第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社は、様々なステークホルダーに対する責任と対話を重視し、以下のとおり経営理念・経営ビジョン・経営方針を策定しています。

経営理念

誠と和と意欲をもって、“オリジナル&ハイレベル”な商品とサービスを提供し、安全・安心で豊かなグローバル社会の発展に貢献する

経営ビジョン

衆知を集めたイノベーションで社会のサステナビリティに貢献し、“利益ある持続的成長”を実現する

経営方針

1. 衆知を集めた全員経営でハツラツとした組織へ

2. イノベーションで成長ドライバーの獲得

3. グローバル市場でマーケット・リーダーになる

4. 良き企業市民として人と地球にやさしい社会づくりに貢献

 

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、企業価値の最大化を目指してキャッシュ・フローを重視した経営を展開しております。また、投下資本が生み出した付加価値を評価する当社独自の指標「ACE」を各事業部門の業績評価の指標としております。投下資本の効率性の指標として「ROE」の目標も設定しております。

(注)ACE (Anritsu Capital-cost Evaluation): 税引後営業利益-資本コスト(5%)

なお、2015年6月25日開催の第89期定時株主総会の決議及び同年7月30日開催の取締役会の決議に基づき、2017年度までの4事業年度を対象期間として当社取締役(社外取締役及び監査等委員であるものを除く。)、執行役員及び理事向けに導入した業績連動型株式報酬制度(株式交付信託)においては、「ACE」等の資本効率を示す指標のほか、利益の状況を示す指標、売上高の状況を示す指標等を、役員株式交付規程に定める受益者に対して交付される当社株式の数の算定に用いました。業績連動型株式報酬制度につきましては、2018年6月26日開催の第92期定時株主総会において、株主の皆様よりご承認いただきましたので、その内容の一部を変更し継続することとなりました。

 

(3) 中長期的な経営戦略、経営環境及び対処すべき課題等

今後の見通しにつきましては、世界経済は回復傾向で推移すると思われますが、英国のEU離脱交渉の不確実性や、東アジアや中東における地政学的リスク、米中貿易摩擦による情報通信分野での知的財産紛争リスクなど、先行き不透明感も浮上しています。また、技術革新、市場環境や競争関係の変化、金融情勢や為替動向に常に的確に対応する必要があります。

このような環境の中、当社グループは、中長期経営戦略及び「2020 VISION」のもと、新たな中期経営計画である「GLP2020」(計画期間: 2018~2020年度)をスタートさせました。また、2018年4月に経営ビジョンを新しく見直しし、“持続可能な社会”への貢献を通じて“利益ある持続的成長”を実現することを明確にしました。

① 中長期的な経営戦略

当社グループは、主力の計測事業を軸に、ICT(Information and Communication Technology)サービスに関わるビジネスを展開しております。ICT分野における成長ドライバーは、「世界的なモバイル・ブロードバンド・サービスとIoT(Internet of Things)による新たな社会価値の創造」です。モバイル・ブロードバンド・サービスの拡大は、モバイル通信方式の2G、3G、4G、5Gとして進化してきました。それらの通信方式の進化は、計測市場の上昇、ピーク、下降の変動サイクルの波に見舞われた歴史でもありました。経営ビジョンに掲げる“利益ある持続的成長”が意味するものは、このような市場変動の波に耐え、次代の技術革新を獲得する先行投資を可能にするための強固な経営体質を構築することです。

「2020 VISION」は、その経営の基本方針に沿って2020年を目途とする時間軸として取り組んできたものであります。

「2020 VISION」及び「2020 VISION」のもと各事業部門が掲げるビジョンは、次のとおりです。

2020 VISION

1. アンリツらしい価値を創造し、ワールドクラスの強靭な利益体質を持つグローバルマーケットリーダーになる

2. 新しい分野でアンリツの先進性を発揮して事業創発をする

計測事業 : 5G/IoT社会を支えるリーディングカンパニーになる

PQA事業  : ワールドクラスの品質保証ソリューションパートナーになる

 

② 中期経営計画

当社は、このたび2018年度を初年度とする3ヶ年の中期経営計画「GLP2020」を策定いたしました。「GLP2020」が目指すものは、「収益力を回復する」ことと、「GLP2017」からの継続課題の「“利益ある持続的成長”のための経営基盤を確立する」ことです。その経営目標を確実に遂行するために、(1)成長ドライバーの確実な獲得、(2)強靭な利益体質の構築、(3)次世代の事業の柱づくり、に全力で取り組みます。なお、初年度にあたる2018年度の経営方針として、「新経営ビジョンとサステナビリティ方針のもと、アンリツグループの企業価値の向上に取り組もう」を掲げています。

「GLP2020」の主な経営数値目標は、下表のとおりです。株主資本コスト7%を上回るリターンを生み出す成長投資(含むM&A)と資本効率の改善で、企業価値KPI(ACE及びROE)の向上を目指します。

 

2017年3月期

(実績)

2018年3月期

(実績)

2019年3月期

(業績見通し)

2021年3月期

(GLP目標)

売上収益(億円)

876

859

920

1,050

営業利益(億円)

42

49

66

145

当期利益(億円)

27

28

50

110

計測

事業

売上収益(億円)

593

544

600

700

営業利益(億円)

21

18

35

100

PQA

事業

売上収益(億円)

195

225

235

260

営業利益(億円)

13

19

20

30

ACE(億円)

△15

△16

1

50

ROE(%)

3.5

3.7

7

12

③ 事業部門別の具体的施策

計測事業では、モバイル市場において、5Gに関する標準・規格の進化とオペレータの商用化計画に的確に対応した最適なソリューションをタイムリーに市場投入することで、5G開発市場でリーディングカンパニーの地位を確実なものにします。同時に、LTE-Advanced/ Pro(Gigabit LTE)向けのソリューションは、コスト競争力も含めた一層の差別化策を実施し、収益基盤を確固たるものとします。一方、新たな成長分野として期待する5G/IoTを活用した産業分野での成長機会は、当面はオートモティブ市場での事業拡大を軸に、5Gの高信頼性や低遅延などの特徴を活かした用途での普及が期待される2021年以降をにらみ、M&A施策を含む事業創発活動を強化してまいります。ネットワーク・インフラ市場では、爆発的に増加するデータ・トラフィックやデータセンター需要で牽引される超高速大容量化のための技術革新を確実に取り込み、ネットワーク再構築のための需要を獲得します。

