第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

①経営理念・経営信条

当社の創業者 早川徳次の言葉の一つに「他社がまねするような商品をつくれ」があります。この言葉には、次の時代のニーズをいち早くかたちにした“モノづくり”により、社会に貢献し、信頼される企業を目指すという当社グループの経営の考え方が凝縮されています。

当社グループは、1973年に、この創業の精神を「経営理念」「経営信条」として明文化しました。さらに、2016年には、早川創業者の「誠意と創意」の精神を、これからも変わらない当社グループの“原点”として受け継ぎ、オリジナリティ溢れる新たな価値を提供し続けることを世界中のお客様と約束する言葉として、新コーポレート宣言“Be Original.”を制定しました。

当社グループは、今後も引き続き、「経営理念」「経営信条」を体現し続けることで、社会の発展に貢献していきたいと考えています。

 

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②目指す方向性

当社グループは現在、「ESGに重点を置いた経営」の方針のもと、「技術力のさらなる強化」、「グローバルマインドの醸成」、「人を活かす経営」の3つに重点的に取り組むとともに、新規事業の創出を加速しています。

こうした取り組みを通じて、脱炭素社会の実現や医療・介護問題の解決、労働力不足の解消、多様なライフスタイルの実現等、現代社会が直面する様々な社会課題の解決に貢献することで、人や社会に寄り添い、常に新たな価値を提供し続ける「強いブランド企業“SHARP”」の早期確立を目指しています。

 

(2) 経営環境、経営戦略、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

2023年度は、コロナ特需の反動や世界的なインフレ、エネルギーコストの高止まり、地政学問題等の影響により、昨年度に引き続き、全体的に需要が低調に推移する見通しです。なお、カーボンニュートラルやデジタルトランスフォーメーション関連分野等については堅調な需要が見込まれると想定しています。また、半導体不足や原材料価格の高騰、物流コストの上昇等のサプライチェーンの混乱による影響については、足元では緩和傾向にあるものの、今後も不透明な状況が継続すると考えています。

こうした環境下、当社グループは今年度、年間黒字達成に向け「開源節流」、即ち、新商品/新市場/新事業への展開による事業拡大(開源)及びより筋肉質な経営体質の構築(節流)に、全社を挙げて取り組みます。さらに、ブランド事業を主軸とした事業構造の構築に向け、新規事業の具体化加速や“Be a Game Changer”を実現する革新技術、革新デバイスの開発等に取り組みます。

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当社グループは、事業変革のさらなる加速に向け、本年4月1日付で事業推進体制の見直しを行いました。具体的には、注力領域の明確化及び事業間シナジーの最大化を狙いに、事業グループの体制を「スマートライフ&エナジー事業」、「スマートオフィス事業」、「ユニバーサルネットワーク事業」の3つのブランド事業と、「ディスプレイデバイス事業」と「エレクトロニックデバイス事業」の2つのデバイス事業に再編しました。また同時に、技術力の強化を狙いに、全社のイノベーションを支える機能を束ねた「イノベーショングループ」を新設しています。

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加えて、今回、各事業グループ傘下に新規事業を専門に担う組織を設置しました。今後はこれらの組織が中心となり、将来の成長の柱となる事業の早期立ち上げに取り組んでいきます。

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(3) セグメント別重点取り組み

<ブランド事業>

①スマートライフ&エナジー事業グループ

白物家電事業では、新規独自特長商品やソリューションの創出と海外事業の拡大の方針のもと、付加価値商品のシェア拡大や、日本及び米国スマートキッチンの拡大、ASEAN事業の高付加価値化などに取り組みます。

エネルギーソリューション事業では、堅調な再エネ導入需要を追い風に住宅用PV/蓄電池の販売拡大やアジアにおける大型発電案件の獲得などに取り組みます。

これにより、スマートライフ&エナジー事業では、前年に対して増収増益となる見通しです。

②スマートオフィス事業グループ

ビジネスソリューション事業では、ソリューション事業の強化とB2Bディスプレイ事業の収益改善の方針のもと、スマートオフィスの販売拡大やMFP事業のラインアップ拡充、商品力強化、デジタルイメージングソリューション事業のグローバル拡大などに取り組みます。

PC事業では、国内B2B事業の強化とソリューション事業の拡大を図るべく、国内B2B向け新商材の投入やPCマネジメントサービスの拡大に取り組みます。また、海外については、北米、アジア、オセアニア地域に集中した事業展開を推進していきます。

これにより、スマートオフィス事業では、売上高は前年に対して横ばいで推移するものの、利益は改善する見通しです。

③ユニバーサルネットワーク事業グループ

TVシステム事業では、商品力の強化及びサプライチェーン改革による収益性改善の方針のもと、XLEDのグローバル販売拡大や生産工場の競争力強化等に取り組みます。

通信事業では、スマートフォン事業のブランド力強化と非スマートフォン事業の拡大を図るべく、ハイエンド/ミドルエンド端末の構成比向上やルーター等のワイヤレス新商材の販売拡大などに取り組みます。

これにより、ユニバーサルネットワーク事業では、今年度の黒字化を見込んでいます。

 

<デバイス事業>

①ディスプレイデバイス事業グループ

中小型パネル事業では、中型パネル事業の拡大と工場稼働の最大化/最適化の方針のもと、VR向け事業の拡大や車載向けパネルの販売拡大などに取り組みます。

大型パネル事業では、収益性改善を最優先した事業運営の方針のもと、パネル価格を睨んだ生産・販売活動を展開していきます。

これにより、ディスプレイデバイス事業では、赤字が大幅に縮小する見通しです。

 

②エレクトロニックデバイス事業グループ

カメラモジュール事業では、新規事業/新規顧客の開拓の方針のもと、XR市場向けデバイスの販売拡大に取り組むとともに、既存事業の収益構造の改善にも取り組んでいきます。

センサー事業では、新規分野の開拓を加速すべく、バイタルセンシングデバイスの販売拡大等に取り組みます。

しかしながら、エレクトロニックデバイス事業では、前年に対して減収減益を見込んでいます。

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(4) 目標とする経営指標

当社グループは昨年度、早期に業績回復を図るべく、コストダウンに加え、円安対策や不採算事業の構造改革、人員適正化、在庫削減等、様々な収益改善策を講じてきました。今年度も非常に厳しい事業環境が継続する見通しにありますが、2023年度はこうした取り組みを基盤として、全社で開源節流を徹底します。これによりブランド事業、デバイス事業共に大幅な収益改善を図り、年間黒字の達成を目指してまいります。

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2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ全般

当社グループは、当社経営理念に基づき、社会の期待や要請に応え、社会と当社の相互の持続的発展を目指すことをサステナビリティに関する基本的な考え方としており、中長期的な企業価値向上の観点から、「ESGに重点を置いた経営」方針を定め、気候変動や人権の尊重をはじめとする、ESG(環境・社会・ガバナンス)に関わる諸課題への対応に積極的に取り組んでいます。気候変動への対応については、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明するとともに、TCFDのフレームワークに沿って、気候変動に関する情報開示の拡充を図っています。

