第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

当社グループは、コーポレートスローガンを「オンリーワン・カンパニーの実現を目指す」と掲げ、経営の基本方針を企業理念として以下のとおり定めております。

MISSION

私たちは、タムラグループの成長を支える全ての人々の幸せを育むため、世界のエレクトロニクス市場に高く評価される独自の製品・サービスをスピーディに提供してまいります。

VISION

① タムラグループは、世界的視野にたち、エレクトロニクス産業が求める事業を経営基盤とします。

② タムラグループは、市場本位をつらぬき、世界のお客様が求める技術を事業基盤とします。

③ タムラグループは、公正な視点で社員を評価し、努力によって成果をもたらす人を最も賞賛します。

④ タムラグループは、国際社会の一員として行動し、各国の法規制を順守し文化・慣習を尊重します。

⑤ タムラグループは、地球環境の保全に努め、資源の有効化と再資源化を推進します。

GUIDELINE

① 私たちは、パートナーシップを大切にする。

② 私たちは、革新する勇気を大切にする。

③ 私たちは、多彩な個性を大切にする。

④ 私たちは、社会的な責任を大切にする。

(2) 中長期の経営戦略

当社グループでは、上述の経営方針に基づき、長期ビジョンと中期経営計画を策定し事業戦略を展開しております。

① 第12次中期経営計画(2019年4月1日~2022年3月31日)の振り返り

当社グループは、2019年4月1日から2022年3月31日までの3年間を対象とする、第12次中期経営計画「Biltrite Tamura GROWING ANEW」に取り組んでまいりました。この期間は、2020年初旬から新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が始まり、感染防止対策と企業活動の両立という想定外の対応が求められる3年間となりました。

当社グループが事業を行うエレクトロニクス市場においても企業活動に大きな影響が出たものの、感染拡大を契機とした巣ごもり需要や工場の自動化ニーズの高まりにより、家電や産業機械関連の分野を中心に比較的早期に需要回復が進みました。一方で、サプライチェーンの分断による部材供給不足や価格高騰の影響も大きく受けました。当社グループの主力製品であるトランス・リアクタ・ソルダーペーストで使用される銅、鉄、錫などの素材価格は急激に上昇し、価格転嫁などの取組みを鋭意進めたものの事業の収益性が悪化いたしました。

この結果、第12次中期経営計画の財務指標は遺憾ながら大きく未達に終わりました。

 

計画

実績

達成率

売上高(億円)

1,000

883

88%

営業利益率

8.0%

1.8%

23%

ROE

9%以上

△0.2%

 

他方、事業の土台作りについては一定の成果がみられました。Oneタムラ活動により、事業部の壁を越えた研究開発や営業活動が進展しました。成長分野として期待している車載分野については、計画通り中国・日本での増産体制が整いました。これらは、素材から完成品までを一貫生産することができる、自動化された最新鋭の工場であります。一方、中国ではコストベースの改善につながる拠点再編も行いました。華南地区では、深圳と恵州にある電子部品の二大工場をスマートファクトリーとして再構築いたしました。また、チャージャの専門工場を、重要顧客に隣接する華東エリアに新設し、物流や倉庫費用の削減を図っております。サステナビリティ面ではマテリアリティを定義し、また温室効果ガス削減についても計画値の見直しを行いました。

 

② 長期ビジョン

当社グループが100周年を迎える2024年を最終年度とする第13次中期経営計画を策定するにあたり、長期ビジョンを見直しました。取締役も入り議論を重ね、創業の精神や企業理念を基盤とし、事業課題、環境・社会課題、ステークホルダー課題などを踏まえて、長期ビジョンを「世界のエレクトロニクス市場に高く評価される脱炭素社会実現のリーディングカンパニー」と設定いたしました。第13次中期経営計画は、長期ビジョン実現のための第一歩となります。

 

③ 第13次中期経営計画(2022年4月1日~2025年3月31日)

