第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 ソニーのマネジメントが認識している経営課題とそれに対処するための取り組みは以下のとおりです。文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。

 

 2021年度の世界経済は、新型コロナウイルスの変異株による感染再拡大の影響はあったものの、世界各地で感染対策と経済活動の両立が図られるようになり、緩やかに回復しました。一方、足元では、2022年2月にロシアがウクライナに軍事侵攻したことに端を発する経済制裁や為替の急激な変動及び資源価格の上昇や、米国を中心とした物価高などにより、今後の世界経済の先行きを見通すことは困難な状況が続いています。

 ソニーは、グローバルに多様な事業を展開しており、これらの世界経済の状況の変化に加えて、世界的な半導体及びその他の部品の不足ならびに物流の混乱の継続も、ソニーの各分野の事業に影響を及ぼしています。

 ソニーは、これらの環境変化に迅速に対応し、各事業の収益構造の強化に取り組むとともに、長期視点の経営を重視し、グループ全体の企業価値向上のための取り組みを続けてきました。

 

 2022年5月18日に開催した2022年度経営方針説明会では、会長 兼 社長 CEO(最高経営責任者)の吉田憲一郎が、「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」というPurpose(存在意義)と「人に近づく」という経営の方向性のもと、長期視点での経営に取り組んでいること、そして、人・社会・地球への「責任」と「貢献」を重視していることに触れた上で、人を軸とした3つの事業領域で進めている投資と成長について説明しました。また、クリエイティビティとテクノロジーの力でエンタテインメントの進化を支える取り組みとして、「人の心を動かす」エンタテインメント3事業におけるコンテンツIP、Direct-to-Consumer(以下「DTC」)サービスのさらなる強化と、「メタバース」「モビリティ」を中心とした感動空間での新しいエンタテインメント体験の創出、そして、現実空間を捉えるセンシング技術と、捉えた世界から学ぶAIを中心としたテクノロジーについても説明しました。詳細は以下のとおりです。

 

Purposeと、人・社会・地球への「責任」と「貢献」

 ソニーはPurposeのもと、「感動」と、クリエイター、ユーザー、社員を含む「人」を軸とした経営に、長期視点で一貫して取り組んでいます。また、社会や地球環境に対する企業としての「責任」を果たし、技術や事業によって「貢献」するための取り組みも推進しており、「環境負荷ゼロ」に向けた取り組みにおいては、グループ全体でのカーボンニュートラル及び100%再エネ電力化の達成目標を、それぞれ10年前倒しします。

 

人を軸とした3つの事業領域での投資と成長

・ 「人の心を動かす」事業:G&NS事業、音楽事業、映画事業

・ 過去4年で、コンテンツIP、DTCサービスの強化を目的として1兆円を超える戦略投資を実施。

・ DTCサービスにおいては、パートナーとの関係を重視するとともに、エンタテインメントを動機としてソニーグループと直接つながる人を10億人に広げるという長期ビジョンを掲げている。

 

・ 「人と人を繋ぐ」事業:ET&S事業、I&SS事業

・ クリエイターが感動コンテンツを創り、ユーザーがそれを体験するためのテクノロジー、製品・サービスを提供。

・ I&SS事業では、イメージセンサー向けに過去4年で約1兆円の投資を実施し、トップシェアを維持。また、成長領域として車載やIoT向けのセンシングにも取り組む。

 

・ 「人を支える」事業:メディカル事業、金融事業

・ メディカル事業は、ソニーの光ディスク技術を応用した機器が、がんやウイルスなどの研究、細胞薬製造に貢献。

・ 金融事業では、生命保険、損害保険、銀行などの領域で800万人を超えるお客様に生活の利便性と安心を提供。

 

・ 企業価値向上に向けてEPS(1株当たり当社株主に帰属する当期純利益)の成長を経営の規範とし、今後もコンテンツIP、DTC、テクノロジーへの投資を実行するとともに、自己株式の取得も引き続き戦略投資の一部と位置づけ、機動的に実施していく予定。

 

 

「人の心を動かす」エンタテインメント3事業の取り組み - コンテンツIP、DTCサービス

 「人の心を動かす」G&NS、音楽、映画の各事業は、2012年度以降継続的に成長しており、2021年度には売上高の合計が初めて連結売上高の50%を超え、営業利益も連結全体の約3分の2となりました。

 

・ G&NS事業

・ コンテンツIPの創造でクリエイターに近づき、DTCサービスでユーザーに近づく取り組みを推進。

・ コンソール: 2022年度1,800万台の販売を予定しているプレイステーション®5(以下「PS5™」)を中心にさらに拡げていく。

・ ネットワークサービス: プレイステーション™ネットワーク(以下「PSN」)のネットワーク経由の売上高は累計で1兆8,000億円を超え、現在1億以上*のアカウントがサービスを利用。PSN強化のため、サブスクリプションサービス、プレイステーション®プラス(以下「PS Plus」)を大幅にリニューアルし、2022年6月中に展開予定。

・ 自社スタジオ: サードパーティスタジオとの関係を重視すると同時に、自社スタジオであるPlayStation Studiosにおいて、この1年間で多くの買収・出資を実行。

・ ライブサービス強化とマルチプラットフォーム展開に向けた大きな一歩として、Sony Interactive EntertainmentがBungie, Inc.(以下「Bungie」)の買収に関する確定契約を締結。

 

*2022年3月末時点。

 

・ 音楽事業

・ アーティストとソングライターにとって最も近い存在の企業であることをめざし、クリエイティブ側から彼らを支えることに注力。ストリーミングサービスの伸長により2014年から拡大を続ける音楽市場において、業界のリーダーとして継続的にヒットを生み出している。

・ インディーズレーベル: The Orchardを通じてインディーズレーベル所属アーティストをサポート。また、ブラジルの音楽レーベルであるSom Livreの買収、インドでの新レーベルの立ち上げなどにより、成長する新興市場でより多くのアーティストを世に送り出す取り組みを推進。

・ インディーズアーティスト: 音楽制作及び配給サービスを提供するAWALを通じ、レーベルに属さず活動する個々のアーティストを支えるサービスを強化。

・ 配信パートナーの拡大: ストリーミングサービスを営む配信パートナーに加え、多様なサービスパートナーと連携し、アーティストの活躍の場を拡大。

・ 国内では、「ソーシャル」でアーティストを発掘・拡散する取り組みを実施。

 

・ 映画事業

・ 音楽事業と同様に、クリエイターを支え、コンテンツIPを創出し、展開。

・ IP創出力の強化: テレビ番組制作に関して、ドラマ制作スタジオなど複数の買収を実行。

・ Sony Pictures Universe of Marvel Charactersの拡大: 映画製作においては劇場公開を重視する方針を維持。『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は全米累計興行収入で歴代3位を記録。2022年4月にはMarvelのキャラクターである『モービウス』の映画を公開し、今後もSony Pictures Universe of Marvel Charactersの世界を拡げていく。

・ グループの多様性を活かしたIP展開: ゲームタイトルのIPを活用した映画やテレビ番組作品を制作。2022年2月に公開された映画『アンチャーテッド』に加え、今後も作品を展開予定。

・ Community of InterestにもとづくDTC: 劇場や配信パートナーとの連携を大切にする一方で、アニメファン向けのCrunchyrollや、インドの地域文化に根差したSonyLIVなど、Community of Interest(感動体験や関心を共有する人のコミュニティ)にもとづくDTCサービスを展開。また2021年末、SPEの子会社であるSony Pictures Networks India(以下「SPNI」)とZee Entertainment Enterprises Ltd.(以下「Zee」)の合併に関する確定契約を締結。本合併により、急成長するインドのメディア・エンタテインメント市場において、両社の強みを生かしデジタル配信サービスを強化していくことで、事業拡大とデジタル化をさらに加速していくことをめざす。

 

感動空間での新たなエンタテインメント体験の創出 - 二つの成長領域であるメタバースとモビリティ

 テクノロジーを通じてネットワーク空間が「ライブ」的に進化する中、成長が期待される「メタバース」領域において、多様な事業と、核になるゲーム技術を有するという独自の強みを活かし、新しいエンタテインメント体験を創出していきます。また、もう一つの成長領域である「モビリティ」においては、移動空間を新しいエンタテインメント空間に変え、モビリティの進化に貢献する取り組みを進めていきます。

・ メタバース/「ライブ」ネットワーク空間での取り組み

・ ゲーム領域におけるライブサービス、スポーツ領域におけるマンチェスター・シティ・フットボール・クラブとの協業、音楽領域におけるソニーミュージックのアーティストによる仮想空間でのライブなど、新しいライブエンタテインメント体験の創出のための取り組みを強化。

 

・ モビリティ空間での貢献

・ 「セーフティ」、「エンタテインメント」、「アダプタビリティ」の3つの領域でモビリティの進化に貢献。その一環として、本田技研工業株式会社との戦略的提携の協議を進め、2025年のEV(エレクトリック・ビークル)の販売開始をめざす。

 

エンタテインメントの進化を支えるテクノロジー – センシングとAI技術

 センシングとAI技術は、モビリティの安全を支えるADAS(Advanced Driver-Assistance Systems)で重要な役割を果たしており、また、ソニーが長年取り組んできた音と映像の領域では撮影における画像認識、ゲームや映画製作、3Dモデルの製作などにおいても活用されています。さらに、バーチャルプロダクション、スポーツ、VRなどの領域でも、現実世界を捉えるセンシング技術と、捉えた世界から学ぶAIの技術で、エンタテインメントの進化を支えます。

 

・ クリエイターに近づくテクノロジー

・ Crystal LEDを用いたバーチャルプロダクションや、最先端AIを活用してアスリートの動きをバーチャルに再現するHawk-Eye Innovations(以下「ホークアイ」)のトラッキングシステムなど。

 

・ ユーザーに近づくテクノロジー

・ 次世代VRシステムであるPlayStation®VR2、ゲームの世界での体験価値向上につながるAIエージェント、好奇心をもち人と寄り添いながらともに成長していくaiboなど。

 

第四次中期経営計画 数値目標とその進捗

<数値目標>

・ 当社は、2021年4月28日に2021年度から2023年度の3年間の中期経営計画(以下「第四次中期経営計画」)の数値目標を発表しました。

・ 経営を引き続き長期視点で行っていくため、経営指標には3年間累計の指標を用いることとし、3年間累計の調整後EBITDA*を最も重視する経営指標(グループKPI)としました。2021年度から2023年度までの3年間において、連結ベースで累計4兆3,000億円の調整後EBITDAを創出するという数値目標を設定しました。

・ 調整後EBITDAは、一時的な損益の影響を含まないことから、事業の持続的な収益力を表わすとともに、金融事業を含むグループ全体の投資とそのリターンの循環による中長期での事業拡大をマネジメントの観点から確認することができ、さらに企業価値評価との親和性も高い指標であることから、ソニーが重視する長期視点での経営に適した経営指標であると考えています。

・ 第四次中期経営計画におけるキャピタルアロケーションについては、その計画期間を超えた長期的な事業の成長に向けて、設備投資に1兆5,000億円、自己株式の取得を含む戦略投資に2兆円以上を配分する計画としました。配当については、従来どおり、長期、安定的に増額していく方針としました。このキャピタルアロケーションの原資として、2021年度から2023年度の3年間で累計3兆8,000億円以上のキャッシュを創出する見通しとしました。これには、金融分野を除くソニー連結ベースの営業活動によるキャッシュ・フロー3兆1,000億円以上、必要に応じて実行される事業や資産の売却及び厳格な財務規律の範囲内での借り入れによるキャッシュ・インフロー3,000億円以上、ならびに第三次中期経営計画期間(2018年度から2020年度の3年間)及びそれ以前からの繰り越し分4,000億円が含まれます。

 

<進捗>

・ 2021年度の調整後EBITDA実績は1兆5,979億円**となりました。重点投資領域であるG&NS、音楽、映画、I&SSの4分野が成長を牽引し、売上高は当初計画に比べ、より高い成長カーブ上にあり、営業利益についても第三次中期経営計画期間からは一段切り上がった水準となることを見込んでいます。

・ キャピタルアロケーションについては、I&SS分野において、より旺盛となるイメージセンサーの需要に対し成長機会を確実に捉えるため、設備投資を当初見通しから約2,000億円増額する一方、戦略投資は2兆円以上に据え置いています。

 

・ 戦略投資の進捗は、自己株式取得実績974億円(2022年4月28日現在)を含め、2022年5月10日時点までの実行済及び意思決定済案件の合計が約1兆600億円となっており、長期的な成長に向けた投資の実行は、着実に進んでいます。自己株式取得については、2,000億円を上限とした1年間(2022年5月11日~2023年5月10日)の取得枠を改めて設定し、引き続き戦略投資の一部と位置づけ、機動的に実施していく予定です。

 

*  調整後EBITDA(Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization)=当社株主に帰属する当期純利益+非支配持分に帰属する当期純利益+法人所得税+金融収益・金融費用に計上される支払利息(純額)-金融収益・金融費用に計上される資本性金融商品の再評価益(純額)+減価償却費・償却費(コンテンツ資産に含まれる繰延映画製作費及びテレビ放映権ならびに繰延保険契約費の償却費を除く)-当社が非経常的と判断する損益***

 

調整後EBITDAはIFRSに則った開示ではありませんが、ソニーはこの開示が投資家の皆様に有益な情報を提供すると考えています。調整後EBITDAはIFRSに則って開示されるソニーの経営成績及びキャッシュ・フローの状況を代替するものではなく、追加的なものとしてご参照ください。

 

** 2021年度のIFRSにもとづく当社株主に帰属する当期純利益と調整後EBITDAの調整については、以下の表をご参照ください。

 

 

2021年度

(億円)

当社株主に帰属する当期純利益

8,822

非支配持分に帰属する当期純利益

62

法人所得税

2,291

金融収益・金融費用に計上される支払利息(純額)

76

金融収益・金融費用に計上される資本性金融商品の再評価益(純額)

△662

減価償却費・償却費(コンテンツ資産に含まれる繰延映画製作費及びテレビ放映権ならびに繰延保険契約費の償却費を除く)

4,704

当社が非経常的と判断する損益***

△638

調整後EBITDA

15,979

 

*** 2021年度の当社が非経常的と判断する損益の詳細については、以下の表をご参照ください。

 

 

2021年度

(億円)

Game Show Network, LLCの一部の事業譲渡にともなう利益(映画分野)

700

ソニー生命の子会社における一時的な損失(金融分野)

△168

エムスリー㈱の関連会社が上場にともない新株発行を行ったことによるエムスリー㈱で計上された持分変動利益に係る持分法投資利益(その他分野)

51

一部の米国子会社における確定給付型年金制度終了にともなう清算益(主に全社(共通)及びセグメント間取引消去)

55

合計

638

 

 分野別の2021年度の実績ならびに分野別の事業環境及び事業戦略については、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」もあわせてご参照ください。

 

新型コロナウイルス感染拡大への対応方針

 新型コロナウイルス感染拡大に対しては、社員と社員の家族、そしてお客様をはじめとするステークホルダーの安全確保、感染拡大の防止を最優先に取り組んでいます。また、社会やお客様からの要請にできるだけ応えるとともに、事業への影響を最小限に抑えるべく、情報収集に努め、必要な対応を迅速に行っています。さらに、前述のとおり、新型コロナウイルス感染拡大により世界各地で影響を受けている人々に対する支援基金を立ち上げるなど、引き続きグローバルカンパニーとしての社会的責任を果たしていきます。(ソニーの新型コロナウイルス感染拡大に対する取り組みの詳細については、https://www.sony.com/ja/SonyInfo/covid_19_response/をご参照ください。)

 

環境中期目標「Green Management(グリーンマネジメント) 2025」

 ソニーは、気候変動、資源、化学物質、生物多様性の領域において、2050年までに自社の事業活動及び製品のライフサイクルを通して「環境負荷ゼロ」を達成することを長期的ビジョンとして掲げています。気候変動に関しては、世界的に気候変動リスクが顕在化・深刻化し、脱炭素化社会への移行に向けた対応が喫緊の課題となる中、環境負荷低減活動を加速し、気候変動領域における「環境負荷ゼロ」の達成目標年を2040年に前倒しすることを2022年5月に発表しました。「環境負荷ゼロ」達成のために、2025年度までに成し遂げなければならないことを達成目標年から逆算し、中期目標を定めています。

 当社は、2020年9月に、2021年度から2025年度までのグループ環境中期目標「Green Management(グリーンマネジメント) 2025」を策定しました。この中期目標では、以下の4点を重点項目とし、環境負荷を低減するための様々な施策を推進しています。

 

・ 製品のプラスチック使用量の削減、及び省エネルギー化

 近年深刻化している海洋プラスチック汚染問題などを踏まえ、エレクトロニクス領域においては、新たに設計する小型製品のプラスチック包装材を全廃します。また、その他の製品を含め製品1台あたりのプラスチック包装材使用量を10%*削減します。製品本体では、製品1台あたりの石油由来バージンプラスチック使用量の削減目標値を10%*とし、再生プラスチックの導入を加速します。製品のライフサイクルにおける温室効果ガス排出量の大半を占める製品使用時の削減施策として、製品1台あたりの年間消費電力量5%*削減をめざします。

 

* 数値は2018年度比の平均削減率です。

 

・ 再生可能エネルギーの利用拡大など、事業所での気候変動対策

 当社は国際NGO団体であるThe Climate GroupがCDPとのパートナーシップの下で運営するイニシアチブである「RE100」に加盟しており、自社の事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーにすることをめざしています。2022年5月に、RE100達成目標年をこれまでの2040年から2030年に前倒しすることを発表しました。これを踏まえ、全世界の事業所における総電力使用量に占める再生可能エネルギー由来電力の使用率目標も35%*以上に引き上げました。引き続き、事業所の所在する地域状況に合わせた導入を実施していきます。

 

*「Green Management 2025」では、RE100の規定に則り、事業所で使用する再生可能エネルギー由来電力使用量はパーセンテージで目標を設定しています。

 

・ 製造委託先を含むサプライチェーンへのエンゲージメント強化

 ソニーは、従前より原材料・部品サプライヤー及び製造委託先に協力を求めることで、サプライチェーンにおける環境負荷低減をめざしてきました。「Green Management 2025」では、さらに以下に関するサプライヤー及び製造委託先とのエンゲージメントを強化していきます。

・ 温室効果ガス排出量について、国際社会で求められている長期的な削減目標を意識した中長期目標の設定と進捗管理

・ 立地に依存する水枯渇リスクを考慮した水使用量削減目標の設定と進捗管理

・ ソニーが指定する物質の製造プロセスでの使用禁止と適正管理の継続

 

