当第3四半期連結累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。
また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の状況
当第3四半期連結累計期間における世界経済は、英国のEU離脱問題や中国における経済成長の鈍化等、不透明な状況が継続しました。一方、米国では、景気回復基調が継続するものの、大統領選挙以降は、次期政権の景気刺激策への期待感や保護主義に対する警戒感、利上げの決定などにより、景気の先行きに対する見方が大きく変わろうとしています。国内においては、消費税の引き上げ延期が決定されるなど金融・財政政策による景気刺激策が継続されましたが、グローバルなリスクの高まりや急激な為替変動もあり、不透明要因が残る状況で推移しました。
情報通信ネットワークの分野においては、VR(仮想現実)を活用したスマートフォンのアプリケーションに代表されるとおり、様々なモバイル・ブロードバンド・サービスが拡がっています。急速に増加するデータ通信量をはじめ、逼迫するネットワーク環境の課題を解決するために、モバイル通信方式として、LTE(Long Term Evolution)及びLTEを更に拡張したLTE-Advancedの開発とサービス展開が実施されてきました。しかしながらスマートフォンの普及速度の鈍化は、全体としてスマートフォン関連市場の縮減を生み、顧客の投資計画の見直しやリストラの動きとなっています。加えて、足元のスマートフォン関連市場は、一部新興国向けでは活発な動きがあるものの、中国における3CA(3波キャリアアグリゲーション)導入時期の延期などもあり、当社グループを取り巻く市場環境は一段と厳しさを増しています。
一方で、幅広いモバイル・ブロードバンド・サービスのインフラとなることが期待される次世代の通信方式(5G)の標準化及び一部試験商用化の前倒しの動きが顕著になってきました。更には、自動車業界の自動運転開発プロジェクトに代表されるとおり、様々な産業分野でIoT(Internet of Things)を活用した新たな社会イノベーションの投資計画も急速に拡大する動きとなっています。そのために必要なワイヤレス通信技術の開発も新たな事業機会として顕在化してきました。
このような環境のもと、当社グループは、2016年9月に米国のアジマスシステム社を買収するなど、成長市場や新たな事業機会を軸に戦略投資を行い、ソリューションの競争力強化と事業基盤の整備に取り組みました。また、一層の利益体質改善に向けた組織のスリム化と費用削減に全社を挙げて取り組んでおります。
当第3四半期連結累計期間は、計測事業において、光デジタル関連計測器の需要が堅調であったものの、北米・アジアでのスマートフォン開発・製造関連市場における主要プレーヤーの投資抑制の継続により、前年同期比減収減益となりました。なお、外貨建ての営業債権等に対して為替差損(為替予約時価評価等を含む)4億22百万円を金融収益費用に計上しております。
この結果、受注高は636億25百万円(前年同期比9.0%減)、売上収益は622億64百万円(前年同期比13.8%減)、営業利益は16億69百万円(前年同期比67.8%減)、税引前四半期利益は12億14百万円(前年同期比76.2%減)、四半期利益は7億13百万円(前年同期比81.8%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は6億98百万円(前年同期比82.1%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
①計測事業
当事業は、通信事業者、関連機器メーカー、保守工事業者などへ納入する、多機種にわたる通信用及び汎用計測器、測定システム、サービス・アシュアランスの開発、製造、販売を行っています。
当第3四半期連結累計期間は、光デジタル関連計測器の需要が堅調であったものの、モバイル市場において顧客の投資抑制が継続し、全体として前年同期を下回る売上収益となりました。この結果、売上収益は426億46百万円(前年同期比19.1%減)、営業利益は7億47百万円(前年同期比84.3%減)、調整後営業利益は10億38百万円(前年同期比80.1%減)となりました。
(注)調整後営業利益とは、営業利益から一過性の性格を持つ損益項目を排除した恒常的な事業の業績を測る当社独自の利益指標です。
(非監査情報)営業利益から調整後営業利益への調整表
(単位:百万円)
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前第3四半期 |
当第3四半期 |
前年同期比 |
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営業利益 |
4,758 |
747 |
△4,011 |
△84.3% |
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(調整項目) |
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事業構造改善費用 |
467 |
152 |
△314 |
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M&A関連費用 |
- |
138 |
138 |
