(1)業績
当連結会計年度(平成28年4月1日~平成29年3月31日)における世界経済は総じて緩やかな回復基調で推移いたしましたが、国内経済では秋口まで急激に進行した円高が企業経営に大きな影響を与え、足元では米国や欧州各国の政策変化への動きが先行きに不透明感を与えております。
こうした経営環境において当社グループは、収益性の向上を第一の目標とする中期経営計画を掲げ、お客様へ価値ある「オンリーワン製品」の提供、きめ細やかな個別原価管理、生産効率改善などの取り組みを進めてまいりました。
その結果、当社グループの当連結会計年度の状況といたしまして、売上高は796億7百万円(前期比5.9%減)と減収ながら、営業利益は51億1千7百万円(同19.9%増)となり、平成10年3月期以来の過去最高益となりました。また、期初より急激に進行した円高が年度後半では円安へ転換したことから為替差損が縮小し、経常利益は50億9千1百万円(同29.6%増)となりました。更に特別損益に当社連結子会社の土地及び建物の譲渡による固定資産売却益の計上、建て替えが決定した建物の減損損失の計上などを行い、親会社株主に帰属する当期純利益は37億2千7百万円(同109.1%増)となり、平成27年3月期を超える過去最高益更新となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
なお、売上高はセグメント間の内部売上高を含めており、セグメント利益はセグメント間取引消去及び本社部門負担の未来開発研究費用控除前の営業利益と調整を行っております。
① 電子部品関連事業
電子部品関連事業では、収益性の向上を第一として「狙った市場・Application」への展開、地域に根差し製品開発から承認取得をスピーディーに展開する「地開(開発)地承(承認)」の取り組みを進め、エアコン用リアクタをはじめとする家電・住宅市場向け製品、自動販売機用のLEDモジュール、新興国の自動化ニーズを背景とした産業機械向けトランス・リアクタ、非日系顧客向けの電流センサなどが堅調に推移いたしました。同時に、個別原価管理の徹底による生産効率の改善を加速し、前連結会計年度に実施した構造改革の効果も反映された結果、生産拠点を中心としてグローバルに展開するグループ各社の収益性改善が顕著に進みました。
その結果、売上高は519億5千5百万円(前期比4.9%減)とやや減収ながら、セグメント利益は24億4千4百万円(同150.8%増)と大幅な増益となりました。
② 電子化学実装関連事業
電子化学事業は、中期計画でIoT市場及び車載市場をターゲットに開発・販売を進めております。夏場以降スマートフォン向けのフレキシブル基板用ソルダーレジストが堅調に推移すると共に、電装化の進む車載市場向けに高信頼性ソルダーペースト・ソルダーレジストの開発を進めました。また、実装装置事業では、自動車関連や電子部品メーカー向けのリフロー装置の拡販が進みました。
しかし、秋口まで急激に進行した円高が影響し、売上高は237億4百万円(前期比4.7%減)、セグメント利益は29億7千万円(同6.7%減)と減収減益になりました。
③ 情報機器関連事業
情報機器関連事業は、音声卓“NTシリーズ”に新たにポータブルサイズのミキサー“NT110”を加え、フラッグシップモデルの大型デジタルミキサー“NT880”、中規模スタジオ向け“NT660”とあわせて、大型からコンパクトサイズまでトータルにラインナップを揃え、拡販活動を進めました。しかし、前期に拡大したセキュリティ関連機器の特需一巡による影響が大きく、売上が減少いたしました。
その結果、売上高は40億5千4百万円(前期比23.3%減)、セグメント利益は3億2千1百万円(同52.5%減)と減収減益になりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)につきましては、前連結会計年度末に比べ42億5千2百万円増加し、192億7千万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は81億4千万円で、前連結会計年度に比べ2億4百万円獲得額が減少(前期比2.5%減)しました。これは主に売上債権の増減額が減少し、仕入債務の増減額が増加したことなどによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は7億7千7百万円で、前連結会計年度に比べ14億2千1百万円使用額が減少(前期比64.6%減)しました。これは主に海外子会社の土地及び建物の譲渡による収入が計上され、有形固定資産の売却による収入が増加したことなどによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は39億6千6百万円で、前連結会計年度に比べ12億9千2百万円使用額が増加(前期比48.3%増)しました。これは主に短期及び長期借入金の返済による支出などによります。
