第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)が判断したものであります。

 

(1) 経営方針

①経営理念・経営信条

当社の創業者 早川徳次の言葉の一つに「他社がまねするような商品をつくれ」があります。この言葉には、次の時代のニーズをいち早くかたちにした“モノづくり”により、社会に貢献し、信頼される企業を目指すという当社グループの経営の考え方が凝縮されています。

当社グループは、1973年に、この創業の精神を「経営理念」「経営信条」として明文化しました。さらに、2016年には、早川創業者の「誠意と創意」の精神を、これからも変わらない当社グループの“原点”として受け継ぎ、オリジナリティ溢れる新たな価値を提供し続けることを世界中のお客様と約束する言葉として、新コーポレート宣言“Be Original.”を制定しました。

当社グループは、今後も引き続き、「経営理念」「経営信条」を体現し続けることで、社会の発展に貢献していきたいと考えています。

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②目指す方向性

当社グループは現在、「8K+5GとAIoTで世界を変える」を事業ビジョンに掲げ、8Kや5G、AI、IoT、ロボット等の先端技術を核に、様々な企業とも連携し、「Smart Home」「Smart Office」「Health」「Entertainment」「Education」「Industry」「Security」「Mobility」の8つの重点事業分野を中心に、革新的なサービスやソリューションの創出を進めています。

こうした取り組みを通じて、with/afterコロナ時代のニューノーマルの確立、多様なライフスタイルの実現、医療や介護問題の解決、労働力不足の解消、脱炭素社会の実現等、現代社会が直面する様々な社会課題の解決に貢献することで、人や社会に寄り添い、常に新たな価値を提供し続ける「強いブランド企業“SHARP”」の確立を目指しています。

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(2) 経営環境、経営戦略、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

2020年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響によって非常に厳しいスタートとなりましたが、第2四半期以降、各国で経済活動が順次再開され、徐々に回復が進みました。足元では、ワクチン接種も進展しつつあり、回復スピードのさらなる加速が期待されています。しかしながら、その進度は依然として不透明であることに加え、米中貿易摩擦の長期化や半導体不足など、世界経済は未だ予断を許さない状況です。さらに、今回のコロナ禍を契機に、人々の価値観や暮らし、働き方など、多くのものが様変わりしており、新たな日常、“ニューノーマル”が求められています。このように、当社グループを取り巻く経営環境は、今後も目まぐるしく変化していく見通しにあり、不確実性の高い状況が続くものと考えています。

こうした中、当社グループは、2017年度から3年間に亘って、「事業」「市場」「オペレーション」の3つのトランスフォーメーションを推進し、早期の業績回復を実現するとともに、将来に向けた確かな基盤の構築に取り組んできました。さらに、2020年度は、次々と起こる環境変化に機敏に対応することで、さらなる業績改善やフリー・キャッシュ・フローの黒字化を果たすとともに、デバイス事業の分社化やM&A等、成長の加速に向けた布石を着実に打ってきました。

2021年度からは、こうした成果を土台に、「強いブランド企業“SHARP”」の早期確立に向け、「ブランド事業を主軸とした事業構造の構築」、「事業ビジョンの具現化」、「社債市場への復帰」の3つの取り組みを重点的に推進していきます。

 

①ブランド事業を主軸とした事業構造の構築

当社グループは、コアとなる“スマートライフ”、“8Kエコシステム”、“ICT”の3つの「ブランド事業」と、それらを支える“ディスプレイデバイス”、“エレクトロニックデバイス”の2つの「デバイス事業」が、One SHARPとなって事業を推進しています。

ブランド事業では、2020年11月に、B2Bディスプレイ事業のグローバル拡大や新規事業の創出、コスト競争力強化等を狙いに、同事業で欧米市場に強みを持つシャープNECディスプレイソリューションズ㈱を子会社化しました。また、AIoT戦略のさらなる高度化を狙いに、AIoTプラットフォーム事業を担う㈱AIoTクラウドを、パソコンを主力にIT事業を展開する「Dynabook㈱」の100%子会社とし、ICTグループ内の連携強化を進めています。ブランド事業においては、今後も引き続き、M&Aや協業を積極的に展開するとともに事業間連携をより一層強化することで、特長的な機器やサービス、ソリューションの創出を加速し、グローバルに事業を拡大していく方針です。

一方、デバイス事業では、2019年4月の電子デバイス事業に続き、2020年10月にディスプレイデバイス事業を、2021年4月にカメラモジュール事業を分社化し、全てのデバイス事業の分社化を完了しました。また、次世代ディスプレイの展開加速も視野に、2020年10月に、㈱ジャパンディスプレイの白山工場を取得し、2021年2月より、まずは液晶パネル生産ラインの稼働を開始しました。デバイス事業においては、今後は他社との協業を梃子に、競争力をより一層強化し、ブランド事業の優位性を支える革新的デバイスの創出に取り組みます。

 

 

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②事業ビジョンの具現化

当社グループは、事業ビジョンの具現化に向け、8K+5GやAIoT等の先端技術を搭載した“特長機器”を創出し、グローバルに販売を拡大するとともに、こうした機器とソフトウェアやサービスを融合した“システム”の創出、さらには、それぞれのシステムを連携させた当社グループならではのプラットフォームを構築し、様々な分野で独自の“ソリューション”の提供を目指しています。

当社グループはこれまで、8Kテレビ、8Kカメラ、8K PC、8K+5Gスマートフォン等の様々な8K+5G機器や、累計11カテゴリー/545機種(2021年3月31日時点)ものAIoT機器を創出し、日本を中心に販売を拡大してきました。一方、海外では、将来の8K+5G及びAIoTビジネスの展開を見据え、ASEANにおいて、商品カテゴリー・ラインアップの拡充による事業拡大に取り組むとともに、欧州、米州、中国において、販売体制の見直しやブランドビジネスの再構築を進めてきました。

今後、日本では、これまで構築してきた事業基盤を有効に活用し、「Smart Home」「Smart Office」「Entertainment」の分野を中心に、新たなサービスやソリューションを本格展開するとともに、健康・医療・介護分野における新規事業の創出や工場の自動化ソリューションの展開、GIGAスクールを契機とした教育向けビジネスの拡大など、新たな分野においても事業を着実に立ち上げていきます。一方、海外においては、欧米や台湾、ASEANなどを中心に、8K+5G機器やAIoT機器のグローバル拡大をより一層強化し、将来に向けた基盤構築を加速します。

 

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③社債市場への復帰

当社グループが今後も持続的に成長していくためには、より強固な財務基盤を構築することが不可欠であり、現在、「“量から質へ”の徹底」、「運転資金の圧縮」により営業キャッシュ・フロー(CF)の最大化を図るとともに、安定した収益が見込める「ブランド事業への投資拡大」、「デバイス事業における外部資金の獲得」など、投資効率の向上に向けた取り組みを加速しています。今後はこのような取り組みを通じて、毎期、安定的にフリー・キャッシュ・フロー(FCF)を創出し、適切な株主還元を行うとともに、有利子負債の削減など、財務体質の改善を進めていきます。そして、将来的には、社債市場への復帰を目指します。