PQA事業の成長ドライバーは、「食品・医薬品市場における品質保証ニーズの拡大」です。その背景には、供給サイド、需要サイド双方でのニーズの変化があります。供給サイドは、異物検査や重量選別に加えて、包装された商品の品質管理の厳格化です。また、生産効率化や人手不足対策を目的とする生産ラインの自動化投資が拡大しています。需要サイドは、食の安全・安心意識の高まりに加えて、個装された調理済み食品(中食)の普及拡大などがあります。PQA事業は、このような市場要求に応えるソリューションで差別化を図るとともに、世界大手食品メーカーとの信頼関係構築に努めて事業拡大を図ってきました。PQA事業が高い成長率を維持し続けるためには、日本市場での競争優位を維持しつつ、海外市場でのプレゼンスを拡大する必要があります。「GLP2020」計画期間は、グローバル市場攻略に向けた経営資源の拡充整備に取り組み、海外売上比率50%以上を可能とする経営体制の構築に取り組みます。

④ コーポレートガバナンスの充実、サステナビリティ推進活動、ダイバーシティ推進等

当社は、経営環境の変化に柔軟かつスピーディに対応し、グローバル企業としての競争力を高め、継続的に企業価値を向上させていくことを経営の最重要課題としております。その目標を実現するために、コーポレートガバナンスが有効に機能する仕組みを構築することに努めております。執行役員制度導入による意思決定と業務執行の分離の促進、「監査等委員会設置会社」への移行、独立社外取締役が委員長を務める指名委員会・報酬委員会・独立委員会の設置、取締役会の実効性評価の実施などにより、取締役会の監査・監督機能を強化し、コーポレートガバナンス体制を一層充実させることで、グローバルな視点でより透明性の高い経営の実現を目指してまいります。

当社グループは、誠実な企業活動を通じてグローバルな社会の要請に対応し、社会的課題解決に貢献してこそ企業価値の向上が実現されると考えており、従来のCSR達成像を発展させ、「サステナビリティ方針」を新たに制定しました国際社会のサステナビリティ課題は、2015年9月、国連総会において全会一致で「持続可能な開発目標(SDGs)」として定められました。当社グループは、「サステナビリティ方針」に掲げる「安全・安心で快適な社会構築への貢献」、「グローバル経済社会との調和の実践」、「地球環境保護への貢献」、「すべてのステークホルダーとの強固なパートナーシップの構築」を目標に据え、「誠と和と意欲」をもってグローバル社会のサステナビリティ及び世界共通目標SDGsに貢献することを通じて、企業価値の向上を目指してまいります。

 

従業員の採用においては、外国籍人財や女性の積極採用を進めており、また仕事と育児等の両立支援については、出産の前後や育児における休暇・休業・職場復帰制度、時短勤務制度等の諸制度を設けるなど、職場環境の整備に積極的に取り組んでいます。諸制度の利用を希望する者が、性の別を問わず、共に安心して仕事と育児等の両立が図れるように、ダイバーシティ推進を総合的に所管する部門が中心となって、すべての従業員に対し、関連する情報の提供・周知、意識啓発等を行い、理解促進に努めてまいります。また、当社は、働き方の変革・ライフワークバランスの推進に向け、長時間労働の削減にも努めており、これは従業員の健康を守るとともに、育児、介護等を行いやすくすること、ひいては生産性の向上にもつながるものと考えております。

なお、当連結会計年度末時点におけるグローバルにみた女性の活躍状況は以下のとおりです。

 

日本

米州

EMEA

アジア他

全社計

全社員に占める女性社員の比率

<女性社員数/全社員数>

14%

31%

19%

27%

19%

男性の幹部職登用率を100とした女性の幹部職登用率
(女性幹部職数/女性社員数)/(男性幹部職数/男性社員数)

6%

66%

118%

73%

47%

(注)EMEA(Europe, Middle East and Africa): 欧州・中近東・アフリカ地域

当社グループは、120年企業の証とも言える「先進と信頼の企業ブランド」を、ブランド・ステートメント「envision:ensure」に込め発信しています。その思いは、「お客様と夢を共有しビジョンを創りあげるとともに、それをイノベーションによりお客様の期待を超える確かなかたちあるものへと創りあげる」というものであり、お客様のビジョン実現を通じ社会のサステナビリティに貢献したいという姿勢を示しています。今後とも経営資源を最大限に活かして安全・安心で豊かなグローバル社会の発展に貢献し、企業価値の向上に努めてまいります。

 

(4) 株式会社の支配に関する基本方針について

当社は、2013年6月26日の第87期定時株主総会終結の時をもって、「当社株式の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)」を継続しないことといたしました。これは、「2020 VISION」及び中期経営計画の実現、並びにコーポレート・ガバナンスの整備・強化によって企業価値の向上に継続して取り組むこと、加えて、株主の皆様への利益還元を充実させ、株主・投資家の皆様との対話の一層の充実を図ることが、当社が最優先で取り組むべき課題であると判断したためです。これに伴う、株式会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりです。

① 基本方針の内容

当社は、公開企業として当社株式の自由な売買を認める以上、特定の者の大規模な買付行為に応じて当社株式の売却を行うか否か、ひいては会社を支配する者の在り方は、最終的には株主の皆様の意思に基づき決定すべきものと考えます。一方で、当社は、企業価値の源泉となり株主共同の利益を構築している経営資源の蓄積を最大限に活かし、当社グループのブランド価値を高めていくためには、中長期的観点からの安定的な経営及び蓄積された経営資源に関する十分な理解が不可欠であると考えています。したがって、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者に、これらに関する十分な理解なくしては、当社の企業価値及び株主共同の利益が毀損されるおそれがあると考えています。

そのため、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切な者による大規模買付行為に対しては、株主の皆様のご判断に資するよう、大規模買付者への情報提供要求など積極的な情報収集と適切な情報開示に努めるとともに、当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上を図るため、必要に応じ、法令及び定款によって許容される限度において、適切な措置を講ずるものとします。

② 基本方針の実現のための取組みの概要

当社は、株主の皆様の負託に応えるためには、利益ある持続的な成長により企業価値を向上させることが最重要課題と認識しており、より長期的な視点で企業価値の向上に取り組むために、10年スパンの時間軸で取り組む「2020 VISION」及びそのマイルストーンとなる中期経営計画を策定し、その実現に向けてグループを挙げて取り組んでおります。また、当社は、コーポレート・ガバナンスの強化のため、執行役員制度の導入や複数の独立性のある社外取締役の選任による経営監督機能の強化、報酬委員会・指名委員会の設置による経営の透明性の確保に努めております。さらに、当社は、これらの取組みを進化させることを目的として、「監査等委員会設置会社」に移行するなど、コーポレート・ガバナンスの一層の強化に努めております。

このような企業価値向上を核とした経営を進めることは、当社の企業価値及び株主共同の利益を著しく損なう大規模買付者が現れる危険性を低減する方向に導くものとして、前記①の基本方針に沿うものと考えます。また、当社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。

 

当社は、これらの活動を通じて、「2020 VISION」及び「GLP2020」に掲げる目標達成を目指すとともに、継続して企業価値の向上に取り組んでまいります。

 

