文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は、様々なステークホルダーに対する責任と対話を重視し、以下のとおり経営理念・経営ビジョン・経営方針を策定しています。これらには、グループ従業員等の一人ひとりが自ら挑戦し、新しい価値を社会に提供し続け、未来に向けて成長していく、という思いを込めています。
経営理念
「誠と和と意欲」をもって、“オリジナル&ハイレベル”な商品とサービスを提供し、安全・安心で豊かなグローバル社会の発展に貢献する
経営ビジョン
「はかる」を超える。限界を超える。共に持続可能な未来へ。
経営方針
1. 克己心を持ち、「誠実」な取り組みにより人も組織も“日々是進化”を遂げる
2. 内外に敵を作らず協力関係を育み、「和」の精神で難題を解決する
3. 進取の気性に富み、ブレークスルーを生み出す「意欲」を持つ
4. ステークホルダーと共に人と地球にやさしい未来をつくり続ける「志」を持つ
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、キャッシュ・フロー(CF)を常に意識した経営を展開しており、「ROE (Return On Equity)」と「自己資本比率」をKPIと捉え、自己資本の効率性向上による中長期的な企業価値最大化と財務の安定性維持に取り組みます。
なお、取締役(社外取締役及び監査等委員であるものを除く。)、執行役員及び理事を対象とした現行の業績連動型株式報酬制度においては、その評価指標として、本制度の対象期間における各事業年度の期初に定める営業利益目標及び中期経営計画に掲げる営業利益を採用しています。また、金銭の業績連動型報酬(年次役員賞与)においては、当該連結会計年度における連結ROEに加え、売上高、営業利益及びESG/SDGs目標の達成度等の指標を用いています。
(3) 中長期的な経営戦略、経営環境及び対処すべき課題等
今後の見通しにつきましては、当社グループの主力である通信計測事業においては、生成AIの普及拡大によるデータセンター等でのネットワーク高速化に向けた測定需要が今後も拡大していくことが期待できます。PQA事業においては、新製品の販売拡大を進めることで、食品市場の品質保証プロセスの自動化、省人化を目的とした設備投資需要を確実に捉え、売上拡大を目指していきます。また、医薬品市場に向けた新製品開発と販売力の強化を推進していきます。環境計測事業においては、国内のEV/電池向け試験需要を確実に捉えるとともに、新たに連結子会社となったDEWETRON GmbHを含めたグループシナジーの最大化、及び海外市場への進出に取り組みます。
当社グループは、関係するあらゆるステークホルダーとともに持続可能で魅力的な未来を次世代に繋いでいくという思いを込め、経営理念・経営ビジョン・経営方針のもと、2030年度には安定した収益を上げる企業としての売上高2,000億円企業を目指してまいります。
① 中長期的な経営戦略及び中期経営計画
当社グループは、主力の通信計測事業を軸に、情報通信サービスに関わるビジネスを展開しております。現在の5Gシステムに代表される通信インフラの様々なイノベーションは、社会を劇的に変革するとともに、人類に「つながる」ことの豊かさを提供し、グローバル社会の進歩を生み出してきました。「誠と和と意欲」、“オリジナル&ハイレベル”を経営理念とするアンリツは、コアコンピタンスである「はかる」技術をベースに、情報通信分野と食品・医薬品分野を中心に支えてまいりました。
当社のコンピテンシーである「はかる」を極めていくとともに、内外の異なる発想や技術を更に掛け合わせ、従来の「はかる」を超えた価値や新領域を開拓していくことで次の事業の柱を成長させ、攻めの姿勢で今までのアンリツの限界を超えてまいります。
当社グループは、中長期経営戦略のもと、2024年4月に、新たな3ヶ年の中期経営計画GLP2026をスタートいたしました。GLP2026では、前中期経営計画GLP2023で育てた新しい芽を事業の柱へと成長させ、計画最終年度である今期(2027年3月期)において、連結売上高1,400億円、営業利益200億円、営業利益率14%を目指します。
GLP2026の3年間は、5Gから6Gへの移行期であり、2030年度に売上高2,000億円企業となるための重要なマイルストーンと位置付けております。
GLP2026では6Gと3つの新領域ビジネスを重点的に拡大します。3つの新領域ビジネスは“産業計測”と“EV/電池”そして“医薬品”です。M&Aとオーガニックで、新領域ビジネスの成長を加速し、更には来るべき6Gビジネスの需要を確実に獲得するための準備をいたします。
中期経営計画(GLP2026)基本方針
1. 成長投資に400億円以上(M&A+設備投資)
2. ROE≧10%を安定的に達成する事業ポートフォリオの構築
3. 2026年度(2027年3月期)の営業利益の25%を通信計測事業以外で創出
4. 新領域ビジネスの人材強化、全社で人材育成体制を構築
5. 事業活動における資源循環(サーキュラーエコノミー)の実現
6. 株主還元では配当性向50%以上を目指す
当連結会計年度の実績及びGLP2026に掲げる主な経営数値目標等は下表のとおりです。
当社グループは、引き続き、中長期的な経営戦略及び中期経営計画の実現を図り、資本コストを意識した成長投資(含むM&A)と資本効率の改善で、企業価値KPI(ROE)の向上を目指します。
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2025年3月期 (実績) |
2026年3月期 (実績) |
2027年3月期 (業績見通し) |
2027年3月期 (GLP2026目標) |
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売上収益(億円) |
1,129 |
1,174 |
1,400 |
1,400 |
|
|
営業利益(億円) |
121 |
148 |
200 |
200 |
|
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当期利益(億円) |
92 |
116 |
150 |
150 |
|
|
通信 計測 事業 |
売上収益(億円) |
701 |
687 |
850 |
900 |
|
営業利益(億円) |
83 |
107 |
165 |
150 |
|
|
PQA 事業 |
売上収益(億円) |
282 |
310 |
330 |
300 |
|
営業利益(億円) |
28 |
33 |
40 |
36 |
|
|
環境 計測 事業 |
売上収益(億円) |
85 |
107 |
160 |
130 |
|
営業利益(億円) |
9 |
8 |
10 |
14 |
|
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ROE(%) |
7.4 |
9.1 |
12 |
12 |
|
※ 億円未満を切り捨てて表示しています。なお、2027年3月期の業績見通しは、2026年4月27日に公表した「2026年3月期決算短信〔IFRS〕(連結)」に基づいています。
また、GLP2026では、当社グループのサステナビリティ目標を掲げ、その達成に向けた活動を推進しています。サステナビリティ推進活動、ダイバーシティ推進等の当社グループのサステナビリティに関する事項は、後記2「サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。当社グループは、ブランド・ステートメントに「Advancing beyond」を掲げ、皆様とともに進歩と進化へ向けて歩み続けていきたいという強い思いを込めて発信しています。さらなる高みを目指すとともに、お客様のビジョン実現を通じ社会のサステナビリティに貢献したいという姿勢を示しています。今後とも経営資源を最大限に活かして安全・安心で豊かなグローバル社会の発展に貢献し、企業価値の向上に努めてまいります。
② コーポレート・ガバナンスの充実
当社は、経営環境の変化に柔軟かつスピーディに対応し、グローバル企業としての競争力を高め、継続的に企業価値を向上させていくことを経営の最重要課題としております。その目標を実現するために、コーポレート・ガバナンスが有効に機能する仕組みを構築することに努めております。執行役員制度導入による意思決定と業務執行の分離の促進、「監査等委員会設置会社」への移行、独立社外取締役が委員長を務める指名委員会・報酬委員会・独立委員会の設置、取締役会の実効性評価の実施などの従前からの取組に加え、社外取締役比率50%以上を確保することにより、取締役会の監視・監督機能を強化し、コーポレート・ガバナンス体制を一層充実させることで、グローバルな視点でより透明性の高い経営の実現を目指してまいります。
当社グループのコーポレート・ガバナンスに関する事項は、後記第4「提出会社の状況」の4「コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。
(1) サステナビリティに関する方針
アンリツ株式会社(以下、「当社」という。)は2030年に向けて、2021年4月に経営ビジョンと経営方針を改定し、これに合わせてサステナビリティ方針を改定しました。本方針は、誠実な企業活動を通じてグローバルな社会の要請に対応し、社会課題の解決に貢献してこそ企業価値の向上が実現されるという考え方に立つものであり、2015年に国連で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」で掲げられた5つのP、すなわち「People」、「Planet」、「Prosperity」、「Peace」、「Partnership」の要素を包含しています。
サステナビリティ方針
私たちは「誠と和と意欲」をもってグローバル社会の持続可能な未来づくりに貢献することを通じて、企業価値の向上を目指します。
1. 長期ビジョンのもと事業活動を通じて、安全・安心で豊かなグローバル社会の発展に貢献します。
2. 気候変動などの環境問題へ積極的に取り組み、人と地球にやさしい未来づくりに貢献します。
3. すべての人の人権を尊重し、多様な人財とともに個々人が成長し、健康で働きがいのある職場づくりに努めます。
4. 高い倫理観と強い責任感をもって公正で誠実な活動を行い、経営の透明性を維持して社会の信頼と期待に応える企業となります。
5. ステークホルダーとのコミュニケーションを重視し、協力関係を育み、社会課題の解決に果敢に挑んでいきます。
(2) マテリアリティ(重要課題)
当社は、“「はかる」を超える。限界を超える。共に持続可能な未来へ。”という経営ビジョンのもと、「安全・安心なインフラを整備し、持続可能な社会の建設につながる産業の創造とイノベーションの促進に貢献する」を、社会課題解決におけるグループ全体の取組としています。この実現に向けて、「事業を通じて解決する社会課題」と「社会の要請に応える課題(ESG)」への対応を両輪とするサステナビリティ経営を通じて「グローバル社会の持続可能な未来づくりに貢献すること」を目指し、事業分野別とESG分野別に下記のマテリアリティを設定しています。
マテリアリティは、社会課題の重要度と当社の企業価値向上の2つの視点で適宜見直しています。2021年4月の経営ビジョン、経営方針およびサステナビリティ方針の改定と組織体制の変更、さらに2022年1月に㈱高砂製作所をグループに加えたことから、2022年度にマテリアリティを見直しました。2024年度から始まった3ヶ年の中期経営計画「GLP2026」においては、マテリアリティの更新が必要となるような社会や市場、顧客動向の変化は見られないと判断し、これまでのマテリアリティを継続することとしました。
<事業分野別マテリアリティ>
通信計測事業、PQA事業、環境計測事業およびセンシング&デバイス事業において、事業を通じた社会課題解決への貢献に向けて、各事業の特長や強みを踏まえたマテリアリティを設定しています。
通信計測事業:DX技術革新への対応、強靭なITインフラ整備
デジタル革新で新たな社会の変革を目指すお客さまをサポートし、安全・安心な通信インフラの構築に通信テストソリューションで貢献する
PQA事業 :食品ロスの低減、品質保証ソリューションの提供
安全で安心できる食品や医薬品の安定供給を目指すお客さまをサポートし、高信頼・高感度の検出機と品質管理制御システムで生産ラインの品質検査工程自動化や食品ロス低減に貢献する
環境計測事業:自然災害に対する防災・減災、脱炭素社会へ貢献する製品の提供
デジタル革新で新たな社会の変革を目指すお客さまをサポートし、情報通信ソリューションで新たなデジタル社会の変革、EV(電気自動車)や電池の評価ソリューションで脱炭素社会の実現に貢献する
センシング&デバイス事業:強靭なITインフラ整備、健康的な生活の確保
デジタル革新で新たな社会の変革を目指すお客さまをサポートし、光デバイス事業、超高速電子デバイスで安全・安心で快適な社会の実現に貢献する
<ESG分野別マテリアリティ>
サステナビリティ方針に基づいて設定した社会の要請(ESG)に応えるマテリアリティは以下のとおりです。
環境(E):気候変動への対応
世界的な気候変動は、洪水や干ばつなどの自然災害を引き起こし、人々の生活や経済活動に多大な影響を及ぼすことから、当社は気候変動への対応を最も重要なマテリアリティとしています。
当社の製造拠点である福島県郡山市の東北アンリツ㈱第一工場は、過去2回にわたり河川氾濫による浸水被害に遭いました。取引先さまも被災し、当社の調達・製造・物流のバリューチェーン全体に影響をもたらしました。
気候変動に大きく影響する温室効果ガスの排出量削減のため、当社は再生可能エネルギー(以下、「再エネ」といいます。)の自家発電・自家消費に優先的に取り組んでいきます。
社会(S):人権の尊重、多様性の推進(ダイバーシティ&インクルージョン)
複雑で変化が多く予測困難な現代において企業が成長を続けていくためには、多様な価値観を持つ人材の力が必要となることから、当社は人権の尊重と多様性の推進をマテリアリティとしています。また、個々人の能力向上が会社の成長に欠かせないことから人材の育成にも取り組んでいきます。
ガバナンス(G):経営の透明性維持
当社は社会の信頼と期待に応える企業になるために、経営の透明性維持をマテリアリティとしています。
コーポレート・ガバナンス強化のために取締役会の実効性向上に取り組むほか、リスクマネジメント推進や社会的責務である情報セキュリティの強化を進めていきます。
アンリツグループのサステナビリティ経営
(3)サステナビリティ共通の開示
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてアンリツグループが判断したものであり、さまざまな要因により実際の結果と大きく異なる可能性があります。
①ガバナンス
当社は、取締役会がサステナビリティ経営を監督し、サステナビリティ推進担当役員が推進活動とリスク管理の責任者を務めています。主要な部門・グループ会社の代表者からなるサステナビリティ委員会が推進活動の主体となり、重点項目を明確にして情報を共有し、改善に向けた議論を行い、その内容を各代表者から各部門に展開・浸透させています。2022年4月からは、気候変動をはじめとするさまざまな課題への対応の重要性を踏まえて、グループCEOが担当役員となっています。サステナビリティ経営の進捗状況は、サステナビリティ推進担当役員が経営戦略会議および取締役会において報告し、議論しています。2025年度の取締役会では、25件のサステナビリティ課題に関する議論を行いました。
※上図は2026年4月1日現在のものです。
②戦略
