第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(平成31年1月31日内閣府令第3号)による改正後の「企業内容等の開示に関する内閣府令」第二号様式記載上の注意(54)cの規定を当事業年度に係る有価証券報告書から適用しております。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社グループは、コーポレートスローガンを「オンリーワン・カンパニーの実現を目指す」と掲げ、経営の基本方針を「タムラグループミッション」に定めております。

MISSION

私たちは、タムラグループの成長を支えるすべての人々の幸せを育むため、世界のエレクトロニクス市場に高く評価される独自の製品・サービスをスピーディに提供してまいります。

VISION

タムラグループは、世界的視野にたち、エレクトロニクス産業が求める事業を経営基盤とします。

② タムラグループは、市場本位をつらぬき、世界のお客様が求める技術を事業基盤とします。

③ タムラグループは、公正な視点で社員を評価し、努力によって成果をもたらす人を最も賞賛します。

④ タムラグループは、国際社会の一員として行動し、各国の法規制を順守し文化・慣習を尊重します。

⑤ タムラグループは、地球環境の保全に努め、資源の有効化と再資源化を推進します。

(2)経営戦略等

当社グループは長期ビジョンとして創業100周年(2024年)とその先に続く持続的な成長を見据えながら、2021年度をターゲットとする第12次中期経営計画“Biltrite Tamura GROWING ANEW”を、2019年4月、新たな経営体制でスタートしました。

100周年で目指す姿の実現

本中期経営計画は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」達成に向けた活動を基軸とし、当社が株主、取引先、従業員、地域社会など、全てのステークホルダーに必要とされる存在として、世の中の期待に応えながら、健全に成長していくことを目指します。

Oneタムラ戦略

当社は各事業分野で、卓越した製品・技術を有しています。今後大きな成長が期待される「車載」・「パワーエレクトロニクス」・「IoT次世代通信」の各市場に向けて、ベストプラクティスを共有し、グループ総合力で取り組んでまいります。

③ 投資戦略・地域戦略

当社は将来の成長が期待される自動車市場や、成長エリアに向けた設備投資を強化しております。新たな拠点に対して、タムラグループ一員としての生産・開発・販売体制の整備を迅速に進め、投資効果の最大限の発揮を目指します。

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

第12次中期経営計画“Biltrite Tamura GROWING ANEW”で目標とする経営指標は以下のとおりです。

収益性の向上を第一の目標として、2021年度の連結営業利益率は8%以上、100周年は10%以上を目指します。

② 資本効率に関する目標として、2021年度のROEは9%以上、100周年は10%を目指します。株主資本を充実し経営基盤の安定化を推進しつつ、資本効率を高めてまいります。

(4)経営環境

世界経済は米中貿易摩擦を背景とした中国経済の減速をはじめ、世界各国の景気が不透明な状況が継続しております。また、当社グループに関わるエレクトロニクス業界では、スマートフォン市場の減速や、産業機械の需要低迷が続いております。こうした動きは当社の業績にも影響を与えますが、一方で将来の拡大が期待される車載関連や、中国生産を補完する東南アジアや中南米の設備投資は拡大基調にあります。顧客のニーズをタイムリーにとらえ、成長市場を見極めることで、厳しい経営環境においても健全な成長を実現できるよう当社グループ一体でグローバルに取り組みを進めてまいります

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題

タムラ製作所は、2024年に創業100周年を迎えます。当社の100周年とその先の持続的な成長を見据えて、2019年4月、新たな経営体制で第12次中期経営計画“Biltrite Tamura GROWING ANEW”を始動いたしました。本中期経営計画は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」達成に向けた活動を基軸として、優秀な製品を通して社会に貢献し、健全に成長していくことを目指しております。そのなかで、当社が対処すべき課題は以下のとおりです。

グループ総合力で成長市場に取り組む

当社は、90年を超える社歴を通じて、電子部品・電子化学実装・情報機器という幅広い事業を産み出し、常に時代のニーズを読み取りながら各分野でオリジナリティあふれる製品を世の中に提供してまいりました。現在、自動車における「CASE(Connected, Autonomous, Shared & Services, Electric)」というキーワードが100年に一度といわれる産業界の変化をもたらし、次世代通信の進化は人びとの暮らしを一変させるといわれています。