・ エンタテインメント領域を中心とした、持続可能性の課題に関する啓発活動の強化

 ソニーはこれまでグループ全体で、世界各国20億人以上に対して、主催するイベントやエンタテインメント分野の映画キャラクターなどを活用し、環境を含む、「持続可能な開発目標(SDGs)」に関する啓発活動を実施してきました。今後もこうした活動を推進し、ソニーのエンタテインメント・コンテンツなどを通して250万人以上に環境活動への参画を促すことをめざします。

 

 前回の環境中期目標であった「Green Management 2020」において設定された気候変動の目標は、日本企業で初となる「Science-Based Targets(SBT)」*に認定されています。「Green Management 2025」策定にあたり、さらに長期的な視野から検討し、達成を2035年度とした気候変動目標が、科学的な根拠にもとづいた「1.5℃目標」としてSBTに再度認定されました。「Green Management 2025」はその目標達成に向けたマイルストーンとなっています。

 

*気候変動による世界の平均気温の上昇を、産業革命前と比べ1.5度に抑えるという目標に向けて、科学的知見と整合した削減目標を企業が設定することを推進する国際イニシアチブ。

 

 また、当社はWWF(世界自然保護基金)が実施する温室効果ガス排出削減プログラムであるクライメート・セイバーズ・プログラムに引き続き参加します。気候変動に係る目標については、その難易度及び進捗状況について、WWF及び第三者認証機関による検証を受けています。

 

 「Green Management 2025」及び環境への取り組みの詳細は、ソニーのサステナビリティレポート(https://www.sony.com/ja/SonyInfo/csr_report/)をご参照ください。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況などに関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあると考えています。なお、当該事項は、本書提出日現在において入手し得る情報にもとづいて判断したものです。

 

(1) 新型コロナウイルス感染拡大は、ソニーの事業活動、業績及び財政状態に悪影響を及ぼし、その悪影響が今後も続く可能性があります。

 新型コロナウイルス感染拡大については、変異株の流行があったものの、各地域でワクチン接種が進み、感染対策と両立しながら経済活動の再開が進んでいます。しかし、今後の感染再拡大により、経済活動が再び停滞した場合、ソニーの製品又はサービスの部品又は原材料の調達、生産、開発又は制作、及び販売又は提供に悪影響を及ぼし、結果として、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、新型コロナウイルス感染拡大による悪影響を受ける期間や度合いは、各地域における収束の時期や程度及び外出制限等の状況やそれらのマクロ経済への影響により、大きく変動する可能性があります。例えば、G&NS分野では、部品のサプライチェーン上の問題からハードウェアの生産にさらなる悪影響が出る可能性があります。音楽分野では、回復途上にある新曲のリリースや、対面でのコンサートその他のイベントの開催、テレビCMなどの楽曲使用等が再び制限され、これらに関連する収益が減少する可能性があります。映画分野では、映画館が再び閉鎖された場合又は収容人数が制限された場合、劇場興行収入が減少する可能性があります。また、感染再拡大や外出制限等の感染対策の状況によっては、新作映画の製作やテレビ番組作品の制作のスケジュールの遅れ、広告収入の減少といった影響を再び受ける可能性があります。さらに、映画館が再開され、劇場興行収入が回復する中で、主要スタジオ各社による映画公開スケジュールが過密となり、公開可能なスクリーンを巡って競争が激化することにより、収益に悪影響が出る可能性があります。EP&S分野では、製造事業所の稼働停止、サプライチェーンの混乱及び製品の販売店舗の世界的な閉鎖や休業による悪影響を受ける可能性があります。例えば、2021年5月の中国における現地政府の方針にもとづく活動制限により、特定の製造事業所やサプライヤーの製造事業所が一定期間稼働を停止しました。

 また、ソニーの従業員は、新型コロナウイルス感染拡大を受け、出社による勤務と在宅勤務を併用していますが、今後もこの状況は継続することが予想されます。ソニーは、在宅勤務者に対し適切な情報セキュリティ保護が確実に実施されるように措置を講じていますが、外部からの不正な侵入の防止あるいは検知、侵入への対応、データへのアクセス制限、ビジネス情報の消失、破壊、改変、あるいは流出の防止、それらの攻撃の悪影響を抑制するためにソニーが行っている対策及びセキュリティへの取り組みや管理が、完全に安全な情報セキュリティを確保できる保証はありません。

 さらに、新型コロナウイルス感染拡大は、下記のリスク及び不確実な要素の多くに悪影響を与える可能性があります。

 

(2) ソニーは収益又は営業利益率の低下につながりかねない一層激化する競争を克服しなければなりません。

 ソニーは、業種の異なる複数のビジネス分野に従事しており、さらにそれぞれの分野において数多くの製品・サービス部門を有するため、大規模な多国籍企業から、単一又は数少ないビジネス領域に特化し高度に専門化した企業にわたって、業界の既存企業や新規参入企業などの多くの企業と競争しています。また、潜在的には現在ソニーに製品を供給している企業も競合相手となる可能性もあります。これらの既存の及び潜在的な競合他社がソニーより高度な財務・技術・労働・マーケティング資源を有する可能性があり、ソニーの財政状態及び業績は、当該既存及び新規参入の競合他社に効率的に対抗する能力にかかっています。

 ソニーが直面する競合要因は業種により異なります。例えば、エレクトロニクス領域において、ソニーは、競合他社との間で価格や機能を含む様々な要素で競争しています。また、音楽分野及び映画分野では、アーティスト、作詞家、俳優、ディレクター、及びプロデューサーといった才能ある人材ならびに製作・制作、取得、ライセンス、又は配信されるエンタテインメント・コンテンツを得るため競争しています。競合他社との価格競争は、価格の下落に比例して費用が下落しない場合には利益率の低下につながり、また、才能ある人材と魅力的なコンテンツ獲得競争も、そのような才能ある人材やコンテンツの獲得に必要とされる費用の増加を増収により埋め合わせできない場合には、収益力の低下につながる可能性があります。さらに、イメージセンサーのように、現在ソニーが強い競争力を有していると考えられる製品においても、競合他社の技術力の向上により、ソニーがその優位性を保てなくなる可能性もあります。また、一般消費者向けエレクトロニクス製品においては、絶えず変化し、消費電力やその他の気候変動への影響を最小限に抑える製品への消費者の関心の高まりなどを含む、一層多様化する消費者の嗜好に訴求する製品を作るため、あるいは、消費者の多くが同種の製品をすでに保有しているという状況に対処するために、ソニーはより優れた技術を開発し、消費者の嗜好を予測し、競争力ある価格と特長を有する、魅力的で差異化された製品を迅速に開発する必要があります。ソニーは、様々な一般消費者向け製品において、一層激化する競合他社との価格競争にともなう価格低下圧力の高まり、小売業者の集約化、新規の販売・流通チャネルの構築、及び製品サイクルの短期化に直面しています。音楽分野及び映画分野における業績は、予測が困難である作品に対する世界中の消費者からの支持による影響、同時期もしくは近接した時期に公開された他の競合作品による影響、ならびに、ソニーの作品に代わり消費者が利用可能な娯楽及びレジャー活動に影響を受ける可能性があります。例えば、2020年の年初以降の新型コロナウイルス感染拡大を受け、世界各国で外出制限が行われたことにより、消費者行動への影響が出ています。

 仮に、ソニーが、技術その他の競争力を持つ分野においてその優位性を保てなくなった場合、ソニーの一般消費者向け製品に対して頻繁に影響を及ぼす継続的な価格下落又はその事業に影響を及ぼすコスト圧力について効果的に予測し対応できない場合、既存の事業モデルや消費者の嗜好が変化した場合、又はソニーの一般消費者向け製品の平均価格の下落スピードが当該製品の製造原価削減のスピードを上回った場合には、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) ソニーは、競争力を維持し消費者の需要を喚起し、製品及びサービスの革新を実現するために研究開発投資を行う必要があり、また、新しい製品及びサービスの頻繁な導入を適切に管理しなければなりません。

 ソニーは、製品及びサービスの競争力を強化するため、特にI&SS分野及びG&NS分野といった成長分野において、研究開発投資を継続的に行っています。しかしながら、ソニーとして、著しい成長可能性を持った製品及びサービス、ならびに市場動向を特定できなかった場合やそれらを把握できなかった場合、研究開発投資が成功しない可能性があります。加えて、ソニーの研究開発投資が革新的な技術を生み出さない可能性、想定した成果が十分かつ迅速にもたらされない可能性、又は競合他社に技術開発を先行されてしまう可能性があります。これらは、競争力のある新たな製品やサービスを商品化するソニーの機会を妨げる要因となり得ます。

 ソニーは、継続的に一般消費者向けエレクトロニクス製品及びネットワークサービスを導入し、これらを拡充させることにより、消費者の需要を喚起し続けていく必要があります。これらの製品及びサービスは、年末商戦における消費者需要に特に影響を受けます。G&NS分野の売上及び収益性には、ストリーミングを含め、プラットフォームの導入及び普及の成否が重要な影響を及ぼし、この成否は、魅力的なソフトウェアの品揃えとオンラインサービスが消費者に提供されるか否かに影響されます。しかしながら、外部のソフトウェアの開発事業者や開発・販売事業者、主要な協力業者がソフトウェアの開発や供給をし続ける保証はありません。加えて、ソニーは、売上の拡大及び収益性の向上を図るために、ハードウェア、ソフトウェア、エンタテインメント・コンテンツ及びネットワークサービスの統合を促進させること、消費電力を最小限に抑えること、ならびにそのような統合の効果を達成するための研究開発への投資が不可欠であると考えています。しかしながら、この戦略は、ネットワークサービス技術のさらなる開発能力、ソニーの様々な事業ユニット・販売チャネル間の戦略上及びオペレーション上の課題の調整と適切な優先順位付け、ユーザーインターフェースを含むエネルギー効率に優れたネットワークプラットフォームをシームレスに接続するための、消費者にとって革新的であり、エネルギー効率に優れ、かつ価格競争力のある魅力的な高性能ハードウェアの継続的な提供に依存しています。そして、業界内やネットワークに接続可能なソニーの製品や事業間における技術やインターフェース規格の標準化を行う能力にも依存しています。加えて、G&NS分野、音楽分野及び映画分野では、消費者の支持を得られるかどうかが分かる前に、社内で開発されたソフトウェアのタイトル、アーティスト、映画作品、テレビ番組の製作及び番組の放送に関連して、相当の先行投資を含め、多額の投資を行わなければなりません。さらに、映画作品の初期の流通市場における業績と、その後の流通市場における業績には高い相関性がみられるため、初期の流通市場における映画作品の業績が想定を下回った場合、公開年及び将来におけるソニーの業績にも悪影響を及ぼす可能性があります。

 新製品及びサービスの導入ならびに切り替えの成功は、開発をタイムリーにかつ成功裏に完了させること、市場における受け入れ度合、効果的なマーケティング戦略の企画及び実行、新製品の導入の管理、生産立ち上げ時における課題への対処、新製品向けアプリケーションソフトウェアが入手できること、品質管理、及び年末商戦における消費者需要の集中度など、数多くの要素に依存しています。研究開発への投資に対して想定した成果を達成できない場合、新製品及びサービスの頻繁な導入を適切に管理できない場合、新製品やサービスが消費者に受け入れられない場合、又は統合戦略を実行できない場合、ソニーの評判、業績、及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) ソニーの戦略的目的を達成するための買収、第三者との合弁、投資、資本的支出、組織再編成、構造改革は成功しない可能性があります。

 ソニーは、技術獲得や効率的な新規事業開発のため、又は事業の競争力強化のため、買収、第三者との合弁、資本的支出及びその他の戦略的出資を積極的に実施しています。例えば、2020年9月、金融事業のさらなる成長とガバナンス強化を通じて、ソニーグループ全体の企業価値向上を図ることを目的に、ソニーはSFGIの普通株式及び新株予約権の全てを3,967億円で取得し、SFGIを完全子会社化しました。また、2020年度には主にエンタテインメント領域における事業拡大を加速することを目的に、Bilibili Inc.(以下「Bilibili」)及びEpic Games, Inc.(以下「Epic Games」)への出資を行い、両社の少数持分を取得しました。2021年度には、Kobalt Music Group Limited(以下「Kobalt」)が保有する主にインディーズアーティストを対象とした音楽配給事業である「AWAL」、ならびに音楽の著作隣接権管理事業である「Kobalt Neighbouring Rights」に関するKobaltの子会社の全ての株式及び関連資産を498億円で取得しました。また、2021年度において、Epic Gamesへの追加の戦略的出資、AT&T Inc.の子会社でアニメ事業Crunchyrollを運営するEllation Holdings, Inc.(以下「Ellation」)の持分の100%の取得、Taiwan Semiconductor Manufacturing Company Limitedの子会社であるJapan Advanced Semiconductor Manufacturing㈱(以下「JASM」)への少数持分出資ならびにブラジルの独立系音楽レーベルSom Livreに係る全株式及び関連資産の取得を行いました。

買収や合併の完了は、関係当局の承認及び許可の取得等が条件となる場合がありますが、競争法制度や競争法当局の審査の厳格化により、確定契約締結後の審査に想定以上の時間がかかること又は承認もしくは許可を得られないこと等により、ソニーが事業機会を逸失し、当初想定した買収や合併の効果の一部又は全部を実現できない可能性があります。なお、本書提出日現在において、既に確定契約を締結し、関係当局の承認及び許可の取得等が取引完了の条件となっている買収や合併として、例えば、Sony Interactive Entertainmentによる米国の独立系ゲーム開発会社Bungieの買収や、SPNIとメディア・コンテンツ事業を営むインドの上場会社であるZeeとの合併があります。

ソニーは、買収・合併する会社の技術、会計、税務、財務、人事及び法的な観点等における包括的な分析と評価を行いますが、多額の買収コスト又は統合費用の発生や、新たに買収した会社におけるIT及び情報セキュリティリスク、想定したシナジーが実現できないこと、期待された収益の創出とコスト改善の失敗、主要人員の喪失や債務の引受け等により、ソニーの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。

ソニーが第三者と合弁会社を設立したり戦略的パートナーシップを構築する場合、ソニーの財政状態及び業績は、パートナーとの戦略の相違又は文化的相違、利害の対立、シナジーが実現できないこと、合弁会社及びパートナーシップ維持のために必要となる追加出資や債務保証、合弁パートナーからの持分買取義務、ソニーが保有する合弁持分の売却義務、もしくはパートナーシップの解消義務、キャッシュ・フローの管理を含む不十分な経営管理、特許技術やノウハウの喪失、減損損失、及びソニーブランドを使用する合弁会社の行為又は事業活動から受ける風評被害により、悪影響を受ける可能性があります。

ソニーは、スマートフォンやその他の製品向けイメージセンサー用製造設備を含む生産設備や装置に多額の投資を行っています。ソニーは、競争環境、想定を下回る消費者需要、ソニーの主要顧客の財政状態やビジネス上の意思決定の変更又は生産設備や装置の調達の遅れに起因して、これらの資本的支出を計画どおりに実行できない又は一部もしくは全部を計画した期間内に回収できない場合があります。ソニーは、イメージセンサーの生産能力増強などのために、2020年度及び2021年度にそれぞれ、1,800億円及び2,371億円の資本を投資しました。

さらに、ソニーは、収益力、事業の自律性及び株主価値を向上させ、また、ソニー全体の事業ポートフォリオにおける各事業の位置づけを明確にするため、構造改革及び事業構造変革の施策を実施しています。しかし、社内外で生じるビジネス上の阻害要因や予想を上回る市況の悪化が原因となり、想定された収益性レベルの達成を含め、これらの施策の実施によって期待される恩恵が得られない可能性があります。ソニーがこれらの施策を達成できない場合、ソニーの業績、財政状態、評判、競争力又は収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) ソニーの売上や収益性は卸売事業者、小売事業者、その他の再販売事業者及び第三者の販売業者の業績の影響を受ける可能性があります。

 ソニーは、製品の流通を卸売事業者、小売事業者、その他の再販売事業者及び第三者の販売業者に依存しており、その多くが競合他社の製品を同時に取り扱っています。例えば、携帯電話キャリアを通して販売されるソニーのスマートフォンは、そのキャリアから補助金を受けている場合があります。これらのキャリアとの契約更新又は新しいキャリアと締結する契約において、今後もそのような補助金が同額で継続し、又は補助金そのものを継続的に受けられる保証はありません。映画分野では、映画配給においては第三者の映画館運営会社に、映画やテレビ番組の配信においてはケーブル、衛星、インターネット及びその他配信システムに依存しており、当該第三者からソニーが受領するライセンス料の減少が映画分野の売上に悪影響を与える可能性があります。映画分野における世界中のテレビネットワークを通じた配信も、第三者のケーブル、衛星及びその他配信システム経由で行われ、これらの第三者配信会社との契約を更新できない、又は不利な条件で契約を更新する場合は、これらの第三者ネットワークを通じた広告販売及び予約販売の実績に悪影響を及ぼす可能性があります。ソニーは、卸売事業者、小売事業者、その他の再販売事業者及び第三者の販売業者に対して、ソニー製品を市場に導入し、販売を促進するインセンティブを与えることを目的としたプログラムに資金を投入しています。しかしながら、それらのプログラムの提供が、消費者を競合他社の製品の代わりにソニー製品を買うように促し、結果的にソニーに大きな利益や追加収入をもたらすことを保証するものではありません。

 多くの卸売業者、小売業者、その他の再販売事業者及び第三者の販売業者の業績及び財政状態は、特にオンライン小売業者との競争と景気の後退により悪影響を受けます。これらの業者の財政状態が継続的に悪化したり、ソニー製品を取り扱うことを中止したり、もしくはソニー製品に対する需要が不透明になるなどの要因によりこれらの業者がソニー製品の発注数やマーケティング活動、販売奨励金、又は販売を減少させたり縮小させたりするような場合、ソニーの業績及び財政状態は悪影響を受ける可能性があります。

 

(6) ソニーはグローバルに事業を展開しているため、多くの国々において広範な法規制の適用を受けるとともに、企業の社会的責任に関する消費者の関心の高まりに直面しています。これらの法規制や消費者及び規制当局の関心は大きく変わる可能性があり、その変化がソニーの事業活動費用の増加、事業活動の制約及びソニーの評判への悪影響につながる可能性があります。

 ソニーはグローバルに事業を展開しているため、広告、販売促進、消費者保護、輸出入、腐敗防止、反競争的行為、環境保護(気候変動対策にともなう脱炭素規制を含む)、データプライバシー及びデータ保護、コンテンツや放送規制、知的財産、労働、製造物責任、課税(デジタルサービスからの収入に係る税金を含む)、外国投資規制、政府調達、為替管理、経済制裁を含む多数の地域における事業活動に影響を与える世界中の多くの国々の法規制の適用を受けます。