アンリツグループは、サステナビリティ経営を通じてグローバル社会の持続可能な未来づくりに貢献することを目指しています。事業においては、コンピテンシーである「はかる」技術を事業における取組の核とし、4つのカンパニー(通信計測、インフィビス(PQA事業)、環境計測、センシング&デバイス)と先端技術研究所のコラボレーション、強固な財務体質を生かした積極的な成長投資により、既存事業の拡大と6Gおよび3つの新領域(産業計測、EV/電池、医薬品)開拓を通じて持続可能な社会づくりにおける貢献領域を広げ、2030年度に連結売上高2,000億円を目指します。ESG課題への対応は、環境や社会への悪影響を最小限に抑え、全ての人が生き生きと働き、暮らせる社会につながるものと捉え、中期経営計画(GLP)で目標を掲げて取り組みます。
また、製造会社である当社は、「強い“ものづくり”の会社」として調達能力向上・災害対策強化・生産の自動化を進め、労働生産性を高める働き方改革により社員の生活の充実を図ります。
これらにより“「はかる」を超える。限界を超える。共に持続可能な未来へ。”の経営ビジョン、サステナビリティ方針を実現し、グローバル社会の持続可能な未来づくりに貢献いたします。
6Gと3つの新領域を重点的に開拓
③リスク管理
当社は各事業部門、コーポレート部門、グループ会社がリスクと機会を構成要素の一つとするGLPを策定しています。経営戦略会議において、GLP策定時および毎年のレビュー時にリスクの低減と機会の実現・成長について審議し、取締役会に報告しています。
④ 指標と目標
当社は社会課題の解決に向けて、GLPでサステナビリティ目標を掲げて取組を進めています。GLP2026(2024年度から
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目標 ※1 |
KPI |
2025年度実績・進捗 |
|
環境 (E) |
温室効果ガスの削減(Scope1+2) ※2 |
2021年度比 23%以上削減 (2030年度までに42%以上削減 ※3) |
31.0%削減 |
|
温室効果ガスの削減(Scope3) ※4 |
2019年度比 17.5%以上削減 (2030年度までに27.5%以上削減 ※5) |
26.6%削減(参考値) ※6 |
|
|
|
(2030年ごろまでに30%程度まで高める) |
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|
資源循環(サーキュラーエコノミー)の実現 |
資源循環に対応した製品をリリースする |
ステンレス再資源化・調達の資源循環スキームを構築 |
|
|
プラスチックごみを100%マテリアルリサイクルする ※9 |
79.4% |
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|
社会 (S) |
ダイバーシティ経営の推進 |
女性管理職比率15%以上 |
13.0%(2026年3月末) ※10 |
|
障がい者雇用促進:職域開発による法定雇用率 2.7%達成 |
2.8% |
||
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働きがいのある労働環境の実現 |
エンゲージメント調査の働きがいポジティブ回答率:80%以上 ※11 |
74.5% |
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グローバルなCSR調達の推進 |
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CSR調達に係るサプライヤーへの情報発信:3回/年、教育2回以上/年 |
情報発信:3回実施 教育:1回実施 |
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ガバナンス (G) |
グローバルなガバナンス向上 |
取締役の多様性の推進: |
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※1 環境分野における温室効果ガス、自家発電比率に関する目標のバウンダリーは、当社および国内子会社、海外の製造子会社(米国、英国、ルーマニア、中国、タイ)。DEWETRON GmbH(オーストリア)は、期中(2025年10月)で買収したため、2025年度の環境負荷データの対象外。資源循環に対応した製品は、各事業における取組。マテリアルリサイクルの対象は、厚木地区、東北地区においてサプライヤーから購入する部材で使用されるプラスチック包装材、厚木地区の従業員食堂で使用される食品用のプラスチック包装材。社会分野における女性管理職比率は連結の目標値。エンゲージメント調査は当社および国内子会社の目標値。障がい者雇用促進は当社および特例子会社である㈱ハピスマを合算した目標値。サプライチェーンは当社の目標。ガバナンスは当社の目標。
※2 Scope1は、事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)。Scope2は、他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出。
※3 本目標は、SBTイニシアチブから1.5度目標の認定を取得済み。SBTイニシアチブは、企業に対し「科学的根拠」に基づく「二酸化炭素排出量削減目標」を立てることを求めている国際的なイニシアチブ。1.5度目標は、産業革命前と比較して気温上昇を1.5℃に抑える水準の目標。
※4 Scope3は、Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)。当社ではScope3のKPIにカテゴリ1(購入した製品・サービス)および11(販売した製品の使用)を採用。
※5 本目標は、SBTイニシアチブからWell-below2℃目標の認定を取得済み。Well-below2℃目標は、産業革命前と比較して気温上昇が2℃を十分に下回る水準の目標。
※6 第三者検証前のため、参考値として記載。検証後の数値については、
※7 PGRE 30は、Anritsu Climate Change Action PGRE 30のこと。2018年度に0.8%だったアンリツグループの太陽光発電比率を、同年度の電力消費量を基準に、2030年ごろまでに30%程度まで高める施策。詳細は、(4)気候変動 に記載。
※8 Anritsu Company(米国)に設置している太陽光発電設備のメーカーの倒産により、発電量が3ヶ月間モニタリングできていなかった。このため、この間の発電量が推計値となり、第三者保証を得られず参考値として記載。
※9 マテリアルリサイクルは、廃棄物を材料として再利用する方法。
※10 当該事業年度より、海外拠点における時間限定勤務の女性管理職を含む。
※11 エンゲージメント調査における「ポジティブ回答率」とは、各設問に対して肯定的な回答をした従業員の割合。
なお、GLP2026における事業を通じて解決する社会課題のサステナビリティ目標は、通信計測事業でDX技術革新や強靭なITインフラ整備に貢献する製品のR&D費増、PQA事業で食品ロス低減に貢献する製品の売上比率向上、環境計測事業で市場シェア拡大、センシング&デバイス事業で新製品の開発を掲げて取り組んでいます。
(4) 気候変動
当社は、2022年に、2050年までにScope1+2における温室効果ガス排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルを目指す宣言を行い、国連気候変動枠組条約事務局(UNFCCC)のRace To Zeroに参加しています。この実現に向けて、化石燃料の使用拡大につながる投資は行わず、再生可能エネルギー(以下、再エネ)の自家発電比率の向上と省エネルギー(以下、省エネ)活動の徹底、再エネ電力証書の購入などを組み合わせた取組を推進し、事業活動で使用するエネルギーを100%再エネ化することを目指します。さらに、サプライヤーとの協働、顧客への省エネ製品の提供を通じてバリューチェーン全体で消費電力を低減していきます。
また、気候変動否定派や気候関連規制に反対するロビーグループへの資金提供を行いません。ステークホルダーとの対話を深め、環境課題に関する教育・研修を実施します。
これらの取組を通じて、持続可能な未来の実現に向けた取組を強化し、環境保護に貢献します。
再エネ自家発電の取組が、Anritsu Climate Change Action PGRE 30(以下、PGRE 30)です。当社は、事業遂行に必要な電力の一部を自社で発電し、消費することで温室効果ガスを削減していくことがSDGsの目指す姿に適うものと考え、2020年3月にPGRE 30を策定しました。主要拠点である厚木地区(神奈川県厚木市)、東北地区(福島県郡山市)、Anritsu Company(米国カリフォルニア州モーガンヒル)の3地区に自社消費用の太陽光発電設備を導入・増設することで、SDGsの目標7のターゲット7.2に掲げられた「2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再エネの割合を大幅に拡大させる」という目標達成に貢献してまいります。
<TCFD提言に沿った情報開示>
① ガバナンス
当社は、取締役会が気候変動全般に関する課題や取組を監督しています。各種活動の推進は、グループCEOおよびCFOが責任を負っています。リスクと機会の管理は、グループ全体のリスクマネジメントシステムに組み込まれ、環境総括役員がリスク管理責任者としての責務を負っています。環境総括役員は、グループ全体の環境戦略を担う環境・品質推進部を所管するとともに、国内グループの環境管理委員会の委員長、海外グループのグローバル環境管理会議の主宰者を務め、リスクと機会をグローバルに評価・管理しています。
取締役会は、経営戦略会議において審議されたSBTイニシアチブへの申請計画や、PGRE 30に基づいて実施する再エネ発電設備導入や省エネルギー設備導入などの投資案件を決議するとともに、温室効果ガス排出量削減目標やPGRE 30の進捗などを確認しています。また、気候変動に関する情報開示内容は、GLPの策定もしくはレビューとして毎年度経営戦略会議で審議・承認し、取締役会に報告しています。
役員報酬における短期インセンティブの報酬の算定には、各人の貢献度をはかる指標として、売上高、営業利益およびサステナビリティ目標の達成度を用いており、目標には気候変動関連の目標(温室効果ガス排出量の削減、自家発電比率の向上)が含まれています。
② 戦略
気温が1.5℃あるいは4℃上昇する場合のシナリオをベースに、短期(1年)・中期(3年)・長期(~30年)のリスクと機会を抽出し、気候変動に関する分析を実施しています。シナリオ分析ではバリューチェーン全体を含めた事業戦略と財務計画への影響を考慮しています。その結果、規制強化の影響や生産拠点の一部での物理的な影響を想定し、対応策を定めるとともに脱炭素社会に寄与するソリューション開発に取り組むこととしました。
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タイプ |
要因 |
シナリオ |
想定シナリオの詳細 |
時間的視点 |
想定される影響 |
影響度 ※ |
対応策 |
|
移行 リスク |
炭素税の課税 |
1.5℃ |
温室効果ガス排出量への課税 |
長期 |
・事業活動に伴うコストの増加 |
やや大 |
・1.5℃目標でSBT認証を取得したScope1+2の削減 ・インターナルカーボンプライシングの導入 |
|
1.5℃ |
物価上昇で景気が停滞 |
中期 |
・顧客の投資が縮小・遅延して売上が減少 ・調達難や部材コスト増により利益が減少 |
中 |
・ソフトウエアベースの仮想化試験環境とソフトウエア無線を組み合わせたソリューション開発を推進し、部材価格の変動影響が少ないビジネスモデルを構築 ・効率化とグループ統一調達プロセスの確立による原価競争力の強化 |
||
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物理 リスク |
自然災害の頻発化・激甚化 |
4℃ |
各地で異常気象が頻発化・激甚化 |
長期 |
・生産工場の操業や部材の調達に影響 |
大 |
・東北アンリツ㈱第一工場の生産機種を第二工場に移管し、河川氾濫による操業への影響ゼロを実現 ・海外製造拠点における浸水対策の実施 ・アンリツグループ内の生産拠点の連携による相互生産の推進 ・部材生産地をマップ化し、調達への影響を最小化 ・複数社購買可能な体制を構築 ・サプライヤー分散とAI・IoTを活用した需給・生産・物流の一体最適化による供給変動への対応力強化 |
|
長期 |
・気温上昇により、製造工程における品質保証が難しくなる |
大 |
・2023年度に外気温の変動に左右されない空調管理システムを導入し、運用を開始 |
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機会 |
エネルギーミックスの変化 |
1.5℃ |
再エネ発電比率が高まる |
長期 |
・太陽光発電設備の導入コスト低下 |
やや大 |
・PGRE 30の推進により自家発電比率を高め、電力料金を低減 2025年度はこれまで設置した3,125㎾の太陽光発電設備が稼働。東北アンリツ㈱第二工場では、メガソーラー級発電設備と蓄電池を組み合わせたシステムを運用 |
|
省エネ技術の進展 |
1.5℃ |
投資により新技術が普及 |
中期 |
・新たな省エネ技術の採用で製品の環境付加価値向上 |
やや大 |
・環境配慮型製品の開発推進で製品を省エネ化 ・省エネ部品を積極採用 |
|
|
市場の変化 |
1.5℃ |
高機能と環境性能を備えた製品の需要拡大 |
中期 |
・試作機不要の開発を望む顧客が増加し、仮想化等、シミュレーション試験環境の需要増 |
大 |
・ソフトウエアベースの仮想化試験環境ソリューションを提供 |
|
|
中期 |
・データセンターの省エネ化に必要な製品の需要増加 |
やや大 |
・次世代グリーンデータセンター向け光電融合デバイスの開発・製造向けソリューションを提供 ・低消費電力、高電力効率の光デバイス製品を提供 |
||||
|
長期 |
・EV普及により高効率パワートレインや電池の開発用評価機器の需要増加 ・社会インフラにおける再エネや燃料電池を効率的に活用するエネルギーマネジメントシステムの需要拡大 |
大 |
・高品質なパワートレインや電池の開発を効率化するテストソリューションを強化 ・パートナー企業との協働によりエネルギーマネジメントシステムの事業機会を獲得 |
||||
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自然災害の頻発化・激甚化 |
4℃ |
気象の激甚化による食糧生産、需給環境の悪化 |
長期 |
・食品廃棄ロスのさらなる削減のため、原材料段階での異物検出や不良品のピンポイント選別の需要が拡大 |
やや大 |
・原材料段階で色、成分、虫、細菌、成分などの品質不良を識別できるソリューションの実用化 ・DX、AI、ロボットを活用した異物検出精度向上や生産ラインのモニタリング、不良品選別ソリューションを提供 |
|
|
各地で異常気象が頻発化・激甚化 |
長期 |
・防災投資が増加して河川や道路の監視ソリューションの需要増加 |
中 |
・パートナー企業と映像情報システム等、防災・減災ソリューションの対応力を強化 |
|||
|
長期 |
・少子・高齢化に伴うオペレーション人員不足をカバーする遠隔監視ソリューションの需要増加 |
中 |
・ICTシステムを活用したより高度な防災・減災システムの実現に寄与するソリューションを提供 |
※「影響度」は、売上・利益等の財務上の影響額とそのリスクと機会が顕在化する可能性を考慮して、「大、やや大、中、やや小、小」の5段階で当社独自の基準に基づいて判断したものです。なお、影響度の低い「やや小」と「小」の掲載は省略しています。
③ リスク管理
当社は、気候変動関連のリスクと機会を環境リスクの重要課題として位置づけ、グループ全社で総合的に管理するリスクマネジメントシステム(「
④ 指標と目標
