文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)が判断したものであります。
(1) 経営方針・経営戦略
(経営理念・経営信条)
シャープ創業者 早川徳次のメッセージ「他社がまねするような商品をつくれ」には、次の時代のニーズをいち早くかたちにした「モノづくり」により、社会に貢献し、信頼される企業を目指すという、シャープの経営の考え方が凝縮されています。この精神は、経営理念「誠意と独自の技術をもって、広く世界の文化と福祉の向上に貢献する」や経営信条「誠意と創意」として1973年に明文化され、創業以来100年を超える月日が流れた今日まで、脈々と受け継がれています。さらには、シャープらしいオリジナリティあふれる価値を創造するブランドであり続けることを世界中のお客様に約束する「Be Original.」をコーポレート宣言としております。
(事業ビジョン)
当社グループは「8K+5GとAIoTで世界を変える」を事業ビジョンに掲げ、以下のような「8K+5G Ecosystem」と「AIoT World」の本格事業化を進めています。
「8K+5G Ecosystem」
超高精細映像技術“8K”と次世代移動通信技術“5G”を核に、映像の「撮影」から「編集」「伝送」、そして「表示」までの一連のバリューチェーンをさまざまなパートナーと共に構築し、放送分野に留まらず、工業や医療、セキュリティなど、幅広い事業分野でイノベーションを巻き起こす「8K+5G Ecosystem」の構築を目指しています。
「AIoT World」
AIoTとは、AI(Artificial Intelligence:人工知能)とIoT(Internet of Things:モノのインターネット)を組み合わせて当社が作った造語です。単にモノがインターネットに接続してデータをやり取りするだけでなく、人工知能によって学習し、成長するシステムを目指しています。機器のAIoT化を実現するAIoTプラットフォームを軸に、お客さまの生活を取り巻く自社や他社の機器、さらには自社や他社のサービスを相互につなぐとともに、新たなソリューションを創出し、人々の生活をより豊かにする「AIoT World」の構築を目指しています。
(3つのトランスフォーメーション)
当社グループは、事業ビジョンの実現に向けて、以下の3つのトランスフォーメーションを推進しています。
① ビジネスモデルの変革(“事業”のトランスフォーメーション)
「Technology Up, Quality Up, Value Up」をキーワードに、競争力の高い機器やデバイスを創出するだけでなく、ハードウエアやソフトウエア、クラウドサービスを融合したシステム、さらにはソリューションへとビジネスモデルの転換を目指しております。また、こうした取り組みを通じて、B2C事業はもとより、B2B事業の強化・拡大を図っております。
② グローバルでの事業拡大(“戦う市場”のトランスフォーメーション)
日本、中国、ASEAN、欧州、米州のグローバル5極体制で、事業を積極的に展開し、さらなる成長を目指しています。
③ 経営基盤の強化(“オペレーション”のトランスフォーメーション)
ビジネスプロセスの抜本的見直し、コスト削減、信賞必罰の人事の徹底などを通じ、安定的に収益を確保できる経営基盤の強化に取り組んでいます。
(2019年度の成果)
米中貿易摩擦が長期化するなど厳しい事業環境が続きましたが、当社グループは「量から質へ」の方針を強化し、着実なトランスフォーメーションを進展させてきた結果、2016年度第3四半期以降13四半期にわたり親会社株主に帰属する四半期純利益の黒字を計上してまいりました。新型コロナウイルス感染症が拡大した2019年度第4四半期は赤字となったものの、2019年度年間での親会社株主に帰属する当期純利益は黒字を確保できました。
2019年度は、8K対応液晶テレビ「AQUOS 8K」や、ウォーターオーブン「ヘルシオ」、当社独自の空気浄化技術プラズマクラスターを搭載した「プラズマクラスター洗濯乾燥機」・「プラズマクラスターエアコン」など、8KやAIoTクラウドサービスに対応した製品を順次発売し、5Gサービスに対応したスマートフォン「AQUOS R5G」や5Gモバイルルーターを商品化したほか、巻き取り収納ができる30V型4Kフレキシブル有機ELディスプレイを開発するなど、独自商品・特長デバイスの創出に努めました。さらに、新スマートホームサービス「COCORO HOME」を開始し、8Kソリューション開発の起点となる「8K Labクリエイティブスタジオ」を開設するなど、「8K+5G Ecosystem」と「AIoT World」の構築に向けて取り組みました。
2019年10月には、IoT機器とつながる各種サービスの提供などを行う㈱SHARP COCORO LIFEや、AIoTプラットフォーム事業を担う㈱AIoTクラウドが営業を開始し、ビジネスモデルの変革に取り組んでいます。
また、NECディスプレイソリューションズ㈱の株式の66%を取得して、日本電気㈱との合弁会社として共同運営することを2020年3月に決定しております。
さらに、社会貢献活動の一環として、マスクの生産を開始しました。日本政府の要請を受け、2020年2月28日に生産を決定した後、3月24日より三重工場(三重県多気町)にて生産を始めたものです。
グローバル事業拡大としては、ベトナムにおいて、新たな生産拠点としてSHARP Manufacturing Vietnam CO.,LTD.を立ち上げました。経済成長が継続するASEAN地域において、今後も持続的な事業拡大を推進する核として設立されたこの新拠点で、2020年度より空気清浄機、液晶ディスプレイ、電子デバイス等の生産を開始します。
(2) 経営環境と優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
米中貿易摩擦による影響や新型コロナウイルス感染症の拡大により、世界経済は減速を余儀なくされる見通しです。
今般の新型コロナウイルス感染症の拡大が調達、生産、販売等のプロセスに及ぼした影響を木目細かく分析し、より一層ビジネスリスクに強いサプライチェーンの再構築に取り組むとともに、さらなるコストダウンや経費削減などの構造改革を進め、体質強化を図っていくことが必要と考えております。
また、モノづくり主体の家電メーカーからサービス・ソリューションを提供する企業へとビジネスモデルの転換を加速し、新型コロナウイルス感染拡大防止と経済活動の両立のための「新しい生活様式」に適合した製品・サービスの強化や創出にも取り組んでいきます。
これからの日常生活をサポートする製品・サービスとしては、料理キット宅配サービス「ヘルシオデリ」、水なし自動調理鍋「ヘルシオ ホットクック」、ウォーターオーブン「ヘルシオ」に加え、オンラインストア「COCORO STORE」や「COCORO BOOKS」などに注力していきます。
