文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)会社の経営方針
当社では、歩むべき方向性を明確にするため、経営理念を2003年4月に制定しております。この理念に則り、当社はパワーエレクトロニクスを通じて貢献する企業となり、お客様のイノベーションのため、社員一人ひとりのイノベーションのため、そして、社会のイノベーションのため、サステナブルな未来を実現してまいります。
(2)中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標
当社が長期的に目指す姿は「独自性のある技術、人と組織のパフォーマンスで成長し、社会のイノベーションに貢献する高収益企業の実現」としております。
中長期計画として当社は2024年中期経営計画(以下、「24中計」)を策定しておりますが、本計画は2024年度を震災影響の立て直し期間と位置付け4ヶ年計画としており、売上拡大を実現するとともに、利益を生み出す企業への変革達成を目指す計画となります。24中計2年目である2026年3月期は、EVキャズムや中国における自国製半導体へのシフト、金属建値の高騰等、市場・環境の変化に対応する中、24中計最終年度となる2028年3月期の数値目標を、連結売上高875億円、連結営業利益率4%以上と変更しております。顧客満足と両立する当社企業価値の実現を目指した24中計骨子の内容は以下のとおりです。
[24中計骨子]
(3)会社の対処すべき課題
2026年3月期と同様に、厳しい外部環境の継続が想定される中、当社では、2027年3月期の計画達成に必要となるトップラインの確保には、当社が主力と捉えている自動車市場・白物市場における取組を進めることが重要と認識しております。自動車市場では、ハイブリッドを含むエンジン車の継続的な需要を着実に捉えるとともに、自動車空調向けパワーモジュールの拡販を図ってまいります。また、白物市場では、新製品への切り替え提案を推進し、韓国顧客でのシェア拡大、及び中国におけるシェア維持に努めるとともに、インド市場をはじめ新たな顧客への拡販を図ります。
利益面では、上期においては前期から続く生産調整の影響が残り、赤字の見通しですが、下期に挽回を図る計画です。具体的には、石川サンケン株式会社での固定費削減策の効果に加え、下期からは、生産回復による付加価値増、及び後工程生産再編の完了に伴う生産性向上を見込んでおります。さらに、山形サンケン株式会社において前工程の競争力向上を目指し、固定費削減に向けた取組を進めてまいります。
また、変動費削減としては、前下期から緊急的に実施した経費削減策を継続するとともに、金から銅への材料仕様見直しによる製造コストの最適化を進め、また、金材料を使用している従来製品については、適正売価の獲得に向けた取組を強化してまいります。新製品につきましては、採算改善を目指し調達コスト低減材料を使用した新製品比率を向上させてまいります。
こうした短期的な施策に加え、中長期での成果実現を狙う2つの戦略組織を新設しております。開発リードタイムに時間を要する車載及び産機領域を狙った活動を強化するためモビリティ戦略室を設置し、顧客の先行開発段階から参画することで中長期的な時間軸での量産案件獲得を目指します。また、アジア全体での短期的な売上拡大と中長期での製品企画力強化を図るためにアジア戦略室を設置し、意思決定と実行の迅速化により白物領域の維持・拡大を進めるとともに、需要が高まるデータセンター等の産機領域への拡販を推進してまいります。
(1)当社グループのサステナビリティ方針
当社グループを取り巻く事業環境は、気候変動への対応や人権尊重など、企業に求められる役割の拡大とともに大きく変化しています。このような環境のもと、当社グループは、企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するためには、事業活動を通じた社会課題の解決及び環境・社会・ガバナンス(ESG)への的確な対応が不可欠であると認識しています。この考え方のもと、サステナビリティを経営の重要課題の一つとして位置付け、経営戦略、リスク管理及び業務執行を一体で推進しています。2020年にはSDGsを経営に取り込み、「本業の推進(省エネルギー・高効率化)によるCO₂の削減」と「事業活動を通じた環境負荷の低減」を重点課題(マテリアリティ)として特定しました。これに基づき、当社の主力であるパワー半導体を通じた省エネルギー化など、事業そのものを通じて社会課題の解決に貢献するとともに、その価値を企業の成長へと結び付けています。
また、サステナビリティへの取組を継続的かつ実効的に推進するため、サステナビリティ委員会を中心とした社内体制を整備し、ESGに関する方針・戦略の明確化、リスク及び機会の特定・評価、指標及び目標の設定を行っています。さらに、製造プロセスにおける温室効果ガス削減やエネルギー、水資源、化学物質の使用の最適化及び廃棄物削減・リサイクル資源の有効活用、人的資本への投資、サプライチェーンにおける人権・環境・コンプライアンス課題への対応及び、リスクの把握・低減に向けた取組の推進等、事業運営のあらゆる側面にESGの観点を組み込み、持続可能な事業基盤の強化を図っています。
