第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社グループは、コーポレートスローガンを「オンリーワン・カンパニーの実現を目指す」と掲げ、経営の基本方針を「タムラグループミッション」に定めております。

MISSION

私たちは、タムラグループの成長を支えるすべての人々の幸せを育むため、世界のエレクトロニクス市場に高く評価される独自の製品・サービスをスピーディに提供してまいります。

VISION

① タムラグループは、世界的視野にたち、エレクトロニクス産業が求める事業を経営基盤とします。

② タムラグループは、市場本位をつらぬき、世界のお客様が求める技術を事業基盤とします。

③ タムラグループは、公正な視点で社員を評価し、努力によって成果をもたらす人を最も賞賛します。

④ タムラグループは、国際社会の一員として行動し、各国の法規制を順守し文化・慣習を尊重します。

⑤ タムラグループは、地球環境の保全に努め、資源の有効化と再資源化を推進します。

(2)経営環境、中長期的な会社の経営戦略及び課題

当社グループは、タムラ製作所創業100周年となる2024年における当社の「ありたい姿」の実現を目指す、第12次中期経営計画「Biltrite Tamura GROWING ANEW」を2019年4月に始動し、2021年度を最終年度として取り組んでおります。その初年度後半に新型コロナウイルスの世界的な感染拡大があり、2年目である当連結会計年度はじめにおいて世界経済は急激に停滞いたしました。その後、中国市場がいち早く回復し、当社グループに関わるエレクトロニクス市場では、自動車や情報通信市場が早期に回復に転じ、巣ごもり需要を起点とした家電関連製品の高水準の需要が継続しました。また秋口以降は、産業機械市場が急速に回復に向かうなど、当連結会計年度は全般的には緩やかな回復基調で推移いたしました。その一方で、新型コロナウイルス感染症は収束に至らず、半導体供給不足や、銅をはじめとする原材料価格の高騰、ミャンマーの政情不安など、新たな不安要素が顕在化しております。

今後も厳しい経営環境の継続が予想されますが、「新しい生活様式」や世界的にカーボンニュートラルを目指す潮流が加速する中、通信基地局用の基板に欠かせないソルダーペーストやソルダーレジスト、エネルギー変換の基幹部品であるトランスやリアクタを扱う当社グループの高信頼・高効率のテクノロジーは、必ずや国際社会が目指す姿の実現に貢献するものと考えております。当社グループの中期経営計画は、国際社会の共通目標である「SDGs(持続可能な発展目標)」達成に向けた活動を基軸とし、当社の成長戦略である「Oneタムラ戦略」が社会の期待と軌を一にすることを目指しております。具体的には、Oneタムラで「将来へ挑戦する事業戦略」「働きがいを目指す働き方改革」「効率を高める業務改革」による、「三位一体」の取組みを推進してまいります。

① 将来へ挑戦する事業戦略

当社グループは、既存市場・既存製品の先にある新市場・新製品にいかに挑戦していくのかを社内で議論し、その実現に向けた戦略を定め、実行を進めております。各セグメントが製品・技術及び市場の観点から目指すべき市場や開発すべき技術を明確にすることはもちろん、新市場・新製品の創出を目指し、経営層が旗振り役となってセグメント間のコラボレーション、産学協業、他社企業との連携を推進しております。第12次中期経営計画では、グループ全体で注力する市場として「車載」「パワーエレクトロニクス」「IoT・次世代通信」を掲げましたが、足元では脱炭素政策の加速で、電気自動車や再生可能エネルギーへの転換が前倒しで進んでおります。今後も、こうした成長市場に向けたグループ一丸となった取組みを一層強化し、当社が掲げる「エコテクノロジーによる社会的問題の解決」という課題に取り組んでまいります。

 

 

車載

パワーエレクトロニクス

IoT・次世代通信

安心安全な交通や物流の実現

クリーンエネルギーの安定供給

人と人をつなぐ技術

リモートワークの実現

(電子部品関連事業)

昇圧リアクタ・コイル

充電器用リアクタ

電流センサ

(電子化学実装関連事業)

車載用ソルダーペースト

車載用ソルダーレジスト

車載用リフローはんだ付装置

 

 

 

 

 

 

 

(電子部品関連事業)

大型トランス・リアクタ

ゲートドライバ

酸化ガリウムパワーデバイス

(電子化学実装関連事業)

パワーデバイス用無残さペースト

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(電子部品関連事業)

自販機用金額表示器

人感センサ(見守り)

(電子化学実装関連事業)

フレキシブル基板用ソルダーレジスト

レーザーはんだ付ペースト

可逆伸縮性接合材

半導体用ソルダーペースト

導電性接合材

スマートファクトリー対応実装装置

(情報機器関連事業)