第13次中期経営計画「Energize the Future 100」においては、世界的なカーボンニュートラルへの潮流を事業機会ととらえ、創業100周年とその先の力強い未来を創る変革を進める構想であります。

世界に展開する当社グループにとって、地球環境の変化、地政学的変化、技術の進化、人的資本の重大性増大など、今後とも大きな事業環境の変化が継続すると想定されております。その中で、機敏に機会をつかみ、リスクを低減することが、企業価値創出の根幹と考えております。第13次中期経営計画ではサステナビリティ戦略と事業戦略の統合を更に深化させ、全社一体となって不確実な未来に立ち向かいたいと考えております。

0102010_001.png

a.事業戦略と財務目標

事業戦略は、①新製品・新事業創出とグローバル展開による成長戦略と、②収益及び資産効率向上の二本柱で進めます。

まず、成長戦略においては、カーボンニュートラルに貢献する分野としてパワーエレクトロニクス、モビリティ、及びIoTの3分野に引き続き注力します。成長に向けて、新製品・新技術による売上比率を現在の一桁台から30%にすること、また、欧米市場向けの売上比率を10%台から20%超へ引き上げることを目標として設定いたしました。事業部間の融合施策を進め、課題である電子部品事業の収益力を強化し、電子化学実装事業とともに当社を支える両輪となる事業に育てる計画であります。

次に、事業収益・資産効率向上については、以下のとおり財務目標を掲げております。

■財務目標

 

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

営業利益(億円)

30

50以上

60以上

営業利益率

3.2%

5%

6%

ROE

8%

 

■財務目標達成のためのガイドライン

 

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

連結売上高(億円)

940

約1,000

1,000以上

事業別営業利益率

 

 

 

電子部品

1.5%

4%

5%

電子化学実装

8.7%

9%

10%

情報機器

4.2%

12%

15%

ROIC

6%

 

第12次中期経営計画で苦戦した利益率の改善を早期に行い、業績を立て直すことを最優先とします。価格転嫁やコスト管理の徹底、成長戦略を通じた高付加価値品の拡大に加え、前中期経営計画で進めた生産改善の効果を実現し、収益性の改善を図ります。車載分野における日本・中国の新工場が本稼働を開始するなど、第12次中期経営計画中に行った施策について、第13次中期経営計画では成果の確実な刈り取りを進めます。また、社内ではROICを指標として採用し、資産効率向上を図ります。

b.サステナビリティ戦略

さらに、これら事業戦略と両輪で進めるサステナビリティ戦略については、マテリアリティを軸に展開してまいります。マテリアリティについては、ステークホルダーにとっての重要性と当社グループにとっての重要性という二つの軸を基準に選定し、2021年5月に発表したものでありますが、中期経営計画の議論の過程でその項目を一部見直し、KPIと目標を設定しました。

0102010_002.png

サステナビリティの中でも重要視している、温室効果ガス削減については、2030年までに2013年対比で51%削減することとしております。第13次中期経営計画期間においては、それに向けて33%の削減を目標としております。その達成に向けて、自社工程の省エネによる電気使用量削減に取り組むとともに、太陽光発電設備の設置や再生エネルギーの調達にも力を入れてまいります。2023年3月期には国内主要5拠点(本社、坂戸、入間、狭山、児玉)の再エネ使用率100%を実現する予定で、目標に向けて大きく前進できる見込みであります。

また、「人が憧れる会社」、「人が集まる会社」を目指し、働きがいの実現を図ります。人材戦略として、人権・安全教育の充実、心理的安全性プログラムの展開などを進め、グローバルに実施する従業員サーベイの結果を年3ポイントずつ向上させることを目標といたします。日本では、グローバルなステークホルダーの期待に応えられる多様性を確保することを目的に、管理職における女性比率、外国人比率、及び中途採用比率を、2025年3月期にそれぞれ10%、5%、及び50%とすることを目標としております。