気候変動や人的資本をはじめとする重要なサステナビリティ課題については、事業環境や社会環境の変化を踏まえ、中長期的な視点で経営への影響を評価するとともに、設定した指標(KPI)の進捗を踏まえ、設備投資や事業戦略の見直しに反映しています。これらの取組については、サステナビリティ委員会において統合的に管理し、経営会議及び取締役会に報告することで、経営上の意思決定と連動させています。
当社グループは、これらの取組を通じて、社会課題の解決と収益の確保を同時に実現し、すべてのステークホルダーから信頼される企業であり続けるとともに、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2026年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。
当社グループは、サステナビリティを経営の重要課題と位置付け、その推進及び監督を実効的に行うため、代表取締役社長CEOを最高責任者とするガバナンス体制を構築しています。
具体的には、ESG経営を組織横断的に推進するため、「サステナビリティ委員会」を設置し、その下に環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)の各部会及びテーマ別チームを配置しています。サステナビリティ委員会は、ESG担当役員の川嶋勝巳を委員長とし、各部会・チームからの報告を基に、サステナビリティに関する方針、戦略、重要課題(マテリアリティ)、リスク及び機会への対応策について審議・決定するとともに、その進捗状況を定期的に確認しています。
サステナビリティ委員会での審議内容は、原則として年2回以上、業務執行の最高意思決定機関である経営会議を経て取締役会に付議・報告され、取締役会はこれらの内容を踏まえ、中長期的な経営戦略への反映状況を監督しています。
また、2024年度より、社外取締役がオブザーバーとして同委員会に出席し、独立した立場からの助言・提言を得ることで、ガバナンスの透明性及び実効性の向上を図っています。さらに、取締役監査等委員に対しても定期的にESG活動の報告を行い、監督・助言機能との連携を強化しています。
このような体制の下、当社グループは、サステナビリティを単なる施策や開示にとどめず、経営戦略・リスク管理・業績評価と連動した統合的なガバナンスのもとで推進しています。
※ESG経営推進体制図(※表示されている回数は2025年度のESG各部会及びチーム会議の開催実績)

当社グループは、「半導体をコアビジネスとし、パワーエレクトロニクス及びその周辺領域における省エネルギー・高効率化製品の開発・生産・販売を通じて、国際社会の発展に寄与する」という基本方針の下、サステナビリティを中長期的な企業価値向上を実現するための重要な経営戦略の一要素として位置付けています。
また、当社グループは、TCFD提言の考え方を踏まえつつ、国際的な開示基準の動向も考慮し、サステナビリティ情報の開示を行っています。
気候変動に関しては、上記の考え方を踏まえシナリオ分析及びリスク・機会評価を実施しています。分析では、主に1.5℃及び4℃シナリオを参照し、炭素税導入やエネルギー価格高騰等の移行リスク、自然災害等による物理的リスクを特定しています。また、電動化の進展や低炭素社会への移行に伴う省エネルギー・高効率製品需要の拡大を、重要な事業機会と捉え、次世代半導体(GaN、SiC等)の開発強化を進めています。
これらのリスク及び機会の評価結果は、中期経営計画及び設備投資計画に反映しており、リスク低減と事業機会創出の両面から企業価値向上を図っています。これらのリスク及び機会は、エネルギー価格の変動や炭素価格の導入等によるコストの増減、温室効果ガス削減に向けた設備投資の増加等を通じて、当社グループの財務状況及び経営成績に影響を与える可能性があると認識しています。また、前述の事業機会は、売上の拡大を通じて、当社グループの財務状況及び経営成績に影響を与える可能性があると認識しています。
また、人的資本については、技術力及び創造力を競争優位の源泉と位置付け、人材戦略を経営の中核として推進しています。HRBPによる人材育成の高度化、多様な人材の活躍推進、職場環境の整備に加え、人材ポートフォリオの高度化を通じて、事業戦略と連動した人材マネジメントを強化しています。今後は、専門人材の育成と最適配置を一体的に進め、環境変化に柔軟に対応できる組織基盤の構築と人的資本価値の最大化を目指していきます。
これらの戦略は、サステナビリティ委員会において進捗管理を行い、経営会議及び取締役会による監督の下、定期的に見直し・高度化を行うことで、サステナビリティと経営戦略の統合的な推進を図っています。
尚、人的資本の取組の詳細については、