 

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こうした取り組みに加え、当社グループは、ESGについても引き続き強化し、事業活動を通じて国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)の各目標の達成に貢献するとともに、グローバルブランドが担うべき企業の社会的責任を着実に果たしていく考えです。

環境(Environment)の面では、2019年2月に、長期環境ビジョン「SHARP Eco Vision 2050」を策定し、持続可能な地球環境の実現に向け、「気候変動」「資源循環」「安全・安心」 の3つの分野それぞれで2050年の長期目標を設定しました。昨今、世界各国で取り組みが加速している「気候変動」の分野では、2050年までに自社活動のCO2排出量ネットゼロを実現するとともに、サプライチェーン全体で消費するエネルギーを上回るクリーンエネルギーを創出するという目標の下、エネルギーソリューション事業の拡大や、製品の省エネ性能の向上、事業活動における燃料や電力使用のさらなる効率化に取り組んでいきます。

社会(Social)の面では、前述の8つの重点事業分野を中心とした事業活動により、社会課題の解決に取り組んでいきます。また、日本が深刻なマスク不足となった2020年2月、当社グループは日本政府からの要請を受け、社会貢献として、翌3月より三重工場でマスクの生産を開始し、その後1年余りで累計2億枚を超えるマスクを出荷してきました。加えて、「光触媒スプレー」や「高性能フェイスシールド」、ワクチン輸送にも活用されている「適温蓄冷材」など、様々な健康関連商品の展開も積極的に行っています。当社グループは、今後もこのような、人々の健康や社会の安心・安全の確保に向けた取り組みを通じて、より一層社会に貢献していきたいと考えています。また、サプライチェーンにおける人権問題をはじめとした社会課題についても、未然防止ならびにその実効的な解決に向けた取り組みを強化していきます。

ガバナンス(Governance)の面では、「企業価値向上を実現するコーポレートガバナンスの構築」に向け、取締役会の機能向上を図るとともに、情報開示の拡充やステークホルダーとの継続的な対話を行っていきます。また、当社の連結子会社であるカンタツ㈱及びその子会社において不適切な会計処理の存在が発覚したことを受け、当社グループは、2020年12月に外部の弁護士・公認会計士を含む調査委員会を設置し、2021年3月に同委員会から調査報告書を受領しました。当社グループは、グループ内部統制が有効に機能していなかった今回の事態を重く受け止め、当報告書の内容に沿って、コンプライアンスの再徹底や業務プロセスの見直し、グループガバナンスの強化等、具体的な再発防止策を講じています。

 

 

(3) セグメント別重点取り組み

2021年度第1四半期以降、当社グループは以下のセグメントでの業績開示を行います。

 

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①スマートライフ

既存領域では、引き続き、独自特長家電やスタイリッシュデザイン家電等の創出を進め、さらなる収益力強化を図るとともに、住宅用の新型蓄電池や太陽光パネルの販売拡大に取り組みます。

新規領域では、日本国内におけるAIoT機器のさらなる販売拡大やサービス・ソリューションの立上げを図るとともに、海外におけるAIoTビジネスの事業基盤構築を加速すべく、カテゴリーやラインアップの拡充に取り組みます。加えて、PCI搭載機器のグローバル拡大や、ヘルスケアビジネスの強化、新興国向けを中心とした海外EPC/IPPビジネスの拡大にも取り組んでいきます。

 

②8Kエコシステム

既存領域では、回復が見込まれるMFP需要を確実に取り込むべく、オフィス向けサービス・ソリューション商材とMFPとのセット商談を推進するとともに、グローバルにおけるテレビの販売拡大をより一層加速していきます。

新規領域では、スマートオフィスサービス「COCORO OFFICE」の対応機器やサービスの拡充、欧州及び米州におけるITベンダーの買収等、スマートオフィスビジネスの拡大に取り組むとともに、シャープNECディスプレイソリューションズ㈱との連携をより一層強化し、業務用ディスプレイのグローバル拡大を加速します。加えて、COCOROメンバーへのECビジネスやソリューション提案も強化していきます。

 

③ICT

既存領域では、スマートフォンのさらなるコスト競争力強化及び需要が拡大しているミドルレンジモデルの強化を進め、シェアアップを図るとともに、海外を中心に、パソコンの販売拡大に取り組みます。

新規領域では、テレワークソリューションや教育向けソリューション等、クラウドを活用した新たなビジネス展開を加速するとともに、デジタルヘルスケア分野への参入等、新規事業の創出にも積極的に取り組んでいきます。

 

④ディスプレイデバイス

引き続き需要が旺盛なPC・タブレット向けパネルや、需要の回復が進む車載向けパネルの販売拡大に取り組み、中型ディスプレイの売上構成比の拡大を図ります。加えて、白山工場も活用した生産体制の最適化や、プロセス革新による生産効率の向上にも取り組みます。

 

⑤エレクトロニックデバイス

スマートフォンカメラの高機能化など、市場のトレンドに適切に対応し、カメラモジュールビジネスのシェアアップ及び新規顧客の開拓を加速していきます。加えて、プロジェクターやヘッド・マウント・ディスプレイ向けレーザーモジュールの開発加速及びコスト競争力強化を図るとともに、センサー事業の販売拡大にも取り組みます。

 

 

(4) 目標とする経営指標

今後の事業計画の前提となる環境変化の想定は極めて難しい状況が続く見通しにありますが、当社グループは、既存事業を着実に維持・強化する一方で、成長が期待できる新規事業領域への積極展開や柔軟かつ強靭なサプライチェーンの構築など、変化への対応力を高めることで、業績目標を確実に達成していきたいと考えています。2021年度は、売上高2兆5,500億円、営業利益1,010億円、営業利益率4%を目指します。セグメント別構成比では、ブランド事業が売上の過半を、営業利益では約4分の3を占める見通しです。また、当面の目標としては、収益性向上の観点では「ブランド事業の営業利益率7%以上」を、財務基盤強化の観点では「NET DER(純有利子負債/自己資本)1倍未満」、「自己資本比率25%以上」を目指します。

 

 

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2【事業等のリスク】

 当社グループは、電気通信機器・電気機器及び電子応用機器全般並びに電子部品の製造・販売を主な事業内容として活動を行っております。その範囲は電子・電気機械器具のほとんどすべてにわたっており、ユーザーも国内外の一般消費者、事業会社から官公庁に至るまで多岐にわたり、また地域的にもグローバルな事業展開を行っております。従って、当社グループの業績は、多様な変動要因による影響を受ける可能性があります。