そうした中で、当社は「車載」・「パワーエレクトロニクス」・「IoT次世代通信」という3つの成長市場に注目し、当社の100周年とその先において、グループ一体で「魅力ある製品・感動を与える製品」を提供し、サステナブルで豊かな社会の実現に貢献する企業グループとなることを目指します。この「ありたい姿」の実現に向けて、本中期経営計画では社内の各事業でそれぞれに蓄積してきたベストプラクティスを共有し、成長市場にグループ総合力で取り組む体制の構築を進めてまいります。

また足元では、将来の成長が期待される自動車市場に向けて宮城県に車載用リアクトルの新工場設置、車載関連企業が集積するドイツにおけるはんだメーカーの買収、成長著しいアセアンエリアに新たな自社生産拠点としてタイにソルダーペースト新工場を建設するなどの、先に向けた積極的な投資活動を進めております。こうした新たな拠点に対して、タムラグループの一員としての生産・開発・販売体制の整備を迅速に進めるとともに、投資効果が最大に発揮できるように回収管理を徹底することも課題として認識し、取り組みを進めてまいります。

② グローバル展開とダイバーシティ推進

事業のグローバル展開、日本の少子高齢化、「働き方改革関連法」施行などが進み、従来の仕事のやり方は通用しなくなってきています。顧客も競合もグローバル化する中、現地のスタッフが現地の顧客に対して、地域に根差した製品開発から承認取得までを展開する「地開(開発)地承(承認)」体制の一層の強化、各エリア戦略と連動した業務のグローバル最適配置、そしてこれらの活動の主役は人材にあるとして、ナショナルスタッフ(現地人材)の育成・登用をグループ全体で推進してまいります。

また、当社グループはこれまで世界の9割以上の拠点に共通のITシステムを導入し、製販一体の連結原価管理を進めておりますが、その発展形として、多様な働き方に対応するITシステムを構築し、従業員のワークライフバランスと企業活動を共に発展させる取り組みを進めてまいります。具体的には、モバイルアクセス・データ共有システムなどのICTインフラ整備により、勤務場所・勤務時間の自由度を高め、グローバルに活躍する社員のみならず、育児・介護に関わる社員や定年再雇用者などにも、その能力を最大限に発揮できる環境を構築いたします。また、こうした取り組みにより、当社グループが「人が憧れる会社・人が集まる会社」となることを、100周年に向けて目指してまいります。

コーポレートガバナンスと業務の適正を確保するための体制の強化

2019年4月より、当社は新たな代表取締役会長・代表取締役社長による経営体制を開始いたしました。これにより、会長は会社の経営全般総攬、社長は会社の経営全般執行にそれぞれ責任を持つことで、決定プロセスの客観性及び透明性を確保します。また、取締役会における女性1名を含む社外取締役3名の選任、取締役会の諮問機関として「指名・報酬諮問委員会」の設置など、経営ガバナンス体制の整備を進めております。これらを次世代経営層の育成とともに維持・強化してまいります。

また、グローバルに事業を展開し国内外に多数のグループ会社を有する当社では、グループ会社の正しい経営が当社グループの成長のために必要不可欠です。前中期経営計画期間に発生した海外工場における品質問題のように、大きな利益流出をもたらす過ちを二度と繰り返さないための取り組みが極めて重要と認識しております。そのためにも、当社及びグループ会社で構築している内部統制体系を、新たな経営体制のもとで一層強化し、健全な経営をグローバルに実現させてまいります。

2【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存です。

なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。

(1)国際的活動及び海外進出に潜在するリスク

当社グループの生産活動の多くは中国・アセアン地域に進出しており、販売活動はほぼ全世界的に行っております。これらの海外市場への事業進出には以下のようないくつかのリスクが潜在しております。