また、働き方の新しいスタイルをサポートする製品・サービスとしては、テレワークやオンライン会議に必要となるパソコンやタブレット、ビジネス向け大型ディスプレイ、モバイルルーター、クラウド型Web会議サービス「TeleOffice」、ビジネスコミュニーションサービス「LINC Biz」などを展開していきます。
財務の視点では、新型コロナウイルス感染症の生産・販売活動への影響は、2020年度も一定期間継続すると考えられることから、手元流動性やたな卸資産の水準にも十分注意を払いながら、安定的かつ効率的な事業運営を図ってまいります。
2019年度にはA種種類株式の取得・消却を完了し、資本の質的向上を図りましたが、今後は、業績改善による純有利子負債の削減、格付会社による信用格付の向上を通じ、直接金融市場への復帰も念頭に、財務体質の改善に努めてまいります。
(3) 目標とする経営指標
次期中期経営計画を対外公表する予定で策定作業を進めてきましたが、新型コロナウイルス感染症の当社グループ事業への影響を合理的に判断できる状況にないことから、有価証券報告書提出日現在では、対外公表は延期し、影響の見極めと計画の再精査ができた段階で改めて公表することとしております。
非財務の経営指標としては、省エネ製品・創エネ製品による温室効果ガス削減貢献量(ポジティブ・インパクト)がサプライチェーン全体の事業活動に伴う温室効果ガス排出量(ネガティブ・インパクト)を常に上回ることを目標に環境面での取り組みを進めており、2018年度にはポジティブ・インパクトが30,312千t-CO2、ネガティブ・インパクトが28,171千t-CO2となり、ポジティブ・インパクトがネガティブ・インパクトを上回ることができる環境経営体制を構築しております。
当社グループは、2050年に向けた長期環境ビジョン「Sharp Eco Vision 2050」を策定し、「消費するエネルギーを上回るクリーンエネルギーの創出」「企業活動で生じる地球への環境負荷の最小化」に取り組み、2050年までに自社活動のCO2排出量をネットゼロ、製品への新規採掘資源の使用をゼロにするなどの目標を設定しています。
当社グループは、電気通信機器・電気機器及び電子応用機器全般並びに電子部品の製造・販売を主な事業内容として活動を行っております。その範囲は電子・電気機械器具のほとんどすべてにわたっており、ユーザーも国内外の一般消費者、事業会社から官公庁に至るまで多岐にわたり、また地域的にもグローバルな事業展開を行っております。従って、当社グループの業績は、多様な変動要因による影響を受ける可能性があります。
「第2 事業の状況」、「第5 経理の状況」等に関する事項のうち、当社グループが取り組む3つのトランスフォーメーション(「ビジネスモデルの変革」「グローバル事業拡大」「経営基盤の強化」)に関連して想定され、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある主なリスクと、それに対する対応策は以下のとおりであります。
なお、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在(ただし、必要に応じて有価証券報告書提出日現在)において、当社グループが判断したものであります。
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① 世界市場の動向・海外事業について |
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(リスク) 当社グループは、日本だけではなく、世界の各地域で事業活動を行っており、日本を含む世界各地域における景気・消費の動向や、新型コロナウイルス感染拡大に伴う個人消費及び企業による設備投資の動向、他社との競合、製品の需要動向や原材料の供給状況、価格変動などは、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 また、当該地域の政治的・経済的な社会情勢や世界経済の低迷から受ける影響の増加、米中貿易摩擦などの貿易問題等が、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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(対応策) 世界市場の動向など当社グループの事業に関わるリスク・情報は、当社の海外子会社を管掌する事業本部が現地と連携して収集し、必要な事業上の判断を行っています。また、経営幹部に対し定期的に、海外拠点や事業本部の業績報告を行っており、前回報告との変動を分析することによりその都度必要なリスク対応が決められています。その上で重要な業務執行の判断が必要な場合は、重要な業務執行に関する審議・意思決定機関である経営戦略会議に上程して審議しております。 |
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② 為替変動の影響について |
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(リスク) 当社グループの連結売上高に占める海外売上高の割合は、2019年3月期70.0%、2020年3月期65.4%であります。当社グループは、海外で製造した製品を国内においても販売するなど、製造された国以外の国においても当社グループ製品を販売しています。このため、当社グループの業績は為替変動の影響を受ける可能性があります。 |
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(対応策) 当社グループは、為替予約及び最適地生産の拡充・強化等によるリスクヘッジを行っております。 |
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③ 特定の事業・製品・顧客に対する依存について |
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(リスク) 当社グループの8Kエコシステムセグメントの売上高は当社グループの売上高の半分程度を占めているため、関連製品に対する顧客の需要の減少、製品価格の下落、代替性若しくは競争力のある他社製品の出現又は新規企業の参入による競争の激化等により当社グループの業績は悪影響を受ける可能性があります。 また、当社グループのスマートライフ及び8Kエコシステムセグメントの一部の製品については、少数の特定顧客に対する売上依存度が高く、こうした重要な顧客向けの販売は、当社グループ製品の問題だけでなく、当該顧客の製品に係る需要の減少や仕様の変更、当該顧客の営業戦略の変更などを理由として落ち込む可能性があり、そのような場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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(対応策) 当社グループでは、従来のハードウエア事業の拡大による既存事業分野の維持・拡大に加え、より高付加価値となる新規サービス・ソリューションの立上げによるビジネスモデルの転換推進、グローバル事業拡大の加速、及びB2C・B2B市場の両面展開等により、競争優位を目指してまいります。 |