 

① ガバナンス

「ESGに重点を置いた経営」方針を実行施策レベルに落とし込み、PDCAサイクルでマネジメントしていくため、代表取締役社長を委員長とし、経営幹部、環境・人事・調達などの本社機能部門、事業本部・子会社などで構成する、サステナビリティ委員会において、方針やビジョンの徹底、施策についての審議・推進、社会的課題に関する最新動向の共有などを実施しています。

委員会における経営層によるモニタリング・レビューを通じて、SDGs/ESG分野の取り組みを継続して強化し、当社のESGレーティング・格付の向上を図りながら、持続的成長を支える強固な経営基盤を構築し、サステナブルな社会の実現への貢献を目指しています。

 

サステナビリティ・マネジメント推進体制図(2023年6月現在)

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② 戦略

サステナビリティへの取り組みが事業機会の創出につながる重要な経営課題であるとの認識に立ち、2018年度からは事業を通じて「SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)」達成に向けた貢献を目指すことをサステナブル経営の基本戦略として取り組んでいます。

また、気候変動や資源枯渇など、地球規模の環境問題がさらに深刻さを増す中、当社は、1992年に定めた環境基本理念「誠意と創意をもって『人と地球にやさしい企業』に徹する」のもと、2019年に長期環境ビジョン「SHARP Eco Vision 2050」を策定しています。「気候変動」「資源循環」「安全・安心」の3つの分野で2050年の長期目標を設定し、持続可能な地球環境の実現を目指して取り組んでいます。

2022年度からは「ESGに重点を置いた経営」方針に沿い、カーボンニュートラルへの貢献を重要テーマに位置づけています。長期環境ビジョンの達成に向け、CO2排出量を2035年までに60%削減という中期環境目標を新たに設定し、関連する取り組みを加速しています。また、気候変動に関する不確実な未来に対するレジリエンスを高めるため、「1.5℃シナリオ」「4℃シナリオ」など複数のシナリオを踏まえて、リスクと機会を抽出しています。

 

■当社の事業における気候変動に関するリスクと機会

 

・1.5℃シナリオ

気候変動に対する厳しい対策をとることで、地球の平均気温を産業革命時期比で1.5℃の上昇に抑える

分析結果

先進国、新興国、途上国を問わず多数の国が、より野心的な排出量抑制規制を導入しており、生産方式等が大きな制限を受ける。火力発電など、従来の電力価格が高騰する一方で、再生可能エネルギーは政策的な優遇措置により従来の発電手段よりも価格が下がりはじめる。

気候

変動

関連

ドライバー

温室効果ガス排出量を抑制するためカーボンプライシングなどの政策が導入

再生可能エネルギーの主力電源化

消費者の購買意欲が社会・環境配慮型製品へ変化

サプライチェーンから、温室効果ガス排出量の削減要請

エネルギーコストの増加

各国で製品の省エネ規制などの導入・厳格化が加速

事業

リスク

(移行リスク)

 

温室効果ガス排出量に応じた炭素税の負担が新たに発生

(移行リスク)

 

再生可能エネルギー導入費用の増加

(移行リスク)

 

顧客企業からの温室効果ガス削減要請に対応するため、設備投資・調査費用の増加

(移行リスク)

 

気候変動に配慮する顧客からの環境対応要請によるコストの増加

(移行リスク)

 

従来エネルギーに基づいた生産・運営コストの増大

(移行リスク)

 

基準の達成度合いが低い場合は、販売停止、製品・サービスの売上高が伸長しない、あるいは減少する事態が発生

時間軸

短~長期

短~中期

中~長期

短~中期

短~長期

短~長期

事業機会

(資源の効率)

 

炭素税の節税による税金の出費を抑え、競争優位性の確保

(製品・サービス)

エネルギー源転換を目指す企業向けに、太陽光発電システムの販売拡大

(製品・サービス)

環境配慮型製品の提供による顧客先企業の増加

(市場)

 

顧客要求への迅速な対応による競争優位性の確保

(エネルギー)

 

エネルギー源転換を目指す企業向けに、太陽光発電システムの販売拡大

(レジリエンス)

 

脱炭素社会の構築に貢献する製品(省エネ製品)の販売機会の増加

リスク

機会への主な

対応策

科学的根拠に基づく温室効果ガス削減目標を設定することで、計画的に削減

太陽光発電技術への長期投資継続と、電気自動車など太陽光エネルギー利用シーンの拡大検討

サプライチェーンの上流への温室効果ガス削減要求および支援

組織横断的に温室効果ガス排出量削減体制を強化

カーボンプライシング制度導入による環境設備投資の促進や、自社産の先進発電設備を積極的に購買・利用

各国の環境規制の変化を把握するための専門チームの設置による環境配慮型製品設計の標準化

 

 

・4℃シナリオ

現状を上回る温暖化対策が行われず、地球の平均気温が産業革命時期比で4℃上昇

分析結果

世界の脱炭素への取り組みは、先進国では遅々として進まず、途上国でも進まない。世界で異常気象が頻繁に発生する。世界平均海面水位は1m以上上昇すると想定され、都市インフラや物流システムが環境変化の影響を受け、著しく効率が低下する。

気候変動関連

ドライバー

氷河の溶解などによる水使用量の減少や、洪水が多発

多数の地域で異常気象による熱中症の頻度が高くなり、死亡や疾病が発生

海面水位上昇によるインフラ被害の発生で、ロジスティクスネットワークが不安定化

事業リスク

(物理的リスク)

 

渇水や洪水の発生により、生産工場の稼働停止

(物理的リスク)

 

従業員の健康に影響を及ぼし、生産工場の稼働停止

(物理的リスク)

 

サプライヤーからの部品供給が途絶え、復旧に要する費用や納期遅延による経営コストの増加

時間軸

中~長期

短~中期

中~長期

事業機会

(製品・サービス)

 

節水性能を有する製品の販売機会の増加

(製品・サービス)

 

温暖化の進行による空調設備の需要増加

(レジリエンス)

 

サプライチェーン強靭化による競争優位性の確保

リスク・機会への

主な対応策

生産工場における水リサイクルシステムの導入、および節水性能を有する製品の開発

ビジネスリスクマネジメント規程に基づいた対応の実施

シャープグループ事業継続計画の策定・維持・改善を実施

 

③ リスク管理

当社は、リスクマネジメントを「事業を継続的に発展させステークホルダーの期待に沿うことで社会的責任を果たす重要な活動の一つ」と位置付けています。リスク管理の基本的な考え方として「ビジネスリスクマネジメント規程」を制定し、リスク管理体制構築のもと、経営が特に大きいリスク項目を「特定リスク」として選定・管理しています。ESG関連リスクを含む全ての特定リスクについては、全社を横断的に管理する機能部門と、自らの事業領域における管理を担当する事業本部が連携し、リスクの最小化・適正化や未然防止の取り組みを行っています。

