文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、コーポレートスローガンを「オンリーワン・カンパニーの実現を目指す」と掲げ、経営の基本方針を「タムラグループミッション」に定めております。
MISSION
私たちは、タムラグループの成長を支えるすべての人々の幸せを育むため、世界のエレクトロニクス市場に高く評価される独自の製品・サービスをスピーディに提供してまいります。
VISION
① タムラグループは、世界的視野にたち、エレクトロニクス産業が求める事業を経営基盤とします。
② タムラグループは、市場本位をつらぬき、世界のお客様が求める技術を事業基盤とします。
③ タムラグループは、公正な視点で社員を評価し、努力によって成果をもたらす人を最も賞賛します。
④ タムラグループは、国際社会の一員として行動し、各国の法規制を順守し文化・慣習を尊重します。
⑤ タムラグループは、地球環境の保全に努め、資源の有効化と再資源化を推進します。
(2)経営環境、中長期的な会社の経営戦略及び課題
当社グループでは、タムラ製作所創業100周年となる2024年における当社の「ありたい姿」の実現を目指す、新中期経営計画「Biltrite Tamura GROWING ANEW」を、2019年4月に始動しました。しかしながら、その初年度が新型コロナウイルスの世界的な感染拡大という、未曾有の事態に見舞われました。中国をはじめとして多くの海外拠点を置く当社グループでは、感染拡大が報じられた2月初旬より本社に危機管理室を立ち上げて世界の各拠点と連携をとり、地域社会の皆様、取引先様、そして従業員の健康と安全を最優先に考えて、感染拡大防止に向けた対応を迅速に進めております。
また、新型コロナウイルスの感染拡大が一度沈静化した後も、第二波・第三波を防ぐための「新しい生活様式」の長期的な実践と、企業活動の両立が求められています。当社の中期経営計画は、国際社会の共通目標である「SDGs(持続可能な発展目標)」を策定基盤に活用し、当社の成長戦略が社会の期待と軌を一にすることを目指しておりますが、これはその取組みと一致するものです。
① 人材の視点・業務プロセスの視点
まず、中期経営計画では人材の視点・業務プロセスの視点において、「働き方改革」・「ダイバーシティ」をテーマに掲げています。当社グループはこれまで世界の9割以上の拠点に共通のITシステムを導入し、製販一体の連結原価管理を進めておりますが、その発展形として、多様な働き方に対応するITシステムを構築し、従業員のワークライフバランスと企業活動を共に発展させる取組みを進めております。具体的には、モバイルアクセス・データ共有システムなどのICTインフラ整備により、勤務場所・勤務時間の自由度を高める取組みです。本件は新型コロナウイルス対策として当初予定より完成を早めて実施運用する運びとなりましたが、対人接触削減対策のみならず、育児や介護における在宅勤務での活用、Web会議による海外スタッフの参加、取締役会における社外役員の出席など、急速に広く利用が進みました。これを機に、新しい働き方を定着させ発展させてまいります。
② 顧客の視点
次に、顧客の視点において「エコテクノロジーによる社会的問題の解決」という課題があります。当社は、90年を超える社歴を通じて、電子部品・電子化学実装・情報機器という幅広い事業を産み出し、常に時代のニーズを読み取りながら各分野でオリジナリティあふれる製品を世の中に提供してまいりました。この中期経営計画では、「車載」・「パワーエレクトロニクス」・「IoT・次世代通信」という3つの成長市場に注目し、各事業部門の垣根を超え全社一体となった「Oneタムラ戦略」でビジネスチャンスの拡大に取り組みます。「IoT・次世代通信」は新型コロナウイルス対策として対人接触8割削減の要請が出ている中で、人と人をつなぐ重要な役割を果たしていることは言うまでもありません。また、こうした各種電気機器が動作するには発電・送電や、高効率にエネルギーを供給するための「パワーエレクトロニクス」が必須です。CO2を削減して地球環境を守りつつ、安心安全な交通や物流のしくみを世の中で実現させるためには、クルマの電動化や自動運転に対応した「車載」に関する新たな電子部品や電子化学材料の開発が必要です。当社グループはこうしたニーズに対して「魅力ある製品・感動を与える製品」を提供することで、持続可能で豊かな社会の実現に貢献し、成長していくことを目指します。
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車載 |
パワーエレクトロニクス |
IoT・次世代通信 |
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安心安全な交通や物流の実現 |
クリーンエネルギーの安定供給 |
人と人をつなぐ技術 リモートワークの実現 |
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(電子部品関連事業) 昇圧リアクタ・コイル 充電器用リアクタ 電流センサ (電子化学実装関連事業) 車載用ソルダーペースト 車載用ソルダーレジスト 車載用リフローはんだ付装置
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(電子部品関連事業) 大型トランス・リアクタ ゲートドライバ 酸化ガリウムパワーデバイス (電子化学実装関連事業) パワーデバイス用無残さペースト
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(電子部品関連事業) 自販機用金額表示器 人感センサ(見守り) (電子化学実装関連事業) フレキシブル基板用ソルダーレジスト レーザーはんだ付ペースト 可逆伸縮性接合材 半導体用ソルダーペースト 導電性接合材 スマートファクトリー対応実装装置 (情報機器関連事業) 4K・8K音声卓 音声装置のネットワーク対応 |