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 当社グループの技術・マーケティング戦略に関するリスク

当社グループは高い技術力により開発された最先端の製品とサービスをいち早く提供することで顧客価値の向上に努めております。しかし、当社グループの主要市場である情報通信市場は技術革新のスピードが速いため、当社グループが顧客価値を向上させるソリューションをタイムリーに提供できない事態や、顧客のニーズやウォンツを十分にサポートできない事態が生じた場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります。

(2) 市場の変動に関するリスク

経済や市場状況の変化、技術革新などの外的な要因は、当社グループが展開する製品群の収益に影響を及ぼし、グループの財政状態及び経営成績に大きな変動をもたらす可能性があります。

計測事業は、通信市場向けの売上比率が高いため、通信事業者や通信装置メーカー、関連電子部品メーカーの設備投資動向に業績が左右される可能性があります。通信事業者は、設備投資を抑制しながらデータ・トラフィック急増を支える新技術の導入を進める一方で、サービス開発効率を上げるため、ネットワークの共同利用やオープン化を進めています。さらに、当社グループの収益の柱であるモバイル計測分野の業績は、携帯電話サービスの技術革新や普及率、加入者数及び携帯端末の買い替え率の変化に影響されます。加えて、携帯電話ソフトウェアのプラットフォーム化などにみられる開発手法の変化や端末製造用の計測器で激化する価格競争への対応などによっても業績は影響を受けます。

PQA事業は、食品産業向けの売上収益が8割以上を占めており、経済成長や消費支出水準及び原材料の価格動向が食品メーカーの経営成績や設備投資等に及ぼす影響にその業績が左右される可能性があります。

(3) 海外展開に関するリスク

当社グループはグローバル・マーケティングを展開しており、米国、欧州、アジアなど世界各国で顧客密着力の向上を目指した積極的なビジネスを行っています。なかでも計測・PQA事業等を合わせた海外売上比率は当連結会計年度実績で65%を占めており、顧客の多くもグローバル規模で事業を展開しているため、海外諸国の経済動向、国際情勢の変化、遵守すべき法令対応や当社グループのグローバル戦略の進捗によって、財政状態及び経営成績に大きな影響をもたらす可能性があります。また、通信業界では合従連衡や事業再編がグローバル規模で行われ、勢力図が変化しております。その結果、主要顧客の設備投資動向が大きく変化した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります。

(4) 外国為替変動に関するリスク

当社グループの海外売上比率は当連結会計年度実績で65%と高い比率となっています。当社では売掛金の回収などで発生する外貨取引への為替先物予約等によりリスク・ヘッジに努めておりますが、急激な為替変動は当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります

(5) 在庫陳腐化のリスク

当社グループは顧客のニーズやウォンツをきめ細かく捉え、製品やサービスを市場に提供するよう努めております。しかし、特に計測事業における製品群は技術革新が極めて速いため、製品及び部品の陳腐化が起こりやすく、在庫の長期化・不良化を招くことで当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります

(6) 繰延税金資産に関するリスク

当社グループは、税効果会計を適用し、繰延税金資産を計上しています。繰延税金資産の計算は、将来の課税所得に関する見積りを含めた予測等に基づいており、実際の結果が予測と異なる可能性があります。将来の課税所得の見積りに基づく税金負担の軽減効果が得られないと判断された場合、当該繰延税金資産は取り崩され、当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります

(7) 確定給付制度債務に関するリスク

当社及び一部の子会社の従業員を対象とした確定給付年金制度から生じる退職給付費用及び債務は、割引率等の数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されておりますが、確定給付制度債務の見込額を算出する基礎となる割引率等の数理計算上の仮定に変動が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります。

(8) 自然災害等の突発的事象発生のリスク

当社グループはグローバルに生産・販売活動を展開しているため、大規模な地震等の自然災害、火災、戦争、テロ及び暴動等が発生した場合には、当社グループや仕入先、顧客の主要設備への被害等により事業活動に支障が生じ、また、これらの災害等が政治不安又は経済不安を引き起こすことにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

1) 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、先進国を中心に景気は緩やかな拡大が継続し、国内においても企業収益及び雇用情勢の改善が続くなど、回復基調で推移したものの、英国のEU離脱交渉の不確実性や東アジア情勢などの緊迫化等、グローバルなリスクに対する懸念も継続しています。

情報通信分野においては、スマートフォンの普及拡大が頭打ち傾向になるとともに、スマートフォン製造市場は継続して縮小しています。一方、モバイル・ブロードバンド・サービスは質量ともに拡がりを見せ、データ通信量は急速に増加して、ネットワーク・インフラを逼迫させつつあります。それらの課題を解決するために、モバイル通信方式4Gは、LTE(Long Term Evolution)及びLTE-AdvancedそしてLTEAdvancedPro(Gigabit LTE)と進化してきました。それらの開発投資は今後とも継続が期待されるものの、投資規模としては抑制気味に推移しています。一方で、次世代の通信方式5Gの仕様策定が前倒しで進行しています。その結果、4Gと5Gの端境期にあるモバイル計測市場の縮小傾向は更に強まりました。このような環境のもと、計測事業グループは、既存のモバイル・ビジネスを再構築するための経営構造改革に挑戦するとともに、次の成長ドライバーである5G/IoT(Internet of Things)ビジネスを獲得するための開発投資と組織体制の整備に取り組みました。

PQA事業の分野においては、加工食品生産ラインの自動化投資が進むとともに、X線を用いた異物検査需要の拡大に加えて、異物検出に留まらない品質保証ニーズが高まっています。このような環境のもと、PQA事業グループは、X線を軸としたソリューションの競争力強化と海外の販売体制の整備拡充に取り組み、事業を拡大させました。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

受注高は885億42百万円(前年同期比0.4%減)、売上収益は859億67百万円(同1.9%減)、営業利益は49億12百万円(同16.0%増)、税引前利益は46億2百万円(同26.8%増)、当期利益は28億98百万円(同6.0%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は28億80百万円(同6.8%増)となりました。なお、米国税制改正に伴い、米国子会社において一時的な法人所得税費用が約3億円発生しています。

当連結会計年度末の資産合計は、1,211億90百万円となり、前連結会計年度末に比べ38億63百万円減少しました。

当連結会計年度末の負債合計は、428億76百万円となり、前連結会計年度末に比べ56億92百万円減少しました。

当連結会計年度末の資本合計は、783億13百万円となり、前連結会計年度末に比べ18億28百万円増加しました。

 

各セグメント別の経営成績は以下のとおりです。なお、各セグメント別の売上収益は外部顧客に対する売上収益を記載しています。

① 計測事業

当事業は、通信事業者、関連機器メーカー、保守工事業者などへ納入する、多機種にわたる通信用及び汎用計測器、測定システム、サービス・アシュアランスの開発、製造、販売を行っています。