① テロ、戦争、暴動等の要因による社会的混乱

② 予期しない法律又は規制の変更

③ 政治的、地政学的な要因による不利益

④ 人材の採用と確保の難しさ

当社グループは競争力のある製品の製造とコスト削減のため中国に大型の生産拠点を設置しております。しかし、米中貿易摩擦等による貿易規制、政治又は法環境の変化、労働力の不足、経済状況の変化等予期せぬ事象により生産活動の遂行に問題が生じる可能性があります。

また、当社グループが事業拠点を置く国又は地域では、テロや新型インフルエンザの蔓延等により、状況によっては、工場操業停止による生産ストップ、あるいは従業員の出勤抑制、部品調達や工場操業が困難になる等の問題が発生する可能性があります。

(2)為替リスク

当社グループは、全世界的に事業展開をしており、外貨建取引から生じる資産及び負債の日本円換算額に影響を与える可能性があります。また、為替動向は外貨建で取引されている製品価格及び受注獲得にも影響を与える可能性があります。さらに海外子会社の財務諸表を円換算する際にも影響を与える可能性があります。当社グループは外国為替リスクを軽減し、またこれを回避するために様々な手段を講じておりますが、急激な円高局面では為替相場の変動によって当社グループの事業、業績及び財務状況が悪影響を受ける可能性があります。

(3)価格競争

特に電子部品関連事業においては、競合他社の生産が賃金の安い中国・アセアン地域に移転するとともに、地場メーカーとの価格競争により販売単価の低下が進んでおり、コスト面の対応が必要な状況となっております。価格競争は激化しつつあり、今後一層の価格低下が進むものと予想されます。当社は拡大する市場の中でシェアを確保していくため、コストの削減を進め、価格低下に対応していく方針ですが、今後の業績に影響を与える可能性があります。

(4)原材料価格の高騰

当社グループの製品は、素材価格の相場変動により原価内容に大きな影響を受けます。電子部品関連事業において主力のトランス(変成器)の原材料のほとんどを銅・鉄・原油精製品(プラスチック類)といった素材が占めており、電子化学実装関連事業においては石油化学素材・金属素材・鋼材を原材料として多く使用しております。これら素材価格の世界的な需給バランスの変動あるいは投機的な相場変動による価格高騰局面では、そのリスクを軽減又は回避するための手段を講じておりますが、原価が上昇する可能性があります。反面、顧客への価格転嫁は、競合他社との価格競争が激化し販売単価の値下げ要求が厳しい中では容易ではなく、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(5)在庫リスク

当社グループのうち、特に電子部品関連事業では、顧客仕様による受注販売が中心であり、かつ、短納期であることから顧客からの正式受注によらず、顧客から提示される需要見通し並びに市場動向を勘案した当社判断に基づく見込み受注による材料手配・生産計画による生産を行う場合があります。見込み受注に狂いが生じた場合は、これに伴う損失の補償を顧客に転嫁させることは出来ず、当社グループが在庫リスクを負うことになり、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります

(6)顧客に対する信用リスク

当社グループは、顧客に対するほとんどの取引を代金後払いで販売しております。多額の売掛金を有する顧客が、財務上の問題に直面した場合、当社グループの業績及び財務状況は悪影響を受ける可能性があります。

(7)製品補償

当社グループは、顧客に認められる品質管理基準により各種製品の品質には万全を期して製造しておりますが、全ての製品に欠陥が皆無という保証はなく、当社の設計・生産・品質管理等に起因する損害賠償につき、製品補償を求償される可能性があります。また、製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険で最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。大規模な製品補償や製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額なコストや当社の評価に重大な影響を与え、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)知的財産権に関するリスク

当社グループは、独自に開発した設計・製造過程に関する技術及び製品等の特許権その他の知的財産権を所有し、現在もさらなる研究開発活動を進めております。一般的に、特許権取得の手続きは時間と多額の費用がかかり、現在及び将来出願する特許のすべてが登録されるとは限りません。また当社グループの特許が淘汰される可能性は常に存在しております。仮に当社グループの研究開発を超える優れた開発が第三者によりなされた場合には、当社グループの事業戦略や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないよう留意し、調査を行っておりますが、全ての知的財産権を完全に調査完了することは時間・コスト・技術的観点より困難であり、また特許権利者が自己の知的財産権をどのように解釈し、どの範囲まで権利行使手続きを行うかを予想することは極めて困難であります。従いまして、万一、当社グループの製品が第三者の知的財産権に近似する場合には、当該第三者より損害賠償請求、使用差し止め等の訴えを起こされる可能性、並びに当該知的財産権に関する対価の支払等が発生する可能性があります。このような場合、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。