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④ 戦略的提携・協業等について |
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(リスク) 当社グループはこれまでにも、企業競争力強化と収益性向上及び各事業分野における新技術や新製品の開発強化のため、外部企業との間で戦略的提携・協業を推進してきましたが、かかる戦略的パートナーとの間における戦略上の問題やその他の事業上等の問題の発生及び目標変更等により、提携・協業関係を維持できなくなった場合や、提携・協業関係から十分な成果が得られない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 |
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(対応策) 当社グループにおいては、戦略的提携・協業の重要性がますます高まっていくものと考えております。これらを成功に導くべく、戦略的提携・協業の実行段階においては、事前に事業戦略上の必要性、収益性や財務的な妥当性等を十分に検証し、経営戦略会議や取締役会での審議の上で意思決定を行っております。 また、実行後においても、関係する各事業本部との緊密な連携の下、提携や協業の進捗をモニタリングし、想定通りの成果が得られないことが見込まれる場合には、早期に経営陣にも報告することにより、それらが当社グループの業績および財政状態に与える影響を最小限に留める対策を講じることができるように取り組んでおります。 |
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⑤ 親会社グループとの関係について |
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(リスク) 親会社グループ(鴻海精密工業、及びその子会社・関連会社を含みます。)からの出資により、成長投資の実行、親会社グループの技術力・生産性・コスト力を活かした事業シナジーの追求が可能となりましたが、当社グループが親会社グループとの間の事業シナジーを想定通りに実現できる保証はありません。 親会社グループの戦略に変更が生じた場合や将来的に親会社グループとの間で何らかの競合関係が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 当社グループの経営方針、事業展開等の重要事項の意思決定において、親会社グループからの影響を受け、当社グループの独立性・自律性が保たれない可能性があります。 |
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(対応策) 当社グループは、親会社グループとの間で相互に独立性・自律性を十分に尊重しつつ、緊密な連携を行っており、親会社グループとの事業シナジーを最大限に活かした事業運営に取り組んでおります。当社グループでは、親会社グループとの間で当社グループの業務効率化や売上・利益の拡大等につがなるシナジー創出が見込まれる領域を見極め、その領域においては、親会社グループとの連携のもとで、想定されるシナジーを適切に検証しその実現に向けて取り組んでおります。 親会社グループでは電子機器受託生産サービスを中心とした事業展開を行っており、当社グループの電気通信機器・電気機器及び電子応用機器全般の製造・販売事業においては、「シャープ」等のブランドビジネスを行っていることから、親会社グループ内において当社グループの当該事業に影響を与える競合は生じていないものと考えております。 当社は、親会社グループとの間で相互に独立性・自律性を十分に尊重しつつ、綿密な連携を保ちながら成長・発展、業績の向上に努めております。親会社グループと綿密に連携して当社業務の効率化や売上・利益の拡大等を図ることは、非支配株主の利益につながるものと認識しております。 |
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⑥ 財務状態の及ぼす影響について |
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(リスク) 当社グループは、事業資金を銀行等の金融機関からの借入等により調達しており、総資産に対する借入金の割合は、当連結会計年度末現在42.4%となっております。当社グループは、借入金等の返済のため、キャッシュ・フローの使途に制限を受け、また、金利水準が上昇した場合に費用の増加を招く可能性があります。既存債務のリファイナンスも含め、必要な資金を必要な時期に適当と考える条件で調達できない等、資金調達が制約されるとともに、資金調達コストが増加する可能性があることから、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 当社グループが複数の金融機関との間で締結している借入金に係る契約には財務制限条項が定められているものもあり、今後当社グループの連結純資産が財務制限条項に定める水準を下回ることとなった場合又は連結の営業利益及び親会社株主に帰属する当期純利益が一定の水準を下回ったにもかかわらず、これに伴い当社が誠実に協議しなかったような場合、さらには、連結経常利益を一定の水準に保てなかった場合、借入先金融機関の請求により、当該借入金について期限の利益を喪失する可能性があります。当社が当該財務制限条項に違反する場合、その他の借入金についても期限の利益を喪失する可能性があります。 こうした当社グループの借入金等への依存及びこれに関連した信用格付けの低下、又は当社グループの財政状態の悪化は、財務状態の強固な競業他社との競争において不利に働く可能性があり、また、借入先又は取引先との契約関係上の問題を生じさせる可能性もあります。 |
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(対応策) ㈱みずほ銀行及び㈱三菱UFJ銀行は、当社の主たる借入金融機関であり、必要に応じて両行に対して財政状態の改善策等に関する相談も行っております。また、その他の借入金に係る契約を締結している金融機関とも同様に経営状況につき情報の共有を図っております。必要に応じ都度対応を協議できる体制を構築しており、取引金融関との良好な関係を保ち、借入金の維持・継続を図っております。 会社業績の回復による営業キャッシュ・フローの回復、効率を重視した投資を徹底して行うことによる投資キャッシュ・フローの管理により、フリー・キャッシュ・フローの改善に努めております。格付の早期回復により、間接金融偏重から直接金融による資金調達を可能とする環境整備の取り組みを行っております。 |
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⑦ 技術革新について |