③ リスク管理
サステナビリティ関連リスク及び機会は、サステナビリティ委員会を中心に特定・評価され、全社的なリスクマネジメントの枠組みに統合されています。環境分野においては、気候変動や環境規制等に関するリスクを環境マネジメントシステムの運用を通じて管理・監視しています。社会分野においては、人権デュー・ディリジェンスを実施し、人権侵害リスクの特定及び是正対応を進めています。ガバナンス分野については、情報セキュリティ、コンプライアンス等のリスクについて、関係規程及び内部管理体制に基づき管理しています。
また、自然災害、重大事故、情報漏洩等の突発的リスクについては、危機管理委員会を中心とした対応体制を整備し、平時からの備えと有事の迅速な対応を可能としています。これらの活動に加え、内部監査部門が、全社レベル及び業務プロセスレベルにおける統制活動の有効性について独立した立場から監査・評価を行っています。
特定された主要なリスク及び機会については、その影響度及び発生可能性等を踏まえ優先順位付けを行い、対応策を策定するとともに、その内容は経営会議及び取締役会に報告されています。
これらのプロセスにより把握されたサステナビリティ関連リスクは、中期経営計画の策定及び事業戦略の見直しに反映されています。
なお、サステナビリティに関連するリスクの詳細については、
④ 指標及び目標
当社グループは、サステナビリティに関する戦略の実効性を高めるため、気候変動及び人的資本を中心とした重要なサステナビリティ項目について、定量的な指標(KPI)及び中長期目標を設定し、その進捗状況を継続的に管理・開示しています。
気候変動分野においては、温室効果ガス(GHG)排出量(Scope1及びScope2)を主要な管理指標と位置づけています。Scope1には、エネルギー起源CO₂に加え、半導体製造プロセスにおいて使用される温室効果ガス由来の排出を含めて管理しています。
当社グループは、2020年度を基準年として2030年度までにScope1及びScope2の排出量を33%削減することを目標としており、当該目標は国際的な気候変動等に関する動向を踏まえ設定しています。また、2050年のカーボンニュートラルの実現を長期目標とし掲げています。これらの指標の進捗は、再生可能エネルギー導入率や省エネルギー施策の実施状況とあわせてモニタリングされ、サステナビリティ委員会を通じて経営に報告されるとともに、必要に応じて施策や投資計画の見直しに反映されています。
人的資本分野においては、多様性の確保及び働きがい向上、専門人材の育成を重要な管理指標として、男性育児休業取得率、女性管理職比率、専門人材育成をKPIに設定し、目標値を定めたうえで進捗を管理しています。これらの指標は、人材育成施策や人事制度改革の成果を測る指標として活用するとともに、必要に応じて見直しを行っています。
今後も当社グループは、社会環境や事業環境の変化を踏まえ、指標及び目標の妥当性を定期的に検証し、サステナビリティ戦略と経営判断に反映させることで、持続的な企業価値の向上を目指していきます。
なお、これらの目標は現時点の前提に基づくものであり、実際の結果は様々な不確実性により異なる可能性があります。
(2)気候変動
① ガバナンス
サステナビリティ委員会では、気候関連のシナリオ分析、リスク及び機会の特定・評価、対応策の検討及び進捗管理について定期的に協議・審議を行っています。これらの審議内容については、経営会議を経て取締役会に報告され、取締役会による監督の下で適切に管理されています。
また、当社グループは、CDP等の外部評価・調査への対応を通じて、気候変動に関する情報開示及び取組の高度化を図っています。これらの外部評価結果については、サステナビリティ委員会において共有され、施策の見直しや改善に活用しています。
気候関連では、以下のような内容について審議を行います。
・気候関連のシナリオ分析
・短期・中期・長期の気候関連のリスクと機会の特定及び重要度評価
・特定した重要な気候関連のリスクと機会に対する戦略的な取組方針
・気候関連のリスクと機会への具体的な対応策の検討
・気候関連のリスクと機会に関して採用された対応策の進捗管理
② 戦略
当社グループは、半導体・電子応用機器製品の設計、開発、製造、販売事業を展開しており、気候変動による影響を多方面に受けることが予想されます。そのため、中・長期的な視点で気候変動のリスクと機会を特定し、当社グループの事業への影響を把握するとともに、適切な対応を経営計画に組み込むために、シナリオ分析を通した気候関連影響評価を行っています。
分析にあたっては、政府機関の予備研究機関で開示されているシナリオを参照しています。従来の4℃シナリオに加え、低炭素経済における1.5℃シナリオを用いた分析を行った結果、炭素税の導入による移行リスク及び電力価格高騰による財務リスクなどがあることがわかりました。