③ 財務及び経営の視点
最後に、財務及び経営の視点において、「世界の持続可能な発展」とともに、「当社グループの100周年とその先の持続的な成長」を目指しております。そのためには企業としての適正収益の確保と健全な財務体質の維持、そしてコーポレート・ガバナンスを有効に機能させることが必要です。中期経営計画初年度の業績は目標から程遠い結果となりましたが、魅力ある製品の提供で付加価値を高め、ITで業務効率化を図るとともに、足元では厳しい市場環境を踏まえて適正な借入なども行いながら事業継続を計画的に進めてまいります。
コーポレート・ガバナンスに関しては、2019年4月より、当社は新たな代表取締役会長・代表取締役社長による経営体制を開始いたしました。これにより、会長は会社の経営全般総攬、社長は会社の経営全般執行にそれぞれ責任を持つことで、決定プロセスの客観性及び透明性を確保します。また、取締役会における女性1名を含む社外取締役3名の選任、取締役会の諮問機関として「指名・報酬諮問委員会」を設置するなど、経営ガバナンス体制の整備を進めております。
グローバルに事業を展開し国内外に多数のグループ会社を有する当社では、グループ会社の正しい経営も当社グループの成長のために必要不可欠です。当社及びグループ会社で構築している品質管理委員会、内部環境監査、CSR経営委員会などの内部統制体系を強化し、当社内部監査部門による第三者視点からの監査の有効性を一層高めて、健全な経営をグローバルに実現させてまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
第12次中期経営計画“Biltrite Tamura GROWING ANEW”で目標とする経営指標は以下のとおりです。
① 収益性の向上を第一の目標として、2021年度の連結営業利益率は8%以上、100周年は10%以上を目指します。
② 資本効率に関する目標として、100周年でのROE10%以上をターゲットに、2021年度のROEは9%以上を目指します。株主資本を充実し経営基盤の安定化を推進しながらも、資本効率を高めてまいります。
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2019年度 (第1年度) |
2020年度 (第2年度) |
2021年度 (第3年度) |
2024年度 (100周年) |
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営業利益率 |
5.0% |
7.2% |
8.0% |
10.0%以上 |
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ROE |
6.0%以上 |
8.0%以上 |
9.0%以上 |
10.0%以上 |
また、配当については、中長期的な経営計画を通じた企業価値の増大を図りつつ、株主の皆様への利益還元を経営の最重要課題ととらえ、安定的な配当を基調とし半期ごとの連結業績を加味して総合的に勘案し決定してまいります。この方針の下、連結業績、単独業績を見据えながら、現金配当を中心に株主様の利益還元を考慮していきますが、自己株式取得を含めた「総配分性向」についても検討を進めてまいります。
当社グループの経営成績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。事業等のリスクはこれらに限られるものではなく、また、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響は合理的に予見することが困難であるため、記載しておりません。
当該リスクへの対応として、各種社内規程を定める所轄部門が管理し、内部監査部門が内部統制の指導、監督及び運用状況の評価を行い、リスク軽減を図っております。詳細については、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③企業統治に関するその他の事項 a.会社の機関の内容及び内部統制システムの整備の状況」をご参照ください。
(1)事業環境に関するリスク
当社グループは、「車載」・「パワーエレクトロニクス」・「IoT・次世代通信」を戦略市場とし、特に車載市場においては、厳しさを増す燃費規制対応にストロングハイブリッド車の需要拡大が見込まれるため、ストロングハイブリッド車のバッテリー電圧を制御する昇圧リアクタの生産拡大を推進しております。稼働中の埼玉県の工場に加え、本年度、宮城県の工場でも昇圧リアクタの生産を本格稼働しており、今後両工場の生産能力を拡大する予定であり、さらに、中国佛山市でも昇圧用リアクタの生産に特化した新工場の建設に着手しております。しかしながら、予期せぬ車載市場の減速や、燃費規制や補助金政策の変化等によりストロングハイブリッド車の普及拡大が想定どおり進まなかった場合は、設備投資回収が遅れるなど当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2)グローバルな事業展開によるリスク
当社グループは、競争力のある製品の製造とコスト削減のため中国に大型の生産拠点を設置しており、当社グループ生産高全体のおよそ5割を占めております。しかし、米中貿易摩擦等による貿易規制に起因する材料価格の高騰や入手難、最低賃金の急激な上昇に伴う人材の採用と確保の難しさ、政治又は法環境の変化による政府及び関連機関からの生産拠点の縮小・移転・閉鎖要請、経済状況の変化等予期せぬ事象により生産活動の遂行に問題が生じる可能性があります。当社グループは、中国の他、マレーシア、ミャンマー、タイといったアセアン地域を始め欧米など各国で主要製品を生産できる体制を整えていますが、生産拠点の変更に伴う材料、生産キャパシティ、物流ルートの確保等により、納期問題や原価の上昇が発生する可能性があります。