タムラグループは、事業戦略とサステナビリティ戦略を統合し、創業100周年とその先の力強い未来を創る変革に取り組んでまいります。

2【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。事業等のリスクはこれらに限られるものではなく、また、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響は合理的に予見することが困難であるため、記載しておりません。

当該リスクへの対応として、各種社内規程を定める所轄部門が管理し、内部監査部門が内部統制の指導、監督及び運用状況の評価を行い、リスク軽減を図っております。詳細については、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③企業統治に関するその他の事項 a.会社の機関の内容及び内部統制システムの整備の状況」をご参照ください。

(1) 事業環境に関するリスク

当社グループは、成長戦略として「パワーエレクトロニクス」・「モビリティ」・「IoT」の3分野に注力して取組みを進めております。特にモビリティに関する領域は、電子部品・電子化学材料・実装装置といった当社グループの幅広い製品が関わり、中長期的な成長を期待して開発投資や設備投資を進めてまいりました。足元では、欧州で国家方針として急速に電気自動車への転換が進められており、日系車載メーカーも従来から取り組んできたハイブリッド車に加えて電気自動車の開発に乗り出しています。こうした各国の政策や、顧客の事業方針の変更は、当社グループ製品の使用場面に変化をもたらす可能性があります。それにより当社グループ製品の普及拡大が想定通りに進まなかった場合には、設備投資の回収が遅れるなど、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、市場のニーズを常に見極め、時代の変化を先取りした製品・サービスの提供に努めて、リスクの回避と成長戦略の推進に努めてまいります。

(2) 素材価格に関するリスク

電子部品関連事業における銅や鉄、電子化学実装関連事業における錫や石油化学製品などの素材価格の変動は、利益に対して影響を与えるリスクがあります。主要な素材については、定期的な相場連動による価格改定により価格変動の影響を吸収できるように対策しておりますが、素材価格が急激に上昇を続けて価格改定が追い付かないような場面では、一時的に企業収益を圧迫する可能性があります。当社グループでは、価格改定に加えて、設計変更による材料比率の低減や代替部材の設定、予約購入によるリスクヘッジなどの手段なども講じて、素材価格の影響の低減を総合的に進めてまいります。

(3) 海外展開におけるリスク

当社グループは、中国に多くの生産拠点を配置し、その生産高は当社グループ全体のおよそ半分を占めております。競争力のある製品の製造と中国市場の展開のためにその重要性は変わりませんが、世界の経済圏の分断が進んでいる中で、各国の政策動向によっては事業活動に困難が生じる可能性があります。当社グループは中国の他にも、アセアンや欧米などでも主要製品の生産が可能であり、今後地産地消をより強化して、エリア毎における対応力を高めてまいります。

(4) 自然災害をはじめとする緊急事態に対するリスク

当社グループの本社所在地は東京にあり、埼玉県及び東北地方に製造拠点を配置しております。日本の生産高はグループ全体の3割程度でありますが、電子化学事業では、日本の製造事業所が生産した材料を用いて生産活動を行う海外拠点もあり、当該地域で大地震が発生した場合には、建物や機械設備、棚卸資産の被害に加え、日本のみならず海外拠点の生産活動に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは、日本の他にも、中国・アセアン・欧米といった世界各地で事業活動を行っており、各国で生じる可能性のある様々な自然災害のほか、政治的要因や経済的要因による社会的混乱などでも、事業活動の停止や遅延が生じる可能性があります。

当社グループでは、こうしたリスクを踏まえて緊急事態対策マニュアルを整備して、グローバルな販売・生産体制連携で事業継続できるように対策しております。また、情報システムの免振施設への移設、社員安否確認システム構築、災害発生時の初動対応策定、復旧計画の策定などの取組みを行っております。

