第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは「電子部品の製造とサービスを通じて世界のお客様に満足して頂ける仕事をいつも提供し続けることにより、豊かな社会の実現に貢献すること」を企業理念としております。

この理念のもと、可変抵抗器、固定抵抗器、センサー等の電子部品と、顧客のニーズに応えたカスタムユニットである前面操作ブロック[ICB]製品を開発、製造、販売してまいりました。ここで培った経験と蓄積された技術をベースに、「抵抗器のNOBLEから新生NOBLEへの深化と進化」を長期ビジョンに、Change(チェンジ:革新)、Challenge(チャレンジ:挑戦)、Communicate(コミュニケート:連携)の三つのCを行動指針として、これからの社会が求める新たな製品や技術に貢献できる部品やサービスを提供していく所存であります。

 

(2) 中長期的な経営戦略等

当社グループの置かれている市場環境は、顧客ニーズの高度化・多様化により、顧客からの要請への更なる対応が求められる一方で、EV車などの脱炭素化加速や5Gなどによる電子部品の需要増加が見込まれ、「顧客ニーズに合わせた製品ラインナップの拡大」「注力業界への対応力の強化」「時代のトレンドを先読みした製品開発」を目指し未来のNOBLEを見据えて、「抵抗器のNOBLEから新生NOBLEへの深化と進化」を長期ビジョンとして、2021年5月に中期5ヵ年計画を策定し、以下の項目を中長期的な基本戦略として取り組んでおります。

①既存領域の拡大

省エネ分野、EV分野へのセメント抵抗の拡販、医療・ヘルスケア分野の横展開によるセンサーの売り上げ拡大、ソフト(回路)の拡充による既存顧客への売り上げ拡大など、既存業界への製品の横展開を目指します。

②顧客ニーズを捉えた新製品展開

非接触スイッチ、非接触ポジションセンサー、チップ型固定抵抗など、顧客ニーズ・トレンドを捉えた新製品の開発を行います。

③新領域の確立(チャレンジ分野)

上記に加え、長期的なチャレンジ分野として、5Gに関連した通信・公共分野への参入など、トレンド分野への展開、防災、医療・ヘルスケア、介護分野への参入など社会課題解決への貢献を目指します。

 

(3) 目標とする経営指標

当社グループは、すべてのステークホルダーの視点に立った経営を進め、2021年5月に発表した中期経営計画の着実な実行による市場拡大、設備、インフラ、人材投資を含めた次期中期経営計画を見据えた投資計画による適正利益追求、適切な投資と株主への安定的な利益還元及び従業員への還元を重要課題として捉えております。その中期経営計画の着実な実行の結果、2021年5月に策定した当初数値目標を上回る結果となり中期経営計画の数値見直しを行い、2022年5月に一部修正を行いました。今中期経営計画の最終年度である2025年度の修正後の数値目標につきましては、売上高180億円、営業利益17億円を目指します。

さらに、当社は脱炭素社会の実現のためカーボンニュートラル目標を設定し、グループ全体のScope2におけるサプライチェーン排出量の削減目標を2030年に2020年比50%、2050年には排出量ゼロ(再生可能エネルギー100%)を目指します。

 

 

(4) 経営環境と対処すべき課題

当社グループは、2021年5月に策定した、未来のNOBLEを見据えて、「抵抗器のNOBLEから新生NOBLEへの深化と進化」を長期ビジョンとした中期5ヵ年計画の第3ステップ初年度にあたる次期は、その目標達成に向けて、センサー・医療・非接触を合言葉に、医療や産業機器分野への拡販を推し進め、既存領域の拡大を図り、また、非接触センサー開発等により、顧客ニーズを捉えた新製品の展開を行ってまいります。

加えて、次期中期経営計画以降の課題となる新領域の確立の取組を進めており、医療・ヘルスケア分野の拡大には当社の要素技術の要であるエレメント技術の向上が必須であり、インクや印刷工法の研究及び表面処理技術の高精度化が求められております。それを達成することにより、すでに量産化されている筋電・心電や脳波測定に用いる電極の更なる革新が見込まれます。また、今後の医療・ヘルスケア市場向けにおいては、その場で簡単に利用できるPOCT(Point of Care Testing)用バイオセンサーが望まれていることから、近々量産化を計画しているナトリウムカリウム測定に加え、将来的に様々な物質の測定に使用が見込まれる電気化学センサーの技術確立をすることを、今後の柱の1つとしていきたいと考えております。また、エレメント技術の向上を足がかりとして、インフラビジネス・ウォータ―ビジネス・アグリビジネス等へ進出することを目指しております。

