第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)会社の経営方針

当社では、歩むべき方向性を明確にするため、経営理念を2003年4月に制定しております。この理念に則り、当社はパワーエレクトロニクスを通じて貢献する企業となり、お客様のイノベーションのため、社員一人ひとりのイノベーションのため、そして、社会のイノベーションのため、サステナブルな未来を実現してまいります。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標

当社が長期的に目指す姿は「独自性のある技術、人と組織のパフォーマンスで成長し、社会のイノベーションに貢献する高収益企業の実現」としております。

中長期計画として当社は2024年中期経営計画(以下、「24中計」)を策定しておりますが、本計画は2024年度を震災影響の立て直し期間と位置付け4ヶ年計画としており、売上拡大を実現するとともに、利益を生み出す企業への変革達成を目指す計画となります。24中計2年目である2026年3月期は、EVキャズムや中国における自国製半導体へのシフト、金属建値の高騰等、市場・環境の変化に対応する中、24中計最終年度となる2028年3月期の数値目標を、連結売上高875億円、連結営業利益率4%以上と変更しております。顧客満足と両立する当社企業価値の実現を目指した24中計骨子の内容は以下のとおりです。

 

[24中計骨子]

製品戦略

 ・SPP-プラットフォーム製品とカスタム製品の両輪で成長

拡販戦略

 ・セグメント別成長戦略に基づき、自動車・白物・産機の各市場へ取り組む

利益改善レバー

 ・新製品比率向上

 ・既存製品の収益改善

 ・原価改善

 

 

(3)会社の対処すべき課題

2026年3月期と同様に、厳しい外部環境の継続が想定される中、当社では、2027年3月期の計画達成に必要となるトップラインの確保には、当社が主力と捉えている自動車市場・白物市場における取組を進めることが重要と認識しております。自動車市場では、ハイブリッドを含むエンジン車の継続的な需要を着実に捉えるとともに、自動車空調向けパワーモジュールの拡販を図ってまいります。また、白物市場では、新製品への切り替え提案を推進し、韓国顧客でのシェア拡大、及び中国におけるシェア維持に努めるとともに、インド市場をはじめ新たな顧客への拡販を図ります。

利益面では、上期においては前期から続く生産調整の影響が残り、赤字の見通しですが、下期に挽回を図る計画です。具体的には、石川サンケン株式会社での固定費削減策の効果に加え、下期からは、生産回復による付加価値増、及び後工程生産再編の完了に伴う生産性向上を見込んでおります。さらに、山形サンケン株式会社において前工程の競争力向上を目指し、固定費削減に向けた取組を進めてまいります。

また、変動費削減としては、前下期から緊急的に実施した経費削減策を継続するとともに、金から銅への材料仕様見直しによる製造コストの最適化を進め、また、金材料を使用している従来製品については、適正売価の獲得に向けた取組を強化してまいります。新製品につきましては、採算改善を目指し調達コスト低減材料を使用した新製品比率を向上させてまいります。

こうした短期的な施策に加え、中長期での成果実現を狙う2つの戦略組織を新設しております。開発リードタイムに時間を要する車載及び産機領域を狙った活動を強化するためモビリティ戦略室を設置し、顧客の先行開発段階から参画することで中長期的な時間軸での量産案件獲得を目指します。また、アジア全体での短期的な売上拡大と中長期での製品企画力強化を図るためにアジア戦略室を設置し、意思決定と実行の迅速化により白物領域の維持・拡大を進めるとともに、需要が高まるデータセンター等の産機領域への拡販を推進してまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1)当社グループのサステナビリティ方針

当社グループを取り巻く事業環境は、気候変動への対応や人権尊重など、企業に求められる役割の拡大とともに大きく変化しています。このような環境のもと、当社グループは、企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するためには、事業活動を通じた社会課題の解決及び環境・社会・ガバナンス(ESG)への的確な対応が不可欠であると認識しています。この考え方のもと、サステナビリティを経営の重要課題の一つとして位置付け、経営戦略、リスク管理及び業務執行を一体で推進しています。2020年にはSDGsを経営に取り込み、「本業の推進(省エネルギー・高効率化)によるCO₂の削減」と「事業活動を通じた環境負荷の低減」を重点課題(マテリアリティ)として特定しました。これに基づき、当社の主力であるパワー半導体を通じた省エネルギー化など、事業そのものを通じて社会課題の解決に貢献するとともに、その価値を企業の成長へと結び付けています。

また、サステナビリティへの取組を継続的かつ実効的に推進するため、サステナビリティ委員会を中心とした社内体制を整備し、ESGに関する方針・戦略の明確化、リスク及び機会の特定・評価、指標及び目標の設定を行っています。さらに、製造プロセスにおける温室効果ガス削減やエネルギー、水資源、化学物質の使用の最適化及び廃棄物削減・リサイクル資源の有効活用、人的資本への投資、サプライチェーンにおける人権・環境・コンプライアンス課題への対応及び、リスクの把握・低減に向けた取組の推進等、事業運営のあらゆる側面にESGの観点を組み込み、持続可能な事業基盤の強化を図っています。

気候変動や人的資本をはじめとする重要なサステナビリティ課題については、事業環境や社会環境の変化を踏まえ、中長期的な視点で経営への影響を評価するとともに、設定した指標(KPI)の進捗を踏まえ、設備投資や事業戦略の見直しに反映しています。これらの取組については、サステナビリティ委員会において統合的に管理し、経営会議及び取締役会に報告することで、経営上の意思決定と連動させています。

当社グループは、これらの取組を通じて、社会課題の解決と収益の確保を同時に実現し、すべてのステークホルダーから信頼される企業であり続けるとともに、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2026年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。 

 

① ガバナンス(サステナビリティ推進体制)

当社グループは、サステナビリティを経営の重要課題と位置付け、その推進及び監督を実効的に行うため、代表取締役社長CEOを最高責任者とするガバナンス体制を構築しています。

具体的には、ESG経営を組織横断的に推進するため、「サステナビリティ委員会」を設置し、その下に環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)の各部会及びテーマ別チームを配置しています。サステナビリティ委員会は、ESG担当役員の川嶋勝巳を委員長とし、各部会・チームからの報告を基に、サステナビリティに関する方針、戦略、重要課題(マテリアリティ)、リスク及び機会への対応策について審議・決定するとともに、その進捗状況を定期的に確認しています。

サステナビリティ委員会での審議内容は、原則として年2回以上、業務執行の最高意思決定機関である経営会議を経て取締役会に付議・報告され、取締役会はこれらの内容を踏まえ、中長期的な経営戦略への反映状況を監督しています。

また、2024年度より、社外取締役がオブザーバーとして同委員会に出席し、独立した立場からの助言・提言を得ることで、ガバナンスの透明性及び実効性の向上を図っています。さらに、取締役監査等委員に対しても定期的にESG活動の報告を行い、監督・助言機能との連携を強化しています。

このような体制の下、当社グループは、サステナビリティを単なる施策や開示にとどめず、経営戦略・リスク管理・業績評価と連動した統合的なガバナンスのもとで推進しています。

 

 

※ESG経営推進体制図(※表示されている回数は2025年度のESG各部会及びチーム会議の開催実績)


② 戦略

当社グループは、「半導体をコアビジネスとし、パワーエレクトロニクス及びその周辺領域における省エネルギー・高効率化製品の開発・生産・販売を通じて、国際社会の発展に寄与する」という基本方針の下、サステナビリティを中長期的な企業価値向上を実現するための重要な経営戦略の一要素として位置付けています。