さらに、当社およびグローバルサプライチェーンにおける、社会や環境に与える負荷を低減していくために特に重要と考える取り組みテーマを毎年度特定し、関連管理策を設定の上、経営層によるモニタリング・レビューを行っています。

 

④ 指標及び目標

当社は、長期環境ビジョンで設定した「2050年の自社活動のCO2排出量ネットゼロ」に向け、2035年までに60%削減という中期環境目標を掲げて推進しています。この目標はSBT(Science Based Targets)の1.5℃目標に準拠するとともに、年間4.2%以上のCO2排出量削減を目指しています。

※パリ協定に準拠した科学的根拠に基づいた温室効果ガス排出削減目標。

 

 中期環境目標の進捗状況

基準年

(2021年度実績

2035年度目標

(2021年度比60%削減)

2022年度実績

基準年比

1,350 千t-CO2

540 千t-CO2

1,118 千t-CO2

17%削減

※2022年6月に堺ディスプレイプロダクト(株)を完全子会社化したため、基準となる2021年度に遡って同社の排出量を含め、比較可能性を確保しています。

 

(2) 人的資本

① 人材の育成に関する方針

a. 人材育成の考え方

シャープ行動規範において、「採用や報酬、昇進、研修の機会等の雇用慣行を含むあらゆる企業活動において、差別を禁止」すること、また、「多様な属性をもつ従業員が十分に能力を発揮できる職場環境の整備」および「各種の研修や人材育成制度の積極的活用により、業務推進能力の向上に継続的に努めること」を定めています。

 

b. 人材育成の取り組み

上記の考え方に則り、人材育成においては、企業としての総合力を高めるための取り組みの一環として、各種の育成プログラムを準備し従業員に提供しています。従業員一人ひとりの能力の「質の向上」や「幅の拡大」を狙いとした育成プログラムにより、若手社員から次世代リーダーの育成等の取り組みを行っています。

具体的には、従業員の成長ステージに応じて、それぞれの節目で必要な知識やスキル、マインドを身につけるための各種階層別研修や、将来の会社を牽引する経営人材を育成するための経営幹部育成研修等の各種研修を実施しています。

また、上記の研修に加え、「強い個を育てる」という考え方のもと、ビジネスを行う上での基本的な知識や専門性を学ぶための環境づくりに取り組んでいます。「個々人がいつでも、どこでも、主体的に学ぶ」ことを通じて、事業に精通したプロフェッショナル人材の育成を図っています。例えば、全社員が知っておくべきビジネスの基礎知識やスキルを修得する「管理力向上研修」や、主に若手技術者を対象に技術の基礎を学ぶ「技術セミナー」等、各種のコンテンツを取り揃えています。

これらについては、従業員が自宅のパソコンや自身のスマートフォンを使って、いつでもどこでも簡単に学習ができるeラーニング環境を整えており、自己啓発による従業員の能力向上を積極的にサポートしています。

 

2022年度の目標

2022年度の実績

・次世代の人材育成に向けた教育体系の拡充

・選抜人材育成プログラムの拡充

 経営幹部候補者(若手マネージャー層対象)コースの開講

・自己啓発型社内研修の受講

 シャープグループ 受講者数(延べ) : 5,310人

総学習時間数    : 9,557時間

・新規事業創出マインドを引き出すための

 風土づくり

・新規事業提案活動の実施

  新規事業提案会の開催/スタートアップ研修の開講

 

 

② 社内環境整備に関する方針

a. 安全衛生および健康推進活動

基本理念「シャープグループは、世界中の全ての従業員の安全・安心・健康を守ることが、事業活動に不可欠なものと考え適切な経営資源を投入し、誠意と創意の精神に沿って、安全で働きやすい環境の実現を図ります。」のもと、会社の事業場で働く全ての従業員の安全確保と健康の保持増進を図るとともに、快適な作業環境の形成を促進することを目的として、事業場の労働災害の防止および安全衛生水準の向上に努めています。

具体的には、安全衛生活動の取り組み名称を「安全衛生」ではなく「安全衛生健康」とし、全社的な基本施策を審議決定する「中央安全衛生健康委員会」にて定めた方針や取り組みを各事業場/関係会社に展開しています。これに基づき各事業場/関係会社において、「労働安全衛生マネジメントシステム」の構築・推進や法令遵守を含めた安全・作業ルールと安全意識の徹底による労働災害事故低減、定期健康診断結果に基づく産業医面談や生活習慣病改善・減量に関する保健指導強化、長時間労働の抑制や長時間労働者に対する医師との面接指導等による健康障害防止に取り組んでいます。またメンタルヘルス対策においては、法定ストレスチェックによるメンタルヘルス不調の未然防止や組織ごとの分析結果に基づく職場改善の実施や外部専門機関等によるカウンセリング体制の充実を図っています。

 

2022年度の目標

2022年度の実績

・重大災害の発生ゼロ/労働災害

事故の低減

・シャープグループ(国内)の労働災害事故件数

  重篤な労働災害に繋がる転倒、転落等の事故防止等を徹底し、

  重大災害の発生ゼロ、休業災害も前年度比11.8%減

・過重労働に伴う健康障害の防止

・シャープ(株)従業員の長時間労働対策を強化

  一般社員の平均時間外労働は年間76時間 (前年度比26.9%減)

  長時間労働者に対し、医師面接指導を100%実施

 

b. ワーク・ライフ・バランスの取り組み

ダイバーシティ推進の基盤ともなる「働きがいを生む職場」づくりに向け、従業員のワーク・ライフ・バランス(仕事と家庭生活の調和)を実現できるよう、育児・介護・治療と仕事との両立を支援する制度の拡充や制度利用の促進を行っています。育児支援については、従業員の継続的な育児参加を支援・推奨しており、男女を問わず多くの従業員が育児のための休職や休暇等の制度を利用しています。

また、全従業員が効率的でメリハリのあるワーク・スタイルを確立するため「ノー残業デー」の設定や年次有給休暇の計画的取得推進などの施策を行っています。

 

指 標

2022年度の実績

育児休職/出生時育児休職/配偶者出産時休暇の取得率

シャープ(株) 男性:95%、女性:105%、計:97%

 ※取得率は育児・介護休業法の公表基準に沿って2022年度中に育児休職/出生時育児休職/配偶者出産時休暇の

 いずれかを取得した従業員数を同年度中に子が出生した従業員数で除して算出したものです。

 

3【事業等のリスク】

 当社グループは、電気通信機器・電気機器及び電子応用機器全般並びに電子部品の製造・販売を主な事業内容として活動を行っております。その範囲は電子・電気機械器具のほとんどすべてにわたっており、ユーザーも国内外の一般消費者、事業会社から官公庁に至るまで多岐にわたり、また地域的にもグローバルな事業展開を行っております。従って、当社グループの業績は、多様な変動要因による影響を受ける可能性があります。

 「第2 事業の状況」、「第5 経理の状況」等に関する事項のうち、年間黒字達成に向け、全社で開源節流を徹底するとともに、ブランド事業を主軸とした事業構造の構築に向け、新規事業の具体化加速や“Be a Game Changer”を実現する革新技術、革新デバイスの開発等に取り組むなかで想定され、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある主なリスクと、それに対する対応策は以下のとおりであります。