日本は比較的地震リスクの高い国ですが、当社グループの本社所在地は東京であり、埼玉及び東北地方に製造事業所があります。日本の製造事業所における生産高はグループ全体の3割程度ですが、電子化学事業においては、日本の製造事業所が生産した材料を用いて生産活動を行う海外拠点もあり、当該地域で大地震が発生した場合は、建物や機械設備、たな卸資産の被害に加え、日本のみならず海外拠点の生産活動にも影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、上述のとおり日本、中国、その他東アジア地域、アセアン地域、欧米といった世界各地で事業活動を行っております。グローバルな販売・供給体制の整備、経済情勢・市場動向等の情報共有も含めた各拠点の連携強化等を行っておりますが、各国での予期できない政治的要因、経済的要因、大惨事(自然災害、伝染病などの疫病、テロ行為、大規模停電、大規模火災など)等による社会的混乱や経済状況の変化で、事業活動の停止、設計・開発・生産・出荷・売上計上の遅れ、オフィスや工場が損壊した場合は修繕・置換えにかかる多額の費用計上などが生じる可能性があります。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で緊急事態対策マニュアルを整備し、情報システムハードウェアの免振施設への移設、社員安否確認システム構築、代替生産拠点の想定、災害発生時の初動対応策定、復旧計画の策定などを行っております。予期せぬ事態の発生により稼働停止に陥った場合は、早期復旧に努める所存です。
(3)新型コロナウイルス感染症のリスク
当社グループは、本社に危機管理室を設置し、海外を含む当社グループ各社と連携のうえ、顧客、取引先、従業員の安全を最優先に各種感染防止対策(衛生管理の徹底、Web会議システムの活用、在宅勤務、時差通勤、交代制勤務等)を実施しながら、各地域における事業活動を継続しております。中国・マレーシア・メキシコ等、各国政府の指針に従い稼働を停止していた工場も、提出日現在ではほぼすべてで通常どおり稼働しております。しかしながら、感染拡大により日本及び各国政府から再び活動制限や稼働停止の指導が発令された場合、当社グループ又は取引先が必要な事業活動、生産活動を実施できないことにより、原材料の調達や製品製造が困難になる可能性、生産拠点の変更に伴う納期問題や原価上昇の発生、顧客工場の閉鎖による製品や装置の納入日延伸等の影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループのサプライチェーンがグローバル化していることから、活動制限や稼働停止が発令された国以外の当社グループにおいても、生産・納入活動に影響が生ずる可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)コスト対応
当社グループの製品は、素材価格の相場変動により原価内容に大きな影響を受けます。電子部品関連事業において主力のトランス(変成器)の原材料のほとんどを銅・鉄・原油精製品(プラスチック類)といった素材が占めており、電子化学実装関連事業においては石油化学素材・金属素材・鋼材を原材料として多く使用しております。これら素材価格の世界的な需給バランスの変動あるいは投機的な相場変動による価格高騰局面では、そのリスクを軽減又は回避するため、設計変更による材料比率の低減、予約購入によるリスクヘッジなど日常的に手段を講じておりますが、原価が上昇する可能性があります。反面、顧客への価格転嫁は、競合他社との価格競争が激化し販売単価の値下げ要求が厳しい中では容易ではなく、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。特に電子部品関連事業においては、競合他社の生産が賃金の安い中国・アセアン地域に移転するとともに、地場メーカーとの価格競争により販売単価の低下が進んでおり、コスト面の対応が必要な状況となっております。価格競争は激化しつつあり、今後一層の価格低下が進むものと予想されます。当社グループはこれまで世界の9割以上の拠点に共通のITシステムを導入し、製販一体の連結原価管理を進めており、拡大する市場の中でシェアを確保していくため、設計変更、工程変更、生産拠点最適化等による生産効率化やコスト削減を進め、価格低下に対応していく方針です。しかしながら、シェアダウンや利益率の悪化などが起こった場合、今後の業績に影響を与える可能性があります。
(5)製品補償
当社グループは、顧客に認められる品質管理基準により各種製品の品質には万全を期して製造しておりますが、2018年度に電子部品事業の海外工場において電源機器の不具合が発生し営業利益を押し下げ、当不具合の修理費用の発生は2019度まで続きました。製品不具合が当社グループの業績や財務状況に影響を与えることの改めての戒めとし、従来の製品不具合再発防止策に加え、工場監査チェックシートの改訂、当社グループ内における品質指標の標準化、IATFコアツールを活用した品質保証プロセスの改善等、品質を担保する取組みを強化しております。しかしながら、全ての製品に欠陥が皆無という保証はなく、当社の設計・生産・品質管理等に起因する損害賠償につき、製品補償を求償される可能性があります。また、製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険で最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。大規模な製品補償や製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額なコストや当社の評価に重大な影響を与え、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)知的財産権に関するリスク
当社グループは、独自に開発した設計・製造過程に関する技術及び製品等の特許権その他の知的財産権を所有し、現在もさらなる研究開発活動を進めております。また、当社グループはこれら知的財産保護のための様々な取組みを行っておりますが、想定している効果を達成できない可能性があり、当社グループの競争上の地位や研究開発投資にマイナスの影響を与えるおそれがあります。