さらに、同様に今中期経営計画で掲げた電気自動車やその周辺機器向けの拡販に加え、自動車向け製品の開発を加速し、静電容量方式のセンサーの拡販や量産している製品の無人化生産ラインの導入も見込んでおります。加えて、これらの成長戦略を実現するためには、環境も考慮した、高精度化にも見合う材料や素材の選定や当社の開発技術力及び、生産技術力の向上が不可欠であり、今まで取り組んできている自動化・省人化・無人化にDXやI.o.Tも組み込んだ、一貫生産体制の確立にも取り組んでまいります。

インフラ投資に関しましては、成長戦略の為のエレメント技術の向上を見据えた、研究開発インフラ・設備が必要であることから、2027年度の完成を目標とした本社・研究開発棟の建て替えによる設備強化を計画しており、これにより新製品開発を促進してまいります。また、その新たな研究開発棟により開発された製品の量産については、BCPや既存領域製品の増産対応も念頭に、倉庫スペースも含め既存の工場に新たなる工場建築も今後検討してまいります。

さらに、当社は脱炭素社会の実現のためカーボンニュートラル目標を設定し、グループ全体のScope2におけるサプライチェーン排出量の削減目標を2030年に2020年比50%、2050年には排出量ゼロを目指します。

今後の経済見通しにつきましては、半導体、電子部品や原材料等の供給難や、サプライチェーンの混乱は改善しており、生活家電市場・産業機器市場の市場在庫調整も進み、景気回復の期待が高まるものの、中国経済においては、不動産市況の悪化や消費低迷から景気の減速感が強まり、中東情勢の悪化やウクライナ情勢の長期化から資源・原材料価格高騰による物価上昇により景気回復は鈍化しおり、依然として不透明な状況の継続が想定されます。

当社グループの属するエレクトロニクス業界においては、自動車電装市場は、半導体・部材不足やサプライチェーンの混乱の緩和に伴い堅調に推移しましたが、生活家電市場・産業機器市場は市場在庫調整が遅れており、加えて中国における景気減速の影響により、今後の受注動向に関し、依然として予断を許さない状況が続いています。利益面においても、エネルギー価格や原材料価格の上昇、為替変動等の懸念材料があります。

その結果、現時点の2025年3月期通期の連結業績予想につきましては、売上高162億円、営業利益11億円を目指します。

前提となる為替レートはUS$1=¥145を想定しております。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

当社グループは、サステナビリティに関わる基本方針、重要事項、リスク・機会などを検討・審議する組織として、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置して、当該委員会に対して取締役会が監督・指示を行います。また、サステナビリティ委員会の傘下にBCP部会はじめ専門分野ごとの部会を設け、サステナビリティを巡る経営課題に対してサステナビリティ委員会より指示・諮問し、各部会において対策を検討、報告させ、サステナビリティ委員会とし対応を図っております。また、各部会の具体的な活動状況や活動計画についてはサステナビリティ委員会より直接、取締役会に報告しております。

なお、サステナビリティ委員会はじめ内部統制員会、コンプライアンス委員会がそれぞれ連携することでサステナビリティ体制とガバナンス体制の強化を図っています。

 


 

(2) 戦略

①気候変動に関する方針、戦略

世界的な脱炭素社会の実現に向けた取り組みとして、当社グループは、中長期的なリスクの一つとして「気候変動」を重要なテーマとして捉え、関連リスクおよび機会を踏まえた戦略と組織のレジリエンスについて検討するため、IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)による気候変動シナリオ(2℃未満シナリオおよび4℃シナリオ)を参照し、2050年までの長期的な当社グループへの影響を考察し、国内電子部品事業を中心にシナリオ分析を実施しております。

 

 

②人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針を下記の通り定めております。

 

■人材育成と社内環境整備に関する方針■

当社グループは、豊かな社会の実現という企業理念を礎に長期ビジョンとして「抵抗器のNOBLEから新生NOBLEへの深化と進化」を掲げており、それを達成する源泉は人材であると位置づけています。人権を尊重し、人種・国籍・性別・信仰・信条・心身障害等を理由とする差別やセクシャルハラスメント、パワーハラスメント等の嫌がらせのない健全な職場環境を確保し、多様な人材が十分にその能力を発揮できる職場環境整備に努め、グローバルフィールドで活躍できる人材の育成に積極的に取り組んでいきます。