 なお、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在(ただし、必要に応じて有価証券報告書提出日現在)において、当社グループが判断したものであります。

 

① 世界市場の動向・海外事業について

(リスク)

 当社グループは、日本だけではなく、世界の各地域で事業活動を行っており、日本を含む世界各地域における景気の動向(特に個人消費及び企業による設備投資の動向)、他社との競合、製品の需要動向や原材料の供給状況、価格変動などは、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 足元では、ウクライナ情勢の長期化や世界的なインフレの進行、各国における金融引締めなどから景気が減速し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

 世界市場の動向等の当社グループの事業に関わるリスク・情報は、当社の海外子会社を管掌する事業本部が現地と連携して収集し、必要な事業上の判断を行っています。また、経営幹部に対し定期的に、海外拠点や事業本部の業績報告を行い、最新の状況を分析することによりその都度必要なリスク対応を決定しております。

 

 

② 為替変動の影響について

(リスク)

 当社グループの連結売上高に占める海外売上高の割合は、2022年3月期67.2%、2023年3月期68.6%であります。当社グループは、海外で製造した製品を国内においても販売する等、製造された国以外の国においても当社グループ製品を販売しています。このため、当社グループの業績は為替変動の影響を受ける可能性があります。

(対応策)

 当社グループは、為替予約及び最適地生産の拡充・強化等によるリスクヘッジを行っております。

 

 

③ 特定の事業・製品・顧客に対する依存について

(リスク)

 当社グループのデバイス事業の売上高は当社グループの売上高の半分程度を占めているため、関連製品に対する顧客の需要の減少、製品価格の下落、代替性若しくは競争力のある他社製品の出現又は新規企業の参入による競争の激化等により当社グループの業績は悪影響を受ける可能性があります。

 また、当社グループのデバイス事業の一部の製品については、少数の特定顧客に対する売上依存度が高く、こうした重要な顧客向けの販売は、当社グループ製品の問題だけでなく、当該顧客の製品に係る需要の減少や仕様の変更、当該顧客の営業戦略の変更等を理由として落ち込む可能性があり、そのような場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

 当社グループでは、従来のハードウエア事業の拡大による既存事業分野の維持・拡大に加え、より高付加価値となる新規サービス・ソリューションの立上げによるビジネスモデルの転換推進、グローバル事業拡大の加速、及びB2C・B2B市場の両面展開等により、競争優位を目指してまいります。

 

 

④ 戦略的提携・協業等について

(リスク)

 当社グループはこれまでにも、企業競争力強化と収益性向上及び各事業分野における新技術や新製品の開発強化のため、外部企業との間で戦略的提携・協業を推進してきましたが、かかる戦略的パートナーとの間における戦略上の問題やその他の事業上等の問題の発生及び目標変更等により、提携・協業関係を維持できなくなった場合や、提携・協業関係から十分な成果が得られない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

 当社グループにおいては、戦略的提携・協業の重要性がますます高まっていくものと考えております。これらを成功に導くべく、戦略的提携・協業の実行段階においては、事前に事業戦略上の必要性、収益性や財務的な妥当性等を十分に検証し、経営戦略会議や取締役会での審議のうえで意思決定を行っております。

 また、実行後においても、関係する各事業本部との緊密な連携のもと、提携や協業の進捗をモニタリングし、想定通りの成果が得られないことが見込まれる場合には、早期に経営陣にも報告することにより、それらが当社グループの業績および財政状態に与える影響を最小限に留める対策を講じることができるように取り組んでおります。

 

⑤ 親会社グループとの関係について

(リスク)

 親会社グループ(鴻海精密工業、及びその子会社・関連会社を含みます。)からの出資により、成長投資の実行、親会社グループの技術力・生産性・コスト力を活かした事業シナジーの追求が可能となりましたが、当社グループが親会社グループとの間の事業シナジーを想定通りに実現できる保証はありません。

 親会社グループの戦略に変更が生じた場合や将来的に親会社グループとの間で何らかの競合関係が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。

 当社グループの経営方針、事業展開等の重要事項の意思決定において、親会社グループからの影響を受け、当社グループの独立性・自律性が保たれない可能性があります。

(対応策)

 当社グループは、親会社グループとの間で相互に独立性・自律性を十分に尊重しつつ、緊密な連携を行っており、親会社グループとの事業シナジーを最大限に活かした事業運営に取り組んでおります。当社グループでは、親会社グループとの間で当社グループの業務効率化や売上・利益の拡大等につながるシナジー創出が見込まれる領域を見極め、その領域においては、親会社グループとの連携のもとで、想定されるシナジーを適切に検証しその実現に向けて取り組んでおります。

 親会社グループでは電子機器受託生産サービスを中心とした事業展開を行っており、当社グループの電気通信機器・電気機器及び電子応用機器全般の製造・販売事業においては、「シャープ」等のブランドビジネスを行っていることから、親会社グループ内において当社グループの当該事業に影響を与える競合は生じていないものと考えております。

 当社は、親会社グループとの間で相互に独立性・自律性を十分に尊重しつつ、綿密な連携を保ちながら成長・発展、業績の向上に努めております。親会社グループと綿密に連携して当社業務の効率化や売上・利益の拡大等を図ることは、非支配株主の利益につながるものと認識しております。

 

 

⑥ 調達先との取引について

(リスク)

 当社グループは、多くの取引先から資材の調達やサービスなどの提供を受けておりますが、需要の低迷や価格の大幅な下落等による取引先の業績の悪化、突発的なM&Aの発生、自然災害や事故の発生、また、米中対立やウクライナ情勢などの世界情勢、原材料やエネルギー価格の高騰による影響及びサプライチェーンにおける「紛争鉱物問題」をはじめとする人権・環境問題等や法的規制の影響、さらに、旺盛な需要による半導体の逼迫や一部の部材等において供給業者が限られていること等により、調達先から部材等が十分に供給されないことが考えられます。

 そのような場合には、代替調達先との間で現在の取引条件よりも不利な条件での取引を余儀なくされる可能性があり、また代替する調達先を適時に見いだせない可能性があります。これらにより、当社グループ製品のコスト増加、顧客への納期の遅延等が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

 調達先については、十分な信用調査のうえ取引を行っています。また、サプライチェーンにおけるリスク対応のため、サプライチェーンCSR管理システムを導入し、国内・海外生産拠点のサプライヤーの評価を定期的に実施しており、教育徹底や指導等を継続して行っています。さらに、部材等の安定確保及び調達価格の適正化のため、部材の長期枠取りなどサプライヤーとのパートナーシップを強化するとともに、複数社購買を推進しております。

 

 

 

⑦ 財務状態に及ぼす影響について

(リスク)

