拡充・強化等によるリスクヘッジを行っておりますが、当社グループの業績は為替変動の影響を受ける可能性があります。

 

(3)特定の製品・顧客に対する依存について

 当社グループの一部の製品については、少数の特定顧客に対する売上依存度が高く、こうした重要な顧客向けの販売は、当社グループ製品の問題だけでなく、当該顧客の製品に係る需要の減少や仕様の変更、当該顧客の営業戦略の変更などを理由として落ち込む可能性があり、そのような場合には、当社グループの業績及び財務の状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)戦略的提携・協業等について

 当社グループは、平成28年4月2日に、鴻海精密工業股份有限公司を中心とするグループ企業4社(以下「鴻海精密工業グループ」といいます。)との間で株式引受契約を締結しました。同契約では、当社普通株式3,281,950,697株を1株当たり88円にて、C種種類株式11,363,636株を1株当たり8,800円にて、第三者割当による新株式を鴻海精密工業グループが引き受けることを定めております。本契約に基づき、平成28年8月12日を期日として、払込手続きが完了しました。

 鴻海精密工業グループからの出資により、当社の自己資本比率の改善、現下の財政状況により抑制せざるを得なかった成長投資の実行、鴻海精密工業グループの技術力・生産性・コスト力を活かした事業シナジーの追求が可能となります。

 また、当社グループはこれまでにも、企業競争力強化と収益性向上及び各事業分野における新技術や新製品の開発強化のため、外部企業との間で戦略的提携・協業を推進してきましたが、かかる戦略的パートナーとの間における戦略上の問題やその他の事業上等の問題の発生及び目標変更等により、提携・協業関係を維持できなくなった場合や、協力関係から十分な成果が得られない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)取引先等について

 当社グループは、多くの取引先から資材の調達やサービス等の提供を受けております。取引先については、十分な信用調査のうえ取引を行っておりますが、需要の低迷や価格の大幅な下落等による取引先の業績等の悪化、突発的なM&Aの発生、自然災害や事故の発生、また、法令違反等の不祥事の発生や、サプライチェーンにおける「紛争鉱物問題」をはじめとする人権・環境問題等や法的規制の影響、一部の部材等について供給業者が限られていることなどにより、調達先から部材等が十分に供給されない、あるいは、調達した部材等の品質が十分でないことが考えられます。そのような場合には、代替調達先との間で現在の取引条件よりも不利な条件での取引を余儀なくされる可能性があり、また代替する調達先を適時に見いだせない可能性があります。これらにより、当社グループの製品の品質の低下、コストの増加、顧客への納期の遅延等が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)財務状態の及ぼす影響について

 当社グループは、事業資金を銀行・生命保険会社等の金融機関からの借入及び社債の発行等により調達しており、総資産に対するこうした借入金等の割合は当連結会計年度末現在36.3%となっております。このうち当該借入金等に対する短期借入金等の占める割合は17.6%となっております。このため、当社グループは、こうした借入金等の返済のためキャッシュ・フローの使途に制限を受け、また、金利水準が上昇した場合に費用の増加を招く可能性があります。また、既存債務のリファイナンスも含め、必要な資金を必要な時期に適当と考える条件で調達できない等、資金調達が制約されるとともに、資金調達コストが増加する可能性があり、それにより、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。当社グループが複数の金融機関との間で締結している借入金に係る契約には財務制限条項が定められているものもあり、今後当社グループの連結純資産が財務制限条項に定める水準を下回ることとなった場合又は連結の営業利益及び親会社株主に帰属する当期純利益が一定の水準を下回ったにもかかわらず、これに伴い当社が誠実に協議しなかったような場合には、借入先金融機関の請求により、当該借入金について期限の利益を喪失する可能性があります。さらに、当社が当該財務制限条項に違反する場合、社債その他の借入金についても期限の利益を喪失する可能性があります。

 また、㈱みずほ銀行及び㈱三菱東京UFJ銀行は、当社の主たる借入金融機関であり、必要に応じて両行に対して財政状態の改善策等に関する相談も行っております。

 こうした当社グループの借入金等への依存及びこれに関連した信用格付けの低下、又は当社グループの財政状態の悪化は、財務状態の強固な競業他社との競争において不利に働く可能性があり、また、借入先又は取引先との契約関係上の問題を生じさせる可能性もあります。