1.目指すべき人材像

グループ全体の行動指針として掲げる3つのC(Change・Challenge・Communicate)を主軸に置き、下記の人材を目指すべき人材像としています。

Change

「時代の変化を柔軟に捉え、未来に向かって革新できる人材」

Challenge

「自主・自立・自発の精神を持って挑戦し、現状に満足することなく前進していく人材」

Communicate

「世界中のステークホルダーと信頼関係を築ける質の高いコミュニケーション能力を有した人材」

2.環境整備

(1) 多様な人材の採用

女性、障がい者、外国人、キャリア採用など多様な人材の採用に取り組んでいきます。

(2)安全で働きやすい職場環境

労働安全衛生や労働条件に関する法令等を遵守し、安全で適正な労働条件のもと働きがいのある、働きやすい職場の実現を目指して取り組んでいきます。

(3)多様な働き方の実現

従業員の多様な生き方を尊重し、在宅勤務制度や時差出勤制度等(セレクトタイム制度)による多様な働き方を推進していきます。

(4)教育研修の提供

従業員が自身の知識や能力を磨いて、成長へとつなげられるよう公平かつ平等な教育研修の機会を提供していきます。

当事業年度においては多様な人材が十分にその能力を発揮できる職場環境整備に向けて従業員サーベイを実施し、把握された課題解決に向けた取組を展開しております。また、公平かつ平等な教育研修の機会を提供するためEラーニングを利用したベース研修を展開するとともに階層別教育の一環として次世代を担う幹部候補者を対象とした教育カリキュラムを実施し、2024年4月からは新たなメンバーを選定してスタートしたところであり、人材育成に向け更なる拡充・拡大を目指しております。

 

(3) リスク管理

当社グループの経営上のリスクを総合的に分析、把握して対策を講じる全社的なリスク管理は内部統制委員会において行っておりますが、気候関連リスクを含むサステナビリティに係るリスク全般の分析・対策の立案と推進についてサステナビリティ委員会の中でより詳細な検討を行い、連携することで全社的なリスクマネジメント活動を推進しております。また、緊急事態が発生した際には危機管理センターを設けて当社グループ全体で対応する体制をとっております。サステナビリティ全般に関するリスク管理は、当社の「サステナビリティ方針」に基づき、当社グループ全体のサステナビリティ関連リスクを分析、把握し、リスクの低減と未然防止にむけ、当該リスクに関する主管部門における課題対応の実施状況等をモニタリングする体制としています。詳細につきましては「3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

 

(4) 指標及び目標

当社グループは気候関連問題が経営に及ぼす影響が重要であると認識し、その影響を評価・管理するため、Scope1とScope2に該当する温室効果ガス(GHG)のうち、CO2総排出量を指標とします。気候関連問題に対する目標値として下記を設定しております。

2020年

2030年

2050年

Scope 1・2の排出量(連結)=8,907t-CO2

約50%削減(2020年比)

カーボンニュートラル

 

※Scope1とScope2の目標と実績は「帝国通信工業株式会社および連結対象グループ企業」を対象としております。

主な削減への取り組みは、すでに当社においては再生可能エネルギーを導入(本社65%相当、赤穂工場50%相当)しておりますが、2024年4月から国内関連会社においても30%相当でありますが、再生可能エネルギーを導入したところです。さらなる再生可能エネルギー導入や設備投資等を踏まえて、CO2排出量削減策を検討、順次開示し、脱炭素社会への貢献に向けて取り組んでまいります。

 

(5) 人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標

当社グループでは、上記「(2) 戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む「人材育成に関する方針」及び「社内環境整備に関する方針」について、次の指標を用いております。

指標

目標

実績

女性の積極採用

新卒採用時の女性採用比率 30

2024年4月 25

 

(注) 1  前事業年度、目標として「新卒採用時の母集団形成における女性比率の向上」を掲げて取組を展開しておりましたが、母集団形成時の女性比率では間接的であることから、より直接的な指標である「女性採用比率」に改めております。

2  上記の目標値は、国内における主要な採用手段である新卒採用に焦点を当てていることから、国内のみを対象とし、新卒採用枠の慣習が無い海外の連結子会社は除外しております。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 市場動向に関するリスク