また、当社グループは、TCFD提言の考え方を踏まえつつ、国際的な開示基準の動向も考慮し、サステナビリティ情報の開示を行っています。

気候変動に関しては、上記の考え方を踏まえシナリオ分析及びリスク・機会評価を実施しています。分析では、主に1.5℃及び4℃シナリオを参照し、炭素税導入やエネルギー価格高騰等の移行リスク、自然災害等による物理的リスクを特定しています。また、電動化の進展や低炭素社会への移行に伴う省エネルギー・高効率製品需要の拡大を、重要な事業機会と捉え、次世代半導体(GaN、SiC等)の開発強化を進めています。

これらのリスク及び機会の評価結果は、中期経営計画及び設備投資計画に反映しており、リスク低減と事業機会創出の両面から企業価値向上を図っています。これらのリスク及び機会は、エネルギー価格の変動や炭素価格の導入等によるコストの増減、温室効果ガス削減に向けた設備投資の増加等を通じて、当社グループの財務状況及び経営成績に影響を与える可能性があると認識しています。また、前述の事業機会は、売上の拡大を通じて、当社グループの財務状況及び経営成績に影響を与える可能性があると認識しています。

また、人的資本については、技術力及び創造力を競争優位の源泉と位置付け、人材戦略を経営の中核として推進しています。HRBPによる人材育成の高度化、多様な人材の活躍推進、職場環境の整備に加え、人材ポートフォリオの高度化を通じて、事業戦略と連動した人材マネジメントを強化しています。今後は、専門人材の育成と最適配置を一体的に進め、環境変化に柔軟に対応できる組織基盤の構築と人的資本価値の最大化を目指していきます。

これらの戦略は、サステナビリティ委員会において進捗管理を行い、経営会議及び取締役会による監督の下、定期的に見直し・高度化を行うことで、サステナビリティと経営戦略の統合的な推進を図っています。

尚、人的資本の取組の詳細については、第4章「提出会社の状況」の「5.従業員の状況等」をご参照ください。

 

 

③ リスク管理

サステナビリティ関連リスク及び機会は、サステナビリティ委員会を中心に特定・評価され、全社的なリスクマネジメントの枠組みに統合されています。環境分野においては、気候変動や環境規制等に関するリスクを環境マネジメントシステムの運用を通じて管理・監視しています。社会分野においては、人権デュー・ディリジェンスを実施し、人権侵害リスクの特定及び是正対応を進めています。ガバナンス分野については、情報セキュリティ、コンプライアンス等のリスクについて、関係規程及び内部管理体制に基づき管理しています。

また、自然災害、重大事故、情報漏洩等の突発的リスクについては、危機管理委員会を中心とした対応体制を整備し、平時からの備えと有事の迅速な対応を可能としています。これらの活動に加え、内部監査部門が、全社レベル及び業務プロセスレベルにおける統制活動の有効性について独立した立場から監査・評価を行っています。

特定された主要なリスク及び機会については、その影響度及び発生可能性等を踏まえ優先順位付けを行い、対応策を策定するとともに、その内容は経営会議及び取締役会に報告されています。

これらのプロセスにより把握されたサステナビリティ関連リスクは、中期経営計画の策定及び事業戦略の見直しに反映されています。

なお、サステナビリティに関連するリスクの詳細については、「3.事業等のリスク」に記載のとおりであり、当社グループではこれらのリスクを継続的に見直し、管理体制及び対応策の高度化を図っています。

 

④ 指標及び目標

当社グループは、サステナビリティに関する戦略の実効性を高めるため、気候変動及び人的資本を中心とした重要なサステナビリティ項目について、定量的な指標(KPI)及び中長期目標を設定し、その進捗状況を継続的に管理・開示しています。

気候変動分野においては、温室効果ガス(GHG)排出量(Scope1及びScope2)を主要な管理指標と位置づけています。Scope1には、エネルギー起源CO₂に加え、半導体製造プロセスにおいて使用される温室効果ガス由来の排出を含めて管理しています。

当社グループは、2020年度を基準年として2030年度までにScope1及びScope2の排出量を33%削減することを目標としており、当該目標は国際的な気候変動等に関する動向を踏まえ設定しています。また、2050年のカーボンニュートラルの実現を長期目標とし掲げています。これらの指標の進捗は、再生可能エネルギー導入率や省エネルギー施策の実施状況とあわせてモニタリングされ、サステナビリティ委員会を通じて経営に報告されるとともに、必要に応じて施策や投資計画の見直しに反映されています。

人的資本分野においては、多様性の確保及び働きがい向上、専門人材の育成を重要な管理指標として、男性育児休業取得率、女性管理職比率、専門人材育成をKPIに設定し、目標値を定めたうえで進捗を管理しています。これらの指標は、人材育成施策や人事制度改革の成果を測る指標として活用するとともに、必要に応じて見直しを行っています。

今後も当社グループは、社会環境や事業環境の変化を踏まえ、指標及び目標の妥当性を定期的に検証し、サステナビリティ戦略と経営判断に反映させることで、持続的な企業価値の向上を目指していきます。

なお、これらの目標は現時点の前提に基づくものであり、実際の結果は様々な不確実性により異なる可能性があります。

 

(2)気候変動

① ガバナンス

ステナビリティ委員会では、気候関連のシナリオ分析、リスク及び機会の特定・評価、対応策の検討及び進捗管理について定期的に協議・審議を行っています。これらの審議内容については、経営会議を経て取締役会に報告され、取締役会による監督の下で適切に管理されています。

また、当社グループは、CDP等の外部評価・調査への対応を通じて、気候変動に関する情報開示及び取組の高度化を図っています。これらの外部評価結果については、サステナビリティ委員会において共有され、施策の見直しや改善に活用しています。

気候関連では、以下のような内容について審議を行います。

・気候関連のシナリオ分析

・短期・中期・長期の気候関連のリスクと機会の特定及び重要度評価

・特定した重要な気候関連のリスクと機会に対する戦略的な取組方針

・気候関連のリスクと機会への具体的な対応策の検討

・気候関連のリスクと機会に関して採用された対応策の進捗管理

 

 

② 戦略

当社グループは、半導体・電子応用機器製品の設計、開発、製造、販売事業を展開しており、気候変動による影響を多方面に受けることが予想されます。そのため、中・長期的な視点で気候変動のリスクと機会を特定し、当社グループの事業への影響を把握するとともに、適切な対応を経営計画に組み込むために、シナリオ分析を通した気候関連影響評価を行っています。

分析にあたっては、政府機関の予備研究機関で開示されているシナリオを参照しています。従来の4℃シナリオに加え、低炭素経済における1.5℃シナリオを用いた分析を行った結果、炭素税の導入による移行リスク及び電力価格高騰による財務リスクなどがあることがわかりました。

気候変動に伴う中長期(2030年及び2050年)の社会環境及びビジネス環境の変化に対応するため、当社サステナビリティ委員会において、当社製品及びサプライチェーン全体を通じて、気候関連の課題及び課題への社会的な対応がどのような影響を及ぼし得るかについて審議し、気候関連のリスクと機会を特定しています。気候変動のリスクと機会は、事業活動そのもののリスクや機会でもあるため、その他のリスクとともに経営計画に組み込んでいます。