当連結会計年度は、光デジタル関連計測器の需要は堅調であったものの、モバイル計測市場は、LTEと5Gの端境期であり、顧客の投資姿勢に一段と厳しさが見られます。なお、LTE-Advanced Pro(Gigabit LTE)関連のR&D市場では、CA(Carrier Aggregation)の高度化に向けた研究開発投資にシフトする傾向にあります。

この結果、売上収益は544億33百万円(前年同期比8.3%減)、営業利益は18億25百万円(同14.3%減)、調整後営業利益は21億92百万円(同12.5%減)となりました。

 

(注)調整後営業利益とは、営業利益から一過性の性格を持つ損益項目を排除した恒常的な事業の業績を測る当社独自の利益指標です。

(非監査情報)営業利益から調整後営業利益への調整表

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

前年同期比

営業利益

2,130

1,825

△304

△14.3%

(調整項目)

 

 

 

 

事業構造改善費用

235

366

130

 

M&A関連費用

139

△139

 

調整後営業利益

2,504

2,192

△312

△12.5%

 

② PQA事業

当事業は、高精度かつ高速の各種自動重量選別機、自動電子計量機、異物検出機などの食品・医薬品・化粧品産業向けの生産管理・品質保証システム等の開発、製造、販売を行っています。

当連結会計年度は、食品・医薬品に対する安全・安心志向の高まりや、人手不足を背景とした検査工程を自動化する動きが加速しており、国内・海外市場ともにX線を応用した自動検査機の需要が拡大しました。

この結果、売上収益は225億49百万円(前年同期比15.1%増)、営業利益は19億69百万円(同51.2%増)となりました。

 

③ その他の事業

その他の事業は、情報通信事業、デバイス事業、物流、厚生サービス、不動産賃貸等からなっております。

当連結会計年度は、デバイス事業及び情報通信事業の損益が、前年同期と比較して改善しました。

この結果、売上収益は89億84百万円(前年同期比3.1%増)、営業利益は13億2百万円(同31.3%増)となりました。

 

2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、354億52百万円となり、前連結会計年度末に比べ42億29百万円減少しました。

なお、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは、40億14百万円のプラス(前年同期は55億81百万円のプラス)となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

① 営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動の結果獲得した資金は、純額で79億46百万円(前年同期は92億46百万円の獲得)となりました。これは、税引前利益並びに減価償却費及び償却費の計上により資金が増加した一方、棚卸資産の増加により資金が減少したことが主な要因です。

なお、減価償却費及び償却費は42億85百万円(前年同期比87百万円増)となりました。

② 投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動の結果使用した資金は、純額で39億32百万円(前年同期は36億65百万円の使用)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出が主な要因です。

③ 財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動の結果使用した資金は、純額で82億1百万円(前年同期は27億58百万円の使用)となりました。これは、普通社債60億円の償還及び配当金の支払額20億59百万円(前年同期の配当金支払額は26億77百万円)が主な要因です。

 

3) 生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2017年4月1日

至 2018年3月31日)

前年同期比(%)

計測(百万円)

54,094

94.1

PQA (百万円)

22,870

117.4

報告セグメント計(百万円)

76,964

100.0

その他(百万円)

8,950

103.2

合計(百万円)

85,915

100.3

(注1)金額は販売価格によっております。

(注2)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

② 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

計測

56,639

95.3

15,931

120.5

PQA

22,756

110.4

4,270

104.3

報告セグメント計

79,395

99.2

20,202

116.7

その他

9,147

103.1

928

102.7

合計

88,542

99.6

21,130

116.0

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2017年4月1日

至 2018年3月31日)

前年同期比(%)

計測(百万円)

54,433

91.7

PQA (百万円)

22,549

115.1

報告セグメント計(百万円)

76,982

97.5

その他(百万円)

8,984

103.1

合計(百万円)

85,967

98.1

(注1)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(注2)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、実際の結果は、将来に関する事項の記述とは異なる可能性があります。その主な要因については、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しておりますが、それらに限定されるものではありません。

 

1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準(IFRS)に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、予想される将来のキャッシュ・フローや、経営者の定めた会計方針に従って財務諸表に報告される数値に影響を与える項目について、経営者が見積りを行うことが要求されます。これらの見積りは過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、結果として、これらの見積りと実際の結果が異なる場合があります。

 

2) 経営成績

当社グループは、計測事業、PQA事業の2つを報告セグメントとしています。

① 計測事業

当社グループの売上収益の63%を占める計測事業は、「モバイル市場」「ネットワーク・インフラ市場」「エレクトロニクス市場」向けの3つのサブセグメントに区分しております。

a. モバイル市場

モバイル市場には、携帯電話サービスを行う通信事業者の端末受入検査用途向け計測器や、スマートフォン等の携帯電話端末やICチップセット、その他関連電子部品メーカーでの設計、生産、機能・性能検証、保守用途向けの計測器等を含めております。

当市場の需要は、携帯電話サービスの技術革新や普及率、加入者数の推移のほか、端末/チップセット・メーカーの新規参入または撤退、端末やチップセットのモデルチェンジや出荷数などに影響される傾向があります。

現在、世界各国でLTE方式による多様なモバイル・ブロードバンド・サービスが展開されていますが、業界をリードする端末/チップセット・メーカーや通信事業者はサービスの更なる高度化・高品質化を目指し、引き続きLTE-Advanced Proの開発とサービス展開を進めています。しかしながらスマートフォンの総出荷台数の伸び率鈍化により端末関連市場では投資抑制が継続しています。これらの市場変化を背景に、端末開発関連市場ではLTE-Advanced Proへの投資のシフトが見られる一方、端末製造市場では端末メーカーの投資抑制に伴い端末製造用計測器の競争が激化しています。

また、幅広いモバイル・ブロードバンド・サービスのインフラとなることが期待される次世代の通信方式(5G)では、標準仕様策定の進展に伴い商用化へ向けた開発案件が具体化し、5G計測需要が顕在化してきました。加えて、通信事業者主導のIoT分野や自動車業界での自動運転・車載通信分野では、新たなサービスの実現に向けたモバイル通信技術の開発も事業機会として顕在化しています。

当社は、引き続き競争力のある最先端計測ソリューションを開発・投入するとともに、開発ポートフォリオ・マネジメントを的確に遂行することで、収益基盤を強化してまいります。

b. ネットワーク・インフラ市場

ネットワーク・インフラ市場には、有線・無線通信事業者のネットワーク建設、保守、監視及びサービス品質保証用途向けのソリューションや、通信装置メーカーの設計、生産、試験及び調整用途向けソリューション等を含めております。