 これらの法規制を遵守することは事業活動における負担をともない、また、遵守にともない費用が発生する可能性があります。これらの法規制は継続的に変更されるとともに、管轄ごとに異なるものとなる可能性があり、その遵守や事業遂行にかかる費用が増加する可能性があります。このような変更は、場合によっては頻繁に又は事前の通知なくして起こり、消費者にとってのソニー製品又はサービスの魅力の低下、新製品又はサービスの導入の遅延もしくは禁止、あるいはソニーの事業遂行の変更や制約に結びつく可能性があります。例えば、米国及びその他の地域における貿易制限措置及び報復措置の導入が、ソニーの製品に賦課される関税率の増加、部品の調達費用の増加、又は既存及び将来的なソニーの製品及びサービスの顧客への販売の制限又は中止につながり、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。I&SS分野において、2020年8月17日に発表された米国政府による輸出規制に従い、ソニーの中国の特定顧客に対するイメージセンサーの出荷を同年9月15日から一時的に停止していました。その後、米国政府の輸出許可を得て、当該顧客に対する一部の出荷を再開したものの、輸出規制が発効する前に比べて、イメージセンサーの売上が減少しました。また、2020年度において、当該顧客向けのイメージセンサーの在庫に関する評価減を計上しました。加えて、ソニーがオンライン上を含め事業を行う上で依拠又は適用を受ける法規制又はそれに関連する裁判所の解釈に変化が生じた場合や、ソニーがこのような変化を想定できなかった場合にも、ソニーの法的責任に対するリスクの増加、法規制遵守のための費用の増加又は一部の事業活動に対する制限、制約もしくは中止を含む事業活動の変更につながる可能性があります。

 ソニー、又はソニーの従業員、第三者サプライヤー、ビジネスパートナー、もしくは代理人が法規制に違反すると、ソニーが罰金、刑罰、法的制裁の対象となり、また、ソニーの事業遂行への制約や評判への悪影響につながる可能性があります。加えて、企業の社会的責任や調達活動に対し、全世界的に規制当局や消費者の注目が高まっており、また、これらの事項に関する情報開示の法的規制が強化されています。特に、アジア地域で操業する電子部品の製造事業者や製造/設計受託事業者又は「ODM/OEM」、製品の製造事業者における労働環境を含む労働慣行への注目が高まっています。ソニーは製品の製造に多くの部品や原材料を使用しており、それらの部品や原材料の供給を第三者サプライヤーに依存しているものの、第三者サプライヤーの調達活動や雇用慣行を直接的には管理していないため、これらの領域における規制の強化や消費者の関心の高まりによって、ソニーの法規制の遵守にかかる費用が増加する可能性があります。さらに、かかる法規制の不遵守があった場合、又は消費者の関心の高まりに対してソニーが適切に対処していないとみなされた場合には、それが法的に求められているか否かにかかわらず、ソニーの評判、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) ソニーは市況変動の大きい環境のなか、部品・原材料、ソフトウェア、及びネットワークサービスの在庫量、入手可能性、費用及び品質をコントロールするために第三者のサプライヤー及びその他のビジネスパートナーからの大量かつ広範な調達品を管理する必要があります。

 

ソニーの製品やサービスは、例えば、半導体、プレイステーションのゲーム機及びモバイル製品向けチップセット、ならびにモバイル製品、テレビ及びサービスに利用されている液晶パネルやアンドロイドOSを含め、部品・原材料、ソフトウェア、及びネットワークサービスに関して、第三者のサプライヤー及びその他のビジネスパートナーに大きく依存しています。したがって、第三者サプライヤーやパートナーにおけるこれらの供給不足、当該第三者サプライヤーやパートナーから提供を受ける部品等の価格変動、品質問題、製造の中止、取引条件の変更、又は第三者サプライヤーやパートナーがエレクトロニクス領域以外の顧客あるいはソニーの競合他社を優先させた場合、ソニーの業績、ブランド、及び評判に悪影響を与える可能性があります。例えば、ソニーは、2020年度の後半から顕著になっている世界的な半導体及びその他の部品不足に対して、引き続き必要な半導体及びその他の部品の確保に努めていますが、2021年度末現在も供給不足は継続しています。加えて、世界的な物流の混乱による調達及び輸送にかかるリードタイムの長期化の影響もあり、G&NS分野のハードウェアやEP&S分野の幅広い製品の販売において、市場の需要に十分に対応できない状況が続いています。今後かかる供給不足がより深刻化した場合又は長期化した場合には、G&NS分野、EP&S分野及びI&SS分野の業績にさらなる悪影響を及ぼす可能性があります。また、第三者のソフトウェア及び技術への依存は、競合他社の製品とソニーの製品との差異化をますます難しくする可能性があります。さらに、特にソニーが一社に部品の調達を依存している場合、特注の部品の生産能力に限界がある場合、もしくは新しい技術を使用する製品の初期生産能力に制約がある場合には、部品の供給不足や出荷遅延が生じ、その結果、ソニー又はビジネスパートナーの製造事業所における生産調整又は生産停止が起こる可能性があります。

 

ソニーは消費者需要の予測にもとづいて事前に決定した生産量及び在庫計画に沿って部品を発注していますが、そうした消費者需要の変動は大きく、また、予測が難しいものです。不正確な消費者需要予測や不十分な在庫管理は、在庫不足もしくは過剰在庫を招き、その結果、生産計画に混乱が生じることにより売上の機会損失や在庫調整につながる可能性もあります。ソニーでは、部品や製品が陳腐化したり、在庫レベルが使用見込み数量を上回ったり、もしくは在庫の帳簿価額が正味実現可能価額を上回る場合には、在庫の評価減を行います。過去にこのような売上機会の損失及び在庫調整、ならびに部品の供給不足がソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼしたことがあり、今後も及ぼす可能性があります。

 

(8) ソニーの売上、収益性及び事業活動は、世界及び地域の経済動向及び政治動向ならびに情勢に敏感です。

 ソニーの売上及び収益性は、ソニーが事業を営む主要市場の経済動向に敏感です。2021年度のソニーの売上高及び金融ビジネス収入において、日本、米国、欧州における構成比はそれぞれ27.9%、27.9%、18.8%でした。これらの市場が深刻な景気後退に陥ると、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。ソニーの主要市場における経済状況の悪化や今後悪化するという見通しにより、最終消費が低迷して法人顧客の事業が悪影響を受け、その結果、ソニーの製品やサービスに対する需要が減少する可能性があります。

 また、ソニーは世界各地において事業活動を行っており、このような世界規模での事業遂行、特に一部の新興市場での事業遂行には困難がともなうこともあります。例えば、EP&S分野、I&SS分野及びG&NS分野においては、中国やその他のアジアの国々・地域において製品及び部品を生産、調達しているため、これらの地域外の市場に製品を供給するために要する時間が長くなり、変化する消費者需要に迅速に対応することがより難しくなる可能性があります。さらにソニーは、複数の国において、ソニーにとって望ましくない政治的・経済的な要因により、事業を企画・管理する上で困難に直面する可能性があります。この例としては、武力紛争、外交関係の悪化、通商政策の変更、期待される行動規範からの逸脱、及び十分なインフラの欠如などがあります。不安定な国際政治又は国内政治・軍事情勢が今後生じた場合、ソニーやそのビジネスパートナーの事業活動が阻害されることにより、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、2021年度に発生したウクライナ・ロシア情勢の悪化を受け、本書提出日現在において、ソニーはロシアにおける事業を中断しています。今後、情勢がさらに悪化した場合、国際情勢の不安をもたらし、ソニーの他地域での事業又は世界的な経済状況の悪化につながり、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) ソニーの業績及び財政状態は外国為替変動の影響を受ける可能性があります。

 ソニーの製品の多くは開発、製造された国・地域と異なる国・地域で販売されるため、ソニーの業績と財政状態は外国為替相場の変動による影響を受けます。例えば、エレクトロニクス領域においては、研究開発費や本社間接費は主に円で、原材料及び部品の調達や外部委託生産を含む製造費用は主に米ドル及び円で発生しています。売上は日本・米国・欧州・中国・新興国市場を含むその他地域において、それぞれの地域の通貨で計上されています。結果として、特に米ドルに対する大幅な円安及びユーロ安や、ユーロに対する大幅な円高、ならびに新興国通貨に対する米ドル高は、ソニーの業績に悪影響をこれまでも及ぼしており、今後も及ぼす可能性があります。また、ソニーの連結損益計算書は世界中の各子会社の現地通貨ベースの業績を円換算して作成されていることから、外国為替相場の変動が、かかる換算にともないソニーの業績に悪影響を与える可能性があります。さらに、近年では中国や新興国市場を含むその他地域におけるビジネス拡大とともに、これらの地域の通貨の米ドル及び円に対する為替レートの変動の影響も大きくなっています。中長期的な為替レート水準の変動により、ソニーの経営資源のグローバルな配分が妨げられたり、ソニーが研究開発、資材調達、生産、物流、販売といった活動を、収益力を保った形で遂行する能力が低下したりする可能性があります。

 また、ソニーは、短期の外貨建て債権債務(純額)の一部を取引が発生する前にヘッジすることで為替リスクの低下に努めていますが、かかるヘッジ活動によっても、ヘッジされている為替について限られた期間に為替が不利に変動する場合に、全くもしくは一部しか財政状態への悪影響を解消できない可能性があります。

 さらに、ソニーの連結財政状態計算書は世界中の各子会社の現地通貨ベースの資産及び負債を円換算して作成されるため、米ドル及びユーロならびにその他の外国通貨に対して円高が進行すると、ソニーの自己資本に悪影響を与える可能性があります。

 

(10) 信用格付けの低下や国際金融市場における深刻かつ不安定な混乱状況は、ソニーの資金調達や資金調達コストに悪影響を及ぼす可能性があります。

 ソニーの業績及び財政状態の悪化は、ソニーの信用格付け評価にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。信用格付けの低下は、資金調達コストの上昇を招き、ソニーのコマーシャル・ペーパー(以下「CP」)及び中長期債市場からの受諾可能な条件での調達に悪影響を与える可能性があります。

 また、国際金融市場が深刻かつ不安定な混乱状況に陥った場合、金融その他の資産価格全般に下落圧力が生じたり、資金調達に影響が生じたりする可能性があります。従来、ソニーは、営業活動によるキャッシュ・フロー、CP及び中長期債などのその他の債券の発行、銀行やその他の融資機関からの借入金などにより資金を調達してきました。しかしながら、将来にわたってこのような資金源からソニーにとって受諾可能な条件で必要かつ十分な資金調達が可能となる状況が継続するという保証はありません。

 その結果、ソニーは弁済期限到来時のCPや中長期債の返済、その他事業遂行上必要ある場合や必要な流動性を賄うために、金融機関と契約しているコミットメントラインや資産の売却などの代替的な資金源を活用する可能性がありますが、そのような資金源からソニーにとって受諾可能な条件で必要かつ十分な資金調達ができない可能性があります。その結果、ソニーの業績、財政状態及び流動性に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) ソニーの成功は、挑戦心と成長意欲に満ちた多様な人材との良好な関係の維持と、それら人材の採用・確保に依存しています。

 ソニーが、ますます競争が激しくなる市場において、コンテンツの制作やサービスの開発、製品の設計、製造、マーケティング及び販売を継続するためには、マネジメント人材、クリエイティブな人材、及びハードウェアやソフトウェアエンジニアなどの高い専門性や豊富な経験を持った内部及び外部の重要な人材を惹きつけ、確保し、それらの人材との間で良好な関係を維持することが必要となります。しかしながら、そのような人材には高い需要があります。加えて、事業譲渡や構造改革及びその他の事業構造変革施策の実施により、経験豊かな人材やノウハウが意図せず喪失又は流出してしまう可能性があります。また、特にエンタテインメント領域において、労働組合によるストライキが生じた場合、又はそのおそれがある場合、作品のリリースの遅れやコストの増加につながることもあります。もしこれらの事象が起きた場合、あるいは高い専門性や豊富な経験を持った人材や重要なマネジメント人材を惹きつけ、確保し、良好な関係を維持できなかった場合、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(12) ソニーの知的財産は不正利用や窃取の被害を受け、また、第三者が保有する知的財産のソニーによる利用が制限される可能性があります。

 ソニーは、ソニーの製品やサービスに関連する知的財産の不正利用や窃取の被害を受ける可能性があります。例えば、デジタル技術、デジタルメディアの利用及び世界的なインターネットの普及は、ソニーが著作権で保護されたコンテンツを違法コピー及び偽造等から保護することを困難にさせ、正規製品の販売にも悪影響を与えます。ソニーは、知的財産権の保護のために費用を計上しており、今後も引き続き費用を計上します。しかしながら、ソニーが行っているこれらの知的財産保護のための様々な取り組みが想定している効果を達成できない可能性があり、ソニーの競争上の地位や研究開発投資に悪影響を与えるおそれがあります。

 さらに、ソニーの知的財産権は、これらに関して紛争が生じたり、無効にされたりする可能性があります。また、ソニーの知的財産権が、ソニーの競争力を維持するうえで十分ではない可能性があります。

 また、多くのソニー製品やサービスは第三者が保有する特許その他の知的財産権のライセンス供与を受けて設計されています。過去の経験や業界の慣行により、将来的にビジネスに必要な様々な知的財産権のライセンス供与を受け又は更新できるとソニーは考えていますが、全く供与されない、又は受諾可能な条件で供与されない可能性があります。そのような場合には、ソニーは、製品又はサービスの設計変更や、マーケティング、販売、あるいは提供もしくは配信の断念を余儀なくされる可能性があります。

 ソニーの製品やサービスに利用されている第三者の部品、ソフトウェア及びネットワークサービスを含め、ソニーの製品やサービスが、第三者の保有する知的財産権を侵害しているという主張がソニーに対してなされており、また、今後もなされる可能性もあります。特に、新規技術やより高度な機能が製品及びサービスに導入されるにともない、競合他社又は第三者の権利者から、かかる主張がなされる可能性があります。かかる主張により、ソニーは和解やライセンス契約の締結、又は多額の損害賠償金の支払いが必要となる可能性があり、差止命令、あるいはソニーの製品やサービスの一部についてマーケティング、販売、又は提供の中止に直面する可能性があります。

 ソニーの知的財産権の不正利用や窃取を防止できない場合、必要とされる第三者の知的財産権のライセンスが受けられない場合、ソニーの知的財産権が無効になる場合、又は第三者との間で知的財産の権利侵害の訴えについて和解が成立する場合は、ソニーの評判、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 新たな技術や配信プラットフォームによる消費行動の変化や、デジタル音楽配信会社による寡占度が高まること、及び配信会社自らがコンテンツを制作することは、音楽分野及び映画分野の業績に悪影響を与える可能性があります。

 音楽分野及び映画分野で使用される技術、特にデジタル技術は進化を続け、デジタルコンテンツの発掘及び消費の方法とプラットフォームは急速に変化しつつあります。このような技術の進歩は、消費者行動を変化させ、消費者が、デジタルコンテンツを消費するタイミング、場所及び方法を、これまでよりも消費者自身がコントロールすることを可能とさせています。

 デジタルストリーミングネットワークやその他新規メディアが普及した場合、従来のテレビ放送や劇場での映画鑑賞にも影響が及ぶことが考えられ、映画分野の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 さらに、より多くの音楽や映像コンテンツがデジタルストリーミングのネットワークで消費されることにより、デジタル音楽配信会社の寡占度がさらに高まり、ソニーの音楽コンテンツの競争力を減少させることで、ソニーの価格設定に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、デジタルの音楽や映像コンテンツの配信会社は自らのサービスのための自社制作コンテンツを増やす可能性があり、ソニーが制作するコンテンツに対する需要が減少する可能性があります。ソニーがこのような変化に適切に対応できない場合、又は新たな市場の変化に効果的に適応することができない場合、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(14) 法令改正や金融市場の動向などが、金融分野の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 ソニーの金融分野は、日本における保険や銀行といった法規制や監督の対象となる業界で事業を行っています。将来における法規制・政策などの改正・変更は、当該法規制や政策の遵守に対応するための費用の増加や事業活動に対する制約にもつながる可能性があります。なお、当社は、当社の連結子会社であるSFGIからの財務支援又は融資ローンの形態による資金の受け入れに関し、日本の監督官庁の指針による制約を受けています。

 また、金融分野においては、金利及び外国為替レートの変動ならびに日本国債、国内社債、米国債、株式、不動産及びその他の投資資産の価値変動が業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、ソニーの生命保険事業では、保有契約から生じる長期の負債特性に見合うように、一般勘定資産のうち大部分を超長期日本国債及び国内社債ならびに超長期米国債に投資しています。生命保険事業では、上述の市況変動により投資ポートフォリオの利回りが低下する可能性がある一方で、残存する保険契約の予定利率を保証しています。また、ソニーの銀行事業では、住宅ローンが貸出金の大部分、総資産の過半を占めています。上述の市況変動及び債務者の信用状況の悪化により不良債権の増加や担保不動産価値の減少が生じ、損失評価引当金の積み増しが必要となり、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 ソニーの生命保険事業及び損害保険事業においては、上述の市況変動とこれらの変動に対するソニーの管理体制、又は日本における大地震や感染症などの疫病、あるいはその他の大規模災害の発生が、費用計上額の増加につながり、又は保険契約債務を履行する保険事業の能力に悪影響を及ぼす可能性もあります。

 保険事業における責任準備金や繰延保険契約費は、不確実な多くの保険数理上の前提にもとづいて計算されています。その前提が実績と大幅に乖離することで計算前提が変更された場合に、責任準備金の追加計上や繰延保険契約費の前倒し償却が必要となる可能性があります。具体的には、保険数理上の前提にもとづいて、保険料収入や購入される資産の運用益及び保障対象としている事象が発生した場合の支払額などの将来スケジュールを想定し、責任準備金や繰延保険契約費を計算しています。なお、保険数理上の前提は、毎事業年度に最低1回の見直しが求められています。

 

(15) 大規模な災害や停電などが生じた場合、ソニーの設備や事業活動は被害や損害を受け、それがサプライチェーンや、製造その他の事業遂行における混乱を引き起こし、ソニーの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 ソニーの本社及びイメージセンサー等の最先端の製造拠点の多くは、地震のリスクが比較的高い日本国内にあります。日本で大地震が起きた場合、特にソニーの本社がある東京、一般消費者向けエレクトロニクス製品の製造事業所が所在する東海地方、又はイメージセンサーの製造事業所が所在する九州地方及び東北地方で起きた場合には、建物や機械設備、棚卸資産が被害を受けたり、製造事業所では生産活動が中断したりするなど、ソニーの事業は大きな被害を受ける可能性があります。例えば、2016年4月14日以降に発生した平成28年(2016年)熊本地震の影響で、九州地方にあるイメージセンサー製造事業所に損傷があり、その事業所における製造が中断しました。