当社は、SBTイニシアチブから認証を取得した温室効果ガス(CO2換算)排出量(Scope1+2およびScope3)削減目標、再エネ自家発電比率を指標としています。Scope1+2では1.5度目標、Scope3ではCategory1、Category11でWell-below2℃目標の認証を取得しています。
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KPI |
目標 |
2025年度実績・進捗 |
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Scope1+2:温室効果ガス排出量の削減 |
2030年度までに2021年度比で42%以上削減する |
31.0%削減 |
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Scope3:温室効果ガス排出量の削減 |
2030年度までに2019年度比で27.5%以上削減する |
26.6%削減(参考値) ※1 |
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太陽光自家発電比率の向上 |
2018年度に0.8%だったアンリツグループの太陽光発電比率を、同年度の電力消費量 ※2を基準に、2030年ごろまでに30%程度まで高める(PGRE 30) |
12.9%(参考値) ※3 |
※1 第三者検証前のため、参考値として記載。検証後の数値については、
※2 策定時に当社の100%子会社ではなかったATテクマック㈱(現アンリツテクマック㈱)、㈱高砂製作所、㈱鶴岡高砂製作所、㈱ハピスマ、DEWETRON GmbHの電力消費量は除く。
※3 Anritsu Company(米国)に設置している太陽光発電設備のメーカーの倒産により、発電量が3ヶ月間モニタリングできていなかった。このため、この間の発電量が推計値となり、第三者保証を得られず参考値として記載。
Scope1+2のCO2排出量の削減については、その大部分がエネルギー消費によるものであるため、再生可能エネルギーの使用拡大と工場やオフィスでの省エネを両輪とする活動を行っています。再生可能エネルギーでは、太陽光の自家発電・自家消費を重視しています。アンリツグループは2010年代から太陽光発電設備を導入しています。2019年度には、長期にわたって再生可能エネルギーの自家発電、自家消費を行い、CO2排出量の削減を進める取り組みとしてPGRE 30を策定しました。PGRE 30は厚木地区、東北地区、Anritsu Company(米国)で年間8,000MWhの発電量に相当する太陽光発電設備を導入し、2018年度に0.8%だった太陽光自家発電比率を、2030年ごろに30%程度まで高めることを目標としています。㈱高砂製作所、Anritsu Infivis (THAILAND) Co., Ltd.でも太陽光発電設備を導入しており、2026年3月末時点のアンリツグループ全体の太陽光発電能力は3,125kWです。東北地区では発電容量1,100kWの太陽光発電設備と定格容量2,400kWhの蓄電池を組み合わせた大規模太陽光発電システムを導入し、夜間に必要な電力の一部を蓄電した再エネで賄っています。再生可能エネルギー由来の電力を供給する電力会社との契約等によるCO2排出量削減にも取り組んでいます。
省エネ活動では、2023年3月に立ち上げた省エネ対策チームの下、適切な空調管理と実験室での節電などを継続しています。あわせて、本社および東北地区における建屋別・フロア別の電力使用量、電気料金を社内イントラネットで見える化しています。各部門は前年実績との比較や増減要因を分析し、その結果を環境管理委員会で共有・確認しています。これにより、現場主体の改善を継続的に促し、組織的な省エネ管理と従業員の意識向上を図っています。
この結果、Scope1+2のCO2排出量は2021年度比31.0%削減となりました。
Scope3では、Scope3総排出量の78.5%(2025年度参考値)を占める「購入した製品・サービス(Category1)」と「販売した製品の使用(Category11)」の削減に取り組んでいます。Category1排出量の削減では、主要サプライヤーを中心に、Scope1、Scope2およびScope3排出量の調査および情報提供の依頼を行うとともに、サプライヤーとの定期的な情報交換会等を通じて、温室効果ガス排出量の把握および削減に向けた取り組みへの協力を呼びかけています。これらの活動により、サプライチェーン全体での温室効果ガス排出削減を推進しています。
Category1の排出量算定では、購入金額に基づく原単位計算を基本とし、主要サプライヤーの排出特性を可能な範囲で反映する方法により算定しています。購入金額の品目別集計に基づく排出量算定に加え、購入金額上位の主要サプライヤーを対象に排出量調査を実施し、サプライヤー固有の排出原単位を反映しています。
Category11排出量の削減では、環境配慮型製品の開発による低消費電力化の推進および、測定ソリューションのソフトウエア化の拡大に注力しています。環境配慮型製品の開発では、独自の基準により「エクセレント エコ製品」「エコ製品」を認定する制度を導入し、製品の消費電力低減に取り組んでいます。2025年度は、計測器の売上高に占める環境配慮型製品の割合は98%、エクセレント エコ製品の割合は92%となりました。測定ソリューションのソフトウエア化では、専用ハードウエアを必要とせず、汎用PCや汎用サーバー環境で利用可能なソリューションの開発・販売を進めることで、顧客におけるエネルギー消費の抑制にも貢献しています。
Category11排出量は、製品の消費電力、想定される生涯稼働時間および販売台数に基づき算定しています。製品分類ごとに設定した生涯稼働時間を用いて排出量を算定した上で事業別に集計し、さらに、事業別売上高上位の顧客を対象とした再生可能エネルギー導入状況を考慮することで、合理的な範囲で排出量算定に反映しています。この結果、Scope3(Category1+Category11)のCO2排出量は、2019年度比26.6%削減(参考値)となりました。
算定方法詳細およびデータに関する注記
注記1:Scope3 Category1 排出量の算定方法
Scope3 Category1排出量は、以下に示す方法により算定しています。
(Category1に該当する購入額)×(原単位排出係数)×(主要サプライヤーの排出特性を反映するための係数) = Scope3 Category1排出量
・原単位計算の方法
Category1に該当する購入金額の総額を品目分類別に集計し、これに対して、環境省公表の「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出量等の算定のための排出原単位データベース」に掲載されている、産業連関表ベースの排出原単位(GLIO:2005年表、購入者価格ベース原単位)を適用することにより、Category1の原単位計算排出量を算定しています。
・サプライヤーの排出特性を反映する係数の算定方法
本係数は、サプライヤーの産業連関表ベース原単位に基づく排出量とサプライヤー固有の原単位に基づく排出量の比率とし、以下のステップで算定しています。
まず、購入金額上位の主要サプライヤー約100社(購入金額ベースでCategory1購入金額全体の約6割)を対象として、各サプライヤーのScope1、Scope2およびScope3の上流部分にあたるCategory1~8の排出量を調査しています※1。これらの排出量は、各社Webページ上の公開情報および当社が実施したアンケート調査に基づき把握しています。
次に、調査した各サプライヤーの排出量および当該サプライヤーの売上高に基づき、Scope1、Scope2およびScope3 Category1~8それぞれのサプライヤー固有排出原単位を算出しています。
最後に、対象サプライヤー毎の購入金額に対して産業連関表ベースの排出原単位とサプライヤー固有排出原単位(Scope1、Scope2およびScope3 Category1~8)をそれぞれ乗算して、「サプライヤー原単位排出量」と「サプライヤー固有原単位排出量」を算出します。この二つの原単位排出量の比(サプライヤー固有原単位排出量/サプライヤー原単位排出量)を「サプライヤーの排出特性を反映する係数」として算定しています。
※1 サプライヤーのScope3排出量については、CDP気候変動スコアがB-以上のサプライヤーは開示されているScope3排出量を採用し、B-未満の場合は個社データを使用せず、業界平均値※2を採用しています。
※2 業界平均値は、JEITA、JEMA、CIAJ、JBMIAの4団体に加盟し、Scope3排出量を公表している企業を対象に、過去4年間の排出量の移動平均で算定しています。
注記2:Scope3 Category11 排出量の算定方法(詳細)
Category11排出量は、製品の使用段階における電力消費に基づき算定しています。製品ごとに消費電力(実測値ではなくカタログ値などを採用)および販売台数を把握し、製品分類別に設定した生涯稼働時間の想定値(約8,000~30,000時間)を用いて、「消費電力 × 生涯稼働時間 × 排出係数 × 販売台数」により排出量を算定しています。排出係数は、環境省が公表する電気事業者別排出係数一覧における全国平均係数を採用しています。
さらに、事業別の年間売上高上位10社の顧客の再生可能エネルギー導入率を調査しています。調査対象顧客は、事業別売上高ベースで約2割をカバーしています。再生可能エネルギー導入率は、対象企業のWebページ等における公開情報に基づき把握しています。調査対象企業ごとに、事業別売上高に対する当該企業向け売上高の比率から企業別Category11に相当する排出量を算定しています。これに当該企業の再生可能エネルギー導入率を乗じた排出量を、再生可能エネルギーによる排出量削減相当分としています。この削減相当分を事業別Category11排出量から減算することで、再生可能エネルギー導入の影響を反映しています。
注記3:使用データの年度差異および将来差異
Scope3 Category1およびCategory11排出量の算定に用いているサプライヤー排出量および顧客の再生可能エネルギー導入率については、調査時点で集計対象年度の情報が未公表である場合があるため、原則として集計対象年度の前年度に公表された数値を使用しています。一方、購入金額および製品販売台数については、集計対象年度の実績値を使用しています。なお、Scope3 Category1およびCategory11排出量は、統制の及ばない第三者から提供された情報、公開情報および一定の前提・仮定に基づく推計値であり、今後、サプライヤーや顧客による情報開示の更新、データ精度の向上、算定条件の変更等により、実際の排出量と差異が生じる可能性があります。
当社は、第三者データの入手経路および算定方法の妥当性について、環境・品質部門において内部レビューを実施するとともに、外部組織の審査による第三者保証を取得しています。
当社は、これらの取り組みを踏まえて、現時点で入手可能な情報に基づき、一般に合理的と考えられる範囲で算定した排出量を開示しています。
(5) 人権の尊重
当社は、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」が企業に求める人権尊重に対する責任を果たすために、2022年12月にアンリツグループ人権方針を制定しました。本方針をウェブサイトで公表するとともに、サプライヤー向けには、情報交換会の場で人権方針と人権尊重の取り組みを説明し、理解と賛同を要請しています。従業員に対しては、人権方針制定以来、理解向上を目的とした取り組みを継続的に実施しています。2025年度は、人権方針制定以来3年を経過したことを踏まえて、従業員に対し、改めて人権方針を再確認し理解を深めるための活動を実施しました。
アンリツグループの事業活動が人権に与え得る負の影響を特定・評価し、防止・軽減、対処していくために、人権デューデリジェンスの仕組みを構築し、継続運用しています。また、広範なステークホルダーに対する苦情処理システムを準備し、人権デューデリジェンスを補完する形で、人権への負の影響に適切に対応する体制を整えています。
人権デューデリジェンスにおいては、NPO法人経済人コー円卓会議(CRT)日本委員会の協力の下、最初のステップとなる人権リスクアセスメントを実施し、「職場における多様性の受容」「労働環境や働き方の変化への対応」「部品・機器調達先の労働環境調査の推進」の3点を今後優先的に取り組む人権課題として特定しました。
「職場における多様性の受容」では、性的マイノリティへの取組を強化し、「Business for Marriage Equality」へ賛同し、同性パートナーシップ制度を導入しています。従業員への啓発活動も継続し、LGBTQをテーマとした講演会や映画上映の実施、従業員とその家族による関連イベントへの参加、などを行いました。これらの取組の結果、一般社団法人「work with Pride」が策定する「PRIDE 指標2025」において、2024年に続きゴールド認定を取得しました。
「労働環境や働き方の変化への対応」では、出産・育児に関する制度の充実、利用促進に取り組んでいます。法定を上回る休暇・休業・短時間勤務などの制度を設け、育児と仕事の両立が図れる環境を整備しています。これらの成果として、2025年3月に「プラチナくるみん」認定を取得しました。「プラチナくるみん」は「くるみん」認定企業の中でも、特に優れた取組を行う企業が認定対象となる制度です。男性の育児参加も後押しし、「男性の育児休業取得率 100%」を目標として掲げています。出産予定の申し出があった従業員には面談を行い、各種支援制度の説明や育児休業取得意向の確認を行っています。その結果、2025年度の育児休業取得率は、前年度の95.2%から97.0%に増加しました。
「部品・機器調達先の労働環境調査の推進」では、CSR調達ガイドラインへの取り組み状況のアンケート調査と、その回答に基づいて選定したサプライヤーの現地調査を行っています。2023年度からは人権リスクアセスメントで備えるべき人権リスクがあるとされた中国、タイの生産拠点の調達先を対象に加えました。2025年度は、過去2年間に一定の取引金額のあったサプライヤー316社を対象にアンケートを実施しました。305社から回答を得て、回答率は96.5%でした。現地調査は、日本・中国・タイのサプライヤー12社を対象にしました。これらの調査を通じて、いずれのサプライヤーにも人権・労働、安全衛生について重大なリスクがないことを確認しました。
今後も国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に則った人権尊重の取組を充実させていきます。
(6) 人的資本
経営環境がめまぐるしく変化している今日、既存事業の拡大と新規ビジネスの創出に資する源泉は“人”であり、多様性であると考えています。下記の人材ビジョンのもと、会社と従業員がサステナブルな未来を共有し、社会課題の解決を目指す、“人”と“組織”づくりを推進しています。
人材ビジョン
会社と多様な従業員がベクトルを合わせ、事業(社会)貢献意識を持ち、仕事と私生活のバランスを取りながら生き生きと働いている
① ガバナンス
人的資本については、当社の取締役会の監督の下、人材戦略を推進する人事総務担当役員および人的資本に関する課題に取り組む各委員会の担当役員が各々の領域において責任を負っています。人事総務部門および各委員会が取り組む重要課題やKPIの進捗については、担当役員の報告をもとに経営戦略会議および取締役会で議論され、必要に応じて取締役会が適切な関与・監督を行っています。
人事総務部門および各委員会が取り組む人的資本に関する課題は以下のとおりです。
・人事総務部門 :成長事業・重点領域の人材確保と育成、若年/リーダー層の積極採用と育成、およびシニア層活躍強化、経営/人材ビジョン実現に向けた職場風土醸成
・サステナビリティ委員会:人権およびダイバーシティの推進
・企業倫理推進委員会 :各種ハラスメント防止や36協定違反等のモニタリングと改善