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
電子部品関連事業 |
49,354 |
92.9 |
|
電子化学実装関連事業 |
23,029 |
95.1 |
|
情報機器関連事業 |
3,734 |
68.3 |
|
報告セグメント計 |
76,117 |
91.9 |
|
その他事業 |
― |
― |
|
合計 |
76,117 |
91.8 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
電子部品関連事業 |
50,797 |
92.4 |
20,171 |
94.6 |
|
電子化学実装関連事業 |
26,004 |
― |
4,581 |
― |
|
情報機器関連事業 |
3,499 |
69.1 |
955 |
64.3 |
|
報告セグメント計 |
80,300 |
― |
25,708 |
― |
|
その他事業 |
59 |
109.5 |
7 |
100.0 |
|
合計 |
80,360 |
― |
25,715 |
― |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.電子化学実装関連事業について、当連結会計年度より受注高及び受注残高の集計方法を変更しております。変更後の集計方法に基づき前年同期の数値を再集計するのは困難であるため、前年同期比を表示しておりません。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
電子部品関連事業 |
51,949 |
95.1 |
|
電子化学実装関連事業 |
23,567 |
95.3 |
|
情報機器関連事業 |
4,030 |
76.8 |
|
報告セグメント計 |
79,548 |
94.0 |
|
その他事業 |
59 |
126.0 |
|
合計 |
79,607 |
94.1 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(1)経営方針
当社グループは、コーポレートスローガンを「オンリーワン・カンパニーの実現を目指す」と掲げ、経営の基本方針を「タムラグループミッション」に定めております。
MISSION
私たちは、タムラグループの成長を支えるすべての人々の幸せを育むため、世界のエレクトロニクス市場に高く評価される独自の製品・サービスをスピーディに提供してまいります。
VISION
① タムラグループは、世界的視野にたち、エレクトロニクス産業が求める事業を経営基盤とします。
② タムラグループは、市場本位をつらぬき、世界のお客様が求める技術を事業基盤とします。
③ タムラグループは、公正な視点で社員を評価し、努力によって成果をもたらす人を最も賞賛します。
④ タムラグループは、国際社会の一員として行動し、各国の法規制を順守し文化・慣習を尊重します。
⑤ タムラグループは、地球環境の保全に努め、資源の有効化と再資源化を推進します。
(2)経営戦略等
当社グループは長期ビジョンとして創業100周年(2024年)を見据えながら、平成30年度(2018年度)をターゲットとする第11次中期経営計画“Biltrite Tamura GROWING”を策定し、以下の経営戦略を推進いたします。
① 正しく豊かな成長への道筋を作る
・収益の源泉である「オンリーワン製品」の種を「戦略製品」と位置づけ、その育成並びに開発投資効率の向上を目的に、製品技術マーケティングを推進いたします。
・「戦略製品」の早期育成のために、M&Aや協業も視野に入れて取り組んでまいります。
② 正しく立派な製品を作る
・当社の独自性と強みを充分に発揮し、顧客価値の視点に立った優位性のある「オンリーワン製品」を強化し、競争力と収益性向上を図ってまいります。
③ 正しく健全な経営体質を作る
・役目を終えた業務・製品は見極め、事業ポートフォリオの見直しも含め、経営資源の適正な配分を推進いたします。
④ 正しく最適なグローバル体制を作る
・グローバルで戦えるコスト競争力と収益性を確保するために、海外に関する業務は現地完結型に移行し、コストの高い日本は付加価値の高い業務に集中いたします。また、それを実現するために、ナショナルスタッフの活躍を推進いたします。
・当社グループがグローバルに成長するためには非日系企業との取引拡大が必須として、非日系顧客への売上比率30%以上を目指してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