 また、ネットワーク、情報通信システムインフラ、研究開発、資材調達、製造、映画やテレビ番組の製作・制作、物流、販売及び、オンラインやその他のサービスに使用される、ソニーやサプライヤー、外部サービスプロバイダ及びその他のビジネスパートナーの世界各地にあるオフィスや設備は、自然災害、伝染病などの疫病、テロ行為、武力紛争、大規模停電、大規模火災などの予期できない大惨事により、破壊されたり、一時的に機能が停止したり、混乱に陥ったりする可能性があります。これらのオフィスや設備のいずれかが前述の大惨事により重大な損害を受けた場合、事業活動の停止、設計・開発・生産・出荷・売上計上の遅れ、又はオフィスや設備の修繕・置換えにかかる多額の費用計上などが生じる可能性があります。例えば、2020年の年初以降の新型コロナウイルス感染拡大により、ソニー及び製造委託先の製造事業所ならびに部品サプライヤーにおける稼働停止又は稼働率低下により、ソニーの一部製品の生産に遅れが生じました。さらに、ソニーは、原材料及び部品の価格高騰や、法人顧客の需要減少による影響を受ける可能性があり、これらの場合には、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、気候変動の影響で気温上昇が進むにつれて異常気象が激甚化・頻発化することにより、上記のリスク及び不確実な要素に悪影響を与える可能性があります。

 

(16) ソニーあるいは外部のサービスプロバイダやその他のビジネスパートナーの情報セキュリティに対する侵害又はその他の不正行為があった場合、ソニーのブランドイメージ及び評判や事業への悪影響が及ぶ可能性や、ソニーが法的な責任を追及される可能性があります。

 ソニーならびに外部のサービスプロバイダ、サプライヤー及びその他のビジネスパートナーは、情報技術を広範に活用することで営業活動を行い、また、顧客に対しネットワークサービスやオンラインサービスを提供しています。これらの事業及びサービス、ならびにソニーのビジネス情報は、国家が支援する組織を含む悪意をもった第三者、犯罪組織、ソニーの従業員、ソニーもしくは外部のサービスプロバイダ又はその他のビジネスパートナーの故意又は過失により侵害を受ける可能性があります。そのような組織や個人は、悪意のあるソフトウェアをインストールしたり、情報技術の脆弱性を利用したり、ソーシャル・エンジニアリングを用いて従業員やビジネスパートナーのパスワードや機密情報を開示させたり、分散DoS(サービス停止)攻撃を仕組んだりするなど、様々な技術の組み合わせにより、サービスを停止させる可能性があります。サイバー攻撃がますます高度化かつ自動化し、より容易にツールやリソースを利用できるようになりつつあることから、外部からの不正な侵入の防止あるいは検知、侵入への対応、データへのアクセス制限、ビジネス情報の消失、破壊、改変、あるいは流出の防止、それらの攻撃の悪影響を抑制するためにソニーが行っている対策及びセキュリティへの取り組みや管理が、完全に安全な情報セキュリティを確保できる保証はありません。その結果、個人を識別できる情報を含むソニーのビジネス情報の消失、破壊、漏洩、悪用、改変、又は承諾を得ない第三者による不正アクセスが発生し、ソニー、あるいは外部のサービスプロバイダ及びその他のビジネスパートナーの情報システム又は事業が破壊される可能性があります。また、悪意をもった第三者は、ソニーに知られることなく、ソニーの外部の事業パートナーを侵害するためのプラットフォームとしてソニーのネットワークに不正にアクセスする可能性があります。ソニーは過去に、高度かつ明確に標的を定めた攻撃の対象になったことがあります。例えば、2014年度に、映画分野がサイバー攻撃の対象となり、従業員の情報やその他の情報を含むソニーのビジネス情報が不正にアクセス、窃取、漏洩され、データが破壊されました。また、ソニーのネットワークサービス、オンラインゲーム事業及びウェブサイトは、様々な動機や専門知識を持った団体もしくは個人による、不正アクセスやDoS(サービス停止)攻撃、顧客情報の窃取・漏洩などのサイバー攻撃の対象となったことがあります。

 こうした情報セキュリティに対する事象によって、多額の復旧費用が発生する可能性があります。加えて、ソニーのネットワークやオンラインサービス、情報技術への破壊行為、その他のソニーの情報セキュリティに対する侵害行為によって、売上の喪失、ビジネスパートナー及びその他の第三者との関係の悪化、専有情報の不正漏洩、改変、破壊あるいは悪用、ならびに顧客の維持や勧誘の失敗などが生じ、その結果、ソニーの事業や活動が重大な打撃を受ける可能性があります。さらに、これらの破壊や侵害行為がマネジメントの関心や経営資源の分散につながる可能性があります。他にも、メディアの報道に悪影響をもたらし、ソニーのブランドイメージや評判を傷つける可能性があります。また、ソニーは、訴訟や、規制当局による調査や法的措置を含む法的手続の対象となる可能性があります。ソニーが加入しているサイバー攻撃に対する保険は、発生する費用や損失の全額を填補できない可能性があり、その結果、ソニー又は外部のサービスプロバイダやその他のビジネスパートナーの情報セキュリティに対するそのような侵害その他の不正行為が、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(17) 訴訟及び規制当局による措置が不利な結果に終わった場合、ソニーの事業が悪影響を受ける可能性があります。

 ソニーは、様々な国において事業の遂行に関して、訴訟及び規制当局による措置に服するリスクにさらされています。訴訟及び規制当局による措置により、ソニーは、多額かつ不確定な損害賠償や事業活動に対する制約を要求される場合がありますが、その発生の可能性や影響の程度を予測するには相当の期間を要することがあります。例えば、公正な競争に反する市場慣行に関して規制当局が行う調査が、訴訟や規制当局による措置につながる可能性があります。多大な法的責任や規制当局による不利な措置が課された場合や、訴訟及び規制当局による措置への対応に多大なコストがかかった場合、ソニーの評判や業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(18) ソニーは製品品質、製品セキュリティ及び製造物責任による財務上のリスクや評判を損なうリスクにさらされています。

 急速な技術の進化や、モバイル製品及びオンラインサービスに対する需要増にともない、一般消費者向けエレクトロニクス製品、業務用及び産業用製品、部品、半導体、ソフトウェア、ならびにネットワークサービスなどのソニーの製品・サービスは一層高機能かつ複雑になっており、また、多くの製品が常にインターネットやソニー又は第三者が提供するサービスにつながっている環境におかれています。ソニーは、製品品質及び製品セキュリティを維持しながら、技術の急速な進展や、モバイル製品及びオンラインサービスの需要増加に対応できない可能性があり、これにより、製造物責任問題に関するリスクが高まる可能性があります。その結果、ソニーの評判に悪影響を及ぼし、製品回収やアフターサービスなどの費用が発生する可能性があります。加えて、既存の製品及びサービスへの販売後のアップグレード、機能の拡充、又は新機能の導入に成功しない可能性や、既存の製品及びサービスを、他の技術及びオンラインサービスとの間で便宜的かつ効果的に連携させ続けることができない可能性があります。その上、インターネットに接続されている製品に対するサイバー攻撃は劇的に増加しており、ソニーの製品・サービスが他者からの攻撃にさらされる事態、顧客情報ならびにソニー及び他社の技術情報が流出する事態、又は製品・サービスが利用不能となる事態や他者への攻撃に悪用される事態が生じるおそれがあります。ソニーが導入したセキュリティ対策は、ソニーの製品及びサービスに対する侵害の防止を保証することはできません。

 そのため、ソニーの既存の製品及びサービスについて、顧客満足を維持できない可能性や、需要の減少、競争力の低下、あるいは陳腐化を招く可能性があり、その結果、ソニーの評判や業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、根拠の有無にかかわらず、ソニー製品に関するセキュリティ脆弱性、健康面や安全性の問題に関する申立て又は訴訟は、直接的に、ソニーのブランドイメージや、高品質な製品やサービスを提供する企業であるという評価に対して影響を与え、その結果として、ソニーの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの問題は、ソニーがその製品を製造したか否かに関係なく、また、ソニーが直接顧客に販売する製品のみならず、半導体などのソニー製の部品が搭載された他社製品においても生じる可能性があります。

 

(19) ソニーの業績及び財政状態は確定給付制度債務により悪影響を受ける可能性があります。

 ソニーは、確定給付年金制度に関する会計基準に従い、確定給付年金制度ごとの確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除した金額を確定給付負債又は資産の純額として認識しています。制度資産の公正価値が確定給付制度債務の現在価値を超過している場合、資産計上額は、利用可能な制度からの返還及び将来掛金の減額の現在価値を上限としています。制度資産の公正価値の減少や割引率の低下、その他の年金数理計算前提となる比率の変動による確定給付制度債務の現在価値増加にともない確定給付負債又は資産の純額が増加又は減少し、その結果、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、ソニーの業績及び財政状態は、日本の確定給付企業年金法の年金積立要求により悪影響を受ける可能性があります。確定給付企業年金法により、ソニーは定期的な財政再計算や年次の財政決算を含む年金財政の検証を行うことが求められています。法定の責任準備金などに対して制度資産の公正価値がこれを下回り、かつ法令もしくは特別な政令などにより認められた期間内にそのような状況が回復しないと見込まれる場合には、ソニーは年金制度への追加拠出が必要となり、キャッシュ・フローを減少させる可能性があります。同様に、海外の年金制度についても各国の法令にもとづき追加拠出が必要となる場合、キャッシュ・フローを減少させる可能性があります。また、今後、法令が定める掛金の更新にともなって制度資産の長期期待収益率などの前提を見直したことにより、年金制度への拠出金の水準が引上げられた場合、ソニーのキャッシュ・フローに対して悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(20) 繰延税金資産に対して評価減を計上している税務管轄におけるさらなる損失の発生、ソニーが繰延税金資産を最大限に利用できないこと、各国の法令にもとづく繰延税金資産の使用の制限、追加的な税金負債あるいは税率の変動がソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 ソニーは、日本及び様々な税務管轄において法人税を課されており、通常の営業活動において連結会社間の移転価格取引により最終的な税額の決定に不確実な状況が多く生じています。また、ソニーは、多くの税務管轄において税務当局から継続的な調査を受けています。ソニーの税金引当額、及び繰越欠損金や繰越税額控除を含む税金資産の帳簿価額の計算には将来の課税所得の見積を含む高度な判断と見積りが要求されます。ソニーは、決算日において、繰延税金資産に対して計上している評価減の妥当性を判断するため、これら資産の再評価を行います。2022年3月31日現在、総額で2,408億円の評価減が計上されています。これら評価減の増加は、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 繰延税金資産は、税務管轄ごとに評価されます。2022年3月31日時点において、ソニーは主に日本において地方税に係る評価減を計上しています。さらに、充分な課税所得を適切な税務管轄内で生み出せないなど様々な理由により、繰延税金資産は未使用のまま消滅、又は回収できない可能性があります。繰延税金資産が未使用のまま消滅した場合、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 一部の税務管轄において、繰越欠損金又は繰越税額控除の使用が、翌期以降の課税所得に対する一定の水準に制限されており、ある特定の要因の所得との相殺にしか使用できない場合があります。したがって、ソニーは、課税所得が発生した税務管轄において、多額の繰越欠損金又は繰越税額控除があるにもかかわらず、税金の支払いが発生するため税金費用を計上する可能性があります。

 上記に加え、ソニーの将来における実効税率は、法定税率の変更や異なる法定税率が適用される各国での利益の割合の変化、又は最低税率に関する枠組み、ロイヤルティや利息の損金算入制限、及び税額控除の使用制限を含む租税法規の改正やそれらの解釈の変更などにより不利な影響を受ける可能性があります。

 

(21) ソニーは、のれんや無形資産、もしくは有形固定資産の減損損失を計上する可能性があります。

 ソニーは多くののれん、無形資産ならびに製造施設及び設備を含む有形固定資産を保有しています。これらの資産については、業績の悪化や時価総額の減少、将来のキャッシュ・フローの見積額の減少、世界経済情勢の変化、減損の判定に用いられる高度な判断を必要とする見積り・前提の変更により、減損損失を計上する可能性があります。減損の可能性を示す事象又は状況の変化には、設定された事業計画の下方修正や実績見込みの大幅な変更、あるいは外的な市場や産業固有の変動などが含まれます。なお、ソニーがさらされている国際的な競争環境の激化や技術動向の急激な変化により、減損の判定に用いられる見積り、前提及び判断が変動し、減損損失の計上の可能性が増加することがあります。このような減損損失の計上は、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

(1)重要な会計上の見積り

 IFRSにしたがった連結財務諸表の作成は、決算日における資産・負債の報告金額及び偶発資産・負債の開示、及び報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与えるような、マネジメントによる見積り・仮定を必要とします。ソニーは、継続的に、過去のデータ、将来の予測及び状況に応じ合理的と判断される範囲での様々な仮定にもとづき見積りを評価します。これらの評価の結果は、他の方法からは容易に判定しえない資産・負債の簿価あるいは費用の報告金額についての判断の基礎となります。実際の結果は、これらの見積りと大きく異なる場合があります。新型コロナウイルス感染拡大がソニーの事業に悪影響を与え得るタイミングや度合いは不確実であり、今後の事態の進展によります。この不確実性は、会計上の見積り及び仮定に追加の変動をもたらす可能性があります。ソニーは、会社の財政状態や業績に重要な影響を与え、かつその適用にあたってマネジメントが重要な判断や見積りを必要とするものを重要な会計上の見積りであると考えます。ソニーは、以下に述べる項目を会社の重要な会計上の見積りとして考えています。なお、会計上の見積りの各項目に関連する会計方針については、「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『3.重要な会計方針の要約』をご参照ください。

金融商品

 ソニーは、金融商品の契約の当事者になった時点で、金融商品を金融資産又は金融負債として認識しています。金融資産及び金融負債は公正価値で当初測定されます。

 ソニーの保有する金融商品は測定方法にしたがって分類され、このうち公正価値で測定される金融商品については、将来における公正価値の変動により連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。

 また、負債性証券の信用損失の評価は、多くの場合、主観的であり、発行企業の信用格付け、業績予想、事業計画及び将来キャッシュ・フローに関するある特定の前提及び見積りが必要とされます。したがって、現在、信用損失がないと判断している負債性証券について、信用格付けの低下、継続的な業績の低迷、将来の世界的な株式市況の大幅悪化又は市場金利変動の影響等の事後的に利用可能となる情報の評価にもとづき、将来、信用損失に関する引当金が測定され、費用として認識されることにより、将来の収益を減少させる場合があります。

非金融資産の減損

 ソニーは、棚卸資産、契約コスト及び繰延税金資産を除く非金融資産について、個々の資産又は資金生成単位に係る減損の兆候が存在する場合には、当該資産の回収可能性の検討を行っています。これに加え、各資金生成単位に配分されているのれん、耐用年数が確定できない無形資産及び未だ利用可能でない無形資産の帳簿価額については、年に1回第4四半期に減損テストを実施しています。

 

 当年度の減損判定において、のれんを持つ全ての資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額を超過していたため、のれんの減損損失を認識することはありませんでした。また、重要なのれんを持つ資金生成単位において回収可能価額は帳簿価額を少なくとも10%以上超過しています。耐用年数が確定できない無形資産及び未だ利用可能でない無形資産においても、回収可能価額が帳簿価額を超過していたため、減損損失を認識することはありませんでした。

 

 中期計画を除く、2021年度ののれんの減損判定において実施された資金生成単位の回収可能価額への影響に関する感応度分析を含む重要な前提の検討は下記のとおりです。

・税引後割引率は3.2%から15.0%の範囲です。他の全ての前提を同一とし、割引率を1ポイント増加させた場合においても、のれんの減損損失を認識することはありませんでした。

・G&NS分野、EP&S分野、I&SS分野及び金融分野の資金生成単位におけるターミナル・バリューに適用された成長率はおおよそ1.0%から1.5%の範囲です。音楽分野の資金生成単位における中期計画を超える期間の成長率は1.0%から2.5%の範囲、映画分野では△5.0%から16.0%の範囲です。他の全ての前提を同一とし、成長率を1ポイント減少させた場合においても、のれんの減損損失を認識することはありませんでした。

・映画分野の資金生成単位におけるターミナル・バリューの算定に使用される利益倍率は6.0から11.0、収益倍率は1.5から2.0です。他の全ての前提を同一とし、利益倍率を1.0、収益倍率を0.25それぞれ減少させた場合においても、のれんの減損損失を認識することはありませんでした。

 マネジメントは、のれんの減損判定における回収可能価額の見積りに用いられた前提は、新型コロナウイルス感染拡大による潜在的な影響などを含め、合理的であると考えています。しかしながら、将来の予測不能なビジネスの前提条件の変化による、回収可能価額の下落を引き起こすような見積りの変化が、これらの評価に不利に影響し、結果として、将来においてソニーが非金融資産の減損損失を認識することになる可能性があります。

企業結合

 被取得企業における識別可能資産及び負債は、限定的な例外を除き、取得日の公正価値で測定しています。

 企業結合で移転された対価、被取得企業の非支配持分の金額及びソニーが従来保有していた被取得企業の資本持分の公正価値の合計が、取得日における識別可能資産及び負債の正味価額を上回る場合にはその超過額がのれんとして認識され、下回る場合には純利益として認識されます。

 見積りや前提には固有の不確実性が含まれるため、この移転された対価は異なる金額で評価され、識別可能資産及び負債に割り当てられる可能性があります。実際の結果が異なる可能性があること又は予想しない事象及び状況がこのような見積りに影響を与える可能性があることから、識別可能資産及びのれんの減損損失の計上又は識別可能負債の増加が必要となる可能性があります。

 

映画分野における予想総収益の見積り

 映画会計においては、作品のライフサイクルを通した予想総収益を見積もる過程でマネジメントの判断が必要となります。この予想総収益の見積りは、繰延映画製作費及び映画分野における未払分配金債務の測定にあたり重要となります。

 映画作品が製作され関連する費用が資産化される際に、その繰延映画製作費の公正価値が減損し、回収不能と見込まれる額を評価減する必要があるかどうかを決定するため、マネジメントは発生時に費用化される配給関連費用を含む追加で発生する費用を控除した予想総収益を見積もる必要があります。また、ある映画作品に関する売上原価として認識される繰延映画製作費の額は、その映画作品がそのライフサイクルにおいて様々な市場で公開されることから、残りの予想総収益に対する当該年度の収益実績額の割合にもとづいて計上されています。

 マネジメントが各作品の予想総収益を見積もる際に基礎とするのは、同種の過去の作品の収益、主演俳優の人気度、その作品の公開される予測映画館数、BD/DVDなどのパッケージメディアやデジタル販売、テレビ放映及びその他の付随マーケットでの期待収益ならびに将来の売上に関する契約などです。この見積りは、各作品の直近までの実現収益及び将来予測収益にもとづいて定期的に見直されます。例えば、公開当初数週間の劇場収入が予想を下回った場合には、通常、劇場、BD/DVDなどのパッケージメディアやデジタル販売、及びテレビ放映の生涯収益などを下方に修正することになります。そのような下方修正を行わなかった場合、当該期間における映画製作費の償却費の過少計上になる可能性があります。さらに、未払分配金債務は残りの予想総収益に対する当該年度の収益実績額の割合に応じて計上されます。