4K・8K音声卓

音声装置のネットワーク対応

 

② 働きがいを目指す働き方改革

中期経営計画では人材の視点・業務プロセスの視点において、「働き方改革」・「ダイバーシティ」をテーマに掲げております。社員の多様な働き方を可能にすべく、コロナ下で浸透したリモートワークやフレキシブルな勤務体系を今後の新しい日常として定着させ、育児や介護における在宅勤務、海外スタッフのWeb会議への参加などを進めております。同時に、人事制度を刷新し、職務グレード制を厳格に適用することにより人事の透明性と効率化を図るとともに、社員のもつ高度専門性を遺憾なく発揮させる環境を整えます。また、ダイバーシティを意識した次世代育成を計画的に進めてまいります。

 

③ 効率を高める業務改革

当社はこれまで世界的に共通のERPを導入したことに始まり、コロナ対策におけるリモートワーク体制の構築やRPA導入など、積極的にITによる業務改革を進めてまいりました。今後ワクチンの開発や治療法の改善が進み、コロナを克服できるとなれば、経済活動は一気に活性化するものと考えます。その際に、売上の拡大に対して業務の効率性を維持できれば、収益性の大幅な改善が期待されます。IT化に加えて、改めて事業活動のそのものの効率性に目を向け、一段踏み込んだ業務改革を推進してまいります。

当社グループは、「世界の持続可能な発展」とともに、「当社グループの100周年とその先の持続的な成長」を目指しております。2021年度の業績予想は、中期経営計画で掲げた売上高・営業利益に遠く及ばない数字となっておりますが、魅力ある製品の提供で付加価値を高め、社員が能力を発揮できる環境を整備し、ITで業務効率化を図ることで、2024年に迎える創業100年が輝かしいものになるように、Oneタムラで取り組んでまいります。

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

第12次中期経営計画「Biltrite Tamura GROWING ANEW」で目標とする経営指標は以下のとおりであります。

① 収益性の向上を第一の目標として、100周年での連結営業利益率10%以上を目指します。

② 資本効率に関する目標として、100周年でのROE10%以上を目指します。株主資本を充実し経営基盤の安定化を推進しながらも、資本効率を高めてまいります。

また、配当については、中長期的な経営計画を通じた企業価値の増大を図りつつ、株主の皆様への利益還元を経営の最重要課題ととらえ、安定的な配当を基調とし半期ごとの連結業績を加味して総合的に勘案し決定してまいります。この方針の下、連結業績、単独業績を見据えながら、現金配当を中心に株主様の利益還元を考慮していきますが、自己株式取得を含めた「総配分性向」についても検討を進めてまいります。

2【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。事業等のリスクはこれらに限られるものではなく、また、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響は合理的に予見することが困難であるため、記載しておりません。

当該リスクへの対応として、各種社内規程を定める所轄部門が管理し、内部監査部門が内部統制の指導、監督及び運用状況の評価を行い、リスク軽減を図っております。詳細については、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③企業統治に関するその他の事項 a.会社の機関の内容及び内部統制システムの整備の状況」をご参照ください。

(1)事業環境に関するリスク

当社グループは、「車載」・「パワーエレクトロニクス」・「IoT・次世代通信」を戦略市場とし、特に車載市場においては、厳しさを増す燃費規制対応にストロングハイブリッド車の需要拡大が見込まれるため、ストロングハイブリッド車のバッテリー電圧を制御する昇圧リアクタの生産拡大を推進しております。埼玉県及び宮城県で昇圧リアクタの生産工場が稼働しておりますが、埼玉県に工場を追加建設して生産能力を拡大する予定であり、更に、中国佛山市でも昇圧用リアクタの生産に特化した新工場を建設しました。2030年度までに当製品の売上高200億円達成を目指しております。しかしながら、予期せぬ車載市場の減速や、燃費規制や補助金政策の変化などによりストロングハイブリッド車の普及拡大が想定どおり進まなかった場合には、設備投資回収が遅れるなど当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(2)グローバルな事業展開によるリスク

当社グループは、競争力のある製品の製造とコスト削減のため中国に大型の生産拠点を設置しており、当社グループ生産高全体のおよそ5割を占めております。しかし、貿易規制などに起因する材料価格の高騰や入手難、最低賃金の急激な上昇に伴う人材の採用と確保の難しさ、政治又は法環境の変化による政府及び関連機関からの生産拠点の縮小・移転・閉鎖要請、経済状況の変化等予期せぬ事象により生産活動の遂行に問題が生じる可能性があります。当社グループは、中国の他、マレーシア、タイといったアジア地域をはじめ欧米など各国で主要製品を生産できる体制を整えておりますが、生産拠点の変更に伴う材料、生産キャパシティ、物流ルートの確保などにより、納期問題や原価の上昇が発生する可能性があります。