当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないよう留意し、調査を行っておりますが、全ての知的財産権を完全に調査完了することは時間・コスト・技術的観点より困難であり、また特許権利者が自己の知的財産権をどのように解釈し、どの範囲まで権利行使手続きを行うかを予想することは極めて困難であります。従いまして、万一、当社グループの製品が第三者の知的財産権に近似する場合には、当該第三者より損害賠償請求、使用差し止め等の訴えを起こされる可能性があり、当社グループは和解やライセンス契約の締結、又は多額の損害賠償金の支払いが必要となる可能性や、差止命令、あるいは当社グループの製品やサービスの一部についてマーケティング、販売、又は提供の中止に直面する可能性があります。当社グループの知的財産権の不正利用や窃取を防止できない場合、必要とされる第三者の知的財産権のライセンスが受けられない場合、当社グループの知的財産権が無効になる場合、もしくは第三者との間で知的財産の権利侵害の訴えについて和解が成立する場合は、当社グループの評判、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの製品は、第三者が保有する特許その他の知的財産権のライセンス供与を受けて設計されているものがあります。過去の経験や業界の慣行により、将来にわたって継続的にライセンス供与を受けることができると当社グループは考えていますが、全く供与されない、又は受諾可能な条件で供与されない可能性があります。そのような場合には、当社グループは、製品の設計変更や、マーケティング、販売の断念を余儀なくされる可能性があります。提出日現在では該当する製品の売り上げは僅少なものの、今後そのような製品が増え、かつライセンス供与が想定どおりに受けられなかった場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
1) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ25億2千万円増加(前期末比2.9%増)し、885億9千3百万円となりました。これは主に、受取手形及び売掛金の減少などにより流動資産が11億9千5百万円減少した一方、固定資産が37億1千5百万円増加したことによります。なお、固定資産増加の主な要因は、IFRS適用在外連結子会社においてIFRS第16号「リース」を適用開始したことによるものであり、その影響額は25億7千9百万円であります。
当連結会計年度末の負債の合計は、前連結会計年度末に比べ30億1千1百万円増加し、419億2千9百万円となりました。これは主に、有利子負債が増加したことなどによります。
有利子負債合計(短期借入金・1年内返済予定の長期借入金・短期リース債務・長期借入金及び長期リース債務の合計額)は222億9千9百万円となり、IFRS第16号「リース」適用開始により26億3千3百万円増加し、また、来期以降の車載設備投資などに備えた借入れにより、前期末比で44億1千9百万円増加しました。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ4億9千1百万円減少(前期末比1.0%減)し、466億6千4百万円となりました。これは利益剰余金が1億9千7百万円増加した一方、その他有価証券評価差額金が3億4千6百万円減少、為替換算調整勘定が3億6千4百万円減少したことなどによります。この結果、自己資本比率は52.4%となりました。また、1株当たり純資産額は565.34円(前期末1株当たり純資産額は570.00円)となりました。
(当連結会計年度における自己資本比率及び1株当たり純資産は、純資産より新株予約権・非支配株主持分を控除して計算した比率を用いております。)
2) 経営成績
当連結会計年度(2019年4月1日~2020年3月31日)の世界経済は、米中貿易摩擦問題が長期化の様相を呈し、当社グループに関わるエレクトロニクス業界では、産業機械や自動車関連市場が厳しい状況で推移いたしました。さらに年度終盤において新型コロナウイルスの感染が世界に拡大し、あらゆる分野で経済活動が停滞することとなりました。
このような経営環境のもと、当社グループは創業100周年となる2024年での「ありたい姿」を見据え、国際社会の共通目標であるSDGs達成に向けた取組みを基軸とした中期経営計画「Biltrite Tamura GROWING ANEW」を、2019年4月に新たな経営体制でスタートしました。当社グループはグローバルに拠点を配し、電子部品・電子化学実装・情報機器と多様な製品を扱っておりますが、「Oneタムラ」としてグループ一丸で成長市場に取り組み、グローバルITシステムの活用とともに、生産・販売・開発体制の強化と効率化を推進しております。
しかし、厳しい経営環境を背景に、当社グループの当連結会計年度の状況といたしまして、売上高は796億5千5百万円(前期比8.5%減)、営業利益は22億8千9百万円(同50.2%減)、経常利益は25億1千万円(同48.2%減)と減収減益になりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は10億2千4百万円(同84.0%減)と前期に対して大幅に減少しておりますが、これは前期に損害賠償請求に基づく和解金の特別利益への計上があったことによるものです。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
なお、売上高はセグメント間の内部売上高を含めており、セグメント利益はセグメント間取引消去及び本社部門負担の未来開発研究費用控除前の営業利益と調整を行っております。
(電子部品関連事業)