 

繰延税金資産の評価

 繰延税金資産は、将来それらを利用できる課税所得が稼得される可能性が高い範囲内で認識しています。したがって、繰延税金資産の計上金額は、繰延税金資産の回収可能性に関連する入手可能な証拠にもとづいて、定期的に評価されます。

 

 繰延税金資産の評価は、財政状態計算書日時点で適用されている税制や税率にもとづいており、また、ソニーの財務諸表及び税務申告書で認識されている事象に関して将来に起こり得る税務上の結果についてのマネジメントの判断と最善の見積り、様々な税務戦略を実行する能力、一定の場合においての将来の結果に関する予測、事業計画及びその他の見込みを反映しています。ソニーが事業を行っているそれぞれの税務管轄における現在の税制や税率の改正は、実際の税務上の結果に影響を与える可能性があり、市場経済の悪化やマネジメントによる構造改革の目標未達は、将来における業績に影響を与える可能性があります。そして、これらのいずれかが、繰延税金資産の評価に影響を与える可能性があります。将来の結果が計画を下回る場合、税務調査の結果や連結会社間の移転価格に関する事前確認制度の交渉が現在の損益配分に関する予想と異なる結果となる場合、及び税務戦略の選択肢が実行可能ではなくなる場合や売却を予定する資産の価値が税務上の簿価を下回ることになる場合には、繰延税金資産に対して評価減の計上が要求される可能性があります。一方、将来の予測される利益の改善や継続した利益の計上、ビジネス構造の変革といった他の要因によって、関連し得る要因の評価の結果、将来において、税金費用の減額をともなう評価減の戻し入れが計上される可能性があります。現在の見込みにおいて予想していないこれらの起こり得る要因や変化は、評価減が計上又は取崩される期間において、ソニーの業績又は財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

繰延保険契約費

 新規保険契約の獲得もしくは保険契約の更新に直接関連し、かつそれに応じて変動する費用のうち、回収できると認められるものについては繰り延べています。繰り延べの対象となる新規契約費用は、保険契約募集手数料(費用)、診査及び調査費用等から構成されます。繰延保険契約費については、資産計上した金額が見積粗利益又は保険料から保険給付金及び事業費を控除した額の現在価値を超えていないことを検証するために、少なくとも年1回、回収テストが行われます。伝統的保険商品に関する繰延費用は、保険契約債務の計算と共通の基礎数値を用いて関連する保険契約の保険料払込期間にわたり償却されます。非伝統的保険商品に関する繰延費用は、見積期間にわたり関連する保険契約の見積粗利益の現在価値にもとづく一定の比率により償却されます。見積粗利益の現在価値算定における重要な仮定として資産運用利回り、死亡率、解約率及び割引率などを使用しています。

 

保険契約債務

 保険契約債務は、保険契約者に対する将来の予測支払額の現在価値として計上されています。これらの債務は将来の資産運用利回り、罹患率、死亡率及び解約率等の要因についての予測にもとづき平準純保険料式の評価方法により算定されます。これらの見積り・予測は定期的に検証されています。また、保険契約債務には一部の非伝統的な生命保険及び年金保険契約における最低保証給付に対する債務を含んでいます。

 

生命保険ビジネスにおける契約者勘定

 生命保険ビジネスにおける契約者勘定に関する負債は、会計期間末日での契約者の給付に生じた契約の価値を表しています。負債は一般的に、累積的な積立額に付与利息を加え、契約者の引出額と残高に対して課せられるその他の手数料を差し引いたものです。生命保険ビジネスにおける契約者勘定には最低保証が付帯する変額年金保険契約及び変額保険契約に関する債務を含んでいます。

(2)生産、受注及び販売の状況

 ソニーの生産・販売品目は極めて広範囲かつ多種多様であり、また、ゲーム機やゲームソフト、音楽・映像ソフト、エレクトロニクス機器等は、その性質上、原則として見込生産を行っているため、分野別に生産規模及び受注規模を金額又は数量で示すことはしていません。販売の状況については後述の「(3)経営成績の分析」において各分野の業績に関連付けて示しています。

 

(3)経営成績の分析

 ソニーは、2021年度よりIFRSを適用しており、2020年度の数値もIFRSに組み替えて比較分析を行なっています。

 米国会計基準からIFRSへの移行にともなう調整の詳細については、「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『34.初度適用』をご参照ください。

 

営業概況

 

 

2020年度

(億円)

2021年度

(億円)

売上高及び金融ビジネス収入

89,987

99,215

営業利益

9,553

12,023

税引前利益

9,980

11,175

当社株主に帰属する当期純利益

10,296

8,822

 

連結業績

売上高

 2021年度の売上高及び金融ビジネス収入(以下「売上高」)は、前年度比9,229億円増加し、9兆9,215億円となりました。これは、映画分野、EP&S分野及び音楽分野の大幅な増収などによるものです。売上高の内訳の詳細については、後述の「分野別営業概況」をご参照ください。

 

 (後述の「売上原価」、「研究開発費」及び「販売費及び一般管理費」に関する売上高に対する比率分析において、売上高には、純売上高のみが考慮されており、金融ビジネス収入は除かれています。これは、金融ビジネス費用は連結財務諸表上、売上原価や販売費及び一般管理費とは別に計上されていることによります。さらに、後述の比率分析のうち、セグメントに関するものについては、セグメント間取引を含んで計算されています。)

 

売上原価、販売費及び一般管理費、その他の営業損(益)(純額)

 2021年度の売上原価は、前年度比7,799億円増加して5兆8,458億円となり、売上高に対する比率は前年度の69.1%から69.6%に悪化しました。なお、2020年度の売上原価には、モバイル機器向けの一部のイメージセンサーの在庫に関する評価減74億円が含まれており、I&SS分野に計上されています。

 研究開発費(売上原価に全額含まれる)は、前年度比730億円増加して6,184億円となり、売上高に対する比率は前年度から変わらず7.4%になりました。(詳細は「第2 事業の状況」『5 研究開発活動』参照)

 販売費及び一般管理費は、前年度比1,153億円増加し、1兆5,885億円になりました。販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は前年度の20.1%から18.9%に改善しました。

 その他の営業損(益)(純額)は、前年度比797億円増加し、655億円の利益となりました。この大幅な改善は、主に以下の2021年度に発生した要因の寄与及び2020年度に発生した要因による影響がなかったことによるものです。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『23.連結損益計算書についての補足情報』参照)

 

2021年度に発生した要因

・Game Show Network, LLCの一部の事業譲渡にともなう利益 700億円(映画分野)

 

 

2020年度に発生した要因

・Pledis Entertainment Co., Ltd.(以下「Pledis」)株式の一部譲渡にともなう売却益 72億円(音楽分野)

・事業譲渡にともなう利益 59億円(音楽分野)

・介護事業における固定資産の減損損失 74億円(金融分野)

 

持分法による投資利益(損失)

 2021年度の持分法による投資利益(損失)は、前年度比121億円増加し、236億円となりました。この増加は主に、エムスリー㈱の関連会社が上場にともない新株発行を行ったことによるエムスリー㈱で計上された持分変動利益に係る持分法投資利益51億円を計上したことによるものです。

 

営業利益

 2021年度の営業利益は、前年度比2,471億円増加し、1兆2,023億円となりました。この大幅な増益は、主に映画分野及びEP&S分野の大幅な増益によるものです。なお、当年度及び前年度の営業利益には、前述のその他の営業損(益)(純額)として計上された要因が含まれています。また、前年度の営業利益には、主に販売費及び一般管理費として計上された「新型コロナウイルス・ソニーグローバル支援基金」に係る費用53億円が含まれており、全社(共通)及びセグメント間取引消去に計上されています。当年度の営業利益には、金融ビジネス費用に計上されているソニー生命の子会社における一時的な損失168億円ならびに主に全社(共通)及びセグメント間取引消去に計上されている一部の米国子会社における確定給付型年金制度終了にともなう清算益55億円が含まれています。

 

金融収益及び費用

 2021年度の金融収益は、前年度から645億円減少し、193億円となりました。一方、金融費用は前年度に比べ631億円増加し、1,041億円となりました。金融収益から金融費用を差し引いた純額は、前年度の427億円の収益に対し、848億円の費用を計上しました。これは主に、前年度はSpotify Technology S.A.株式などの評価益を計上したのに対し、当年度は当該株式などの評価損を計上したことによるものです。

 

税引前利益

 2021年度の税引前利益は、前年度比1,195億円増加し、1兆1,175億円となりました。

 

法人所得税

 2021年度の法人所得税は、2,291億円を計上し、これには、一部の日本の会社における繰延税金資産に対する以前に計上した評価減の戻入れにともなう法人所得税の減額334億円が含まれています。当年度の実効税率は、前年度のマイナス4.6%を上回り20.5%となりました。この実効税率の上昇は、前年度において、主に日本の連結納税グループにおける相当部分の法人税及び一部の日本の会社における地方税に係る繰延税金資産に対する以前に計上した評価減の戻入れにともない、法人所得税をそれぞれ2,143億円及び76億円減額したこと、ならびに米国の連結納税グループにおける外国税額控除及び試験研究費の税額控除に係る繰延税金資産に対する以前に計上した評価減の戻入れにともない、法人所得税を213億円及び136億円減額したことによるものです。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『25.法人所得税』参照)

 

非支配持分に帰属する当期純利益

 2021年度の非支配持分に帰属する当期純利益は、前年度比81億円減少し、62億円となりました。これは主にSFGIを完全子会社化したことによるものです。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『20.資本 (5)非支配持分株主との資本取引』参照)

 

当社株主に帰属する当期純利益

 2021年度の当社株主に帰属する当期純利益(非支配持分に帰属する当期純利益を除く)は、前年度比1,474億円減少し、8,822億円となりました。

 基本的1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は前年度の836.75円に対し、2021年度は711.84円となりました。また、希薄化後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は前年度の823.77円に対し、2021年度は705.16円となりました。(1株当たり当社株主に帰属する当期純損益の詳細については、「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『26.基本的及び希薄化後EPSの調整表』参照)

 

分野別営業概況

 以下の情報はセグメント情報にもとづきます。各分野の売上高はセグメント間取引消去前のものであり、また各分野の営業損益はセグメント間取引消去前のもので配賦不能費用は含まれていません。(「第5 経理の状況」 連結財務諸表注記『4.セグメント情報』参照)

 

G&NS分野

 

主要経営数値

 

2020年度

(百万円)

2021年度

(百万円)

製品部門別の外部顧客向け売上高

 

 

デジタルソフトウェア・アドオンコンテンツ

1,454,654

1,424,459

ネットワーク

382,950

409,355

ハードウェア・その他

767,109

840,542

外部顧客向け売上高の合計

2,604,713

2,674,356

セグメント間取引

51,565

65,407

セグメント売上高

2,656,278

2,739,763

セグメント営業利益

341,718

346,089

 

 

 

主要製品の売上台数

(万台)

(万台)

PS4®ハードウェア

570

100

PS5™ハードウェア

780

1,150

 

 2021年度のG&NS分野の売上高は、前年度比835億円増加し、2兆7,398億円となりました。この増収は、アドオンコンテンツを含む自社制作以外のタイトルを中心としたゲームソフトウェア販売減少などがあったものの、主に為替の影響やハードウェアの売上増加によるものです。

 営業利益は、前年度比ほぼ横ばいの3,461億円となりました。この増益は、アドオンコンテンツを含む自社制作以外のゲームソフトウェア販売減少の影響があったものの、主に製造コストを下回る価格を戦略的に設定しているPS5™ハードウェアの損失縮小によるものです。なお、当年度の為替の好影響は157億円でした。

 

事業環境及び事業戦略

 2021年度の当分野の業績は、前年度のコロナ禍における巣籠もり需要が落ち着いた中でも、ユーザーエンゲージメントを高い水準で維持できたことによる堅調なソフトウェア販売及びネットワークサービスからの継続的かつ安定した収益貢献を反映したものとなりました。一方、ハードウェアについては、半導体を中心とした部材の供給制約や物流の混乱の影響により、PS5™に対する強い需要に対して、供給が十分に追い付かない状況が続きました。このような環境下、ハードウェアについては、引き続き部材の確保に努め、PS5™の普及拡大を図っていくとともに、ユーザーエンゲージメントの維持・拡大やコンソールを超えたコミュニティの拡大を通じた今後の成長に向けて、三つの成長戦略として、サービスの拡大・強化、ポートフォリオの拡大及び顧客基盤の拡大のための取り組みを継続して進めていきます。サービスの拡大・強化については、PS Plusとプレイステーション™ナウ(PS Now)を統合した新たなPS Plusの展開や、自社による一般消費者向けのウェブサイトを通じたオンラインストア事業の拡大に取り組んでいきます。ポートフォリオの拡大については、自社制作ソフトウェアの強化に向けた、PlayStation Studiosへの積極的な費用投下やサードパーティスタジオに対する出資・買収などを継続的に実施することにより、既存のIPポートフォリオの強化及び新規IPの拡大に取り組んでいきます。例えば、ライブゲームサービスの領域におけるポートフォリオの拡大を推進するための取り組みとして、2022年1月、Bungieの買収に関する確定契約を締結しました。顧客基盤の拡大については、PCやモバイルといったマルチプラットフォームへの自社制作ソフトウェアの展開を強化していきます。また、これら三つの成長戦略に加え、ソニーグループ内連携の強化に引き続き取り組むことにより、プレイステーションのゲームIPの映画化・テレビ番組化をさらに進めていきます。

 

音楽分野

 音楽分野の業績には、日本の㈱ソニー・ミュージックエンタテインメントの円ベースでの業績、ならびにその他全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結している、SME及びSMPの円換算後の業績が含まれています。

 

主要経営数値

 

2020年度

(百万円)

2021年度

(百万円)

ビジネス部門別の外部顧客向け売上高

 

 

音楽制作(ストリーミング)

337,100

462,368

音楽制作(その他)

179,167

206,412

音楽出版

156,862

200,334

映像メディア・プラットフォーム

254,121

231,418

外部顧客向け売上高の合計

927,250

1,100,532

セグメント間取引

12,617

16,417

セグメント売上高

939,867

1,116,949

セグメント営業利益

184,786

210,933

 

 2021年度の音楽分野の売上高は、前年度比1,771億円増加し、1兆1,169億円となりました。この大幅な増収は、音楽制作及び音楽出版における有料会員制ストリーミングサービス及び前年度に新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた広告型ストリーミングサービスからの収入の増加や為替の影響などによるものです。

 営業利益は、前年度比261億円増加し、2,109億円となりました。この増益は、前年度にPledisの株式の一部譲渡にともなう売却益72億円の計上及び海外での事業譲渡にともなう利益59億円の計上があったものの、主に前述の増収の影響及び為替の好影響によるものです。

 

事業環境及び事業戦略

 2021年度の当分野の業績は、新型コロナウイルス感染拡大の影響からの回復もあり、世界的にデジタルストリーミング配信の拡大が続く中、アーティストの発掘・育成の強化、ヒップホップやラップなどのレパートリーの拡充、Alamo Recordsをはじめとしたレーベルの買収などを積極的に進めたことによるストリーミングサービスからの収入の増加を反映したものとなりました。このような環境下、音楽コンテンツの需要は引き続き高く、ソニーはさらなる成長に向けたコンテンツIP強化やアーティストとの関係強化のための積極的な投資などの取り組みを継続しています。例えば、2021年度におけるAWALの買収により、インディーズアーティスト向けのサービスを強化しました。また、新興市場におけるストリーミングサービスの普及拡大による利益成長の機会を得るため、ローカルタレントへの積極的な投資やローカル企業との協業などにより、新興市場へのアプローチも引き続き強化しています。例えば、2021年度におけるブラジルの独立系音楽レーベルであるSom Livreの買収により、中南米での事業基盤を強化しました。さらに、ソーシャル、ゲーム、フィットネスなどの新たな事業機会も着実に増加しており、例えば、2021年度において、英国のポッドキャストの有力な音楽制作会社であるSomethin' Elseを買収しました。今後もこのような新規事業領域において、多様なサービスパートナーとの連携を通じて、音楽コンテンツの新たな利用機会の創出による収益基盤の拡大及びアーティストにとっての収益拡大の機会の創出によるアーティストとの関係強化に取り組んでいきます。加えて、多様性のあるソニーグループの一員というポジションを活かし、アーティストに幅広いマーケティングの機会を提供していきます。また、映像メディア・プラットフォームにおいては、アニメ作品の多様化と、Crunchyrollによる自社配信やグローバル配信パートナーとの連携強化などによる展開チャネルの多様化を通じて、アニメIPのライフタイムバリューの最大化に取り組んでいきます。

 

映画分野

 映画分野の業績は、全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結しているSPEの円換算後の業績です。ソニーはSPEの業績を米ドルで分析しているため、一部の記述については「米ドルベース」と特記してあります。

 

主要経営数値

 

2020年度

(百万円)

2021年度

(百万円)

ビジネス部門別の外部顧客向け売上高

 

 

映画製作

265,301

518,840

テレビ番組制作

267,123

419,494

メディアネットワーク

219,376

298,065

外部顧客向け売上高の合計

751,800

1,236,399

セグメント間取引

1,187

2,512

セグメント売上高

752,987

1,238,911

セグメント営業利益

79,851

217,393

 

 2021年度の映画分野の売上高は、前年度比4,859億円(65%)増加し、1兆2,389億円となりました(米ドルベースでは、55%の増加)。この大幅な増収は、全カテゴリーの増収によるものです。映画製作は、主に『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』及びその他の作品の貢献による新作映画の劇場興行収入ならびに動画配信サービスからのライセンス収入及びカタログ作品のライセンス収入の増加により増収となりました。この増収は、前年度に主要作品の劇場公開がなかったことによる、前年度に公開した作品からのホームエンタテインメント売上及びライセンス収入の減少により一部相殺されています。テレビ番組制作は、『サインフェルド』のライセンス収入を計上したこと、及び新型コロナウイルス感染拡大の影響で制作遅延の影響があった前年度と比較して当年度作品の納入数が増加したことなどにより、増収となりました。メディアネットワークは、主にCrunchyroll買収の影響により増収となりました。

 営業利益は、前年度比1,375億円増加し、2,174億円となりました。この大幅な増益は、映画製作における広告宣伝費は増加したものの、主に前述の増収の影響及びGame Show Network, LLCの一部門であるGSN Gamesの事業譲渡にともなう譲渡益700億円の計上によるものです。

 