日本は比較的地震リスクの高い国ですが、当社グループの本社所在地は東京であり、埼玉及び東北地方に製造事業所があります。日本の製造事業所における生産高はグループ全体の3割程度ですが、電子化学事業においては、日本の製造事業所が生産した材料を用いて生産活動を行う海外拠点もあり、当該地域で大地震が発生した場合は、建物や機械設備、たな卸資産の被害に加え、日本のみならず海外拠点の生産活動にも影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、上述のとおり日本、中国、その他アジア地域、欧米といった世界各地で事業活動を行っております。グローバルな販売・供給体制の整備、経済情勢・市場動向等の情報共有も含めた各拠点の連携強化などを行っておりますが、各国での予期できない政治的要因、経済的要因、大惨事(自然災害、伝染病などの疫病、テロ行為、大規模停電、大規模火災など)などによる社会的混乱や経済状況の変化で、事業活動の停止、設計・開発・生産・出荷・売上計上の遅れ、オフィスや工場が損壊した場合は修繕・置換えにかかる多額の費用計上などが生じる可能性があります。

当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で緊急事態対策マニュアルを整備し、情報システムハードウェアの免震施設への移設、社員安否確認システム構築、代替生産拠点の想定、災害発生時の初動対応策定、復旧計画の策定などを行っております。予期せぬ事態の発生により稼働停止に陥った場合は、早期復旧に努める所存であります。

(3)新型コロナウイルス感染症のリスク

当社グループは、本社に危機管理室を設置し、海外を含む当社グループ各社と連携のうえ、顧客、取引先、従業員の安全を最優先に各種感染防止対策(衛生管理の徹底、Web会議システムの活用、在宅勤務、時差通勤、交代制勤務等)を実施しながら、各地域における事業活動を継続しております。中国・マレーシア・メキシコなど、各国政府の指針に従い稼働を停止していた工場も、有価証券報告書提出日現在ではほぼすべてで通常どおり稼働しております。しかしながら、感染拡大により日本及び各国政府から再び活動制限や稼働停止の指導が発令された場合、当社グループ又は取引先が必要な事業活動、生産活動を実施できないことにより、原材料の調達や製品製造が困難になる可能性、生産拠点の変更に伴う納期問題や原価上昇の発生、顧客工場の閉鎖による製品や装置の納入日延伸などの影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループのサプライチェーンがグローバル化していることから、活動制限や稼働停止が発令された国以外の当社グループにおいても、生産・納入活動に影響が生ずる可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)コスト対応

当社グループの製品は、素材価格の相場変動により原価内容に大きな影響を受けます。電子部品関連事業において主力のトランス(変成器)の原材料のほとんどを銅・鉄・原油精製品(プラスチック類)といった素材が占めており、電子化学実装関連事業においては石油化学素材・金属素材・鋼材を原材料として多く使用しております。これら素材価格の世界的な需給バランスの変動あるいは投機的な相場変動による価格高騰局面では、そのリスクを軽減又は回避するため、設計変更による材料比率の低減、予約購入によるリスクヘッジなど日常的に手段を講じておりますが、原価が上昇する可能性があります。反面、顧客への価格転嫁は、競合他社との価格競争が激化し販売単価の値下げ要求が厳しい中では容易ではなく、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。特に電子部品関連事業においては、競合他社の生産が賃金の安い中国・アセアン地域に移転するとともに、地場メーカーとの価格競争により販売単価の低下が進んでおり、コスト面の対応が必要な状況となっております。価格競争は激化しつつあり、今後一層の価格低下が進むものと予想されます。当社グループはこれまで世界の9割以上の拠点に共通のITシステムを導入し、製販一体の連結原価管理を進めており、拡大する市場の中でシェアを確保していくため、設計変更、工程変更、生産拠点最適化等による生産効率化やコスト削減を進め、価格低下に対応していく方針です。しかしながら、シェアダウンや利益率の悪化などが起こった場合、今後の業績に影響を与える可能性があります。

(5)製品補償

製品の不具合が当社グループの業績や財務状況に影響を与えた過去を戒めとし、従来から実施している製品不具合再発防止策に加え、工場監査チェックシートの改訂、当社グループ内における品質指標の標準化、国際的な自動車産業の品質マネジメント規格で重視される技法であるIATFコアツールを活用した品質保証プロセスの改善など、品質を担保する取組みを強化しました。当社グループは、顧客に認められる品質管理基準により各種製品の品質には万全を期して製造しておりますが、全ての製品に欠陥が皆無という保証はなく、当社の設計・生産・品質管理などに起因する損害賠償につき、製品補償を求償される可能性があります。また、製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険で最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。大規模な製品補償や製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額なコストや当社の評価に重大な影響を与え、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(6)知的財産権に関するリスク