 

(7)技術革新について

 当社グループが事業を展開する市場は、技術革新が急激に進行しており、それに伴う社会インフラの変化や市場競争の激化、技術標準の変化、技術の陳腐化、代替技術の出現などにより、新製品を適時に導入することができない、製品在庫の増加や開発資金を回収できないなど、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、技術面以外に、価格やマーケティングの観点からも厳しい競争下にあり、当社グループがかかる競争を勝ち抜いていくことができるとは限りません。競合他社との熾烈な競争の結果次第では、当社グループとして既存の事業の縮小又は撤退を余儀なくされる可能性があり、かかる事業の縮小又は撤退のために追加的費用が発生する可能性があります。さらに、当社グループは、他社との共同開発契約に基づいて協力して研究開発を行っており、かかる協力関係を維持できない、協力関係から十分な成果が得られない、又は協力関係の円滑な解消ができない可能性があります。

 

(8)知的財産権について

 当社グループは、独自開発した技術等について、国内外において特許権、商標権その他の知的財産権を取得することにより、若しくは他社と契約を締結することにより、その保護に努めております。

 しかしながら、特許出願等に対し権利が付与されない場合や、第三者からの無効請求等がなされる場合等により、当社グループの十分な権利保護が受けられない可能性があり、また、ライセンス提供によるロイヤリティー収益が十分に確保できない可能性があります。加えて、当社グループ保有の知的財産権を第三者が不正に使用する等、当社グループが保有する知的財産権が競争上の優位性をもたらさない、又はその知的財産権を有効に行使できない可能性があります。また、当社グループが第三者から受けているライセンスがライセンス期間の満了その他何らかの理由により終了する可能性や、第三者により知的財産権の侵害を主張され、その解決のために多額の費用を費やす可能性があり、さらに、第三者による侵害の主張が認められた場合に多額の対価の支払い、当該技術の使用差し止めなどの損害が発生する可能性があります。

 また、当社グループからライセンスを受けている他社が第三者に買収された場合には、従来当社グループがライセンスを付与していない第三者がライセンスを獲得し、その結果、当社グループが知的財産権の優位性を失う可能性や、当社グループと当該第三者との間の提携等により従来当社グループの事業にはなかった新たな制約が課せられる可能性とこれらを解決するために新たな対価支払いを強いられる可能性があります。さらに、かかる提携等が他の第三者との既存のライセンス契約に抵触していると主張された場合には、当該提携等の解約等を強いられる可能性もあります。

 また、職務発明に関して、社内規程で取り決めている特許報償制度にて発明者に対して報償を行っておりますが、発明者より「相当の対価」を求める訴訟を提起される可能性があります。

 以上のような知的財産権に関する問題が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)長期投資・長期契約について

 当社グループは、これまで製造設備等に対し積極的な投資を行っており、多くの固定資産を有しております。かかる製造設備等については、それらが想定通り稼働しないこと、又は設備の性質や契約上の制約から他製品のための転用が難しいこと等から、想定していたような収益の獲得に結びつかず、場合によっては減損損失を計上する必要が生ずるなど、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、のれん等の固定資産も有しております。今後、事業の収益性が悪化したり、保有資産の市場価格が著しく下落したこと等により、減損処理が必要になった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 加えて、当社グループは、多数の長期契約を有しており、それらの長期契約の多くは、その契約期間中、固定価格又は定期的にのみ調整される価格による取引を約束するものであるため、当該契約期間における価格又は費用の変動は当社グループの事業に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。特に、ソーラーパネルの原材料に関してこうした契約が存在しており、中でもポリシリコンの購入契約は、最長で平成32年末まで、合計して15,797トン(当連結会計年度末現在)を直近の時価水準を大幅に上回る価格(当連結会計年度末現在の時価を加重平均で1キログラム当たり約3,078円上回る。)で購入することを当社グループに義務づけるものとなっております。そのため、ポリシリコンの市場価格の更なる下落により、追加の損失が発生する可能性があります。

 また、堺工場において太陽電池を生産するために必要な電気等の供給につき、複数のサプライヤーとの間で長期契約を締結しております。当該契約の当連結会計年度末の未経過残高は合計で32,528百万円(残年数は0.5年から11.75年)となっており、いずれも中途解約は不能であります。当該電気等の供給に関する長期契約により、年間480メガワットの太陽電池生産が可能となっておりますが、堺工場における実際の生産量は現在年間160メガワット程度に留まっており、これらの長期契約は、エネルギーソリューション事業の割高な生産コストの原因となっております。

