第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

下記の事項には、将来に関するものが含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針

当社グループ(当社および連結子会社)は、「-共に未来を生きる- 私たちは革新的なモノづくりを通じて、世界中のお客様と社会のために、安らぎに満ちた、今日にない明日を届けます。」という企業理念の下お客様と社会に寄り添い、新しい価値の提供により、快適・安心・安全な社会の実現に貢献することを目指しております。

 

(2)経営環境および対処すべき課題

当社グループ(当社および連結子会社)の主力事業である空調機は、日本や欧州でヒートポンプ技術を活用した「再生可能エネルギー利用機器」と位置付けられています。また、世界各国・地域においてクリーンかつ省エネ性・快適性・安全性に優れた必需品であるだけでなく、暖房や給湯用途で化石燃料機器の代替製品として気候変動の抑制に貢献すると期待されております。さらに、急速に進展するIoTやAIなどデジタル技術を活用した新たな製品・サービスの拡大も見込まれ、中長期的に需要が増加すると予想されております。

情報通信・電子デバイスでは、情報通信システムにおいて、災害対応力強化への社会的要請を背景に消防・防災システムの機能高度化・拡充が進展する見込みです。また、電子デバイスでは、産業用ロボットの導入分野拡大に伴い、電子部品・ユニット製造を中心に当社のコア技術を活かせる分野の拡大が期待できます。

これらの事業機会の拡大と同時に、各市場での競争はより一層激化しております。また昨今の新型コロナウイルスの感染拡大への対応をはじめ、予測困難な状況下での事業継続とリスク耐性を確保しつつ、環境変化を迅速かつ的確に捉え、他社に先んじて対応することがますます求められております。

このような状況において当社グループは、今後の成長を牽引する空調機を中心とした強固なビジネス基盤の構築に向けて、開発・販売力をさらに強化するための積極的な先行投資を行うとともに、引き続き全社的なオペレーションの高度化による企業体質強化を進めてまいります。これにより、継続的な売上拡大と利益率向上を図り、本業を通じた持続可能な社会実現への貢献を果たすべく、以下の施策を実行してまいります。

 

①空調機ビジネスモデルの構築

従来の当社事業領域の強化とあわせ、取扱商品分野のさらなる拡大、ソリューション領域への進出により、当社の空調機ビジネス全体を大きく拡大・変貌させることに取り組んでおります。

具体的には、これまで進めてきた代理店の子会社化も含めた販売体制の強化や、他社との協業・提携等により取扱商品の種類を増やし、さらなる拡販に取り組んでまいります。また、空調設備設計や据付、メンテナンスといったサービスビジネス分野への進出についても、引き続きM&Aや販売子会社の参入を通じて展開地域の拡大を進めてまいります。さらに、IoT・AIなど先進技術の活用やオープンイノベーションを通じた新たな価値の創造、機器買い替え時のリサイクル事業の体制強化など、ハード・サービス両面のドメイン拡大によって、お客様の空調ライフサイクル全般にわたるベストソリューションの提供を目指します。

 

〔空調機開発体制の革新〕

空調機ビジネスの拡大を進める上での原動力となる自社開発製品の競争力をさらに高めるため、昨年6月に竣工した川崎本社内の研究開発施設「イノベーション&コミュニケーションセンター」をはじめ、各拠点の技術設備・人員増強により、川崎本社、タイ、中国の開発3極体制の強化に取り組んでおります。また、開発機種数の増加やIoT・AI活用に対応するため、組織力強化活動やソフトウェア革新活動をより一層進めるとともに、昨年8月に開設した「技術アカデミー」で次代を担う技術者育成と開発リーダー層のマネジメント力養成を推進し、開発部門の強化を図ってまいります。これらに加え、外部リソースも積極的に活用し、IoTやAIを活用した製品の展開と商品ラインアップの拡充を推進してまいります。

 

〔空調機営業活動の強化〕

重点テーマである「5大拡大プロジェクト」*¹を推進し、さらなる販売拡大を目指します。

海外では、拠点増強も含めた地域戦略や商品戦略の強化、技術サポートや研修体制の強化による販売網とサービス体制の拡充に取り組んでまいります。

国内では、量販店ルートにおけるシェア拡大を図るとともに、住宅設備ルートにおける新規顧客開拓、工事・サービスを含めた体制強化による販売拡大を進めてまいります。

*¹[5大拡大プロジェクト]