当社グループは、独自に開発した設計・製造過程に関する技術及び製品などの特許権その他の知的財産権を所有し、現在も更なる研究開発活動を進めております。また、当社グループはこれら知的財産保護のための様々な取組みを行っておりますが、想定している効果を達成できない可能性があり、当社グループの競争上の地位や研究開発投資にマイナスの影響を与えるおそれがあります。

当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないよう留意し、調査を行っておりますが、全ての知的財産権を完全に調査完了することは時間・コスト・技術的観点より困難であり、また特許権利者が自己の知的財産権をどのように解釈し、どの範囲まで権利行使手続きを行うかを予想することは極めて困難であります。従いまして、万一、当社グループの製品が第三者の知的財産権に近似する場合には、当該第三者より損害賠償請求、使用差し止めなどの訴えを起こされる可能性があり、当社グループは和解やライセンス契約の締結、又は多額の損害賠償金の支払いが必要となる可能性や、差止命令、あるいは当社グループの製品やサービスの一部についてマーケティング、販売、又は提供の中止に直面する可能性があります。当社グループの知的財産権の不正利用や窃取を防止できない場合、必要とされる第三者の知的財産権のライセンスが受けられない場合、当社グループの知的財産権が無効になる場合、もしくは第三者との間で知的財産の権利侵害の訴えについて和解が成立する場合は、当社グループの評判、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの製品は、第三者が保有する特許その他の知的財産権のライセンス供与を受けて設計されているものがあります。過去の経験や業界の慣行により、将来にわたって継続的にライセンス供与を受けることができると当社グループは考えておりますが、全く供与されない、又は受諾可能な条件で供与されない可能性があります。そのような場合には、当社グループは、製品の設計変更や、マーケティング、販売の断念を余儀なくされる可能性があります。有価証券報告書提出日現在では該当する製品の売り上げは僅少なものの、今後そのような製品が増え、かつライセンス供与が想定どおりに受けられなかった場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

1) 財政状態

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ24億7千万円増加し、910億6千4百万円となりました。これは主に、流動資産が2億2千2百万円増加、固定資産が22億4千7百万円増加したことによります。なお、固定資産増加の主な要因は、昨年度末からの株価上昇に伴う退職給付信託の評価増などにより、退職給付に係る資産が17億7千6百万円増加したことによります。

当連結会計年度末の負債の合計は、前連結会計年度末に比べ9億9千1百万円増加し、429億2千1百万円となりました。これは主に、有利子負債及び繰延税金負債が増加したことなどによります。繰延税金負債の増加は、退職給付に係る調整累計額に対するものとして4億3千1百万円の計上、繰延税金資産取り崩しによる繰延税金資産との相殺が減少したことなどによります。

なお、有利子負債合計(短期借入金・1年内返済予定の長期借入金・短期リース債務・長期借入金及び長期リース債務の合計額)は2億2千万円増加し、225億1千9百万円となりました。これは主として、余剰資金のある拠点は銀行借入金返済を進める一方で、新型コロナウイルスの感染拡大による不測の事態に備え、機動的な資金として10億円の短期運転資金を銀行借入にて調達した結果であります。

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ14億7千8百万円増加し、481億4千3百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益が配当支払額を下回ったことにより利益剰余金が1億1千5百万円減少した一方、昨年度末からの株価上昇に伴う保有株式及び退職給付信託の評価増などにより、その他の包括利益累計額が15億7千9百万円増加したことなどによります。この結果、自己資本比率は52.6%となりました。

(当連結会計年度における自己資本比率及び1株当たり純資産は、純資産より新株予約権・非支配株主持分を控除して計算した比率を用いております。)

2) 経営成績

当連結会計年度(2020年4月1日~2021年3月31日)の世界経済は、年度のはじめにおいて新型コロナウイルスの感染拡大による急激な停滞が生じたものの、中国市場がいち早く回復に転じ、全般的には緩やかな回復基調で推移いたしました。当社グループに関わるエレクトロニクス市場では、自動車や情報通信市場が早期に回復に転じ、巣ごもり需要を起点とした家電関連製品の高水準の需要が継続しました。また秋口以降は、産業機械市場が急速に回復に向かいました。その一方で、新型コロナウイルス感染症は収束に至らず、半導体供給不足や、銅をはじめとする原材料価格の高騰、ミャンマーの政情不安など、新たな不安要素が顕在化いたしました。