(9)格付け低下のリスク

当社は格付機関により格付けを取得しておりますが、格付機関が当社の格付けを引き下げた場合、当社グループの今後の資金調達金利に悪影響を及ぼすことがあり得ます。

(10)退職給付債務

当社グループは、日本の会計基準に従い、退職給付債務を計上しておりますが、退職給付制度及び退職給付債務等の計算の基礎に関する事項(割引率、長期期待運用収益率等)について再検討する必要が生じる可能性並びに年金資産の運用環境の悪化等から、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(11)自然災害や事故等のリスク

当社グループは、日本及び世界各地に製造拠点等の設備を有しており、大規模な地震、水害等の自然災害や火災等の事故が発生した場合には、設備の損壊、電力・ガス等の供給停止による事業所の機能停止、サプライチェーンの混乱による部材調達難等により、当社グループの経営成績や事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

1) 財政状態

「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」等を遡って適用した結果、前連結会計年度末の総資産額及び負債の合計は、それぞれ6億6千9百万円減少しております。

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ39億7千6百万円増加(前期末比4.8%増)し、860億7千3百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加などにより流動資産が14億4千5百万円増加、また固定資産が25億3千1百万円増加したことによります。なお、固定資産のうち有形固定資産は、当社坂戸事業所の建て替え及び国内外子会社工場の建設などにより23億1千3百万円増加しております。

当連結会計年度末の負債の合計は、前連結会計年度末に比べ1億8千2百万円減少し、389億1千8百万円となりました。これは主に、有利子負債が増加した一方、支払手形及び買掛金や未払税金の減少、建て替え工事費用の支払いにより未払金が減少したことなどによります。

有利子負債合計(短期借入金・1年内返済予定の長期借入金・短期リース債務・長期借入金及び長期リース債務の合計額)は178億8千万円となり、工場建設資金の追加発生に伴うつなぎ資金としての借り入れなどにより、前期末比で22億6百万円増加しました。

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ41億5千9百万円増加(前期末比9.7%増)し、471億5千5百万円となりました。これは利益剰余金が55億7千7百万円増加したことなどによります。この結果、自己資本比率は54.33%となりました。また、1株当たり純資産額は570.00円(前期末1株当たり純資産額は519.59円)となりました。

(当連結会計年度における自己資本比率及び1株当たり純資産は、純資産より新株予約権・非支配株主持分を控除して計算した比率を用いております。)

2) 経営成績

当連結会計年度(2018年4月1日~2019年3月31日)における世界経済は、秋口以降より米中貿易摩擦を背景と
した中国経済の減速がグローバルに影響を及ぼし、先行き不透明な状況が継続いたしました。また、当社グループ
に関わるエレクトロニクス業界では、期の後半においてスマートフォン市場が急速に減速し、産業機械関連の需要
も低迷が続いております。

このような経営環境のもと、当社グループでは本年を最終年度とする「第11次中期経営計画Biltrite Tamura GROWING」で目指す、収益性の向上を第一とした豊かな成長の実現に向け、ITシステムを活用した個別原価管理の徹底、グローバルな生産・販売・開発体制の一層の強化と効率化、製品・市場の見極めによる投資開発効率の向上などに取り組んでまいりましたが、当年度は第2四半期において、電源機器の不具合に伴う臨時的な修理費用を計上いたしました。

その結果、当社グループの当連結会計年度の状況といたしまして、売上高は870億8百万円(前期比1.7%増)と増収ながら、営業利益は46億円(同14.9%減)、経常利益は48億4千8百万円(同11.5%減)と減少いたしました。なお、第3四半期において損害賠償請求訴訟に基づく和解金を特別利益へ計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は63億9千7百万円(同76.2%増)と増益になり、2017年3月期を超える大幅な過去最高益更新となりました