事業環境及び事業戦略

 2021年度の当分野の業績は、前年度に新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けた劇場興行収入の回復が進んだこと及びコロナ禍において動画配信サービスを通じたコンテンツへの需要が高まったことを受けて、引き続き映画作品の劇場公開を重視しながらも、動画配信サービスへの展開を含めて、作品の長期的な価値を最大化するための柔軟な公開戦略の成果を反映したものとなりました。このような環境下、ソニーは引き続き独立系スタジオとしての強みを活かし、コンテンツIPの創出と強化のための取り組みを進めるとともに、Community of InterestにもとづくDTCサービスの成長拡大のための取り組みを進めていきます。映画製作においては、独自IPの展開及び再活性化と、新しいIPの創出を進めていきます。例えば、2022年4月にはMarvelのキャラクターである『モービウス』の映画を公開しており、今後もSony Pictures Universe of Marvel Charactersの展開を拡大していきます。テレビ番組制作においては、バラエティやドキュメンタリー制作に定評があるIndustrial Mediaや、英国有数のドラマ制作スタジオBad Wolfの買収を行っており、引き続きIPポートフォリオの多様化と強化を進めていきます。加えて、映画製作やテレビ番組制作におけるソニーグループ内連携の取り組みも継続しており、例えば、2022年2月の『アンチャーテッド』の劇場公開に続いて、ゲームIPを題材とした作品展開を拡大していきます。メディアネットワークにおいては、2021年8月に買収を完了したアニメ配信サービスであるCrunchyrollや、インドのデジタル配信サービスであるSonyLIVなどのDTCサービスの展開を強化していきます。2021年12月にSPNIとZeeとの合併に関する確定契約の締結を発表しましたが、本合併により、急成長するインドのメディア・エンタテインメント市場において、両社の強みを活かしデジタル配信サービスを強化していくことで、事業拡大とデジタル化をさらに加速していくことをめざします。

 

EP&S分野

 

主要経営数値

 

2020年度

(百万円)

2021年度

(百万円)

製品部門別の外部顧客向け売上高

 

 

テレビ

709,007

858,837

オーディオ・ビデオ

313,975

326,704

静止画・動画カメラ

338,694

414,898

モバイル・コミュニケーション

358,580

365,864

その他

296,631

331,583

外部顧客向け売上高の合計

2,016,887

2,297,886

セグメント間取引

51,200

41,300

セグメント売上高

2,068,087

2,339,186

セグメント営業利益

127,859

212,942

 

 

 

主要製品の売上台数

(万台)

(万台)

テレビ

930

850

 

 2021年度のEP&S分野の売上高は、前年度比2,711億円増加し、2兆3,392億円となりました。この大幅な増収は、主に製品ミックスの改善によるテレビ及びデジタルカメラの増収ならびに為替の影響によるものです。

 営業利益は、前年度比851億円増加し、2,129億円となりました。この大幅な増益は、テレビ及びデジタルカメラの販売台数減少の影響があったものの、デジタルカメラ及びテレビの製品ミックスの改善ならびに為替の好影響によるものです。なお、当年度の為替の好影響は272億円でした。

 

事業環境及び事業戦略

 2021年度の当分野の業績は、コロナ禍による生産及び物流の混乱や、半導体を中心とした部材の供給制約、パネル価格の高騰など、事業環境の厳しい変化があったものの、これらの変化に機敏に対応するための徹底したサプライチェーンマネジメントや固定費削減などの各種施策を実行するとともに、テレビやデジタルカメラを中心に高付加価値商品へのシフトを推進した成果を反映したものとなりました。このような環境下、当分野では、収益性の維持向上をめざす「収益軸事業領域」と新規事業の創出・拡大による成長をめざす「成長軸事業領域」の二軸での事業構造を確立するという方針のもと、事業運営を行っていきます。収益軸事業領域においては、クリエイターとともに作り上げた各製品カテゴリーの独自技術による高付加価値路線をさらに進化させるとともに、他社との協業によるアプリケーション強化や製品カテゴリー間の連携を進め、新たな顧客価値を創出していくことで、さらなる商品力強化を進めていきます。加えて、生産から販売までの一貫したデータ連携やDX化によるオペレーション強化を進めていきます。成長軸事業領域においては、クリエイターとともに未来のエンタテインメントを創造していくために、バーチャルプロダクション事業とメディアクラウド事業において、社内外のパートナーと連携してクリエイターに新しい価値を提供するリカーリング・ソリューションビジネスを展開することをめざすとともに、カメラSDK事業や、ライブとバーチャルをつなぐ新たなスポーツエンタテインメントの実現をめざすスポーツ事業などを推進していきます。また、これまで培ってきたテクノロジーを活用することでお客様に安心をもたらすことをめざし、ライフサイエンス事業及びネットワークサービス事業を拡大・強化していきます。

 

I&SS分野

 

主要経営数値

 

2020年度

(百万円)

2021年度

(百万円)

外部顧客向け売上高の合計

937,859

992,200

セグメント間取引

74,638

84,224

セグメント売上高

1,012,497

1,076,424

セグメント営業利益

145,884

155,597

 

 2021年度のI&SS分野の売上高は、前年度比639億円増加し、1兆764億円となりました。この増収は、モバイル機器向けイメージセンサーが販売数量の増加の一方で製品ミックスの悪化により減収となったものの、主に為替の影響、ならびにデジタルカメラ向け及び産業機器向けイメージセンサーが販売数量の増加により増収となったことによるものです。

 営業利益は、前年度比97億円増加し、1,556億円となりました。この増益は、研究開発費及び減価償却費の増加ならびに前述のモバイル機器向けイメージセンサーの減収の影響があったものの、主に前述の増収の影響、為替の好影響、及び前年度に計上された米国の輸出規制を受けて出荷を停止していたモバイル機器向けの一部のイメージセンサーの在庫に関する評価減72億円によるものです。なお、当年度の為替の好影響は185億円でした。

 

事業環境及び事業戦略

 2021年度の当分野の業績は、モバイル機器向けイメージセンサー事業において、軟調な中国のスマートフォン市場や半導体を中心とした部材不足など、引き続き厳しい事業環境が続きましたが、2019年度後半の米中摩擦以降進めていた顧客基盤の分散・拡大及び数量シェアの回復に向けた取り組みの成果を反映したものとなりました。このような環境下、ハイエンドスマートフォンを中心に、イメージセンサーの大型化や高画質・高付加価値化の傾向が顕著になっていることから、高機能・高画質のカスタムセンサーの導入による収益性改善への取り組みを継続して進めていきます。さらに、車載や産業機器などのセンシング領域やソリューション事業といった新規領域での取り組みも引き続き積極的に進めていきます。車載領域はこれまで順調に成長しており、引き続きOEMやプラットフォーマーとの関係構築を進め、収益拡大をめざします。産業機器領域では、多種多様な商品ラインアップを強みとして、省人化や自動化をはじめとした、様々な現場の課題解決に貢献するソリューションを提供し、中長期的な事業成長につなげていきます。また、ソリューション事業については、エッジAIセンシングプラットフォームAITRIOS™の展開を通じて、リカーリングビジネスの拡大をめざします。このような中長期的なイメージセンサーの需要拡大に対応することを目的として、生産能力増強のための設備投資も継続していきます。また、重要な事業課題であるロジック半導体の中長期的な安定調達のために、2021年度において、JASMへの少数持分出資を行いました。このような設備投資や出資の増加、技術的競争優位性の維持・拡大のための研究開発費の増加等があるものの、引き続き、中期的な売上成長及び収益性改善のための取り組みを進めるとともに、イメージング用途で世界No.1を堅持し、センシング用途でも世界No.1をめざします。

 

金融分野

 金融分野には、SFGI及びSFGIの連結子会社であるソニー生命、ソニー損保、ソニー銀行等の業績が含まれています。金融分野に記載されているソニー生命の業績は、SFGI及びソニー生命が日本の会計原則に則って個別に開示している業績とは異なります。

 

主要経営数値

 

2020年度

(百万円)

2021年度

(百万円)

金融ビジネス収入

1,674,002

1,533,829

営業利益

154,765

150,111

 

 2021年度の金融ビジネス収入は、主にソニー生命の減収により、前年度比1,402億円減少し1兆5,338億円となりました。ソニー生命の収入は、保険料収入が増加したものの、特別勘定における運用益が減少したことにより、前年度比1,310億円減少し*、1兆3,505億円となりました。

 営業利益は、前年度比47億円減少し、1,501億円となりました。この減益は、ソニー生命の増益があったものの、主に同社の子会社における一時的な損失168億円を計上したことによるものです。ソニー生命の営業利益は、株式相場や金利の変動にともなう責任準備金繰入額の増加があったものの、保有契約高の拡大にともなう保険料収入の増加や新型コロナウイルス対策関連費用の減少、債券売却益の計上などにより、前年度比137億円増加し、1,472億円となりました。

 

* ソニー生命が2021年4月1日付で年金事業を営む同社の子会社を合併したことにともない、当年度より当該子会社の収入がソニー生命の収入に含まれています。当該子会社の合併の影響を除くと、ソニー生命の収入は前年度比1,711億円の減収となります。
 

事業環境及び事業戦略

 2021年度の当分野の業績は、日本経済と債券市場の状況を反映したものとなりました。日本経済は、前年度に引き続き新型コロナウイルスの感染状況に大きく影響を受けました。2021年4月には感染拡大を受けて日本政府による緊急事態宣言が再々発令され、飲食業等の営業縮小や外出自粛によって、個人消費を中心に景気回復が一服しました。夏以降は、デルタ変異株による感染が急速に拡大したため、外出自粛の動きがさらに強まりました。同時期に、東南アジアでの感染拡大による現地製造業の事業活動の停滞にともない、半導体等の部材不足によって自動車産業の生産活動も停滞したため、日本の景気は悪化しました。一方で日本政府はワクチン接種を急速に進め、10月から感染状況が大きく好転し、2021年10~12月期の日本のGDP成長率はプラス成長に転じました。しかし、2022年初頭からオミクロン変異株によって感染が再び拡大し、年明け以降の日本の景気は弱い動きとなりました。日本の債券市場は、財政政策・金融政策を巡る思惑と米国の長期金利の影響を受けました。このような環境下、お客様への提供価値を最大化することで金融グループ全体として収益性をともなった持続的成長を実現するため、コア・ユニークな競争優位性の徹底強化、低金利に耐え得る収益構造への転換、お客様目線経営のさらなる進化、テクノロジーによる競争力強化、グループシナジーの最大化の五つを戦略の柱として、各種取り組みを進めています。これまでの取り組みは順調に進んでおり、強みを活かすことで業容は着実に拡大しています。例えば、ソニー生命におけるライフプランナーの一人当たりの生産性は、注力分野である法人ビジネスにおける新契約高の伸長によって改善しており、ライフプランナー数も着実に増加しています。今後もライフプランナーの生産性向上、収益性強化などの質的転換を徹底し、さらなる利益成長をめざします。加えて、テクノロジーによる競争力の強化を加速するためのソニーグループ内連携の強化や外部パートナーからの知見・技術の獲得の強化、金融分野各社の事業の垣根を超えたデータ利活用等によるお客様への提供価値向上に向けた取り組みも推進していきます。また、ソニーグループの一員として社会的責任を果たすべく、サステナビリティ推進と金融グループにおけるガバナンス徹底強化に注力します。さらに、中長期的には、コア顧客の深掘りに加え、テクノロジーやアライアンスの活用により、顧客基盤及び顧客とのタッチポイントを拡大し、顧客生涯価値の最大化をめざします。

 

金融分野を分離した経営成績情報

 以下の表は金融分野の要約損益計算書、及び金融分野を除くソニー連結の要約損益計算書です。これらの要約損益計算書は、ソニーの連結財務諸表の作成に用いられたIFRSには準拠していませんが、金融分野はソニーのその他の分野とは性質が異なるため、ソニーはこのような比較表示が連結財務諸表の理解と分析に役立つものと考えています。なお、以下の金融分野と金融分野を除くソニー連結の金額には両者間の取引(非支配持分を含む)を含んでおり、これらの相殺消去を反映した後のものがソニー連結の金額です。

 

要約損益計算書(3月31日に終了した1年間)

 

(単位:百万円)

金融分野

金融分野を除くソニー連結

ソニー連結

 

2020年度

2021年度

2020年度

2021年度

2020年度

2021年度

売上高

7,339,940

8,402,217

7,333,670

8,396,702

金融ビジネス収入

1,674,002

1,533,829

1,664,991

1,524,811

売上高及び金融ビジネス収入合計

1,674,002

1,533,829

7,339,940

8,402,217

8,998,661

9,921,513

売上原価

5,076,858

5,856,925

5,065,879

5,845,804

販売費及び一般管理費

1,468,672

1,582,850

1,473,154

1,588,473

金融ビジネス費用

1,510,685

1,383,054

1,501,674

1,374,037

その他の営業損(益)(純額)

8,552

664

5,698

△66,158

14,250

△65,494

売上原価、販売費・一般管理費及びその他の一般費用合計

1,519,237

1,383,718

6,551,228

7,373,617

8,054,957

8,742,820

持分法による投資利益(損失)

11,551

23,646

11,551

23,646

営業利益

154,765

150,111

800,263

1,052,246

955,255

1,202,339

金融収益(費用)(純額)

62,523

△45,698

42,710

△84,836

税引前利益

154,765

150,111

862,786

1,006,548

997,965

1,117,503

法人所得税

42,939

45,402

△89,162

183,689

△45,931

229,097

当期純利益

111,826

104,709

951,948

822,859

1,043,896

888,406

当期純利益の帰属

 

 

 

 

 

 

金融分野の当期純利益

111,133

104,216

金融分野を除くソニー連結の当期純利益

949,824

817,123

当社株主に帰属する当期純利益

1,029,610

882,178

非支配持分に帰属する当期純利益

693

493

2,124

5,736

14,286

6,228

 

その他分野

 2021年度の売上高は、前年度比20億円減少し、988億円となりました。営業利益は、前年度比108億円増加し、180億円となりました。この大幅な増益は、主にエムスリー㈱の持分法投資利益の増加によるものです。

 

 

為替変動とリスク・ヘッジ

 2021年度の米ドル、ユーロに対する平均円レートはそれぞれ112.3円、130.5円と前年度の平均レートに比べ米ドルは6.3円、ユーロは6.8円の円安となりました。

 2021年度の連結売上高は、前年度に比べ9,229億円(10%)増加し、9兆9,215億円となりました。前年度の為替レートを適用した場合、売上高は約6%の増収となります。

 連結営業利益は、前年度比2,471億円増加し、1兆2,023億円となりました。G&NS分野、EP&S分野及びI&SS分野において為替変動の好影響が生じました。

 分野ごとの為替変動による売上高及び営業損益への影響については、以下の表をご参照ください。また、詳細については、「経営成績の分析」の分野別概況における各分野の分析をご参照ください。為替の影響が大きかった分野やカテゴリーについて、その影響に言及しています。

 

 

 

2020年度

(億円)

2021年度

(億円)

為替変動による影響額

(億円)

G&NS分野

売上高

26,563

27,398

+1,245

 

営業利益

3,417

3,461

+157

EP&S分野

売上高

20,681

23,392

+1,038

 

営業利益

1,279

2,129

+272

I&SS分野

売上高

10,125

10,764

+555

 

営業利益

1,459

1,556

+185

 

 なお、2021年度の音楽分野の売上高は前年度比19%増加の1兆1,169億円となりましたが、前年度の為替レートを適用した場合、約14%の増収でした。映画分野の売上高は前年度比65%増加の1兆2,389億円となりましたが、米ドルベースでは、前年度比約55%の増収でした。詳細な分析は、「(3)経営成績の分析」の「音楽分野」及び「映画分野」をご参照ください。ソニーの金融分野は、円ベースのSFGIを連結しています。同分野の事業のほとんどが日本で行われていることから、ソニーは金融分野の業績の分析を円ベースでのみ行っています。

 2021年度のG&NS分野、EP&S分野及びI&SS分野において、米ドルに対する1円の円高の影響は、売上高では約268億円、営業損益では約17億円の減少と試算されます。ユーロに対する1円の円高の影響は、売上高では約100億円、営業損益では約55億円の減少と試算されます。(「第2 事業の状況」『2 事業等のリスク』参照)

 ソニーの連結業績は、主に収入と費用において通貨構成が異なることから生ずる為替変動リスクにさらされています。G&NS分野では、米ドル建てのコストの割合が高いのに対して、売上高は日本円、米ドル又はユーロで計上されるため、米ドルに対する円高は営業利益に好影響を、ユーロに対する円高は営業利益に悪影響を及ぼします。EP&S分野では、主要製品におけるドル建ての製造コスト等の割合が高いことなどから米ドルに対する円高は営業利益に好影響を及ぼします。一方で、新興国での売上高の割合が高いため、新興国通貨に対する円高は営業利益に悪影響を及ぼします。I&SS分野では、米ドル建ての販売契約の割合が高い一方、主に日本で製造を行っていることから、米ドルに対する円高は営業利益に大幅な悪影響を及ぼします。

 これらの為替変動によるリスクを軽減するため、ソニーは一貫したリスク管理方針に従い、先物為替予約、通貨オプション契約を含むデリバティブを利用しています。ソニーが行っているこれらのデリバティブは、主に当社及び当社の子会社の予想される外貨建て取引及び外貨建て営業債権や営業債務から生じるキャッシュ・フローの為替変動によるリスクを低減するために利用されています。

 ソニーは、総合的な財務サービスを当社及び当社の子会社・関連会社に提供することを目的として、Sony Global Treasury Services Plc(以下「SGTS」)を英国に設立しています。為替変動リスクにさらされている当社及び全ての子会社が、リスク・ヘッジのための契約をSGTSとの間で結ぶことがソニーの方針となっており、当社及び当社の子会社のほとんどはこの目的のためにSGTSを利用しています。為替リスク集中の原則にもとづき、SGTSと当社がソニーグループ全体の相殺後のほとんどの為替変動リスクをヘッジしています。ソニーの方針として、金融機関との為替デリバティブ取引は、リスク管理のため、原則としてSGTSに集中しています。 SGTSはグループ外の信用の高い金融機関との間で外国為替取引を行っています。ほとんどの外国為替取引は、実際の輸出入取引が行われる前の予定された取引や債権・債務に対して行われます。一般的には、実際の輸出入取引が行われる1ヵ月前からヘッジを行っています。ソニーは金融機関との外国為替取引を主にヘッジ目的のために行っています。ソニーは、金融分野を除き、売買もしくは投機目的でこれらのデリバティブを利用していません。金融分野においては、主に資産負債の総合管理の一環としてデリバティブを活用しています。

 キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定されたデリバティブの公正価値変動は、当初累積その他の包括利益に計上され、ヘッジ対象取引が損益に影響を与える時点で損益に振り替えられます。一方、ヘッジ会計の要件を満たさない先物為替予約、通貨オプション契約、及びその他のデリバティブは時価評価され、その変動は、直ちに金融収益・金融費用に計上されます。2021年度末における外国為替契約の負債に計上された公正価値(純額)の合計は64億円となっています。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『15.デリバティブ及びヘッジ活動』参照)