電子部品関連事業は、産業機械関連顧客向けのトランス・リアクタ・電流センサなどの需要低迷が続き、家電市場ではエアコン用リアクタや電動工具向けのチャージャが弱含みで推移いたしました。また、年度末にまとまった納品を予定していた、通信機能を搭載した自動販売機向けLEDモジュールの導入が一部先送りとなりました。一方、秋口より量産を予定していた宮城県の工場における環境車向け昇圧リアクタは、客先の予定変更により量産本稼働が当第4四半期にずれ込みましたが、その後は当初計画にそって生産をいたしました。なお、新型コロナウイルス問題を背景に、年度末に客先から在庫確保に向けた一時的な受注増加の動きがありましたが、当期の業績への影響は軽微であります。
その結果、売上高は508億7千1百万円(前期比7.2%減)、セグメント利益は2億7千5百万円(同71.4%減)と、減収減益になりました。
(電子化学実装関連事業)
電子化学事業は、自動車の電装化・電動化を背景にこれまで堅調に推移してきた車載用ソルダーペーストが、下期以降は自動車販売の不振や新型コロナウイルス問題などを背景にやや弱含みで推移いたしました。スマートフォンをはじめとする通信端末の5G関連の基板で使用されるフレキシブル基板用ソルダーレジストや、5G基地局で使用されるソルダーペーストは比較的堅調に推移いたしましたが、電子化学材料全体の業績を押し上げるには至りませんでした。実装装置事業は、自動車市場の減速を背景に一部客先で設備投資の先送りが生じておりましたが、新型コロナウイルス問題の拡大により、設備投資の先送りがさらに広がりました。足元では客先訪問による装置の据え付けがままならず、売上確保が難しい状況となっております。
その結果、売上高は254億4千万円(前期比9.7%減)、セグメント利益は25億5千3百万円(同28.5%減)と、減収減益になりました。
(情報機器関連事業)
情報機器関連事業は、国際的なスポーツイベントや放送局の更新需要に向けて、年度末を中心に放送局向けの音声調整卓(ミキサー)やワイヤレスマイクロホンシステムの売上を予想しておりましたが、厳しい市場環境を背景に需要が高まらず、大幅に売上が減少する結果となりました。
その結果、売上高は34億9千9百万円(前期比16.7%減)、セグメント利益は7千6百万円(同84.1%減)と、減収減益になりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)につきましては、主に営業活動の結果獲得した資金が増加したため、前連結会計年度末に比べ2億7千5百万円増加し、161億1千7百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は54億5千6百万円(前期比16.9%増)となりました。これは主に売上債権・たな卸資産の増減額が増加から減少へ転じたこと、IFRS第16号「リース」適用開始により減価償却費が増加したことなどによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は49億7千3百万円(前期比21.4%増)となりました。これは主に前連結会計年度において、台湾子会社の土地売却やサーマル事業の譲渡、投資有価証券の売却など臨時的な資金獲得項目が発生したことによります。当連結会計年度の有形固定資産の取得による支出は、当社坂戸事業所の建て替え及び国内外子会社工場の建設などが発生した前連結会計年度に比べて、18億6千3百万円減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は1億4千1百万円(前期は10億9千6百万円の獲得)となりました。これは主に工場建設資金の追加発生に伴うつなぎ資金借り入れが発生した前連結会計年度に対し、当連結会計年度はその借入金を返済したため短期借入金の純増減額が増加から減少へ転じたこと、IFRS第16号「リース」適用開始によりリース債務の返済による支出が増加したことなどによります。
③ 生産、受注及び販売の実績
1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
電子部品関連事業 |
50,210 |
91.2 |
|
電子化学実装関連事業 |
25,411 |
91.2 |
|
情報機器関連事業 |
3,612 |
86.4 |
|
報告セグメント計 |
79,234 |
91.0 |
|
その他事業 |
- |
- |
|
合計 |
79,234 |
91.0 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2) 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
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電子部品関連事業 |
51,191 |
99.0 |
21,477 |
101.5 |
|
電子化学実装関連事業 |
27,702 |
88.6 |
11,347 |
126.3 |
|
情報機器関連事業 |
4,082 |
111.7 |
1,519 |
173.1 |
|
報告セグメント計 |
82,976 |
95.8 |
34,344 |
110.7 |
|
その他事業 |
0 |
15.1 |
- |
- |
|
合計 |
82,977 |
95.8 |
34,344 |
110.7 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.当連結会計年度より子会社における受注高・受注残高の集計方法を変更しております。この変更に伴い前期実績につきましても修正を行っております。
3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
電子部品関連事業 |
50,871 |
92.8 |
|
電子化学実装関連事業 |
25,342 |
90.2 |
|
情報機器関連事業 |