 

(10)製造物責任について

 当社グループは、高品質の製品の提供をめざし、厳密な品質管理基準に従って各種の製品を製造しておりますが、当社グループの製品には、消費者向けのものが多く、また、革新的な技術を利用したものも含まれており、これらの製品に欠陥等が存した場合には製造物責任その他の責任を負う可能性があります。当社は、万一、製品の欠陥等が発生した場合のメーカー責任を果たすために、製造物責任に基づく賠償に備え保険に加入しておりますが、予期せぬ事情による大規模なリコールや訴訟の発生が、ブランドイメージの低下や、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)法的規制等について

 当社グループが事業を展開する各国において、当社グループは、事業や投資の許可、輸出制限、関税、会計基準・税制をはじめとする様々な規制の適用を受けております。また、当社グループの事業は、通商、独占禁止、製造物責任、消費者保護、知的財産権、製品安全、環境・リサイクル関連、内部統制、労務規制等の各種法規制の適用を受けております。これら各種法規制の変更及び変更に伴う法規制遵守対応のための追加的費用発生の場合、あるいは当社グループにおいてこうした法規制の違反が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社製品に関連した事故が発生した場合、消費生活用製品安全法や関連通達による事故報告及び公表制度に基づく事故情報の公表により当社ブランドイメージが低下する可能性があります。

 

(12)訴訟その他法的手続きについて

 当社グループは全世界で事業活動を展開しており、各国で訴訟その他の法的手続きの当事者となるリスクを有しております。当社グループが訴訟その他の法的手続きの当事者となった場合、各国の法制度・裁判制度の違いもあり、事案によっては巨額の損害賠償金や罰金等の支払いを命じられる可能性もあります。

 その場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)個人情報、その他情報流出について

 当社グループは、顧客、取引先、従業員等の個人情報やその他秘密情報を有しております。これら情報の保護に細心の注意を払っており、全社管理体制の下、管理規程を遵守するための従業員教育及び内部監査の実施等の施策を推進しておりますが、万一、情報の流出が発生した場合、当社グループの信用低下や多額の費用発生(流出防止対策、損害賠償等)により当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)親会社グループとの関係について

 電子機器受託生産サービスを提供する鴻海精密工業股份有限公司(以下、鴻海精密工業といいます。)を中心とする鴻海グループは、「IT」「通信」「自動化設備」「光学産業」「精密機械」「自動車」「家電製品に関わる各種コネクター」「筐体」「ラジエーター」「ネットワーク機器」に関する生産、販売及びアフターサービスの分野で事業を展開しております。

 当社グループは、「シャープ」ブランドの電気通信機器・電気機器及び電子応用機器全般並びに電子部品の製造・販売を主に行っております。

 鴻海グループの中核会社である鴻海精密工業は、直接に当社の議決権の26.2%を保有し、また、鴻海精密工業の完全子会社であるFoxconn (Far East) Limited(以下、「Foxconn FE」といいます。)が保有する18.4%と併せて44.6%の議決権を直接又は間接に保有しております。さらに、Foxconn Technology Pte. Ltd.(以下、「Foxconn Technology」といいます。)は鴻海精密工業がその議決権の20%以上を保有する会社であり、SIO International Holdings Limited(以下、「SIO」といいます。)は鴻海精密工業の董事長であるテリー・ゴウ氏が実質的に支配する会社であることから、両社は鴻海精密工業と緊密な関係があることにより同一の内容の議決権を行使すると認められる者に該当します。両社の議決権と鴻海精密工業が直接又は間接に保有する議決権とを合計すると66.1%となっており、当社に対する大株主としての一定の権利を有しております。

