(1)業績
当連結会計年度(平成27年4月1日~平成28年3月31日)における世界経済は、米国市場が比較的堅調に推移した一方で、中国をはじめとした新興国経済は減速基調が続き、その影響を受けて日本市場も鈍化傾向で推移いたしました。こうした市場環境のもと、当社グループに関わるエレクトロニクス市場では、産業機械やスマートフォン関連などの製品出荷が力強さを欠く展開となりました。
その結果、当社グループの当連結会計年度の状況といたしまして、売上高は846億4千2百万円(前期比1.9%減)とやや減収となりました。利益面においては、きめ細かな個別顧客対応や原価改善・管理の徹底により収益の確保に努め、営業利益は42億6千6百万円(同5.9%増)と増加いたしました。一方、年初からの円高により営業外費用で為替差損4億8千8百万円が発生し、経常利益を39億2千8百万円(同4.2%減)と押し下げました。また、子会社の事業再構築に伴い繰延税金資産の取崩しを1億7千7百万円計上、さらに業績好調な海外子会社からの利益還元強化に付随して、将来の配当により親会社において追加納付が見込まれる税金額を法人税等調整額に4億3千9百万円計上いたしました。これらにより親会社株主に帰属する当期純利益は、17億8千3百万円(同42.6%減)と減益となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
なお、売上高はセグメント間の内部売上高を含めており、セグメント利益はセグメント間取引消去及び本社部門負担の未来開発研究費用控除前の営業利益と調整を行っております。
① 電子部品関連事業
電子部品関連事業における産業機械やエネルギー関連は、中国や新興国、欧州市場の不透明感などを背景に弱含みで推移いたしました。また、LED関連は、アミューズメント向けの需要低下などにより、売上が減少いたしました。一方でエアコンやエコカー関連は、秋口以降は新モデル量産対応や顧客開拓などにより、厳しい市場環境ながら比較的堅調な売上を確保いたしました。
その結果、売上高は546億2千5百万円(前期比5.4%減)、セグメント利益は9億7千4百万円(同34.5%減)と、減収減益となりました。
② 電子化学実装関連事業
電子化学事業では、夏場以降スマートフォン新モデル向けのソルダーレジストの生産が立ち上がりましたが、当初見込みより弱含みの展開となりました。また、市場減速に伴い取扱製品の売上は全般に力強さを欠きましたが、生産工程の改善などにより収益確保に努めました。また、実装装置事業は、自動車関連や電子部品メーカーなどの設備投資需要や、省力化ニーズに応える製品の拡販活動を国内外で展開いたしました。
その結果、売上高は248億7千2百万円(前期比1.8%増)、セグメント利益は31億8千2百万円(同8.2%増)と、増収増益となりました。
③ 情報機器関連事業
情報機器関連事業では、音声卓(ミキサー)のフラッグシップモデル“NTシリーズ”のキー局・地方局への納入が好評のうちに続いております。また、国内市場におけるセキュリティ関連機器の需要が継続すると共に、期末には駅用ワイヤレスマイクの更新需要も取り込み、堅調に推移いたしました。
その結果、売上高は52億8千3百万円(前期比26.3%増)、セグメント利益は6億7千8百万円(同78.9%増)と、増収増益となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)につきましては、主に営業活動によるキャッシュ・フローが増加したため、前連結会計年度末に比べ33億2千7百万円増加し、150億1千7百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は83億4千5百万円で、前連結会計年度に比べ52億1千2百万円獲得額が増加(前期比166.4%増)しました。これは主に売上債権及びたな卸資産が減少したことなどによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は21億9千9百万円で、前連結会計年度に比べ3億1千万円使用額が増加(前期比16.5%増)しました。これは主に国内子会社の本社売却による収入が計上された前連結会計年度に比べ、有形固定資産の売却による収入が減少したことなどによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は26億7千4百万円で、前連結会計年度に比べ8億3千4百万円使用額が増加(前期比45.4%増)しました。これは主に短期借入金の返済による支出などによります。
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
電子部品関連事業 |
53,154 |
92.9 |
|
電子化学実装関連事業 |
24,227 |
100.8 |
|
情報機器関連事業 |
5,464 |
133.3 |
|
報告セグメント計 |
82,846 |
97.1 |