①海外コマーシャルビジネスの拡大、②国内住宅設備ルートの積極攻略、③インド市場の攻略・拡大、

④協業加速による北米ビジネス拡大、⑤提携ビジネスの推進

 

②情報通信・電子デバイスのビジネス基盤の強化

情報通信システムでは、消防・防災システムの提供を通じて、住民の安心・安全を支える防災・減災基盤づくりに貢献するとともに、公共無線を軸とした機能向上・保守に取り組んでいきます。また、民需システムでは、外食産業のお客様向けを中心として、システムの導入だけでなく、深刻化する人手不足に対応したBPOサービス*²を提供し、ビジネス領域を拡大してまいります。

 

*²BPOサービス:システムを利用してお客様が行っていた業務そのものを受託するサービス

 

電子デバイスでは、電子部品・ユニット製造においては、設計から製造までの一貫した対応により顧客企業のニーズに応え、新規顧客開拓と既存顧客の深耕に取り組んでまいります。また、当社の強みである小型・高画質カメラの技術を、従来の車載用に加え、産業機器等へも展開してまいります。

 

③トータルコストダウンの推進・キャッシュ創出力の強化

事業活動のあらゆる局面において省エネ・省資源化と生産性向上を追求し、利益率向上に向けたトータルコストダウンを推進してまいります。生産面ではタイ第二工場の立上げにより、今後の販売拡大への対応を図るとともに、タイ・中国の生産拠点間の生産バランス改善、基幹部品の内製拡大など、さらなる原価低減を進めてまいります。開発面でも設計の上流段階から生産・調達部門、部品ベンダー等と連携してVE効果を高めるほか、設計標準化を通じ部品共通化等を推進してまいります。同時に、生産・販売・在庫計画を一元管理するGDM(グローバル・ディマンドチェーン・マネジメント)においても、基幹システムの再構築を含め、各部門の連携をより一層強化し、期中を通した棚卸資産の適正化、物流コストの低減、リードタイム短縮によるムダの削減に取り組み、「ものづくり」の強化と顧客満足度向上を進めてまいります。

また、財務面においても、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)*³の短縮など資金効率の一層の改善を進め、積極的な先行投資など事業の健全な成長に向けた資金を継続的に生み出す力を強化してまいります。

 

*³CCC:企業の資金効率を示す指標。売上債権回転日数と棚卸資産回転日数の和から、買掛債務回転日数を差し引いた数値で表される。

 

さらに、事業を通じて社会的責任を果たすべく、CSRを推進する組織体制を強化し、環境負荷低減や循環型社会形成をはじめとする社会課題の解決と企業価値向上の両立を目指します。また、大規模災害などの発生時でもお客様と従業員の安全を確保しつつ製品・サービス供給を継続・早期復旧できるようBCM(事業継続マネジメント)を強化してまいります。

 

これらを実現するためには、従業員一人ひとりの力を結集することが不可欠です。従業員が健康で気力を保ち、生産性とモチベーションの向上を図れるよう、企業理念の浸透と実践に努めるとともに、新たな時代に即した働き方改革を推進するための制度刷新や柔軟な勤務形態に対応した環境整備など、さらなる発展の土台となる企業風土改革を進めてまいります。

こうした努力を続けることにより、経営基盤をさらに強化し、お客様や社会からの信頼をより一層強固なものとし、当社グループの継続的な成長を目指して常に自己革新を追求してまいります。

 

(新型コロナウイルスの影響について)

新型コロナウイルス感染拡大が世界の人々の生活に重大な影響を及ぼし、当社グループの業績も一時的にその影響を受けておりますが、当社グループの事業である空調機、情報通信システム、電子デバイスは、持続可能な社会にとって必要不可欠なものであり、今後とも快適・安心・安全な社会づくりの一端を担う企業グループとして、その責任を果たしてまいります。