・採用委員会 :採用計画の策定・実行・採用当否判定・レビューを通じた求められる人材の量的・質的確保の継続
・管理職登用委員会 :管理職の登用審査、その当否判定を通じた事業の発展に資する管理職の輩出継続
・研修・表彰委員会 :従業員のエンゲージメント向上および研修を通じた人材の育成
役員の指名および報酬については、社外取締役を委員長とする指名委員会および報酬委員会を設置し、役員の選任、解任と報酬の妥当性および透明性の確保をはかっています。
※ 上図は2026年4月1日現在のものです。
② 戦略
当社は、2030年度連結売上高2,000億円企業を目指し、既存事業の拡大とともに、これまでの概念にとらわれず、“「はかる」を超える” 新規事業領域の開拓に取り組むという経営戦略のもと、GLP2026で人材戦略を策定し、人的資本を最大化するための取組を進めています。
GLP2026 人材戦略
<成長事業・重点領域の人材確保と育成>
(2024年4月公表 中期経営計画 GLP2026資料より抜粋)
当社は、GLP2026において「新領域ビジネス(産業計測、EV/電池、医薬品)の重点的な拡大」を掲げており、そのための人材確保と育成を人材戦略の最重要課題としています。この実現に向けて、経営層、経営戦略部門、人事部門が一体となり、トップダウンで経営戦略からカンパニー横断の人員計画を策定する「人財戦略レビュー」を実施し、より戦略的な人材確保、配置、育成を実行しています。
また、新領域でのビジネス拡大に向けた人材育成強化に向けて、2024年4月に「Anritsu SKILLs training center(A-SKILLs)」を立ち上げました。A-SKILLsは、EV/電池や汎用計測器に関する技術知識および販売スキルを向上するための教育の企画・実行を担い、3年間で新領域ビジネス人材を2倍に増強することを目指しています(図1)。
このほか、開発力強化を目的としてエンジニア育成を専門とする組織を2024年4月に立ち上げ、AIリテラシー教育を実施するなど、AI活用を推進しています。また、2025年には中堅/ベテランエンジニアのキャリア形成やリスキリング施策の検討を進めました。今後はその結果を踏まえ、より戦略的にエンジニアを育成していきます。
(図1)Anritsu SKILLs training center(A-SKILLs)について
(2024年4月公表 中期経営計画 GLP2026資料より抜粋)
<若年/リーダー層の積極採用と育成、シニア層活用強化>
当社は、新卒採用数の変動が大きかったことにより、現在の人員構成は30代後半~40代前半が最も少なく、50代が最も多い状況となっています。そのため2030年に向けて事業推進のコアとなるリーダー/管理職層の不足、60代以上のシニア層の増大が予測されており、「若年/リーダー層の積極採用と育成」によるコア人材の確保と「シニア層活用強化」による事業推進力の維持・向上を重要課題としています。
「若年/リーダー層の積極採用と育成」においては、リーダー層から管理職層をターゲットとしていた経験者採用を若年~中堅層にも広げ、積極的な採用活動を推進しています。育成では、階層別研修により段階的育成を行う仕組みづくりを行っていることに加え、「若手ソフトウエアエンジニア育成プログラム」によりソフトウエアエンジニアを目指す新入社員に対し3年間の集中的な育成を行っています。
「シニア層活用強化」においては、50代の従業員を対象としたキャリア研修を導入し、60代以降のありたい姿や貢献領域を考えるプログラムを実施しています。今後もリスキリング施策の導入や配置転換を進め、従業員が長く生き生きと活躍するための取組を推進します。
○階層別研修
当社は、従業員のステップアップの動機づけと成長支援を目的として、リーダー研修とサブリーダー研修を実施しています。階層別研修は、国内アンリツグループ合同で実施しており、組織を超えた横のつながりを作り、お互いに触発しあう機会としています(図2)。
2025年度は、次世代リーダーの育成強化を目的として、従来のサブリーダー研修を見直し、「若手社員向け研修」と「サブリーダー向け研修」に再編しました。サブリーダー向け研修を次世代リーダー育成の前段階に位置づけ、早期に自己の成長課題を認識し、実践を通じて能力開発を促進する仕組みとしています。
(図2)キャリアパスと教育プログラム全体像
○若手ソフトウエアエンジニア育成プログラム
当社は、変化する事業環境の中で、さまざまな製品開発に対応できる経験を積んだエンジニアが必要であるとの認識から、「若手ソフトウエアエンジニア育成プログラム」を導入しています。
ソフトウエアエンジニアを目指す新入社員は、エンジニアリング本部(各カンパニーのソフトウエア開発、AI/クラウド/データ分析等の先端技術開発を担当するカンパニー横断のシェアード開発部門)に配属され、3年間さまざまな製品開発プロジェクトで経験を積み、ソフトウエアエンジニアとしての基礎知識とスキルを身に付けます。カンパニー横断の開発業務に携わることで、各カンパニー内技術のサイロ化防止とイノベーション創出、将来的な人脈づくりにつなげていきます。育成プログラムはOJTと集合教育で構成され、当社独自のスキル標準で成長目標を明確化し、一人ひとりの育成計画をデザインしています。OJTは、原則1年ごとに担当をローテーションし、技術指導担当のトレーナーと会社生活全般の相談役となるメンターがサポートします。集合教育は、実践に役立つ技術教育、先輩社員を交えたコミュニケーションやリーダーシップ等の研修のほか、有志の勉強会も開催されており、同世代エンジニアと学び・教えあう交流の場にもなっています。育成プログラム修了後、各人の適性やキャリア志向に応じてカンパニー等への配属先を決定するため、働きやすさや働きがいの向上にもつながると考えています(図3)。
(図3)若手ソフトウエアエンジニア育成プログラム構成
<経営/人材ビジョン実現に向けた職場風土醸成>
ⅰ 成長・挑戦の促進
当社は、“自らの壁を取り払い、新たな領域に好奇心を持って取り組む人材、ステークホルダーや他社と共に社会課題の解決を目指す人材を育成する。”を掲げる人材育成方針のもと、経営ビジョンおよび経営戦略の実現に向けて目標・期待役割共有の徹底による挑戦・成長意欲の向上をはかっています。
そのための取組として、2022年度に「役割共有面談」制度を導入し、部門方針・課題と各人の役割・期待を共有する面談を年2回実施しています。
また、階層別研修のリーダー研修およびサブリーダー研修に「経営方針・キャリアパス教育」を組み込み、各階層で会社方針と期待役割の理解促進を行っています。
従業員一人ひとりが自発的に自らの強みを一層磨き、壁を取り払い、レベルアップし、会社とともに成長していく風土・環境づくりを推進していきます。
ⅱ 多様性の受容促進
当社は、“価値観や考え方も含め多様性を持つバラエティに富んだ人材が混ざり合い、多様な視点と強みを活かし新たな価値を創造する。”を掲げる人材多様性推進方針のもと、女性活躍推進、経験者採用強化、障がい者雇用推進などを重点的に進めています。これらの活動は一定の成果を上げていますが、引き続き「多様性の受容度の向上」を重要課題とし、経験者採用時の受入支援策の充実をはじめとした、多様な人材の受入体制強化を行います。
○女性活躍推進・経験者採用に関する取組
当社およびアンリツグループ会社は、女性活躍推進において、新卒採用、経験者採用の強化に取り組むとともに、生活と仕事を両立しながら働き、事業の成長と企業価値向上に貢献できるキャリア形成支援に継続して注力しています。自分のライフステージ、ライフスタイルに合わせて働くことができる管理職コースや、妊娠、出産、育児期間中の在宅勤務制度の導入により、ライフワークバランスをより重視したキャリア形成が可能となっています。2023年度末の管理職に占める女性の割合は国内3.8%、連結11.2%でしたが、これらの取組により2025年度末は国内6.3%、連結13.0%となりました(表1)。2026年4月1日付で新たに8名の女性が管理職に昇進し、女性管理職比率は国内7.6%、連結13.5%とさらに増加しています。採用活動の更なる推進やリーダー育成を継続し、GLP2026で目標とする「女性管理職比率連結15%以上」の達成を目指します。
当社は、女性活躍に関する取組状況が優良な企業であることを示す「えるぼし(3段階目)」の認定を2023年3月に取得しています。
経験者採用は、多様なバックグラウンドを持つ外部人材、新規事業領域に取り組む人材の獲得、並びに、女性管理職および管理職候補の採用を目的として2020年度より活動を強化しています。2025年度の当社の経験者採用における女性比率は、34.4%となりました(表2)。
(表1)管理職に占める女性の割合 (女性管理職数÷全管理職数)(単位:%)
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2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
2024年度 |
2025年度 ※1 |
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日本 |
2.8 |
3.1 |
3.8 |
6.2 |
6.3 |
|
米州 |
21.6 |
17.4 |
22.7 |
23.0 |
24.5 |
|
EMEA ※2 |
20.3 |
20.3 |
17.3 |
17.1 |
18.6 |
|
アジア他 |
23.7 |
22.3 |
21.6 |
19.6 |
22.4 |
|
連結 |
10.9 |
10.5 |
11.2 |
12.0 |
13.0 |
※1 当該事業年度より、海外拠点における時間限定勤務の女性管理職を含む。
※2 EMEA(Europe, Middle East and Africa):欧州・中近東・アフリカ地域。
(表2)新規採用者に占める経験者の割合および女性の割合※1 (単位:%)
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2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
2024年度 |
2025年度 |
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経験者採用比率 ※2 |
44.2 |
36.5 |
28.8 |
37.8 |
45.7 |
|
女性経験者比率 ※3 |
32.4 |
30.4 |
70.6 |
47.1 |
34.4 |
※1 当社を対象に集計。
※2 経験者採用比率は、経験者採用数÷新規採用数。
※3 女性経験者比率は、経験者採用のうちの女性採用数÷経験者採用数。
○LGBTQへの対応や取組
当社は、2024年度に導入した同性パートナーシップ制度の運用、社内研修等による理解促進、LGBTQの方々に寄り添い、支援する従業員(ALLY)を増やす施策などを実施しています。その結果、LGBTQなどの性的マイノリティが働きやすい職場づくりに関する評価指標である「PRIDE 指標2025」において、前年に続き2年連続でゴールド認定を獲得しました。
ⅲ ライフワークバランス、就業環境整備
当社は、「働き方改革」を経営戦略の一つとしており、“「生活と仕事のバランスを考えて、働きやすく人生を楽しめる会社」と「労働生産性が高く働きがいがある会社」の両立に向けた制度・環境を整備する”という環境整備方針のもと、多様な従業員が生活と仕事を両立しながら、生産性を高めることができる環境づくりを推進しています。労使による「両立支援推進委員会」を適時開催し、在宅勤務制度の導入、育児・介護などによる在宅勤務の日数拡大、男性の育児休業利用推進、ライフイベントに応じて柔軟な勤務が可能な管理職コースの新設など、働き方やキャリアの多様化に向けた施策を行っています。
○育児に対する支援
当社は、妊娠中・育児中の従業員に対し、法定を上回る休暇・休業・短時間勤務制度の提供や在宅勤務日数の拡大等を行っており、育児と仕事を両立できる環境を整備しています。
近年は男性の育児休業利用促進に注力しており、「産後パパ育休」の施行に合わせた全管理職に対しての研修や、男性育児休業取得推進の意識付けなどを行っています。この結果、2022年度に45.2%だった当社の男性の育児休業取得率は2025年度には97.0%となりました。
当社は、2015年、2018年、2020年、2025年に厚生労働大臣から「子育てサポート企業」と認定され、2015年、2018年、2020年に「くるみんマーク」、2025年には「プラチナくるみんマーク」を取得しました。
○エンゲージメント調査による状況把握
当社および国内グループ会社では、全従業員に対するエンゲージメント調査を毎年実施し、「働きやすさ」と「働きがい」の現状把握、組織課題の抽出を行っています。調査結果は社内イントラネットで全従業員に公開するとともに、各部門にフィードバックし改善に活用しています(表3)。
(表3) エンゲージメント調査の結果 (単位:%)
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2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
2024年度 |
2025年度 |
|
回答率 |
97.2 |
98.3 |
97.1 |
94.7 |
95.2 |
|
働きやすさ満足度 |
90.4 |
89.5 |
88.7 |
88.4 |
90.8 |
|
働きがい満足度 |
75.0 |
71.9 |
71.1 |
71.8 |
74.5 |
○健康経営の推進
当社は、「働き方改革」の基盤を従業員の健康と考え、「アンリツグループ健康経営方針」のもと健康経営を推進しています。
アンリツグループ健康経営方針
アンリツグループは、社員一人ひとりが健康で活き活きと働いていることが、企業価値の源泉であると考えています。全ての社員が健康について関心を持ち、自身の健康上の課題を認識し、健康保持・増進に向けて自律的な取組を進めている状態を目指し、アンリツグループ各社とアンリツ健康保険組合が一体となり、健康経営の実現に向けた活動を進めます。
具体的な取組として、年1回の定期健康診断における法定項目を超える検査の実施、集団歯科検診や女性特有疾患検診の実施など、各種検査の拡充を行っています。また、定期健康診断結果のフォローアップを重視し、精密検査対象者の受診促進、高リスク者への個別面談等を実施しています。これらの取組により疾患の早期発見に繋げ、予防に向けた施策を拡充することにより、従業員の健康リスク低減をはかっています。
当社は、経済産業省と日本健康会議が主催する健康経営優良法人認定制度の大規模法人部門において、「健康経営優良法人」の認定を2016年度以降10年連続で取得しており、その内7回(2016年度、2017年度、2018年度、2019年度、2020年度、2023年度、2024年度)「健康経営優良法人(ホワイト500)」の認定を受けています。今後も、健康経営のさらなる推進に取り組みます。
③ リスク管理
当社は、アンリツグループの力を最大限に発揮して既存事業の拡大と新領域開拓を目指す上で、人材不足や生産性の悪化による事業遂行力の低下が最大のリスクと考えています。経営層、経営戦略部門、人事部門が一体となって行う「人財戦略レビュー」で、採用計画や後継者育成状況等をレビュー、ディスカッションし、経営戦略実現に向けた人材戦略を推進しています。カンパニー制を採用している当社ではカンパニーごとに人事責任者を置き、密に連携することで人材状況の把握と問題への対策を行っています。
④ 指標と目標
当社は、人的資本において下記の目標を掲げています。GLP
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目標 |
KPI ※1 |
2025年度実績・進捗 |
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サステナビリティ目標
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ダイバーシティ経営の推進 |