当社グループは電子部品の製造販売を主たる事業としております。また、売上比率の高いデジタル家電や自動車市場の顧客はグローバルに展開するセットメーカーであります。世界各地の経済状況や市場の変化が直接的・間接的に当社グループの業績に影響を与えることがあります。

(2) 製品の欠陥等に関するリスク 

当社グループは顧客に満足していただける品質の製品やサービスを提供することを企業理念としておりますが、製品の欠陥により顧客に多大な損害を与える場合があります。この場合、顧客から損害賠償を請求される可能性もあります。

(3) 人材確保と育成に関するリスク

当社グループの継続的な成長は、優秀な人材の確保と育成に大きく依存しております。労働力人口の変化や雇用環境の多様化が進む中で、人材の流出防止や新たな人材の獲得が出来ない場合は、当社グループの成長や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 特定製品に依存するリスク

当社グループの主要な製品には顧客の個別要求に応えて開発したカスタム製品があります。従って、顧客の設計開発状況や生産計画状況の変化により当社グループの生産・出荷が影響を受け、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 競合に関するリスク

当社グループは常に国内外の同業他社と競合しております。優位に立ち続ける努力は継続しておりますが、他社に先行され優位に立たれた場合、当社グループの業績に影響を与えることもあります。

(6) 為替レートの変動リスク

当社グループの生産及び販売は日本の他、中国・アセアン諸国・北米を中心に各国で行われております。これらの海外事業所における財務諸表は現地通貨建あるいはUSドル建で作成されており、当社の連結財務諸表作成時に円換算されております。従ってこれらの通貨の日本円に対する為替の変動の影響を受けます。

また日本を含む各事業所の海外取引において日本円の他にUSドル等が使用されているため、それぞれの通貨の為替の変動の影響を受けることで当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(7) 情報セキュリティに関するリスク

当社グループは、事業活動において取得する財務情報、機密情報、個人情報等を、電子情報等の形式で蓄積・利用しております。これらの情報の管理に関して、ハード・ソフト両面の必要なセキュリティ対策を講じるとともに、基幹システムに仮想環境やクラウドを利用し、システム停止しないよう対策を図っております。しかしながら、コンピューターウィルスによる第三者からの攻撃、不正アクセス等によって、システムの障害が発生した場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、機密情報が漏えいした場合は、信用失墜のみならず損害賠償を請求される可能性があります。

(8) 偶発的リスク

当社グループが事業展開する日本及び海外においていくつかのリスクが潜在しております。

① テロ、戦争、暴動、感染症等による社会的混乱

② 政治的、経済的状況の予期せぬ変化

③ 電力、水道等ライフラインの予期せぬ断絶

④ 自然災害や火災

当社グループは、一部の自然災害などの偶発的なリスクによって通常の業務運営が困難となった場合に備え、事業活動の低下を最小限にとどめるため、BCP(事業継続計画)計画の策定を進め、事業を継続するための対応を定めております。

しかしながら、上記の偶発的リスクにより、BCP(事業継続計画)の想定を超える事象が発生して、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(9) 気候変動に関するリスク

当社グループは気候変動問題について、経営に及ぼす影響を評価・管理するため、CO2総排出量を指標とし、カーボンニュートラルを目標に取り組んでおります。その過程で法的規制に対処するコスト増加や生産設備等への投資の増加、また気候変動に伴う自然災害等による施設や資産への損害、サプライヤーや物流ルートへの影響による顧客への供給中断、原材料価格の高騰などにより当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(10) 知的財産権に関するリスク

当社グループの製品は、顧客ニーズに応える製品を提供するための新技術開発を行い、特許権、実用新案権、意匠権など知的財産権を取得しています。しかし、第三者が同様の技術の使用、製品化を行うと当社の販売機会を失うリスクがあります。また、他社の取得済み特許権類を十分確認し、新製品開発をしておりますが、当社が上市した時、第三者から知的財産権を侵害しているとして提訴されることで、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(11) 原材料・部品の調達に関するリスク

当社グループの製品にはプラスチック等石油関連材料、金属材料、半導体部品等を使用しております。そのため、各国の輸出入規制や、紛争、自然災害、火災など、不測の事態による各メーカーの製造停止等で、原材料や部品が入手困難となり、生産停止による顧客への供給停止、及び原材料価格、人件費、エネルギー価格、物流費等の上昇等による原材料や部品の価格上昇などにより当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(12) 新技術・製品開発に関するリスク