第11次中期経営計画“Biltrite Tamura GROWING”で目標とする経営指標は以下のとおりです。
① 収益性の向上を第一の目標として、連結営業利益率7%以上を目指します。
② 資本効率に関する目標として、連結ベースでROE9%以上の確保を目指します。株主資本を充実し経営基盤の安定化を推進しつつ、資本効率を高めてまいります。
③ むやみに売り上げを志向するのではなく、お客様に価値ある「オンリーワン製品」を提供することにより、健全な企業成長を目指します。
(4)経営環境
世界経済は緩やかな回復基調で推移しておりますが、米国や欧州各国の政策変化への動きや、北朝鮮問題に端を発する政治不安は予断を許さない状況となっております。また為替や材料価格の急激な変動は企業収益に大きな影響を与える要因になりますが、当社グループでは、そうした影響を最小化するために、顧客との間における価格改定ローリングの取り決めや、エリアで完結する開発・調達・生産体制の構築を進めております。
また、市場競争はグローバルに広がっており、グローバルで戦えるコスト競争力が求められる一方、当社グループが今後成長していくためには、新興国市場やこれまで当社グループとしては取引の多くない欧米や中韓などの非日系顧客との取引拡大が必須として、第11次中期経営計画では「最適なグローバル体制を作る」というスローガンを掲げて取り組みを進めております。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループが対処すべき当面の課題は以下のとおりであります。
① 立派な製品を作り、成長への道筋を作る
当社グループでは、将来の収益源を目指す製品を「戦略製品」と位置付け、開発・生産・販売を進めてまいりました。しかしながら、前中期計画では充分な売上実績をあげることができず、これらの開発や生産に要した投資も、多くが回収に至りませんでした。このような結果を反省し、平成28年度から開始した第11次中期経営計画では製品技術マーケティングの強化により、「戦略製品」の成長への道筋を明確化させると共に、市場への「目利き」感度を高め、投資判断をタイムリーに進めてまいります。
なお、中期経営計画初年度となる平成28年度は、成長への道筋作りの一例として車載関連製品の開発が進展し、新工場建設に向けた準備も開始いたしました。
② 健全な経営体質を作る
原材料価格や為替の変動、海外の給与水準の上昇、グローバル競争の激化や客先からのコストダウン要求など、様々な要因で製品コストは日々変化しております。販売会社における最終客先への販売価格と、製造会社や流通拠点における各種費用を、品目別に連結で算出した利益を当社では「つなぎ利益」と呼んでおります。前中期計画では「つなぎ利益」の監視により、不採算品目の削減に取り組みましたが、今後は品目別利益分析を高利益品の管理にも広げて、更なる収益性の向上を目指してまいります。
平成28年度は急激な為替の変動など経営環境は予断を許さない状況が続きましたが、このような取り組みを進めることで、影響を極小化するのみならず、電子部品関連事業を中心に収益性が顕著に改善し、当社グループとして過去最高の営業利益を更新しております。
③ 最適なグローバル体制を作る
当社グループが今後も健全に成長していくためには、従来からの日本中心・日系企業中心の取引だけでは難しく、第11次中期経営計画では非日系顧客への売上比率を30%以上へ拡大することを目指しております。それを実現するために、まず第1に、現地のナショナルスタッフが現地の顧客に対して、地域に根差した製品開発から承認取得までをスピーディに展開する「地開(開発)地承(承認)」の取り組みを推進してまいります。第2に、グループ各拠点の業務の見直しを行い、グローバルで最適な役割配置を進めます。海外に関する業務は現地完結型に移行し、コストの高い日本は付加価値の高い業務に集中いたします。また、役目を終えた拠点や業務は整理統合を進め、グローバルで戦えるコスト競争力と収益性を確保してまいります。第3に、これらの活動の主役は現地の人材にあるとして、ナショナルスタッフの育成・登用をグループ全体で推進してまいります。
なお、平成28年度の非日系顧客への売上比率は29%となりました。電流センサをはじめとして非日系顧客に向けて堅調に推移した製品もありましたが、多くは日系中心の顧客構成を継続しております。グローバル最適配置として、アダプタ関連の生産を人件費上昇傾向にある中国からバングラデシュへ移管、為替対策等も踏まえた電子化学材料の海外生産拡充などを、中期計画第2年度以降の課題として本格的に進めてまいります。
(6)株式会社の支配に関する基本方針について
① 基本的な当社の考え方