また、今回の感染拡大を契機として、部材のマルチソース拡大や柔軟な生産体制の拡充によるサプライチェーンのさらなる強化を進めるとともに、在宅勤務をはじめとする柔軟な働き方の確保や、快適・安心・安全が一層求められる今後の社会に適合した製品・サービスの提供など新たな価値の創出に取り組んでまいります。

2【事業等のリスク】

当社グループ(当社および連結子会社)の事業等に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項は、下記の通りであります。

下記の事項には、将来に関するものが含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。

 

(1)製品の需要変動

当社グループは、空調機を中心としてワールドワイドに事業を展開しており、製品の需要は、製品を販売している様々な国や地域における経済状況等の影響を受けます。従いまして、天候不順や景気後退等に伴う大幅な需要変動が生じた場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)為替レートおよび金利の変動

当社グループは、為替変動および金利リスクの影響を軽減するために、ヘッジ等を通じてこれらのリスクによる影響を最小限にとどめる措置を講じております。特に、為替については、当社グループの海外売上高比率が約70%あり、かつ、主力の空調機セグメントは主に中国・タイの工場で製品を製造しているため、外部および関係会社間の外貨建取引の割合が高くなっていることから、為替レートの変動が急激な場合、当社グループの業績および財務状況に多大な影響を及ぼします。この影響を軽減させるため、グループ各社の仕入通貨と販売通貨をマッチングさせるなど、為替リスクの軽減を図っております。また、外貨建債権債務に対しては、為替予約等によりリスクヘッジを行っております。さらに、グループ各社の為替ポジションを当社財務経理部門で把握しており、為替レートの変動に対して適宜対応できる体制をとっております。これらの取り組みにより影響を最小限にとどめるよう努めておりますが、急激な為替および金利の変動は、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)部材の調達および市況変動

当社グループは、戦略的提携等を通じて基幹部品の供給確保に努める一方で、素材および部品の調達を外部の取引先に依存しているため、コンプレッサーや電子部品などの調達部材の供給環境が著しく悪化した場合や、銅およびアルミなどの市況が急激に変動した場合には、当社グループの業績および財務状況に多大な影響を及ぼします。この影響を軽減させるため、銅については価格のヘッジ等を行うとともに、部材のマルチソース拡大、設計の標準化、内製化の拡大、調達先との関係強化等によるコスト削減と安定調達に努めておりますが、調達部材の供給環境が著しく悪化した場合や、市況変動に伴い調達部材の価格が急激に高騰した場合には、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)商品開発力

当社グループが継続して成長していくためには、独創的かつ魅力ある商品をタイムリーに提供していく必要がありますが、当社グループの製品・サービスの価値を相対的に著しく低下させるような、画期的な新商品、新技術等が他社によって開発された場合には、当社グループの将来の成長、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)海外での事業活動

当社グループは、エアコンの生産を海外で行っており、また販売活動についても世界各国において展開しております。海外での事業活動には、予期しない政策や法規制の変更、産業基盤の脆弱性、雇用・労働問題、政情不安など、各国・地域における政治・経済面での不確定要因が存在する場合があり、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)他社との提携等

当社グループは、事業強化を目的として合弁や技術提携・協業等の形で他社と共同で事業活動を行っているほか、空調機事業においては、販売代理店制度を採用している地域があります。既存の提携先や代理店等の経営方針、経営環境の変化や財政状態の悪化等の影響を受けた場合や、提携・M&A等において期待した成果が得られない場合には、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(7)法的規制等の影響

当社グループは、国内外において環境関連規制や知的財産に係わる紛争等の影響を受け、事業活動が制限される恐れがあるほか、各国の税法・競争法等に違反したと判断された場合には、刑事処分、課徴金等の行政処分または損害賠償請求を受ける可能性があります。当社グループとしては、コンプライアンス体制の強化および法的手続きによる権利の保全に万全を期しておりますが、コンプライアンス上のリスクを完全に排除することはできない可能性があり、国内外の関連法令や規則等に抵触する事態が発生した場合には、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)製品等の品質

当社グループは、製品・システムおよびその施工に関する品質保証について万全を期しておりますが、製品の欠陥やシステム・工事の瑕疵が全く発生しないという保証はありません。予期せぬ事態に備え賠償保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。万一リコール等に発展する品質問題が発生した場合には、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)人材の確保