当社グループの所属する電子部品業界は、技術革新のスピードが速く、顧客要求の高度化、多様化を求められており、技術的競争力や優位性をあげ続ける必要があります。当社グループは既存領域の拡大に向けた技術検討、新領域の確立を目指した新分野への参入を基本戦略の1つとしており、その対応に於いて設備投資、人材投資、法的規制など十分評価して進めておりますが、市場環境や技術の変化に対応して製品等の供給ができないことで財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(13) 法務・コンプライアンス等のリスク

当社グループは、グローバルにビジネスを展開しており、国内外の関連法令・規制等を遵守する必要があります。そのため、関連法令や規制等に関して遵守すること、また、契約条件の明確化等により、トラブルを未然に防止するよう努めています。しかし、関連する規制への抵触、役員・従業員による不正行為が完全に回避できない可能性があります。そのため、予期せぬ事象が生じた場合は、損害賠償の請求、訴訟の提起、関連法令・規制等による罰則・課徴金の適用などにより、当社グループの業績・財務状況への影響や社会的信用の失墜等の可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況の概要)

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルスによる行動制限緩和に伴い経済活動の正常化が進み、米国経済は良好な雇用環境や個人消費に支えられ堅調に推移しましたが、中国経済においては、不動産市況の悪化や消費低迷から景気の減速感が強まりました。また、中東情勢の悪化やウクライナ情勢の長期化から資源・原材料価格高騰による物価上昇により景気回復は鈍化しており、依然として不透明な状況が継続しております。

我が国の経済は、日米の金利差から円安による物価上昇圧力が継続しておりますが、物価上昇に見合う価格転嫁も進んでおり、さらに賃金の上昇基調やインバウンド需要の回復等により景気は緩やかに回復基調となりました。

当社グループの属するエレクトロニクス業界においては、自動車電装市場は、半導体・部材不足やサプライチェーンの混乱の緩和に伴い堅調に推移しましたが、生活家電市場・産業機器市場は市場在庫調整が遅れており、加えて中国における景気減速の影響により受注が減少し、本格的な回復には至りませんでした。

このような状況の中当社グループは、2021年5月に策定した中期5ヵ年計画の第2ステップ最終年度にあたる当期は、その目標達成に向けて、医療・ヘルスケア市場向けにおいては、生体電極に加え電気化学センサー等、技術革新による新分野への展開を図っており、自動車電装市場向けでの既存センサーのシェア拡大を図るとともに、非接触センサーの拡販に努めてまいりました。一方で、次期中期経営計画以降の課題となる新領域の確立を目指し、市場開拓を順調に進めております。製造部門においては工場のDX化に向けた設備投資を進め、独自のI.o.T機能を持たせた製造ラインの導入・拡大や、省人化、無人化等生産性向上と原価低減を継続的に行い、競争力強化を図るとともに生産の最適化や環境問題・BCPの観点から生産地の見直しや、医療・ヘルスケア分野の新技術等に対し、インフラ投資や設備投資等も検討してまいります。

自動車電装市場向けは好調でしたが、生活家電市場向け及び産業機器市場向けの在庫調整が想定以上に遅れており受注低迷が継続し、また、当社の受注を牽引していたアミューズメント市場向けにおいても第4四半期にかけて生産調整による減産や、急速に減速したことによる工場稼働率の低下等の影響から、当連結会計年度の売上高は152億23百万円(前年同期比7.7%減)となりました。営業利益は9億47百万円(前年同期比40.9%減)、経常利益は15億59百万円(前年同期比28.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は13億62百万円(前年同期比1.6%減)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

電子部品事業においては、自動車電装市場向けは通年好調を維持しましたが、生活家電市場向け及び産業機器市場向けは顧客の在庫調整が依然として継続しており低調に推移しました。医療・ヘルスケア市場向けは顧客の生産計画の変更の影響を受け低調に推移しました。アミューズメント市場向けは特に後半にかけて顧客の生産調整による減産の影響を受けることとなり、予想を下回る状況となりました。

この結果、電子部品の売上高は146億53百万円(前年同期比8.2%減)となり、営業利益は8億82百万円(前年同期比42.0%減)となりました。

その他の事業においては、環境対応緩衝材は医療機器向け及び半導体関連市場向けに加え、果実や根野菜向け緩衝材の拡販を進め順調に推移しており、機械設備等の販売も堅調に推移しました。

この結果、その他事業の売上高は5億70百万円(前年同期比7.8%増)、営業利益は92百万円(前年同期比11.7%増)となりました。

 