セグメントの業績は、次のとおりであります。

なお、売上高はセグメント間の内部売上高を含めており、セグメント利益はセグメント間取引消去及び本社部門負担の未来開発研究費用控除前の営業利益と調整を行っております。

(電子部品関連事業)

電子部品関連事業は、中国市場向けを中心とした設備投資需要の鈍化を背景に、産業機械関連顧客からのトランス・リアクタ・電流センサなどの需要低迷が続くと共に、電動工具向けのチャージャも弱含みで推移いたしました。利益面では、期初に発生した部材調達難や銅などの素材価格上昇の問題は、期の後半に解消へ向かいましたが、電源機器の不具合に伴う修理費用の発生により利益が押し下げられました。

その結果、売上高は547億9千4百万円(前期比1.9%減)、セグメント利益は9億6千1百万円(同56.2%減)と、減収減益になりました。

(電子化学実装関連事業)

電子化学事業では、車載向けの高信頼性ソルダーペースト・ソルダーレジストが、自動車の電子化・電動化を背景に年間を通じて順調に推移いたしました。また実装装置事業では、炉内の汚れを大幅に低減し生産性の向上を実現した新型リフロー装置をリリースし、車載向けを中心に堅調な受注が続いております。一方、スマートフォン向けのソルダーレジストは例年より早めに立ち上がったものの、期の後半において急速に減速し、当初の期待を下回ると結果となりました。

その結果、売上高は281億6千4百万円(前期比10.7%増)、セグメント利益は35億7千1百万円(同10.1%増)と、増収増益になりました。

(情報機器関連事業)

情報機器関連事業は、4K・8K放送対応や国際的なスポーツイベントの開催、放送局の更新需要などに向け、音声調整卓(ミキサー)をはじめとする放送機器の納品が年度末を中心に行われました。また、通信事業者向けの監視装置も更新需要を取り込んで堅調に推移いたしました。一方で、ワイヤレスマイクロホンシステムやセキュリティ機器は、新製品の開発や拡販の遅延により、当初期待した売上・利益を確保するに至りませんでした。

その結果、売上高は42億2百万円(前期比0.7%減)、セグメント利益は4億8千1百万円(同1.8%減)と、減収減益になりました。

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)につきましては、主に営業活動の結果獲得した資金が増加したため、前連結会計年度末に比べ12億3千9百万円増加し、158億4千1百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は46億6千9百万円(前期比76.0%増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益が増加したことや、売上債権の増加額が縮小したことなどによります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は40億9千7百万円(前期比15.0%減)となりました。これは主にドイツ及びタイ子会社の取得などによる資金使用が増加した前連結会計年度に対し、当連結会計年度は台湾子会社の土地売却やサーマル事業の譲渡など資金獲得が増加し、その結果使用した資金は減少となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果獲得した資金は10億9千6百万円(前期は25億7千5百万円の使用)となりました。これは主に工場建設資金の追加発生に伴うつなぎ資金借り入れなどにより、借入金が減少から増加へ転じたことによります。

③ 生産、受注及び販売の実績

1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

電子部品関連事業

55,063

98.6

電子化学実装関連事業

27,855

110.7

情報機器関連事業

4,179

100.2

報告セグメント計

87,098

102.2

その他事業

合計

87,098

102.2

 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.金額は、販売価格によっております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2) 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

電子部品関連事業

53,240

88.8

22,711

93.6

電子化学実装関連事業

28,656

107.7

6,384

109.8

情報機器関連事業

3,678

79.7

901

67.0

報告セグメント計

85,575

93.8

29,997

95.5

その他事業

5

7.3

合計

85,580

93.8

29,997

95.5

 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

電子部品関連事業

54,794

98.1

電子化学実装関連事業

28,084

110.7

情報機器関連事業

4,123

97.6

報告セグメント計

87,002

101.8

その他事業

5

6.7

合計

87,008

101.7

 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

重要な会計方針及び見積もり

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。具体的には、当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)に基づいて作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、EY新日本有限責任監査法人による監査を受けております。