3,440 |
83.4 |
|
報告セグメント計 |
79,654 |
91.6 |
|
その他事業 |
0 |
15.1 |
|
合計 |
79,655 |
91.5 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は796億5千5百万円と前期比8.5%減、営業利益は22億8千9百万円と前期比50.2%減となりました。この結果の背景には、米中貿易問題の長期化などにより中国を中心に世界経済が減速し、年間を通じて中国市場、産業機械関連市場が低調なまま推移したこと、新型コロナウイルス感染症の影響などにより、実装装置・放送機器・自動販売機モジュールなどの期末集中案件が計画に至らなかったことがあります。当社グループの経営成績に影響を与える要因として、グローバルな市場環境の変化に加え、一部の事業・製品に利益が偏っていることにより、そこに影響が及ぶと利益面でより大きな変動が生じる可能性が示唆されています。当社グループは電子部品・電子化学実装・情報機器と多様な製品を扱っておりますが、中期経営計画においては各事業の関連性を高めベストプラクティスを共有し、横のつながりを強化します。新たな戦略製品を創造するなどシナジー効果を高めながら「Oneタムラ」としてグループ一丸となって、確実な成長が見込まれている「車載」「パワーエレクトロニクス」「IoT・次世代通信」の3つの市場に取り組み、グループ全体の収益性を確実に向上させる企業体質を構築していきます。
経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、前中期経営計画(第11次中期経営計画)に引き続き、収益性の向上の目標として「営業利益率」、資本効率に関する目標として「ROE」を採用しております。連結営業利益率は、100周年での連結営業利益率10%以上を目指し2021年度の連結営業利益率は8%以上、ROEは、100周年でのROE10%以上をターゲットに、2021年度のROEは9%以上を目指してまいります。
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第12次中期第1年度 2019年度実績 |
第12次中期第2年度 2020年度目標 |
第12次中期最終年度 2021年度目標 |
100周年 2024年度目標 |
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営業利益率 |
2.9% |
7.2% |
8.0% |
10.0%以上 |
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ROE |
2.2% |
8.0% |
9.0% |
10.0%以上 |
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(電子部品関連事業)
電子部品関連事業は、重点事業である産業機器関連市場向けのトランス、リアクタ、電流センサ等の需要が期を通して低迷したことなどから減収減益となりましたが、課題である安定収益の確保に向け、狙った市場・製品への集中、当社グループ拠点共通のITシステムによる個別原価管理の徹底、「地開(開発)地承(承認)」体制の推進に引き続き取り組んでおります。当連結会計年度では、全体収益の牽引には至っていないものの、戦略市場である「パワーエレクトロニクス」市場において、収益性の比較的高い風力発電などの再生可能エネルギー向け大型トランス・リアクタの売り上げが好調でした。今後も戦略市場である「車載」「パワーエレクトロニクス」「IoT・次世代通信」にフォーカスしつつ、事業間の連携を活かした顧客戦略・製品創出などに取り組み、収益性を高めてまいります。
(電子化学実装関連事業)
電子化学実装関連事業は、当社グループの中においては収益性が高く当社グループの利益を牽引しております。しかしながら、課題であるスマートフォン依存から脱しきれずスマートフォン関連製品のコストダウン要求や競争激化の影響を受けたこと、顧客の設備投資の先送りで実装装置の売り上げ確保が困難だったことなどから、減収減益となりました。一方、5G通信用の端末向けや基地局向け製品は堅調に推移しており、更なる拡大も見込まれるため、関連製品の開発及び顧客開拓に一層力を入れてまいります。
同じく成長が見込まれる車載関連市場では、車載関連企業が集積する欧州エリアにおいて、ソルダーペースト関連製品の生産を新たに開始いたしました。欧州エリアにおける開発・生産・販売一貫体制を構築することで、非日系車載顧客向けを中心に、高付加価値実装材料の拡販を推進してまいります。また、車載向けソルダーペーストを生産する当社の入間事業所において、2020年5月に自動車産業の国際的な品質マネジメントシステム「IATF16949:2016」認証を取得しております。欧米を中心とする世界の多くの自動車メーカーが自動車部品のグローバルな調達基準として採用している認証であり、非日系車載顧客との取引拡大を目指してまいります。
(情報機器関連事業)
情報機器関連事業は、国際的なスポーツイベントや放送局の更新需要に向けた音声調整卓やワイヤレスマイクロホンシステムの売上を予想しておりましたが、厳しい市場環境を背景に減収減益となりました。放送局をはじめとする取引先からの需要は厳しい基調が続くものの、将来的なニーズに対応すべく、音声卓のネットワーク化対応の開発を促進いたします。また、中長期的には今後のこの事業を支える新製品開発が必要と認識しております。事業戦略として、通信機能を搭載した自動販売機用金額表示器や見守り用人感センサを手掛けている当社グループ会社の㈱光波と一体となり、「IoT・次世代通信」市場に向けた新製品の創出を目指してまいります。