|
その他事業 |
76 |
603.3 |
|
合計 |
82,923 |
97.1 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
電子部品関連事業 |
54,967 |
91.4 |
21,323 |
101.7 |
|
電子化学実装関連事業 |
25,022 |
102.8 |
2,144 |
115.1 |
|
情報機器関連事業 |
5,067 |
109.3 |
1,487 |
89.0 |
|
報告セグメント計 |
85,057 |
95.4 |
24,955 |
101.9 |
|
その他事業 |
54 |
257.4 |
7 |
― |
|
合計 |
85,112 |
95.4 |
24,962 |
101.9 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
電子部品関連事業 |
54,602 |
94.6 |
|
電子化学実装関連事業 |
24,741 |
101.5 |
|
情報機器関連事業 |
5,251 |
127.4 |
|
報告セグメント計 |
84,595 |
98.1 |
|
その他事業 |
47 |
223.8 |
|
合計 |
84,642 |
98.1 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(1)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループが対処すべき当面の課題は以下のとおりであります。
① 立派な製品を作り、成長への道筋を作る
当社グループでは、将来の収益源を目指す製品を「戦略製品」と位置付け、開発・生産・販売を進めてまいりました。しかしながら、前中期計画では充分な売上実績をあげることができず、これらの開発や生産に要した投資も、多くが回収に至りませんでした。このような結果を反省し、第11次中期経営計画では製品技術マーケティングの強化により、「戦略製品」の成長への道筋を明確化させると共に、市場への「目利き」感度を高め、投資判断をタイムリーに進めてまいります。具体的には、「戦略製品」の早期育成が必須な際は、M&Aや協業なども視野に入れて取り組む一方、これ以上開発を進めても市場価値が望めないと判断した場合は早期に開発を中止し、強化が必要な分野に経営資源を集中して、開発投資効率の改善を図ってまいります。
② 健全な経営体質を作る
原材料価格や為替の変動、海外の給与水準の上昇、グローバル競争の激化や客先からのコストダウン要求など、様々な要因で製品コストは日々変化しております。販売会社における最終客先への販売価格と、製造会社や流通拠点における各種費用を、品目別に連結で算出した利益を当社では「つなぎ利益」と呼んでおります。前中期計画では「つなぎ利益」の監視により、不採算品目の削減に取り組みました。第11次中期経営計画では、引き続き「つなぎ利益」の監視を進めていくと共に、今後は品目別利益分析を高利益品の拡大にも活用して、収益拡大を目指してまいります。
③ 最適なグローバル体制を作る
当社グループが今後も健全に成長していくためには、従来からの日本中心・日系企業中心の取引だけでは難しく、第11次中期経営計画では非日系顧客への売上比率を30%以上へ拡大することを目指しております。それを実現するために、まず第1に、現地のナショナルスタッフが現地の顧客に対して、地域に根差した製品開発から承認取得までをスピーディに展開する「地開(開発)地承(承認)」の取り組みを推進してまいります。第2に、グループ各拠点の業務の見直しを行い、グローバルで最適な役割配置を進めます。海外に関する業務は現地完結型に移行し、コストの高い日本は付加価値の高い業務に集中いたします。また、役目を終えた拠点や業務は整理統合を進め、グローバルで戦えるコスト競争力と収益性を確保してまいります。第3に、これらの活動の主役は現地の人材にあるとして、ナショナルスタッフの育成・登用をグループ全体で推進してまいります。
(2)株式会社の支配に関する基本方針について
① 基本的な当社の考え方
当社は、証券取引所に上場する株式会社として、当社株式の売買は市場に委ねるものと考えており、会社を支配する者の在り方は、最終的には当社株式を保有する株主の皆様のご判断によるものと考えております。しかしながら株式の大量買付行為の中には、その目的等からみて当社が維持・向上させてまいりました当社の企業価値及び株主共同の利益を毀損するものや、株主に株式の売却を強要するおそれのあるものなどの買付行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者としては適切ではないと考えており、このような不適切な買付行為が行われる場合には、それに対して相当の対抗措置を発動することも必要であると考えております。
② 基本方針実現に資する特別な取り組みの概要