当社グループが継続して成長していくためには、必要とする人材の確保・育成が不可欠であります。しかし、人材の獲得競争が激しさを増すなか、人材の採用・育成が計画どおり進まなかった場合には、当社グループの将来の成長、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)情報管理

当社グループは、グループ各社が保有する個人情報や機密情報の保護・管理について、社内規程の策定、従業員教育等を通じ、情報流出の防止に細心の注意を払っておりますが、情報の流出・漏洩のリスクを完全に排除することはできない可能性があり、国内外の情報管理に関する関連法令・規則等に抵触する事態が発生した場合には、その対応に要する多額の費用負担や当社グループの社会的信用の低下等により、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります

 

(11)自然災害その他

当社グループは、国内および世界各国で事業を展開しております。不測の事態に備え、調達先の分散や生産拠点の相互補完等を含めたBCM(事業継続マネジメント)の強化を図っておりますが、世界的な気候変動、地震・洪水等の自然災害や火災等の事故災害、新たな感染症の流行、テロや戦争、その他の要因により社会的混乱や社会・経済活動の制限等が発生した場合、事業活動の停止や機会損失、復旧のための多額の費用負担等により、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

なお、新型コロナウイルス感染症に対しては、社長を本部長とする対策本部を設置し、お客様、お取引先様および従業員とその家族の安全確保と感染拡大の防止を最優先としつつ、お客様への製品・サービスの提供を継続することに努めております。具体的には、柔軟な生産体制の構築や部材のマルチソース拡大等により生産・調達活動への影響を最小化するとともに、国内および海外各国の状況に応じて、従業員に対する在宅勤務やウェブを活用した新しい働き方の推進をはじめとする諸施策を実施しています。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大およびそれに伴う経済活動、消費行動の停滞による市場環境のさらなる悪化、当社グループの生産・物流・営業活動等に支障が生じた場合には、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①経営成績の状況

当連結会計年度(2019年4月1日から2020年3月31日まで)におきましては、電子デバイスは減収となりましたが、空調機および情報通信システムの売上が増加し、連結売上高は2,621億1千7百万円(前年度比3.7%増)となりました。

損益につきましては、空調機において、第4四半期における新型コロナウイルス感染拡大に伴う生産・販売減少のほか、為替のマイナス要因などがありましたが、コストダウンが着実に進展したことに加え、情報通信システムの増収効果による下支えもあり、営業利益は149億4千1百万円(同2.4%増)となりました。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前年度の為替差益がなくなったことに加え、インドなどの海外事業等再編費用を特別損失として計上したことから、それぞれ136億8千3百万円(同3.1%減)、57億6千5百万円(同35.2%減)となりました。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

 

<空調機部門>

空調機部門では、アジア、中華圏の販売が厳しい状況で推移するとともに、第4四半期に国内外向けとも新型コロナウイルス感染拡大に伴う中国工場を主とした稼働率低下の影響を大きく受けたものの、欧州や中東向けの販売が伸長したほか、前年度に実施したM&Aによる連結化効果も加わり、売上高は2,301億4千8百万円(同2.3%増)となりました。営業利益は、コストダウンが着実に進展しましたが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う生産・販売減少のほか、為替のマイナス要因により、104億9千3百万円(同3.0%減)となりました。

 

〔海外向け〕

売上高は、1,728億5千2百万円(同4.4%増)となりました。

 

米州では、北米において、新型コロナウイルス感染拡大や暖冬による生産・販売影響により、ルームエアコンの売上は前年度を下回りましたが、VRF(ビル用マルチエアコン)はラインアップ拡充の効果などから販売が増加するとともに、米国で主流の全館空調方式エアコンも販路拡大などにより大幅に伸長し、売上が前年度を上回りました。

 

欧州では、新型コロナウイルス感染拡大に伴う生産影響を受けたものの、フランスを中心にルームエアコンの販売が堅調に推移するとともに、VRFでは施工性に優れたライトコマーシャル市場向け機種のラインアップ拡充の効果もあり、販売が増加しました。さらに、ATW(ヒートポンプ式温水暖房システム)においても、フランスにおける環境負荷の低減を目的とした補助金政策により販売が好調に推移し、売上が増加しました。

 