 

③ リスク管理

グローバルの大きな変化に対する迅速な対応を強化するとともに、事業機会の拡大と社会課題の解決を目指し、柔軟で強靭なESGガバナンスを構築し、ESG経営の推進体制の整備を実施しております。

TCFD提言の考え方を踏まえ、気候関連リスク・機会の特定・評価を行いました。具体的にはまず考えられる、直接操業における気候変動リスクと機会を部門ごとに列挙します。その後本社・工場の各部門長により、重要度を①リスクが顕在化した場合に受ける影響の大きさ(財務的・戦略的)、②影響を受けるタイムスケール(短期、中期、長期の視点から)、③発生頻度(リスクが顕在化した際に影響を受ける頻度はどの程度か)、④顕在化する可能性(リスクが顕在化する可能性はどの程度考えられるか)、⑤顕在化する時期(リスクが顕在化するのはどの程度先の将来か)の5項目について、「大」「中」「小」の3段階で分析、審議します。この審議の結果、特定されたリスクと機会は、サステナビリティ委員会が気候変動関連リスクを含むESGに関する事業リスクを組織横断的に評価しております。また、サステナビリティ委員会は、年に2回以上、経営会議に付議・審議した議案を取締役会に報告しており、ホームページや統合報告書等において適宜情報開示も行っております。

■リスクと機会の特定方法

製品及びそのサプライチェーン全体に係る気候変動関連のリスク及び機会を各STEPに従い特定しました。

STEP1

考えられるリスクと機会の列挙

STEP2

本社・工場の各部門長により、重要度を以下の5項目基準、3段階分類にて分析

 ・リスクが顕在化した場合に受ける影響の大きさ(財務的・戦略的)

 ・影響を受ける期間(どの程度の期間、影響が続くか)

 ・発生頻度(リスクが顕在化した際に影響を受ける頻度はどの程度か)

 ・顕在化する可能性(リスクが顕在化する可能性はどの程度考えられるか)

 ・顕在化する時期(リスクが顕在化するのはどの程度先の将来か)

STEP3

結果の集計(項目の重みや重要度高の頻度も考慮)と類似項目をまとめ、

リスク5個、機会3個を特定し、その重みを「大」「中」「小」に評価・分類

 

(要約)

・1.5℃、2℃の分析のために3つのシナリオ、4℃の分析のために2つのシナリオを使用。

・リスクとして炭素税導入による、電気代高騰、原材料価格、輸送費用高騰等を考慮。

・リスク低減の施策として多面的な省エネ活動、水力由来の電力など自然エネルギーの購入。

・機会として、気候変動による低炭素商品ニーズが高まる中で、「EV向けパワーモジュール」等の販売拡大の期待。

GaN、SiC等の次世代デバイスの開発加速を見込む。

・リスク管理体制として、サステナビリティ委員会(ESG各部会)と危機管理委員会等が連携し監視。

 

 

前述のプロセスを経て特定・評価された気候変動リスクと機会はサステナビリティ委員会において戦略的な取組方針が定められ、具体的対応策の検討が行われております。

 

■リスク

種類

主なリスク

施策

重要度

移行リスク

施策及び規制

化石燃料価格上昇により、電気代が高騰し操業費用が上昇

CO排出量の削減

・省エネ活動

・再生可能エネルギーの電力置換え

・生産時の効率化

・輸送の最適化

・リサイクルの促進

炭素税導入により、操業費用が上昇

気候変動の新たな規制の強化により、既存製品の需要減少に伴う売上の減少

中期経営計画による省エネ・高効率の新製品開発で売上拡大

評判

気候変動対策が遅れることにより、ステークホルダーからの信頼が下がり、市場評価が低下

カーボンニュートラル実現に向けた計画を策定し実行

物理リスク

急性

自然災害等により生産への影響、サプライヤーの操業停止や物流機能被害によって売上が減少

危機管理体制の充実等リスク管理の強化

 

 

■機会

種類

主なリスク

施策

重要度

製品及びサービス

カーボンニュートラルに向けた商品の市場拡大(車載・白物家電等)により売上増

・インバータ向け製品の開発

・IPMの開発

・高効率電源デバイスの開発

・次世代半導体の開発

資源の効率

生産ライン及び社内インフラの省エネ・省資源化

DX・スマートファクトリー導入

評 判

生産段階のカーボンニュートラルを推進することでステークホルダーからの信頼向上

カーボンニュートラル実現に向けた計画を策定し実行

 

気候変動が事業に及ぼす移行・物理的リスク及び機会については、TCFDガイダンスに沿ったシナリオ分析により適切に把握しております。

 

④ 指標及び目標

2015年のパリ協定の決定を踏まえ、シナリオ分析を行った結果、気候変動により平均気温が4℃上昇するシナリオでは物理的リスクとして拠点の洪水など被災リスクの上昇による財務リスク、低炭素経済に移行する1.5℃シナリオでは炭素税の導入による移行リスク、電力価格高騰による財務リスクが大きいことがわかりました。

一方で、1.5℃シナリオにおいては、自動車のEV化の進展により、当社グループが製造するxEV向け半導体デバイスの需要の拡大が重要な事業機会であることもわかりました。これら気候関連リスク・機会のうち、炭素税の財務インパクトが最も大きく、最優先で取り組むべき気候関連課題であることが判明しました。

 

■サンケングループのCO₂排出削減目標

当社グループは国内・国外(大連)を対象に、2020年を基準年とし、2030年度Scope1(エネルギー起源CO₂)及びScope2において33%削減を目標として、位置づけております(産業革命後の気温上昇を2℃未満に抑えるシナリオ)。

今後は、2030年に向けて削減活動を加速させ、さらなる施策の展開を図り、気候変動リスクの低減に努めるとともに、2050年カーボンニュートラルに向けて取り組んでまいります。

なお、これらの目標は現時点の前提に基づくものであり、実際の結果は様々な不確実性により異なる可能性があります。

 

 

1) 具体策

・国内外省エネの活動の推進

・太陽光発電の導入

・再生可能電力への転換

 

2) これまでの具体的な取組

2021年 サステナビリティ委員会発足。

2022年 サンケングループ CO₂削減目標の設定。

2022年 福島サンケンにて再エネ電力100%購入。

2023年 石川サンケンにて堀松工場及び能登工場にてオンサイトPPA導入。

2023年 福島サンケンにてオンサイトPPA導入。

2023年 大連三墾電気にてオンサイトPPA導入、購入電力の一部を風力発電へ切替。

2023年 環境ISOの1/2化:2023年8月環境マネジメントシステム国内4社7拠点 統合(※1)、

2024年3月JQAの審査完了。

2024年 大連三墾電気にて風力発電購入割合の拡大(2025年度風力発電由来電力使用87%)。

(※1)サンケン電気株式会社、石川サンケン株式会社(本社・堀松工場・能登工場・志賀工場

(2026年4月30日閉鎖))、山形サンケン株式会社、福島サンケン株式会社。

 

3) Scope1,2の削減実績 (※1)

 

 

 

 

単位:[kt-CO2]

 

2020年度

2023年度

2024年度

2025年度(※2)

Scope1

エネルギー起源CO₂

6.4

6.1

6.2

5.7

Scope1

半導体製品の開発製造で使用されるGHG

20

21

17

15

Scope2

80

61

59

49

 