(5) 感染症のリスク

当社グループは、新型コロナウイルス感染症の拡大に対して、顧客、取引先、従業員などの安全を最優先に、各種感染防止対策を行いながら、事業活動を継続させてまいりました。具体的には、本社に危機管理室を設置して、海外を含む当社グループ各社と連携のうえ、衛生管理の徹底、Web会議システムの活用、在宅勤務、時差通勤、交代制勤務などの導入を進めました。

今後も新型コロナウイルス感染症や、新たな感染症の発生により、通常の事業活動を行えなくなるリスクがありますが、新型コロナウイルスの拡大に際して構築した感染防止対策は活用できるものであり、適時適切な対応を進めてまいります。

(6) 製品補償に関するリスク

大規模な製品補償や製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、会社の評価に重大な影響を与え、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。対策として、製造物責任賠償保険に加入しておりますが、保険で賠償額を十分にカバーできる保証はありません。

これに対して、当社グループでは日常的に実施している製品不具合再発防止策に加え、工場監査チェックシートの改訂、当社グループ内における品質指標の標準化、国際的な品質マネジメント規格の技法を活用した品質保証プロセスの改善の導入などにより、品質を強化する取組みを進めております。

(7) 知的財産権に関するリスク

当社グループは、独自に開発した設計・製造過程に関する技術及び製品等の特許権やその他の知的財産権を所有しております。これら知的財産保護のための様々な取組みを行っておりますが、完全な保護は難しく、想定している効果を得られない可能性があります。また、当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないよう留意し、調査を行っておりますが、全ての知的財産権を完全に調査完了することは時間・コスト・技術的観点より困難であり、また特許権利者が自己の知的財産権をどのように解釈し、どの範囲まで権利行使手続きを行うかを予想することは極めて困難であります。万一、当社グループの製品が第三者の知的財産権に近似する場合には、当該第三者より損害賠償請求、使用差し止め等の訴えを起こされる可能性があり、当社グループは和解やライセンス契約の締結、又は多額の損害賠償金の支払いが必要となる可能性や、当社グループの製品やサービスの一部が差し止めとなる可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

1) 財政状態

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ129億9千万円増加し、1,040億5千5百万円となりました。流動資産は84億9百万円、固定資産は45億8千1百万円増加しております。これは主に、流動資産は棚卸資産の増加、固定資産は中国における工場新設や移転に伴う投資を中心とした有形固定資産の増加によります。

当連結会計年度の負債の合計は、前連結会計年度末に比べ109億1千2百万円増加し、538億3千3百万円となりました。これは主に、借入金の増加によります。

有利子負債合計(短期借入金・1年内返済予定の長期借入金・短期リース債務・長期借入金及び長期リース債務の合計額)は86億6千5百万円増加し、311億8千5百万円となりました。

当連結会計年度の純資産は、前連結会計年度末に比べ20億7千8百万円増加し、502億2千1百万円となりました。これは主に、為替換算調整勘定が26億9千3百万円増加したことによります。この結果、自己資本比率は47.99%となりました。

(自己資本比率は、純資産より新株予約権・非支配株主持分を控除して計算した比率を用いております。)

2) 経営成績

当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が継続するものの、国や地域により制限と緩和を繰り返しながら、概ね回復基調で推移いたしました。当社グループが関わるエレクトロニクス市場においても、経済活動の回復とともに産業機械や家電関連では高水準の需要が続きましたが、自動車関連では、半導体をはじめとする部材調達の遅れによる生産調整で減産となりました。また、電子機器の製造で使用される銅や鉄、接合材の原材料となる錫などの素材価格の高騰により、事業活動には難しい局面が続くとともに、ロシアのウクライナ侵攻、中国における新型コロナウイルス感染症の再拡大、世界的なインフレーションの進行など、先行きの不透明感が増しています。