当市場においては、クラウドサービスの高度化やモバイル・ブロードバンド・サービスの普及によりデータ・トラフィックが急増しているため、ネットワークの更なる高速化を進める通信事業者や装置メーカーは100Gbpsサービスの商用化、400Gbpsネットワーク装置の研究開発に注力しています。また、モバイル端末からの接続性を向上させるため、有線・無線通信技術を統合活用することにより基地局ネットワークを効率的に高密度化することが進められています。これらの市場動向の変化に伴い、有線・無線技術を最適化した計測ソリューションの需要が本格化しています。更に、クラウドサービスを支えるデータセンターの増加などを背景に、高速データ通信装置の市場が拡大するとともに、高速光通信モジュールの研究開発や製造市場が増加基調にあり、当連結会計年度は関連する計測ソリューションの需要が堅調に推移しました。

当社は、通信機器の研究・開発向けソリューションに加え、通信インフラの構築・監視からサービス品質保証までの総合ソリューションを提供することで、事業の拡大に取り組んでまいります。

c. エレクトロニクス市場

エレクトロニクス市場には、通信ネットワークに関連する通信機器やその他の電子機器に使用される電子デバイスの設計、生産、評価をはじめ、エレクトロニクス分野で幅広く利用されている計測器等を含めております。

当市場の需要は、通信機器や情報家電、自動車等に使用される電子部品及び電子機器の生産規模に影響を受ける傾向があります。モバイル・ブロードバンド・サービスの拡大やスマートメーターをはじめとするIoTの活用により、多岐にわたる用途の無線モジュールの開発・製造用計測ソリューション需要が増加しております。また、周波数資源の有効利用のために各種無線システムのデジタル化が進められ、新システムの製造及び保守用計測ソリューションの需要は堅調に推移しています。

当社は、エレクトロニクス市場に対するソリューションを拡充し、更なる事業の拡大に努めてまいります。

 

② PQA事業

PQA事業は、当社グループの売上収益の26%を占めています。当事業は、食品産業向けの売上収益が8割以上を占めているため、食品メーカーの業績に影響を及ぼす経済成長率及び消費支出水準の変化に大きな影響を受けます。

主力製品には、食品製造ラインにおいて高速搬送しながら高精度に計量する重量選別機や食品中に混入する金属や石などの異物を高感度に検出し製造ラインから排除する異物検査機器(X線検査機等)などがあります。日本市場においては異物混入に対する顧客の関心に加え、人手不足による自動化ニーズの高まりを背景に、食品生産ラインの自動化、省人化を目的とした設備投資が順調でした。また、海外市場では、米州、欧州、中国などでグローバルに事業を展開する重要顧客の開拓が進展し、当事業の海外売上比率は45%となっています。

食品メーカーの品質検査への関心は高く、世界のすべての地域で需要は堅調に推移するものと見込んでおります。この需要に応えるために、新製品及び品質保証ソリューションの開発、提供に努めるとともに、海外現地生産を含むサプライ・チェーンの最適化を推進し、事業拡大と収益性の向上に取り組んでまいります。

 

3) 財政状態

① 資金需要と流動性の管理

当社グループの資金需要は、製品の製造販売に関わる部材購入費や営業費用などの運転資金、設備投資資金及び研究開発費が主なものであり、内部資金のほか、直接調達・間接調達により十分な資金枠を確保しています。また、2017年3月に設定した借入枠75億円のコミットメントライン(2020年3月まで有効)により財務の安定性を確保しています。今後とも、大きく変動する市場環境のなかで、国内外の不測の金融情勢に備えるとともに、運転資金、長期借入債務の償還資金及び事業成長のための資金需要に迅速、柔軟に対応してまいります。

当連結会計年度の有利子負債残高(リース債務除く)は、159億44百万円(前連結会計年度末の有利子負債残高は220億26百万円)となりました。また、デット・エクイティ・レシオは0.20(前連結会計年度末は0.29)、ネット・デット・エクイティ・レシオは△0.25(前連結会計年度末は△0.23)となっております。当期の売上収益に対する期末平均棚卸残高の回転率は4.9回となりました。

今後ともACEの改善(投下資本コストを上回る税引後営業利益の達成)とCCC向上によるキャッシュ・フロー創出及びグループ内キャッシュ・マネジメント・システム等による資金効率化を原資として、有利子負債の削減、デット・エクイティ・レシオの改善、株主資本の充実等、財務体質の強化に努めてまいります。

2018年3月期末の当社の格付(R&I:㈱格付投資情報センター)は、短期格付が「a-1」、長期格付が「A-」となっています。当社は、更なる格付向上に向けて、財務安定性の改善に引き続き取り組んでまいります。

(注1)デット・エクイティ・レシオ:有利子負債/親会社の所有者に帰属する持分

(注2)ネット・デット・エクイティ・レシオ:(有利子負債-現金及び現金同等物)/親会社の所有者に帰属する持分

(注3)ACE (Anritsu Capital-cost Evaluation): 税引後営業利益-資本コスト(5%)

(注4)CCC:キャッシュ・コンバージョン・サイクル

 

② 資産、負債及び資本

a. 資産

資産合計は、1,211億90百万円となり、前連結会計年度末に比べ38億63百万円減少しました。主に現金及び現金同等物並びに繰延税金資産が減少した一方、棚卸資産が増加しました。

b. 負債

負債合計は、428億76百万円となり、前連結会計年度末に比べ56億92百万円減少しました。主に社債の償還により社債及び借入金が減少した一方、営業債務及びその他の債務が増加しました。

c. 資本

資本合計は、783億13百万円となり、前連結会計年度末に比べ18億28百万円増加しました。これは、主に利益剰余金が増加したことによるものです。

この結果、親会社所有者帰属持分比率は64.6%(前連結会計年度末は61.1%)となりました。

なお、有利子負債残高(リース債務を除く)は159億44百万円(前連結会計年度末は220億26百万円)となり、デット・エクイティ・レシオは0.20(前連結会計年度末は0.29)となりました。

 

4) キャッシュ・フロー

キャッシュ・フローの状況は、「(1) 経営成績等の状況の概要 2) キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

5) 経営戦略と今後の方針について

経営戦略と今後の方針は、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

(経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報)

 IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。

 

前連結会計年度

(自 2016年4月1日

至 2017年3月31日)

当連結会計年度

(自 2017年4月1日

至 2018年3月31日)

(開発費の資産計上)

日本基準において費用処理している一部の開発費用について、IFRSにおいては資産計上の要件を満たすことから「のれん及び無形資産」に計上しております。

この結果、連結財政状態計算書の「のれん及び無形資産」が940百万円増加しております。また、連結純損益及びその他の包括利益計算書の「売上原価」が262百万円増加し、「研究開発費」が305百万円減少しております。

(非上場株式の公正価値評価)