 なお、当社、鴻海グループの間で締結された平成28年4月2日付SHARE SUBSCRIPTION AGREEMENT(株式引受契約書)では、当該契約日から2年間、その保有する株式について、当社の書面による同意なく、第三者に対して、売却、譲渡、移転その他の処分を行わない旨が合意されています。しかしながら、将来において、鴻海グループにおける当社株式の保有比率に大きな変動があった場合、あるいは鴻海グループの事業戦略が変更された場合等には、当社株式の流動性及び株価形成、並びに当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 鴻海グループでは電子機器受託生産サービスを中心とした事業展開を行っており、当社グループの電気通信機器・電気機器及び電子応用機器全般の製造・販売事業においては、「シャープ」ブランドビジネスを行っていることから、鴻海グループ内において当社グループの当該事業に影響を与える競合は生じていないものと考えております。また、電子部品の製造・販売については、鴻海グループ内に液晶デバイス関連事業を行う会社があることを認識しておりますが、現在、当社グループと直接の競合は生じていないものと考えております。

 しかしながら、鴻海グループ戦略に変更が生じた場合には、当社グループの事業及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

① 人的関係について

 有価証券報告書提出日現在における当社取締役9名のうち、以下の通り、業務執行取締役1名が鴻海精密工業の役職員を兼務し、監査等委員1名が鴻海精密工業の関連会社の役職員を兼務しております。なお、取締役 戴正呉、取締役 高山俊明は、有価証券報告書提出日現在、親会社グループの役員を辞任しております。

 

シャープ役職

氏名

親会社グループでの役職

取締役

劉揚偉

富泰康電子研發(煙臺)有限公司

董事長

鴻海精密工業股份有限公司

Bサブグループ総経理

虹晶科技股份有限公司

董事長

晶兆創新股份有限公司

董事長

社外取締役・監査等委員

呂旭東

鴻準精密工業股份有限公司

経理責任者

 

 海外における構造改革を進めるため、当社からの要請により、有価証券報告書提出日現在、当社の海外子会社3社で鴻海グループより7名(非常勤含む)が業務を行っております。しかしながら、海外子会社の重要な意思決定に影響を与えるものではありません。また、日本国内においては、事業本部で技術者1名、当社グループと鴻海グループの合弁会社1社において役員1名を鴻海グループより受け入れております。

 

② 取引関係について

 当社グループと鴻海グループの間では、中国での仕入・販売等の取引を行っております。その他に、当社の関連会社である堺ディスプレイプロダクト㈱の一部株式譲渡、知財・物流・医療分野でのグループ外収益拡大を目指した子会社及び関連会社の設立を通じた業務提携、一部海外拠点の事務所賃借等の取引を行っております。

 なお、当連結会計年度における重要な取引は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 関連当事者情報」に記載しております。

 

③ 親会社からの独立性の確保について

 当社グループの経営方針、事業展開等の重要事項の意思決定において、当社グループが独立して主体的に検討の上、決定しており、独立性・自律性は保たれていると認識しております。

 当社は、鴻海グループとの間で相互に独立性を十分に尊重しつつ、綿密な連携を保ちながら成長・発展、業績の向上に努めており、鴻海グループと連携して当社業務の効率化や売上・利益の拡大等を図ることは、非支配株主の利益につながるものと認識しております。

 当社は、「関連当事者取引規程」を制定し、親会社グループと新規に取引を開始する場合、事業上の必要性、合理性、取引条件の妥当性を検討し、決裁権者(取締役会決議事項については取締役会)による決裁を行うこととしております。なお、重要な取引については決裁までに社外取締役への説明を行っております。

 

(15)大規模自然災害の発生について

 当社グループは、地震・台風を始めとした大規模自然災害に備え、被害を最小限に抑えるため、予防・応急対策及び早期復旧・復興に向けた事業継続計画を作成し、影響の回避に努めておりますが、想定を超えた災害の発生により、当社グループ及び取引先の事業活動に直接的または間接的な被害が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)電力不足および電気料金上昇に伴うリスクについて

 東日本大震災に伴う原発事故を契機に生じている電力問題は、国内外の市場環境に様々な悪影響を与えており、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼしております。

 今後も電力供給不足に伴う電力使用制限や電気料金値上げ等の事態に至った場合には、工場の操業低下やコスト負担増加等で当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17)有能な人材確保における競争について

 当社グループの再生を確実にし、持続的な成長を実現していくには、技術及びマネジメント分野における優秀な人材の確保が欠かせません。しかしながら、現在在籍している有能な人材の流出防止や事業方針に沿った新たな人材獲得、並びに、当社の重要な従業員の管理能力及び業務遂行能力の向上が適切に推進できない場合は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(18)その他の主な変動要因