こうした経営環境のもと、当社グループでは新型コロナウイルス感染防止対策を徹底しながら、「車載」・「パワーエレクトロニクス」・「IoT・次世代通信」という3つのターゲット市場に向けた開発・生産・販売活動を推進いたしました。産業機械や家電関連を中心に売上は伸長した一方、素材価格の高騰は当社の主力事業である電子部品関連事業と電子化学実装関連事業の両方に及び、相場連動による価格改定活動は売上高を押し上げた効果はあったものの利益率の改善まで至らず、前期に対して採算が悪化する結果となりました。但し、第4四半期には相場連動による価格改定の効果などにより利益率が復調しております。

その結果、当社グループの当連結会計年度の状況といたしまして、売上高は883億2千8百万円(前期比19.5%増)と伸長いたしましたが、営業利益は15億6千4百万円(同20.5%減)、経常利益は20億1百万円(同16.1%減)と減益となりました。

なお、親会社株主に帰属する当期純損失は8千4百万円(前期は5億4千2百万円の当期純利益)と大きな減益となりました。これは、当社の連結子会社であるオプシード・バングラデシュ・リミテッドにおいて、主力とする自動販売機向け商品選択ボタンの生産が減少し、所有する固定資産に対する将来の回収可能性を検討した結果、2022年3月期第4四半期において、減損損失5億3百万円を特別損失として計上したことが主な要因であります。

セグメントの業績は、次のとおりであります。

なお、売上高はセグメント間の内部売上高を含めており、セグメント利益はセグメント間取引消去及び本社部門負担の未来開発研究費用控除前の営業利益と調整を行っております。

 

(電子部品関連事業)

電動工具向けチャージャ、エアコン向けリアクタ、産業機械向けトランス・リアクタなどの売上が年間を通じて堅調に推移いたしました。一方、自動車関連の顧客では、半導体不足や新型コロナウイルス感染症拡大に伴う生産調整の影響を受け、納品制限のため売上が見込より減少しました。自動販売機向けLED製品は、市場環境が厳しく、期待した売上を確保できませんでした。利益面では、当年度前半は銅・鉄などの素材価格の高騰の影響を大きく受けましたが、同後半には相場連動による価格改定の効果が追い付いてまいりました。

その結果、売上高は592億5千8百万円(前期比24.1%増)、セグメント利益は5億6千2百万円(同240.5%増)と、増収増益となりました。

(電子化学実装関連事業)

エレクトロニクス市場における生産活動の回復により、ソルダーペースト、ソルダーレジストなどの電子化学材料の販売が堅調に推移いたしました。また、リフロー装置を中心とした実装装置も、主要顧客である日系車載メーカー向けを中心に回復基調で推移いたしました。その一方で、ソルダーペーストの主要な原材料である錫の価格の高騰が年間を通じて継続し、相場連動による価格改定制度の導入や個別価格改定交渉を進めてまいりましたが、価格是正が追い付かず減益となりました。

その結果、売上高は271億3千1百万円(前期比19.3%増)、セグメント利益は20億9千8百万円(同2.3%減)と、増収減益となりました。

(情報機器関連事業)

主力製品である放送機器に関して、ネットワーク化をはじめとする将来の技術変化を見据えた新製品の開発を進め、第4四半期に顧客へ納品することで利益の確保を予定しておりました。しかしながら、半導体をはじめとする部材の調達難により納品が先送りとなり、当期の売上が大幅に減少いたしました。

その結果、売上高は20億7千9百万円(前期比40.2%減)、セグメント損失は6億3千8百万円(前期は2億7千9百万円のセグメント利益)と、減収及び赤字となりました。

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)につきましては、前連結会計年度末に比べ43億円減少し、128億8千7百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、減価償却費が33億6千1百万円、税金等調整前当期純利益が12億1千万円となりましたが、棚卸資産の増加が66億6千5百万円、売上債権の増加が25億4千4百万円となったことなどにより、49億4千9百万円の資金支出となりました。また、前連結会計年度と比べ、営業活動によるキャッシュ・フローは、99億9千8百万円減少しました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、中国における工場の新設や移転を中心とした有形固定資産の取得による支出が32億9千4百万円となったことなどにより、46億2千2百万円の資金支出となりました。また、前連結会計年度と比べ、投資活動によるキャッシュ・フローは、15億7千万円減少しました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金を8億1千7百万円支払いましたが、短期運転資金及び中国設備投資資金などを用途とした短期並びに長期借入金の純増加額が61億8千4百万円となったことなどにより、45億3千6百万円の資金収入となりました。また、前連結会計年度と比べ、財務活動によるキャッシュ・フローは、53億3百万円増加しました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