気候変動に伴う中長期(2030年及び2050年)の社会環境及びビジネス環境の変化に対応するため、当社サステナビリティ委員会において、当社製品及びサプライチェーン全体を通じて、気候関連の課題及び課題への社会的な対応がどのような影響を及ぼし得るかについて審議し、気候関連のリスクと機会を特定しています。気候変動のリスクと機会は、事業活動そのもののリスクや機会でもあるため、その他のリスクとともに経営計画に組み込んでいます。
③ リスク管理
グローバルの大きな変化に対する迅速な対応を強化するとともに、事業機会の拡大と社会課題の解決を目指し、柔軟で強靭なESGガバナンスを構築し、ESG経営の推進体制の整備を実施しております。
TCFD提言の考え方を踏まえ、気候関連リスク・機会の特定・評価を行いました。具体的にはまず考えられる、直接操業における気候変動リスクと機会を部門ごとに列挙します。その後本社・工場の各部門長により、重要度を①リスクが顕在化した場合に受ける影響の大きさ(財務的・戦略的)、②影響を受けるタイムスケール(短期、中期、長期の視点から)、③発生頻度(リスクが顕在化した際に影響を受ける頻度はどの程度か)、④顕在化する可能性(リスクが顕在化する可能性はどの程度考えられるか)、⑤顕在化する時期(リスクが顕在化するのはどの程度先の将来か)の5項目について、「大」「中」「小」の3段階で分析、審議します。この審議の結果、特定されたリスクと機会は、サステナビリティ委員会が気候変動関連リスクを含むESGに関する事業リスクを組織横断的に評価しております。また、サステナビリティ委員会は、年に2回以上、経営会議に付議・審議した議案を取締役会に報告しており、ホームページや統合報告書等において適宜情報開示も行っております。
■リスクと機会の特定方法
製品及びそのサプライチェーン全体に係る気候変動関連のリスク及び機会を各STEPに従い特定しました。
(要約)
・1.5℃、2℃の分析のために3つのシナリオ、4℃の分析のために2つのシナリオを使用。
・リスクとして炭素税導入による、電気代高騰、原材料価格、輸送費用高騰等を考慮。
・リスク低減の施策として多面的な省エネ活動、水力由来の電力など自然エネルギーの購入。
・機会として、気候変動による低炭素商品ニーズが高まる中で、「EV向けパワーモジュール」等の販売拡大の期待。
GaN、SiC等の次世代デバイスの開発加速を見込む。
・リスク管理体制として、サステナビリティ委員会(ESG各部会)と危機管理委員会等が連携し監視。
前述のプロセスを経て特定・評価された気候変動リスクと機会はサステナビリティ委員会において戦略的な取組方針が定められ、具体的対応策の検討が行われております。
■リスク
■機会
気候変動が事業に及ぼす移行・物理的リスク及び機会については、TCFDガイダンスに沿ったシナリオ分析により適切に把握しております。
④ 指標及び目標
2015年のパリ協定の決定を踏まえ、シナリオ分析を行った結果、気候変動により平均気温が4℃上昇するシナリオでは物理的リスクとして拠点の洪水など被災リスクの上昇による財務リスク、低炭素経済に移行する1.5℃シナリオでは炭素税の導入による移行リスク、電力価格高騰による財務リスクが大きいことがわかりました。
一方で、1.5℃シナリオにおいては、自動車のEV化の進展により、当社グループが製造するxEV向け半導体デバイスの需要の拡大が重要な事業機会であることもわかりました。これら気候関連リスク・機会のうち、炭素税の財務インパクトが最も大きく、最優先で取り組むべき気候関連課題であることが判明しました。
■サンケングループのCO₂排出削減目標
当社グループは国内・国外(大連)を対象に、2020年を基準年とし、2030年度Scope1(エネルギー起源CO₂)及びScope2において33%削減を目標として、位置づけております(産業革命後の気温上昇を2℃未満に抑えるシナリオ)。
今後は、2030年に向けて削減活動を加速させ、さらなる施策の展開を図り、気候変動リスクの低減に努めるとともに、2050年カーボンニュートラルに向けて取り組んでまいります。
なお、これらの目標は現時点の前提に基づくものであり、実際の結果は様々な不確実性により異なる可能性があります。
1) 具体策
・国内外省エネの活動の推進
・太陽光発電の導入
・再生可能電力への転換
2) これまでの具体的な取組
2021年 サステナビリティ委員会発足。
2022年 サンケングループ CO₂削減目標の設定。
2022年 福島サンケンにて再エネ電力100%購入。
2023年 石川サンケンにて堀松工場及び能登工場にてオンサイトPPA導入。
2023年 福島サンケンにてオンサイトPPA導入。
2023年 大連三墾電気にてオンサイトPPA導入、購入電力の一部を風力発電へ切替。
2023年 環境ISOの1/2化:2023年8月環境マネジメントシステム国内4社7拠点 統合(※1)、
2024年3月JQAの審査完了。
2024年 大連三墾電気にて風力発電購入割合の拡大(2025年度風力発電由来電力使用87%)。
(※1)サンケン電気株式会社、石川サンケン株式会社(本社・堀松工場・能登工場・志賀工場