 「第2 事業の状況」、「第5 経理の状況」等に関する事項のうち、「強いブランド企業“SHARP”」の早期確立に向け、「ブランド事業を主軸とした事業構造の構築」、「事業ビジョンの具現化」、「社債市場への復帰」の3つの取り組みを重点的に推進していくなかで想定され、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある主なリスクと、それに対する対応策は以下のとおりであります。

 なお、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在(ただし、必要に応じて有価証券報告書提出日現在)において、当社グループが判断したものであります。

 

① 世界市場の動向・海外事業について

(リスク)

 当社グループは、日本だけではなく、世界の各地域で事業活動を行っており、日本を含む世界各地域における景気・消費の動向や、新型コロナウイルス感染拡大に伴う個人消費及び企業による設備投資の動向、他社との競合、製品の需要動向や原材料の供給状況、価格変動等は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当該地域の政治的・経済的な社会情勢や世界経済の低迷から受ける影響の増加、米中貿易摩擦等の貿易問題等が、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

 世界市場の動向等の当社グループの事業に関わるリスク・情報は、当社の海外子会社を管掌する事業本部が現地と連携して収集し、必要な事業上の判断を行っています。また、経営幹部に対し定期的に、海外拠点や事業本部の業績報告を行っており、前回報告との変動を分析することによりその都度必要なリスク対応が決められています。その上で重要な業務執行の判断が必要な場合は、重要な業務執行に関する審議・意思決定機関である経営戦略会議に上程して審議しております。

 

 

② 為替変動の影響について

(リスク)

 当社グループの連結売上高に占める海外売上高の割合は、2020年3月期65.6%、2021年3月期64.4%であります。当社グループは、海外で製造した製品を国内においても販売する等、製造された国以外の国においても当社グループ製品を販売しています。このため、当社グループの業績は為替変動の影響を受ける可能性があります。

(対応策)

 当社グループは、為替予約及び最適地生産の拡充・強化等によるリスクヘッジを行っております。

 

 

③ 特定の事業・製品・顧客に対する依存について

(リスク)

 当社グループの8Kエコシステムセグメントの売上高は当社グループの売上高の半分程度を占めているため、関連製品に対する顧客の需要の減少、製品価格の下落、代替性若しくは競争力のある他社製品の出現又は新規企業の参入による競争の激化等により当社グループの業績は悪影響を受ける可能性があります。

 また、当社グループのスマートライフ及び8Kエコシステムセグメントの一部の製品については、少数の特定顧客に対する売上依存度が高く、こうした重要な顧客向けの販売は、当社グループ製品の問題だけでなく、当該顧客の製品に係る需要の減少や仕様の変更、当該顧客の営業戦略の変更等を理由として落ち込む可能性があり、そのような場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

 当社グループでは、従来のハードウエア事業の拡大による既存事業分野の維持・拡大に加え、より高付加価値となる新規サービス・ソリューションの立上げによるビジネスモデルの転換推進、グローバル事業拡大の加速、及びB2C・B2B市場の両面展開等により、競争優位を目指してまいります。

 なお、2021年度第1四半期以降、セグメント区分の変更を予定しています。詳細は、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)に記載のとおりであります。

 

 

④ 戦略的提携・協業等について

(リスク)

 当社グループはこれまでにも、企業競争力強化と収益性向上及び各事業分野における新技術や新製品の開発強化のため、外部企業との間で戦略的提携・協業を推進してきましたが、かかる戦略的パートナーとの間における戦略上の問題やその他の事業上等の問題の発生及び目標変更等により、提携・協業関係を維持できなくなった場合や、提携・協業関係から十分な成果が得られない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

 当社グループにおいては、戦略的提携・協業の重要性がますます高まっていくものと考えております。これらを成功に導くべく、戦略的提携・協業の実行段階においては、事前に事業戦略上の必要性、収益性や財務的な妥当性等を十分に検証し、経営戦略会議や取締役会での審議のうえで意思決定を行っております。

 また、実行後においても、関係する各事業本部との緊密な連携のもと、提携や協業の進捗をモニタリングし、想定通りの成果が得られないことが見込まれる場合には、早期に経営陣にも報告することにより、それらが当社グループの業績および財政状態に与える影響を最小限に留める対策を講じることができるように取り組んでおります。

 

親会社グループとの関係について

(リスク)

 親会社グループ(鴻海精密工業、及びその子会社・関連会社を含みます。)からの出資により、成長投資の実行、親会社グループの技術力・生産性・コスト力を活かした事業シナジーの追求が可能となりましたが、当社グループが親会社グループとの間の事業シナジーを想定通りに実現できる保証はありません。

 親会社グループの戦略に変更が生じた場合や将来的に親会社グループとの間で何らかの競合関係が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。

 当社グループの経営方針、事業展開等の重要事項の意思決定において、親会社グループからの影響を受け、当社グループの独立性・自律性が保たれない可能性があります。

(対応策)

 当社グループは、親会社グループとの間で相互に独立性・自律性を十分に尊重しつつ、緊密な連携を行っており、親会社グループとの事業シナジーを最大限に活かした事業運営に取り組んでおります。当社グループでは、親会社グループとの間で当社グループの業務効率化や売上・利益の拡大等につながるシナジー創出が見込まれる領域を見極め、その領域においては、親会社グループとの連携のもとで、想定されるシナジーを適切に検証しその実現に向けて取り組んでおります。

 親会社グループでは電子機器受託生産サービスを中心とした事業展開を行っており、当社グループの電気通信機器・電気機器及び電子応用機器全般の製造・販売事業においては、「シャープ」等のブランドビジネスを行っていることから、親会社グループ内において当社グループの当該事業に影響を与える競合は生じていないものと考えております。

 当社は、親会社グループとの間で相互に独立性・自律性を十分に尊重しつつ、綿密な連携を保ちながら成長・発展、業績の向上に努めております。親会社グループと綿密に連携して当社業務の効率化や売上・利益の拡大等を図ることは、非支配株主の利益につながるものと認識しております。

 

 

⑥ 調達先との取引について

(リスク)

 当社グループは、多くの取引先から資材の調達やサービスなどの提供を受けておりますが、需要の低迷や価格の大幅な下落等による取引先の業績の悪化、突発的なM&Aの発生、自然災害や事故の発生、また、新型コロナウィルスの感染拡大、米中貿易摩擦等の貿易問題、原材料の高騰による影響及びサプライチェーンにおける「紛争鉱物問題」をはじめとする人権・環境問題等や法的規制の影響、さらに、旺盛な需要による半導体の逼迫や一部の部材等において供給業者が限られていること等により、調達先から部材等が十分に供給されないことが考えられます。

 そのような場合には、代替調達先との間で現在の取引条件よりも不利な条件での取引を余儀なくされる可能性があり、また代替する調達先を適時に見いだせない可能性があります。これらにより、当社グループ製品のコスト増加、顧客への納期の遅延等が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