こうした状況のもと、当社グループの事業所や工場は、所在する各国の政府や自治体からの新型コロナウイルス感染拡大防止に関する指針に従うとともに、テレワークや時差勤務などの様々な対策を講じ、感染拡大防止と事業継続の両立を進めてまいりました。また、経費管理の徹底や設備投資の見極めにより、コスト削減を図りました。

その結果、当社グループの当連結会計年度の状況といたしまして、売上高は739億6百万円(前期比7.2%減)、営業利益は19億6千9百万円 (同14.0%減)、経常利益は雇用調整助成金などの計上があり23億8千4百万円(同5.0%減)となりました。

なお、中国子会社の移転や人事制度改定に伴う特別退職金、坂戸事業所建て替えによる固定資産除売却損などにより7億4百万円の特別損失を計上し、環境車用リアクタの工場建設に関する投資奨励金や投資有価証券売却益により5億8千8百万円の特別利益を計上しました。

また、原材料価格の上昇傾向、米中間での対立激化など、今後の不確実な経営環境を踏まえ、繰延税金資産の回収可能性について慎重に検討を行った結果、繰延税金資産7億5百万円を取り崩すこととなりました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は5億4千2百万円(前期比47.0%減)となりました。

セグメントの業績は、次のとおりであります。

なお、売上高はセグメント間の内部売上高を含めており、セグメント利益はセグメント間取引消去及び本社部門負担の未来開発研究費用控除前の営業利益と調整を行っております。

 

(電子部品関連事業)

電子部品関連事業は、在宅需要を背景とした電動工具向けチャージャの好調が継続し、秋口以降は、産業機械関連顧客向けのトランス・リアクタが急速に回復へ転じました。環境車向けのリアクタは、コロナ感染拡大前に想定した中期計画の水準には至りませんでしたが年初に予想した水準は維持いたしました。一方、銅・鉄・石油化学製品などの原材料価格の高騰や、中国の生産拠点における米ドルに対する人民元高が利益を押し下げる要因となりました。更に、中国・深圳工場のチャージャ生産機能を2020年10月に蘇州の新工場に移管し稼働を開始した時期が、チャージャをはじめとするユニット製品の急激な需要増加時期と重なったことにより、生産効率が悪化しコストが増加いたしました。なお、トランス・リアクタの主要な材料である銅については、すでに多くの顧客と相場連動による価格改定制度を導入しておりますが、鉄についても同様の交渉を進めております。また、チャージャなどのユニット製品では、半導体や石油化学製品に関する相場連動価格改定を、2021年度より一部の顧客で開始する予定であります。

自動販売機向けの商品選択ボタンを主力とするLED関連製品については、新型コロナウイルスの感染拡大や国際的なスポーツイベントの延期に伴う客先の大規模な設備投資抑制により、期待した水準に大きく至らない結果となりました。2021年度より、新市場へ見守りセンサなどの新製品投入を予定しております。

その結果、売上高は477億5千1百万円(前期比6.1%減)、セグメント利益は1億6千5百万円(同40.0%減)と、減収減益になりました。

(電子化学実装関連事業)

電子化学事業は、年度のはじめは新型コロナウイルスの感染拡大による停滞が生じたものの、中国市場の生産活動の回復と共に車載用のソルダーペースト・ソルダーレジストの生産が高まり、スマートフォン向けのフレキシブル基板用ソルダーレジストも堅調に推移いたしました。一方、足元ではソルダーペーストの原材料である金属価格の上昇が、利益の押し下げ要因として懸念される状況になっております。ソルダーペーストの主要な材料である錫については、すでに一部の取引先で相場連動の価格改定を導入しておりますが、2021年度には更に多くの取引先に導入が広がるように交渉を進めております。

実装装置事業については、主要取引先である日系メーカー各社の設備投資が慎重で、期の前半では新型コロナウイルス感染拡大の影響により顧客訪問による装置据え付けや保守作業もままならず、厳しい売上が継続いたしました。受注については、エレクトロニクス市場の生産活動の復調とともに、第3四半期を底に徐々に回復しております。

その結果、売上高は227億4千3百万円(前期比10.6%減)、セグメント利益は21億4千8百万円(同15.8%減)と、減収減益になりました。

(情報機器関連事業)

情報機器関連は、主力とする放送設備更新関連の売上が年度末に集中することから、第1四半期から第3四半期は利益を確保するには十分な売上を得られず苦戦いたしました。しかし、第4四半期に計画していた売上を確実に確保することで、年間では黒字化いたしました。主力取引先である放送業界を取り巻く市場環境は厳しく、過去と比較すると安定的に売上・利益を確保できておりません。こうした状況に対して、将来を見据えた新製品の開発・市場投入を鋭意進めております。