当社は、証券取引所に上場する株式会社として、当社株式の売買は市場に委ねるものと考えており、会社を支配する者の在り方は、最終的には当社株式を保有する株主の皆様のご判断によるものと考えております。しかしながら、株式の大規模買付行為の中には、その目的等からみて当社が維持・向上させてまいりました当社の企業価値及び株主共同の利益を毀損するものや、株主の皆様に当社株式の売却を強要するおそれのあるものなどもあります。このような買付行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者としては適切ではないと考えており、このような不適切な買付行為が行われる場合には、それに対して相当の対抗措置を発動することも必要であると考えており、また、このような不適切な買付行為が行われる場合に備え、事前情報に関する一定のルールを設定する必要があると考えております。
② 基本方針実現に資する特別な取り組みの概要
優秀な製品を通して社会に貢献すること。当社が掲げる理念は、大正13年の創業から、よりグローバルなフィールドで事業展開している今日まで変わることはありません。その一貫した理念のもと、当社は「オンリーワン・カンパニーの実現」をコーポレートスローガンに掲げ、「ミッション・ビジョン・ガイドライン」より構成される「タムラ・グループミッション・ステートメント」を制定しております。
また、当社は、この経営理念に基づき、中期経営計画を策定し、コーポレート・ガバナンスを充実強化することにより、企業価値の向上に向けて取り組みを進めております。
③ 基本方針に照らして不適切なものに支配されることを防止するための取り組み
当社は、当社の発行済株式総数の20%を超えるような株式の買付又は公開買付行為に関するルールを平成18年6月に「大規模買付行為への対応方針(買収防衛策)」として定めており、平成26年6月26日及び平成29年6月28日開催の各定時株主総会にて、それぞれ内容を一部改定の上更新のご承認をいただいております(平成29年6月28日開催の定時株主総会でご承認いただいた対応方針を、以下「本対応方針」といいます。)。
本対応方針の概要は次のとおりであります。
1)事前に買付者等が当社取締役会に対して必要かつ十分な情報を提供すること
2)当社取締役会により当該大規模買付行為の一定の評価を行い、また代替案を提示するために必要な期間が経過した後、又は対抗措置の発動の是非について株主の皆様の意思を確認する総会(以下「株主意思確認総会」といいます。)の開催が必要と判断される場合には株主意思確認総会の決議に基づき当社取締役会が対抗措置の発動若しくは不発動の決議をした後にのみ大規模買付行為を開始すること
3)当社取締役会は、当該大規模買付行為を評価・検討し、当社取締役会としての見解を開示すること
4)当該大規模買付行為に対する対抗措置の発動等に関する当社取締役会の判断について、その判断の客観性、合理性及び公正性を担保するため、当社取締役会から独立した組織である特別委員会を設置すること
5)特別委員会は、対抗措置の発動の是非や株主意思確認総会の開催の要否等について、特別委員会としての判断を下し、当社取締役会に勧告・助言(以下「勧告等」といいます。)を行うこと
6)当社取締役会は、対抗措置の発動の是非等に関しては、特別委員会の勧告等を最大限尊重しつつ、最終的な決定を行うこと
なお、詳細は当社ホームページ(http://www.tamura-ss.co.jp)をご参照願います。
④ 本対応方針が会社支配に関する基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでないことについて
1)買収防衛策に関する指針の要件を充足していること
本対応方針は、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則を充足しています。
また、経済産業省に設置された企業価値研究会が平成20年6月30日に発表した報告書「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」及び東京証券取引所が平成27年6月1日に公表した「コーポレートガバナンス・コード」の「原則1-5.いわゆる買収防衛策」の内容も踏まえたものとなっております。
2)株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されていること
本対応方針は、当社株式に対する買付等がなされた際に、当該買付等に応じるべきか否かを株主の皆様が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や時間を確保し、株主の皆様のために特定株式保有者等と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させるという目的をもって導入されるものです。