※1 算定範囲:サンケン電気本社、石川サンケン、山形サンケン、福島サンケン、大連三墾電気、EK(2024年度より)

2023年度及び2024年度は第三者検証機関により限定的保証にて検証済み。

※2 2025年度データは暫定値。第三者検証機関により検証実施中(2026年5月28日時点)。

 

4) Scope3について

サンケングループにおけるScope3の排出量は388kt-CO₂(2024年度)となっています。

Scope3については、排出量算定の精度向上に取り組むとともに、重要カテゴリーの特定を進めていきます。今後は、削減に向けた具体的な管理指標及び方針の整備を進め、サプライチェーン全体での排出削減に取り組んでまいります。

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があるリスクを把握し夫々のリスクに対する予防策やリスク顕在時(クライシス)に取るべき行動指針と備えを拡充すべく2025年6月に社長をはじめとする経営幹部を中心とした「リスク管理委員会」を新設し、重要課題の対応策について具体的な検討と準備を1年間実施してまいりました。

その検討内容は前年度掲げたリスク事項を中心に想定し、それら事項による影響を将来も引き続き監視し検討と対策を行ってまいります。

具体的には、社内の判定基準に基づいてリスクが顕在化した場合の経営に及ぼす影響度を「大」「中」「小」、その影響が及ぶ期間を「長」「中」とそれぞれ分類して管理しております。

但し、想定を上回る、もしくは想定外の未知なるリスクの発生等不確実性を内在しておりますので、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性と、その対応について以下のとおり記しますのでご留意ください。

 

※リスク管理体制図


 

※事業等のリスク一覧


 

 

外部環境リスク

 

国際情勢

影響度:大  期間:長

内容

対応

当社グループは、半導体をコアビジネスとしてグローバルに事業を展開しており国際情勢の不安定化や地政学的リスクの影響を受ける可能性があります。

2025年度においては、国際情勢の不透明感が継続しているだけでなく、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、中東地域における紛争・治安悪化、米中関係を巡る半導体分野の輸出管理・関税措置を中心とした摩擦、並びに台湾海峡を巡る軍事的緊張の高まりといった具体的な事象が顕在化している中、さらにはイランと米国の対立による海峡封鎖等の事実も確認されております。

これらの動向は、エネルギー・原材料価格の高止まりや変動、国際物流の停滞、サプライチェーンの分断・再編、半導体供給網の不確実性の増大を通じて、当社グループの調達、製造、販売活動及び業績に影響を及ぼすおそれがあります。

当社グループは、国際情勢の不安定化や地政学的リスクに備え、エネルギー使用量の抑制や生産性向上、原材料・部材の複数調達先の確保等を通じて、コスト構造及びサプライチェーンの見直しに取り組んできました。

近年では、エネルギーや原材料の価格変動や物流環境の変化をより敏感に捉え、情報収集と社内展開のメッシュを細かくして、調達・生産・物流の各段階における対応力の強化を図っています。

さらに、米中関係を巡る輸出管理や関税措置については、各国の規制動向の把握を継続的に行い、販売地域や調達・生産体制の見直しを通じたリスク分散をより意識した事業運営を進めています。

経済安全保障

影響度:大  期間:長

内容

対応

特に昨今の国際情勢はエネルギーや半導体製造に必要な特有資源等を保有する国や地域による資源の政治利用や武器化や武力化する可能性が高まっており、さらには開かれた調達ルートの確保にも影響を及ぼすおそれがあると認識しています。

当社グループは、こうした課題認識のもと、経済安全保障の観点から、各国・地域における輸出管理規制や経済安全保障関連の政策動向を継続的に把握しています。これらの動向については、関係部門が連携し、法令遵守の徹底及び事業への影響を含むリスク評価を行う体制を整備しています。

今後も半導体が、産業及び社会において果たす役割を認識し、日本国政府の経済安全保障推進法の趣旨を考慮しながら、リスクマネジメントの継続的な強化に取り組んでまいります。

為替・金利変動

影響度:中  期間:中

内容

対応

当社グループは、日本、アジア、北米及び欧州において事業を展開しており、主に米ドル、ユーロ、中国元等の外貨建取引を行っております。

為替変動は外貨建取引に係るキャッシュ・フローへの影響(トランザクションリスク)及び海外子会社の財務諸表の円換算に伴う影響(トランスレーションリスク)を通じて、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。特に米ドルに対する円高は、外貨建売上高の円換算額の減少要因となります。なお、米ドル/円が1円変動した場合、営業利益に与える影響は概ね1億円強と見込んでおります。また、現地通貨の上昇は、原材料費、労務費等の製造コストの増加要因となります。

金利変動については、借入金に係る支払利息の増減や、保有する金融資産の受取利息や評価額の変動を通じて、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、為替変動リスクに対し、外貨建取引の実需に基づき為替予約取引等を活用して一定割合のヘッジを実施しております。また、生産・調達・販売の最適配置により、同一通貨圏内での収支の均衡を図ることで自然ヘッジの強化にも努めております。

金利変動リスクに対しては、固定金利及び変動金利のバランスを考慮した資金調達を行うとともに、必要に応じて金利スワップ取引を活用しております。

これらのリスクは財務部門において継続的にモニタリングされ、定期的に経営会議へ報告されております。

 

 

資金調達

影響度:中  期間:中

内容

対応

当社グループは、設備投資、研究開発投資及び運転資金等の資金需要に対し、社債発行、コマーシャル・ペーパー発行及び金融機関からの借入等により資金調達を行っております。

これらの資金調達は、当社グループの信用力及び金融市場環境に依存しており、例えば業績の悪化、財務指標の低下、信用格付の引下げ、又は信用スプレッドの拡大等の市場環境の変化が生じた場合には、既存の資金調達手段の利用が制限される、又は調達コストが上昇する可能性があります。加えて、資金調達のロールオーバーが困難となる場合や、既存債務の借換えが円滑に実施できない場合には、資金繰りに制約が生じ、投資計画の見直しや事業活動の制限を余儀なくされる可能性があります。

これらの事象が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、資金調達リスクに対応するため、資金計画及び資金繰り管理を統合的に実施しております。

具体的には、将来キャッシュ・フローに基づく資金見通しの策定及び定期的な見直しを行い、資金需要及び市場環境の変化に対する耐性の確保に努めております。また、資金調達手段の多様化に加え、社債・借入金の満期分散を図るとともに、流動性バッファの確保に努めております。さらに、安定的な資金調達基盤の維持・強化に向け、財務規律の維持、資本効率の向上及び適時適切な情報開示を通じて、市場、金融機関及び信用格付機関との良好な関係の構築に努めております。

なお、当事業年度末において、財務制限条項(コベナンツ)が付されている借入契約及び社債契約はありません。

環境

影響度:中  期間:中

内容

対応

当社グループは、事業活動を行う各国・地域において、環境保全や公害防止、化学物質管理、温室効果ガス排出削減等に関する各種法令・規制の適用を受けています。

これらの環境関連規制が強化された場合には、設備投資の増加や運用コストの上昇、製品設計や製造プロセスの変更等が必要となり、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また気候変動の進行に伴う異常気象や自然災害の激甚化は、生産拠点やサプライチェーンの寸断、物流の停滞等を通じて、当社グループの事業活動に影響を及ぼすおそれがあります。