当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は870億8百万円と直前業績予想比1.1%増ながら、営業利益は46億と4.2%減となりました。この結果の背景には、産業機械関連やスマートフォン関連などの重要取引先の売上減少があります。当社グループの経営成績に影響を与える要因として、グローバルな市場環境の変化に加え、一部の事業・製品に利益が偏っていることにより、そこに影響が及ぶと利益面でより大きな変動が生じる可能性が示唆されています。製品・市場を見極め、グループ全体の収益性の向上を高めていく中期経営計画の取り組みを、今後もより強化してまいります。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、株主資本を充実し経営基盤の安定化を推進しつつ、資本効率を高めることを方針とし、当社グループの第12次中期経営計画では、資本効率に関する目標として、2021年度に連結ベースでROE9%以上の確保を目指しています。なお足元では、損害賠償請求訴訟に基づく和解金を特別利益に計上したことにより、ROEは14.3%と一時的に大幅に増加しています。収益性の向上を第一とする中期経営計画のもとで利益確保は進んでおり、この指針を踏まえつつ、将来の事業拡大に向けた投資計画を進めております。具体的には、ハイブリッド車・プラグインハイブリッド車・電気自動車などの将来に向けたグローバルな需要拡大を背景とした「昇圧リアクタ」の需要増加への対応を目的に、当社坂戸事業所及び当社の連結子会社である㈱若柳タムラ製作所の生産キャパシティを2020年稼働に向けて更に増強し、中国に車載用昇圧リアクタとしては初めてとなる新工場を2022年の稼働に向けて開設するべく準備を進めております。

 

なお、運転資金及び設備投資資金につきましては、自己資金及び金融機関からの借入により調達することを基本としておりますが、今後の資金需要と市場環境を見極めながらエクイティファイナンスも視野に入れて検討を進めてまいります。

経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について、当社グループの第11次中期経営計画で、最終年度となる2018年度の目標を「営業利益率7%以上、ROE9%以上、非日系売上比率30%以上」と掲げておりましたが、一時的な特別利益の計上によりROEが14.3%と達成した以外は、営業利益率5.3%、非日系売上比率29%と達成できませんでした。最終年度には市場環境の変化が影響したものの、2019年度に開始する第12次中期経営計画でも、引き続き収益性の向上の目標として「営業利益率」、資本効率に関する目標として「ROE」を引き続き採用し、2021年度に営業利益率8%、ROE9%以上の達成を目指してまいります。

 

第11次中期第1年度

2016年度実績

第11次中期第2年度

2017年度実績

第11次中期最終年度

2018年度実績

第11次中期最終年度

2018年度目標

営業利益率

6.4%

6.3%

5.3%

7%以上

ROE

10.0%

9.0%

14.3%

9%以上

非日系売上比率

29%

29%

29%

30%以上

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

(電子部品関連事業)

電子部品関連事業は、安定収益の確保を課題と捉え、狙った市場・製品への集中、個別原価管理の徹底、地域に根差し製品開発から承認取得をスピーディーに展開する「地開(開発)地承(承認)」の取り組み、などを進めてまいりました。中期計画第2年度までは利益計画は計画どおりに進んでおりましたが、最終年度で大きく未達成という結果になりました。減益要因としては市場環境の悪化に加え、海外工場における不具合対応の修理費用も大きく影響しております。大きな利益流出をもたらす過ちを二度と繰り返さないための取り組みをグローバルに進めていくことが極めて重要と認識しております。

一方、市場環境に関しては、車載関連に一層の需要の高まりが見られております。これに対応するべく、生産設備の構築と投資が必要ながら、利益の回収はそれに遅れていく形となるため、中長期を見据えた事業戦略・財務戦略の遂行が課題と認識しております。また、当事業セグメントの収益性については、もう一段の改善が必要と認識し、高付加価値製品の拡大や、生産効率の改善、開発効率の改善などの取り組みを進めてまいります。