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(リスク) 当社グループの事業領域における急速な技術の進化、変化への適切な対応は、当社グループの製品・サービスの競争力を向上させる反面、以下の項目等への対応が不十分な場合には、成長性や業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。 ・技術の進化や盛衰及びその社会的意義の予測と対応 ・研究開発における選択と集中、適切な資源の投下 ・新領域に対する技術力強化 ・社外と連携した研究開発の加速 加えて、貿易摩擦を発端として、米国において一部の新興技術を輸出管理の対象とする動きがあり、米国からの当該技術の持ち出しや、対象となる技術の付加価値が一定以上含まれた製品の日本など外国から第三国への輸出(再輸出)に制限が加わることなどから、事業に間接的な影響を与える可能性があります。 |
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(対応策) 当社グループにおける研究や開発は、単なる技術水準の向上に留まらず、3つの事業グループ連携の下、One SHARPで「8K+5G Ecosystem」「AIoT World」の実現に向けた研究開発に取り組んでおります。社会の急激な変化に伴い技術に対する評価も大きく変動することから、社会課題をいち早く捉えると共にグローバルな展示会等での技術革新のセンシングを行う事で、社会課題へのマッチングを念頭においた研究開発を推進しております。 また、ソリューション事業への変革を続けていくために必要な新領域の技術力強化においては、自社のみの研究開発に拘らず、積極的に社外連携し、研究開発の加速を進めております。こうした取り組みを通じ、社会変化及び技術革新に伴うリスクを軽減させ、技術進化により持続的に成長し続けるブランド企業を目指してまいります。 事業活動における輸出入管理での法令順守に加え、世界的なインフラ・防衛・セキュリティ等の社会基盤に係る新興技術の管理強化の動きの中で、研究開発においても各国・地域での法令、規制状況に対応した輸出入管理を推進しております。 |
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⑧ 知的財産権について |
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(リスク) 当社グループは、独自開発した技術等について、国内外で知的財産権を取得することにより、若しくは他社と契約を締結することにより、その保護に努めております。しかしながら、当社グループの特許出願等に対して権利が付与されない場合や、第三者からの無効請求等により、十分な権利保護が受けられない可能性があります。 また、当社グループが第三者から知的財産権の侵害を主張され、その解決のために多額の費用を費やす可能性や、その主張が認められた場合に多額の対価の支払いや当該技術の使用差し止めなどの損害が発生する可能性があります。 さらに、当社グループが保有する知的財産権を第三者が不正に使用する等、当社グループが保有する知的財産権が競争上の優位性をもたらさない、又はその知的財産権を有効に活用できない可能性があります。 以上のような知的財産権に関する問題が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 |
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(対応策) 当社グループでは、知的財産権は企業の重要な財産であるとの認識のもと、積極的に知的財産の創出に努めており、知的財産権の出願・権利化の責任部門であるScienBiziP Japan㈱を中心に強い権利の取得に取り組んでいます。 また、当社グループでは、自社製品発売前に第三者の知的財産権のチェックを徹底して実施することで、知的財産権のクリアランス状況を確認しているとともに、クリアランスプロセスの標準化によるクリアランス確度の向上にも取り組んでおり、第三者の知的財産権を侵害するリスクに対する対策をとっています。 さらに、当社グループでは、知的財産権を事業戦略・研究開発戦略と連動させながら最大限に活用するとともに、自社の知的財産権を保護し、第三者の知的財産権を尊重する姿勢を堅持しています。不当な権利侵害等に対しては話し合いで解決することを基本としながらも、当社グループの知的財産権を尊重していただけない場合は、裁判所など第三者の判断を仰ぐことも辞さない毅然とした姿勢を貫く方針をとっています。 |
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⑨ 製造物責任について |
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(リスク) 当社グループの製品には、消費者向けのものが多く、また、革新的な技術を利用したものも含まれており、これらの製品に欠陥等が存した場合には製造物責任その他の責任を負う可能性があります。 予期せぬ事情による大規模なリコールや訴訟の発生が、ブランドイメージの低下や、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 |
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(対応策) 当社グループでは、製品の安全性確保のため、各国の公的安全基準の遵守にとどまらず、リスクアセスメントの考えと独自の安全基準を組み合わせ安全性向上に取り組んでいます。この独自基準では、想定外の不具合が生じた場合にも安全を確保するため、特に難燃構造や異常動作試験等に関して基準を定めており、より高い安全レベルをめざし、都度改定し、社内関係者への研修も行い、設計部門、品質部門へ安全基準の理解と浸透を図っています。不具合発生時に迅速かつ適切に緊急対応が取れるよう安全確保推進体制を構築しています。万一、製品の欠陥等が発生した場合のメーカー責任を果たすために、製造物責任に基づく賠償に備え保険に加入しております。 |
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⑩ 有能な人材確保における競争について |
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(リスク) 技術及びマネジメント分野における優秀な人材が確保できない場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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(対応策) 技術及びマネジメント分野における優秀な人材の確保のため、以下の施策を行っています。事業方針に沿った新たな人材獲得の為に新卒採用を推進しています。また、新規ビジネスを担えるコア人材を確保するためにキャリア採用を推進しています。 ビジネスを行う上で基本的な知識や専門性について、個々人が主体的に学べる教育・研修制度を設け、事業に精通したプロフェッショナル人材の育成を図っています。 多様な人材が安心して働ける基盤として、育児・介護・治療と仕事の両立を支援する各種制度を整備する等、従業員のワーク・ライフ・バランスに配慮した取り組みを推進しています。 |