中東・アフリカでは、不透明な政治経済情勢が続いておりますが、前年度から進めている現地在庫の削減が計画どおり進展し、下半期より出荷が増加したことから、売上が増加しました。

 

オセアニアでは、オーストラリアにおける市場減速に加え、販売通貨下落の影響による売上の目減りがありましたが、空調エンジニアリング会社の連結化効果により、売上が増加しました。

 

アジアでは、主力市場のインドにおいて現地在庫の削減に努めたほか、当社販売子会社による直販体制への移行途上にあったことから、売上が減少しました。なお、今後は販売促進・サービス網の強化を進め、現地ニーズに適合した新機種をはじめさらなる拡販に取り組んでまいります。

 

中華圏では、中国において、景気減速に加え、第4四半期に新型コロナウイルスによる経済活動停滞の影響を受けるなか、VRFの販売は中小規模案件に注力し、現地通貨ベースでは前年度並みとなったものの、ルームエアコンの販売低迷により、売上が減少しました。

 

なお、前年度に子会社化したインドおよびオーストラリアの現地企業による空調ソリューションビジネスは、機器販売に比べ新型コロナウイルスの影響が軽微なこともあり、順調に進展しております。今後もソリューション事業の拡大に努めるとともに、ハードビジネスとのシナジー効果の創出により、お客様の空調システムのライフサイクル全般にわたるソリューションの提供を目指してまいります。

また、当社は、製品のハード面だけでなく、ユーザーインターフェースなどソフト面も含めたデザインを中核要素の一つとして掲げ商品開発を進めており、本年、欧州向け天井吊り下げタイプの業務用エアコン、国内向けの新機種「ノクリア」SVシリーズや「ノクリア」Xシリーズの据え置き型リモコンが世界的に権威のあるデザイン賞を受賞しました。

 

〔国内向け〕

売上高は、572億9千6百万円(同3.4%減)となりました。

夏期の天候不順や暖冬といった天候要因に加え、新型コロナウイルス感染拡大に伴う生産影響もありましたが、重点施策として取り組んでいる住宅設備ルートの販売が堅調に推移し、売上は微減にとどまりました。なお、本年4月、横幅70㎝を切るコンパクトさと洗練されたデザインに加え、当社独自の「熱交換器加熱除菌」などの清潔機能を備えた新機種「ノクリア」SVシリーズを発売しました。

 

<情報通信・電子デバイス部門>

情報通信・電子デバイス部門では、電子デバイスの販売は減少しましたが、情報通信システムの販売増により、売上高は301億5百万円(同15.9%増)、営業利益は39億7百万円(同43.4%増)となりました

 

〔情報通信システム〕

売上高は、187億6千8百万円(同37.7%増)となりました。

公共システムにおいて、受注済みシステムの納入が順調に進展したほか、商談案件の増加を背景とした新規受注やストックビジネスも堅調に推移しました。また、民需システムにおいても、外食産業向け店舗システムの新規商談獲得などによる販売増があり、売上が増加しました。

 

〔電子デバイス〕

売上高は、113億3千7百万円(同8.1%減)となりました。

産業用ロボット向けを中心とした電子部品・ユニット製造において、需要回復傾向にあった下半期は増収となったものの、上半期における米中貿易摩擦の影響等による需要減が大きく、売上は前年度を下回りました。また、車載用カメラも自動車市場低迷の影響により、売上が減少しました。

 

<その他部門>

売上高は18億6千3百万円(同4.6%増)、営業利益は5億4千万円(同48.2%減)となりました。

 

②財政状態の状況

Ⅰ 資産、負債および純資産の概況

当連結会計年度末の総資産につきましては、川崎本社敷地内の研究開発施設「イノベーション&コミュニケーションセンター(以下、ICC)」の建設および空調機生産子会社Fujitsu General (Thailand) Co.,Ltd.(以下、FGT)の新工場稼働等に伴う固定資産の増加に加え、たな卸資産などの増加はありましたが、受取手形及び売掛金などの減少により、前連結会計年度末比25億3千3百万円減少し、2,132億5千万円となりました。

負債につきましては、借入金などの増加および海外事業等再編引当金の計上はありましたが、支払手形及び買掛金などの減少により、前連結会計年度末比1億2千2百万円減少し、1,025億3千9百万円となりました。