電子部品関連事業

61,527

129.1

電子化学実装関連事業

27,669

122.3

情報機器関連事業

2,101

65.1

報告セグメント計

91,298

124.2

合計

91,298

124.2

(注)1. セグメント間取引については、相殺消去しております。

2. 金額は、販売価格によっております。

2) 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

電子部品関連事業

91,683

180.1

57,057

231.7

電子化学実装関連事業

27,516

137.9

9,037

105.3

情報機器関連事業

4,219

146.4

3,168

329.7

報告セグメント計

123,418

167.4

69,264

202.7

合計

123,418

167.4

69,264

202.7

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

電子部品関連事業

59,255

124.1

電子化学実装関連事業

27,061

119.1

情報機器関連事業

2,011

58.5

報告セグメント計

88,328

119.5

合計

88,328

119.5

(注)1. セグメント間取引については、相殺消去しております。

2. 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2020年4月 1日

至  2021年3月31日)

当連結会計年度

(自  2021年4月 1日

至  2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

牧田(昆山)有限公司

4,500

6.1

7,429

8.4

株式会社マキタ

1,346

1.8

1,998

2.3

マキタ EU S.R.L.

1,475

2.0

1,930

2.2

合計

7,322

9.9

11,358

12.9

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は883億2千8百万円と前期比で19.5%増加したのに対して、営業利益は15億6千4百万円と前期比で20.5%減少いたしました。営業利益率は、2021年度を最終年度とする第12次中期経営計画で目標とした8%に遠く及ばない1.8%という結果に終わり、低収益性が当社グループの課題と認識させられる結果となりました。

足元の減益の主要因は、素材価格の高騰に対して、価格是正が追い付かなかったことにあります。状況を的確に把握し、トップから担当者まで社内一丸となって迅速に価格交渉にあたるなど、コスト対応力を強化することが喫緊の課題と認識しております。

また、当社グループはグローバルに共通のERPシステムを導入し、受注時点で個別原価の把握を可能にするなどコスト管理体制は既に構築しております。また、第12次中期経営計画では、中国エリアの工場再編と自動化推進による原価低減の取組みも進めてまいりました。こうした活動の成果を確実に刈り取るとともに、2022年度から開始する新中期経営計画では、成長戦略を通じた高付加製品の拡大を加えて、更なる収益性向上を目指してまいります。

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

(電子部品関連事業)

当連結会計年度の経営成績は、前年度に対して増収増益となり、当年度後半では相場連動による価格改定の効果も充分ではないものの反映されております。しかしながら、営業利益率は0.9%で依然低水準であります。当事業については、価格転嫁の徹底によるコスト回収、生産体制の再構築や工程改善による収益性改善、そして製品そのものの高付加価値化の3つの取組みが必要と考えております。

生産体制については、第12次中期経営計画において、素材から完成品までを一貫生産することができる車載工場の建設、深圳と恵州にある電子部品の二大工場のスマートファクトリー化、チャージャの専門工場を、重要顧客に隣接する華東エリアに新設し、物流や倉庫費用の削減を図るなどの大規模な再構築を進めました。新中期経営計画期間は、その成果の確実な刈り取りを図ってまいります。

また、製品の高付加価値化については、電子化学事業の素材技術と連携した磁性部品の開発などを進めております。カーボンニュートラルに貢献するエネルギー変換技術で、新製品・新市場領域の拡大を目指します。