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調整後営業利益 |
5,226 |
1,038 |
△4,187 |
△80.1% |
②PQA(プロダクツ・クオリティ・アシュアランス)事業
当事業は、高精度かつ高速の各種自動重量選別機、自動電子計量機、異物検出機などの食品・医薬品・化粧品産業向けの生産管理・品質保証システム等の開発、製造、販売を行っています。
当第3四半期連結累計期間は、北米及び国内市場が堅調に推移しました。また、グローバル競争力の強化に向けて、研究開発投資と販売促進活動に積極的に取り組みました。この結果、売上収益は138億60百万円(前年同期比1.4%増)、営業利益は6億32百万円(前年同期比27.2%減)となりました。
③その他の事業
その他の事業は、情報通信事業、デバイス事業、物流、厚生サービス、不動産賃貸等からなっております。
当第3四半期連結累計期間は、情報通信事業の損益が前年同期と比較して改善しました。この結果、売上収益は57億56百万円(前年同期比1.3%減)、営業利益は4億11百万円(前年同期比465.0%増)となりました。
(2) 資産、負債及び資本の状況
当第3四半期連結会計期間末における資産、負債及び資本の状況は次のとおりです。
①資産
資産合計は、1,240億98百万円となり、前期末に比べ5億26百万円減少しました。主にその他の流動資産並びに有形固定資産が減少した一方、のれん及び無形資産並びに現金及び現金同等物が増加しました。
②負債
負債合計は、500億45百万円となり、前期末に比べ12億84百万円増加しました。主にその他の流動負債が増加した一方、流動負債における従業員給付が減少しました。
③資本
資本合計は、740億52百万円となり、前期末に比べ18億10百万円減少しました。これは、主に利益剰余金が配当金の支払いにより減少したことによるものです。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は59.6%(前期末は60.8%)となりました。
なお、有利子負債残高(リース債務を除く)は220億41百万円(前期末は220億24百万円)となり、デット・エクイティ・レシオは0.30(前期末は0.29)となりました。
(注)親会社所有者帰属持分比率:親会社所有者帰属持分/資産合計
デット・エクイティ・レシオ:有利子負債/親会社所有者帰属持分
(3) キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、379億64百万円となり、期首に比べ5億72百万円増加しました。なお、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは、34億64百万円のプラス(前年同期は6億64百万円のマイナス)となりました。
当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果獲得した資金は、純額で63億51百万円(前年同期は65億75百万円の獲得)となりました。これは、減価償却費及び償却費の計上並びに棚卸資産の減少により資金が増加したことが主な要因です。なお、減価償却費及び償却費は30億78百万円(前年同期比1億57百万円増)となりました。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は、純額で28億87百万円(前年同期は72億39百万円の使用)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出が主な要因です。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は、純額で27億22百万円(前年同期は24億48百万円の獲得)となりました。これは、配当金の支払額26億77百万円(前年同期の配当金支払額は32億96百万円)が主な要因です。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において新たに発生した事業上及び財務上の対処すべき課題はありません。
当社グループは、様々なステークホルダーに対する責任と対話を重視し、次に掲げる経営理念・経営ビジョン・経営方針のもと、中長期的な企業価値の向上に向けて必要な施策を展開してまいります。
経営理念
誠と和と意欲をもって、“オリジナル&ハイレベル”な商品とサービスを提供し、安全・安心で豊かなグローバル社会の発展に貢献する
経営ビジョン
衆知を集めたイノベーションで“利益ある持続的成長”を実現する
経営方針
1.衆知を集めた全員経営でハツラツとした組織へ
2.イノベーションで成長ドライバーの獲得
3.グローバル市場でマーケット・リーダーになる
4.良き企業市民として人と地球にやさしい社会づくりに貢献
当社は、事業を遂行するうえで阻害要因となるリスクを適切に管理・対処し、競争優位の源泉に変えていくため、内部統制システムの整備により確立した国内外のグループ会社との連携を更に強化し、リスク・マネジメント・システムを高度化してまいります。