その結果、売上高は34億7千4百万円(前期比0.7%減)、セグメント利益は2億7千9百万円(同264.2%増)と、減収増益になりました。

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)につきましては、主に営業活動の結果獲得した資金が増加したため、前連結会計年度末に比べ10億7千万円増加し、171億8千7百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は50億4千9百万円で、前期に比べ4億6百万円獲得額が減少(前期比7.5%減)しました。これは主に、税金等調整前当期純利益の減少及びたな卸資産の増減額が減少から増加へ転じたことなどによります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は30億5千2百万円で、前期に比べ19億2千1百万円使用額が減少(前期比38.6%減)しました。これは主に、前期は坂戸事業所の建て替えといった多額の支出が発生した一方、当期は投資有価証券の売却による収入が3億7百万円発生したことなどによります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は7億6千7百万円で、前期に比べ6億2千6百万円使用額が増加(前期比443.6%増)しました。これは主に、前期の長期借入による収入が45億5千7百万円と多額(当期は1億5千2百万円)であったことなどによります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

電子部品関連事業

47,667

94.9

電子化学実装関連事業

22,627

89.0

情報機器関連事業

3,229

89.4

報告セグメント計

73,524

92.8

合計

73,524

92.8

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.金額は、販売価格によっております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2) 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

電子部品関連事業

50,901

99.4

24,629

114.7

電子化学実装関連事業

19,951

72.0

8,583

75.6

情報機器関連事業

2,882

70.6

961

63.3

報告セグメント計

73,735

88.9

34,173

99.5

合計

73,735

88.9

34,173

99.5

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

電子部品関連事業

47,749

93.9

電子化学実装関連事業

22,715

89.6

情報機器関連事業

3,441

100.0

報告セグメント計

73,906

92.8

合計

73,906

92.8

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は739億6百万円と前期比7.2%減、営業利益は19億6千9百万円と前期比14.0%減となりました。この結果の背景には、年度のはじめにおける新型コロナウイルスの感染拡大による急激な経済活動の停滞、銅をはじめとする原材料価格の高騰、中国の工場移転と需要急激な増加が重なったことによる生産効率の悪化などがあります。当社グループに関わるエレクトロニクス市場では、自動車や情報通信市場が早期に回復に転じ、巣ごもり需要を起点とした家電関連製品の高水準の需要が継続するなど、全般的には緩やかな回復基調で推移いたしましたが、年度はじめの落ち込みを払しょくするには至らず減収減益となりました。

当社グループは、経営成績に影響を与える要因として、グローバルな市場環境の変化に加え、一部の事業・製品に利益が偏っていることで、そこに影響が及ぶと利益面でより大きな変動が生じる可能性があることを課題と認識しております。当社グループは電子部品・電子化学実装・情報機器と多様な製品を扱っておりますが、安定的な売上・利益の確保を目指し、各事業の関連性を高めベストプラクティスを共有するとともに、新たな市場・製品を開発する取組みを進めております。新たな戦略製品を創造するなどシナジー効果を高めながら「Oneタムラ」としてグループ一丸となって、確実な成長が見込まれている「車載」「パワーエレクトロニクス」「IoT・次世代通信」の3つの市場に取り組み、グループ全体の収益性を確実に向上させる企業体質を構築していきます。

経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、収益性の向上の目標として「営業利益率」、資本効率に関する目標として「ROE」を採用しております。

 

 

第12次中期第1年度

2019年度実績

第12次中期第2年度

2020年度実績

第12次中期最終年度

2021年度目標

100周年

2024年度目標

営業利益率

2.9%

2.7%

4.0%

10.0%以上

ROE

2.2%

1.2%

4.5%

10.0%以上

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

(電子部品関連事業)

電子部品関連事業は、銅・鉄・石油化学製品などの原材料価格の高騰、中国の生産拠点における米ドルに対する人民元高、中国・深圳工場のチャージャ生産機能を2020年10月に蘇州の新工場に移管し稼働を開始した時期が、チャージャをはじめとするユニット製品の急激な需要増加時期と重なったことなどによるコスト増加などにより、減収減益となりました。原材料価格の変動に対して、トランス・リアクタの主要な材料である銅については、すでに多くの顧客と相場連動による価格改定制度を導入しておりますが、鉄についても同様の交渉を進めております。チャージャなどのユニット製品では、半導体や石油化学製品に関する相場連動価格改定を、2021年度より一部の顧客で開始する予定であります。中国の新工場における生産性の悪化についても、自動化ラインの投入や工場運営の安定化により改善を見込んでおります。