純資産につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益の計上はありましたが、為替換算調整勘定など、その他の包括利益累計額の減少により、前連結会計年度末比24億1千1百万円減少し、1,107億1千1百万円となりました。

この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は0.6%減少し、50.1%(前連結会計年度末は50.7%)となりました。

 

Ⅱ キャッシュ・フローの概況

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、たな卸資産の増加による運転資本の増加はありましたが、税金等調整前当期純利益の計上および減価償却費を源泉とした収入等により、97億2千4百万円の収入(前連結会計年度は85億1千3百万円の収入)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、ICCおよびFGT新工場の建屋に加え開発・生産設備ならびにITシステムへの投資等により191億4千1百万円の支出(同125億1千5百万円の支出)となりました。この結果、当連結会計年度のフリー・キャッシュ・フローは94億1千6百万円の支出(同40億2百万円の支出)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、配当金の支払等がありましたが、金融機関から資金調達を行ったことにより、20億9千万円の収入(同31億7千2百万円の支出)となりました。

この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末比78億4千万円減少し、275億7千1百万円となりました。

③生産、受注および販売の実績

Ⅰ 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

 至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

空調機(百万円)

238,190

8.6

情報通信・電子デバイス(百万円)

26,755

16.8

合計(百万円)

264,945

9.4

 (注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

    2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

Ⅱ 受注実績

当社グループ(当社および連結子会社)の製品は、需要予測による見込生産が主体のため、受注実績を記載しておりません。

Ⅲ 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

 至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

空調機(百万円)

230,148

2.3

情報通信・電子デバイス(百万円)

30,105

15.9

報告セグメント計(百万円)

260,254

3.7

その他(百万円)

1,863

4.6

合計(百万円)

262,117

3.7

 (注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

    2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

    3.総販売実績に対する割合の10%以上を占める相手先はありません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容

当連結会計年度は、販売面では、電子デバイスは減収となりましたが、空調機および情報通信システムの売上が増加し、為替を除く売上高は前連結会計年度比7%増となりました。損益面では、空調機において、第4四半期における新型コロナウイルス感染拡大に伴う生産・販売減少のほか、為替のマイナス要因などがありましたが、コストダウンが着実に進展したことに加え、情報通信システムの増収効果による下支えもあり、営業利益は149億円と前連結会計年度比3億円(前連結会計年度比2%増)の増益となりました。経常利益は137億円(同3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は58億円(同35%減)となりました。

なお、当連結会計年度の銅価格および主要通貨の為替レートは記載のとおりであります。

 

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Ⅰ 売上高

当連結会計年度の売上高は2,621億円と前連結会計年度比94億円(同4%増)の増加となりました。このうち空調機部門では、アジア、中華圏の販売が厳しい状況で推移するとともに、第4四半期に国内外向けとも新型コロナウイルス感染拡大に伴う中国工場を主とした稼働率低下の影響を大きく受けたものの、欧州や中東向けの販売が伸長したほか、前年度に実施したM&Aによる連結化効果も加わり、売上高は2,301億円と前連結会計年度比52億円(同2%増)の増加となりました。情報通信・電子デバイス部門では、電子デバイスの販売は減少しましたが、情報通信システムの販売増により、売上高は301億円と前連結会計年度比41億円(同16%増)の増加となりました。その他部門の売上高は、19億円と前連結会計年度比1億円(同5%増)の増加となりました。

 

Ⅱ 営業利益

当連結会計年度の営業利益は149億円と前連結会計年度比3億円(同2%増)の増益となりました。

空調機部門においては105億円と前連結会計年度比3億円(同3%減)の減益となりました。変動要因は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う中国工場を主とした稼働率低下による販売物量減少影響で43億円減益、海外向け空調機の増収効果と売価の引き上げで27億円増益、調達環境や素材市況の回復を背景にコストダウンを進め52億円増益、バーツ高、ユーロ・豪ドル安による為替影響で26億円減益、先行投資や販売促進費が増加したことで13億円減益となっております。