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働きがいのある労働環境の実現 |
※3 |
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グローバルなガバナンス向上 |
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人材戦略に関する目標 |
成長事業・重点領域の人材確保と育成 |
新領域ビジネス人材数 2倍(連結) |
国内グループにおける対象者の77%が新領域ビジネス関連教育を受講
DEWETRON GmbHの完全子会社化により人材数増加 |
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若年/リーダー層の積極採用と育成、およびシニア層活用強化 |
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経営/人材ビジョン実現に向けた職場風土醸成 |
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PRIDE指標「ゴールド」認定の取得 |
認定取得(2024年11月、 2025年11月) |
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「健康経営優良法人(ホワイト500)」認定の継続 |
2024年度:健康経営優良法人(ホワイト500)認定取得 2025年度:健康経営優良法人認定取得 |
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プラチナくるみん認定の取得 |
プラチナくるみん認定取得(2025年3月) |
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※1 算出基準について、特に記載がないものは提出会社のKPI。連結会社ベースの算出としていない項目については、各社・各地域の独自性あるいは法令に合わせた運用を実施。
※2 当該事業年度より、海外拠点における時間限定勤務の女性管理職を含む。
※3 エンゲージメント調査における「ポジティブ回答率」とは、各設問に対して肯定的な回答をした従業員の割合。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(方針及び体制)
当社グループは、リスクを適切に管理することは、企業価値を継続的に高め、社会的責任を果たすために、極めて重要な経営課題であると認識しており、リスク管理体制を整備しています。また、企業価値を維持、増大し、企業の社会的責任を果たし、当社グループの持続的発展を図るため、経営者はもとより、全社員がリスク感性を向上させ、全員参加により、リスクマネジメントを推進する取り組みに注力しています。
当社グループは、グループCEOのリスクマネジメント統括のもと、主要リスクを①経営の意思決定と業務の執行に係るビジネスリスク、②法令違反リスク、③環境リスク、④製品・サービスの品質リスク、⑤輸出入管理リスク、⑥情報セキュリティリスク、⑦感染症・災害リスクであると認識し、リスクごとにリスク管理責任者を明確にしています。各リスク管理責任者は、当該リスクに関する関係部門の責任者及びグループ会社管理責任者で構成する委員会を主管し、当該リスクマネジメントに関わるグループ会社全体を統括します。リスクマネジメントの対策、計画、実施状況及び年間を通したマネジメントサイクルの結果は、必要に応じ、経営戦略会議において審議され、取締役会に報告されております。また、リスクマネジメント推進部門は、規則、ガイドラインの制定、教育研修などを主管し、事業の継続発展を確保するための、リスク管理レベルの向上に必要な体制を整備しています。なお、各リスク管理責任者は、当該分野に関し、海外グループ会社の活動を支援しています。また、コンプライアンスリスクに関しては、各地域の統括会社の責任者が年度計画を策定し、リスクアセスメントを実施しています。
(主要リスクの概要)
(1) 当社グループの技術・マーケティング戦略に関するリスク(①ビジネスリスク)
当社グループは高い技術力により開発された最先端の製品とサービスをいち早く提供することで顧客価値の向上に努めております。しかしながら、当社グループの主要市場である情報通信市場は技術革新のスピードが速いため、当社グループが顧客価値を向上させるソリューションをタイムリーに提供できない事態や、顧客のニーズやウォンツを十分にサポートできない事態が生じた場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響をもたらす可能性があります。
(2) 市場の変動に関するリスク(①ビジネスリスク)
経済や市場状況の変化、技術革新などの外的な要因は、当社グループが展開する製品群の収益に影響を及ぼし、グループの財政状態及び経営成績に大きな変動をもたらす可能性があります。
通信計測事業は、情報通信市場向けの売上比率が高いため、サービス・プロバイダ、ネットワーク機器メーカー、スマートフォン・携帯電話メーカー、半導体・デバイスメーカーの設備投資動向に業績が左右される可能性があります。サービス・プロバイダは、急増するデータ・トラフィックに対応しながら、IoTサービスやクラウドサービスなど様々なニーズを実現するネットワークの構築が求められており、コスト効率を意識した設備投資を進めています。
PQA事業は、食品産業向けの売上収益が8割以上を占めているため、食品メーカーの設備投資動向に業績が左右される可能性があります。
環境計測事業は、EV/電池向け試験装置の売上比率が高いため、自動車メーカー、自動車部品メーカー、バッテリメーカーの設備投資動向に業績が左右される可能性があります。
(3) 戦略投資に関するリスク(①ビジネスリスク)
当社グループは、コンピテンシーである「はかる」を極めていくと共に、内外の異なる発想や技術をさらに掛け合わせ、従来の「はかる」を超えた価値や新領域を開拓していくことで次の事業の柱を成長させるため、外部との連携やM&Aを含めた戦略的成長投資を強化しています。投資の実行にあたっては、事前に事業計画の検証やデューデリジェンスを実施したうえで、投資判断を行っています。また、投資後もPMI(Post Merger Integration)計画を策定、実行し、投資後のビジネス立ち上げに万全の体制で取り組んでいます。
しかしながら、予期せぬ外部環境の変化や、市場環境や競合状況の変化等によっては当初期待した成果が得られないリスクがあります。このような場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります。
(4) 海外事業展開に関するリスク(①ビジネスリスク、②法令違反リスク、⑤輸出入管理リスク)
当社グループはグローバルに事業を展開しており、海外売上比率は当期実績で約7割を占めています。顧客の多くもグローバル規模で事業を展開しているため、海外諸国の経済動向、国際情勢の変化、遵守すべき法令対応によって、当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響をもたらす可能性があります。
(5) 製品の供給に関するリスク(①ビジネスリスク、⑦感染症・災害リスク)
当社グループは、電子部品等の安定調達を目指して、取引先との強固な関係構築に努めるとともに、部品調達リスクを速やかに把握する仕組み作りや、戦略的な部品在庫の確保などの対策を講じています。あわせて、リスクの高い部品については代替品への変更などによりリスクの最小化を図っています。
しかしながら、災害等に起因するサプライチェーンの混乱や需要の急激な高まりによる部品供給の逼迫等が生じた場合は、電子部品等の調達や主要製品の製造が困難な状況になり、製品の供給に遅延や停止が発生するリスクがあります。このような場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります。
(6) 感染症の蔓延に関するリスク(⑦感染症・災害リスク)
当社グループは、大規模な感染症の流行が発生した場合、従業員の安全確保と社内外の感染抑止を最優先に取り組んでいきます。また、事業への影響を最小限に抑えるべく、必要に応じて対策本部を設置し、情報収集と必要な対応を行います。しかしながら、感染拡大の状況によっては、サプライチェーンの寸断や当社グループ、顧客及び取引先の工場の操業停止や事業拠点の休業などの事業活動の制限等による影響により、当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響をもたらす可能性があります。
(7) 災害等に関するリスク(⑦感染症・災害リスク)
当社グループはグローバルに生産・販売活動を展開しているため、地震、台風、気候変動に伴う異常気象等の自然災害、火災、戦争、テロ及び暴動等が発生した場合には、当社グループや仕入先、顧客の主要設備への被害等により事業活動に支障が生じ、また、これらの災害等が政治不安又は経済不安を引き起こすことにより、当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響をもたらす可能性があります。
当社では、災害・緊急時の被害最小化と事業活動の早期回復を図り、円滑な事業活動を継続することを目的として、各部門がBCP(Business Continuity Plan)を作成しています。当社グループの製造拠点である東北アンリツ㈱では、地震や大雨による河川の氾濫などの自然災害を重要なリスクとして位置づけ、災害発生後になすべきことを具体的にプロセスごとに明確化しています。実際の大規模災害での教訓を受け、BCP緊急発動基準を見直し、より幅広いリスクに備えるとともに各リスク発生時の対応手順の精緻化を行っています。
(8) 外国為替変動に関するリスク(①ビジネスリスク)
当社では売掛金の回収などで発生する外貨取引への為替先物予約等によりリスク・ヘッジに努めておりますが、急激な為替変動は当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります。
(9) 在庫陳腐化のリスク(①ビジネスリスク)
当社グループは顧客のニーズやウォンツをきめ細かく捉え、製品やサービスを市場に提供するよう努めております。しかし、特に通信計測事業における製品群は技術革新が極めて速いため、製品及び部品の陳腐化が起こりやすく、在庫の長期化・不良化を招くことで当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります。
(10) 人材確保に関するリスク(①ビジネスリスク)
当社グループの持続的成長のためには、人材の獲得、確保、育成は非常に重要な要素となっています。当社グループは、国籍や性別などにこだわらない多様な人材の採用活動を積極的に行うことにより、優秀な人材の獲得に努めるとともに、社員の自発的成長を支援する教育研修体系の整備を継続的に進めています。また、ライフワークバランスを重視し、働き方や価値観の多様化に対応した労務環境の整備に取り組んでいます。しかしながら、人材の確保及び育成が想定どおりに進まない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります。
(11) コンプライアンスに関するリスク(②法令違反リスク)
当社グループは、事業を展開する各国において当該国の法的規制の適用を受けています。これらの法令等に違反した場合、あるいは社会的要請に反した行動等があった場合には、法令による処罰、訴訟の提起、社会的制裁、ブランドの毀損等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります。
当社グループが社会的責任を遂行するにあたり、あるべき行動の指針とする「アンリツグループ行動規範」を定めるとともに、教育啓発活動を随時実施し、企業倫理の向上及び法令遵守の強化に努めています。国内アンリツグループのコンプライアンスの推進は、経営戦略会議の議長であるグループCEOが率先垂範しています。そして、経営戦略会議の下に、コンプライアンス担当執行役員を委員長とし、国内アンリツグループ各社の社員がメンバーとして参加する企業倫理推進委員会が、コンプライアンス推進活動を統括しています。また、企業倫理推進委員会およびその事務局である法務部は、法令対応の関連委員会とともに、海外アンリツグループ各社に対し、各国・各地域の法令・文化・慣習などを踏まえた倫理法令遵守を促し、必要な支援を行っています。さらに、海外アンリツグループ各社のコンプライアンス責任者と連携して、グローバルな推進体制を構築しています。なお、コンプライアンス推進体制が適正に機能しているかを内部監査部門が監査し、必要に応じて、提言・改善要請を行っています。
(12) 環境問題に関するリスク(③環境リスク)
当社グループは、気候変動、エネルギー、大気、水、有害物質、廃棄物、商品リサイクルなどさまざまな環境に関する法令及び規制等の適用を受けています。当社グループでは、事業活動や製品に関わる環境コンプライアンスの徹底はもとより、気候変動対策、循環型社会の形成、環境汚染予防に取り組んでいます。
しかしながら、環境規制の更なる強化や過去の行為に起因する環境責任の発生、自然災害などに起因した環境汚染の発生等が考えられます。これらの事象によって、法令遵守や環境対策のために必要なコストの増加等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります。
当社グループでは、ステークホルダーからの要請に応えるため、製品のライフサイクル全体にわたり環境とのかかわりを意識した製品を開発し、提供しています。また、地球温暖化防止、生物多様性保全などの観点から、オフィス・ファクトリーの省エネルギー化によるCO2排出量の削減、3R(リデュース・リユース・リサイクル)推進による廃棄物の削減、環境汚染防止に関して法、条例の規制より厳しい自主管理基準の設定による環境汚染リスクの低減に努めています。
(13) 製品の品質に関するリスク(④製品・サービスの品質リスク)
当社グループでは、品質マネジメントシステムの国際規格であるISO 9001の認証を1993年から取得し、製品の設計・開発から製造・サービス・保守に至るまでの一貫した品質管理をグローバルに展開しています。しかしながら、予測し得ない品質上の重大な欠陥といった事象の発生や製造物責任につながる事態が発生した場合には、社会的信用の失墜、訴訟の提起、社会的制裁、ブランドの毀損等に加え、補償や対策に伴うコストが発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります。
当社グループでは、製品品質の維持・向上と保証を図り、品質マネジメントシステムを適切に運用するために、品質マネジメントシステム委員会や内部品質監査委員会等を設けています。また、万一製品事故が発生した場合の体制の整備や製品事故予防のシステム及び再発防止に向けた取組について、検討を行っています。
(14) 訴訟に関するリスク(②法令違反リスク)
当社グループは、事業に関わる各種法令を遵守するとともに、知的財産権の適正な使用、契約条件の明確化、相手方との協議の実施等により紛争の発生を未然に防ぐよう努めています。
当連結会計年度において、当社グループに重要な影響を及ぼす訴訟等は提起されていません。しかしながら、重大な訴訟等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響をもたらす可能性があります。
(15) 情報セキュリティに関するリスク(⑥情報セキュリティリスク)