財政状態の状況は次のとおりであります。

当連結会計年度末の財政状態につきましては、総資産が前連結会計年度末に比べ17億79百万円増加し、320億85百万円となりました。その内訳は、流動資産が4億66百万円増加し195億41百万円、固定資産が13億12百万円増加し125億44百万円となっております。

負債は前連結会計年度末に比べ65百万円増加し、46億75百万円となりました。その内訳は、流動負債が4億4百万円減少し22億57百万円、固定負債は4億70百万円増加し24億17百万円となっております。

これらの結果、純資産は前連結会計年度末に比べ17億13百万円増加し274億10百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度末の82.9%から83.5%となりました。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、次のとおりとなりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によって得られたキャッシュ・フローは、29億23百万円(前年同期は16億34百万円)となりました。これは、税金等調整前当期純利益18億50百万円(前年同期は20億43百万円)、減価償却費7億86百万円(前年同期は8億21百万円)、売上債権が9億21百万円減少(前年同期は2億53百万円の増加)、棚卸資産が5億60百万円減少(前年同期は2億38百万円の増加)したことなどによります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は87百万円(前年同期は5億34百万円の使用)となりました。これは、有形固定資産の取得に5億52百万円(前年同期は8億60百万円)、投資有価証券の償還により2億0百万円獲得(前年同期は4億0百万円の獲得)、投資有価証券の売却により2億60百万円獲得したことなどによります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は12億72百万円(前年同期は7億50百万円の使用)となりました。これは配当金の支払い6億38百万円(前年同期は6億37百万円)、自己株式の取得により5億2百万円支出(前年同期は0百万円の支出)したことなどによります。

この結果、当連結会計年度の現金及び現金同等物の残高は、18億30百万円増加(前年同期は6億2百万円の増加)し、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は99億42百万円(前年同期は81億12百万円)となりました。

 

(3) 生産、受注及び販売の状況

 ①生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

電子部品

14,398,523

90.3

その他

550,528

100.4

合計

14,949,051

90.6

 

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 金額は販売価格によっております。

 

 ②受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

電子部品

14,338,272

93.6

2,471,092

88.7

その他

459,167

80.7

67,510

37.8

合計

14,797,439

93.1

2,538,603

85.6

 

(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

 ③販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

電子部品

14,653,490

91.8

その他

570,200

107.8

合計

15,223,690

92.3

 

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上を占める相手先がいないため記載を省略しております。

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1) 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度の経営成績は、電子部品事業においては、半導体、電子部品や原材料等の供給難や、サプライチェーンの混乱は改善しており、生活家電や産業機器市場の市場在庫調整も進み、景気回復の期待が高まるものの、中国経済においては、不動産市況の悪化や消費低迷から景気の減速感が強まり、中東情勢の悪化やウクライナ情勢の長期化から資源・原材料価格高騰による物価上昇により景気回復は鈍化しており、依然として不透明な状況の継続が想定されます。

当社グループの属するエレクトロニクス業界においては、自動車電装市場は、半導体・部材不足やサプライチェーンの混乱の緩和に伴い堅調に推移しましたが、生活家電市場・産業機器市場は市場在庫調整が遅れており、加えて中国における景気減速の影響により、今後の受注動向に関し、依然として予断を許さない状況が続いています。利益面においても、エネルギー価格や原材料価格の上昇、為替変動等の懸念材料があります。

そのような中、電子部品事業においては生活家電市場向けや産業機器市場向けの在庫調整が想定以上に遅れており、受注低迷が継続した結果、当連結会計年度は前連結会計年度と比較し、販売が大幅に減少しました。また、当社の受注を牽引していたアミューズメント市場向けにおいても第4四半期にかけて生産調整による減産の結果、受注減少から前連結会計年度と比較し、販売が微減となりましたが、自動車電装向けは好調に推移いたしました。

一方、その他の事業においては、環境対応緩衝材は医療機器向けや半導体関連市場向けに加え、果実や根野菜向け緩衝材の拡販を進め順調に推移しており、機械設備等の販売も堅調に推移しました。