3)合理的な客観的発動要件の設定
本対応方針は、あらかじめ定められた合理的な客観的要件が充足されなければ発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みが確保されています。
4)独立性の高い社外者の判断の重視と情報開示
本対応方針における対抗措置の発動等に際しては、当社取締役会から独立した組織である特別委員会へ諮問し、同委員会の勧告等を最大限尊重するものとされています。
また、その判断の概要については、株主の皆様に情報開示をすることとされており、当社の企業価値・株主共同の利益に適うように本対応方針の透明な運用が行われる仕組みが確保されています。
5)株主意思を重視するものであること
本対応方針は、有効期限を明確に定めており、その導入・継続の可否について株主の皆様のご意向が反映されたものとなっております。また、特別委員会が大規模買付行為に対する対抗措置を発動する条件として株主意思確認総会を開催することが相当であると勧告する場合があり、取締役会は特別委員会の勧告を最大限尊重することとなっておりますので、対抗措置の発動の是非等について株主の皆様のご意向を直接確認する仕組みを採用しております。
6)デッドハンド型やスローハンド型の買収防衛策ではないこと
本対応方針は、当社株主総会の決議又は当社取締役会の決議で廃止することができるため、いわゆるデッドハンド型の買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交代させてもなお発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。また、当社は取締役会の構成員につき期差任期制を採用していないため、スローハンド型(取締役会の構成員の交代を一度に行うことができないため、発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。
当社グループの経営成績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存です。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。
(1)国際的活動及び海外進出に潜在するリスク
当社グループの生産活動の多くは中国・アセアン地域に進出しており、販売活動はほぼ全世界的に行っております。これらの海外市場への事業進出には以下のようないくつかのリスクが潜在しております。
① テロ、戦争、暴動等の要因による社会的混乱
② 予期しない法律又は規制の変更
③ 政治的、地政学的な要因による不利益
④ 人材の採用と確保の難しさ
当社グループは競争力のある製品の製造とコスト削減のため中国に生産拠点を拡大しております。しかし、中国における政治又は法環境の変化、労働力の不足、経済状況の変化、反日デモの再発など予期せぬ事象により生産活動の遂行に問題が生じる可能性があります。
また、当社グループが事業拠点を置く国又は地域で新型インフルエンザ等が蔓延したような場合、状況によっては、工場操業停止による生産ストップ、あるいは従業員の出勤抑制、部品調達や工場操業が困難になるなどの問題が発生する可能性があります。
(2)為替リスク
当社グループは、全世界的に事業展開をしており、外貨建取引から生じる資産及び負債の日本円換算額に影響を与える可能性があります。また、為替動向は外貨建で取引されている製品価格及び受注獲得にも影響を与える可能性があります。さらに海外子会社の財務諸表を円換算する際にも影響を与える可能性があります。当社グループは外国為替リスクを軽減し、またこれを回避するために様々な手段を講じておりますが、急激な円高局面では為替相場の変動によって当社グループの事業、業績及び財務状況が悪影響を受ける可能性があります。
(3)価格競争
特に電子部品関連事業においては、競合他社の生産が賃金の安い中国・アセアン地域に移転すると共に、地場メーカーとの価格競争により販売単価の低下が進んでおり、コスト面の対応が必要な状況となっております。価格競争は激化しつつあり、今後一層の価格低下が進むものと予想されます。当社は拡大する市場の中でシェアを確保していくため、コストの削減を進め、価格低下に対応していく方針ですが、今後の業績に影響を与える可能性があります。
(4)原材料価格の高騰