 上記の他、当社グループの業績は、事故や紛争・暴動・テロ等の人為的災害、新型インフルエンザや新たな感染症の流行、株式市場や債券市場の大幅な変動などの多様な影響を受ける可能性があります。

 

(19)継続企業の前提に関する重要事象等について

 当社グループは、当連結会計年度において引き続き、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しました。こうした状況により、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しておりますが、「7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)事業等のリスクに記載した重要事象等を解消するための対応策」に記載のとおり、当該重要事象等を解消するための対応策を実施しているため、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められません。従って、「継続企業の前提に関する事項」には該当しておりません。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

 当社グループにおける主な技術導入契約等の概要は次のとおりであります。

(1)技術導入契約

相手先

国名

又は

地域

契約内容

契約期間

クアルコム・インコーポレイテッド

アメリカ

携帯電話の符号分割多元接続(CDMA)技術に関する特許実施権の許諾

自 平成9年4月30日

至 終期の定めなし

(注) 上記は当社との契約であります。

 

(2)その他の契約

相手先

国名

又は

地域

契約内容

鴻海精密工業股份有限公司

台湾

平成28年4月、当社が第三者割当の方法により発行する総額3,888億円の普通株式及びC種種類株式を、鴻海精密工業股份有限公司等が引受けする契約を締結いたしました。(注)1

フォックスコン・(ファー・イースト)・リミテッド

英領ケイ
マン諸島

フォックスコン・テクノロジー・プライベート・リミテッド

シンガ
ポール

エスアイオー・インターナショナル・ホールディングス・リミテッド

英領ケイ
マン諸島

(アレンジャー兼エージェント)

㈱みずほ銀行

㈱三菱東京UFJ銀行

 

日本

日本

平成28年4月、平成28年4月30日期日となっていた既存シンジケートローン契約について、シンジケートローン貸付人各行との間で契約の更改をいたしました。(注)1

ジャパン・インダストリアル・ソリューションズ第壱号投資事業有限責任組合

日本

平成28年6月、ジャパン・インダストリアル・ソリューションズ第壱号投資事業有限責任組合が保有している、当社発行のB種種類株式に係る引受契約を合意により解約いたしました。(注)1

㈱みずほ銀行

㈱三菱東京UFJ銀行

日本

日本

平成28年8月、両行との間でコミットメントライン契約を締結いたしました。(注)1

エヌ・ティ・ティ都市開発㈱

日本

平成28年9月、田辺ビル(大阪市阿倍野区)の土地・建物をエヌ・ティ・ティ都市開発㈱より取得する契約を締結いたしました。

(注)1

エスアイオー・インターナショナル・ホールディングス・リミテッド

英領ケイ
マン諸島

平成28年12月、当社が保有する堺ディスプレイプロダクト㈱の株式の一部を譲渡する契約を締結いたしました。(注)1

(注)2

(注)2

平成29年2月、原材料の購入に係る契約につき、変更契約を締結いたしました。(注)2、(注)3

(注)1 すべて当社との契約であります。

2 相手先及び国名又は地域等については、契約上の守秘義務により開示を控えさせていただきます。

3 当社及び当社の連結子会社であるシャープトレーディング㈱及びシャープ・エレクトロニクス・マレーシアとの契約であります。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、独自技術の開発を経営理念に掲げ、製品はもとより新材料や生産技術の開発に至るまで、積極的な研究開発活動を行っております。

 研究開発体制として、基礎・応用研究開発を担う研究開発事業本部、カンパニー/事業本部傘下の研究開発組織には、目的別開発センター、具体的な製品設計を担当する事業部技術部を設置するとともに、全社横断的な技術・商品開発を推進するプロジェクトチームを置き推進しております。また、海外の優秀な人材の活用と海外現地のインフラやニーズに対応した開発を行う目的で、英国、米国、中国他に研究開発拠点を設け、グローバルな開発体制の下、密接な連携・協力関係を保ち、先進技術の研究開発を効率的に進めております。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は106,107百万円であります。この内、IoT通信に係る研究開発費は16,106百万円、健康・環境システムに係る研究開発費は8,293百万円、ビジネスソリューションに係る研究開発費は21,859百万円、カメラモジュールに係る研究開発費は4,476百万円、電子デバイスに係る研究開発費は8,860百万円、エネルギーソリューションに係る研究開発費は1,186百万円、ディスプレイデバイスに係る研究開発費は36,619百万円、全社(共通)に係る研究開発費は8,705百万円であります。