 当社グループは、事業資金を銀行等の金融機関からの借入等により調達しており、総資産に対する借入金の割合は、当連結会計年度末では39.9%となっております。当社グループは、借入金等の返済のため、キャッシュ・フローの使途に制限を受け、また、金利水準が上昇した場合に費用の増加を招く可能性があります。既存債務のリファイナンスも含め、必要な資金を必要な時期に適当と考える条件で調達できない等、資金調達が制約されるとともに、資金調達コストが増加する可能性があることから、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。

 当社グループが複数の金融機関との間で締結している借入金に係る契約には財務制限条項が定められているものもあり、今後、当社グループの連結純資産が財務制限条項に定める水準を下回ることとなった場合、又は連結の営業利益及び親会社株主に帰属する当期純利益が一定の水準を下回った際に当社が誠実に協議しなかったような場合、さらには、連結経常利益を一定の水準に保てなかった場合や、当社ないし連結子会社が債務超過となった場合等、借入先金融機関の請求により、当該借入金について期限の利益を喪失する可能性があります。

 こうした当社グループの借入金等への依存及びこれに関連した信用格付けの低下、又は当社グループの財政状態の悪化は、財務状態の強固な競業他社との競争において不利に働く可能性があり、また、借入先又は取引先との契約関係上の問題を生じさせる可能性もあります。

(対応策)

 ㈱みずほ銀行、㈱三菱UFJ銀行は、当社の主たる金融機関であり、必要に応じて両行に対して財政状態の改善策等に関する相談も行っております。また、その他の借入金に係る契約を締結している金融機関とも同様に経営状況につき情報の共有を図っております。必要に応じて都度対応を協議できる体制を構築しており、取引金融機関との良好な関係を保ち、借入金の維持・継続を図っております。

 なお、安定した資金調達のため、当社グループの主要な借入契約である当社のシンジケートローン契約は、2026年4月までの長期借入契約となっており、主力2行との間で借入総額200,000百万円のコミットメントライン契約も締結しております。

(継続企業の前提に関する重要事象等)

 当連結会計年度において、大型液晶パネルの市況悪化などから減損損失220,553百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損失は260,840百万円となり、連結純資産は222,362百万円(前期比△52.6%)まで減少しました。また、当連結会計年度末における一部の連結子会社の債務超過は、当社のシンジケートローン契約において、借入先金融機関が期限の利益の喪失を請求できる事由に該当しました。しかしながら、借入先金融機関からは、当該事由発生に基づく期限の利益喪失の請求は行わない旨、承諾頂いており、従来通り良好な取引関係を継続できる見通しです。

 また、事業面においては、将来の持続的成長に向け、ブランド事業を主軸とした事業構造の構築、新規事業の具体化加速、“Be a Game Changer”を実現する革新技術/デバイスの開発に取り組むことで、2024年3月期からの黒字化を目指しております。

 減損損失は資金流出を伴う損失ではないこともあり、当面の運転資金及び投資資金において、資金繰りに重要な懸念はないと判断しており、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況は存在するものの、重要な不確実性は認められないことから「継続企業の前提に関する注記」には該当しておりません。

 

 

 

⑧ 技術革新について

(リスク)

 当社グループの事業領域における急速な技術の進化、変化への適切な対応は、当社グループの製品・サービスの競争力を向上させる反面、以下の項目等への対応が不十分な場合には、成長性や業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。

・技術の進化や盛衰及びその社会的意義の予測と対応

・研究開発における選択と集中、適切な資源の投下

・新領域に対する技術力強化

・社外と連携した研究開発の加速

 加えて、国際的な安全保障の観点から先端技術の輸出管理を強化する動きがあり、対象となる技術の付加価値が一定以上含まれた製品の輸出制限により、事業に間接的な影響を与える可能性があります。

(対応策)

 当社グループにおける研究や開発は、単なる技術水準の向上に留まらず、社会の急激な変化に伴う課題の解決に向けた技術創出に取り組んでおり、特にデジタルヘルスケア、カーボンニュートラル、インダストリーDX等の成長分野に注力しています。また、必要な技術をいち早く社会実装していくため、これまで構築してきた事業基盤を有効に活用し新たなサービスやソリューションの創出を進めるとともに、積極的な社外連携により技術力の強化・開発加速を進めています。こうした取り組みを通じ、社会変化及び技術革新に伴うリスクを軽減させ、技術進化により持続的に成長し続けるブランド企業を目指してまいります。

 事業活動における輸出入管理での法令順守に加え、世界的なインフラ・防衛・セキュリティ等の社会基盤に係る新興技術の管理強化の動きの中で、研究開発においても各国・地域での法令、規制状況に対応した輸出入管理を推進しております。

 

⑨ 知的財産権について

(リスク)

 当社グループは、独自開発した技術等について、国内外で知的財産権を取得することにより、若しくは他社と契約を締結することにより、その保護に努めております。しかしながら、当社グループの特許出願等に対して権利が付与されない場合や、第三者からの無効請求等により、十分な権利保護が受けられない可能性があります。

 また、当社グループが第三者から知的財産権の侵害を主張され、その解決のために多額の費用を費やす可能性や、その主張が認められた場合に多額の対価の支払いや当該技術の使用差し止めなどの損害が発生する可能性があります。

 さらに、当社グループが保有する知的財産権を第三者が不正に使用する等、当社グループが保有する知的財産権が競争上の優位性をもたらさない、又はその知的財産権を有効に活用できない可能性があります。

 以上のような知的財産権に関する問題が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

 当社グループでは、知的財産権は企業の重要な財産であるとの認識のもと、積極的に知的財産の創出に努めており、知的財産権の出願・権利化の責任部門であるScienBiziP Japan㈱を中心に強い権利の取得に取り組んでいます。

 また、当社グループでは、自社製品発売前に第三者の知的財産権のチェックを徹底して実施することで、知的財産権のクリアランス状況を確認しているとともに、クリアランスプロセスの標準化によるクリアランス確度の向上にも取り組んでおり、第三者の知的財産権を侵害するリスクに対する対策をとっています。

 さらに、当社グループでは、知的財産権を事業戦略・研究開発戦略と連動させながら最大限に活用するとともに、自社の知的財産権を保護し、第三者の知的財産権を尊重する姿勢を堅持しています。不当な権利侵害等に対しては話し合いで解決することを基本としながらも、当社グループの知的財産権を尊重していただけない場合は、裁判所など第三者の判断を仰ぐことも辞さない毅然とした姿勢を貫く方針をとっています。

 

 

⑩ 製造物責任について

(リスク)

 当社グループの製品には、消費者向けのものが多く、また、革新的な技術を利用したものも含まれており、これらの製品に欠陥等が存した場合には製造物責任その他の責任を負う可能性があります。

 予期せぬ事情による大規模なリコールや訴訟の発生が、ブランドイメージの低下や、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