(電子化学実装関連事業)

電子化学実装関連事業は、当社グループの中においては高い収益性でグループの利益を牽引しております。しかしながら、当事業は日本における生産・開発が多くを占めており、車載関連企業が集積する欧州エリアや、成長著しいアセアンエリアで「地産地消」・「地開(開発)地承(承認)」の体制をこれまで充分に構築できておりませんでした。こうした課題に対応するべく、2017年10月にドイツのはんだメーカーを買収し、同じく買収したタイの工場にソルダーペーストの新たな生産工場を建設し2019年4月に稼働が開始しました。これにより海外に関する業務は現地完結型に移行し、コストの高い日本は付加価値の高い業務に集中するという、事業のグローバル最適配置が形になってきています。今後は、新拠点を設置した欧州やアセアンエリアなどを通じて、非日系企業への拡販を強化してまいります。また、2018年度の後半より当事業の収益性が悪化している主要因はスマートフォン関連製品の減少によるものであり、スマートフォン依存から脱し、今後の成長が見込まれる車載やIoT次世代通信関連の製品開発・顧客開拓に力を入れることが必要と認識して、第12次中期経営計画の取り組みを進めてまいります。

(情報機器関連事業)

情報機器関連事業は、2018年12月の4K/8K本放送開始や、その先の国際的スポーツイベントに向けて、放送関連設備の旺盛な設備投資需要が今後も継続して期待されています。しかしながら、当事業の扱う製品は、売上が立つ前の開発に相応の期間と費用を要するものが多く、売上・利益が機材据え付けを行う9月度と3月度に集中するという傾向があります。市場のニーズを見極め、計画的かつ効率的に製品開発や販売活動を行うことで、財政状態及び経営成績の安定化を図ることを課題として認識し、取り組みを進めてまいります。また、中長期的には今後のこの事業を支える新製品開発が必要として、第12次中期経営計画を通して取り組みを進めています。

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

5【研究開発活動】

当社グループは、「オンリーワン・カンパニーの実現」を経営スローガンに、タムラならではの「オンリーワン技術」で市場ニーズに応える製品づくりを目指して、研究開発活動を推進しております。

当連結会計年度における研究開発活動は、車載・IoT・エネルギー関連など、当社グループの中期経営計画で成長戦略に掲げ、市場で期待される技術開発を中心に積極的に進めました。

当連結会計年度における各セグメント別の研究開発活動は、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

電子部品関連事業

192

電子化学実装関連事業

339

情報機器関連事業

168

報告セグメント

700

全社(共通) (注)

366

合計

1,067

(注)「全社(共通)」の区分は、各セグメントに配分できない未来開発研究費用であります。

① 電子部品関連事業

電子部品関連事業は、車載関連・エネルギー関連など、将来の市場拡大が期待される製品の開発を強化しております

主な研究開発内容と開発成果は次のとおりであります。

・世界的に市場拡大の著しい電動化車両用途として、ハイブリッド自動車・プラグインハイブリッド車・燃料電池車・電気自動車などの基幹システムである昇降圧チョッパー回路に適用される「車載用リアクトル」の開発を進めております。また、リアクトル用途に特化した自社開発コア(鉄心)を使用した小型・高性能・低損失なリアクトルを開発し、様々な電動化車両への採用が進展しております。

・電動化の進む車載市場に向けて、電流センサの開発を進めております。車載充電器用に開発した「磁気平衡式フラックスゲートVF03PxxxS05シリーズ」は、計測器にも使用されるフラックスゲート回路方式を採用し、超高精度・低温度ドリフトを実現しました。電動化車両のインバータ制御、充電制御用に開発した「磁気比例式VL06PxxxS05シリーズ」は、高信頼性ASICを採用し、高速応答性・高耐dv/dtノイズ性能を実現しております。