日本基準においては時価のない有価証券(非上場株式)は移動平均法による原価法により計上し減損を行っておりますが、IFRSにおいては公正価値を見積り、取得価額との差額をその他の資本の構成要素として遡及的に認識しております。

この結果、連結財政状態計算書の「その他の金融資産」(非流動資産)が1,132百万円増加しております。

 

(退職後給付債務に関する会計処理の差異)

日本基準においては、退職給付債務から年金資産の額を控除した額及び未認識数理計算上の差異を退職給付に係る負債に計上しておりますが、IFRSにおいては確定給付制度の再測定に伴う調整額を発生時にその他の包括利益で認識する方法を選択しております。また、日本基準においては一部の子会社において小規模企業の簡便的な退職給付債務の計算を採用しておりますが、IFRSにおいては原則に従って計算しております。

これらの結果、日本基準の連結財政状態計算書において計上されている「退職給付に係る調整累計額」(その他の包括利益累計額)△1,665百万円が取り消されております。また、連結純損益及びその他の包括利益計算書の「売上原価」が301百万円、「販売費及び一般管理費」が113百万円、「研究開発費」が33百万円減少し、その他の包括利益の「確定給付制度の再測定」が1,129百万円計上されております。

 

(有給休暇及び特別休暇等の債務計上)

IFRSにおいて、当社及び一部の子会社の有給休暇及び一定の勤務年数を条件として付与される特別休暇や報奨金の見積額を債務として計上していることから、連結財政状態計算書の「従業員給付」(流動負債)が214百万円、「従業員給付」(非流動負債)が767百万円増加しております。

 

(繰延税金資産及び繰延税金負債における一時差異及び回収可能性検討の差異)

IFRSにおいて、従業員給付等の連結財政状態計算書上の他の項目の調整に伴う一時差異が発生したこと及び繰延税金資産の回収可能性に関して将来減算一時差異を利用できる課税所得が生じる可能性をIFRSに基づき検討した結果、連結財政状態計算書の「繰延税金資産」が462百万円増加しております。また、連結純損益及びその他の包括利益計算書の「法人所得税費用」が100百万円減少しております。

(開発費の資産計上)

日本基準において費用処理している一部の開発費用について、IFRSにおいては資産計上の要件を満たすことから「のれん及び無形資産」に計上しております。

この結果、連結財政状態計算書の「のれん及び無形資産」が1,269百万円増加しております。また、連結純損益及びその他の包括利益計算書の「売上原価」が320百万円増加し、「研究開発費」が562百万円減少しております。

(非上場株式の公正価値評価)

日本基準においては時価のない有価証券(非上場株式)は移動平均法による原価法により計上し減損を行っておりますが、IFRSにおいては公正価値を見積り、取得価額との差額をその他の資本の構成要素として遡及的に認識しております。

この結果、連結財政状態計算書の「その他の金融資産」(非流動資産)が1,234百万円増加しております。

 

(退職後給付債務に関する会計処理の差異)

日本基準においては、退職給付債務から年金資産の額を控除した額及び未認識数理計算上の差異を退職給付に係る負債に計上しておりますが、IFRSにおいては確定給付制度の再測定に伴う調整額を発生時にその他の包括利益で認識する方法を選択しております。また、日本基準においては一部の子会社において小規模企業の簡便的な退職給付債務の計算を採用しておりますが、IFRSにおいては原則に従って計算しております。

これらの結果、日本基準の連結財政状態計算書において計上されている「退職給付に係る調整累計額」(その他の包括利益累計額)△581百万円が取り消されております。また、連結純損益及びその他の包括利益計算書の「売上原価」が191百万円減少し、「販売費及び一般管理費」が38百万円、「研究開発費」が5百万円増加し、その他の包括利益の「確定給付制度の再測定」が988百万円計上されております。

 

(有給休暇及び特別休暇等の債務計上)

IFRSにおいて、当社及び一部の子会社の有給休暇及び一定の勤務年数を条件として付与される特別休暇や報奨金の見積額を債務として計上していることから、連結財政状態計算書の「従業員給付」(流動負債)が212百万円、「従業員給付」(非流動負債)が717百万円増加しております。

 

(繰延税金資産及び繰延税金負債における一時差異及び回収可能性検討の差異)

IFRSにおいて、従業員給付等の連結財政状態計算書上の他の項目の調整に伴う一時差異が発生したこと及び繰延税金資産の回収可能性に関して将来減算一時差異を利用できる課税所得が生じる可能性をIFRSに基づき検討した結果、連結財政状態計算書の「繰延税金資産」が397百万円増加しております。また、連結純損益及びその他の包括利益計算書の「法人所得税費用」が75百万円増加しております。

 

 

前連結会計年度

(自 2016年4月1日

至 2017年3月31日)

当連結会計年度

(自 2017年4月1日

至 2018年3月31日)

(政府補助金に関する会計処理の差異)

資産に対する政府補助金について、日本基準では対象資産の取得価額から減額する圧縮記帳を行っておりますが、IFRSでは当該政府補助金を繰延収益として計上し、資産の耐用年数にわたって規則的に純損益に認識する方法によっております。

この結果、連結財政状態計算書の「有形固定資産」が1,225百万円、「その他の流動負債」が88百万円、「その他の非流動負債」が1,155百万円、それぞれ増加しております。また、連結純損益及びその他の包括利益計算書の「売上原価」が37百万円、「販売費及び一般管理費」が27百万円、「研究開発費」が13百万円、「その他の収益」が88百万円それぞれ増加しております。

 

(IFRS移行時の累積換算差額)

IFRSでは、IFRS初度適用における免除規定を適用し、日本基準においてその他の包括利益累計額に含めて表示しているIFRS移行時の在外営業活動体の累積換算差額△7,207百万円をゼロとみなし、連結財政状態計算書の「利益剰余金」に計上しております。

 

(資産計上された開発費に関連する支出)

日本基準において開発費に関連する支出は営業活動によるキャッシュ・フローに区分しておりますが、IFRSにおいては、資産計上された開発費に関連する支出は投資活動によるキャッシュ・フローに区分されることから、投資活動によるキャッシュ・フローが305百万円減少し、営業活動によるキャッシュ・フローが同額増加しております。

(政府補助金に関する会計処理の差異)

資産に対する政府補助金について、日本基準では対象資産の取得価額から減額する圧縮記帳を行っておりますが、IFRSでは当該政府補助金を繰延収益として計上し、資産の耐用年数にわたって規則的に純損益に認識する方法によっております。

この結果、連結財政状態計算書の「有形固定資産」が1,146百万円、「その他の流動負債」が88百万円、「その他の非流動負債」が1,067百万円、それぞれ増加しております。また、連結純損益及びその他の包括利益計算書の「売上原価」が14百万円、「販売費及び一般管理費」が28百万円、「研究開発費」が35百万円、「その他の収益」が88百万円それぞれ増加しております。