優秀な製品を通して社会に貢献すること。当社が掲げる理念は、1924年の創業から、よりグローバルなフィールドで事業展開している今日まで変わることはありません。その一貫した理念のもと、当社は「オンリーワン・カンパニーの実現」をコーポレートスローガンに掲げ、「ミッション・ビジョン・ガイドライン」より構成される「タムラ・グループミッション・ステートメント」を制定しております。
また、当社は、経営理念に基づき中期経営計画を策定し、企業価値の向上に向けて取り組みを進めております。
③ 基本方針に照らして不適切なものに支配されることを防止するための取り組み
当社は、当社の発行済株式総数の20%を超えるような株式の買付又は公開買付行為に関するルールを平成18年6月に「大規模買付行為への対応方針(買収防衛策)」として定めており、平成26年6月26日開催の定時株主総会にて、内容を一部改定の上更新のご承認をいただいております。
対応方針の概要は次のとおりであります。
1)事前に買付者等が当社取締役会に対して必要かつ十分な情報を提供すること
2)当社取締役会により当該大規模買付行為の一定の評価を行い、また代替案を提示するために必要な期間が経過した後に大規模買付行為を開始すること
3)当社取締役会は、当該大規模買付行為を検討・評価し、当社取締役会としての見解を公表すること
4)当該大規模買付行為に対する対抗措置の発動等に関する当社取締役会の判断について、その判断の客観性、合理性及び公正性を担保するため、当社取締役会から独立した組織である特別委員会を設置すること
5)特別委員会は、対抗措置の発動の是非について、特別委員会としての判断を下し、当社取締役会に勧告・助言を行うこと
6)当社取締役会は、対抗措置の発動の是非に関しては、特別委員会の勧告等を最大限尊重しつつ、最終的な決定を行うこと
なお、詳細は当社ホームページ(http://www.tamura-ss.co.jp)をご参照願います。
④ 本対応方針が会社の支配に関する基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでないことについて
1)買収防衛策に関する指針の要件を充足していること
本対応方針は、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則を充足しています。
2)株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されていること
本対応方針は、当社株式に対する買付等がなされた際に、当該買付等に応じるべきか否かを株主が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や時間を確保し、株主のために特定株式保有者等と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させるという目的をもって導入されるものです。
3)合理的な客観的発動要件の設定
本対応方針は、あらかじめ定められた合理的な客観的要件が充足されなければ発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みが確保されています。
4)独立性の高い社外者の判断の重視と情報開示
本対応方針における対抗措置の発動等に際しては、当社取締役会から独立した組織である特別委員会へ諮問し、同委員会の勧告等を最大限尊重するものとされています。
また、その判断の概要については、株主に情報開示をすることとされており、当社の企業価値・株主共同の利益に適うように本対応方針の透明な運用が行われる仕組みが確保されています。
5)株主意思を重視するものであること
本対応方針は、平成26年6月26日開催の定時株主総会決議により更新されたものであり、株主の意向が反映されたものとなっております。
6)デッドハンド型やスローハンド型の買収防衛策ではないこと
本対応方針は、当社株主総会の決議又は当社取締役会の決議で廃止することができるため、いわゆるデッドハンド型の買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交代させてもなお発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。また、当社は取締役会の構成員につき期差任期制を採用していないため、スローハンド型(取締役会の構成員の交代を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。
当社グループの経営成績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存です。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。
(1)国際的活動及び海外進出に潜在するリスク
当社グループの生産活動の多くは中国・アセアン地域に進出しており、販売活動はほぼ全世界的に行っております。これらの海外市場への事業進出には以下のようないくつかのリスクが潜在しております。