 当社グループでは、製品の安全性確保のため、各国の公的安全基準の遵守にとどまらず、リスクアセスメントの考えと独自の安全基準を組み合わせ安全性向上に取り組んでいます。この独自基準では、想定外の不具合が生じた場合にも安全を確保するため、特に難燃構造や異常動作試験等に関して基準を定めており、より高い安全レベルをめざし、都度改定し、社内関係者への研修も行い、設計部門、品質部門へ安全基準の理解と浸透を図っています。不具合発生時に迅速かつ適切に緊急対応が取れるよう安全確保推進体制を構築しています。万一、製品の欠陥等が発生した場合のメーカー責任を果たすために、製造物責任に基づく賠償に備え保険に加入しております。

 

 

⑪ 有能な人材確保における競争について

(リスク)

 技術及びマネジメント分野における優秀な人材が確保できない場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(対応策)

 技術及びマネジメント分野における優秀な人材の確保のため、以下の施策を行っています。

 事業方針に沿った新たな人材獲得の為に新卒採用を推進しています。また、新規ビジネスを担えるコア人材を確保するためにキャリア採用を推進しています。

 ビジネスを行う上で基本的な知識や専門性について、個々人が主体的に学べる教育・研修制度を設け、事業に精通したプロフェッショナル人材の育成を図っています。

 多様な人材が安心して働ける基盤として、育児・介護・治療と仕事の両立を支援する各種制度を整備する等、従業員のワーク・ライフ・バランスに配慮した取り組みを推進しています。

 

 

⑫ 気候変動の影響について

(リスク)

 温室効果ガス排出規制の強化や炭素税導入に伴うエネルギーコストの増加、温室効果ガス削減施策の強化等により、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。また、気候変動による台風の大型化や降水量の増加がもたらす災害は、当社の生産拠点の稼働停止や部品供給途絶等を引き起こす可能性があります。

(対応策)

 既存の規制や基準の遵守を徹底するとともに、常に法規制動向の把握に努め、政策立案の機会などにも参画しています。また、生産の効率化や省エネルギー化を進めることで、コスト負担の軽減や最小化を図っています。さらに、自然災害などで生産拠点や従業員などが被災した場合に備えて事業継続計画を策定し、定期的な見直しや訓練によって組織の事業継続能力の維持・改善を図っています。

 

 上記リスクのほかにも、多数の販売先との取引リスク、設備投資リスク、法的規制リスク、大規模自然災害リスク等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼすリスクは様々なものが想定され、ここに記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。

 

(リスク管理体制)

 当社グループでは、リスクマネジメントを「事業を継続的に発展させるステークホルダーの期待に沿うことで社会的責任を果たす重要な活動の一つ」と位置付けて取り組んでいます。具体的には、リスクマネジメントの基本的なルールとして「ビジネスリスクマネジメント規程」を制定し、全社的なリスク管理体制を構築したうえで、経営への影響が特に大きいリスクを「特定リスク」として選定・管理しています。

 経営環境・市場の変化に対応するため、すべての特定リスクについて、年度ごとに特定リスクの追加・変更を検討したうえで追加・変更後の特定リスクの評価・得点化・優先ランク付けを見直しています。全社を横断的に管理する機能部門は、自らの事業領域における管理を担当する事業部門と連携し、リスクの最小化・適正化や、未然防止に必要な施策等を実施しています。また、特定リスクが顕在化した場合の対応策として、当該事案が発生した部門からリスクマネジメント事務局である内部統制部および経営幹部へ事案内容を報告し、関係部門と連携して当該事案への対応を行い、必要に応じて全社的な改善策を検討し再発防止に繋げることとしています。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は、次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

(経営成績)

当連結会計年度における世界経済は、コロナ禍からの緩やかな持ち直しが続く一方、ウクライナ情勢などに起因してエネルギー・原材料価格が高騰、これに伴いインフレが進行し、各国で金融引締めが実施されるなか、米国の銀行が破綻するなど金融不安が広がり、先行きは不透明な状況となりました。

また、当社グループの事業環境については、円安となったことや、ディスプレイ市況が悪化したことにより、非常に厳しいものとなりました。

こうした中、当社グループは、「海外事業の強化」、「新規領域(新商品/サービス、新規市場、新規事業)の拡大」、「様々なリスクへの対応力強化」の3つの取り組みを推進しました。

当連結会計年度の業績は、ディスプレイデバイスの売上が減少したものの、スマートライフ、8Kエコシステム、ICT、エレクトロニックデバイスが伸長し、売上高が2,548,117百万円(前年度比102.1%)となりました。営業損益は、エレクトロニックデバイスが増加した一方、その他4セグメントが円安の影響やディスプレイ市況の悪化により大幅に減少し、25,719百万円の営業損失(前年度は84,716百万円の営業利益)となりました。経常損益は、営業損失となったことに加え、営業外損益が持分法による投資損失などの計上により4,768百万円の損失となったことから、30,487百万円の経常損失(前年度は114,964百万円の経常利益)となりました。親会社株主に帰属する当期純損益は、ディスプレイデバイスを中心に220,553百万円の減損損失を計上したことなどから、260,840百万円の親会社株主に帰属する当期純損失(前年度は73,991百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 

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(セグメント業績)

セグメントの業績は、概ね次のとおりであります。

 

<ブランド事業>

①スマートライフ

売上高は468,743百万円(前年度比 105.1%)となりました。白物家電事業は、2022年度下期以降、国内やASEANをはじめ、世界各地で市況悪化の影響を受けましたが、2022年度通期では増収となりました。調理家電が欧米を中心に伸長したほか、洗濯機もドラム式洗濯機などが好調に推移し、伸長しました。一方、エネルギーソリューション事業も海外のEPC事業や国内の住宅向けが伸長し、増収となりました。利益面では、原材料価格が高騰したことや、円安の進展により国内の白物家電事業の収益が落ち込んだことなどから、セグメント利益は28,209百万円(前年度比 58.4%)となりました。

 

②8Kエコシステム

売上高は591,832百万円(前年度比 104.3%)となりました。ビジネスソリューション事業は前年度から10%を超える増収となりました。MFP事業・スマートオフィス事業が、欧州・米州・アジアを中心に大きく伸長したほか、インフォメーションディスプレイも欧米などで売上を伸ばしました。一方、テレビ事業は市況低迷の影響を受け、減収となりました。利益面では、ビジネスソリューション事業は高付加価値化が進み、増益となりましたが、テレビ事業は、減収となったことに加え、一過性の費用が発生したこともあり、減益となりました。この結果、セグメント利益は13,421百万円(前年度比 53.8%)となりました。

 

③ICT

売上高は325,873百万円(前年度比 100.6%)となりました。通信事業は、スマートフォンのラインアップ展開を強化し、ハイエンドモデルの販売が増加したことなどから増収となりました。一方、PC事業は、世界的な需要低迷の影響を受けて減収となりました。利益面では、円安の影響が大きく、セグメント損失は5,530百万円(前年度は4,038百万円のセグメント利益)となりました。しかしながら、欧州での構造改革やプロダクトミックスの改善など、収益改善の取り組みをいち早く進めてきたことから、2022年度下期につきましては、通信事業・PC事業とも黒字となりました。

 