当事業は安定収益の確保を重要課題と認識しておりますが、製品面ではカーボンニュートラルで注目の高まる風力発電用に、収益性の比較的高い大型トランス・リアクタの売上が確実に伸長しております。また、素材からの一貫生産をほぼ自動化で行う車載用昇圧リアクタの専門工場が埼玉県坂戸市と中国佛山市に完成し、これらで本格量産が行われるようになった際には収益性向上への寄与を期待しております。当社グループ共通のITシステムによる個別原価管理の徹底、「地開(開発)地承(承認)」体制の構築などを引き続き推進するとともに、成長市場である「車載」「パワーエレクトロニクス」「IoT・次世代通信」にフォーカスして新市場拡大・新製品創出に取り組み、収益性を高めてまいります。

 

(電子化学実装関連事業)

電子化学実装関連事業は、当社グループの中においては収益性が高く当社グループの利益を牽引しておりますが、年度はじめの新型コロナウイルス感染拡大による停滞、実装装置に関する主要顧客の設備投資抑制などから、減収減益となりました。しかし、中国市場の生産活動の回復とともに車載用のソルダーペースト・ソルダーレジストの生産が高まり、スマートフォン向けのフレキシブル基板用ソルダーレジストも堅調に推移いたしました。実装装置事業についてもエレクトロニクス市場の生産活動の復調にともない徐々に回復しております。

足元では、ソルダーペーストの原材料である金属価格の上昇が利益の押し下げ要因として懸念される状況になっておりますが、主材料である錫はすでに一部の取引先で相場連動の価格改定を導入しており、2021年度には更に多くの取引先に導入が広がるよう、交渉を進めております。また、電子化学事業においては、車載関連企業が集積する欧州エリアにおけるソルダーペースト関連製品の生産や、タイ新工場における顧客の認証取得などが進展しております。市場の回復を確実に捉え、製品開発及び顧客開拓に一層力を入れてまいります。

(情報機器関連事業)

情報機器関連事業は、主力取引先である放送業界を取り巻く市場環境は厳しいものの、第4四半期に計画していた売上を確実に確保することで、減収増益となりました。しかし、過去と比較すると安定的に売上・利益を確保できておりません。音声卓のネットワーク化対応や見守り用人感センサを手掛けている当社グループ会社の㈱光波との協業による「IoT・次世代通信」市場に向けた新製品の創出など、将来を見据えた新製品の開発・市場投入を鋭意進めてまいります。

② 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループは、設備投資及びその他の事業資金については、自らの事業活動により獲得した内部資金で対応することを基本方針としております。しかし成長投資や一時的な運転資金の充足のために資金需要が生ずる場合には、時々の金融市場の状況を踏まえた適切な手段により外部からも調達できるよう多様化を図っており、現時点においては銀行からの借入を実施しております。

当連結会計年度は、新型コロナウイルスの感染拡大による不測の事態に備え、機動的な短期運転資金としてコミットメントライン契約を総額50億円に増枠し、同理由で10億円の短期運転資金を銀行借入調達して、手許流動性を高められるよう対応しております。

今後の主要投資案件として、引き続き車載関連事業への投資を予定しております。

当社グループは第12次中期経営計画において、「環境車向け昇圧リアクタ」の拡大を、電子部品関連事業の重要成長戦略の1つとして掲げております。当社坂戸事業所の生産能力を引き上げるべく工場設備の増設を行い、更に、初の海外における「環境車向け昇圧リアクタ」専用工場として中国佛山市に「田村汽車電子(佛山)有限公司」を設置いたしました。両新工場とも建屋は完成しており、2021年度に生産設備を導入して生産を立ち上げます。自己資本の他、国内投資についてはファイナンス・リースを、中国子会社は銀行借入を利用いたします。

③ 重要な会計上の見積り方針及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

5【研究開発活動】

当社グループは、「オンリーワン・カンパニーの実現」を経営スローガンに、タムラならではの「オンリーワン技術」で市場ニーズに応える製品づくりを目指して、研究開発活動を推進しております。

当連結会計年度における研究開発活動は、当社グループの中期経営計画で成長戦略に掲げる「車載」・「パワーエレクトロニクス」・「IoT・次世代通信」という3つの市場で期待される技術開発を中心に実施いたしました。

当連結会計年度における各セグメント別の研究開発活動は、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

電子部品関連事業

130

電子化学実装関連事業

266

情報機器関連事業

221

報告セグメント計

618

全社(共通) (注)