当社グループの製品は、素材価格の相場変動により原価内容に大きな影響を受けます。電子部品関連事業において主力のトランス(変成器)の原材料のほとんどを銅・鉄・原油精製品(プラスチック類)といった素材が占めており、電子化学実装関連事業においては石油化学素材・金属素材・鋼材を原材料として多く使用しております。これら素材価格の世界的な需給バランスの変動あるいは投機的な相場変動による価格高騰局面では、そのリスクを軽減又は回避するための手段を講じておりますが、原価が上昇する可能性があります。反面、顧客への価格転嫁は、競合他社との価格競争が激化し販売単価の値下げ要求が厳しい中では容易ではなく、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)在庫リスク
当社グループのうち、特に電子部品関連事業では、顧客仕様による受注販売が中心であり、かつ、短納期であることから顧客からの正式受注によらず、顧客から提示される需要見通し(フォアキャスト)並びに市場動向を勘案した当社判断に基づく見込み受注による材料手配・生産計画による生産を行う場合があります。見込み受注に狂いが生じた場合は、これに伴う損失の補償を顧客に転嫁させることは出来ず、当社グループが在庫リスクを負うことになり、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)顧客に対する信用リスク
当社グループは、顧客に対するほとんどの取引を代金後払いで販売しております。多額の売掛金を有する顧客が、財務上の問題に直面した場合、当社グループの業績及び財務状況は悪影響を受ける可能性があります。
(7)製品補償
当社グループは、顧客に認められる品質管理基準により各種製品の品質には万全を期して製造しておりますが、全ての製品に欠陥が皆無という保証はなく、当社の設計・生産・品質管理等に起因する損害賠償につき、製品補償を求償される可能性があります。また、製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険で最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。大規模な製品補償や製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額なコストや当社の評価に重大な影響を与え、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)知的財産権に関するリスク
当社グループは、独自に開発した設計・製造過程に関する技術及び製品等の特許権その他の知的財産権を所有し、現在もさらなる研究開発活動を進めております。一般的に、特許権取得の手続きは時間と多額の費用がかかり、現在及び将来出願する特許のすべてが登録されるとは限りません。また当社グループの特許が淘汰される可能性は常に存在しております。仮に当社グループの研究開発を超える優れた開発が第三者によりなされた場合には、当社グループの事業戦略や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないよう留意し、調査を行っておりますが、全ての知的財産権を完全に調査完了することは時間・コスト・技術的観点より困難であり、また特許権利者が自己の知的財産権をどのように解釈し、どの範囲まで権利行使手続きを行うかを予想することは極めて困難であります。従いまして、万一、当社グループの製品が第三者の知的財産権に近似する場合には、当該第三者より損害賠償請求、使用差し止め等の訴えを起こされる可能性、並びに当該知的財産権に関する対価の支払等が発生する可能性があります。このような場合、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9)格付け低下のリスク
当社は格付機関により格付けを取得しておりますが、格付機関が当社の格付けを引き下げた場合、当社グループの今後の資金調達金利に悪影響を及ぼすことがあり得ます。
(10)退職給付債務
当社グループは、日本の会計基準に従い、退職給付債務を計上しておりますが、退職給付制度及び退職給付債務等の計算の基礎に関する事項(割引率、長期期待運用収益率等)について再検討する必要が生じる可能性並びに年金資産の運用環境の悪化等から、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11)自然災害や事故等のリスク
当社グループは、日本及び世界各地に製造拠点等の設備を有しており、大規模な地震、水害等の自然災害や火災等の事故が発生した場合には、設備の損壊、電力・ガス等の供給停止による事業所の機能停止、サプライチェーンの混乱による部材調達難等により、当社グループの経営成績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、平成28年10月27日開催の取締役会において、内橋エステック株式会社(以下、「内橋エステック」といいます。)に対して、当社の電子部品関連事業のうち、サーマル事業(温度ヒューズ・温度ヒューズ付抵抗器の製造・販売)及び当社連結子会社(孫会社)であり同事業の製造会社である安全電具(恵州)有限公司の持分を譲渡することについて決議を行い、同日付で事業譲渡契約及び持分譲渡契約を締結しました(当初譲渡予定日 平成29年3月31日)。