当社グループは事業活動を行ううえで、顧客及び取引先、株主、従業員などすべての関係者の情報を適切に保護することが社会的責務であり、また、情報資産が当社グループ及びすべての関係者にとって重要な財産であると認識しています。これらの情報資産について、サイバー攻撃による情報セキュリティ事故が発生した場合、当社グループの社会的信用の失墜、訴訟の提起、社会的制裁、ブランドの毀損等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります。
当社グループでは、情報セキュリティ管理体制を構築し、徹底した管理とセキュリティの維持・向上への取組や情報セキュリティ教育の実施などを継続的に行っています。グローバルに事業を展開する当社では、世界中のオフィスをネットワークで接続し、情報の共有化を進めてきました。情報セキュリティにおいては一カ所でも脆弱な部分があると、全体のセキュリティレベルに影響を及ぼすことから、グローバルで強固かつ均一なセキュリティシステムを構築することに取り組んでいます。
(16) 繰延税金資産に関するリスク(①ビジネスリスク)
当社グループは、税効果会計を適用し、繰延税金資産を計上しています。繰延税金資産の計算は、将来の課税所得に関する見積りを含めた予測等に基づいており、実際の結果が予測と異なる可能性があります。将来の課税所得の見積りに基づく税金負担の軽減効果が得られないと判断された場合、当該繰延税金資産は取り崩され、当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります。
(17) 確定給付制度債務に関するリスク(①ビジネスリスク)
当社及び一部の子会社の従業員を対象とした確定給付年金制度から生じる退職給付費用及び債務は、割引率等の数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されておりますが、確定給付制度債務の見込額を算出する基礎となる割引率等の数理計算上の仮定に変動が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響をもたらす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
1) 財政状態及び経営成績の状況
通信計測事業の分野における、ネットワークインフラの領域では、クラウドサービスの高度化や生成AIの普及拡大によるデータ・トラフィックの急増に対応するため、データセンターの新設及び大容量化が加速しています。800GEネットワークへの更新が本格化しており、光トランシーバーメーカーでは800GE向け光トランシーバーの生産が増強されていることに加え、1.6TE向け光トランシーバーの開発も進展しています。また、ネットワーク機器メーカーでは、PCIe(Gen6)(*1)などのハイスピードバスの開発が進展しています。さらに、データセンターのグローバル接続においては、新たな経路での光海底ケーブル敷設が、ハイパースケーラーによって進められているほか、ネットワークのオール光化に向けた活動も活発化しています。情報通信の領域では、5Gスマートフォン市場が成熟しつつありますが、AI搭載などの高機能・高付加価値スマートフォンが牽引して安定的に推移しています。5G利活用の領域では、Automotive分野における5G活用に向けた研究開発が進展しており、実証実験が継続されています。IoT(Internet of Things)の領域では、Wi-Fi 7(*2)の開発需要が増加しており、今後、Wi-Fi7の普及が加速していくことが期待されています。衛星を用いた通信サービスの非地上系ネットワーク(NTN:Non-Terrestrial Network)では、4GシステムのNB-IoT(Narrowband IoT)を用いた端末もリリースされ、関連した開発需要が見込まれます。また、2024年6月に標準化が完了した「Release 18」(*3)では、IoT向けのeRedCap(enhanced Reduced Capability)や5G NR(New Radio)を用いるNTNなどの機能向上が図られ、チップセットや端末への対応が進められています。さらに、3GPPにおいて次世代通信規格である6Gの仕様についての議論も始まり、研究開発も行われています。
PQA事業の分野においては、食品メーカーの人手不足を背景に、異物混入検査や包装品質検査などの品質保証プロセスの自動化、省人化に係る投資が行われており、需要が継続しています。また、日本市場における計量制度改正を背景とした自動重量選別機の需要も好調に推移しています。
環境計測事業の分野では、国内のEV/電池向け試験需要は、米国関税政策の影響やEV投資の調整局面を背景に顧客の投資に延伸がみられ、試験装置の需要には不透明さがあります。なお、中期経営計画GLP2026で重点開拓領域の一つとして掲げている「EV/電池」事業拡大の取組として、電力計測器及びデータ収集システムを提供するメーカーであるDEWETRON GmbHを連結子会社としました。
このような環境のなか、当社グループの経営成績は次のとおりとなりました。
当期は、受注高は124,564百万円(前年同期比10.6%増)、売上収益は117,462百万円(同4.0%増)、営業利益は14,828百万円(同22.3%増)、税引前利益は16,147百万円(同26.8%増)、当期利益は11,677百万円(同26.1%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は11,677百万円(同26.1%増)となりました。
当連結会計年度末の資産合計は、173,258百万円となり、前期末に比べ13,432百万円増加しました。
当連結会計年度末の負債合計は、40,541百万円となり、前期末に比べ4,982百万円増加しました。
当連結会計年度末の資本合計は、132,717百万円となり、前期末に比べ8,449百万円増加しました。
なお、当社グループの当連結会計年度の財政状態の状況は、「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 2) 財政状態」に記載しています。
(*1)第6世代のPCI Express規格(シリアル転送方式の拡張スロット用インターフェース規格)
(*2)第7世代のWi-Fi規格、第6世代(Wi-Fi 6)の使用帯域幅160MHzを320MHzまで拡張し、高速化を実現
(*3)3GPPで標準化される規格番号
セグメントごとの経営成績は以下のとおりです。各セグメント別の売上収益は外部顧客に対する売上収益を記載しています。
① 通信計測事業
当事業は、サービス・プロバイダ、ネットワーク機器メーカー、保守工事業者などへ納入する、多機種にわたる通信用及び汎用計測器、測定システム、サービス・アシュアランスの開発、製造、販売を行っています。
当期は、米国関税政策の影響で延伸していた顧客の投資は回復し、データセンター関連需要も好調に推移しましたが、第1四半期の落ち込みを取り戻すまでには至らず、前年同期比で減収となりました。一方、棚卸資産の圧縮やコストコントロールを継続して進めたことにより収益性が改善しました。この結果、売上収益は68,774百万円(前年同期比1.9%減)、営業利益は10,782百万円(同28.7%増)となりました。
② PQA事業
当事業は、高精度かつ高速の各種自動重量選別機、自動電子計量機、異物検出機などの食品・医薬品・化粧品産業向けの生産管理・品質保証システム等の開発、製造、販売を行っています。
当期は、食品市場における品質保証プロセスの自動化、省人化を目的とした設備投資需要や品質検査への関心の高まりを背景に、需要が好調に推移し、前年同期比で増収増益となりました。特に国内では、新製品の投入や、インバウンド需要による食品メーカーの生産能力増強、計量制度改正による自動重量選別機の更新等の需要を獲得しました。この結果、売上収益は31,033百万円(前年同期比9.9%増)、営業利益は3,318百万円(同17.0%増)となりました。
③ 環境計測事業
当事業は、EV/電池向け試験装置、電力計測器及びデータ収集システム、道路やダム・河川等の映像監視用モニタリングソリューションの開発、製造、販売を行っています。
当期は、2025年10月21日付でDEWETRON GmbHを連結子会社とし、第3四半期中の11月より連結対象としたことも影響し、前年同期比で増収となりました。一方、国内のEV/電池向け試験需要においては、米国関税政策の影響やEV投資の調整局面を背景に顧客の投資に延伸がみられ、前年同期比で減益となりました。この結果、売上収益は10,787百万円(前年同期比26.2%増)、営業利益は850百万円(同5.5%減)となりました。
④ その他の事業
その他の事業は、センシング&デバイス事業、物流、厚生サービス、不動産賃貸等からなっております。
当期は、売上収益は6,867百万円(前年同期比12.9%増)、営業利益は1,972百万円(同35.4%増)となりました。
2) キャッシュ・フローの状況
当期における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、49,314百万円となり、前期末に比べ780百万円減少しました。なお、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは、3,199百万円のプラス(前期は17,154百万円のプラス)となりました。
当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果獲得した資金は、純額で17,881百万円(前年同期は21,071百万円の獲得)となりました。これは、税引前利益の計上により資金が増加した一方で、法人所得税の支払により資金が減少したことが主な要因です。なお、減価償却費及び償却費は6,014百万円(前年同期比306百万円増)となりました。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は、純額で14,681百万円(前年同期は3,916百万円の使用)となりました。これは、子会社の取得による支出及び有形固定資産の取得による支出が主な要因です。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果使用した資金は、純額で6,405百万円(前年同期は12,257百万円の使用)となりました。これは、配当金の支払額5,139百万円(前年同期の配当金支払額は5,270百万円)による支出が主な要因です。
3) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) |
前年同期比(%) |
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通信計測(百万円) |
71,742 |
104.7 |
|
PQA (百万円) |
32,108 |
112.0 |
|
環境計測 (百万円) |
10,733 |
123.4 |
|
報告セグメント計(百万円) |
114,584 |
108.2 |
|
その他(百万円) |
6,878 |
115.9 |
|
合計(百万円) |
121,463 |
108.6 |
(注)金額は販売価格によっております。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
通信計測 |
75,369 |
112.6 |
27,471 |
139.6 |
|
PQA |
32,806 |
112.7 |
9,474 |
127.3 |
|
環境計測 |
8,866 |
88.4 |
4,555 |
87.8 |
|
報告セグメント計 |
117,043 |
110.3 |
41,501 |
128.4 |
|
その他 |
7,520 |
115.5 |
1,829 |
132.5 |
|
合計 |
124,564 |
110.6 |
43,331 |
128.6 |
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
通信計測(百万円) |
68,774 |
98.1 |
|
PQA (百万円) |
31,033 |
109.9 |
|
環境計測 (百万円) |
10,787 |
126.2 |
|
報告セグメント計(百万円) |
110,594 |
103.5 |
|
その他(百万円) |
6,867 |
112.9 |
|
合計(百万円) |
117,462 |
104.0 |
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、実際の結果は、将来に関する事項の記述とは異なる可能性があります。その主な要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しておりますが、それらに限定されるものではありません。
1) 経営成績
当社グループは、通信計測事業、PQA事業および環境計測事業の3つを報告セグメントとしています。
① 通信計測事業
当社グループの売上収益の59%を占める通信計測事業は、「ネットワークインフラ市場」「モバイル市場」「エレクトロニクス市場」向けの3つのサブセグメントに区分しております。
a. ネットワークインフラ市場
ネットワークインフラ市場には、有線・無線通信事業者のネットワーク建設、保守、監視及びサービス品質保証用途向けのソリューションや、ネットワーク機器メーカーの設計、生産、試験及び調整用途向けソリューション等を含めております。
当市場においては、クラウドサービスの高度化や生成AIの普及拡大によるデータ・トラフィックの急増に対応するために、データセンターの新設及び大容量化が加速しています。光トランシーバーメーカーでは800GE向け光トランシーバーの生産を増強しており、次世代1.6TE向け光トランシーバーの開発も進んでいます。また、ネットワーク機器メーカーでは、PCIe(Gen6)などのハイスピードバスの開発が進展しています。さらに、データセンターのグローバル接続においては、ハイパースケーラーによって新たな経路での光海底ケーブル敷設が進められているほか、ネットワークのオール光化に向けた活動も活発化しています。これに伴い、関連する計測ソリューションの需要が拡大しています。
当社は、通信機器の研究開発向けソリューションに加え、通信インフラの構築・監視からサービス品質保証までの総合ソリューションを提供することで、事業の拡大に取り組んでまいります。
b. モバイル市場
モバイル市場には、携帯電話サービスを行うサービス・プロバイダの端末受入検査用途向け計測器や、スマートフォン等の携帯電話端末、ICチップセット、その他関連電子部品メーカーの設計、生産、機能・性能検証、保守用途向け計測器等を含めております。
当市場の需要は、携帯電話サービスの技術革新や普及率、加入者数の推移のほか、端末/チップセットメーカーの新規参入又は撤退、端末やチップセットのモデルチェンジや出荷数等に影響される傾向があります。
通信計測事業の主要市場である情報通信分野においては、5Gスマートフォン市場が成熟しつつありますが、AI搭載などの高機能・高付加価値スマートフォンが牽引して安定的に推移しています。
5G利活用の領域においては、Automotive分野における5G活用に向けた研究開発が進展しているほか、IoT(Internet of Things)分野では、Wi-Fi 7(*1)の開発需要が継続しており、今後、Wi-Fi 7の普及が加速していくことが期待されています。衛星を用いた通信サービスの非地上系ネットワーク(Non-Terrestrial Network)としては4GシステムのNB-IoT(Narrowband IoT)を用いた端末もリリースされ、関連した開発の需要が見込まれます。
6Gの商用サービスは2030年の開始を目標に、国際標準化団体3GPPにおいて「Release 20」(*2)として規格検討が進められています。これに伴い、6G対応計測器の需要は2027年頃から本格的に立ち上がると見込んでいます。さらに、WRC-23で新たに定義されたFR3(7GHz~15GHz)帯の活用に向けた開発や、2028年のロサンゼルスオリンピックにおける6Gサービス提供を目指す動きが出ています。これらの取り組みにより、6G関連技術の開発需要は当初の想定よりも前倒しで拡大することが予測されます。