 調達先については、十分な信用調査のうえ取引を行っています。また、サプライチェーンにおけるリスク対応のため、サプライチェーンCSR管理システムを導入し、国内・海外生産拠点のサプライヤーの評価を定期的に実施しており、教育徹底や指導等を継続して行っています。さらに、部材等の安定確保及び調達価格の適正化のため、部材の長期枠取りなどサプライヤ―とのパートナーシップを強化するとともに、複数社購買を推進しております。

 

 

⑦ 財務状態に及ぼす影響について

(リスク)

 当社グループは、事業資金を銀行等の金融機関からの借入等により調達しており、総資産に対する借入金の割合は、当連結会計年度末現在37.6%となっております。当社グループは、借入金等の返済のため、キャッシュ・フローの使途に制限を受け、また、金利水準が上昇した場合に費用の増加を招く可能性があります。既存債務のリファイナンスも含め、必要な資金を必要な時期に適当と考える条件で調達できない等、資金調達が制約されるとともに、資金調達コストが増加する可能性があることから、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。

 当社グループが複数の金融機関との間で締結している借入金に係る契約には財務制限条項が定められているものもあり、今後当社グループの連結純資産が財務制限条項に定める水準を下回ることとなった場合又は連結の営業利益及び親会社株主に帰属する当期純利益が一定の水準を下回ったにもかかわらず、これに伴い当社が誠実に協議しなかったような場合、さらには、連結経常利益を一定の水準に保てなかった場合、借入先金融機関の請求により、当該借入金について期限の利益を喪失する可能性があります。当社が当該財務制限条項に違反する場合、その他の借入金についても期限の利益を喪失する可能性があります。

 こうした当社グループの借入金等への依存及びこれに関連した信用格付けの低下、又は当社グループの財政状態の悪化は、財務状態の強固な競業他社との競争において不利に働く可能性があり、また、借入先又は取引先との契約関係上の問題を生じさせる可能性もあります。

(対応策)

 ㈱みずほ銀行及び㈱三菱UFJ銀行は、当社の主たる借入金融機関であり、必要に応じて両行に対して財政状態の改善策等に関する相談も行っております。また、その他の借入金に係る契約を締結している金融機関とも同様に経営状況につき情報の共有を図っております。必要に応じ都度対応を協議できる体制を構築しており、取引金融機関との良好な関係を保ち、借入金の維持・継続を図っております。

 会社業績の回復による営業キャッシュ・フローの回復、効率を重視した投資を徹底して行うことによる投資キャッシュ・フローの管理により、フリー・キャッシュ・フローの改善に努めております。格付の早期回復により、間接金融偏重から直接金融による資金調達を可能とする環境整備の取り組みを行っております。

 

 

 

⑧ 技術革新について

(リスク)

 当社グループの事業領域における急速な技術の進化、変化への適切な対応は、当社グループの製品・サービスの競争力を向上させる反面、以下の項目等への対応が不十分な場合には、成長性や業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。

・技術の進化や盛衰及びその社会的意義の予測と対応

・研究開発における選択と集中、適切な資源の投下

・新領域に対する技術力強化

・社外と連携した研究開発の加速

 加えて、貿易摩擦を発端として、米国において一部の新興技術を輸出管理の対象とする動きがあり、米国からの当該技術の持ち出しや、対象となる技術の付加価値が一定以上含まれた製品の日本等外国から第三国への輸出(再輸出)に制限が加わること等から、事業に間接的な影響を与える可能性があります。

(対応策)

 当社グループにおける研究や開発は、単なる技術水準の向上に留まらず、3つの事業グループ連携のもと、One SHARP「8K+5G Ecosystem」「AIoT World」の実現に向けた研究開発に取り組んでおり、今般新たに、健康・医療・介護分野の新規事業創出のための研究開発の加速を図りました。社会の急激な変化に伴い技術に対する評価も大きく変動することから、社会課題をいち早く捉えると共にグローバルな展示会等での技術革新のセンシングを行う事で、社会課題へのマッチングを念頭においた研究開発を推進しております。

 また、ソリューション事業への変革を続けていくために必要な新領域の技術力強化においては、自社のみの研究開発に拘らず、積極的に社外連携し、研究開発の加速を進めております。こうした取り組みを通じ、社会変化及び技術革新に伴うリスクを軽減させ、技術進化により持続的に成長し続けるブランド企業を目指してまいります。

 事業活動における輸出入管理での法令順守に加え、世界的なインフラ・防衛・セキュリティ等の社会基盤に係る新興技術の管理強化の動きの中で、研究開発においても各国・地域での法令、規制状況に対応した輸出入管理を推進しております。

 

⑨ 知的財産権について

(リスク)

 当社グループは、独自開発した技術等について、国内外で知的財産権を取得することにより、若しくは他社と契約を締結することにより、その保護に努めております。しかしながら、当社グループの特許出願等に対して権利が付与されない場合や、第三者からの無効請求等により、十分な権利保護が受けられない可能性があります。

 また、当社グループが第三者から知的財産権の侵害を主張され、その解決のために多額の費用を費やす可能性や、その主張が認められた場合に多額の対価の支払いや当該技術の使用差し止めなどの損害が発生する可能性があります。

 さらに、当社グループが保有する知的財産権を第三者が不正に使用する等、当社グループが保有する知的財産権が競争上の優位性をもたらさない、又はその知的財産権を有効に活用できない可能性があります。

 以上のような知的財産権に関する問題が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

 当社グループでは、知的財産権は企業の重要な財産であるとの認識のもと、積極的に知的財産の創出に努めており、知的財産権の出願・権利化の責任部門であるScienBiziP Japan㈱中心に強い権利の取得に取り組んでいます。

 また、当社グループでは、自社製品発売前に第三者の知的財産権のチェックを徹底して実施することで、知的財産権のクリアランス状況を確認しているとともに、クリアランスプロセスの標準化によるクリアランス確度の向上にも取り組んでおり、第三者の知的財産権を侵害するリスクに対する対策をとっています。

 さらに、当社グループでは、知的財産権を事業戦略・研究開発戦略と連動させながら最大限に活用するとともに、自社の知的財産権を保護し、第三者の知的財産権を尊重する姿勢を堅持しています。不当な権利侵害等に対しては話し合いで解決することを基本としながらも、当社グループの知的財産権を尊重していただけない場合は、裁判所など第三者の判断を仰ぐことも辞さない毅然とした姿勢を貫く方針をとっています。

 

 

製造物責任について

(リスク)

 当社グループの製品には、消費者向けのものが多く、また、革新的な技術を利用したものも含まれており、これらの製品に欠陥等が存した場合には製造物責任その他の責任を負う可能性があります。

 予期せぬ事情による大規模なリコールや訴訟の発生が、ブランドイメージの低下や、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