(2026年4月30日閉鎖))、山形サンケン株式会社、福島サンケン株式会社。
3) Scope1,2の削減実績 (※1)
※1 算定範囲:サンケン電気本社、石川サンケン、山形サンケン、福島サンケン、大連三墾電気、EK(2024年度より)
2023年度及び2024年度は第三者検証機関により限定的保証にて検証済み。
※2 2025年度データは暫定値。第三者検証機関により検証実施中(2026年5月28日時点)。
4) Scope3について
サンケングループにおけるScope3の排出量は388kt-CO₂(2024年度)となっています。
Scope3については、排出量算定の精度向上に取り組むとともに、重要カテゴリーの特定を進めていきます。今後は、削減に向けた具体的な管理指標及び方針の整備を進め、サプライチェーン全体での排出削減に取り組んでまいります。
当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があるリスクを把握し夫々のリスクに対する予防策やリスク顕在時(クライシス)に取るべき行動指針と備えを拡充すべく2025年6月に社長をはじめとする経営幹部を中心とした「リスク管理委員会」を新設し、重要課題の対応策について具体的な検討と準備を1年間実施してまいりました。
その検討内容は前年度掲げたリスク事項を中心に想定し、それら事項による影響を将来も引き続き監視し検討と対策を行ってまいります。
具体的には、社内の判定基準に基づいてリスクが顕在化した場合の経営に及ぼす影響度を「大」「中」「小」、その影響が及ぶ期間を「長」「中」とそれぞれ分類して管理しております。
但し、想定を上回る、もしくは想定外の未知なるリスクの発生等不確実性を内在しておりますので、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性と、その対応について以下のとおり記しますのでご留意ください。
※リスク管理体制図

※事業等のリスク一覧

(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
(財政状態)
当連結会計年度末における資産の部は、2,394億56百万円となり、前連結会計年度末より196億10百万円減少いたしました。これは主に、現金及び預金が165億64百万円減少し、受取手形及び売掛金が35億73百万円減少したこと等によるものであります。
負債の部は、1,194億91百万円となり、前連結会計年度末より83億53百万円増加いたしました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金を含む短期借入金が211億67百万円増加したこと等によるものであります。
純資産の部は、1,199億65百万円となり、前連結会計年度末より279億63百万円減少いたしました。これは主に、利益剰余金が348億17百万円減少したこと等によるものであります。
(経営成績)
当連結会計年度においては、中国の経済停滞、米国による関税措置による影響のほか、米国を起点としたEVキャズムが世界に波及する等、大きな変化が起きました。
当社においては、想定を超える円安進行、金属建値の高騰等による調達への影響等から、経営環境は厳しさを増しながら推移しました。こうした状況において、前期より2024年中期経営計画(以下、「24中計」)を進めており、上記の経営環境変化が、これらの計画進捗に悪影響を及ぼすこととなりました。そのため、計画挽回に向けて優先して取り組むべき課題を設定し、トップラインの積み上げとしては、中国白物向けシェア減を挽回すべく、特に、アジア全体の受注拡大に向けた活動を推進するために、2026年1月1日付でアジア戦略室を新設し、顧客満足度を高める提案活動を開始しました。また、新たな用途の獲得に向けては、産機市場を中心に据え業務用空調やAIデータセンター向け製品の拡販に取り組んでまいりました。原価低減としては、固定費削減とグループ全体での経費コントロールの最適化、また、金の使用量削減といった材質変更やプラットフォーム化による部品共用拡大等の変動費削減に取り組んでまいりました。しかしながら、金属建値の高騰が継続したことから、一段の原価低減が必要な状況となりました。
新たな取組として、24中計では外部リソース活用による成長実現を目指すこととしております。この動きとして、2025年4月1日に株式会社パウデックを買収し、高性能なGaNパワーデバイスの早期上市に向けた開発を進めております。また、2026年1月27日には、当社はミネベアパワーデバイス株式会社との間において、インテリジェントパワーモジュール(以下「パワーモジュール」)市場における後工程の生産協業及び製品の共同開発に関する技術提携を行うことを合意しました。
このほか、株主還元策として2024年12月より実施してきた自己株式取得につきましては、2025年9月に予定通り完了し、取得株数は発行済株式総数の16.6%に当たる417万株であり、その取得金額は299億円となりました。なお、これにより取得した全株式については、2025年10月3日付で消却いたしました。