当社は、引き続き競争力のある最先端計測ソリューションを提供するとともに、開発ポートフォリオ・マネジメントを的確に遂行することで、収益基盤の強化に努めてまいります。
(*1)第7世代のWi-Fi規格、第6世代(Wi-Fi 6)の使用帯域幅160MHzを320MHzまで拡張し、高速化を実現
(*2)3GPPで標準化される規格番号
c. エレクトロニクス市場
エレクトロニクス市場には、通信ネットワークに関連する通信機器やその他の電子機器に使用される電子デバイスの設計、生産、評価をはじめ、エレクトロニクス分野で幅広く利用されている計測器等を含めております。
当市場の需要は、通信機器や情報家電、自動車等に使用される電子部品及び電子機器の生産規模に影響を受ける傾向があります。IoTサービスの拡大により、多岐にわたる用途の無線モジュールの開発・製造用計測ソリューション需要が堅調です。また、ANS(エアロスペース&ナショナルセキュリティ)に関連する計測器の需要も増加しています。
当社は、エレクトロニクス市場に対するソリューションを拡充し、更なる事業の拡大に努めてまいります。
② PQA事業
PQA事業は、当社グループの売上収益の26%を占めており、高精度かつ高速の各種自動重量選別機、自動電子計量機、異物検出機などの食品・医薬品・化粧品産業向けの生産管理・品質保証システム等の開発、製造、販売を行っています。
当事業は、食の安全安心に関する意識の高まりや、食品メーカーの業績に影響を及ぼす消費支出水準の変化に影響を受ける傾向があります。
日本市場においては、計量制度改正による重量選別機の更新需要の獲得に加え、インバウンド需要や自動化需要が追い風となり、好調に推移しました。また海外市場では、欧米・アジアの各地域で自動化・省人化を目的とした設備投資の需要拡大が継続し、好調に推移しました。なお、当事業の海外売上比率は約5割となっています。
食品メーカーや医薬品メーカーの品質検査への関心は高く、この需要に応えるために、新製品及び品質保証ソリューションの開発に努めるとともに、海外現地生産を含むサプライチェーンの最適化とグローバルオペレーションの効率化を推進し、事業拡大と収益性の向上に取り組んでまいります。
③ 環境計測事業
環境計測事業は、パワーエレクトロニクスとネットワークの2つの領域で事業を展開しており、当社グループの売上収益の9%を占めています。当事業は、EV/電池向け試験装置、電力計測器及びデータ収集システム、道路やダム・河川等の社会インフラ向け遠隔監視用装置の開発、製造、販売を行っています。EV/電池向け試験装置の売上収益が大きな比重を占めており、当市場の需要は各国のEVシフトに向けた政策や税制優遇による顧客投資の環境変化に大きな影響を受けます。
パワーエレクトロニクスの分野においては、世界的な脱炭素化の流れにより、自動車メーカーの電動化シフトが進展しており、バッテリ、インバータ、モータ等の開発投資が拡大しています。子会社である㈱高砂製作所は、高度なエネルギー制御技術を活かした電源システムに強みを持ち、自動車メーカーや自動車部品メーカー、バッテリメーカー等に、EVの駆動系やバッテリの試験装置を提供しています。国内のEV/電池向け試験においては、米国関税政策の影響やEV投資の調整局面を背景に顧客の投資に延伸がみられました。また、EV/電池およびANS(エアロスペース&ナショナルセキュリティ)、再生可能エネルギーの各分野における事業拡大を目的として、電力計測器及びデータ収集システムを提供するメーカーであるDEWETRON GmbHを第3四半期中の11月より連結対象子会社としました。当社はこの分野に向けて積極的な開発投資を進め、新製品およびソリューションを拡充し、事業のグローバル展開に向けた取り組みを加速させていきます。
ネットワークの分野においては、社会インフラ向けの遠隔監視用装置の需要は底堅く推移しました。
2) 財政状態
① 資産
資産合計は、173,258百万円となり、前期末に比べ13,432百万円増加しました。主な増加要因は、のれん及び無形資産の増加9,653百万円及び棚卸資産の増加3,856百万円です。
② 負債
負債合計は、40,541百万円となり、前期末に比べ4,982百万円増加しました。主な増加要因は、従業員給付の増加1,775百万円、営業債務及びその他の債務の増加1,710百万円及びその他の流動負債の増加1,433百万円です。
③ 資本
資本合計は、132,717百万円となり、前期末に比べ8,449百万円増加しました。主な増加要因は、利益剰余金の増加5,108百万円及びその他の資本の構成要素の増加4,597百万円です。一方で、自己株式の取得により資本が1,342百万円減少しました。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は76.6%(前期末は77.8%)となりました。
有利子負債残高は6,754百万円(前期末は6,072百万円)、デット・エクイティ・レシオは0.05(前期末は0.05)となりました。
(注)デット・エクイティ・レシオ:有利子負債/親会社の所有者に帰属する持分
3) キャッシュ・フロー
当社グループは、当連結会計年度末において49,314百万円の資金を保有していることから、将来の予測可能な資金需要に対して不足が生じる事態に直面する懸念は少ないと認識しています。
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「(1) 経営成績等の状況の概要 2) キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当連結会計年度の設備投資額は、5,766百万円(前年同期比71.0%増)となりました。主に主力の通信計測事業を中心に技術革新と販売競争に対処するための新製品開発と原価低減に向けた投資を継続しました。研究開発投資については、10,179百万円(前年同期比3.0%増)となりました。主に新製品開発とソリューションの競争力強化に向けた投資を実施しました。これらの設備投資額及び研究開発投資は、主に自己資金によって賄われました。
翌連結会計年度においては、約11,000百万円の設備投資と約11,000百万円の研究開発投資を予定しています。設備投資額は、開発環境基盤強化および製造設備の老朽化対応を目的とした投資等を見込んでおります。研究開発投資については、更なる事業拡大にむけて、主力の通信計測事業においては、競争力の強化、PQA事業については、グローバルビジネス展開を目的とした投資を行っていく他、環境計測事業においては、製品競争力の強化に向けた投資を行います。これらの設備投資額及び研究開発費投資を、主に自己資金によって賄う予定です。
4) 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要は、製品の製造販売に関わる部材購入費や営業費用などの運転資金、設備投資資金及び研究開発費が主なものであり、主に営業活動によって獲得した内部資金のほか、直接調達・間接調達により十分な資金枠を確保しています。また、2026年3月に設定した借入枠75億円のコミットメントライン(2029年3月まで有効)により財務の安定性を確保しています。今後とも、大きく変動する市場環境のなかで、国内外の不測の金融情勢に備えるとともに、運転資金、長期借入債務の償還資金及び事業成長のための資金需要に迅速、柔軟に対応してまいります。
当期末の有利子負債残高は、6,754百万円(前期末の有利子負債残高は6,072百万円)となりました。また、デット・エクイティ・レシオは0.05(前期末は0.05)となりました。
今後ともROEの向上、CCC(注)向上によるキャッシュ・フロー創出及びグループ内キャッシュ・マネジメント・システム等による資金効率化に取り組み、強固な財務体質の維持に努めてまいります。
当社の格付(R&I:㈱格付投資情報センター)は、発行体格付が「A」、短期格付が「a-1」となっています。当社は、更なる格付向上に向けて、新たな経営ビジョンのもと、安定した収益を上げる企業としての売上高2,000億円企業を目指してまいります。
株主還元については、連結当期利益の上昇に応じて、親会社所有者帰属持分配当率(DOE:Dividend On Equity)を上げることを基本に、連結配当性向50%以上の配当を行うとともに、総還元性向も勘案した株主還元施策も機動的に行っていくことを基本方針としています。
また、剰余金については、データセンター市場等への事業拡大、5G市場における競争力強化、IoTを活用した産業分野への事業展開、新成長分野の開拓及び6Gをはじめとした次世代技術の獲得等に向けた戦略的投資(含むM&A)のための資金需要等に備える計画です。このような新規事業への投資も含めて、企業価値の向上に取り組みます。
(注)CCC:キャッシュ・コンバージョン・サイクル
5) 経営戦略と今後の方針について
経営戦略と今後の方針は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準(IFRS会計基準)に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、予想される将来のキャッシュ・フローや、経営者の定めた会計方針に従って財務諸表に報告される数値に影響を与える項目について、経営者が見積りを行うことが要求されます。これらの見積りは過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、結果として、これらの見積りと実際の結果が異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4. 重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。
当社は、2025年4月25日開催の取締役会において、DEWETRON GmbHの全株式を取得することについて決議し、2025年4月26日付で株主であるTKH Group N.V.と株式譲渡契約を締結いたしました。この契約に基づき、2025年10月21日付で当該株式の取得を完了しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 7.企業結合」に記載しております。
当連結会計年度の研究開発投資(無形資産に計上された開発費を含む)の内訳は、次のとおりです。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 |
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売上収益比率(%) |
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通信計測 |
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11.3 |
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PQA |
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4.4 |
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環境計測 |
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7.1 |
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その他 |
139百万円 |
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2.0 |
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基礎研究開発 |
160百万円 |
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- |
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合 計 |
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8.7 |
また、セグメント別の主な研究開発成果は次のとおりです。
(1) 通信計測事業
1) MP2110A 光サンプリングオシロスコープ 200Gbps/Lane製造向け評価に対応
AIおよびクラウドサービスの拡大により、データセンター内通信の高速・大容量化が急速に進展しており、イーサネットは800GEから1.6TEへの移行が加速しています。これに伴い、1レーン当たり100 GBaud(*1)(200Gbps/Lane)のPAM4(*2)信号を用いた次世代光トランシーバーの開発・製造が本格化し、デバイス性能の高度化と量産対応の両立が求められています。こうした高速信号の性能を正確かつ再現性高く評価するため、従来以上に広帯域で高精度な測定が可能なサンプリングオシロスコープへの要求が一段と高まっています。
当社は、MP2110A 光サンプリングオシロスコープに搭載する、60 GHz帯域対応の新オプション「MP2110A-080」を開発しました。広帯域かつ高精度な測定への対応を目的として、光帯域60 GHzのO/E変換モジュールと、電気帯域80 GHzのサンプラモジュール(*3)を社内で設計したことで、高速PAM4信号においても十分な測定マージンの確保が可能となり、測定確度の向上が期待されます。また、4チャネル同時測定への対応や測定速度の向上により、製造用途における評価効率と生産性の向上が見込まれます。本ソリューションの提供を通じて、次世代高速光トランシーバーの量産評価を支援し、生産効率の向上に貢献するとともに、通信インフラ全体の信頼性向上を支えます。
2) MT9100A マルチチャネルファイバテスタの開発
AIやクラウドサービスの拡大に伴う長距離光通信の高速・大容量化によって、通信インフラには伝送容量の向上が求められています。時分割多重(TDM:Time Division Multiplexing)や 波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)などの多重化技術、並びに高度な信号処理技術(デジタルコヒーレント)の進展により、光ファイバの伝送容量は向上してきましたが、これらに加え、さらなる高密度伝送を可能にする空間分割多重(SDM:Space Division Multiplexing)技術が注目されています。特に、光伝送路(コア)間の干渉を抑えつつ、1本の光ファイバ内に複数のコアを設ける弱結合型マルチコア光ファイバ(MCF:Multi Core Fiber)は、大容量化に適した有力技術として期待されています。一方で、MCFの実用化に向けては、信号品質に影響を与える信号の干渉(コア間クロストーク)の定量評価・規格化や導入コストの低減が課題となっています。
当社が開発した、MT9100A マルチチャネルファイバテスタは、複数の光パルス試験機(OTDR:Optical Time Domain Reflectometer)を同期動作させるマルチチャネルOTDR方式により、コア間クロストークを距離分布として評価可能な測定機能を実現しました。最大4チャネルの同時測定により、伝送損失、反射減衰量、コア間クロストークを接続切替なしで測定でき、測定効率を向上させます。当社は本ソリューションを通じて、MCFの研究開発・規格化を支援し、次世代光通信インフラの実用化に貢献します。
3) ME7873NR/ME7834NR RF/プロトコル コンフォーマンス試験システムのNTN認証試験向け機能強化
コンフォーマンス試験は、モバイル通信サービスの品質を保つための世界的な評価基準として、世界中の通信事業者に広く受け入れられています。加えて、多くの先進的な通信事業者では、独自の端末品質評価体系も整備し、運用しています。