当社グループは、環境関連法令の遵守を前提として、製造工程における環境負荷物質の把握及び削減、省エネルギー活動の推進等を通じて、環境負荷低減に取り組んできました。

また気候変動が事業に与える影響について、情報収集及び分析を行ってきました。

直近では、これらの取組を継続するとともに、気候変動リスクを含む環境リスクを経営課題の一つとして位置付け、リスク管理の枠組みの中で評価・対応を行う体制を強化しております。

当社グループは、今後も環境規制や気候変動に関する動向を注視しつつ環境負荷の低減と事業活動の安定的な継続の両立を図ってまいります。

災害・感染症

影響度:中  期間:中

内容

対応

当社グループは、日本及び海外各国・地域に生産拠点や事業拠点を有していることから、地震、台風、洪水等の自然災害や、感染症の流行・拡大の影響を受ける可能性があります。

これらの事象が発生した場合には、従業員の安全確保、生産設備やインフラの被害、操業停止、物流の混乱等を通じて、当社グループの調達、製造、販売活動及び業績に影響を及ぼすおそれがあります。また、感染症の拡大に伴う行動制限や人員不足、サプライチェーンの停滞等は、事業活動の継続性に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、自然災害や感染症の発生を想定した事業継続計画(BCP)の整備及び再点検を行い、従業員の安全確保や重要業務の継続を優先した対応体制の構築に取り組んできました。

特に2024年1月に発生した能登半島地震で大きく被災した石川サンケン株式会社の志賀工場は生産活動を継続しながらお客様への影響を最小限に維持しつつ2025年度末に他拠点へ生産施設の移設を完了しました。

これらの取組を他拠点へも展開するとともに、災害及び感染症リスクを全社的なリスク管理の枠組みの中で再評価し拠点別の対応体制や連絡・指示系統の明確化を進めております。

当社グループは、今後も自然災害や感染症の発生動向を注視しつつ、従業員の安全確保と事業活動への影響最小化を目的とした対応策の継続的な見直しを行ってまいります。

 

 

 

 

事業活動リスク

 

新製品開発

影響度:中  期間:中

内容

対応

当社グループは、変化し続ける市場ニーズに沿った製品を開発し販売するビジネスを展開中ですが、製品のタイムリーな市場投入ができなかった場合、あるいは市場に受け入れられなかった場合、当社グループの収益性が低下し、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

成長が著しい地域や変化の大きい市場に対して、各事業部門に加えて、適宜専門組織を立ち上げて柔軟な対応をしています。

市場動向・顧客ニーズ・競合製品に関する情報収集を強化し、マーケティング機能による情報分析に基づく市場戦略の立案・管理及び次世代製品の企画策定を推し進め、顧客の潜在ニーズを先取りした製品開発、タイムリーな市場投入と収益性の改善に取り組んでおります。

新製品開発においては、開発ゲート管理の強化により、品質、コスト、日程順守状況を監視し、その実現力や状況変化に対する対応力を向上させるとともに、新製品開発活動を加速すべく、当社ものづくり開発センターを核とする開発改革を推進しております。

価格競争

影響度:中  期間:中

内容

対応

半導体市場における競争激化や顧客のコスト低減要求の高まりにより、価格競争が一層厳しくなる可能性があります。特に競合製品の投入や顧客による調達先の見直し等により、販売価格の低下や販売数量の減少が生じる可能性があります。

当社グループは高付加価値製品の開発やコスト競争力強化に努めておりますが、これらを上回る価格競争が継続した場合には、収益性の低下を通じて、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、高付加価値製品の開発及び差別化の推進に加え、生産性向上や調達の最適化等による原価低減を進めるとともに、顧客との協議を通じた売価の適正化に努めております。

また製品の高い品質及び信頼性の確保・向上を通じて付加価値を高め、顧客ニーズに応じた提案及び技術サポートの充実により取引関係の強化を図り、安定的な需要の確保に取り組んでおります。

知的財産権

影響度:中  期間:中

内容

対応

一部地域における知的財産権保護の不十分さや第三者権利の成立・未認識により、模倣品の流通、ロイヤリティー負担、使用制限や訴訟等が生じる可能性があります。

これにより供給体制や契約条件に影響が及ぶほか、材料工程を含む領域拡大に伴い権利関係対応の負担が増大し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクに対し、当社グループでは、知財教育の充実による社員の啓蒙、模倣品のモニタリングの実施に加え、製品開発及び設計段階における第三者知的財産権の調査を積極的に行い、必要に応じてライセンス契約を締結する等、リスクの回避・低減に努めております。

また、「2024年中期経営計画」において化合物半導体デバイスの開発加速を掲げ、自社の技術及びノウハウによる競争優位性の確立を図るとともに、これら独自技術の保護に向け、日本を含むアジア地域及び欧米諸国において、適時に知的財産権の出願・登録を進めております。

 

 

品質問題

影響度:中  期間:中

内容

対応

当社グループは、顧客の品質基準及び当社の品質基準を満足する各種製品を供給しております。必要となる品質管理体制の維持向上のため、品質管理に関する国際基準ISO9001及びIATF16949の認証を取得し、品質マネジメントシステムの改善に努めております。

しかしながら、製造する製品において想定外の品質問題が発生してしまう可能性を排除しきれません。

また、大規模な製品の回収、修理等及び損害賠償責任につながるような製品の品質事故は、社会的信用の低下を招くだけでなく、多額の費用を必要とし、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼすことになります。

この品質問題の発生を防止するために、現在生産している製品の品質管理を強化すると共に品質改善活動を継続的に推進しております。

さらに設計段階においては、保有する設計ノウハウや過去から蓄積している品質不具合情報を用いた検証と傾向分析を行い、新規点・変化点の管理強化と検証及び製品企画や設計、試作、量産化の各審査ステージを通じて開発段階から品質の作り込みを実現するための様々な施策を実施し、高度化、複雑化する製品の品質確保に努めております。

また、万が一重大な品質問題が発生した場合を考慮し、PL保険やリコール保険に加入しリスク回避としております。

固定資産の減損

影響度:大  期間:中

内容

対応

当社グループは、生産能力の拡大や製品競争力の維持を目的として、生産設備等の有形固定資産及び企業買収に伴い生じるのれん等の無形固定資産を計上しております。

これらの資産については、将来の不確実な経済情勢の変動、市場環境の変化、顧客動向等による事業計画の未達等により収益性が低下した場合、当該資産グループにおいて、減損の兆候が識別される可能性があります。

その結果、当該資産グループの帳簿価額を回収可能価額まで減額する減損損失を計上する必要性が生じた場合には、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、投資実行時において収益性や投資回収期間について複数シナリオに基づく検証を行い、投資判断を実施しております。

また、投資後においては、事業計画に対する進捗についてモニタリングを継続的に実施し、減損の兆候の有無を把握しております。

収益性の低下が認められる場合には、原因分析を行った上で、販売施策の見直しやコスト削減等の対応を講じるとともに、必要に応じて将来キャッシュ・フローの見直しを実施し、減損リスク及び影響の早期把握に努めております。

持分法適用関連会社及び出資先の業績

影響度:中  期間:中

内容

対応

当社グループは、持分法適用関連会社の株式保有及び投資事業有限責任組合等への出資を行っております。これらの関連会社及び出資先は、それぞれ独立した経営判断のもとで事業運営がなされており、当社グループがその経営を支配するものではありません。