注:この章において、為替変動による影響額は、売上高については前年度及び当年度における平均為替レートの変動を主要な取引通貨建て売上高に適用して算出し、営業損益についてはこの売上高への為替変動による影響額から、同様の方法で算出した売上原価ならびに販売費及び一般管理費への為替変動による影響額を差し引いて算出しています。I&SS分野では独自に為替ヘッジ取引を実施しており、営業損益への為替変動による影響額に同取引の影響が含まれています。前年度の為替レートを適用した場合の売上高の状況は、当年度の現地通貨建て月別売上高に対し、前年度の月次平均レートを適用して算出しています。音楽分野のSME及びSMP、ならびに映画分野については、米ドルベースで集計した上で、前年度の月次平均米ドル円レートを適用した金額を算出しています。これらの情報はIFRSに則って開示されるソニーの連結財務諸表を代替するものではありません。しかしながら、これらの開示は、投資家の皆様にソニーの営業概況をご理解頂くための有益な分析情報と考えています。

 

所在地別の業績

 所在地別の業績は、顧客の所在国又は地域別に分類した売上高及び金融ビジネス収入を「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『4.セグメント情報』に記載しています。

 

(4)財政状態の分析

 以下の表は金融分野の要約財政状態計算書、及び金融分野を除くソニー連結の要約財政状態計算書です。これらの要約財政状態計算書はソニーの連結財務諸表の作成に用いられたIFRSには準拠していませんが、金融分野はソニーのその他のセグメントとは性質が異なるため、ソニーはこのような比較表示が連結財務諸表の理解と分析に役立つものと考えています。なお、以下の金融分野と金融分野を除くソニー連結の金額には両者間の取引(非支配持分を含む)を含んでおり、両者の繰延税金資産と繰延税金負債を相殺する前の金額となっています。これらの相殺消去を反映した後のものがソニー連結の金額です。

 

要約財政状態計算書

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

科     目

金融分野

金融分野を除くソニー連結

ソニー連結

移行日

2020年度末

2021年度末

移行日

2020年度末

2021年度末

移行日

2020年度末

2021年度末

 

 

 

流動資産

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現金及び現金同等物 *1

550,039

497,218

889,140

962,484

1,289,764

1,160,496

1,512,523

1,786,982

2,049,636

金融分野における投資及び貸付 *2

327,092

411,982

360,673

-

-

-

327,092

411,982

360,673

営業債権、その他の債権及び契約資産

115,592

119,791

169,929

1,086,457

1,261,321

1,478,620

1,194,334

1,365,493

1,628,521

棚卸資産

-

-

-

559,779

636,668

874,007

559,779

636,668

874,007

その他の金融資産

79,721

73,349

81,174

55,762

44,498

68,124

135,482

117,682

149,301

その他の流動資産

51,765

51,147

72,441

390,915

357,582

450,953

441,974

396,210

473,070

流動資産合計

1,124,209

1,153,487

1,573,357

3,055,397

3,589,833

4,032,200

4,171,184

4,715,017

5,535,208

非流動資産

 

 

 

 

 

 

 

 

 

持分法で会計処理されている投資

-

-

-

204,291

225,086

268,513

204,291

225,086

268,513

金融分野における投資及び貸付 *2

16,352,285

17,296,546

18,445,088

-

-

-

16,352,285

17,296,546

18,445,088

金融分野への投資(取得原価)

-

-

-

153,968

550,483

550,483

-

-

-

有形固定資産

18,256

19,260

18,010

899,185

971,336

1,095,241

917,198

990,541

1,113,213

使用権資産

57,892

65,775

73,774

315,431

292,262

339,658

373,282

358,034

413,430

のれん及び無形資産(コンテンツ資産含む)

62,660

66,133

72,578

1,998,413

2,113,578

2,672,466

2,061,073

2,179,711

2,745,044

繰延保険契約費

187,904

623,986

676,526

-

-

-

187,904

623,986

676,526

繰延税金資産

8,129

-

-

202,217

309,341

332,330

210,333

215,669

298,589

その他の金融資産

34,319

28,043

37,037

291,373

671,683

663,233

321,721

695,764

696,306

その他の非流動資産

87,933

86,287

77,657

155,643

195,713

284,834

167,795

207,489

289,050

非流動資産合計

16,809,378

18,186,030

19,400,670

4,220,521

5,329,482

6,206,758

20,795,882

22,792,826

24,945,759

合 計

17,933,587

19,339,517

20,974,027

7,275,918

8,919,315

10,238,958

24,967,066

27,507,843

30,480,967

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

流動負債

 

 

 

 

 

 

 

 

 

短期借入金 *3

768,100

1,160,896

1,964,776

154,884

246,257

183,187

922,968

1,407,153

2,147,962

営業債務及びその他の債務

43,975

80,189

118,921

1,273,946

1,531,502

1,744,011

1,310,536

1,596,563

1,843,242

銀行ビジネスにおける顧客預金

2,347,387

2,682,156

2,886,361

-

-

-

2,347,387

2,682,156

2,886,361

未払法人所得税

22,509

5,407

4,444

62,837

79,024

101,648

85,346

84,431

106,092

映画分野における未払分配金債務

-

-

-

163,007

161,433

190,162

163,007

161,433

190,162

その他の金融負債

44,668

29,106

68,793

11,484

25,235

29,050

56,152

54,341

97,843

その他の流動負債

179,652

192,728

242,937

1,085,330

1,187,975

1,296,205

1,263,944

1,367,527

1,488,488

流動負債合計

3,406,291

4,150,482

5,286,232

2,751,488

3,231,426

3,544,263

6,149,340

7,353,604

8,760,150

非流動負債

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長期借入債務

276,409

361,106

470,498

662,644

692,531

733,148

939,030

1,053,636

1,203,646

退職給付に係る負債

34,856

35,293

37,167

294,765

231,929

217,381

329,621

267,222

254,548

繰延税金負債

879,683

802,830

634,576

176,839

122,489

110,715

1,041,156

816,587

696,492

保険契約債務その他 *4

6,519,577

6,614,585

7,039,034

-

-

-

6,519,577

6,614,585

7,039,034

生命保険ビジネスにおける契約者勘定

3,640,010

4,328,894

4,791,295

-

-

-

3,640,010

4,328,894

4,791,295

映画分野における未払分配金債務

-

-

-

119,702

116,537

220,113

119,702

116,537

220,113

その他の金融負債

115,949

109,537

128,208

33,399

32,446

86,391

146,834

139,417

211,959

その他の非流動負債

4,217

5,309

5,864

106,693

109,808

121,558

87,320

93,022

106,481

非流動負債合計

11,470,701

12,257,554

13,106,642

1,394,042

1,305,740

1,489,306

12,823,250

13,429,900

14,523,568

負 債 合 計

14,876,992

16,408,036

18,392,874

4,145,530

4,537,166

5,033,569

18,972,590

20,783,504

23,283,718

金融分野の株主に帰属する資本

3,054,361

2,928,525

2,577,705

-

-

-

-

-

-

金融分野を除くソニー連結の株主に帰属する資本

-

-

-

3,084,820

4,341,109

5,156,059

-

-

-

当社株主に帰属する資本

-

-

-

-

-

-

4,874,438

6,680,343

7,144,471

非支配持分

2,234

2,956

3,448

45,568

41,040

49,330

1,120,038

43,996

52,778

資 本 合 計

3,056,595

2,931,481

2,581,153

3,130,388

4,382,149

5,205,389

5,994,476

6,724,339

7,197,249

合 計

17,933,587

19,339,517

20,974,027

7,275,918

8,919,315

10,238,958

24,967,066

27,507,843

30,480,967

 

 

(注)*1 2021度末の金融分野を除くソニー連結における現金及び現金同等物の増加要因は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の『(5)キャッシュ・フローの状況の分析』をご参照ください。

*2 2021年度末の金融分野における投資及び貸付の変動については、「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『5.金融商品』をご参照ください。

*3 2021年度末の金融分野における短期借入金の増加は、主にソニー生命において短期借入金が増加したことによるものです。

*4 2021年度末の金融分野における保険契約債務その他の増加は、主にソニー生命において保険契約債務が増加したことによるものです。

 

(5)キャッシュ・フローの状況の分析

 営業活動によるキャッシュ・フロー:2021年度において営業活動から得た現金及び現金同等物(純額)は、前年度比934億円増加し、1兆2,336億円となりました。

 金融分野を除いたソニー連結では、8,133億円の受取超過となり、前年度比3,370億円の受取の減少となりました。この減少は、主に非資金調整項目(減価償却費及び償却費(契約コストの償却を含む)、その他の営業損(益)(純額)ならびに有価証券に関する損(益)(純額))を加味した後の税引前利益が前年度に比べて増加した一方で、棚卸資産やコンテンツ資産の増加額が拡大したこと、営業債務の増加額が縮小したこと、法人所得税の支払額が増加したことなどによるものです。
 金融分野では4,597億円の受取超過となり、前年度比4,498億円の受取の増加となりました。この増加は、生命保険ビジネス及び銀行ビジネスにおける借入債務の増加額が前年度に比べて拡大したことや、金融分野における投資及び貸付の増加額が前年度に比べて縮小したことなどによるものです。

 

 投資活動によるキャッシュ・フロー:2021年度において投資活動に使用した現金及び現金同等物(純額)は、前年度比1,649億円増加し、7,288億円となりました。

 金融分野を除いたソニー連結では、7,111億円の支払超過となり、前年度比1,690億円の支払の増加となりました。この増加は、Game Show Network, LLCの一部門であるGSN Gamesの事業譲渡にともなう収入があったことや、固定資産の購入による支払いが前年度に比べ減少した一方で、アニメ事業Crunchyrollを運営するEllationの持分取得や主にインディーズアーティストを対象とした音楽配給事業であるAWALを含むKobaltの一部の子会社の全ての株式及び関連資産の取得、ならびにEpic Gamesへの追加出資に係る支払いがあったことなどによるものです。なお、前年度においてはBilibiliへの出資に係る支払いがありました。
 金融分野ではほぼ前年度並みの176億円の支払超過となりました。
 

 財務活動によるキャッシュ・フロー:財務活動に使用した現金及び現金同等物(純額)は、前年度比20億円増加し、3,366億円となりました。

 金融分野を除いたソニー連結では、3,258億円の支払超過となり、前年度比83億円の支払の増加となりました。この増加は、当年度において普通社債の償還を行ったことや、配当金の支払いが増加したこと、及び2021年4月28日開催の取締役会において決議した自己株式の取得の実施(取得株式数7,400,600株、取得総額883億円(2022年3月31日現在))があったことなどによるものです。なお、前年度においては約2,000百万米ドル相当の長期銀行借入を実施しました。また、SFGIの完全子会社化を目的として同社の普通株式及び新株予約権の全てを3,967億円で取得し、その取得資金に充当するため、2020年7月及び10月に合計3,965億円の短期銀行借入を行いましたが、2021年3月末までに全額返済しました。

 金融分野では501億円の支払超過となり、前年度比93億円の支払の増加となりました。この増加は、配当金の支払いが増加したことなどによるものです。

 

 現金及び現金同等物:以上の結果、為替変動の影響を加味した2022年3月末の現金及び現金同等物期末残高は2兆496億円となりました。金融分野を除いたソニー連結の2022年3月末における現金及び現金同等物期末残高は、2021年3月末に比べ1,293億円減少し、1兆1,605億円となりました。金融分野の2022年3月末における現金及び現金同等物残高は、2021年3月末に比べ3,919億円増加し、8,891億円となりました。

 

金融分野を分離したキャッシュ・フロー情報

 以下の表は、金融分野の要約キャッシュ・フロー計算書、及び金融分野を除くソニー連結の要約キャッシュ・フロー計算書です。この要約キャッシュ・フロー計算書は、ソニーの連結財務諸表の作成に用いられたIFRSには準拠していませんが、金融分野はソニーのその他のセグメントとは性質が異なるため、ソニーはこのような比較表示が連結財務諸表の理解と分析に役立つものと考えています。なお、以下の金融分野と金融分野を除くソニー連結の金額には両者間の取引(非支配持分を含む)を含んでおり、これらの相殺消去を反映した後のものがソニー連結の金額です。

 

 

要約キャッシュ・フロー計算書

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

項    目

金融分野

金融分野を除くソニー連結

ソニー連結

2020年度

2021年度

2020年度

2021年度

2020年度

2021年度

営業活動によるキャッシュ・フロー

 

 

 

 

 

 

税引前利益(損失)

154,765

150,111

862,786

1,006,548

997,965

1,117,503

営業活動から得た又は使用した(△)現金及び現金同等物(純額)への税引前利益(損失)の調整

 

 

 

 

 

 

減価償却費及び償却費(契約コストの償却を含む)

23,860

24,932

663,513

810,301

687,373

835,233

繰延保険契約費の償却費

44,738

69,237

-

-

44,738

69,237

その他の営業損(益)(純額)

8,552

664

5,698

△66,158

14,250

△65,494

有価証券に関する損(益)(純額)(金融分野以外)

-

-

△62,704

60,402

△62,704

60,402

保険契約債務その他の増加・減少(△)

358,666

458,880

-

-

358,666

458,880

生命保険ビジネスにおける契約者勘定の非資金取引の増加・減少(△)

558,539

238,309

-

-

558,539

238,309

生命保険ビジネスにおける契約者勘定の収入・支払(△)

134,299

227,262

-

-

134,299

227,262

資産及び負債の増減

 

 

 

 

 

 

営業債権及び契約資産の増加(△)・減少

△4,597

△53,819

△141,064

△121,684

△137,939

△171,094

棚卸資産の増加(△)・減少

-

-

△56,509

△194,624

△56,509

△194,624

金融分野における投資及び貸付の増加(△)・減少

△1,901,928

△1,529,665

-

-

△1,901,928

△1,529,665

コンテンツ資産の増加(△)・減少

-

-

△325,664

△489,617

△325,664

△489,617

繰延保険契約費の増加(△)・減少

△98,122

△117,337

-

-

△98,122

△117,337

営業債務の増加・減少(△)

37,044

37,885

258,994

93,660

288,854

126,989

銀行ビジネスにおける顧客預金の増加・減少(△)

333,075

230,236

-

-

333,075

230,236

生命保険ビジネス及び銀行ビジネスにおける借入債務の増加・減少(△)

462,751

905,139

-

-

462,751

905,139

その他

△101,728

△182,124

△54,785

△285,560

△157,427

△467,716

営業活動から得た又は使用した(△)現金及び現金同等物(純額)

9,914

459,710

1,150,265

813,268

1,140,217

1,233,643

投資活動によるキャッシュ・フロー

 

 

 

 

 

 

有形固定資産及びその他の無形資産の購入

△19,368

△20,562

△458,700

△420,542

△477,931

△441,096

投資及び貸付(金融分野以外)

-

-

△103,351

△91,082

△103,351

△91,082

投資の売却又は償還及び貸付の回収(金融分野以外)

-

-

20,352

16,081

20,352

16,081

その他

△2,514

2,914

△466

△215,597

△2,980

△212,683

投資活動から得た又は使用した(△)現金及び現金同等物(純額)

△21,882

△17,648

△542,165

△711,140

△563,910

△728,780

財務活動によるキャッシュ・フロー

 

 

 

 

 

 

借入債務の増加・減少(△)

△10,389

△10,975

139,062

△151,721

128,683

△162,696

配当金の支払

△30,454

△39,159

△61,288

△74,342

△61,288

△74,342

その他

△10

△6

△395,279

△99,702

△405,928

△99,540

財務活動から得た又は使用した(△)現金及び現金同等物(純額)

△40,853

△50,140

△317,505

△325,765

△338,533

△336,578

現金及び現金同等物に対する為替相場変動の影響額

-

-

36,685

94,369

36,685

94,369

現金及び現金同等物の純増加・減少(△)額

△52,821

391,922

327,280

△129,268

274,459

262,654

現金及び現金同等物期首残高

550,039

497,218

962,484

1,289,764

1,512,523

1,786,982

現金及び現金同等物期末残高

497,218

889,140

1,289,764

1,160,496

1,786,982

2,049,636

 

 

(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 以下の基本方針及び数値情報は、独自に流動性を確保している金融分野及び一部の子会社を除いたソニーの連結事業にもとづいて説明しています。なお、金融分野については当該項目において別途説明しています。

 

流動性マネジメントと資金の調達

 ソニーは、事業活動に必要な流動性を保ちながら健全な財政状態を維持することを財務の重要な目標と考えています。ソニーは、現金及び現金同等物(以下「現預金等」。ただし、国の規制等で資金の移動に制約があるものを除く)及びコミットメントラインの未使用額を合わせた金額を流動性として位置づけています。

 流動性の保持に必要な資金は、営業活動及び投資活動(資産売却を含む)によるキャッシュ・フロー及び現預金等でまかないますが、ソニーは必要に応じて社債、CP、銀行借入などの手段を通じて、金融・資本市場からの資金調達を行っています。

 当社、SGTS及び米国の子会社Sony Capital Corporation(以下「SCC」)は日本・米国・欧州の各市場へアクセス可能なCPプログラム枠を有しています。2021年度末時点で当社、SGTS及びSCCは、円換算で合計1兆1,116億円分のCPプログラム枠を保有しています。2021年度末における発行残高はありません。

 金融・資本市場が不安定な混乱状況に陥り、前述の手段により十分な資金調達ができなくなった場合に備え、ソニーは、多様な金融機関との契約によるコミットメントラインも保持しています。2021年度末の未使用のコミットメントラインの総額は円換算で6,114億円です。未使用のコミットメントラインの内訳は、日本の銀行団と結んでいる2,750億円の円貨コミットメントライン、日本の銀行団と結んでいる1,700百万米ドルの複数通貨建てコミットメントライン、外国の銀行団と結んでいる1,050百万米ドルの複数通貨建てコミットメントラインです。金融・資本市場の流動性がなくなった場合でも、ソニーは現預金等及びこれらのコミットメントラインを使用することによって十分な流動性を維持することができると現時点では考えています。

 ソニーは、流動性及び資本政策に対する財務の柔軟性を確保し、金融・資本市場を通じた十分な資金リソースへのアクセスを保持するため、安定した一定水準の信用格付けの維持を重要な経営目標の一つと位置づけています。ただし、グループ全体の主要な資金調達に関する金融機関との契約において、ソニーの信用格付けが低下した場合に、強制的に早期弁済を求められるものはありません。また、これら契約のうち一部のコミットメントライン契約については、ソニーの信用格付けにより借入コストが変動する条件が含まれているものがありますが、未使用のコミットメントラインからの借入を禁ずる条項を含んでいるものはありません。

 