① テロ、戦争、暴動等の要因による社会的混乱
② 予期しない法律又は規制の変更
③ 政治的、地政学的な要因による不利益
④ 人材の採用と確保の難しさ
当社グループは競争力のある製品の製造とコスト削減のため中国に生産拠点を拡大しております。しかし、中国における政治又は法環境の変化、労働力の不足、経済状況の変化、反日デモの再発など予期せぬ事象により生産活動の遂行に問題が生じる可能性があります。
また、当社グループが事業拠点を置く国又は地域で新型インフルエンザ等が蔓延したような場合、状況によっては、工場操業停止による生産ストップ、あるいは従業員の出勤抑制、部品調達や工場操業が困難になるなどの問題が発生する可能性があります。
(2)為替リスク
当社グループは、全世界的に事業展開をしており、外貨建取引から生じる資産及び負債の日本円換算額に影響を与える可能性があります。また、為替動向は外貨建で取引されている製品価格及び受注獲得にも影響を与える可能性があります。さらに海外子会社の財務諸表を円換算する際にも影響を与える可能性があります。当社グループは外国為替リスクを軽減し、またこれを回避するために様々な手段を講じておりますが、急激な円高局面では為替相場の変動によって当社グループの事業、業績及び財務状況が悪影響を受ける可能性があります。
(3)価格競争
特に電子部品関連事業においては、競合他社の生産が賃金の安い中国・アセアン地域に移転すると共に、地場メーカーとの価格競争により販売単価の低下が進んでおり、コスト面の対応が必要な状況となっております。価格競争は激化しつつあり、今後一層の価格低下が進むものと予想されます。当社は拡大する市場の中でシェアを確保していくため、コストの削減を進め、価格低下に対応していく方針ですが、今後の業績に影響を与える可能性があります。
(4)原材料価格の高騰
当社グループの製品は、素材価格の相場変動により原価内容に大きな影響を受けます。電子部品関連事業において主力のトランス(変成器)の原材料のほとんどを銅・鉄・原油精製品(プラスチック類)といった素材が占めており、電子化学実装関連事業においては石油化学素材・金属素材・鋼材を原材料として多く使用しております。これら素材価格の世界的な需給バランスの変動あるいは投機的な相場変動による価格高騰局面では、そのリスクを軽減又は回避するための手段を講じておりますが、原価が上昇する可能性があります。反面、顧客への価格転嫁は、競合他社との価格競争が激化し販売単価の値下げ要求が厳しい中では容易ではなく、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)在庫リスク
当社グループのうち、特に電子部品関連事業では、顧客仕様による受注販売が中心であり、かつ、短納期であることから顧客からの正式受注によらず、顧客から提示される需要見通し(フォアキャスト)並びに市場動向を勘案した当社判断に基づく見込み受注による材料手配・生産計画による生産を行う場合があります。見込み受注に狂いが生じた場合は、これに伴う損失の補償を顧客に転嫁させることは出来ず、当社グループが在庫リスクを負うことになり、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)顧客に対する信用リスク
当社グループは、顧客に対するほとんどの取引を代金後払いで販売しております。多額の売掛金を有する顧客が、財務上の問題に直面した場合、当社グループの業績及び財務状況は悪影響を受ける可能性があります。
(7)製品補償
当社グループは、顧客に認められる品質管理基準により各種製品の品質には万全を期して製造しておりますが、全ての製品に欠陥が皆無という保証はなく、当社の設計・生産・品質管理等に起因する損害賠償につき、製品補償を求償される可能性があります。また、製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険で最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。大規模な製品補償や製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額なコストや当社の評価に重大な影響を与え、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)知的財産権に関するリスク