このため、関連会社及び出資先の事業環境の変化や業績悪化等が生じた場合には、当社グループの持分法による投資損益の悪化や、投資有価証券の減損損失の計上等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、これらのリスクに対応するため、関連会社については重要事項に関する事前ヒアリング等を通じて経営状況の把握に努めるとともに、定期的な業績モニタリング及び財務状況の分析を実施しております。

また、出資先についても、経営状況の定期的なヒアリング等を通じて投資先の状況を継続的に把握し、業績の変動や減損等の兆候を適時に把握する体制を整備しております。

 

 

 

 

コーポレートリスク

 

情報セキュリティ

影響度:中  期間:中

内容

対応

① 情報管理

当社グループは、事業を展開する上で、顧客及び取引先の機密情報や個人情報及び当社グループ内の機密情報や個人情報を有しております。

これらの情報管理が不十分であった場合、内部不正や過失・外部からの侵入等に起因する情報漏えいが発生し、法令違反や社会的評価の低下を通じて、事業運営や企業価値に影響を及ぼす可能性があります。

① 情報管理

当社グループでは、情報資産の適切な管理を目的として、文書を含む情報資産管理の規程・ルールの整備更新、利用権限の管理、情報媒体の盗難・社外への不正な持ち出し防止等の施策を実施するとともに教育・啓発活動を行うことで、情報資産の漏洩防止に向けた取組の強化に努めております。

② サイバーセキュリティ

当社グループは、事業活動において様々な情報システムを利用しており、サイバー攻撃等による不正アクセス、従業員による不正もしくは過失に基づく行為により、データの改ざんや破壊、情報の漏洩、システム障害や停止等を通じて、事業活動や顧客・取引先からの信用に影響を及ぼす可能性があります。

② サイバーセキュリティ

当社グループでは、サイバー攻撃に対する監視、不正侵入の防止と検知データアクセスへの制限と認証の強化、脆弱性対応等の対策に加え、インシデント発生時の対応手順の整備及び全従業員に対する教育・訓練・啓発活動等リスクの低減に努めており、サイバーセキュリティ対策の定期的な内部評価・改善も実施しております。

コンプライアンス

影響度:中  期間:中

内容

対応

当社グループは、国内外において事業活動を展開していることから、各国・地域の法令、業界規制、社会規範等の遵守が求められております。

これらの法令・規制への違反や社会的要請への不十分な対応が生じた場合には、行政指導や制裁、訴訟、事業活動の制限、信用の低下等を通じて、当社グループの業績や企業価値に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、行動規範である「サンケンコンダクトガイドライン」を中心とした社内規程の整備・周知及び、役員・従業員を対象としたコンプライアンス研修の実施を通じて、法令遵守意識の浸透に取り組んできました。直近では、これらの取組を継続するとともに、コンプライアンスを全社的リスクとして位置付け、リスク管理の枠組みの中で評価・管理する体制を強化しました。

具体的には、国内外の法令・規制動向を継続的に把握し、社内規程や運用の見直しを行うとともに、研修内容の見直しや対象範囲の拡充を進めております。

また不正・違反行為の未然防止及び早期発見を目的とした相談・通報体制の周知徹底を図っております。

当社グループは、今後もコンプライアンスの徹底を経営の重要課題の一つとして位置付け、健全で透明性の高い事業運営の継続に努めてまいります。

税務

影響度:中  期間:中

内容

対応

当社グループは、世界各国に生産・販売拠点を有しており、各国税務当局との間で見解の相違が生じる場合、多額の追徴課税を課されるリスク及び移転価格税制の課税による二重課税リスク等の税務リスクがあります。

また、税制の変更が当社グループの予想を超えて実施された場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、税務に関するガバナンス体制を整備するとともに、各国・地域における税制の変化に関して海外子会社と情報共有を実施することで、早期に税務リスク情報を収集し、法令の立法趣旨に照らして税務処理の決定を行っております。

また、税務処理に不確実性が残った場合は、外部専門家への相談を行い税務リスク低減に努めております。

 

 

人材採用・確保

影響度:中  期間:中

内容

対応

①人的資本(Human Capital)

当社グループは、中期経営計画に掲げるパワー半導体事業戦略の推進に当たっては、高度な専門性を有する人材の確保及び育成が不可欠であります。

これらの人材の安定的確保・育成が計画どおりに進まない場合には、当該事業の成長や競争力の維持・強化に支障が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

①人的資本(Human Capital)

当社グループは、専門人材の確保・育成に向け、新卒・中途採用の計画的な実施、専門人材の重点採用、リファラル採用の推進等多様な採用チャネルの利用促進に加え、シニア人材の経験・知見の活用を図るとともに、社内教育プログラムの充実及び体系的な人材育成の仕組みの整備を推進し、エンゲージメントの向上に努めております。

また、事業部門と連携し、採用・育成・配置を一体的に運用することで、事業ニーズに即した人材活用を図るとともに、最適な人員配置の実現に向けた取組を進めております。

②人権(Human Rights)

当社グループは、「サンケングループ人権方針」を制定し、人権尊重を事業活動の前提としています。

一方で、事業活動及びサプライチェーンにおいて差別やハラスメント等の人権侵害が発生し、その予防や対応が不十分であった場合、従業員の就業環境の悪化や社会的評価の低下等を通じて、事業継続や企業価値に影響を及ぼす可能性があります。

②人権(Human Rights)

当社グループでは、差別やハラスメントに関する社内外の相談・通報制度を整備し、寄せられた通報については丁寧な事実確認を行ったうえで、必要に応じた是正措置及び再発防止策(教育・講習等)を講じています。

また、お取引先さまに対して人権に関するCSR調査等を行い、課題がある部分については改善をお願いしております。

③安全衛生(Safety & Health)

当社グループは、「安全はすべてに優先する」との方針のもと、安全衛生委員会を軸とし複数の事業所と連携を図り、職場の安全と安心への取組を推進しています。

しかしながら、安全衛生の確保が十分に機能しない場合には、操業の安定性や生産性に影響を及ぼす可能性があります。

③安全衛生(Safety & Health)

当社グループは、安全教育の徹底や設備投資、リスクアセスメントを通じて労働災害の未然防止に取り組んでいます。

近年では、災害事例を通しての原因と対策の共有、外部講師による講習会の開催、定期的な各種パトロール実施等を行っております。

④ダイバーシティ&インクルージョン(DE&I)

当社グループは、多様な視点やイノベーションの創出、意思決定の質向上等のためにダイバーシティ&インクルージョンの実現は必須と考えております。

それが十分に推進できない場合には、人材活用や競争力の面で課題が生じ、事業の安定性に影響を及ぼす可能性があります。

④ダイバーシティ&インクルージョン(DE&I)

当社グループは、ダイバーシティ&インクルージョンにおける人材活用の指標として、女性・外国籍採用比率、女性管理職比率、育児休業の取得状況(男女)、障害者雇用率等、様々な指標を継続的に把握分析し、対処していくことで、人材の育成や登用、働き方の支援等、多様な人材の活躍促進と事業運営の安定化を進めております。

⑤ 健康経営(Health Management)

当社グループは、社員の心身の健康を人的資本の持続性に係る重要な要素と捉え、社員の健康増進を通して、社員が元気にイキイキと継続して働ける職場環境を実現するために、「健康宣言」を掲げております。

しかしながら、取組が十分に継続・浸透しない場合には、社員のパフォーマンス低下や事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 健康経営(Health Management)