その後、事業譲渡及び持分譲渡の実行に向けて準備を重ねて参りましたが、譲渡の準備作業にいましばらく時間を要することとなりましたので、譲渡予定日を両社合意の上で延期することといたしました(延期後譲渡予定日 平成30年9月30日)。
当社は、引き続き、内橋エステックとの間で事業譲渡及び持分譲渡の実行に向けて協議を継続し、鋭意準備作業を進めてまいります。
詳細は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
当社グループは、「オンリーワン・カンパニーの実現」を経営スローガンに、タムラならではの「オンリーワン技術」で市場ニーズに応える製品づくりを目指して、研究開発活動を推進しております。
当連結会計年度における研究開発活動は、車載・IoT・エネルギー関連など、成長市場で期待される技術開発を中心に積極的に進めました。
当連結会計年度における各セグメント別の研究開発活動は、次のとおりであります。
なお、研究開発費については、各セグメントに配分できない未来開発研究費用4億1千6百万円が含まれており、当連結会計年度の研究開発費の総額は12億9百万円となっております。
① 電子部品関連事業
電子部品関連事業では、車載関連・エネルギー関連など、未来に繋がる分野を見極めると共に、グローバルに事業展開を進めているタムラグループならではの、地域に根差して製品開発から客先承認取得までをスピーディーに展開する「地開(開発)地承(承認)」の取り組みを強化しております。
主な研究開発内容と開発成果は次のとおりであります。
・フラックスゲート回路方式を採用し、超高精度、極小温度ドリフト、従来方式では難しかった交流重畳の微少直流電流も測定可能となった電流センサ「F23シリーズ」を開発いたしました。また、パワーインバータに適した大電流に対応する「L34シリーズ」(オープンループ型)「S30シリーズ」「S42シリーズ」(クローズループ型)、更には車載環境に適応した電流センサ「VF03P」などのラインナップを揃えました。
・リアクタの巻き線部分をパイプ状の管のように加工し、その中に水を通しながら冷やす直冷式を採用することで、お客様の仕様にあわせたリアクタの小型化を可能とした、直流送電用の水冷式可飽和リアクタの開発を推進しております。
研究開発費用は、7千2百万円であります。
② 電子化学実装関連事業
電子化学実装関連事業では、車載市場・IoT市場を中期成長戦略に掲げ、電子化学材料から実装装置まで、エレクトロニクス実装における幅広い分野においてコア技術開発・製品開発を推進しております。
主な研究開発内容と開発成果は次のとおりであります。
・ハイブリッド自動車・電気自動車などにおける大電流化や、電子制御ユニットのエンジン直載化などにより生じる、高温や冷熱サイクルが激しい状況においても信頼性の高い車載用高耐熱ソルダーペースト「TLF-286シリーズ」を開発いたしました。電子化学事業のオリジンである独自のフラックス技術と新規開発した耐久性をもたせた合金を組み合わせることにより、従来のSAC305製品と比較して冷熱サイクル後のクラック率や合金層の成長を抑制することが可能となりました。
・過酷環境下において、信頼性が要求される車載機器基板向けに、卓越した耐クラック性、耐熱性、耐湿性及び絶縁信頼性を実現した、高信頼性ソルダーレジスト「DSR-2200-ACRシリーズ」を開発いたしました。
・異方性導電膜(ACF)や異方性導電ペースト(ACP)、コネクターの代替品として、フレキシブル基板とリジッド基板や、フレキシブル基板とフレキシブル基板の接合において、対向電極間の導電性と隣接電極間の絶縁性を可能にした導電性接合材「SAM32シリーズ」の狭スペース対応製品「SAM32-401F-13」、「SAM32-401SF-13」を開発いたしました。
研究開発費用は、3億7千3百万円であります。
③ 情報機器関連事業
情報機器関連事業では、多様化する情報サービスのニーズに対応した開発を推進いたしました。
主な研究開発内容と開発成果は次のとおりであります。
・16本の物理フェーダーを持ち標準実装の16アナログ入出力、2AES入出力と拡張スロットによる入出力の追加機能を備えたポータブルミキサー「NT110」を開発いたしました。「NT110」の投入により、フラッグシップモデルの大型デジタルミキサー「NT880」、中規模スタジオ向け「NT660」とあわせて、大型からコンパクトサイズまでトータルにラインナップを揃え、多様化するお客様のニーズに応える製品ラインナップを揃えました。