連結売上高は前連結会計年度と比べ7.7%減少し152億23百万円となり、営業利益は前連結会計年度と比べ40.9%減少し9億47百万円となりました。

当社グループの主要セグメントである電子部品事業を地域別に分析いたしますと、日本では、自動車電装市場向けは、予想を上回る受注となった一方、医療・ヘルスケア市場向け、生活家電市場向け及び産業機器市場向けは、顧客の生産調整による受注減少や、顧客の在庫調整による生産計画の変更等の影響を大きく受けました。この結果、売上高は69億28百万円(前年同期比13.1%減)、営業損失は1億59百万円(前年同期は2億96百万円の営業利益)となりました。

アジアでは、中国の景気低迷を受け、エアコンや給湯器等の生活家電市場向けは低調に推移しました。アミューズメント市場向けは顧客の生産計画の大幅な変更により受注の減少の影響を受けました。その他のアジア地域については、AV機器市場向けが堅調に推移しました。この結果、売上高は75億18百万円(前年同期比2.5%減)、営業利益は9億91百万円(前年同期比13.4%減)となりました。

北米では、景気後退のリスクは後半にかけて徐々に緩和されつつも景気の不透明感は継続しており、顧客の在庫過多の状態は依然としてあることから、プロ用オーディオ市場向け及び産業機器市場向けは低調に推移しました。この結果、売上高は2億6百万円(前年同期比26.6%減)、営業損失は23百万円(前年同期は17百万円の営業利益)となりました。

経常利益については、前連結会計年度に引き続き、為替差益が3億91百万円となりましたが、営業利益が減少した為、前連結会計年度と比べ28.9%減少し15億59百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比べ1.6%減少し13億62百万円となりました。

2021年5月に策定した、未来のNOBLEを見据えて、「抵抗器のNOBLEから新生NOBLEへの深化と進化」を長期ビジョンとした中期5ヵ年計画の第3ステップ初年度にあたる次期は、その目標達成に向けて、センサー・医療・非接触を合言葉に、医療や産業機器分野への拡販を推し進め、既存領域の拡大を図り、また、非接触センサー開発などにより、顧客ニーズを捉えた新製品の展開を行ってまいります。

そのうえで、中期5ヵ年計画の最終ステップである2024年度~2025年度を第3ステップとし、新領域の拡大を目指し売上高180億円、営業利益17億円を目指してまいります。

加えて、次期中期経営計画以降の課題となる新領域の確立の取組を進めており、医療・ヘルスケア分野の拡大には当社の要素技術の要であるエレメント技術の向上が必須であり、インクや印刷工法の研究及び表面処理技術の高精度化が求められております。それを達成することにより、すでに量産化されている筋電・心電や脳波測定に用いる電極の更なる革新が見込まれます。また、今後の医療・ヘルスケア市場向けにおいては、その場で簡単に利用できるPOCT(Point of Care Testing)用バイオセンサーが望まれていることから、近々量産化を計画しているナトリウムカリウム測定に加え、将来的に様々な物質の測定に使用が見込まれる電気化学センサーの技術確立をすることを、今後の柱の1つとしていきたいと考えております。また、エレメント技術の向上を足がかりとして、インフラビジネス・ウォータ―ビジネス・アグリビジネス等へ進出することを目指しております。

 

さらに、同様に今中期経営計画で掲げた電気自動車やその周辺機器向けの拡販に加え、自動車向け製品の開発を加速し、静電容量方式のセンサーの拡販や量産している製品の無人化生産ラインの導入も見込んでおります。加えて、これらの成長戦略を実現するためには、環境も考慮した、高精度化にも見合う材料や素材の選定や当社の開発技術力及び、生産技術力の向上が不可欠であり、今まで取り組んできている自動化・省人化・無人化にDXやI.o.Tも組み込んだ、一貫生産体制の確立にも取り組んでまいります。

インフラ投資に関しましては、成長戦略の為のエレメント技術の向上を見据えた、研究開発インフラ・設備が必要であることから、2027年度の完成を目標とした本社・研究開発棟の建て替えによる設備強化を計画しており、これにより新製品開発を促進してまいります。また、その新たな研究開発棟により開発された製品の量産については、BCPや既存領域製品の増産対応も念頭に、倉庫スペースも含め既存の工場に新たなる工場建築も今後検討してまいります。

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、顧客の設計、製造が外部のOEMやODMといわれる第三者に委託するケースが発生する等により、受注成約に大きな影響を与える要因となり、また、顧客商品の市場販売状況についても、当社グループの売上高に大きく影響を与えます。