② 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、設備投資及びその他の事業資金については、自らの事業活動により獲得した内部資金で対応することを基本方針としておりますが、成長投資や一時的な運転資金の充足のために資金需要が生ずる場合には、時々の金融市場の状況を踏まえた適切な手段により外部からも調達できるよう多様化を図りつつも、現時点においては銀行からの借入を実施しております。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大による不測の事態に備え、機動的な短期運転資金としてコミットメントライン契約を25億円増枠の総額50億円とすること、及び同理由で10億円の短期運転資金を銀行借入調達することを当社取締役会で決定、2020年5月にそれぞれ契約を締結しており、手許流動性を高められるよう対応しております。
今後の主要投資案件として、車載関連事業への投資を予定しております。
当社グループは第12次中期経営計画において、「環境車向け昇圧リアクタ」の拡大を、電子部品関連事業の重要成長戦略の1つとして掲げております。㈱若柳タムラ製作所の生産能力を2倍に、当社坂戸事業所の生産能力を3倍に引き上げるべく工場設備の増設を行います。さらに、今後のグローバルな需要増加に対応するべく、新たな連結子会社「田村汽車電子(佛山)有限公司」を中国佛山市に設立して新工場設立に着手しております。自己資本の他、国内投資についてはファイナンス・リースを、中国子会社は銀行借入を利用いたします。
③ 重要な会計上の見積り方針及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
1) 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しています。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。
将来の課税所得見込額は中期経営計画に基づいて算出しており、市場データや現在及び今後見込まれる経済状況を考慮しております。そのため、課税所得の見積りの前提に影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。なお、当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染拡大の今後の影響が不確実な状況を踏まえ、回収可能性について慎重に検討を行った結果、繰越欠損金の回収不能額が増加したため、繰延税金資産を取り崩しました。
2) 固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、事業の区分をもとに概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位にてグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しております。
固定資産の回収可能価額は、将来見積キャッシュ・フロー、正味売却価額等をもとに算出しております。将来見積キャッシュ・フローに使用される前提は、中期経営計画に基づいて算出しており、市場データや現在及び今後見込まれる経済状況を考慮しております。そのため、将来キャッシュ・フロー等の見積りの前提に影響を与える要因が発生した場合は、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
3) たな卸資産の評価
当社グループは、たな卸資産の貸借対照表価額を収益性の低下に基づく帳簿価額切下げの方法により算出しております。営業循環過程から外れた滞留等のたな卸資産については、正味売却価額まで切下げる方法に加えて、一定の回転期間を超える場合に規則的に帳簿価額を切下げる方法による評価を行っております。
規則的に帳簿価額を切下げる方法は、事業ごとに製品の特性を考慮して販売品目・生産品目による分類を行い、滞留期間に応じて帳簿価額の切下げを行っています。そのため、過去の滞留実績や技術革新によるたな卸資産の著しい陳腐化等を考慮し、帳簿価額の切下げ期間を短縮する必要が生じた場合には、追加の評価損が発生する可能性があります。また、事業の特性上、受注見込に基づいた材料や商品の先行手配・見込み生産を行うことがあり、経済状況が急速に低迷する場合には、当該たな卸資産が滞留することで想定外の評価損が発生する可能性があります。
なお、当連結会計年度における会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響については、連結財務諸表注記事項の「追加情報」に記載されております。
該当事項はありません。
当社グループは、「オンリーワン・カンパニーの実現」を経営スローガンに、タムラならではの「オンリーワン技術」で市場ニーズに応える製品づくりを目指して、研究開発活動を推進しております。
当連結会計年度における研究開発活動は、当社グループの中期経営計画で成長戦略に掲げる「車載」・「パワーエレクトロニクス」・「IoT・次世代通信」という3つの成長市場で期待される技術開発を中心に積極的に進めました。
当連結会計年度における各セグメント別の研究開発活動は、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
金額(百万円) |
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電子部品関連事業 |
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電子化学実装関連事業 |
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情報機器関連事業 |
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報告セグメント計 |
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全社(共通) (注) |