当社グループは、病欠者数やメンタル不調による長期休暇取得状況、喫煙状況、定期健康診断の受診状況及び生活習慣病に関する指標について健康情報管理システムを利用し継続的に把握しております。

これらを踏まえ、健康診断の受診徹底やメンタルヘルスケア等を実施し、事業運営への影響の低減に努めております。

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 

(財政状態)

当連結会計年度末における資産の部は、2,394億56百万円となり、前連結会計年度末より196億10百万円減少いたしました。これは主に、現金及び預金が165億64百万円減少し、受取手形及び売掛金が35億73百万円減少したこと等によるものであります。
 負債の部は、1,194億91百万円となり、前連結会計年度末より83億53百万円増加いたしました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金を含む短期借入金が211億67百万円増加したこと等によるものであります。
 純資産の部は、1,199億65百万円となり、前連結会計年度末より279億63百万円減少いたしました。これは主に、利益剰余金が348億17百万円減少したこと等によるものであります。

 

(経営成績)

当連結会計年度においては、中国の経済停滞、米国による関税措置による影響のほか、米国を起点としたEVキャズムが世界に波及する等、大きな変化が起きました。

当社においては、想定を超える円安進行、金属建値の高騰等による調達への影響等から、経営環境は厳しさを増しながら推移しました。こうした状況において、前期より2024年中期経営計画(以下、「24中計」)を進めており、上記の経営環境変化が、これらの計画進捗に悪影響を及ぼすこととなりました。そのため、計画挽回に向けて優先して取り組むべき課題を設定し、トップラインの積み上げとしては、中国白物向けシェア減を挽回すべく、特に、アジア全体の受注拡大に向けた活動を推進するために、2026年1月1日付でアジア戦略室を新設し、顧客満足度を高める提案活動を開始しました。また、新たな用途の獲得に向けては、産機市場を中心に据え業務用空調やAIデータセンター向け製品の拡販に取り組んでまいりました。原価低減としては、固定費削減とグループ全体での経費コントロールの最適化、また、金の使用量削減といった材質変更やプラットフォーム化による部品共用拡大等の変動費削減に取り組んでまいりました。しかしながら、金属建値の高騰が継続したことから、一段の原価低減が必要な状況となりました。

新たな取組として、24中計では外部リソース活用による成長実現を目指すこととしております。この動きとして、2025年4月1日に株式会社パウデックを買収し、高性能なGaNパワーデバイスの早期上市に向けた開発を進めております。また、2026年1月27日には、当社はミネベアパワーデバイス株式会社との間において、インテリジェントパワーモジュール(以下「パワーモジュール」)市場における後工程の生産協業及び製品の共同開発に関する技術提携を行うことを合意しました。

このほか、株主還元策として2024年12月より実施してきた自己株式取得につきましては、2025年9月に予定通り完了し、取得株数は発行済株式総数の16.6%に当たる417万株であり、その取得金額は299億円となりました。なお、これにより取得した全株式については、2025年10月3日付で消却いたしました。

 

当連結会計年度の業績につきましては、連結売上高は801億75百万円と、前連結会計年度比414億44百万円34.1%減少しました。主な要因は、子会社であったAllegro MicroSystems, Inc.が2024年8月に持分法適用関連会社となり連結対象から除外されたことによるものです。また、サンケンコアでは、当社の主要市場である自動車市場において、バッテリーEVの成長は鈍化したものの、ハイブリッド車を含む内燃車の需要は安定的に推移する結果となりました一方、白物家電市場では、中国市場において自国製半導体への切り替えが進展し当社シェアが低下したことから、第2四半期以降の売上高は大きく減少しました。

こうした状況から損益につきましては、固定費削減や後工程の生産再編に伴う作り込みのプラス効果に対し、金属建値の高騰及び中国市場における売上減から、連結営業損失は47億28百万円(前連結会計年度 連結営業損失37億88百万円)となり、連結経常損失につきましては、持分法による投資損失及び為替差損の計上等から、88億39百万円(前連結会計年度 連結経常損失142億76百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純損失は、ピーティ サンケン インドネシアでの固定資産売却益11億36百万円、及び持分変動利益24億83百万円を特別利益として計上した一方で、主に石川サンケン株式会社での特別退職金24億46百万円を特別損失として計上した結果、97億98百万円(前連結会計年度 親会社株主に帰属する当期純利益509億34百万円)となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、348億40百万円となり、前連結会計年度末に比べ259億3百万円の減少となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、88億98百万円のマイナスとなり、前期に比べ8億8百万円の収入増となりました。これは主に、売上債権の減少によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、102億79百万円のマイナスとなり、前期に比べ1,083億30百万円の収入減となりました。これは主に、前連結会計年度末における投資有価証券の売却による収入によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、70億40百万円のマイナスとなり、前期に比べ408億51百万円の収入増となりました。これは主に、短期借入金の増加及び長期借入れによる収入によるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

当社グループは、単一の事業セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

(生産実績)

当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

半導体デバイス事業

87,004

66.8

 

(注)1 金額は、販売価格で表示しております。

   2 当連結会計年度において、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおり連結範囲の変更を行っております

 

(受注実績)

当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

受注残高

金額(百万円)

前年同期比(%)

金額(百万円)

前年同期比(%)

半導体デバイス事業

73,990

61.5

9,591

61.7

 

(注)1 当連結会計年度において、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおり連結範囲の変更を行っております

 

(販売実績)

当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2025年4月1日

至 2026年3月31日)

前年同期比

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

増減率(%)

半導体デバイス事業

80,175

100.0

△41,444

△34.1

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 相手先別販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、相手先別販売実績及び総販売実績に対する割合の記載を省略しました。

3 当連結会計年度において、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおり連結範囲の変更を行っております

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

当社グループの財政状態、経営成績については以下のとおり分析しております。
  なお、本項に記載した将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2026年6月24日)現在において判断したものであり、不確実性を内在しているため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もありますのでご留意ください。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績等の分析

(売上高及び営業損益)

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ414億44百万円(△34.1%)減801億75百万円となりました。これは主として、アレグロを連結範囲から除外したことによるものであります。

当連結会計年度の売上原価は、売上高の減少に伴い、前連結会計年度に比べ240億10百万円(△24.8%)減726億74百万円となり、売上原価率は前連結会計年度に比べ11.2ポイント悪化し、90.6%となりました。 
 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ164億93百万円(△57.4%)減122億29百万円となりました。これは主として、アレグロを連結範囲から除外したことによるものであります。売上高販管費比率は前連結会計年度に比べ8.4ポイント良化し、15.3%となりました。
 この結果、当連結会計年度の営業損益は、前連結会計年度に比べ9億40百万円減47億28百万円の損失となりました。

 

(為替変動の影響)

当社グループの海外売上高は479億34百万円で、連結売上高総額の約59.79%を占めており、そのほとんどを米ドル建で取引しております。また、主要な在外連結子会社の財務諸表は米ドル建で作成されております。このため、為替相場の変動は、円高が売上減少、円安が売上増加の方向に影響する傾向があります。
 一方、原価面でみますと、ほぼ同じ外貨ボリュームがあることから、売上高への影響額は利益段階では縮小することになります。

 

(営業外損益及び経常損益)