当社グループは、誠実な企業活動を通じてグローバルな社会の要請に対応し、社会的課題解決に貢献してこそ企業価値の向上が実現されると考えており、CSR活動にも積極的に取り組んでおります。製品・サービスを通じた安全・安心な社会づくりへの貢献をCSR活動の第一義に捉え、コンプライアンス、顧客満足(CS)、サプライ・チェーン・マネジメント、地球環境保護、ダイバーシティの尊重(女性や外国籍の人財が活躍できる環境の整備、障がい者雇用の促進等)、人権課題への対応(人権デューデリジェンスの実施等)、労働安全衛生など、様々な領域で企業に求められる役割を果たしてまいります。
当社グループは、2014年に新たに掲げたブランド・ステートメント「envision:ensure」のもと、積極的に事業展開を進めております。これに込めた思いは、「お客様と夢を共有しビジョンを創りあげるとともに、それをイノベーションによりお客様の期待を超える確かなかたちあるものへと創りあげる」というものです。今後も経営資源を最大限に活かして企業価値の向上に努めるとともに、安全・安心で豊かなグローバル社会の実現に貢献していく所存です。
なお、当社は、2013年6月26日の第87期定時株主総会終結の時をもって、「当社株式の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)」を継続しないことといたしました。これは、「2020 VISION」及び中期経営計画の実現、並びにコーポレート・ガバナンスの整備・強化によって企業価値の向上に継続して取り組むこと、加えて、株主の皆様への利益還元を充実させ、株主・投資家の皆様との対話の一層の充実を図ることが、当社が最優先で取り組むべき課題であると判断したためです。これに伴う、株式会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりです。
①基本方針の内容
当社は、公開企業として当社株式の自由な売買を認める以上、特定の者の大規模な買付行為に応じて当社株式の売却を行うか否か、ひいては会社を支配する者の在り方は、最終的には株主の皆様の意思に基づき決定すべきものと考えます。一方で、当社は、企業価値の源泉となり株主共同の利益を構築している経営資源の蓄積を最大限に活かし、当社グループのブランド価値を高めていくためには、中長期的観点からの安定的な経営及び蓄積された経営資源に関する十分な理解が不可欠であると考えています。したがって、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者に、これらに関する十分な理解なくしては、当社の企業価値及び株主共同の利益が毀損されるおそれがあると考えています。
そのため、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切な者による大規模買付行為に対しては、株主の皆様のご判断に資するよう、大規模買付者への情報提供要求など積極的な情報収集と適切な情報開示に努めるとともに、当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上を図るため、必要に応じ、法令及び定款によって許容される限度において、適切な措置を講ずるものとします。
②基本方針の実現のための取組みの概要
当社は、株主の皆様の負託に応えるためには、利益ある持続的な成長により企業価値を向上させることが最重要課題と認識しており、より長期的な視点で企業価値の向上に取り組むために、10年スパンの時間軸で取り組む「2020 VISION」及びそのマイルストーンとなる中期経営計画を策定し、その実現に向けてグループを挙げて取り組んでおります。また、当社は、コーポレート・ガバナンスの強化のため、執行役員制度の導入や複数の独立性のある社外取締役の選任による経営監督機能の強化、報酬委員会・指名委員会の設置による経営の透明性の確保に努めております。さらに、当社は、コーポレート・ガバナンスの一層の強化を図るため、2015年6月25日開催の当社第89期定時株主総会においてご承認いただき、「監査等委員会設置会社」に移行いたしました。
このような企業価値向上を核とした経営を進めることは、当社の企業価値及び株主共同の利益を著しく損なう大規模買付者が現れる危険性を低減する方向に導くものとして、前記①の基本方針に沿うものと考えます。また、当社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
(5) 研究開発活動
当社グループは、安全・安心で豊かなグローバル社会の実現に貢献するため、日本、アメリカ、ヨーロッパに有する開発拠点でグローバルに“オリジナル&ハイレベル”な商品とサービスの研究開発を行っております。
計測事業は、当社、Anritsu Company(米国)、Azimuth Systems, Inc.(米国)、Anritsu Ltd.(英国)、Anritsu A/S(デンマーク)、Anritsu Solutions S.r.l.(イタリア)及びAnritsu Solutions SK, s.r.o.(スロバキア)等において、保有する技術を相互補完することによりシナジー効果を上げるべく協調して開発を進めております。
PQA事業は、アンリツインフィビス株式会社が研究開発を行っております。
国際会計基準(IFRS)の適用に伴い、当社グループでは開発投資の一部について資産化を行い、無形資産に計上しております。無形資産に計上された開発費を含む当第3四半期連結累計期間の研究開発投資の金額は83億56百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。