 当社グループでは、製品の安全性確保のため、各国の公的安全基準の遵守にとどまらず、リスクアセスメントの考えと独自の安全基準を組み合わせ安全性向上に取り組んでいます。この独自基準では、想定外の不具合が生じた場合にも安全を確保するため、特に難燃構造や異常動作試験等に関して基準を定めており、より高い安全レベルをめざし、都度改定し、社内関係者への研修も行い、設計部門、品質部門へ安全基準の理解と浸透を図っています。不具合発生時に迅速かつ適切に緊急対応が取れるよう安全確保推進体制を構築しています。万一、製品の欠陥等が発生した場合のメーカー責任を果たすために、製造物責任に基づく賠償に備え保険に加入しております

 

 

有能な人材確保における競争について

(リスク)

 技術及びマネジメント分野における優秀な人材が確保できない場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

 技術及びマネジメント分野における優秀な人材の確保のため、以下の施策を行っています。

 事業方針に沿った新たな人材獲得の為に新卒採用を推進しています。また、新規ビジネスを担えるコア人材を確保するためにキャリア採用を推進しています。

 ビジネスを行う上で基本的な知識や専門性について、個々人が主体的に学べる教育・研修制度を設け、事業に精通したプロフェッショナル人材の育成を図っています。

 多様な人材が安心して働ける基盤として、育児・介護・治療と仕事の両立を支援する各種制度を整備する等、従業員のワーク・ライフ・バランスに配慮した取り組みを推進しています。

 

 

 上記リスクのほかにも、多数の販売先との取引リスク、設備投資リスク、法的規制リスク、大規模自然災害リスク、気候変動リスク等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼすリスクは様々なものが想定され、ここに記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。

 

(リスク管理体制)

 当社グループでは、リスクマネジメントを「事業を継続的に発展させるステークホルダーの期待に沿うことで社会的責任を果たす重要な活動の一つ」と位置付けて取り組んでいます。具体的には、リスクマネジメントの基本的なルールとして「ビジネスリスクマネジメント規程」を制定し、全社的なリスク管理体制を構築したうえで、経営への影響が特に大きいリスクを「特定リスク」として選定・管理しています。

 経営環境・市場の変化に対応するため、すべての特定リスクについて、年度ごとに特定リスクの追加・変更を検討したうえで追加・変更後の特定リスクの評価・得点化・優先ランク付けを見直しています。全社を横断的に管理する機能部門は、自らの事業領域における管理を担当する事業部門と連携し、リスクの最小化・適正化や、未然防止に必要な施策等を実施しています。また、特定リスクが顕在化した場合の対応策として、当該事案が発生した部門からリスクマネジメント事務局である内部統制部および経営幹部へ事案内容を報告し、関係部門と連携して当該事案への対応を行い、必要に応じて全社的な改善策を検討し再発防止に繋げることとしています。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は、次のとおりであります。

 

財政状態及び経営成績の状況

(経営成績)

当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、第1四半期に急速に悪化しました。しかしながら第2四半期以降、各国で経済活動が再開するなど、感染状況により地域毎の強弱はあるものの、総じて持ち直しの動きが続きました。

当社グループでは、こうした事業環境の変化に対応した適切な対策を講じ、従業員の安全と業績の確保に努めるとともに、財務体質の改善や株主価値の向上を図りました。

当連結会計年度の業績は、スマートライフ、8Kエコシステム、ICTの3セグメントともに売上が増加し、売上高が2,425,910百万円(前年度比 107.2%)となりました。営業利益は、ICTが減少したものの、スマートライフと8Kエコシステムが増加し、83,112百万円(前年度比 161.5%)となりました。経常利益は63,175百万円(前年度比 125.9%)、親会社株主に帰属する当期純利益は53,263百万円(前年度比 388.0%)となりました。新型コロナウイルスが収束せず、規制が実施されるなか、年度末にかけては半導体が隘路となった影響などがあったものの、業績は順調に回復し、大幅な増益となりました。

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前年度からの営業利益の増減を要因別にまとめております。

2020年度は、「売価ダウン」による約457億円の収益の減少、「コストダウン・モデルミックス」による約401億円の収益の改善、「販売増減」による約185億円の利益の増加、「経費」の削減による約145億円の利益の増加などがありました。なお、新型コロナウイルスの影響額につきましては、売上高では、2019年度の約1,780億円に対して、2020年度は約1,078億円、営業利益では、2019年度の約360億円に対して、2020年度は約320億円となりました。これは販売影響となりますので、増減分析では差額の40億円を「販売増減」に含めています。

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(セグメント業績)

セグメントの業績は、概ね次のとおりであります。

なお、第3四半期連結会計期間より、組織変更に伴い、従来「スマートライフ」セグメントに含めておりましたCOCOROサービス事業を「8Kエコシステム」セグメントに含めて表示しております。以下の前連結会計年度との比較については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組替えた数値で比較しております。

 

スマートライフ

国内のプラズマクラスター機器が大幅に伸長するとともに、洗濯機や調理家電などの販売も増加しました。さらに、デバイス事業なども増収となり、売上高は879,910百万円(前年度比 103.4%)となりました。利益面では、売上が増加したことに加え、コストダウンや、白物家電の高付加価値化が進んだことなどにより、セグメント利益は71,559百万円(前年度比 179.7%)となりました。

8Kエコシステム

車載向けパネルや複合機は、新型コロナウイルスの影響があり販売が減少したものの、PC・タブレット向けパネルや大型パネルの販売が増加し、完成品のテレビの販売も増加したことから、売上高は1,282,938百万円(前年度比 111.2%)となりました。利益面では、車載向けパネルや複合機の販売が減少した影響があったものの、売上が増加し、コストダウンも進んだことなどから、セグメント利益は17,387百万円(前年度比 131.5%)となりました。

ICT

通信事業やパソコン事業が増収となったことなどから、売上高は358,923百万円(前年度比 100.4%)となりました。利益面では、通信事業でミドルレンジモデルの比率が増加した影響などがあり、セグメント利益は15,421百万円(前年度比 75.0%)となりました。

 

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生産、受注及び販売の実績は以下のとおりです。

 

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

スマートライフ

826,262

+4.4

8Kエコシステム

1,194,393

+5.8

ICT

343,616

+2.4

合計

2,364,272

+4.8

(注)1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 上記の金額には、外注製品仕入高等を含んでおります。

3 組織変更に伴い、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較は、変更後の報告セグメントの区分に基づき作成しております。

 

b.受注実績

当社グループは原則として見込生産を行っております。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

スマートライフ

833,044

+4.7

8Kエコシステム

1,251,089

+10.9

ICT

341,776

+0.9

合計

2,425,910

+7.2

(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 組織変更に伴い、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較は、変更後の報告セグメントの区分に基づき作成しております。

3 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

APPLE INC.