(電子化学実装関連事業)

当社グループの中では収益性が高く利益を牽引している事業でありますが、当連結会計年度の経営成績は前年度に対して減収減益、錫価格の上昇による影響などにより、営業利益率は7.7%と苦戦する結果となりました。まずは価格改定の徹底により早期に収益の回復を図るとともに、当事業においても中長期的成長のためには新製品・新市場への展開による売上・利益の拡大が必須と考えております。新製品としては、カーボンニュートラルへの対応で市場拡大が見込まれるパワー半導体向けの高耐熱接合材の開発、新市場としては、日系車載向けでは定評のあるリフロー装置をグローバル仕様に見直して非日系メーカーに拡販する取組みなどを足元で進めております。このような活動をいくつも積み上げていくことが、新中期経営計画の達成のためには必要と考えております。

(情報機器関連事業)

当連結会計年度の経営成績は、放送機器のネットワーク化対応をはじめとする新製品開発を推進した一方で、半導体などの部材調達難により、予定していた新製品の納品が延期となり営業赤字となりました。主力取引先である放送業界を取り巻く市場環境は依然厳しいものの、新中期経営計画の第2年度以降にはキー局の更新需要も予定されており、部材を確保し確実に製品納入を行うことが必須と認識しております。また、この事業の更なる発展のためには、ネットワーク化などの技術変化に対して、周辺製品・サービスとの連携なども検討することが必要と考えております。

 

② 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループは、設備投資及びその他の事業資金については、自らの事業活動により獲得した内部資金で対応することを基本方針としております。しかし成長投資や一時的な運転資金の充足のために資金需要が生ずる場合には、時々の金融市場の状況を踏まえた適切な手段により外部からも調達できるよう多様化を図っており、現時点においては銀行からの借入を実施しております。

前連結会計年度は、新型コロナウイルスの感染拡大による不測の事態に備え、機動的な短期運転資金としてコミットメントライン契約を総額50億円に増枠し、手許流動性を高められるよう対応しております。

新中期経営計画では、第12次中期計画のような大規模投資を予定しておりませんが、引き続き生産設備の増強や更新を進めてまいります。自己資本の他、ファイナンス・リースや銀行借入の利用を予定しております。

③ 重要な会計上の見積り方針及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

5【研究開発活動】

当社グループは、「オンリーワン・カンパニーの実現」を経営スローガンに、タムラならではの「オンリーワン技術」で市場ニーズに応える製品づくりを目指して、研究開発活動を推進しております。

当連結会計年度における研究開発活動は、当社グループの中期経営計画で成長戦略に掲げる「車載」・「パワーエレクトロニクス」・「IoT・次世代通信」という3つの市場で期待される技術開発を中心に実施いたしました。

当連結会計年度における各セグメント別の研究開発活動は、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

電子部品関連事業

195

電子化学実装関連事業

301

情報機器関連事業

220

報告セグメント計

717

全社(共通) (注)

234

合計

951

(注) 「全社(共通)」の区分は、各セグメントに配分できない未来開発研究費用であります。

① 電子部品関連事業

主に車載とパワーエレクトロニクス関連において、将来の市場拡大が期待される製品の開発を強化しております。

主な研究開発内容と開発成果は次のとおりであります。

・世界的に市場拡大の著しい電動化車両用途として、ハイブリッド自動車・プラグインハイブリッド車・燃料電池車・電気自動車などの基幹システムである昇降圧チョッパー回路に適用される「車載用リアクタ」の開発を進めております。宇宙用途等で長年培ってきた高信頼性製品のノウハウが応用され、リアクタ用途に特化した自社開発コア(鉄心)を使用した、小型・高性能・低損失なリアクタであります。

・電動化の進む車載市場に向けて、電流センサの開発を進めております。電流レンジ・精度レンジの充実したラインナップを揃えました。省エネ・創エネ・蓄エネなどの場面で使用されることを想定しております。