当連結会計年度の営業外損益は、前連結会計年度に比べ63億76百万円損失(純額)が減少し、41億11百万円の損失(純額)となりました。これは主として、為替差損が減少したこと等によるものであります。
 この結果、当連結会計年度の経常損益は、前連結会計年度に比べ54億36百万円増88億39百万円の損失となりました。

 

(特別損益)

当連結会計年度の特別損益は、前連結会計年度に比べ647億84百万円利益(純額)が減少し、6百万円の損失(純額)となりました。これは主として、持分変動利益が減少したこと等によるものであります。

 

(親会社株主に帰属する当期純損益)

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損益は、前連結会計年度に比べ607億33百万円減97億98百万円の損失となりました。

 

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、2024年4月から向こう4ヵ年にわたる中期経営計画において、最終年度である2028年3月期の目標値をサンケンコアの連結売上高1,000億円以上、連結営業利益率10%としております。当連結会計年度においては、サンケンコアの連結売上高は786億円、連結営業利益率は△5.7%となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フロー)

当社グループの資金状況は、「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、88億98百万円の支出(対前年度比8億8百万円増)となりました。前年度比の主な要因は、売上債権の減少によるものです。「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、102億79百万円の支出(対前年度比1,083億30百万円減)となりました。前年度比の主な要因は、前連結会計年度末における投資有価証券の売却による収入によるものです。「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、70億40百万円の支出(対前年度比408億51百万円増)となりました。前年度比の主な要因は、短期借入金の増加及び長期借入れによる収入によるものです。これにより、当連結会計年度末における有利子負債残高は805億41百万円となり、有利子負債依存度は33.6%となりました。これらの活動の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、348億40百万円(対前年度末比259億3百万円減)となりました。

 

(財務政策)

当社グループの資金調達の手段は、社債の発行、コマーシャル・ペーパーの発行、コミットメントライン契約、銀行借入等でありますが、2026年3月31日現在の残高は、1年内返済予定の長期借入金を含む短期借入金428億76百万円、コマーシャル・ペーパー10億円、社債100億円、長期借入金263億69百万円となっております。当社グループは、運転資金及び設備投資資金の調達は内部資金によることを基本としておりますが、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、未使用のコマーシャル・ペーパー発行枠290億円、当座貸越未実行分237億円等により調達可能と考えております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

5 【重要な契約等】

(連結子会社の吸収合併)

当社は、2025年8月13日開催の取締役会において、2025年10月1日を効力発生日として、当社を吸収合併存続会

社、当社の連結子会社である株式会社パウデックを吸収合併消滅会社とする吸収合併を行うことを決議し、2025年

10月1日付で吸収合併いたしました。

詳細につきましては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)に記載のとおりです。

 

 

6 【研究開発活動】

経営理念の一つである「パワーエレクトロニクスとその周辺領域を含めた最適なソリューション提供」に基づき、当連結会計年度における研究開発活動を進めてまいりました。パワーモジュール、パワーデバイスの領域での成長戦略の実現及び技術マーケティングの確立と効率的な開発マネジメントによる新製品開発の促進を進めるとともに、連結子会社にも研究開発部門を置き、グループを挙げて研究開発に取り組んでおります。当連結会計年度における研究開発費の総額は売上高の6.74%に当たる5,400百万円であります。
 

製品開発における技術マーケティングの導入により成長市場へのシフトを担う製品開発に注力するとともに、前工程となる半導体素子プロセスから、後工程となる実装、パッケージ技術のプラットフォーム化(SPP: Sanken Power-electronics Platform)を進めることにより、設計改革、業務改革を推進し開発スピードのアップを図っております。当連結会計年度における研究開発の主な成果は次のものがあります。

 

・PSJGaNは、分極で生じる電子及び正孔によって形成される超接合構造による電界分布の均一化を利用することで、耐圧の向上及び電流コラプスの抑制効果が期待される。これらの効果を確認するため、試作及びデバイス評価を実施し、従来のGaN HEMTとの比較を行った結果、耐圧及び電流コラプス特性で優位性を示唆するデータを得た。さらにカスコード接続によるSW動作では、SJMOSよりも優れた特性を示す結果を得た。引き続きMOSFETや制御ICと組み合わせた統合型デバイスの製品化へ向けた検討を進める。

・電源・モータ向けパワーエレクトロニクス制御用に、RISC-V CPUコア、22nm超低リークプロセス、ReRAMを採用したマイコン MD6605を開発。MD6605はRISC-V CPUコアに加え、デジタルフィルタ演算用DSPと高速タスク・スイッチが可能なEPU(Event Processing Unit)によるヘテロジニアスマルチコア構成を採用しており、パワエレ制御システムの高効率化と高機能化を実現する。

・自動車の電動化に伴い様々なパワートレインが開発される中、主に欧州での需要が高い48V系マイルドハイブリッド車(48V MHEV)に搭載される電動コンプレッサに対応した100V 低圧三相 MOSFET Module SAM4L10M30Z1を開発。

車載向け電動ウォーターポンプ制御ドライバ用製品として、1200V IPMシリーズ搭載パワーデバイスを開発するとともに、同デバイスを搭載したSAM2製品を開発。

・SiC MOSFETの駆動方式において、高速スイッチングを実現する4端子駆動と短絡耐量を向上させる3端子駆動の特性を両立する新たな駆動方法を開発。

・基板材質の見直しにより裏面からの漏光を抑制した赤外チップLED製品を開発。本製品は従来品と外形及び実装互換性を維持することでユーザーにおける設計変更を不要とし、適用性の向上を図っている。

・車室内の間接照明として普及が進むRGB-LEDにおいて、RGBの蛍光体を用いて単色及び中間色の色ばらつきを抑制するとともに、温度特性及び大電流領域における発光特性を改善させたRGB-LEDを開発。

・シーリングファン、コーヒーメーカ、除湿・加湿器、掃除機などの小物家電において求められる、面実装化及び非絶縁化による外付け部品点数削減と高効率化に対応し、小型化とシステム効率の向上を図った非絶縁コンバータ電源IC STR5M400シリーズを開発。

・エアコン、洗濯機、空気清浄機といった白物家電やスマートメーターなどの小容量電源向けに、高耐圧パワーMOSFET及びエラーアンプを内蔵した、非絶縁フライバック電源IC STR5A300シリーズを開発。本製品は、外付け部品点数の削減により小型化及び低コスト化を図るとともに、電源システムの高効率化に対応する。

・半導体前工程の一つであるウェーハテストにおいて要求されるスループット向上のためには、複数チップを一度に検査する同時測定機能を使用する。同時に測定するチップ数が増えることにより、コンポーネントの大型化及びコスト増に繋がるが、これを抑制するためのコンポーネントの汎用化設計を行った。

 

なお、SiCデバイスに関しては、2023年度に採択されたNEDO先導研究プログラム『SiCスマートパワーIC技術の研究開発』を産業技術研究所と共同で実施し、SiCの特性を最大限引き出すSiC-IC技術の開発検証を完了しました。現在は、本技術を基盤とした超低損失SiCモジュールの事業化に向けた検討を進めております。

GaNデバイスに関しては、NEDO基盤技術研究促進事業で得られたGaN on Si技術と、2025年4月に買収したパウデック社が所有していたPSJ技術と融合させ、独自のデバイス構造を開発、早期に市場投入できるよう対応中です。また、並行してGaN on GaN技術を用いた縦型デバイスについて、名古屋大学中心に進められているGaNコンソーシアムに参画し、検討を行っております。