 

同左

 

 

 

 

 

 

(資産計上された開発費に関連する支出)

日本基準において開発費に関連する支出は営業活動によるキャッシュ・フローに区分しておりますが、IFRSにおいては、資産計上された開発費に関連する支出は投資活動によるキャッシュ・フローに区分されることから、投資活動によるキャッシュ・フローが562百万円減少し、営業活動によるキャッシュ・フローが同額増加しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

特記すべき事項はありません。

 

5【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発投資(無形資産に計上された開発費を含む)の内訳は、次のとおりであります。

 

 

当連結会計年度

 

売上収益比率

計測事業

7,609百万円

 

14.0%

PQA事業

2,283百万円

 

10.1%

その他の事業

471百万円

 

5.2%

基礎研究開発

191百万円

 

-

合 計

10,556百万円

 

12.3%

 

また、セグメント別の主な研究開発成果は次のとおりです。

 

(1) 計測事業

計測事業は、当社、Anritsu Company(米国)、Azimuth Systems, Inc.(米国)、Anritsu Ltd.(英国)、Anritsu A/S(デンマーク)等において、保有する技術を相互補完することによりシナジー効果を上げるべく協調して開発を進めております。当連結会計年度においては、フィリピンに開発センターのAnritsu Philippines, Inc.を設立しました。

 

1) ラジオ コミュニケーション テストステーション MT8000Aの開発

第5世代通信システム(5G)が、「超高速」「高信頼・低遅延」「多数同時接続」といった様々な要求条件に対応できるネットワークとして検討が進んでいます。

MT8000Aは、5Gシステムの開発用テストプラットフォームです。5Gの擬似基地局機能を有し、5Gで使用するサブ6GHz帯とミリ波帯の両方の帯域に1台で対応します。OTA(Over The Air) Chamberと組み合わせることで、3GPPで規定された呼接続によるミリ波帯のRF測定や、ビームフォーミング試験もサポートします。

また、モジュラーアーキテクチャによる柔軟性と拡張性を備えた先進のデザインを採用し、高速大容量通信だけでなく、今後広がる超高信頼低遅延、超多端末接続などの新しい5G試験需要にフレキシブルに対応します。さらに、長年の市場実績があり最先端機能を網羅しているLTEテストプラットフォームを活かした試験環境を提供します。お客様のLTE試験環境やシナリオなどの試験資産を活用し、5GとLTEのNSA(ノンスタンドアローン)をシミュレートする連動試験環境をスムーズに構築できます。

今後、5Gサービスの早期普及に寄与する計測ソリューションを提供し、4Gから5Gシステムへのスムーズな移行に貢献いたします。

 

2) PCIe Gen4に対応したMP1900Aシグナルクオリティアナライザ-Rの開発

スマートフォンやモバイル端末によるデータ通信量の増加に伴い、データセンタ内のネットワークインタフェースは200Gbpsおよび400Gbpsイーサネットに、通信機器バスインタフェースはPCIe Gen4(16.0GT/s)に高速化されようとしています。PCIeは、それまでほとんどのコンピュータに採用されていたPCI(Peripheral Com-ponent Interconnect)バスを高速化する目的でシリアル化され、2002年に初めて2.5GT/sのGen1が公開されました。その後ボトルネックを解消する目的で2006年に5.0GT/sのGen2、2010年に8.0GT/sのGen3と高速化が図られました。そして2017年には、16.0GT/sのGen4の規格化が完了し、今後テスト方法などの規定が予定されています。

PCIeの規格はPCI-SIGという規格団体により策定されており、そこにはチップベンダ、IP(Intellectual Property)ベンダ、測定器ベンダが参画し、相互接続性を考慮したコンプライアンステストとして、そのテスト手法だけでなく、使用する測定器や治具が細かく規定されています。Gen4の規格化は予定より1年ほど遅れましたが、これは16.0GT/sの高速化を実現することが当初の想定以上に困難であったことが要因です。現在規格化が開始された32.0GT/sのGen5ではさらにその難易度が高まると思われます。

我々はこれまで10Gbps、25Gbps、および100Gbpsイーサネット等の光モジュールや高速デバイスの品質評価・管理を目的とした幅広い測定需要に応えるため、MP1800Aシグナルクオリティアナライザ(以下、SQA)をリリースしています。今までのSQAの試験と異なり、PCIeでジッタ耐力試験を行う場合には、測定に先立ち、被測定物(DUT: Device Under Test)と測定器の間でリンクトレーニングを行い、DUTをループバック状態に遷移させなければなりません。

PCIeに対応するため、MP1900Aシグナルクオリティアナライザ-R(以下、SQA-R)では以下を開発しました。

・DUTとのリンクトレーニング機能を提供する、Link Training and Status State Machine(LTSSM)

・PCIeの測定要求である高速エンファシス切り替えに対応したパルスパターン発生器MU195020A 21G/32G bit/s SI PPG(以下、SI PPG)

・高精度Continuous Time Linear Equalizer(CTLE)を備えた誤り検出器 MU195040A 21G/32G bit/s SI ED(以下、SI ED)

・さまざまなストレス用ノイズを印加可能なMU195050A Noise Generator(以下、Noise Gen)

・DUTとのリンクトレーニングを制御するMX183000A-PL021 PCIeリンクトレーニングソフトウェア

さらに、SQA-Rではコンプライアンステストの対応だけでなく、開発初期段階の不具合などを解析可能なLTSSMの解析、イベントトリガ発生機能などを含み、設計検証時間の短縮を可能としています。同時に将来のソフトウェアアップデートによりGen5対応も可能な性能を装備し、投資コスト低減に貢献します。

 

3) MP2110Aサンプリングオシロスコープの開発

クラウドコンピューティングサービスの普及に伴う情報量の増大により、データセンタで使用されているサーバやネットワーク機器の伝送容量を増やすことが急務となっています。データセンタではサーバやネットワーク機器の光インタフェース化が進んでおり、光トランシーバの需要が急増しています。特に25GbE(25 Gigabit Ethernet)用SFP28や、100GbE(25Gbit/s×4レーン)用のQSFP28と呼ばれるフォームファクタを採用した光トランシーバの需要は2016年以降急増しています。

光トランシーバの製造・開発にはBERT(Bit Error Rate Tester)とアイパターン解析用のサンプリングオシロスコープが必要となり、2015年に光トランシーバの製造・開発用に4ch BERTとサンプリングオシロスコープを1台に搭載したMP2100Bを開発しました。しかしMP2100Bは測定可能なビットレートが最大12.5Gbit/sであり、25GbEや100GbE用光トランシーバ測定に対応できていませんでした。