<デバイス事業>

④ディスプレイデバイス

車載向けパネルなどの販売は大きく伸長しましたが、市況の低迷により、スマートフォン向けやPC向けのパネルの販売が減少したことなどから、売上高は759,953百万円(前年度比 88.4%)となりました。利益面では、減収となったことに加え、大型ディスプレイ事業の影響などもあり、セグメント損失は66,482百万円(前年度は20,316百万円のセグメント利益)となりました。

 

⑤エレクトロニックデバイス

顧客の2022年モデル向けのデバイス販売が堅調であったことから売上高は475,589百万円(前年度比 119.8%)となりました。利益面では、販売が増加したことから、セグメント利益は14,799百万円(前年度比 211.8%)となりました。

 

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生産、受注及び販売の実績は以下のとおりです。

 

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

スマートライフ

468,314

+4.6

8Kエコシステム

578,923

+0.9

ICT

299,477

△4.8

ディスプレイデバイス

725,422

△11.9

エレクトロニックデバイス

448,730

+25.9

合計

2,520,868

+0.2

(注)1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 上記の金額には、外注製品仕入高等を含んでおります。

 

b.受注実績

当社グループは原則として見込生産を行っております。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

スマートライフ

468,552

+5.0

8Kエコシステム

585,428

+4.9

ICT

311,351

△1.7

ディスプレイデバイス

736,224

△9.9

エレクトロニックデバイス

446,560

+24.8

合計

2,548,117

+2.1

(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

APPLE INC.

427,824

17.1

509,959

20.0

General Interface Solution Limited

345,123

13.8

315,668

12.4

 

(財政状態)

当連結会計年度末の財政状態については、資産合計は、受取手形、売掛金及び契約資産、棚卸資産の減少及び固定資産の減損などにより、前連結会計年度末に比べ183,327百万円減少の1,772,961百万円となりました。当連結会計年度から堺ディスプレイプロダクト㈱(以下、「SDP」といいます。)を連結の範囲に含めましたが、これに伴い新たに計上された固定資産やのれんが減損の対象となったほか、前連結会計年度末の総資産に含まれていた当社のSDPに対する債権等が連結消去されたため、全体として総資産の減少要因となりました。負債合計は、短期借入金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ63,579百万円増加の1,550,598百万円となりました。また、純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純損失を計上したことなどにより、前連結会計年度末に比べ246,906百万円減少し、222,362百万円となりました。

 

(棚卸資産)

当連結会計年度末の棚卸資産残高は299,307百万円、月商比で1.41ヶ月の水準となりました。今後とも、事業環境の変化を注視し、適正な在庫の管理に努めてまいります。

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② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a. キャッシュ・フローの状況

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

75,157

14,746

△60,411

投資活動によるキャッシュ・フロー

△31,448

△40,967

△9,518

財務活動によるキャッシュ・フロー

△124,291

△18,483

105,807

現金及び現金同等物の期末残高

239,359

206,612

△32,746

 

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ32,746百万円減少し、206,612百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の収入は、14,746百万円であり、前連結会計年度に比べ60,411百万円減少しました。これは、前連結会計年度に比べて、棚卸資産、売上債権及び契約資産の増減により資金がそれぞれ66,820百万円、48,452百万円増加したものの、税金等調整前当期純損益が328,845百万円減少したことなどによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の支出は、40,967百万円であり、前連結会計年度に比べ9,518百万円増加しました。これは、前連結会計年度に比べて、投資有価証券の売却による収入が2,249百万円、事業譲渡による収入が3,647百万円、それぞれ減少したことなどによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の支出は、18,483百万円であり、前連結会計年度に比べ105,807百万円減少しました。これは、当連結会計年度において配当金の支払額が6,112百万円増加した一方で、前連結会計年度に比べて、短期借入金による収入が純額で128,347百万円増加したことなどによるものであります。

 

b. 資本の財源及び資金の流動性についての分析

(財務戦略の基本的な考え方)

当社グループが今後も持続的に成長していくためには、より強固な財務基盤を構築することが不可欠であり、現在、「“量から質へ”の徹底」、「運転資金の圧縮」により営業キャッシュ・フローの最大化を図るとともに、安定した収益が見込める「ブランド事業への投資拡大」、「デバイス事業における外部資金の獲得」など、投資効率の向上に向けた取り組みを加速しています。

このような取り組みを通じて、毎期、安定的にフリー・キャッシュ・フローを創出し、適切な株主還元を行うとともに、有利子負債の削減など、財務体質の改善を進めていきます。また、将来の社債市場への復帰に道筋をつけるなど、安定的な資金調達に向けた取り組みを進めてまいります。

 

(資金のキャッシュ・フロー及び流動性の状況)

2022年度においては、ディスプレイ市況の悪化など厳しい事業環境となり、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フロー+投資活動によるキャッシュ・フロー)は、26,221百万円の支出となりました。今後、在庫管理の適正化等により運転資金の圧縮に努め、手元流動性を確保しつつ、有利子負債の削減等財務体質の改善を図ってまいります。

当面の目標としては、NET DER(純有利子負債/自己資本)「1倍未満」、自己資本比率「25%以上」を目指してまいります。(当連結会計年度末における純有利子負債は489,080百万円、自己資本は208,450百万円、NET DERは2.3倍、自己資本比率は11.8%)

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(資金調達)

当社グループは、資金の支出効果の見極めを十分行いながら、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉の安定的確保を図る趣旨の下、短期運転資金を自己資金及び短期借入で、設備投資や長期運転資金の調達については長期借入で賄うことを基本原則としております。総資産に対する借入金の割合は当連結会計年度末現在39.9%となっており、このうち当該借入金に対する短期借入金の占める割合は23.2%となりました。

主要な取引先金融機関とは良好な関係を維持しており、流動性確保のため、200,000百万円のコミットメントライン契約を締結しております。

安定的な外部資金の調達は、重要な経営課題と認識しており、社債市場早期復帰を目指し、財務内容の改善、投資適格への格付向上を図ってまいります。

 

格付の状況

(提出日現在)

格付機関

長期格付

短期格付

S&P Global

B+

B

格付投資情報センター

BB

日本格付研究所

BB

 

(2) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成にあたり必要となる見積りについては、過去の実績や第三者による評価等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性のため、実際の結果は見積りと異なる場合があります。

当社の連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1) 株式交換による堺ディスプレイプロダクト㈱の完全子会社化

当社は、2022年3月3日、堺ディスプレイプロダクト㈱(以下、「SDP」といいます。)の株主であるWorld Praise Limitedとの間で、当社を株式交換完全親会社、SDPを株式交換完全子会社とする株式交換(以下、「本株式交換」といいます。)により、SDP株式を取得する旨の株式取得契約を締結いたしました。

その後、本件実行に必要となる全ての競争法等の許認可を取得し、2022年5月11日、本株式交換に関する取締役会決議を行い、2022年5月31日、SDPとの間で株式交換契約を締結いたしました。なお、本株式交換は2022年6月27日を効力発生日として、手続きを完了致しました。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