キャッシュ・マネジメント

 ソニーは日本においては当社、米国においてはSCC、それ以外の地域においてはSGTSを中心にグローバルな資金管理を行っています。資本取引に規制があり資金移動を制限されている国や地域は一部存在しますが、大部分の子会社における資金の過不足は、当社、SGTS及びSCCにより純額ベースで運用又は調達をしています。ソニーは資金の効率化をめざし、各子会社に資金余剰が出た場合は当社、SGTS及びSCCに預け、また各子会社に資金不足が生じた場合には当社、SGTS及びSCCを通じて資金の貸し借りを行うことで、余剰資金を活用し、外部借入を削減することができます。関係会社間の効率的な資金移動が制限されている国や地域では、ソニーは当社、SGTS及びSCCの外に資金を残していますが、必要な流動性資金はキャッシュ・フローや外部からの借入(もしくはその両方)によって調達しています。ソニーは、海外に所在する移動を制限されている資金が、ソニー全体の流動性や財務状況ならびに業績に重大な影響を与えるとは考えていません。

 

金融分野

 SFGI、ソニー生命、ソニー損保及びソニー銀行の各マネジメントは、業務の遂行にともなう支払義務を履行するのに十分な流動性を確保することが重要だと認識しています。ソニー生命、ソニー損保及びソニー銀行は、法令(保険業法及び銀行法など)や金融庁及びその他関係規制当局の定める各種規制を遵守することに加え、それに準拠した社内規程を制定、運用しながら、十分な現預金等を準備し、支払能力を確保することに努めています。ソニー生命及びソニー損保は、受取保険料を主な資金の源泉とし、有価証券を中心とした投資を行うにあたり、保険金等の円滑な支払等に十分な水準の流動性を確保しています。ソニー銀行は、顧客からの円貨・外貨建て預金を主な資金の源泉とし、住宅ローンを中心とする貸出と主に市場性のある有価証券投資を行う中で、円滑な決済等に必要な水準の流動性を確保しています。外貨建て顧客預金で得られた資金は、主に同じ通貨建の金融商品に投資されています。

 なお、金融分野の子会社は、保険業務、銀行業務の公共性から、その信用を維持し、契約者や預金者の保護を確保することが保険業法、銀行法で定められています。したがって、金融分野の子会社と金融分野以外のソニーグループ会社間で資金の貸借を行うことは厳格に制限されており、金融分野の子会社は、上記の当社、SGTS及びSCCを介したグローバルなキャッシュ・マネジメントからも隔離されています。

 

 なお、ソニーグループが創出した営業活動によるキャッシュ・フローに関する、成長投資、手許資金及び株主還元への配分についての考え方に関しては「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等『第四次中期経営計画 数値目標とその進捗』」をご参照ください。

 

オフバランス取引

 ソニーは、流動性と資金調達手段の確保、及びクレジットリスクを軽減するためにオフバランス取引を行っています。

 これらの取引は、ソニーが営業債権に対する支配を放棄したことから、売却として会計処理されます。また、一部の営業債権売却プログラムにはストラクチャード・エンティティが関与していますが、ソニーはこれらのストラクチャード・エンティティの活動を指揮する力、損失を負担する義務又は残存利益を受け取る権利がないためこれらのストラクチャード・エンティティを連結対象としていません。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『28.ストラクチャード・エンティティ』参照)

 

借入債務、コミットメント及び偶発債務等

 2022年3月31日現在におけるソニーの借入債務、コミットメント及び偶発債務等は以下のとおりです。

 

 借入債務

 「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『6.金融商品に関連するリスク管理 (4) 流動性リスク』及び『14.短期借入金及び長期借入債務』をご参照ください。

 

 ローン・コミットメント、パーチェス・コミットメント及び訴訟に関する偶発債務

 「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『33.パーチェス・コミットメント、偶発債務及びその他』をご参照ください。

 

 保険契約負債

 「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『13.保険関連科目 (5) 保険及び市場リスク』をご参照ください。

 

4【経営上の重要な契約等】

 プレイステーション®4及びPS5™ハードウェアを含むソニーのブルーレイディスク™プレーヤー機能付製品は、米国のMPEG LA LLC及びOne-Blue, LLCとのライセンス契約にもとづきライセンスを供与されている、ブルーレイディスク規格上特定されている技術に関する特許に大きく依存しています。

 

5【研究開発活動】

ソニーは、「テクノロジーに裏打ちされたクリエイティブエンタテインメントカンパニー」として、「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」というPurposeにもとづいて研究開発を推進しています。経営の方向性としての「人に近づく」をテクノロジーの力で実現するために、ソニーは、クリエイター、ユーザーの「人の動機」に近づくことが必要不可欠だと考えています。「人」と「テクノロジー」によって進化したソニーグループの多様な製品、コンテンツ、サービスを通じて、「人」「社会」「地球」が抱える課題の解決へ貢献することをめざしています。

当社の研究開発組織(コーポレートR&D)では、将来のグループ全体の事業ポートフォリオを想定しながら、一定の財務規律のもとで資源を投下しています。多様な事業で活用が期待できる技術を優先し、「リアリティ/Reality」「リアルタイム/Real-time」「リモート/Remote」の3Rテクノロジーをはじめ、AIやセンシング、セキュリティなどの技術テーマにも注力していきます。

 

コーポレートR&Dは、日本、中国、インド、欧米にある複数の拠点と連携し、それぞれの地域の特徴や強みを活かした研究開発活動を行っています。現地の優秀な研究人材の獲得をめざすとともに、ソニーグループの持つ各事業のさらなる連携を進めていきます。また、各研究開発拠点間のマネジメントや人材の流動性を高め、より多様な視点での研究開発の強化を継続していきます。エンタテインメントや金融などソニーグループを横断するプロジェクトでは、実組織の枠組みを超えたチームを編成し、フレキシブルかつスピーディーに英知を結集して活動を推進しています。

なお、より広い視野でクリエイターやユーザーの動機を収集し、事業の可能性を広げる活動として、大学や研究機関との連携をはじめとするオープンイノベーションにも積極的に取り組んでいます。

 

 2021年度の研究開発費は、前年度に比べ730億円(13.4%)増加の6,184億円となりました。金融分野を除く売上高に対する比率は、前年度の7.4%と変わらず7.4%でした。

 

 各分野及びコーポレートR&Dにおける研究開発費の金額は以下のとおりです。

項目

2020年度

(億円)

2021年度

(億円)

増減率

(%)

G&NS

1,446

1,757

21.5

EP&S

1,423

1,418

△0.3

I&SS

1,689

1,980

17.2

コーポレートR&D

433

487

12.6

(注)EP&S分野の研究開発費について、同分野の研究開発費に含まれる費用の集計範囲を2021年度に見直したことにともない、同分野の2020年度の研究開発費の実績を2021年度の集計範囲に合わせて組替再表示しています。この組替再表示により、組替再表示前の金額に比べ、2020年度の研究開発費が78億円増加しています。なお、この集計範囲の見直しによる2020年度のソニー連結の研究開発費及びEP&S分野の営業利益への影響はありません。

 

 2021年度の主な研究開発活動及び成果として、以下のものがあげられます。

 

(1)G&NS

・プレイステーションネットワーク(PSN)

 2022年3月時点でPSNの月間アクティブユーザー数は1億アカウント以上となり、着実にサービスの基盤を拡大しています。充実したソフトウェアラインアップ及び革新的なネットワークサービスにより、プレイステーションの普及・拡大を推進し、これまで以上に充実したインタラクティブなエンタテインメント体験を提供していきます。

 

・PS5™向け次世代VRシステムPlayStation VR2及びPlayStation VR2 Sense™コントローラー

 PlayStation VR2は、高精細な4K HDRビジュアルディスプレイ、新しいセンサー機能、視線トラッキング性能の進化などにより、ゲームの世界への没入感を高め、次世代のバーチャルリアリティシステムにふさわしい体験を提供します。さらにPlayStation VR2 Sense™コントローラーのハプティックフィードバックやアダプティブトリガーが相まって、プレイヤーはより直感的にゲームを感じ、ゲームとインタラクトすることが可能になります。

 

(2)EP&S

・Crystal LEDとシネマカメラで実現するバーチャルプロダクション

 バーチャルプロダクションの手法の一つである「In-Camera VFX」は、カメラの動きと連動させた3DCG映像をスタジオに設置したLEDディスプレイに背景として映し出し、その前の演者を撮影することで、従来のグリーンバックでの撮影に必要なCG合成の手間と、天候や時間・場所などの制約からクリエイターを解放します。独自のLED制御技術とブラビア®で培った信号処理技術を融合した高精細、高コントラストかつ豊かな色再現性で背景映像を映し出すCrystal LEDと、新開発の8.6Kイメージセンサーを搭載し、高い解像力と繊細な描写を実現するデジタルシネマカメラ『VENICE 2』を組み合わせ、よりリアリティのある映像制作を実現します。また、ソニーグループ内外のクリエイターや実際の撮影に携わるエンジニアとの連携を深め、高品位なコンテンツを効率的に制作できるバーチャルプロダクションに関する取り組みを加速させるため、Sony Innovation Studio(米国)や「清澄白河BASE」に常設スタジオを開設しました。

 

・ワイヤレスステレオヘッドセット LinkBuds™

 振動板の中心部を開放した新開発のリング型ドライバーユニットを搭載し、耳をふさがない構造の完全ワイヤレス型ヘッドホンLinkBuds™は、小型・軽量で常時装着しても疲れにくいデザインであり、周囲の音を自然に聞きながら、好きな時にヘッドホンを通じて音楽やゲームを楽しんだり、オンライン会議に参加したりするなど、ヘッドホンが日常生活に溶け込んだ使い勝手を可能にします。また、通話性能においては、5億サンプルを超えるAIの機械学習で構成した装着者の声とそれ以外の環境ノイズを分離するアルゴリズムにより、環境ノイズを抑えて装着者の声をクリアに抽出し、騒がしい場所でも快適な会話を実現します。

 

・5G対応スマートフォン『Xperia 1 III』、『Xperia PRO-I』

 第5世代移動通信システム(5G)のミリ波帯・Sub6(6GHz未満の周波数帯)に対応したフラッグシップスマートフォン『Xperia 1 III』、『Xperia PRO-I』を商品化しました。『Xperia 1 III』は、可変式望遠レンズとフルサイズミラーレス一眼カメラα™ (Alpha™)のエンジニアが開発した高いAF性能により、大切な一瞬を鮮明に切り取ります。また、4K 120Hz HDR対応有機ELディスプレイと迫力ある立体的な音場による視聴体験を実現します。『Xperia PRO-I』の「I」はイメージング(Imaging)の「I」を表しており、ソニーの最先端イメージング技術を結集したカメラの本格撮影体験を、5Gスマートフォンで実現します。本機に搭載するイメージセンサーには、クリエイターから高い評価を受けているソニーのプレミアムコンパクトカメラ『RX100 VII』に搭載の1.0型イメージセンサーを本機向けに最適化したExmor RS®を使用しています。

 

・ホークアイのトラッキングシステムとバーチャルファンエンゲージメント

 ソニーの連結子会社であるホークアイでは、新たなトラッキング&データビジュアライゼーションシステムの導入を進めています。このシステムは、試合のライブ映像から選手やボールなどの物体の動きを迅速かつ正確に捉え、骨格情報やプレイデータを収集、プレイ内容のバーチャルリクリエーションを実現します。また、ソニーはマンチェスター・シティ・フットボール・クラブと、実世界と仮想空間を融合した次世代のオンラインファンコミュニティ実現に向けた実証実験を行います。この実証実験においても、ソニーの画像解析技術やセンシング技術に加えてホークアイのトラッキングシステムを活用し、世界中のスポーツファンを魅了する新たなエンタテインメントの創出をめざします。

 

(3)I&SS

・積層型イベントベースビジョンセンサー『IMX636』『IMX637』

 産業機器向けに、被写体の変化のみを検出することができる積層型イベントベースビジョンセンサー2タイプを商品化しました。イベントベースビジョンセンサーは、各画素の輝度変化を非同期で検出し、変化したデータのみを画素の位置(xy座標)及び時間の情報と組み合わせて出力するため、高速、低遅延なデータ出力が可能なセンサーです。また、本製品はソニーが保有する独自のCu-Cu(カッパー・カッパー)接続を用いた積層技術により、業界最小となる画素サイズ4.86μm角を実現しました。様々な環境下での素早い動体検出などを可能にすることで、産業機器の性能向上に貢献します。

 

・車載LiDAR向け積層型SPAD距離センサー『IMX459』

 車載LiDAR(ライダー)向け積層型直接 Time of Flight(dToF)方式のSPAD距離センサー『IMX459』を商品化しました。本製品は、10μm角の微細なSPAD(Single Photon Avalanche Diode)画素と、測距処理回路を一チップ化し、1/2.9型と小型ながら高精度かつ高速な測距を実現します。先進運転支援システム(ADAS)や自動運転(AD)の普及にともない求められる、車載LiDARの検知・認識性能の向上及び、それによる安心・安全なモビリティの未来に貢献します。

 

・エッジAIセンシングプラットフォーム AITRIOS™(アイトリオス)

 日本・米国・欧州を皮切りに、エッジAIセンシングプラットフォームAITRIOS™のサービスを開始しました。本プラットフォームは、AI処理機能を搭載したインテリジェントビジョンセンサー『IMX500』を活用したセンシングソリューションの効率的な開発・導入を可能にします。サービスの第一弾として、AIデベロッパー、アプリケーションデベロッパー、カメラメーカー/モジュールインテグレーター、システムインテグレーターなど、ソリューション実現の担い手となるパートナーに向けて、エッジからクラウドを含めたソリューションを容易に構築するための様々な機能をワンストップで提供します。本プラットフォームを通じて、エッジとクラウドが共働し、地球環境に配慮した最適なシステムや、パートナーによるエッジAIを用いたセンシングソリューションの普及・拡大を支援し、多様な産業に対する新たな価値提供や課題解決に貢献することをめざします。

 

(4)コーポレートR&D

・繊細な人の手を再現する「マニピュレーター」

 ソニーは、より繊細な力を検知して、柔らかくかつ滑らかに動作する、より人や環境と親和性のある力制御ロボットの開発に挑戦しています。指先で検出した圧力分布の変化から物体の滑りの前兆をリアルタイムに検知し、適切に物体を持つ力を調整できるため、滑り落とすことなく物体をつかむことを可能にしました。また、距離センサーにより、指から物体までの距離を把握できるため、適切な位置や姿勢で物体を持つことも可能です。AIと高度なセンシング技術をロボットに組み込むことでマニピュレーターの能力を強化し、人々の生活を豊かにするロボット技術の開発に取り組んでいます。

 

・高効率な移動を可能にする「新移動機構」

 接地部分に車輪アクチュエーターを搭載した6本の脚構造を持つ「6脚車輪構成」ロボットを新たに開発しました。平地では車輪移動を行い、階段などの段差の昇降では脚移動と車輪移動を併用します。これにより、整地・不整地が混在する環境においても、安定かつ高効率な移動を実現しています。また、ロボット関連技術の国際学会「IROS(International Conference on Intelligent Robots and Systems)2021」にて発表した4脚歩行ロボットの設計思想を継承しており、動作中・静止中ともに機体の脚部にかかる負荷を分散することが可能です。これにより、最大20kgの可搬重量と高いエネルギー効率を実現しています。

 

・現実世界を超える没入感を実現するVRヘッドマウントディスプレイ(HMD)システム

 高精細なOLEDマイクロディスプレイの映像技術と低遅延HMDシステムを組合わせてVR HMDシステムを開発しました。片目で4K、両目で8Kの高解像度をOLEDマイクロディスプレイで実現しました。また、リモート環境でも違和感なく映像を届けるための低遅延システムは、視聴している人の頭の動きに合わせて素材のテクスチャや人の表情などを高精細にリアルタイムで表現するために、複数のセンサーの情報を組み合わせ、システム全体で遅延量の削減を行い、処理時間を短縮することで実現しました。本システムは、ゲームや映像コンテンツだけでなく、人物がそこにいるかのように感じられる仮想空間でのコミュニケーションやライブエンタテインメントなど幅広い領域での活用が期待できます。

 

・地球みまもりプラットフォーム

 ソニーは、地球上のあらゆる場所をセンシング可能にする仕組みを実現することで、環境問題、災害などの異変の予兆を察知し、人々に異変を事前に知らせることで、サステナビリティにつながる行動を促すことをめざしています。地球みまもりプラットフォームは、土壌中の水分量を高精度に測定できる「土壌水分センサー」、LPWA(Low Power Wide Area)の無線通信規格ELTRES™(エルトレス)を使った衛星通信システム、AIを活用した予兆分析技術など、ソニーグループの技術を活用して構成されています。フィールドワークや実証実験を通じて、持続可能な未来の実現に向けて、さらなる技術の開発と統合に取り組んでいきます。

 

(5)その他

 上記に加えて、各分野及びコーポレートR&Dに紐付かない2021年度の主な研究開発活動及び成果として、以下のものがあげられます。

 

・VISION-S Prototypeの5G走行試験を開始

 ソニーは、VISION-S Prototypeの5G走行試験をドイツのアルデンホーフェンにあるテストコースで開始しました。VISION-S Prototypeには5Gネットワークへの接続機能が搭載されており、車載システムとクラウドが常に繋がり、データや制御信号の同期、またOTA(Over The Air)でのシステムのアップデートが可能です。走行試験では、車両から取得する各種センサーデータのクラウドへの低遅延伝送や、クラウドから車両に対するリアルタイム制御の可能性を検証するために、高速走行中の車両でも通信環境を最適化するための検証と開発を進めていきます。

 

・プロフェッショナル向けドローン 『Airpeak S1』

 業務用ドローン『Airpeak S1』は、独自開発のモーターやプロペラ、制御システム、センシング技術などにより、高い敏捷性を有しダイナミックかつ緻密な飛行が可能で、フルサイズミラーレス一眼カメラα™ (Alpha™)搭載可能機種で世界最小クラスを実現していることから、映像制作クリエイターの創造力を余すことなく支援します。また機体を意のままに操れる送信機と、センシングによる障害物検知や自動飛行に加え、機体や飛行情報のクラウド管理による安全な飛行等により、高画質空撮映像制作をサポートします。

 

・革新的なAI Gran Turismo Sophy™(グランツーリスモ・ソフィー™)

 株式会社ソニーAIは、株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下「SIE」)及びSIEの子会社である株式会社ポリフォニー・デジタルとともに、世界初の超人的なAIであるグランツーリスモ・ソフィー™による、人工知能(AI)の飛躍的進歩を発表しました。グランツーリスモ・ソフィー™は、プレイステーション®4用リアルドライビングシミュレーター『グランツーリスモSPORT』で世界最高峰のドライバーをも凌ぐAIエージェントであり、AIを活用した新たなゲーム体験を世界中のプレイヤーに提供することを目的として開発されました。このAIは、既存のアルゴリズムとインフラストラクチャでは解決できない課題に対して、新たな深層強化学習アプローチとプラットフォームを構築することで実現したものです。