・ワイヤレスマイクでは難しかった防滴性能IPX4を追加し、従来品よりも堅牢、高耐久性を実現しつつ従来品と同等の音声を保持した駅用ワイヤレスマイク「WTH-326Xシリーズ」の新製品、乗務員用マイク「WTH-3262」と構内駅員用マイク「WTH-3260」を開発いたしました。
研究開発費用は、3億4千7百万円であります。
④ 未来開発関連事業
・次世代パワーデバイス材料として有望な酸化ガリウムエピウエハの開発を推進しております。
・超高輝度・ハイパワー白色光源に適したYAG単結晶蛍光体の開発を推進しております。
研究開発費用は、4億1千6百万円であります。
(1) 財政状態
当連結会計年度末(以下「当期末」という)の総資産は、前連結会計年度末(以下「前期末」という)比で4億3千5百万円減少(前期末比0.6%減)し、763億5千3百万円となりました。内訳としては、流動資産は前期末比10億1千2百万円増加(同2.0%増)の526億5千9百万円、固定資産は同比14億4千7百万円減少(同5.8%減)の236億9千3百万円となりました。
流動資産増加の主な要因は、現金及び預金が43億3千万円増加したことなどによります。
固定資産については、連結子会社の土地及び建物の譲渡、建て替えが決定した建物の減損処理などにより有形固定資産が前期末比20億4千8百万円減少(前期末比10.8%減)しました。また、無形固定資産が同比3億3千6百万円減少(同28.2%減)、投資その他の資産が同比9億3千7百万円増加(同19.0%増)しました。
当期末の負債の合計は、前期末比で25億7千5百万円減少(前期末比6.4%減)し、377億6千4百万円となりました。内訳としては、流動負債は同比28億3千万円減少(同10.9%減)の231億8千6百万円、固定負債は同比2億5千5百万円増加(同1.8%増)の145億7千7百万円となりました。
有利子負債合計(短期借入金・1年内返済予定の長期借入金・短期リース債務・長期借入金及び長期リース債務の合計額)は172億4千7百万円となり、当社及び海外子会社における借入金の返済により、前期末比で33億6千3百万円減少しました。
当期末の純資産は、前期末比で21億3千9百万円増加(前期末比5.9%増)し、385億8千8百万円となりました。これは過去最高益の計上により利益剰余金が30億9千7百万円増加したことなどによります。この結果、自己資本比率は50.28%となりました。また、1株当たり純資産額は468.04円(前期末1株当たり純資産額は442.05円)となりました。
(当連結会計年度における自己資本比率及び1株当たり純資産は、純資産より新株予約権・非支配株主持分を控除して計算した比率を用いております。)
(2) 経営成績
当連結会計年度の売上高は796億7百万円(前期比5.9%減)、営業利益は51億1千7百万円(同19.9%増)となりました。
営業利益段階のセグメント別の売上及び営業損益の概要に関しては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載しているとおりであります。
営業外収益より営業外費用を差し引いた純額は2千6百万円の費用計上となりました。
以上の結果、経常利益は50億9千1百万円(同29.6%増)となりました。
特別利益は6億6千5百万円となり、その主な要因は固定資産売却益の計上によるものであります。
特別損失は9億7千万円となり、その主な要因は建て替えが決定した建物等の減損損失の計上によるものであります。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は47億8千5百万円(同34.5%増)となりました。
税金費用として10億5千5百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は37億2千7百万円(同109.1%増)となりました。
これにより1株当たり当期純利益は45.44円(前期21.75円)、ROA(総資産純利益率)は4.87%(前期2.27%)、ROE(自己資本利益率)は9.99%(前期4.81%)となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物につきましては、前連結会計年度末に比べ42億5千2百万円増加し、192億7千万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因に関しては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要」に記載しているとおりであります。