522,254

23.1

534,508

22.0

General Interface Solution Limited

192,674

8.5

264,807

10.9

 

(財政状態)

当連結会計年度末の財政状態は、資産合計が、前連結会計年度末に比べ115,319百万円増の1,927,226百万円となりました。これには、現金及び預金の増加のほか、シャープNECディスプレイソリューションズ㈱などの新規連結、白山工場取得による資産の増加などが含まれています。負債合計は、支払手形及び買掛金が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ22,138百万円増の1,563,087百万円となりました。また、純資産合計は、配当金の支払いを行った一方で、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことにより、前連結会計年度末に比べ93,180百万円増加し、364,139百万円となりました。

 

(たな卸資産)

当連結会計年度末のたな卸資産残高は263,066百万円、月商比で1.30ヶ月分の水準となりました。新型コロナウイルス感染症や半導体の需給環境、米中貿易摩擦の動向、これらに伴うデバイス顧客の需要動向など、事業環境の変化を更に注視し、適正な在庫水準の維持に努めてまいります。

 

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② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a. キャッシュ・フローの状況

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(自 2019年4月1日

  至 2020年3月31日)

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

68,453

204,642

136,189

投資活動によるキャッシュ・フロー

△128,249

△14,114

114,135

財務活動によるキャッシュ・フロー

4,560

△76,724

△81,285

現金及び現金同等物の期末残高

170,323

292,792

122,469

 

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ122,469百万円増加し、当連結会計年度末には292,792百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の収入は、204,642百万円であり、前連結会計年度に比べ136,189百万円増加しました。これは、前連結会計年度に比べて、売上債権の増減額で110,547百万円減少したものの、税金等調整前当期純利益が34,110百万円増加したほか、未収入金、たな卸資産、仕入債務の増減により資金がそれぞれ35,414百万円、109,777百万円、62,835百万円増加したことなどによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の支出は、14,114百万円であり、前連結会計年度に比べ114,135百万円減少しました。これは、前連結会計年度に比べて、有形固定資産の取得による支出が37,787百万円、投資有価証券の取得による支出が27,838百万円、定期預金の預入による支出が11,497百万円それぞれ減少したことに加え、有形固定資産の売却による収入が4,716百万円、定期預金の払戻による収入が12,826百万円それぞれ増加したことなどによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の支出は、76,724百万円であり、前連結会計年度に比べ81,285百万円増加しました。これは主に、前連結会計年度では社債の償還30,000百万円、自己株式の取得97,078百万円、短期借入金の純増157,355百万円、長期借入れの増加1,790百万円等がありましたが、当連結会計年度では短期借入金の純減89,398百万円、長期借入れの増加40,251百万円等があったことによるものです。

 

b. 資本の財源及び資金の流動性についての分析

(財務戦略の基本的な考え方)

当社グループが今後も持続的に成長していくためには、より強固な財務基盤を構築することが不可欠であり、現在、「“量から質へ”の徹底」、「運転資金の圧縮」により営業キャッシュ・フローの最大化を図るとともに、安定した収益が見込める「ブランド事業への投資拡大」、「デバイス事業における外部資金の獲得」など、投資効率の向上に向けた取り組みを加速しています。

このような取り組みを通じて、毎期、安定的にフリー・キャッシュ・フローを創出し、適切な株主還元を行うとともに、有利子負債の削減など、財務体質の改善を進めていきます。また、将来の社債市場への復帰に道筋をつけるなど、安定的な資金調達に向けた取り組みを進めてまいります。

 

(資金のキャッシュ・フロー及び流動性の状況)

2020年度においては、53,263百万円の最終利益を計上するなど、業績が着実に改善したことに加え、財務面を意識した経営が浸透し、在庫削減などによる運転資金の圧縮や、投資の効率化が進んだ結果、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フロー+投資活動によるキャッシュ・フロー)は190,528百万円となりました。手元流動性を確保しつつ、有利子負債の削減等財務体質の改善を図っております。

当面の目標としては、NET DER(純有利子負債/自己資本)は「1倍未満」を、自己資本比率は「25%以上」を、目指してまいります。(当連結会計年度末における純有利子負債は398,901百万円、自己資本は350,348百万円、NET DERは1.1倍、自己資本比率は18.2%)

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(資金調達)

当社グループは、資金の支出効果の見極めを十分行いながら、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉の安定的確保を図る趣旨の下、短期運転資金を自己資金及び短期借入で、設備投資や長期運転資金の調達については長期借入で賄うことを基本原則としております。総資産に対する借入金の割合は当連結会計年度末現在37.6%となっており、このうち当該借入金に対する短期借入金の占める割合は22.5%となりました。

主要な取引先金融機関とは良好な関係を維持しており、流動性確保のため、200,000百万円のコミットメントライン契約を締結しております。

安定的な外部資金の調達は、重要な経営課題と認識しており、社債市場早期復帰を目指し、財務内容の改善、投資適格への格付向上を図ってまいります。

 

格付の状況

(2021年3月31日現在)

格付機関

長期格付

短期格付

S&P Global

BB-

B

格付投資情報センター

BB+

a-3

日本格付研究所

BB+

 

(2) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成にあたり必要となる見積りについては、過去の実績や第三者による評価等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性のため、実際の結果は見積りと異なる場合があります。

当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、連結財務諸表の作成に当たって用いた特に重要な会計上の見積り及び仮定については、下記のとおりであります。

 

① たな卸資産の評価

当社グループは、たな卸資産について正味売却価額が簿価を下回った場合に簿価の切下げを行っております。また、一定期間以上滞留が認められるたな卸資産については、販売の実現可能性が低下しつつあると仮定し、期間の経過に応じ規則的に簿価を切下げる方法で早期に償却を行っております。さらに、販売が困難と認められる場合などには、個別に簿価の切下げも実施しております。

しかしながら、将来の予測不能な環境変化等により、価格下落など当社グループに不利な状況が生じた場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において簿価の切下げが追加的に必要となる可能性があります。

 

② 固定資産の減損

当社は、営業活動から生ずる損益またはキャッシュ・フローが継続してマイナスとなるなど減損の兆候が見られる場合に資産又は資産グループについて減損の判定を行い、使用価値と正味売却価額のいずれか高い方が帳簿価額を下回っていると判断される場合には、その差額を減損損失として認識します。使用価値算定の基礎となる将来の事業計画は、外部情報調査会社による市場価格、需要の見通しなど決算時点で入手可能な情報も考慮して作成しております。また、正味売却価額は、第三者による資産評価など合理的な方法をもって決定しております。

しかしながら、将来、事業計画の前提となった市場環境などに変化があった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において減損損失を追加的に計上する可能性があります。

 

4【経営上の重要な契約等】

(1) ディスプレイデバイス事業に関する新会社設立及び吸収分割契約

当社は、2020年8月5日の取締役会において、当社のディスプレイデバイス事業を、当社の100%子会社として新設する会社(以下、「受皿会社」といいます。)に吸収分割で承継させることにより分社化する旨の決議を行い、2020年8月7日に、受皿会社との間で、吸収分割に関する契約を締結いたしました。