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⑪ 新型コロナウイルス感染症の影響について |
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(リスク) 新型コロナウイルス感染症の発生及び感染拡大による影響が長期化、深刻化した場合、個人消費の低迷、国内外サプライチェーンの停滞、当社グループの事業活動の停滞など、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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(対応策) 当社グループの対応策の詳細は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境と優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおりであります。 |
上記リスクのほかにも、多数の調達先・販売先との取引リスク、設備投資リスク、法的規制リスク、大規模自然災害リスク、気候変動リスクなど、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼすリスクは様々なものが想定され、ここに記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。
(リスク管理体制)
当社グループでは、リスクマネジメントを「事業を継続的に発展させるステークホルダーの期待に沿うことで社会的責任を果たす重要な活動の一つ」と位置付けて取り組んでいます。具体的には、リスクマネジメントの基本的なルールとして「ビジネスリスクマネジメント規程」を制定し、全社的なリスク管理体制を構築したうえで、経営への影響が特に大きいリスクを「特定リスク」として選定・管理しています。
経営環境・市場の変化に対応するため、すべての特定リスクについて、年度ごとに特定リスクの追加・変更を検討した上で追加・変更後の特定リスクの評価・得点化・優先ランク付けを見直しています。全社を横断的に管理する機能部門は、自らの事業領域における管理を担当するカンパニー・事業本部と連携し、リスクの最小化・適正化や、未然防止に必要な施策等を実施しています。また、特定リスクが顕在化した場合の対応策として、当該事案が発生した部門からリスクマネジメント事務局である内部統制部および経営幹部へ事案内容を報告し、関係部門と連携して当該事案への対応を行い、必要に応じて全社的な改善策を検討し再発防止に繋げることとしています。
(1) 経営成績等の状況及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は、次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
(経営成績)
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、年度末にかけて、非常に厳しい状況となりました。しかしながら、着実にトランスフォーメーションを推進していることもあり、こうした状況下でも、親会社株主に帰属する当期純利益を確保することができました。
売上高は2,271,248百万円(前年度比 94.6%)となりました。利益につきましては、営業利益が52,773百万円(前年度比 62.7%)、経常利益が55,541百万円(前年度比 80.5%)、親会社株主に帰属する当期純利益は20,958百万円(前年度比 28.2%)となりました。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響は、売上高で約1,780億円、営業利益で約360億円の押し下げ要因となりました。
2019年度は、上記の新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響のほか、従業員の平均残存勤務期間の見直しによる退職給付費用の増加など、想定外の特殊要因がありました。これらの特殊要因を除くと、「売価ダウン」による収益の減少が約882億円、「コストダウン・モデルミックス」による収益の改善が約706億円、「販売増減」による利益の増加が約280億円、「経費」の削減による約22億円の収支影響などがありました。
(新型コロナウイルス感染症の流行による影響と当社グループの対応)
全社に共通する影響としては、世界的な物流の混乱や、在宅勤務の拡大に伴う複写機等のオフィス機器設置の延期によるものなどがありました。商品事業においては、国内では、中国やASEANの工場の稼働率が低下したことに伴い商材が確保できなかったこと、3月後半に一部の量販店が営業を取りやめたことなどにより、通信や白物家電のほか、テレビ、パソコン事業などに影響がありました。中国では、販売店の営業停止や外出規制に加え、工場の稼働が停止した影響などにより、テレビや白物家電の販売が減少しました。ASEANでは、マレーシアやフィリピン、インドネシアなどで、外出制限や経済活動制限が実施されたことなどにより、テレビや白物家電のほか、ビジネスソリューションなどに影響がありました。欧州や米州では、ビジネスソリューションでコピーボリュームやサービスの売上が減少したほか、欧州でテレビなど、米州では白物家電などで影響がありました。一方、デバイス事業においては、自社工場や納入先工場の稼働が停止あるいは稼働率が低下したことなどから、2月以降、車載向けやスマートフォン向け製品の販売に大きな影響が出るなどしました。
当社グループの対応の詳細は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境と優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおりであります。
(セグメント業績)
セグメントの業績は、概ね次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。以下の前連結会計年度との比較については、前連結会計年度の数値を変更後の区分に組替えた数値で比較しております。報告セグメントの変更については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」に詳細を記載しております。
スマートライフ
エアコンや冷蔵庫、洗濯機の販売が増加したものの、デバイスの販売が減少したことから、売上高は856,291百万円(前年度比 95.3%)となりました。利益面では、コストダウンの効果などにより、セグメント利益は39,719百万円(前年度比 126.3%)となりました。