 なお、セグメントごとの主な研究成果は、次のとおりであります。

 

(1)IoT通信

 世界初、小型で手軽に携帯できるモバイル型ロボット電話<RoBoHoN>、文字をなぞるだけの簡単操作で意味を調べることができる<ペン型スキャナー辞書ナゾル>、辞書や参考書などを搭載、タブレットを活用しICT教育をサポートする学校向け<統合型学習アプリケーションBrain+>等、驚きや新たな価値を提供する特長商品を創出しました。

(2)健康・環境システム

 新開発のクラウドサービス「COCORO KITCHEN」と連携して献立選びを相談できる<ウォーターオーブン ヘルシオ>、過熱水蒸気を用いトースター感覚で手軽に使える<ウォーターオーブンヘルシオ グリエ>、毎秒38,000回の超音波振動で汚れを弾き飛ばし素早くキレイに落とす<超音波ウォッシャー>、業界で初めて停電時における長時間運転を実現した<蓄電池連携プラズマクラスター冷蔵庫>、ドライカーボンを採用し1.5㎏業界最軽量ボディを実現した<コードレススティック掃除機RACTIVE Air>、新開発のかっさアタッチメントで頭皮をケアする<プラズマクラスタースカルプエステ>等、新たな発想により健康で快適な生活をサポートする商品を創出しました。

(3)ビジネスソリューション

 晴天下でもくっきり表示可能な5,000cd/m2の高輝度を実現した<LEDディスプレイ>、マルチディスプレイ用として業界最大70V型と吊り下げ設置が可能な高輝度モデル<インフォメーションディスプレイ>等を発売しました。

(4)電子デバイス

 業界トップクラスの感度1,890mVを実現し、複数の車線を幅広く監視できる<交通監視用カメラ向け4/3型800万画素CCD>を開発、発売しました。

(5)エネルギーソリューション

 業界トップクラスモジュール変換効率(19.6%)を実現した<住宅用単結晶太陽電池モジュールBLACKSOLAR>、太陽光パネルが発電した電気でスマートフォンなどを手軽に充電できる<ソーラー充電スタンドCITY CHARGE>や高効率な化合物太陽電池でスマートフォンなどを充電できる<椅子型ソーラー充電スタンド>の開発、業界最小クラスのコンパクトサイズを実現した<住宅用クラウド蓄電池>等、最先端の創エネ・省エネ商品を創出しました。

(6)ディスプレイデバイス

 カラーフィルターを用いることなく、R(赤)、G(緑)、B(青)の光源の点灯に合わせて画面を切り替えることで、シースルーのカラー映像を表示する<シースルーディスプレイ>等を開発しました。

 さらに、世界初、8K(スーパーハイビジョン)放送の受信が可能な<高度広帯域衛星デジタル放送受信機>、高コントラストで低反射のN-Blackパネルを搭載した<4K液晶テレビAQUOS>や、Ultra HDブルーレイ再生対応<ブルーレイディスクレコーダーAQUOSブルーレイ>、人工知能が見逃し配信などを声で教えてくれる<AQUOSココロビジョンプレーヤー>等を開発、創出しました。

 

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)当連結会計年度の経営成績の分析

① 売上高

当連結会計年度における連結売上高は、2,050,639百万円(前年度比 16.7%減)となりました。IoT通信では、携帯電話などの販売が減少しました。健康・環境システムでは、空調機器や冷蔵庫などの販売が減少しました。ビジネスソリューションでは、複合機の販売が減少しました。カメラモジュールでは、カメラモジュールの販売が減少しました。電子デバイスでは、センサモジュールの販売が減少しました。エネルギーソリューションでは、国内で太陽電池の販売が減少しました。ディスプレイデバイスでは、テレビ用大型液晶や中国スマートフォン向けの中小型液晶の販売が減少しました。

 

② 損益状況

売上原価は、1,666,784百万円(前年度比 25.2%減)となり、売上原価率は、前連結会計年度の90.5%に対し81.3%と低下しました。また、販売費及び一般管理費は、321,400百万円(前年度比 18.7%減)となり、売上高に対する比率は、前連結会計年度の16.1%に対し、15.7%と低下しました。なお、販売費及び一般管理費には研究開発費24,657百万円、従業員給料及び諸手当97,127百万円が含まれております。その結果、当連結会計年度の営業利益は、62,454百万円(前年度は161,967百万円の営業損失)となりました。