情報通信・電子デバイス部門においては情報通信システムの増収効果などにより、39億円と前連結会計年度比12億円(同43%増)の増益となりました。

その他部門においては5億円と前連結会計年度比6億円(同48%減)の減益となりました。

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Ⅲ 経常利益

当連結会計年度の経常利益は137億円と前連結会計年度比4億円(同3%減)の減益となりました。営業外損益は純額で12億円(損)となり、前連結会計年度比7億円悪化いたしました。この主な要因は前連結会計年度の為替差益がなくなったことによるものであります。

 

Ⅳ 親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の137億円から、特別損失として計上したインドなどの海外事業等再編費用および税金費用ならびに非支配株主に帰属する当期純利益を控除し、58億円と前連結会計年度比31億円(同35%減)の減益となりました。

この結果、1株当たり当期純利益は55.11円となり、前連結会計年度比29.88円減少いたしました。

Ⅴ 経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「2 事業等のリスク」に記載しております。そのなかでも、為替レート、素材・部品価格の市況変動が経営成績に与える影響は直接的であり、かつ、重大なものと認識しております。

為替については、当社グループの海外売上高比率が約70%あり、かつ、主力の空調機セグメントは主に中国・タイの工場で製品を製造しているため、外部および関係会社間の外貨建取引の割合が高くなっていることから、為替レート変動が急激な場合、当社グループの業績および財務状況に多大な影響を及ぼします。この影響を軽減させるため、グループ各社の仕入通貨と販売通貨をマッチングさせるなど、為替リスクの軽減を図っております。また、外貨建債権債務に対しては、為替予約等によりリスクヘッジを行っております。さらに、グループ各社の為替ポジションを当社財務経理部門で把握しており、為替レートの変動に対して適宜対応できる体制をとっております。

素材・部品については、戦略的提携等を通じて基幹部品の供給確保に努める一方で、調達を外部の取引先に依存しているため、コンプレッサーや電子部品などの調達部材の供給環境が著しく悪化した場合や、銅およびアルミなどの市況が急激に変動した場合には、当社グループの業績および財務状況に多大な影響を及ぼします。この影響を軽減させるため、銅については価格のヘッジ等を行うとともに、部材のマルチソース拡大、設計の標準化、内製化の拡大、調達先との関係強化等によるコスト削減と安定調達に努めております。

上記に加え当社グループは、トータルコストダウンの推進や商品構成の改善などによる平均売価アップなどにより、為替レート、素材・部品価格の市況変動に伴う損益影響を極力低減すべく、たゆまぬ努力を重ねてまいります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討並びに資本の財源および資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況 Ⅱ キャッシュ・フローの概況」に記載のとおりであります。

当社グループにおいては、事業上必要な運転資金および設備投資資金は、利益と資金効率で生み出したキャッシュで賄うことを基本方針としております。その上で、成長投資のための多額のキャッシュが必要となった場合は、銀行借入や社債等の調達手段のなかから、適宜、最適と判断する手段にて調達する方針としております。

当社グループは、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)を資金効率の指標とし、売上債権の圧縮、棚卸資産および買掛債務の適正化を図ることで、自己資金を生み出す力の強化を図っております。

なお、当連結会計年度末における借入金残高は5,566百万円、リース債務を含む有利子負債残高は6,337百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物残高は27,571百万円となっております。

 

③重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結貸借対照表上の資産および負債の計上額、ならびに連結損益計算書上の収益および費用の計上額には、過去の情報および将来の予測等をもとに行った合理的な見積りおよびその基礎となる仮定が含まれており、実際の結果は異なる場合があります。

当社の連結財務諸表に適用している重要な会計方針等は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に記載しておりますが、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性のある見積りを含む会計方針は以下のとおりであります。

 

Ⅰ 貸倒引当金

売上債権、貸付金等の債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。将来、顧客の財務状況の変化などにより回収不能見込額が変動した場合には、引当金の追加計上または取崩しが必要となる可能性があります。

 

Ⅱ 製品保証引当金

販売した製品の無償アフターサービス費用に備えるため、経験率および個別見積りに基づき計上しております。経験率の見直しなどにより、引当金の追加計上または取崩しが必要となる可能性があります。

 