本吸収分割の概要は、次のとおりであります。

① 会社分割の目的

当社は「輝けるグローバルブランド」をめざし、「ブランド企業への転換」を基本方針の一つに掲げ、事業活動を推進しております。その中で、当社のブランド事業を支える先進のディスプレイデバイス事業については、分社化により経営責任の明確化を図るとともに、他社からの出資による外部資金の獲得も視野に入れ、変化の激しい事業環境に迅速に対応できるスピーディな意思決定と継続的な設備・開発投資を実行することにより、競争力の維持とさらなる事業拡大をめざすものであります。

② 会社分割の方法

当社出資の受皿会社として設立する、シャープディスプレイテクノロジー㈱(以下、「SDTC社」といいます。)を承継会社とし、当社を分割会社とする吸収分割方式です。

③ 分割期日(効力発生日)

2020年10月1日

④ 吸収分割に係る株式割当内容及びその算定根拠

本吸収分割に際して、SDTC社から当社への株式の割当、金銭その他の財産の交付はありません。

⑤ 承継会社が承継する権利義務

ディスプレイデバイス事業に属する資産、負債及びこれらに付随する権利義務を、当社とSDTC社との間で締結する吸収分割契約書に定める範囲において承継します。

⑥ 分割する資産、負債の状況(2020年9月30日現在)

資産合計 139,176百万円  負債合計 13,511百万円

⑦ 本吸収分割後の承継会社の概要

名    称    シャープディスプレイテクノロジー㈱

所 在 地    三重県亀山市白木町幸川464番

代 表 者    代表取締役 桶谷 大亥

事業内容    ディスプレイデバイス及び、ディスプレイ技術応用商品の企画・開発・設計・製造・販売

資 本 金    100百万円

 

(2) カメラモジュール事業に関する新会社設立及び吸収分割契約

当社は、2021年2月5日の取締役会において、当社のカメラモジュール事業を、当社の100%子会社として新設する会社(以下、「受皿会社」といいます。)に吸収分割で承継させることにより分社化する旨の決議を行い、2021年2月9日に、受皿会社との間で、吸収分割に関する契約を締結いたしました。

本吸収分割の概要は、次のとおりであります。

① 会社分割の目的

当社は「輝けるグローバルブランド」をめざし、「ブランド企業への転換」を基本方針の一つに掲げ、事業活動を推進しております。その中で、当社のブランド事業を支える先進のカメラモジュール事業については、分社化により経営責任の明確化を図るとともに、他社からの出資による外部資金の獲得も視野に入れ、変化の激しい事業環境に迅速に対応できるスピーディな意思決定と継続的な設備・開発投資を実行することにより、競争力の維持とさらなる事業拡大をめざすものであります。

② 会社分割の方法

当社出資の受皿会社として設立する、シャープセンシングテクノロジー㈱(以下、「SSTC社」といいます。)を承継会社とし、当社を分割会社とする吸収分割方式です。

③ 分割期日(効力発生日)

2021年4月1日

④ 吸収分割に係る株式割当内容及びその算定根拠

本吸収分割に際して、SSTC社から当社への株式の割当、金銭その他の財産の交付はありません。

 

⑤ 承継会社が承継する権利義務

カメラモジュール事業に属する資産、負債及びこれらに付随する権利義務を、当社とSSTC社との間で締結する吸収分割契約書に定める範囲において承継します。

⑥ 分割する資産、負債の状況(2021年3月31日現在)

資産合計 13,307百万円  負債合計 372百万円

⑦ 本吸収分割後の承継会社の概要

名    称    シャープセンシングテクノロジー㈱

所 在 地    奈良県天理市櫟本町2613番地の1

代 表 者    代表取締役 藤田 直哉

事業内容    電子デバイス(カメラモジュール、センサモジュール等)の企画・開発・製造・販売

資 本 金    100百万円

 

(3) その他の契約

相手先

国名

又は

地域

契約内容

㈱みずほ銀行

㈱三菱UFJ銀行

日本

日本

2020年8月、㈱みずほ銀行及び㈱三菱UFJ銀行との間で、コミットメントライン契約を締結(更改)いたしました。借入可能期間を1年延長するものであります。

㈱ジャパンディスプレイ

日本

2020年8月、㈱ジャパンディスプレイとの間で、白山工場の土地、建物及び付帯設備等を取得する契約を締結いたしました。

(注)上記は当社との契約であります。

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、独自技術の開発を経営理念に掲げ、製品はもとより新規デバイスや新材料の開発に至るまで、積極的な研究開発活動を行っております。

 研究開発体制として、基礎・応用研究開発を担う研究開発事業本部、事業本部や関係会社の傘下にある目的別開発センター(開発部門)、具体的な製品設計を担当する事業部技術部を設置するとともに、全社横断的な技術・商品開発を推進するプロジェクト体制で推進しております。また、海外の優秀な人材の活用と海外現地のインフラやニーズに対応した開発を行う目的で、英国、米国、中国他に研究開発拠点を設けております。

 当社が掲げる事業ビジョン「8KとAIoTで世界を変える」のもと、「8K+5G Ecosystem」
「AIoT World」などの実現を目指し、グローバルな開発体制でOne SHARPの密接な連携・協力関係により、独自の技術をもって健康・医療・介護分野等の新規事業展開の加速、ニューノーマル社会を支える革新的なサービス/ソリューションの創出を通じ、新たな時代の社会基盤の構築に積極的に取り組んでおります。

 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は86,793百万円であります。この内、スマートライフに係る研究開発費は20,262百万円、8Kエコシステムに係る研究開発費は39,224百万円、ICTに係る研究開発費は19,699百万円、全社(共通)に係る研究開発費は7,607百万円であります。

 

 なお、セグメントごとの主な研究成果は、次のとおりであります。

 

(1) スマートライフ

 Smart Appliances & Solutions事業においては、AIoT Worldの実現に向け当社が展開しているAIoTクラウドサービス「COCORO KITCHEN」「COCORO AIR」「COCORO WASH」などにより、日々の使い方を学習して使いやすくしたり、新機能を実現した各種新製品として、業界初の「AIパネル」を搭載し、使うほどに人に寄り添って進化するウォーターオーブン<ヘルシオ>、業界初の新方式を採用した「液体洗剤・柔軟剤自動投入」機能や、洗濯物の仕上がりの好みを学習する「AI標準コース」を搭載した<プラズマクラスター洗濯乾燥機>、ペットも飼い主も安心・快適に過ごすための「ペットモード」を搭載した<プラズマクラスターエアコンXシリーズ>を発売。また世界で初めて、当社のプラズマクラスター技術で空気中に浮遊する「新型コロナウィルス」が90%以上減少することを実証しました。

 カメラモジュール事業においては、当社製スマートフォンのフラッグシップモデルである5G対応<AQUOS R6>向けに、業界初となる大型1インチセンサを搭載し、デジタルスチルカメラ相当の高画質撮影が可能な<AFカメラモジュール>を開発しました。