また、中東情勢の悪化やウクライナ情勢の動向、インフレの継続、米国・欧州における金融引き締め継続による景気後退リスク、顧客における生産計画調整や在庫調整、新型コロナウイルス感染症収束後の市場ニーズの変化や供給問題、エネルギー価格や原材料価格の上昇、為替変動の動向等により、当社グループの将来の業績に影響を与える懸念があります。

 

(2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況の分析

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (経営成績等の状況の概要) (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資本の財源及び資金の流動性として、当連結会計年度末において有利子負債残高が45百万円ありますが、この有利子負債は非連結子会社からの借入金であります。これは当社グループでは財務体質の健全性を堅持し、継続的に効率よく事業投資が行えるよう本社にて資金管理を行い、グループ内の資金を効率よく活用するようにしているためです。

当社グループの資金需要は主に製造費用、販売費用、設備投資や研究開発費用等であり、これらは日常の営業活動によって得られた資金で賄っております。

 

(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の状況をもとに、種々の見積りと仮定を行っていますが、それらは連結財務諸表、偶発債務に影響を及ぼします。連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下のとおりです。

①棚卸資産の評価

当社グループは、棚卸資産について、正味売却価額に基づき収益性の低下を検討しております。また、一定期間を超えて在庫として滞留する棚卸資産についても、簿価を切り下げております。今後の市況や需要動向によっては、追加の評価減が必要となる可能性があります。

②繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しています。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。

将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。

 

③退職給付債務及び退職給付費用

退職給付債務及び退職給付費用は、主に数理計算で設定される退職給付債務の割引率、年金資産の長期期待運用収益率等に基づいて計算しています。割引率は、従業員の平均残存勤務期間に対応する期間の安全性の高い長期債利回りを参考に決定し、また、年金資産の長期期待運用収益率は、過去の運用実績及び将来見通し等を基礎として設定しています。割引率及び長期期待運用収益率の変動は、将来の退職給付費用に影響を与える可能性があります。

④固定資産の減損

当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、資産のグルーピングをセグメント別に行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しています。

固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

特記事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

(1) 研究開発の主体、規模

当社グループにおける研究開発は、主として当社の開発部門があたり、新製品の開発等、技術開発を担当しております。また、生産における設備の自動化等の開発は、当社生産技術部門が担当しております。

これらの研究開発にあたっては必要に応じて、他企業や大学等と共同研究開発を行っております。特に当社の提唱する前面操作ブロック製品(ICB製品)及び生体系センサー等の設計開発においては、顧客との密接な共同開発が必要であり、デザイン等顧客の設計初期段階から顧客と一体となって開発を進めております。

(2) 目的及び主要な成果

新製品開発にあたっては、メカトロニクスの原点となるセンサー系製品の開発と、HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)の一翼を担うICB製品の開発に主力を注いでおります。特にセンサー用途に使われる抵抗エレメントの新規開発、更なる高精度化、高寿命化を図っております。固定抵抗においては、素材から見直しを行い、コスト競争力のアップを図っております。機器のデザインコンセプトを自由に表現できるICB製品は、単にディスクリート製品をプリント基板上に搭載しただけのものとは異なり、当社のエレメント技術・成型加飾技術・プレス技術等を駆使して一体に形成するもので3Dデザインのスペース効率を十分に活かせるものであります。

その結果、コンパクト化が進展する映像機器・事務機器分野においてプロジェクターやデジタルカメラ向けに、多岐にわたるICB製品を市場に送り出すことができました。更に、当社独自のフィルム技術を応用し、フレキシブル性を生かした曲面センサー等の商品を展開することができました。医療・ヘルスケア分野においては、心電・脳波・筋電を手軽に精度よく測れる生体電極が量産化できました。

(3) 活動の方針

事務機器・車載・産業機器・生活家電・医療・AV機器・ゲーム機に、エレメント技術やICB技術を応用できるよう、環境に配慮した要素技術開発に磨きをかけて参ります。そして、HMIとしての新しいデバイス、スクリーン印刷技術や部品実装技術を生かしたフレキシブルなI.o.Tデバイス等の開発に注力し、通信関連やインフラ等の新規市場にも、新たなモジュール製品を提案していく所存であります。

医療・ヘルスケア分野においては、その場で簡単に利用できるPOCT(Point of Care Testing)用バイオセンサーが望まれていることから、近々量産化を計画しているナトリウムカリウム測定に加え、将来的に様々な物質の測定に使用が見込まれる電気化学センサーの技術確立を、今後の柱の1つとしていきたいと考えております。

なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は540,749千円であります。