8Kエコシステム
液晶テレビやスマートフォン用パネルの販売が減少したことから、売上高は1,157,278百万円(前年度比 88.1%)となりました。利益面では、コストダウンに取り組んだものの、販売が減少したことから、セグメント利益は14,945百万円(前年度比 31.5%)となりました。
ICT
通信事業の売上は減少しましたが、Dynabook㈱を連結子会社化した効果があり、売上高は357,507百万円(前年度比 127.3%)となりました。利益面では、通信事業の販売が減少したことから、セグメント利益は20,240百万円(前年度比 97.0%)となりました。
生産、受注及び販売の実績は以下のとおりです。
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
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スマートライフ |
791,277 |
△4.2 |
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8Kエコシステム |
1,128,802 |
△12.2 |
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ICT |
335,712 |
+27.1 |
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合計 |
2,255,792 |
△5.1 |
(注)1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、外注製品仕入高等を含んでおります。
3 組織変更に伴い、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較は、変更後の報告セグメントの区分に基づき作成しております。
b.受注実績
当社グループは原則として見込生産を行っております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
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スマートライフ |
801,254 |
△5.6 |
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8Kエコシステム |
1,131,375 |
△12.1 |
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ICT |
338,619 |
+28.3 |
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合計 |
2,271,248 |
△5.4 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 組織変更に伴い、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較は、変更後の報告セグメントの区分に基づき作成しております。
3 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
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相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
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金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
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APPLE INC. |
563,336 |
23.5 |
522,254 |
23.0 |
(財政状態)
当連結会計年度末の財政状態は、資産合計が、前連結会計年度末に比べ33,999百万円減の1,832,349百万円となりました。これは、たな卸資産が増加する一方、受取手形及び売掛金が減少したことなどによるものです。負債合計は、短期借入金が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ43,333百万円増の1,537,211百万円となりました。また、純資産合計は、配当金の支払いを行った一方で親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことにより利益剰余金が増加したものの、自己株式(A種種類株式)の取得及び消却により資本剰余金が減少したことで、前連結会計年度末に比べ77,333百万円減少し、295,138百万円となりました。
(たな卸資産)
2020年3月期たな卸資産残高は294,788百万円、月商比で1.56ヶ月分の水準となりました。新型コロナウイルス感染症の影響で、売上高が減少し、たな卸資産が213億円増加したため、月商比でのたな卸資産水準は上昇しております。
当社グループは、主に日本・中国・タイなどのアジア圏で製造された製品を全世界へ輸出しているため、部品の調達や製品の製造・輸送・保管に、売上水準に応じた一定水準のたな卸資産の保有は不可欠ですが、製品の安定生産・供給を図りつつ、たな卸資産の月商比の圧縮に取り組んでまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a. キャッシュ・フローの状況
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(単位:百万円) |
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前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
増減 |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
79,043 |
68,086 |
△10,957 |
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投資活動によるキャッシュ・フロー |
△167,587 |
△127,882 |
39,704 |
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財務活動によるキャッシュ・フロー |
△88,517 |
4,560 |
93,077 |
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現金及び現金同等物の期末残高 |
228,798 |
170,323 |
△58,474 |