当社グループは、独自に開発した設計・製造過程に関する技術及び製品等の特許権その他の知的財産権を所有し、現在もさらなる研究開発活動を進めております。一般的に、特許権取得の手続きは時間と多額の費用がかかり、現在及び将来出願する特許のすべてが登録されるとは限りません。また当社グループの特許が淘汰される可能性は常に存在しております。仮に当社グループの研究開発を超える優れた開発が第三者によりなされた場合には、当社グループの事業戦略や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないよう留意し、調査を行っておりますが、全ての知的財産権を完全に調査完了することは時間・コスト・技術的観点より困難であり、また特許権利者が自己の知的財産権をどのように解釈し、どの範囲まで権利行使手続きを行うかを予想することは極めて困難であります。従いまして、万一、当社グループの製品が第三者の知的財産権に近似する場合には、当該第三者より損害賠償請求、使用差し止め等の訴えを起こされる可能性、並びに当該知的財産権に関する対価の支払等が発生する可能性があります。このような場合、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9)格付け低下のリスク
当社は格付機関により格付けを取得しておりますが、格付機関が当社の格付けを引き下げた場合、当社グループの今後の資金調達金利に悪影響を及ぼすことがあり得ます。
(10)退職給付債務
当社グループは、日本の会計基準に従い、退職給付債務を計上しておりますが、退職給付制度及び退職給付債務等の計算の基礎に関する事項(割引率、長期期待運用収益率等)について再検討する必要が生じる可能性並びに年金資産の運用環境の悪化等から、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11)自然災害や事故等のリスク
当社グループは、日本及び世界各地に製造拠点等の設備を有しており、大規模な地震、水害等の自然災害や火災等の事故が発生した場合には、設備の損壊、電力・ガス等の供給停止による事業所の機能停止、サプライチェーンの混乱による部材調達難等により、当社グループの経営成績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループは、「オンリーワン・カンパニーの実現」を経営スローガンに、タムラならではの「オンリーワン技術」で市場ニーズに応える製品づくりを目指して、研究開発活動を推進しております。
当連結会計年度における研究開発活動は、環境・エネルギー関連製品や、スマートフォン・タブレット関連、車載関連など、成長市場で期待される技術開発を積極的に進めました。
当連結会計年度における各セグメント別の研究開発活動は、次のとおりであります。
なお、研究開発費については、各セグメントに配分できない未来開発研究費用3億9千9百万円が含まれており、当連結会計年度の研究開発費の総額は12億4千万円となっております。
① 電子部品関連事業
“環境”・“エネルギー”など、未来に繋がる分野を見極め、素材開発からユニット製品まで幅広く開発を進めております。
主な研究開発内容と開発成果は次のとおりであります。
・リアクタの巻き線部分をパイプ状の管のように加工し、その中に水を通しながら冷やす直冷式を採用することで、お客様の仕様にあわせたリアクタの小型化を可能とした、直流送電用の水冷式可飽和リアクタを開発いたしました。
・電線と抵抗器本体の接続箇所を内蔵したメタルクラッド抵抗器「TS30Gシリーズ」を開発いたしました。自動車や産業機器などの電源向けに販売を開始いたしました。
研究開発費用は、8千9百万円であります。
② 電子化学実装関連事業
電子化学材料から実装装置まで、エレクトロニクス実装における幅広い分野においてコア技術開発・製品開発を推進しております。スマートフォン・タブレットPC市場、車載市場、太陽光などのエネルギー市場の3分野をターゲットに、市場ニーズに応える製品の開発を進めております。
主な研究開発内容と開発成果は次のとおりであります。
・感光性樹脂の感度を高め、感光波長域の広帯域化を行うことにより、必要な露光量が50mJ/cm2と少ない、ダイレクトイメージング向けソルダーレジストを開発いたしました。
・スマートフォンなどのタッチパネル向けに、酸化インジウムスズの透明導電膜にインクジェット方式で塗布できる透明絶縁材を開発いたしました。
・流線型のフォルムに進化したN2リフロー装置「TNV-Ver.Ⅱシリーズ」を開発いたしました。フラックス回収ボックスを大型化し冷却能力を高めて回収能力を向上させました。それによりメンテナンス周期の長期化に貢献しています。また、効率よく加熱できるパネル装備を取り入れ、加熱力を要する多層基板などの生産への対応力を上げ、窒素消費量の削減も実現いたしました。
研究開発費用は、4億2百万円であります。
③ 情報機器関連事業
設備投資需要の緩やかな回復を背景に、多様化する情報サービスのニーズに対応した開発を推進いたしました。
主な研究開発内容と開発成果は次のとおりであります。
・当社と日本放送協会(NHK)様でデジタル音声卓(ミキサー)「NT900」を共同開発いたしました。デジタル音声調整卓「NT900」は、音質、機能、デザイン、操作性の全てにこだわったデジタル音声卓「NTシリーズ」の機能を受け継ぎつつ、スーパーハイビジョン番組制作、「22.2マルチチャンネル音響」の音声収録、編集に適した製品です。