ME7873NR及びME7834NRは、RFおよびプロトコルのコンフォーマンス試験並びに通信事業者受入試験に対応した自動試験システムです。これまでに数多くの試験機能が認証団体(GCF/PTCRB(*4))や大手通信事業者に認証され、5G端末コンフォーマンス認証試験や端末受入試験に使用されています。
当社は端末評価・認証向け自動試験システムの機能強化を進め、衛星通信を活用した非地上系ネットワーク(NTN:Non-Terrestrial Network)に関する試験対応項目を拡充しました。あわせてGCF/PTCRB認証の取得範囲も拡大し、試験カバレッジの向上を図ることで、商用化に伴う端末認証・受入試験需要に貢献しました。また、Skylo社の認証規格への対応を拡大するとともに、国内通信事業者向けにDual SIM試験および事業者間ローミング試験への対応も実現しました。引き続き、世界の主要顧客向けに認証試験および端末受入試験を提供するメーカーとして、5G端末の品質向上に貢献します。
4) MT8000A ラジオコミュニケーションテストステーション FR3周波数帯対応ハードウエアの開発
ITU-RおよびWRC(World Radiocommunication Conference)では、6G(IMT‑2030)に向けた新規IMT用周波数として、FR1(Sub‑6)のカバレッジ特性と、FR2(ミリ波)の広帯域性の中間に位置する周波数資源として、7GHz帯~18GHz帯の利用が検討されています。この周波数帯はFR3と呼ばれ、実用的なアッパーミッドバンドとして、各国で進められている6G技術検証において注目を集めています。
FR3周波数帯は、広いカバレッジと大容量伝送の両立が可能な特性を有しており、通信速度・通信容量の大幅な向上が期待されます。これにより、AR/VRや8K動画配信、遠隔医療、工場のIoT化など、今後増加するデータトラフィックへの対応に加えて、AI、ISAC、NTNなど新しいユースケースにも柔軟に対応できる通信環境の整備が可能となります。
当社は、FR3で有力視される15GHz帯まで対応したRFモジュールを先行して開発し、次世代までを見据えた拡張性の高いテストプラットフォームを実現しました。本プラットフォームは、6Gの新規格における無線通信評価および認証試験に不可欠な試験装置として、チップセットベンダー、通信事業者および端末メーカーから高い需要が見込まれます。さらに、業界の標準化動向や認証団体(GCF/PTCRB)への対応を迅速に進めることで、国内外の主要通信事業者に対する試験機器としての信頼性を確立し、先端通信技術の普及と発展に貢献します。
5) MT8000A/MD8475B 車両緊急通報システムeCallテスタ機能強化
eCall (Emergency Call)は、交通事故発生時にモバイルネットワークを介して車載システムからPSAP(Public Safety Answering Point)と呼ばれる緊急連絡センターへ自動通報を行う緊急通報システムです。欧州連合(EU)では、新型車両へのeCallシステムの搭載が義務化され、その後各国への導入が拡大しています。
モバイルネットワークの世代交代・共存に伴い、eCallも従来の2G/3Gから4G化(NG-eCall)の規格が策定され、欧州では2026年1月1日から義務化がされています。当社が開発したeCallテスタは、実ネットワークを想定した世代間の相互運用試験に対応し、2Gから5Gまで全世代を網羅しています。また、EU規格で規定された適合性試験に対応し、法規適合性の認定機関から試験機器としての認証を取得しています。当社は本ソリューションを通じて、実ネットワーク運用で必要な機能評価のほか、規格準拠した適合性試験に対応し自動化環境で効率性を向上させることで、車載機器の品質向上とeCallシステムの発展に貢献します。
6) MT8000A/MD8475B SSNR/SSIP ロボティクスなど IoT市場拡大の機能強化
5Gの世界的普及により、今後はIoT機器への実装拡大が見込まれています。特にロボティクスの分野においては、AIの進化に伴って通信協調に基づくアプリケーションの高度化が期待されます。ロボティクスの自律動作・タスク処理能力の高度化には、クラウド基盤に通信で接続しAI処理と連動させることが不可欠であり、大容量/低遅延/多接続を特徴とする5G RedCapの活用が想定されます。
当社はMT8000A/MD8475B SSNR/SSIPによる無線端末の機能試験評価ソリューションにおいてRedCapの対応を行い、IoT機器やフィジカルAIの代表的な産業と見込まれるロボティクスの研究/開発向け試験ソリューションを開発しました。無線通信における通信制御の解析機能を有しているため、正常系におけるアプリケーションの定量評価に加え、通信異常系をシミュレートし通信混雑時などで発生の可能性がある異常系/準正常系の評価も可能となります。これにより、ロボティクスなどのアプリケーションが誤動作しないか、異常回避処置が機能するかといった評価をサポートすることができます。本ソリューションを通じて、社会スマート化といった産業の高度化を推進する取り組みに貢献します。
7) 標準化活動
通信計測事業における研究開発活動の重要な取り組みのひとつとして、国内外の標準化活動へ積極的に参画しています。情報通信産業における最先端の知識・技術を常に製品へ反映し、競争力に優れたソリューションをタイムリーに提供するために、主要な標準団体として現在3GPP、ITU-T、IEEE、PCI-SIG、IOWN Global Forum等へ参加し、4G/5G、データセンター、IoT/M2M、コネクテッドカーといった有線・無線通信事業の戦略立案や情報収集に役立てています。
特に移動通信システムの規格を策定する3GPPにおいては、4G/5Gの規格策定段階から基地局と携帯端末間の通信手順試験用コンフォーマンステスト(端末認証試験)の仕様策定に参画するとともに、2025年から開始された6G技術検討(Study Item)にも参画しています。国内外の通信オペレーター、チップセットベンダー、端末ベンダー、認証試験機関とも協業し、今年度はNTN, AI/Machine Learningなどのリリース18、19規格策定、リリース20に向けた6G Testability検討、および既存規格保守に取り組みました。NTNでは、リリース19より議論が開始された低軌道衛星(LEO-600等)が地球上空を周回する際の衛星軌道、信号伝送遅延、周波数ドップラーシフトの計算法の検討に貢献しました。また、リリース20の6G検討では新しい周波数帯(7GHz超)に対応するため、既存5G試験システムからの周波数拡張の可能性など、6Gで新たに求められる試験の実現性について検討を進めています。
当社は、試験規格の標準化活動を通じて得られた市場・技術動向を踏まえ、規格策定完了前から機能実装を行い、顧客の早期機能検証を支援するとともに、規格策定後は認証試験用プログラムとして製品に反映し、認証団体(GCFやPTCRB)を通じて無線通信端末の市場投入を支援しています。
また、PCI Express(*5)の規格を主導するPCI-SIGに継続的に参画し、次世代高速インターフェースの規格策定と実用化に貢献しています。PCI Gen6においては、認証テスト開始前の段階から複数のコンポーネントベンダーのデバイス評価の初期立ち上げを支援し、製品化リスクの低減および市場導入の円滑化に貢献しています。さらに、Gen7に向けたBase Test対応測定器を市場に投入し、次世代インターフェースの開発にも貢献しています。加えて、PCIe Optical Link規格化を背景に、光コンポーネントベンダーと連携したGen6光リンクの評価や展示会での発信を通じて、業界の持続的成長への貢献に取り組んでいます。
(*1)Baud
単位時間あたりの変調回数を表す単位。
(*2)PAM4
Pulse Amplitude Modulation 4の略。4値の電圧レベルで表現する信号方式の一つ。
(*3)サンプラモジュール
次世代高速通信信号の品質を評価するため、超高速な電気信号の波形を取得するためのモジュール。
(*4)GCF/PTCRB
GCF: Global Certification Forum
PTCRB: PCS Type Certification Review Board
それぞれヨーロッパ発祥、アメリカ発祥の認証機関であり、携帯端末が3GPPの規格に準拠していることの認証を行うとともに、コンフォーマンステストシステムの認証の役割も担っている。
(*5)PCI Express
PCI ExpressはPCI-SIGによって策定されたコンピュータの拡張バスの標準仕様で、CPUやメモリなどと通信する為のI/Oシリアルインターフェース。5.0は32GT/s、6.0は64GT/s、7.0は128GT/sのデータ転送速度。
(2) PQA事業
1) 透過型NIRによる錠剤全数検査装置 KZB7000(Ariphas®)の開発
医薬品やサプリメントにおいては、成分量のばらつきが消費者の安全や企業ブランドの信頼に影響することから、品質管理の厳格化が求められています。加えて、人手不足を背景に、製薬メーカー各社では品質向上と生産性向上の両立を目指し、生産ラインの自動化・省人化が進められています。
従来、錠剤の成分分析では、試料の前処理や測定に時間と人手を要するHPLC(*1)などの破壊検査が主流であり、サンプリングによる検査が一般的でした。そのため、製造工程において突発的に発生する不良品を十分に検知できないことが課題となっています。
当社は、透過型NIRを用いて錠剤内部の成分情報を取得することにより、成分量の均一性確認や異種錠剤の検知を非破壊かつインラインで全数検査が可能な装置(Ariphas)を開発しました。これにより、インライン全数検査に対応することに加え、従来型の反射型NIR検査技術では発見が困難であった、錠剤内部に混入した毛髪や虫などの生物由来異物の検出にも対応可能としています。さらに、1時間あたり最大25万錠の高速かつ高精度な測定・選別も実現し、多くのお客様の生産性と品質向上に貢献します。
2) 官能検査の自動化を実現するにおい検査機 KZA1006Aの開発
食品・飲料や化学製品分野において、「におい」は製品の価値を左右するだけでなく、品質異常を検知することができる重要な因子です。一方で、においは定量化や測定の自動化が難しい領域とされ、評価は長らく人による官能検査に依存してきました。官能検査では、検査員の経験や体調による検査結果のばらつき、評価の属人化、人手不足といった課題があり、計測器による定量評価が求められています。
当社は、人の嗅覚メカニズムに着想を得た40種類のにおいセンサとAI学習技術を組み合わせ、においの特徴を数値化・可視化する独自のにおい識別技術を搭載した検査機を開発しました。においの違いや類似度を高い再現性で捉えることが可能で、熟練者の感覚に依存していた評価を補完します。さらに、評価結果の共有も可能となることで、研究開発における分類・比較評価に加え、製造工程での香り管理や発酵状態の把握、出荷後製品の異臭原因調査など品質管理用途でも活用いただけます。これら当社のはかる技術を通じて、におい評価の標準化と運用負荷の軽減に貢献します。
(*1)HPLC(高速液体クロマトグラフィー)
錠剤などを溶解し、液体中で含有成分を分離・定量する分析手法
(3) 環境計測事業
1)電源とHILS(*1)を連携させたパワートレイン/バッテリ評価ソリューションの開発
温室効果ガス排出削減に向けた社会的要請を背景に、自動車市場ではEVシフト(電動化)が進展しています。EV開発では、コンポーネント集積によるeAxle(*2)化、全固体電池開発に伴う高電圧・大容量化が進む中、制御、熱、EMC、安全性などの適合性評価における試験設備の大型化や評価項目の増加が課題となっています。また、新規参入企業の増加により、EV開発競争がグローバルで激化しており、開発期間短縮やコスト削減が求められています。
当社子会社である高砂製作所のRZ X2シリーズをはじめとした大容量電源は、多くの自動車メーカーや自動車部品メーカーでパワートレイン/バッテリ評価用設備として広く採用され、EVの普及と性能向上に貢献しています。
当社は、さらなるEV開発の効率化を目的として、モデルベース開発ベンダーとの協業により、電源装置とHILSを連携させた、実車環境に近い評価ソリューションの開発を進めました。大手自動車メーカーと協働で実電池試験の検証を行い、本ソリューションの有効性を確認するとともに、今後の発展に向けた有用な知見を得ました。さらに、当社グループに加わったDEWETRONのデータ計測技術を組み込むことで、より効率的なソリューションの実現を図ります。
EV開発の効率化を通じて、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。
2) EN3001A/EN3003A アナログIP変換装置の開発
社会インフラを支える通信基盤の持続的な運用および環境負荷低減に貢献することを目的に、アナログIP変換装置の研究開発を行いました。
鉄道、水道、電力などの社会インフラ分野では、アナログ専用線を利用した通信設備が依然として多く存在する一方、回線の老朽化や保守・運用負担の増大を背景に、通信基盤のIP化が急速に進展しています。特に、NTTの専用サービスが2029年3月末に提供終了予定であることから、既存設備の継続運用が喫緊の社会課題となっています。
当社のアナログIP変換装置は、既存のアナログ通信設備を変更することなくIPネットワークへ収容することを可能とし、社会インフラを支える重要通信の安定的かつ継続的な運用を実現します。これにより、大規模な設備更新や工事を伴うことなく、段階的なIP化への移行を支援します。また、IP対応端末への一括更新により発生するレガシー設備の廃棄を抑制できることから、資源の有効活用を通じた環境負荷低減にも寄与します。当社は本研究開発を通じて、通信インフラの信頼性向上と持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
3) NVH計測(*3)向けモジュールの開発
自動車、航空宇宙、エネルギーをはじめとする各種産業分野において、高度なサービスを支えるシステムの複雑性が増している中、システムの運用状態における性能を適切に管理するためのNVH計測の重要性が高まっています。特に、高い測定精度や信号の忠実な再現性に加えて、複雑な動作条件下でも安定したデータ収集を可能とする堅牢性や、将来の拡張性を兼ね備えたソリューションが求められています。
こうした市場ニーズを踏まえ、当社はNVH計測および振動モニタリング用途に最適化した新たなモジュールシリーズを開発しました。本ソリューションは、極めて高い測定精度と急峻なフィルタ特性を備えており、動的かつノイズの多い環境下においても優れた信号分離性能を発揮し、低振幅信号の確実な検出を可能としています。これは、NVH計測市場における当社の競争優位性を一段と強化します。
また、本シリーズは従来のモジュールファミリーを置き換える次世代プラットフォームと位置付けており、長期的な製品アーキテクチャの一貫性維持に資するものです。当社は今後も、各産業分野における高品質なサービス提供に貢献すべく、最先端のソリューションを提供してまいります。
(*1)HILS
HILS(Hardware-in-the-Loop Simulation)とは、実機ハードウエアをシミュレーション環境に組み込み、仮想的な運転条件下で動作検証や性能評価を行う手法。開発初期段階での品質向上や開発効率化に寄与する技術。
(*2)eAxle
eAxle(electric axle)とは、電動モータ、インバータ、減速機などの駆動系コンポーネントを一体化した電動車両用の駆動ユニット。システムの小型・軽量化や効率向上に寄与する技術。
(*3)NVH計測
Noise, Vibration, Harshness:騒音・振動・乗り心地に関する指標。製品やシステムが発生する音や振動特性を定量的に測定・評価し、快適性や品質の向上、異常検知などに活用するための計測技術。