・昨今普及が加速しているSiC・IGBTパワーモジュールを駆動させるための「ゲートドライバ」について、当社従来製品2DMシリーズの製品バリエーション拡大し、よりお客様のニーズに適した新規製品の開発を進めております。高耐圧・低寄生容量化した低背型ゲートドライバ「2DMB/2DUBシリーズ」、再生可能エネルギー市場向けに普及が拡大している大容量次世代パワーモジュールに対応したゲートドライバ「4DUC/2DUDシリーズ」は、ゲート駆動回路設計に掛かる工数を大幅に削減する当社新製品です。

研究開発費用は、1億9千2百万円であります。

② 電子化学実装関連事業

電子化学実装関連事業は、車載市場・IoT市場を中期成長戦略に掲げ、電子化学材料から実装装置まで、エレクトロニクス実装における幅広い分野においてコア技術開発・製品開発を推進しております。

主な研究開発内容と開発成果は次のとおりであります。

・ハイブリッド自動車・電気自動車などの機電一体化ECU向けに開発した高信頼性ソルダーペースト「TLF‐GTS‐VR6シリーズ」は、-40⇔125℃/3000Cycleの過酷な条件でも連結亀裂の未発生を達成しました。合金組成は、SAC305及び高耐熱はんだ組成をラインナップ化しており、新規高耐熱はんだでは、

-40⇔125℃/3000CycleにてSAC305比較で亀裂進展を大幅に抑制しています。

・過酷環境下において信頼性が要求される車載機器基板向けに開発した、高信頼性アルカリ現像タイプ液状ソルダーレジスト「DSR‐2200ACRシリーズ」は、高温低温の過酷環境下での塗膜のクラックの発生を抑え、更に耐熱性及び絶縁信頼性、密着性などの長期信頼性を向上させております。

・ウェアラブル実装に適した「可逆伸縮性接合材REシリーズ」を開発いたしました。低温実装(150℃)や高密度実装(0201Chip、0.15㎜P-WLP)にも対応可能であり、接合部に金属接合を導入していますが可逆伸縮性(5%:当社比)を実現しています。繰り返し曲げ環境での高信頼性を実現した可逆伸縮性接合材です。

・炉内の汚れを大幅に低減し、メンテナンスサイクルの延長・改善を実現する「リフローTNV VersionⅢ」を開発いたしました。最新の革新技術により、生産機会損失低減への貢献を目指す製品です。

研究開発費用は、3億3千9百万円であります。

③ 情報機器関連事業

情報機器関連事業では、2018年12月に開始された4K/8K本放送や、国際的スポーツイベントに向けた放送関連設備の設備投資需要や、多様化する情報サービスのニーズに対応した開発を推進しております

主な研究開発内容と開発成果は次のとおりであります。

・新たなDECT方式(ARIB STD-T101 2.0版) に準拠した「DECT規格インターカムシステム」を開発いたしました。直観的に使用できる操作性はそのままに、利便性の向上と大規模なシステムの構築が可能となります。1システムに4グループの音声系統を組むことが可能です。

・DSPエンジンを搭載した汎用性のあるオーディオインターフェイスユニットの新製品「NT MATRIX」を開発いたしました。純粋な音声信号の分配やルーティングマトリックスだけでなく、ミックス及び信号処理も可能です。専用のアプリケーションソフトを使用することで、お客様のニーズに合わせたシステム構築を実現いたします。

研究開発費用は、1億6千8百万円であります。

未来開発関連事業

未来開発関連事業では、当社のカーブアウトベンチャーであり、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の技術移転ベンチャーとしての認定会社である、㈱ノベルクリスタルテクノロジーと共同で酸化ガリウムを用いたパワーデバイスの開発を推進しております

主な研究開発内容と開発成果は次のとおりであります。

㈱ノベルクリスタルテクノロジー及び佐賀大学と共同で、β型酸化ガリウムエピタキシャル膜の高品質化技術を新開発いたしました。今回、ハライド気相成長法を応用した独自の酸化ガリウム膜形成技術及びその評価手法を開発し、酸化ガリウム膜中の結晶欠陥を当社従来品の1/100に低減することに成功しました。これにより、酸化ガリウムパワーデバイスのリーク電流が大幅に減少し、数10A級の大電流素子の製造が可能になりました。

研究開発費用は、3億6千6百万円であります。