 電子デバイス事業においては、FA用途に適した8.9M、5.1M、3.2M画素のグローバルシャッタータイプの<CMOSイメージセンサ>、AQUOS R6向けに当社製パネルとマッチングしたアンダーディスプレイ対応の<近接照度センサ>を開発しました。

 エネルギーソリューション事業においては、“横置き”に加え“縦置き”にも対応し、屋根の形状に合わせて最適なレイアウトを可能にした<住宅用 単結晶太陽電池モジュール>、クラウド上のAI「COCORO ENERGY」がお客様の生活パターンを学習し、天気予報などの情報も活用しながら、太陽光発電システムが発電した電気を効率よく蓄電池にためるとともに、家中まるごと停電対応を実現した大容量9.5kWhの<住宅用クラウド蓄電池システム>を発売、またNEDO事業の一環として、世界最高水準の高効率な太陽電池モジュール(変換効率31.17%)と同等のセルを活用し、充電回数ゼロを目指した<電気自動車用太陽電池パネル>を開発、エネルギー・環境問題の解決や災害時に備えたシステム構築に努めております。

 

(2) 8Kエコシステム

 ビジネスソリューション事業においては、文部科学省が推進するGIGAスクール構想の標準仕様に準拠し、教室の電源負荷を抑えて効率よく学習用端末の充電と保管ができる<輪番タイマー搭載充電保管庫>、正面・背面両面にタッチパネルを搭載し、セルフ・セミセルフ端末の切り替えが可能、公共・商業施設や飲食店などの受付・注文端末に好適な<タッチターミナル>、オフィスで求められるゲートウェイセキュリティ対策機能を一台に集約し、ネットワークセキュリティを総合的に管理するソリューション<UTM(Unified Threat Management・総合脅威管理)>、独自開発の可視光応答型光触媒を採用し、太陽光や屋内照明でも高い消臭・抗菌・抗ウイルス効果を発揮する<光触媒スプレー>を発売しました。更に、太陽光パネルと蓄電池を搭載し、反射型カラーIGZO液晶ディスプレイによりクリアな表示を実現した<スマートバス停>を製品化、物流倉庫や製造工場などで製品や荷物を無人で搬送する<自動搬送装置AGV(Automated Guided Vehicle)の新開発モデル『TYPE LC』>の受注を開始しました。

 TVシステム事業においては、新開発の「8K Pure Colorパネル」を搭載し、8K画像処理エンジン「Medalist Z1」との組み合わせにより、8K放送がさらに色鮮やかになった<AQUOS 8K>、新開発の4K画像処理エンジン「Medalist S1」を搭載し、高精細・広色域・高コントラストな4K映像を映し出す当社初の<4K有機ELテレビ>と<AQUOS4K>、業界初、8K放送で採用されている音声フォーマット“MPEG-4 AAC”の「22.2ch音声入力」に対応し、臨場感あふれる立体音響を気軽に楽しめるシアターバーシステム<AQUOSオーディオ>を発売しました。

 ディスプレイデバイス事業については、医療機関などで利用される「視野検査装置」向けに<超高輝度OLEDモジュール>を開発・納入し、新たに医療分野への展開を図りました。また、ニューノーマル社会における感染症対策への貢献として、液晶パネル開発で培ったフィルム表面の特殊加工技術(モスアイ技術)を活用し、低反射・防曇によるクリアな視界を実現した<高性能フェイスシールド>を発売、また、窓口やオフィス空間などで、情報表示や映像演出など新たな価値を付加した<透明ディスプレイ パーテーション>を開発しました。

 研究開発事業においては、青果物専用の新配送システムを実現する<12℃適温蓄冷材>、更には、ワクチンなどの医薬品や、血液・検体・細胞などの定温管理下での輸送を実現する<3℃適温蓄冷材>を開発・販売開始し、適温蓄冷材の物流分野への新規参入を図りました。また、複数のバイタル指標群を接触することなく一括測定できる<非接触バイタルセンシングソリューション>、新映像符号化規格であるVersatile Video Coding(VVC)に準拠した<8K対応リアルタイムVVCデコーダー>を世界で初めて開発しました。

加えて、研究開発活動を通じて、当社は通信技術の分野において世界50か国以上で合計6000件以上の通信規格特許を保有、それらのライセンス事業として、ダイムラーとの間でLTEを含む無線通信規格特許のライセンス契約を締結いたしました。

 

(3) ICT

 通信事業においては、医療機関や福祉施設において、タブレット端末により“非接触”で双方向のコミュニケーションなどの応対業務を実現した<遠隔応対ソリューション>、4倍速の高速表示と10億色の表現が可能な有機ELディスプレイを搭載、表示更新とタッチ検出をハイレスポンスモードにより動きの速いゲームもクリアに映し出す5G対応スマートフォン<AQUOS zero5G basic DX>、カメラやFA機器などをローカル5Gのネットワークに接続し、大容量データの高速伝送を実現する<ローカル5G対応ルーター>を発売。また、SA(Stand Alone)方式※1の5Gにより、時速360kmで高速走行中の新幹線試験電車「ALFA-X」と地上間における双方向の8K映像伝送や、災害時の広域監視利用を想定した5Gによる8K高精細映像のリアルタイム伝送など、5Gを活用した各種実証実験を推進。これらで得た知見を活用し、新たな価値の創造および、様々な社会課題の解決に貢献してまいります。更に、幕張および広島事業所内に開設した<SHARP Local 5G Trial Field>を拠点として、業務効率化や地域の課題解決に資するローカル5Gを活用した新たなソリューションの共創を促進してまいります。

 ㈱AIoTクラウドにおいては、「GPSモジュール端末」と「LTE通信サービス」、「端末管理クラウドサービス」を一体化し、業務用車両の位置や運行状況など様々なデータ・情報の測定・記録を可能とするテレマティクスサービス<LINC Biz mobility>の提供を開始。更に、保冷車の荷室や荷物の温湿度の測定・管理が可能なソリューションの提供により、食品衛生法の改正により食品等事業者に義務付けられる「HACCP※2」に沿った、運搬も含めた全工程での衛生管理体制整備に必要なデータの測定・管理を実現しました。

 Dynabook㈱においては、シャープの通信技術とDynabookのIT技術を融合し、GIGAスクール構想の標準仕様に準拠したLTE内蔵の<Dynabook Chromebook C1>、8K映像編集を効率的に行うことを可能にしたノートPC制御による<8K映像編集PCシステム>を発売しました。

 

 ※1 5Gは既存の4Gコアネットワークと5G基地局を連携させたNSA(Non-Stand Alone)方式とコアネットワークも基地局も5G対応したSA(Stand Alone)方式の2通りがあり、現在サービスが開始されている5GはNSA方式。SA方式は、5Gの能力を最大限に引き出すことができるネットワークとして今後の展開が期待されている。

 ※2 Hazard Analysis and Critical Control Point:2021年6月に完全制度化される、食品等事業者が実施すべき食品の衛生管理

基準。