営業外収益は、前連結会計年度に比べ8,398百万円減の12,787百万円となり、営業外費用は、前連結会計年度に比べ1,507百万円減の50,171百万円となりました。その結果、経常利益は25,070百万円(前年度は192,460百万円の経常損失)となりました。

特別利益は、前連結会計年度に比べ14,526百万円減の13,901百万円、特別損失は、前連結会計年度に比べ27,531百万円減の39,559百万円となりました。その結果、税金等調整前当期純損失は587百万円(前年度は231,122百万円の税金等調整前当期純損失)となり、親会社株主に帰属する当期純損失は24,877百万円(前年度は255,972百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

(2)資本の財源及び資金の流動性についての分析

① キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ303,944百万円増加し、453,477百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ146,096百万円収入が増加し、127,231百万円の資金の収入となりました。これは、売上債権及びたな卸資産の増減額が減少から増加に転じたものの、税金等調整前当期純損失が減少したほか、仕入債務の増減額が減少から増加に転じたことなどによるものであります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ50,164百万円支出が増加し、90,677百万円の資金の支出となりました。これは、有形固定資産の取得による支出が31,033百万円増加したほか、有形固定資産の売却による収入が20,364百万円減少したことなどによるものであります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ287,559百万円収入が増加し、272,199百万円の資金の収入となりました。これは、種類株式の発行による収入が224,606百万円から99,624百万円に減少したほか、短期借入金の純減少額が190,177百万円増加したものの、長期借入れによる収入が328,672百万円増加し、また普通株式の発行による収入が287,495百万円あったことなどによるものであります。

 

② 資産、負債及び純資産

当連結会計年度末の資産合計は、現金及び預金や受取手形及び売掛金が増加したことなどにより1,773,682百万円(前連結会計年度末の資産合計は1,570,672百万円)となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、長期借入金が増加する一方、短期借入金が減少したことなどにより1,465,881百万円(前連結会計年度末の負債合計は1,601,883百万円)となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、第三者割当増資の完了などより307,801百万円(前連結会計年度末の純資産合計は△31,211百万円)となりました。

 

(3)事業等のリスクに記載した重要事象等を解消するための対応策

当社グループは「4 事業等のリスク (19)継続企業の前提に関する重要事象等について」に記載の継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に対処すべく、以下の対応策を実施しております。

平成28年8月12日に鴻海精密工業股份有限公司等へ第三者割当による新株発行を行ったことを受け、取締役社長に戴正呉を迎えた新たな経営体制に移行いたしました。当連結会計年度は、前連結会計年度決算発表時に公表いたしました「早期黒字化に向けた3つの構造改革、①経営資源の最適化、②責任ある事業推進体制、③成果に報いる人事制度」の具体化に注力するとともに、新経営体制の発足に伴い、鴻海精密工業股份有限公司グループとのシナジーの発揮、重点事業への積極投資など、事業拡大に向けた取り組みへと軸足を移してまいりました。

また、平成29年5月26日の取締役会において、平成30年3月期から平成32年3月期までの新たな中期経営計画について決議いたしました。

当社は、中期経営計画における全社戦略として、「ビジネスモデルの変革」、「グローバルでの事業拡大」、「経営基盤の強化」の3つのトランスフォーメーションを通じて『人に寄り添うIoT』と『8Kエコシステム』を実現し、事業の拡大を図ることにより、最終年度である平成32年3月期は、売上高3兆2,500億円、営業利益1,500億円の実現を目指します。

資金面においては、第三者割当増資により総額3,888億円の新株式を発行したことにより、連結及び単体の債務超過は解消されました。シンジケートローン契約については、平成28年4月26日に主力行の㈱みずほ銀行、㈱三菱東京UFJ銀行及び他の参加行の合意を得て契約更改を行い、平成28年8月12日には、主力2行との間で借入総額3,000億円のシンジケート・コミットメントラインを設定いたしました。

これらの諸施策により、継続的な支援のもと、資金不足となるリスクを回避し、財務基盤の安定化を図ることができます。