256

合計

874

(注)「全社(共通)」の区分は、各セグメントに配分できない未来開発研究費用であります。

① 電子部品関連事業

電子部品関連事業は、車載・パワーエレクトロニクス関連において、将来の市場拡大が期待される製品の開発を強化しております。

主な研究開発内容と開発成果は次のとおりであります。

・世界的に市場拡大の著しい電動化車両用途として、宇宙用途等で長年培ってまいりました高信頼性製品のノウハウが応用され、ハイブリッド自動車・プラグインハイブリッド車・燃料電池車・電気自動車などの基幹システムである昇降圧チョッパー回路に適用される「車載用リアクトル」の開発を進めております。また、リアクトル用途に特化した自社開発コア(鉄心)を使用した小型・高性能・低損失なリアクトルを開発し、様々な電動化車両への採用が進展しております。

`・電動化の進む車載市場に向けて、電流センサの開発を進めております。電流レンジ・精度レンジの充実したラインナップを揃えて、省エネ・創エネ・蓄エネなどの場面で使用されることを想定しております。

・インバータなどで使用される大電力パワースイッチング半導体の駆動に使用する「ゲートドライバモジュール」を開発しております。IGBT、SiC-MOSFETのどちらにも対応可能で、機器の設計を大幅に簡素化します。風力発電や鉄道などでの需要の拡大を見込んでおります。

研究開発費用は、1億3千万円であります。

② 電子化学実装関連事業

電子化学実装関連事業は、車載市場・IoT市場を中期成長戦略に掲げ、電子化学材料から実装装置まで、エレクトロニクス実装における幅広い分野においてコア技術開発・製品開発を推進しております。

主な研究開発内容と開発成果は次のとおりであります。

・厳しいヒートサイクル基準が求められるハイブリッド自動車・電気自動車のECU/PCU向けに、高耐熱Pbフリー合金「#287」を開発いたしました。

・実装業界では放熱改善のためのQFN下面電極のボイド低減やBGAの未融合改善、酸化が進行した電子部品へのぬれ性の確保など、多種多様な要求がお客様から寄せられてきております。一般実装向けPbフリーソルダーペースト「TLF-204シリーズ」は、こうした様々なニーズにこたえる製品ラインナップを取りそろえました。

・既存の印刷工法では位置合わせの難しいFPC基板、印刷難度の高いキャビティを有する基板、立体的な基板のはんだ付といった用途において、非接触のはんだ塗布としてジェットディスペンス工法の適用が検討されております。「JDSシリーズ」は、塗布径に合わせてSAC305で2種のソルダーペーストを製品化し、ジェットディスペンスにおける吐出安定性と飛び散り低減に対応しております。

・フレキシブル基板用写真現像型白色液状ソルダーレジスト「RPW-300シリーズ」は先進樹脂設計技術により優れた折り曲げ性能、高反射率、高解像性、低露光量を実現した白色ソルダーレジストです。ミニLEDバックライト基板などの次世代ディスプレイ用途や高意匠性車載LED用途に適しております。

・リフロー装置「TNV VersionⅢ」は、炉内の汚れを大幅に低減し、メンテナンスサイクルの延長・改善を実現いたしました。最新の革新技術により、生産機会損失を大幅に低減いたします。

研究開発費用は、2億6千6百万円であります。

 

③ 情報機器関連事業

情報機器関連事業では、ネットワーク化や多様化する情報サービスのニーズに対応した開発を推進しております。

主な研究開発内容と開発成果は次のとおりであります。

・フルIP対応音声調整卓「NTXシリーズ」を開発いたしました。IP伝送規格「SMPTE ST 2110」に対応しており、コンソールサーフェースのサイズは「NTX800」・「NTX600」・「NTX300」の3サイズを用意。フルIPシステムを採用し、使用用途に合わせて柔軟なシステム運用の提案が可能な製品であります。

研究開発費用は、2億2千1百万円であります。

④ 未来開発関連事業

未来開発関連事業では、当社のカーブアウトベンチャーであり、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の技術移転ベンチャーとしての認定会社である、㈱ノベルクリスタルテクノロジーと共同で酸化ガリウムを用いたパワーデバイスの開発を推進しております。

主な研究開発内容と開発成果は次のとおりであります。

・β-Ga2O3を使ったパワーデバイスは低コストと高性能を両立できる製品であり、省エネ型社会の実現に向け、その期待は益々高まっております。超低損失大電流のパワーデバイスの実現を可能とするβ-Ga2O3の4インチエピタキシャルウエハの高品質化及び量産の立ち上げ、並びに2022年度販売開始予定のショットキーバリアダイオードの製品開発を進めております。

研究開発費用は、2億5千6百万円であります。