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ58,474百万円減少し、当連結会計年度末には170,323百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動による資金の収入は、68,086百万円であり、前連結会計年度に比べ10,957百万円減少しました。これは、前連結会計年度に比べて、売上債権の増減額で139,201百万円増加したものの、税金等調整前当期純利益が37,253百万円減少したほか、未収入金の増減額で49,553百万円、たな卸資産の増減額で57,984百万円それぞれ減少したことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金の支出は、127,882百万円であり、前連結会計年度に比べ39,704百万円減少しました。これは、前連結会計年度に比べて、有形固定資産の取得による支出が53,182百万円減少したことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動による資金の収入は、4,560百万円であり、前連結会計年度に比べ93,077百万円増加しました。これは、前連結会計年度に比べて、自己株式の取得による支出が11,913百万円、社債の償還による支出が20,000百万円それぞれ増加したものの、短期借入金による収入が純額で136,808百万円増加したことなどによるものであります。
b. 資本の財源及び資金の流動性についての分析
(財務・資本政策)
当社グループは、たな卸資産の適正化や会社業績の向上による営業キャッシュ・フローの積み上げ、効率を重視した投資による投資キャッシュ・フローの管理により、フリー・キャッシュ・フローの改善に努めております。また、有利子負債から現金及び預金を差し引いた「純有利子負債」の圧縮を目標とし、成長に向けた財務基盤の強化、資金の流動性の向上を図ってまいります。なお、2020年3月期の純有利子負債は568,155百円となっております。
(資金調達)
当社グループは、資金の支出効果の見極めを十分行いながら、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉の安定的確保を図る趣旨の下、短期運転資金を自己資金及び短期借入で、設備投資や長期運転資金の調達については長期借入で賄うことを基本原則としております。総資産に対する借入金の割合は当連結会計年度末現在42.4%となっており、このうち当該借入金に対する短期借入金の占める割合は30.6%となりました。
主要な取引先金融機関とは良好な関係を維持しており、流動性確保のため、200,000百万円のコミットメントライン契約を締結しております。さらに子会社への貸付などグループファイナンスを通じて、グループ内資金を有効に活用しております。
安定的な外部資金調達は、重要な経営課題と認識しており、格付の早期回復による直接金融の実現に向け、財務内容の改善を図ってまいります。
(株主還元)
当社は株主各位に対する利益還元を経営上の最重要課題の一つと考え、安定配当の維持を基本としながら、連結業績と財務状況並びに今後の事業展開等を総合的に勘案し、長期的な視点に立って利益還元に取り組んでおります。かかる観点から、連結業績の動向、投資や財務体質改善の必要性を勘案し、2020年3月31日を基準日とした普通株式の期末配当は、一株当たり18円の配当を実施しました。
さらにA種種類株式200,000株のうち92,000株を2019年1月30日に取得、また、残る108,000株を2019年6月21日に取得し、その全数を消却しております。これにより、A種種類株式が有していた高配当率での優先配当権や普通株式や金銭を対価とする取得請求権に起因する、企図せぬ希薄化や多額の金銭支出可能性が排除され、「資本の質的向上」が達せられたと考えております。今後も株式の価値向上を図ってまいります。
(2) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成にあたり必要となる見積りについては、過去の実績や第三者による評価等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性のため、実際の結果は見積りと異なる場合があります。
当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、連結財務諸表の作成に当たって用いた特に重要な会計上の見積り及び仮定については、下記のとおりであります。
① たな卸資産の評価
当社グループは、たな卸資産について正味売却価額が簿価を下回った場合に簿価の切下げを行っております。また、一定期間以上滞留が認められるたな卸資産については、販売の実現可能性が低下しつつあると仮定し、期間の経過に応じ規則的に簿価を切下げる方法で早期に償却を行っております。さらに、販売が困難と認められる場合などには、個別に簿価の切下げも実施しております。
しかしながら、将来の予測不能な環境変化等により、価格下落など当社グループに不利な状況が生じた場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において簿価の切下げが追加的に必要となる可能性があります。
② 固定資産の減損
当社は、営業活動から生ずる損益またはキャッシュ・フローが継続してマイナスとなるなど減損の兆候が見られる場合に資産又は資産グループについて減損の判定を行い、使用価値と正味売却価額のいずれか高い方が帳簿価額を下回っていると判断される場合には、その差額を減損損失として認識します。使用価値算定の基礎となる将来の事業計画は、外部情報調査会社による市場価格、需要の見通しなど決算時点で入手可能な情報も考慮して作成しております。また、正味売却価額は、第三者による資産評価など合理的な方法をもって決定しております。
しかしながら、将来、事業計画の前提となった市場環境などに変化があった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において減損損失を追加的に計上する可能性があります。
(1) 技術援助契約
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相手先 |
国名 又は 地域 |
契約内容 |
契約期間 |
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Samsung Electronics Co., Ltd. |
韓国 |
LTEを含む無線通信規格必須特許のライセンス契約を締結いたしました。 |
(注)2 |
(注)1 上記は当社との契約であります。
2 契約期間については、契約上の守秘義務により開示を控えさせていただきます。
(2) その他の契約
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相手先 |
国名 又は 地域 |
契約内容 |