・インバータなどで使用される大電力パワースイッチング半導体の駆動に使用する「ゲートドライバモジュール」を開発しております。IGBT、SiC-MOSFETのどちらにも対応可能で、機器の設計が大幅に簡素化されます。環境エネルギーのニーズの高まりを背景に、風力発電向けで採用が始まっております。

研究開発費用は、1億9千5百万円であります。

② 電子化学実装関連事業

車載・パワーエレクトロニクス・IoTの各領域に対して、電子化学材料から実装装置までの幅広い分野で、コア技術開発・製品開発を推進しております。

主な研究開発内容と開発成果は次のとおりであります。

・パワー半導体チップ接合や基板下接合用に、新たな鉛フリーはんだ接合材を開発いたしました。本開発品は、市場で要求の高い無加圧接合対応のシート状で提供し、還元リフローや減圧リフローと組み合わせてボイド抑制ができます。また、独自の組成により200℃高温動作に対応するチップと接合層の界面強化がなされております。SiC、GaN、酸化ガリウムなど、高性能化が期待される次世代パワー半導体への適用試験も進めております。

・実装業界では放熱改善のためのQFN下面電極のボイド低減やBGAの未融合改善、酸化が進行した電子部品へのぬれ性の確保など、多種多様な要求がお客様から寄せられております。一般実装向けPbフリーソルダーペースト「TLF-204シリーズ」は、こうした様々なニーズに応える製品ラインナップを取りそろえました。

・既存の印刷工法では位置合わせの難しいFPC基板、印刷難度の高いキャビティを有する基板、立体的な基板のはんだ付といった用途における、非接触のはんだ塗布としてジェットディスペンス工法があります。「JDSシリーズ」は、塗布径に合わせてSAC305で2種のソルダーペーストを製品化し、ジェットディスペンスにおける吐出安定性と飛び散り低減に対応しております。

・車載機器用の高耐熱高信頼ソルダーレジスト「DSR-2200ACRシリーズ」は、次世代車載基板に要求される過酷環境下での耐塗膜クラック性、耐熱性、絶縁信頼性、密着性等の長期信頼性に優れております。ハロゲンフリーで、セミマットタイプも開発いたしました。

・フレキシブル基板用写真現像型白色液状ソルダーレジスト「RPW-300シリーズ」は、先進樹脂設計技術により優れた折り曲げ性能、高反射率、高解像性、低露光量を実現した白色ソルダーレジストです。ミニLEDバックライト基板などの次世代ディスプレイ用途や高意匠性車載LED用途に適しております。

・リフロー装置「TNV VersionⅢ」は、炉内の汚れを大幅に低減し、メンテナンスサイクルの延長・改善を実現いたしました。最新の革新技術により、生産機会損失を大幅に低減いたします。

③ 情報機器関連事業

ネットワーク化や多様化する情報サービスのニーズに対応した開発を推進しております。

主な研究開発内容と開発成果は次のとおりであります。

・フルIP対応音声調整卓「NTXシリーズ」を開発いたしました。IP伝送規格「SMPTE ST 2110」に対応しており、コンソールサーフェースのサイズは「NTX800」・「NTX600」・「NTX300」の3サイズを用意。フルIPシステムを採用し、使用用途に合わせて柔軟なシステム運用が可能な製品であります。

研究開発費用は、2億2千万円であります。

④ 未来開発関連事業

当社のカーブアウトベンチャーであり、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の技術移転ベンチャーとしての認定会社である、㈱ノベルクリスタルテクノロジーと共同で酸化ガリウムを用いたパワーデバイスの開発を推進しております。

主な研究開発内容と開発成果は次のとおりであります。

・酸化ガリウムを使ったパワーデバイスは低コストと高性能を両立できる製品であります。省エネ型社会の実現に向けて、超低損失大電流のパワーデバイスの開発を進めております。

研究開発費用は、2億3千4百万円であります。