第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものです。

(1) 財政状態及び経営成績の状況

通信計測事業の主要市場である情報通信分野においては、インフレによる5Gスマートフォン価格の高騰はありますが、世界的なスマートフォンの出荷台数について回復の兆しが見えてきました。今後は、AIを搭載した高機能スマートフォンの登場などにより、市場の活性化が期待されます。また、日本ではミリ波活用に向けた検討が進んできています。

5G利活用の領域では、Automotive分野での5G活用に向けた研究開発が進展しており、ローカル5Gのようなプライベート領域での5Gネットワーク構築に向けた調査や実証実験が継続されています。IoT(Internet of Things)分野では、米国のラストワンマイルで利用されるCPE(Customer Premises Equipment、顧客構内設備)の需要や、5G無線モジュールの開発に加えてWi-Fi 7(*1)の開発需要が増加してきています。非地上系ネットワーク(NTN:Non-Terrestrial Network)としては、衛星を用いた通信サービスが相次いで始まっており、4GシステムのNB-IoT(Narrowband IoT)を用いる端末もリリースされています。2024年6月に標準化が完了した「Release 18」(*2)では、IoT向けのeRedCap(enhanced Reduced Capability)や5G NR(New Radio)を用いるNTNなどで機能の向上が進められており、チップセットや端末に順次対応が進む見込みです。また、2023年12月に開催された世界無線通信会議「WRC-23(World Radiocommunication Conference 2023)」において、5G-Advancedの周波数が合意されました。更に、次世代の通信規格である6Gの研究開発も始まっています。

5Gのネットワークでは、無線アクセスネットワークのオープン化に取り組むO-RANアライアンスが仕様を策定しており、これまでメーカー独自のインターフェースで構成されていた基地局装置に対してO-RANの標準仕様を適用することで、マルチベンダーでの無線アクセスネットワークの構築が容易になりました。

また、生成AIの普及拡大によるデータ・トラフィックの急増に対応するために、データセンターの新設及び大容量化が加速しています。生成AI向けのデータセンターにおいては800GEネットワークへの更新が本格化してきており、光デバイスメーカーでの800GE向け光デバイスの生産増強が進展しています。ネットワーク機器メーカーにおけるPCIe(Gen5/6)(*3)などのハイスピードバスの開発が進展しており、1.6TE向けの光デバイスの開発に向けた検討が始まっています。さらに、オール光化を目指すIOWN(*4)の活動も活発化してきています。

このような環境のなか、当社グループの経営成績は次のとおりとなりました。

当中間連結会計期間は、受注高は53,479百万円(前年同期比4.2%減)、売上収益は53,309百万円(同4.7%増)、営業利益は3,576百万円(同21.9%増)、税引前中間利益は3,381百万円(同6.2%減)、中間利益は2,238百万円(同19.7%減)、親会社の所有者に帰属する中間利益は2,237百万円(同19.8%減)となりました。

(*1)第7世代のWi-Fi規格、第6世代(Wi-Fi 6)の使用帯域幅160MHzを320MHzまで拡張し、高速化を実現

(*2)3GPPで標準化される規格番号

(*3)第5/第6世代のPCI Express規格(シリアル転送方式の拡張スロット用インターフェース規格)

(*4)Innovative Optical and Wireless Networkの略で、IOWN Global Forumが検討を進めている、オール光ネットワークなど革新的技術を用いた新しい通信基盤

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。

 

① 通信計測事業

当事業は、サービス・プロバイダ、ネットワーク機器メーカー、保守工事業者などへ納入する、多機種にわたる通信用及び汎用計測器、測定システム、サービス・アシュアランスの開発、製造、販売を行っています。

当中間連結会計期間は、生成AIの普及拡大によるデータセンター等でのネットワーク高速化に向けた測定需要が好調に推移し、前年同期比で増収となりました。費用面では、第1四半期に計上した事業構造改善費用等が影響し、前年同期比で減益となりました。この結果、売上収益は33,985百万円(前年同期比2.6%増)、営業利益は2,541百万円(同18.4%減)となりました。

② PQA事業

当事業は、高精度かつ高速の各種自動重量選別機、自動電子計量機、異物検出機などの食品・医薬品・化粧品産業向けの生産管理・品質保証システム等の開発、製造、販売を行っています。

当中間連結会計期間は、食品市場の品質保証プロセスの自動化、省人化を目的とした設備投資需要が好調に推移し、前年同期比で増収増益となりました。この結果、売上収益は12,993百万円(前年同期比10.6%増)、営業利益は1,059百万円(同336.4%増)となりました。

③ 環境計測事業

当事業は、EV/電池向け試験装置、ローカル5G向け支援サービス、道路やダム・河川等の映像監視用モニタリングソリューションの開発、製造、販売を行っています。

当中間連結会計期間は、国内においてEV/電池向け試験需要が好調に推移し、前年同期比で増収増益となりました。この結果、売上収益は3,528百万円(前年同期比16.8%増)、営業利益は63百万円(前年同期は170百万円の損失)となりました。

④ その他の事業

その他の事業は、センシング&デバイス事業、物流、厚生サービス、不動産賃貸等からなっております。

当中間連結会計期間は、売上収益は2,801百万円(前年同期比6.8%減)、営業利益は628百万円(同113.4%増)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、50,338百万円となり、前期末に比べ4,681百万円増加しました。なお、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは、9,251百万円のプラス(前年同期は6,034百万円のプラス)となりました。

当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

① 営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動の結果獲得した資金は、純額で10,767百万円(前年同期は7,915百万円の獲得)となりました。これは、営業債権及びその他の債権の減少及び税引前中間利益の計上により資金が増加したことが主な要因です。なお、減価償却費及び償却費は2,953百万円(前年同期比3百万円減)となりました。

② 投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動の結果使用した資金は、純額で1,516百万円(前年同期は1,880百万円の使用)となりました。これは、有形固定資産及び無形資産の取得による支出が主な要因です。

③ 財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動の結果使用した資金は、純額で3,677百万円(前年同期は3,314百万円の使用)となりました。これは、配当金の支払額2,635百万円(前年同期の配当金支払額は2,633百万円)による支出及びリース負債の返済による支出が主な要因です。

 

 

(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(4) 経営方針・経営戦略等

当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(6) 研究開発活動

当社グループでは開発投資の一部について資産化を行い、無形資産に計上しております。無形資産に計上された開発費を含む当中間連結会計期間の研究開発投資の金額は、5,152百万円です。

なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。