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㈱みずほ銀行 ㈱三菱UFJ銀行 |
日本 日本 |
2019年6月11日の取締役会において、A種種類株式108,000株の全部取得及び消却について決議し、同日、A種種類株式を保有する㈱みずほ銀行及び㈱三菱UFJ銀行との間で、「自己株式取得に関する契約書」を締結いたしました。 |
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㈱みずほ銀行 ㈱三菱UFJ銀行 |
日本 日本 |
2019年8月、㈱みずほ銀行及び㈱三菱UFJ銀行との間で、コミットメントライン契約を締結いたしました。 |
(注)上記は当社との契約であります。
当社グループは、独自技術の開発を経営理念に掲げ、製品はもとより新材料や生産技術の開発に至るまで、積極的な研究開発活動を行っております。
研究開発体制として、基礎・応用研究開発を担う研究開発事業本部、カンパニー/事業本部傘下の研究開発組織には目的別開発センター、具体的な製品設計を担当する事業部技術部を設置するとともに、全社横断的な技術・商品開発を推進するプロジェクト体制で推進しております。また、海外の優秀な人材の活用と海外現地のインフラやニーズに対応した開発を行う目的で、英国、米国、中国他に研究開発拠点を設けております。
当社が掲げる事業ビジョン「8KとAIoTで世界を変える」のもと、「8K+5G Ecosystem」
「AIoT World」などの実現を目指し、グローバルな開発体制でOne SHARPの密接な連携・協力関係により、コアとなる技術力を高め、卓越したサービス/ソリューションを創出し、お客様に提供する価値の最大化に取り組んでおります。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は
なお、セグメントごとの主な研究成果は、次のとおりであります。
(1) スマートライフ
Smart Appliances & Solutions事業においては、プラズマクラスター史上最高の脱臭性能でニオイの悩みに徹底対策した<プラズマクラスター除菌脱臭機>、エアコン業界で唯一空気清浄機を搭載し、室内の空気浄化と本体内部の清潔性を徹底追求、さらに気象予報を活用し、クラウドAIによる運転制御で睡眠中から日中まで快適さを実現する<新プラズマクラスターエアコン「Airest」>、食材を真空状態でかくはんすることで酸化を抑え、栄養成分を保持したヘルシーなスムージーが作れる<ヘルシオ 真空ブレンダー>など、健やかで快適な生活環境づくりに貢献する商品を提案しました。また、独自の蓄冷材の応用として、氷点下2℃のおいしい新感覚飲料を楽しめるクーラーバッグ<TEKION COOLER>を発売するとともに、トップアスリート向けに深部体温の上昇抑制効果が期待できる<TEKION暑熱対策グローブ>および<TEKIONアイスラリーBOX>を開発しました。カメラモジュール事業においては、8K画質5G対応のAQUOS R5Gに搭載した<8K画質超広角カメラモジュール・光学2倍望遠カメラモジュール>を開発しました。
エネルギーソリューション事業においては、世界最高水準の高効率化合物太陽電池セル(変換効率34%以上)を搭載した電動車の公道走行実証を開始、エネルギー・環境問題解決へのさらなる貢献に努めてまいります。
(2) 8Kエコシステム
ビジネスソリューション事業においては、8K画質の液晶で世界最大級となる<120V型8K液晶ディスプレイ>、4台組み合わせることで120V型8K相当のマルチディスプレイを実現する<60V型4Kインフォメーションディスプレイ>、業界最小クラスの設置面積(幅560mm×奥行560mm)を実現し、デスクサイドにも設置可能な<デジタルフルカラー複合機>をそれぞれ発売。また、ショーウィンドウなどのシーンで新たな演出手法を提案する<90V型シースルーディスプレイ>を開発しました。
TVシステム事業においては、業界初、地上デジタル放送などの2Kコンテンツも4K放送級の美しさで楽しめる5upコンバーターを搭載した<AQUOS 4Kレコーダー>を発売、ディスプレイデバイスカンパニーにおいては、カラーフィルターレス(RGB発光方式)で、表示部を巻き取りすっきりと収納できるローラブル(巻取型)<30V型4Kフレキシブル有機ELディスプレイ>、a-Si※1の約30倍の電子移動度を実現、よりなめらかな表示と低消費電力化を可能にした<第5世代IGZO>を開発、モバイルから大型パネルサイズの幅広いラインアップを展開しました。
※1アモルファスシリコンの略。結晶のように規則正しい原子配列をしていない状態にあるシリコン材料。
研究開発事業においては、5Gを活用した8K映像伝送の実用化に向けて様々なシーンにおける世界初の実証実験を推進しており、バスケットボール国際試合のマルチアングルライブ伝送、軽種馬の育成支援を目的とするドローンから撮影した映像のリアルタイム伝送、高速走行中の新幹線への8K映像コンテンツ伝送などに成功しました。これらの技術を活かした新たなサービスの創出を目指してまいります。
また、研究開発活動を通じて、当社は通信技術の分野において世界50か国以上で合計6,000件以上の通信規格特許を保有しており、2019年9月にサムスン電子との間でLTEを含む無線通信規格特許のライセンス契約を締結するなど、ライセンス事業を強化しております。
(3) ICT
通信事業においては、5G対応で高速・大容量通信を実現、8Kワイドカメラを搭載したスマートフォン<AQUOS R5G>、タブレット端末やパソコンなど複数のモバイル機器を同時接続し、5Gによる超高速データ通信を複数の端末でシェアできる<モバイルルーター>、4倍速の高速表示を実現した新開発有機ELディスプレイを搭載し、世界最軽量約141gに加え、2枚のSIMカードを使用できるDSDVにも対応したスマートフォン<AQUOS zero2>を発売しました。5G商用サービス開始に合わせた商品化を行い、ビジネスシーンにおける通信環境の革新に貢献しました。
株式会社AIoTクラウドにおいては、テレワークや教育現場など様々なコミュニケーションの革新をサポートするサービスとして、チャットとビデオ会議を融合させ、快適&セキュアなテレワークを実現するビジネスコミュニケーションサービス<LINC BiZ>の提供を開始しました。Dynabook株式会社においては、ハイパフォーマンスを実現する「インテル® 6コアCPU」や「NVIDIA® GeForce® MX250」、フルHD高輝度・高色純度・広視野角・ノングレアIGZO液晶を搭載するなど、動画編集といったクリエイティブな作業やPCゲームなどもより快適に行える15.6型ニュースタンダードノートPC<dynabook C8>を発売しました。
また、15.6型4KディスプレイノートPCと本格的な映像編集に必要なグラフィックス性能を提供するGPU Boxおよび8K液晶モニターを組み合わせ、8K編集対応のAdobe Premiere Proを備えた<8K Video Editing PC System>を開発しました。