Ⅲ 海外事業等再編引当金

空調機事業強化に向けた各地域の販売体制強化・再構築に係る費用等を合理的に算定し計上しております。海外事業動向の変化および為替レートの変動などにより、引当金の追加計上または取崩しが必要となる可能性があります。

 

Ⅳ 独禁法関連引当金

独占禁止法に基づく排除措置命令及び課徴金納付命令に関連して発生する可能性のある損失に備えるため、損失見込額を合理的に算定し計上しております。本件につきましては、現在、裁判において係争中のため、今後の裁判の進展などにより、引当金の追加計上または取崩しが必要となる可能性があります。

 

 退職給付費用および債務

従業員の退職給付に備えるため、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、昇給率、年金資産の長期期待運用収益率などが含まれており、実際の給付が前提条件と異なる場合または前提条件が変更された場合、将来期間において認識される費用および債務に影響を与える可能性があります。

 

Ⅵ 繰延税金資産

将来の課税所得の十分性およびタックスプランニングをもとに、回収可能性があると判断した金額を計上しております。経済環境および経営状況などの変化により、回収可能性の評価時に使用した将来の利益計画およびタックスプランニングを変更する必要が生じた場合、繰延税金資産の金額が増減する可能性があります。

 

4【経営上の重要な契約等】

当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。

 

5【研究開発活動】

当社グループ(当社および連結子会社)は、空調機部門および情報通信・電子デバイス部門の両事業分野において、基礎的な研究開発から応用開発まで一貫した活動に取り組み、さらなる高機能・高性能・高信頼性を追求するとともに、省エネルギー化やリサイクル設計など、地球環境保全に配慮し環境負荷低減や循環型社会形成に貢献する製品設計を進めております。

研究開発体制としては、子会社を含めた技術開発部門と生産・調達部門および営業部門等が緊密に連携することで、開発力の充実を図っております。また、子会社の株式会社富士通ゼネラル研究所が全社的な将来技術の研究開発を行っております。なお、当連結会計年度における研究開発費は13,425百万円であります。

空調機部門では、川崎本社の技術開発部門と株式会社富士通ゼネラル研究所が基礎的な研究開発に取り組み、川崎本社、タイ、中国の各開発拠点が新商品開発や量産設計等を行い、欧州と北米のR&Dセンターが現地協業先との共同開発を進める体制の下、開発キャパシティ拡大と開発効率の向上を推進しております。当連結会計年度は、地域ごとのニーズや環境規制といった市場からの要求に応えるため、商品ラインアップを拡充するとともに、設計の標準化等を進めました。エアコンにおいては、海外向けでは、インド向けのインバーターエアコン、高いデザイン性を備えた欧州向けルームエアコンをはじめ、各地域の壁掛けエアコンのラインアップ刷新・拡充、環境負荷の低い新冷媒を採用した欧州向けパッケージエアコンの開発等を行いました。VRF(ビル用マルチエアコン)においては、欧州向けの中小規模店舗・オフィス用機種および大規模物件用機種のラインアップ刷新等を行いました。また、他社との協業により、当社製エアコンとエアハンドリングユニットを組み合わせた業務用空調システムの開発等を行いました。国内向けでは、コンパクトな室内機と室内に調和する洗練されたデザインを特徴とする新機種「ノクリア」SVシリーズのほか、業界初のエッジAI・クラウドAI連携による「ダブルAI」を搭載した新型「ノクリア」Xシリーズ、寒冷地向け機種の開発等を行いました。また、新たな価値の創出の一環として、身に着けるエアコン「コモドギア」の開発を行い、2020年度の提供開始を予定しております。さらに、次代を担う空調機技術者の育成およびグローバルリーダーの育成、ならびに中堅技術者の専門性・実践力向上、人間力向上を目的として「空調機技術アカデミー」を2019年8月に新設しました。技術基盤の強化とともに、新たな価値の創出に取り組んでまいります。なお、当部門の研究開発費は11,428百万円であります。

情報通信・電子デバイス部門では、情報通信システムにおいて、消防システム、防災システムの性能・機能向上など商品力強化を進めました。電子デバイスでは、車載カメラや産業用ユニット製品などで顧客企業の課題に応えるソリューションを提案し、製品開発を進めました。なお、当部門の研究開発費は1,996百万円であります。