そこで25Gbit/sに適した4ch BERTとサンプリングオシロスコープを1台に搭載するMP2110Aを開発しました。これによりSFP28やQSFP28といった光トランシーバモジュールのBER測定とサンプリングオシロスコープによる光出力波形測定を1台で実施できるようになります。MP2110Aの開発では、25Gbit/s信号を観測するため、サンプリングオシロスコープの全面的な設計変更を行いました。具体的には、アナログ入力帯域の広域化のため、光帯域40GHzのO/E(Optical to Electrical)変換モジュールと電気帯域40GHzのサンプラモジュールを新規設計しました。また新しいトリガシステムを採用し、測定器内部で生じる残留ジッタを平均200fs rms以下に低減しています。

今後もBERやアイパターン等を評価するための最適なソリューションを提供することで、高速・大容量の通信インフラを支えるさまざまな光トランシーバの開発・生産効率の改善や評価品質の向上に貢献していきます。

 

4) IEEE 802.11ac WLANネットワークモードに対応したワイヤレスコネクティビティテストセットの開発

インターネット、モバイル通信環境の普及に伴い、スマートフォンをはじめとした通信端末機器にはWLAN(Wireless LAN)が標準的な通信インタフェースとして搭載されています。加えて、家電製品や自動車など、従来想定された通信機器以外の近距離無線インフラとしてWLANの利用範囲が広がり続けています。近年注目されているIoT(Internet of Things)機器においても、WLANはその中心的な通信技術として重視されています。

WLANはIEEE 802.11として標準化されていますが、RF(Radio Frequency)性能評価の手順は明示されておらず、ダイレクトモード(チップベンダ独自のテストモード)による評価が主流となっています。一方でダイレクトモードが使用できない完成品状態でのRF性能評価や、CTIA CWG(Cellular Telecommunications and Internet As-sociation Converged Wireless Group)で標準化されているOTA(Over The Air)試験など、ネットワーク接続状態を前提とした試験要求が高まっています。

そこで現在主流となっているIEEE 802.11acのWLANネットワーク接続機能に対応したRF測定器としてMT8862Aを開発しました。従来のダイレクトモードでは困難であった完成品状態でWLAN性能評価やネットワーク接続を前提としたRF測定機能を提供します。ネットワーク接続を利用したセットアップの容易さ、ウェブGUIによる操作の利便性によって、WLANデバイスの製品評価を手軽に実現する環境を提供し、IoT技術を含めて今後も広く普及が見込まれるWLAN機器の品質の向上に貢献していきます。

 

5) 標準化活動

計測事業における研究開発活動の重要な取り組みの1つとして、国内外の標準化活動へ積極的に参画しています。情報通信産業における最先端の知識・技術を常に製品へ反映し、競争力に優れたソリューションをタイムリーに提供するために、主要な標準団体として現在3GPP(注1)、ITU-T(注2)、IEEE(注3)等へ参加し、4G/5G、データセンタ、IoT/M2M(注4)、コネクテッドカー(注5)といった有線・無線通信事業の戦略立案や情報収集に役立てています。

特に移動通信システムの規格を策定する3GPPにおいては、基地局と携帯端末の通信手順試験を可能とするコンフォーマンステスト(端末認証試験)仕様策定に際し、LTE/LTE-Advancedの規格策定段階から数多くの寄書を行い、2017年度は国内外の通信オペレータ、チップセットベンダー、端末ベンダーとも協力しつつ第5世代移動通信システム関連規格を含むリリース15(注6)の早期公開に貢献しました。2018年度も引き続きリリース15、リリース16(注6)の規格化に参画し、2020年の5Gサービス提供開始へ向け貢献をしていきます。

(注1)3GPP

The 3rd Generation Partnership Projectの略。各国・各地域の標準化団体所属企業による、移動通信システム規格の国際標準化プロジェクト。

(注2)ITU-T

International Telecommunication Union-Telecommunicationの略。国際電気通信連合の電気通信標準化部門。

(注3)IEEE

The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.の略。アメリカ合衆国に本部を持つ電気工学・電子工学技術の学会。IEEE 802.11(WiFi)や、IEEE802.3(Ethernet)などの規格を策定している。

(注4)IoT/M2M

Internet of Things、Machine to Machineの略。コンピュータなどの情報・通信機器だけでなく、世の中に存在するあらゆる物に通信機能を持たせ、インターネットに接続したり人手を介さずに相互に通信することにより、自動認識や自動制御、遠隔計測などを行う技術。

(注5)コネクテッドカー

ICT端末としての機能を有する自動車のこと。車両の状態や周囲の道路状況などの様々なデータをセンサーにより取得し、ネットワークを介して集積・分析することで、新たな価値を生み出すことが期待されている。

(注6)リリース15、16

3GPPから公開されている移動通信システム規格の版数。リリース15は2018年1月に公開。リリース16は2018年6月より活動開始予定。

 

(2) PQA事業

PQA事業は、アンリツインフィビス㈱が研究開発を行っております。

品質保証の厳格化に呼応した新型金属検出機の開発

食品原材料や加工食品の国際流通が進む中、国連食糧農業機関(FAO: Food and Agriculture Organization)と世界保健機関(WHO: World Health Organization)の合同機関であるコーデックス委員会は、食品安全の管理手法であるHACCP (Hazard Analysis and Critical Control Point)のガイドラインを発表して世界各国に推奨しており、我が国においても導入が加速しています。

食品に混入した金属異物を磁界の揺らぎを利用して非接触で検出できる金属検出機は、HACCPにおける最も基本的な危害モニタリング手段の1つとして広く普及しており、現在も需要が拡大しています。

金属検出機は、原理的に検査対象物や外部から飛来する電磁ノイズの影響により検出性能が変化することがあり、検査性能の安定化が従来から課題でした。また、HACCPでは危害のモニタリングが適切に行われていることを検証し記録することが求められ、品質管理工数の軽減が新たな課題となっています。このようなお客様の課題に以前から注目し、検査に有用なセンシング技術の研究と品質保証の高度化に貢献するソリューションの開発に取り組んでおります。

当連結会計年度におきましては、新開発の信号処理回路とアルゴリズムの採用により、検出感度のさらなる向上と使用環境に対する高い安定性を実現した「M6-hシリーズ金属検出機」を開発し販売を開始しました。

M6-hシリーズ金属検出機は、基本性能の向上にとどまらず、設定ミスを未然に防ぐスマートガイド機能、検査の健全性を検証するバリデーション機能、異常動作時の診断機能などHACCPを念頭に置いた各種機能を搭載しており、食品生産ラインにおける品質保証の高度化と生産性の向上に貢献します。

PQA事業は、オリジナルでハイレベルな商品と、お客様の品質保証活動をサポートするサービスのご提供を通じて、「安全・安心」な社会の実現に貢献していきます。