(2) その他の契約

相手先

国名

又は

地域

契約内容

㈱みずほ銀行

㈱三菱UFJ銀行

日本

日本

2022年8月、㈱みずほ銀行及び㈱三菱UFJ銀行との間で、コミットメントライン契約を締結(更改)いたしました。借入可能期間を1年延長するものであります。

(注)上記は当社との契約であります。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、独自技術の開発を経営理念に掲げ、製品はもとより新規デバイスや新材料開発に至るまで、積極的な研究開発活動を行っております。

 研究開発体制としては、基礎・応用研究開発を担う研究開発本部、事業本部や関係会社の傘下にある目的別開発センター(開発部門)、具体的な製品設計を担当する事業部技術部を設置しております。

 全社方針である「ESGに重点を置いた経営」の実践に向けて、One Sharpの密接な連携・協力関係によるデジタルヘルス領域における新たな事業展開の加速や、カーボンニュートラルへの貢献に向けた取り組みの強化、加えて技術革新が進むAIの更なる応用強化により、AIoT家電の進化やIndustry DXソリューションの拡大等、世の中を変える革新的なサービス/ソリューションの創出に取り組んでおります。

 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は78,712百万円であります。この内、スマートライフに係る研究開発費は7,635百万円、8Kエコシステムに係る研究開発費は17,159百万円、ICTに係る研究開発費は17,205百万円、ディスプレイデバイスに係る研究開発費は20,407百万円、エレクトロニックデバイスに係る研究開発費は10,498百万円、全社(共通)に係る研究開発費は5,806百万円であります。

 

 なお、セグメントごとの主な研究成果は、次のとおりであります。

 

(1) スマートライフ

 業界で唯一COセンサを搭載、適切な換気タイミングをお知らせし、快適運転を実現した<プラズマクラスターエアコンXシリーズ>、プラズマクラスターNEXTに加え、除菌効果のあるUV-C(深紫外線)搭載により靴の消臭・除菌を実現する<プラズマクラスターシューズクローゼット>を発売しました。また、世界で初めて、ウイルス減少効果があるプラズマクラスター技術が、新たに喘息症状緩和へと繋がる可能性を確認しました。

 太陽電池分野において、東京都では2025年から新築物件への太陽光パネル設置が義務化される中、都市部や市街地などの屋根スペースが限られた住宅にも効率的に設置しやすい小型モデル<住宅用単結晶太陽電池モジュール>を発売しました。化合物太陽電池開発では、実用サイズの軽量かつフレキシブルな太陽電池モジュールで世界最高の変換効率32.65%を達成、これにより移動体分野における温室効果ガス排出量削減にも貢献してまいります。

 

(2) 8Kエコシステム

 当社はドキュメント事業開始から50周年を迎え、社会の変化や働き方の多様化にも対応し、クラウドとの連携機能を強化した<デジタルフルカラー複合機BPシリーズ>を刷新しました。

 8K+5Gソリューションにおいては、消費電力0Wでの表示保持を実現するカーボンニュートラル時代の新たな電子ポスター42型モノクロ電子ペーパーディスプレイ<ePoster>、テレビの音声が手元でクリアに聞こえるワイヤレススピーカーシステム<AQUOSサウンドパートナー>を発売しました。4Kテレビのフラッグシップモデル<AQUOS XLED>を米国はじめ世界各国で順次展開、また、世界最大クラスの120V型モデルは大画面と高コントラストを活かしデジタルサイネージやパブリックビューイング用途にも適しています。

 

(3) ICT

 スマートフォンでは、ライカカメラ社監修のカメラがさらに進化、集光量やAF速度が大幅に向上し、より本格的な撮影を可能にした5G対応スマートフォンのフラッグシップモデル<AQUOS R7>、5Gの高速通信によるストリーミング再生で、高画質な動画を大画面で快適に視聴できる約10.1インチのタブレット<dtab>を発売しました。

 新規の取り組みとして、当社の先進デバイスである超高解像度ディスプレイや超高速AFカメラモジュール、超小型近接センサを搭載し、約175gの超軽量ボディを実現したスマートフォン接続型<VR(仮想実現)用ヘッドマウントディスプレイ>を開発、現実世界と仮想世界を融合した新しい体験の創出を加速してまいります。

 Dynabook㈱においては、製造業向けに、画像認識AI技術を活用し作業不適合品の検出を行う<AI不適合品検査システム>、PC操作ログの収集、不正な情報持ち出しや人為的ミスによる情報漏洩を抑止する<情報漏洩対策アプライアンス>など新たなソリューションの提供を開始しました。

 通信技術分野では、当社は世界50か国以上で合計6,000件以上の通信規格特許を保有しており、世界シェア5割以上のスマートフォンメーカーと無線通信規格特許のライセンス契約を締結しております。

 

(4) ディスプレイデバイス

 液晶(LCD)技術、有機EL(OLED)技術を軸に、スマートフォン等のモバイル端末から、ノートPC、車載モニター、VR、テレビ向けなど用途多様なディスプレイにおいて、表示性能の向上や省電力化、タッチ機能などの付加価値向上となる基幹技術を開発しています。

 また、反射型ディスプレイや透明ディスプレイ、E Ink社にバックプレーン提供を開始した電子ペーパー<ePoster>など、外光を光源とする省電力ディスプレイの開発により、太陽電池や屋内光発電デバイス<LC-LH>などの光発電デバイスを電源とする駆動も可能となる環境配慮型商品の創出に貢献し、更なるディスプレイ適応アプリケーションの拡大を目指しています。

 将来、液晶や有機ELを置き換えるディスプレイ技術としては、低消費電力、広色域、高輝度と低コストを高次元で両立することを目的とし、発光層に量子ドット材料(QD)を用いた自発光ディスプレイ<nano-LED >の開発を推進しており、フォトリソグラフィーを始めとする液晶工場設備にて、CdフリーQD材料を用いたRGB3色塗分けのパネル試作に成功しました。

 

(5) エレクトロニックデバイス

 カメラモジュール分野においては、一般的なカメラよりもすばやいピント合わせと映像に酔いにくい快適性を実現するポリマーレンズを用いた超高速オートフォーカスカメラモジュール、アイトラッキングなどのセンシング用途に活用可能な、世界最薄を実現した超小型カメラモジュールを開発しております。

 電子デバイス分野では、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)より委託研究の採択を受け、2021年より研究開発を本格化した<Beyond 5G向けIoTソリューション構築プラットフォーム>について、2023年から3年間の研究継続の承認を得ました。産官学による本研究開発を通じて、Beyond 5Gの用途拡大・普及に寄与するとともにBeyond 5G分野における国際競争力の獲得を目指してまいります。

 半導体レーザーについて、EVでは大電流制御が必要であり、大電流制御基板のレーザーダイレクトイメージング検出の光源として青紫レーザー<405nm 1~3W>の開発、モーター及び、電池用の銅材料レーザー加工技術に対応するため、青色レーザー<440nm 5W>の量産を開始しました。更に、高まるレーザー加工の多様なニーズに対応するため、低出力から高出力まで幅広いラインナップの拡充に取り組んでおります。