研究開発費用は、3億4千7百万円であります。
④ 未来開発関連事業
・当社コアテクノロジー本部と株式会社光波、国立研究開発法人物質・材料研究機構は共同で、青色LD(レーザーダイオード)を励起光源とした超高輝度でハイパワーな白色照明に最適な、温度特性の優れたYAG単結晶蛍光体の開発に成功いたしました。
・当社コアテクノロジー本部、情報通信研究機構(NICT)、東京農工大学は共同で次世代パワーデバイス材料として有望な酸化ガリウムエピウエハの開発に成功いたしました。当社からのカーブアウトベンチャーであり、NICT技術移転ベンチャーでもある株式会社ノベルクリスタルテクノロジーがこの成果を事業化し、今後成長が見込まれるパワーエレクトロニクスに向け、大学・研究機関・メーカーなどへ供給を開始いたしました。
研究開発費用は、3億9千9百万円であります。
(1) 財政状態
当連結会計年度末(以下「当期末」という)の総資産は、前連結会計年度末(以下「前期末」という)比で34億6千6百万円減少(前期末比4.3%減)し、767億8千8百万円となりました。内訳としては、流動資産は前期末比13億2千万円減少(同2.5%減)の516億4千7百万円、固定資産は同比21億4千5百万円減少(同7.9%減)の251億4千1百万円となりました。
流動資産減少の主な要因は、受取手形び売掛金が21億6千6百万円、たな卸資産が18億7千9百万円それぞれ減少したことなどによります。
固定資産については、有形固定資産が前期末比7億5千8百万円減少(前期末比3.8%減)、無形固定資産が同比3億4千万円減少(同22.2%減)、投資その他の資産が同比10億4千6百万円減少(同17.5%減)しました。
当期末の負債の合計は、前期末比で17億5千1百万円減少(前期末比4.2%減)し、403億3千9百万円となりました。内訳としては、流動負債は同比25億8千9百万円増加(同11.1%増)の260億1千7百万円、固定負債は同比43億4千万円減少(同23.3%減)の143億2千2百万円となりました。
有利子負債合計(短期借入金・1年内返済予定の長期借入金・短期リース債務・長期借入金及び長期リース債務の合計額)は206億1千1百万円となり、主に海外子会社における借入金の返済により、前期末比で19億9千9百万円減少しました。
当期末の純資産は、前期末比で17億1千5百万円減少(前期末比4.5%減)し、364億4千8百万円となりました。これは主に為替換算調整勘定及び退職給付に係る調整累計額の変動により、その他の包括利益累計額が28億円減少したことによるものであります。この結果、自己資本比率は47.21%となりました。また、1株当たり純資産額は442.05円(前期末1株当たり純資産額は463.03円)となりました。
(当連結会計年度における自己資本比率及び1株当たり純資産は、純資産より新株予約権・非支配株主持分を控除して計算した比率を用いております。)
(2) 経営成績
当連結会計年度の売上高は846億4千2百万円(前期比1.9%減)、営業利益は42億6千6百万円(同5.9%増)となりました。
営業利益段階のセグメント別の売上及び営業損益の概要に関しては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載しているとおりであります。
営業外収益より営業外費用を差し引いた純額は3億3千8百万円の費用計上となりました。
以上の結果、経常利益は39億2千8百万円(同4.2%減)となりました。
特別利益は1億4千2百万円となり、その主な要因は固定資産売却益の計上によるものであります。
特別損失は5億1千2百万円となり、その主な要因は特別退職金及び移転損失引当金繰入額の計上によるものであります。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は35億5千8百万円(同13.1%減)となりました。
税金費用として17億7千5百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は17億8千3百万円(同42.6%減)となりました。
これにより1株当たり当期純利益は21.75円(前期37.88円)、ROA(総資産純利益率)は2.27%(前期4.01%)、ROE(自己資本純利益率)は4.81%(前期8.91%)となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物につきましては、主に営業活動によるキャッシュ・フローが増加したため、前連結会計年度末に比べ33億2千7百万円増加し、150億1千7百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因に関しては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載しているとおりであります。