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合計 |
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(注)「全社(共通)」の区分は、各セグメントに配分できない未来開発研究費用であります。
① 電子部品関連事業
電子部品関連事業は、車載関連・エネルギー関連など、将来の市場拡大が期待される製品の開発を強化しております。
主な研究開発内容と開発成果は次のとおりであります。
・将来の市場拡大が期待される電動化車両用途として、宇宙用途等で長年培った高信頼性製品のノウハウを応用し、ハイブリッド自動車・プラグインハイブリッド車・燃料電池車・電気自動車などの基幹システムである昇降圧チョッパー回路に適用される「車載用リアクタ」の開発・生産を進めております。
・独自開発コア・新規構造の採用により低騒音化を実現した「低騒音タイプ高周波リアクタ」を開発しました。
・大電流に対応し、エアコン、太陽光発電向けパワコン、UPSなどの環境配慮型電力変換装置のセット効率向上に貢献する「高周波リアクタ トロイダルエッジワイズ TEシリーズ」を開発しました。
・大電流測定用電流センサでは、「L40S/L40S_Cシリーズ」「L51Sシリーズ」「F26Pシリーズ」を開発し、ラインナップを拡充させました。
・昨今普及が加速しているSiC・IGBTパワーモジュールを駆動させるための「ゲートドライバ」について、高耐圧・低寄生容量化した低背型ゲートドライバ「2DMB/2DUBシリーズ」、再生可能エネルギー市場向けに普及が拡大している大容量次世代パワーモジュールに対応したゲートドライバ「4DUC/2DUDシリーズ」等、顧客ニーズに適した新規製品の開発を進めております。
研究開発費用は、1億4千2百万円であります。
② 電子化学実装関連事業
電子化学実装関連事業は、車載市場・IoT市場を中期成長戦略に掲げ、電子化学材料から実装装置まで、エレクトロニクス実装における幅広い分野においてコア技術開発・製品開発を推進しております。
主な研究開発内容と開発成果は次のとおりであります。
・ハイブリッド自動車・電気自動車のECU/PCUではより一層厳しいヒートサイクル基準が求められており、新規高耐熱鉛フリー合金「#287」では、-40⇔125℃/3000CycleにてSAC305比較ではんだ接合部に発生する亀裂進展を大幅に抑制することが可能になりました。
・車載機器基板向けに開発した、高信頼性アルカリ現像タイプ液状ソルダーレジスト「DSR‐2200ACRシリーズ」は、高温低温の過酷環境下での塗膜クラックの発生を抑え、更に耐熱性、絶縁信頼性、密着性などの長期信頼性を向上させております。
・既存の印刷工法では位置合わせが難しいFPC基板、印刷難度の高いキャビティを有する基板、立体的な基板等のはんだ付けにおいて非接触はんだ塗布のジェットディスペンス工法の適用が検討されており、ジェット対応鉛フリーソルダーペースト「JDSシリーズ」は、ジェットディスペンスにおける吐出安定性と飛び散り(サテライト)低減に対応しています。
・優れた柔軟性と高絶縁信頼性を持つフレキシブル基板用写真現像型ソルダーレジスト「PAF-800シリーズ」「TPL-800シリーズ」は、EMIシールドフィルムの貼り付け可能。部品実装部と配線部へのソルダーレジストの一括形成を提案し、一括形成による製造工程削減、ベゼルレスディスプレイに要求される基板の薄膜化、組み込み時の形状保持(低反発特性)を実現します。
・リフロー装置「TNV VersionⅢ」は、最新の革新技術により炉内の汚れを大幅に低減し、メンテナンスサイクルの延長・改善を実現することで、生産機会損失低減への貢献を目指す製品です。
研究開発費用は、3億2千9百万円であります。
③ 情報機器関連事業
情報機器関連事業では、2018年12月に開始された4K/8K本放送や、国際的スポーツイベントに向けた放送関連設備の設備投資需要や、多様化する情報サービスのニーズに対応した開発を推進しております。
主な研究開発内容と開発成果は次のとおりであります。
・汎用オーディオインターフェイスユニット「NT MATRIX」は、DSPエンジンを搭載し、純粋な音声信号の分配やルーティングマトリックスだけでなく、ミックス及び信号処理も可能です。新たに開発したリモートフェーダー、スイッチパネルとの組み合わせによるOTC(One Touch Controller)システム及びGUIソフトウェア「Custom UI」により、直感的な操作でカスタマイズが可能です。
・可搬型DECT方式インターカムシステム「MK-H96」は、128×H130×D36(mm)のコンパクトサイズながら10台の子機MK-B96が接続でき、更に2グループの通話設定にも対応したポータブルサイズのメインコントローラーです。
研究開発費用は、1億8千7百万円であります。
④ 未来開発関連事業
未来開発関連事業では、当社のカーブアウトベンチャーであり、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の技術移転ベンチャーとしての認定会社である、㈱ノベルクリスタルテクノロジーと共同で酸化ガリウムを用いたパワーデバイスの開発を推進しております。
なお、㈱ノベルクリスタルテクノロジーは、次世代パワーデバイスとして期待されている酸化ガリウム(β-Ga2O3)の大口径単結晶製造技術や基板上へのホモエピタキシャル成長技術を確立し、デバイス事業への展開を進めていることが評価され、2020年3月にJEITAベンチャー賞を受賞しました。
主な研究開発内容と開発成果は次のとおりであります。
・㈱ノベルクリスタルテクノロジー及び佐賀大学と共同でβ型酸化ガリウムエピタキシャル膜の高品質化技術を開発いたしました。
・逆回復時間が極めて短い「超低損失・超高速 β-Ga2O3 SBD(ショットキーバリアダイオード)」の開発に成功しました。
研究開発費用は、3億7千6百万円であります。