当連結会計年度の業績につきましては、連結売上高は801億75百万円と、前連結会計年度比414億44百万円(34.1%)減少しました。主な要因は、子会社であったAllegro MicroSystems, Inc.が2024年8月に持分法適用関連会社となり連結対象から除外されたことによるものです。また、サンケンコアでは、当社の主要市場である自動車市場において、バッテリーEVの成長は鈍化したものの、ハイブリッド車を含む内燃車の需要は安定的に推移する結果となりました。一方、白物家電市場では、中国市場において自国製半導体への切り替えが進展し当社シェアが低下したことから、第2四半期以降の売上高は大きく減少しました。
こうした状況から損益につきましては、固定費削減や後工程の生産再編に伴う作り込みのプラス効果に対し、金属建値の高騰及び中国市場における売上減から、連結営業損失は47億28百万円(前連結会計年度 連結営業損失37億88百万円)となり、連結経常損失につきましては、持分法による投資損失及び為替差損の計上等から、88億39百万円(前連結会計年度 連結経常損失142億76百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純損失は、ピーティ サンケン インドネシアでの固定資産売却益11億36百万円、及び持分変動利益24億83百万円を特別利益として計上した一方で、主に石川サンケン株式会社での特別退職金24億46百万円を特別損失として計上した結果、97億98百万円(前連結会計年度 親会社株主に帰属する当期純利益509億34百万円)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、348億40百万円となり、前連結会計年度末に比べ259億3百万円の減少となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、88億98百万円のマイナスとなり、前期に比べ8億8百万円の収入増となりました。これは主に、売上債権の減少によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、102億79百万円のマイナスとなり、前期に比べ1,083億30百万円の収入減となりました。これは主に、前連結会計年度末における投資有価証券の売却による収入によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、70億40百万円のマイナスとなり、前期に比べ408億51百万円の収入増となりました。これは主に、短期借入金の増加及び長期借入れによる収入によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、単一の事業セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。
(注)1 金額は、販売価格で表示しております。
2 当連結会計年度において、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおり連結範囲の変更を行っております。
当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。
(注)1 当連結会計年度において、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおり連結範囲の変更を行っております。
(販売実績)
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 相手先別販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、相手先別販売実績及び総販売実績に対する割合の記載を省略しました。
3 当連結会計年度において、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおり連結範囲の変更を行っております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループの財政状態、経営成績については以下のとおり分析しております。
なお、本項に記載した将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2026年6月24日)現在において判断したものであり、不確実性を内在しているため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もありますのでご留意ください。
経営成績等の分析
(売上高及び営業損益)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ414億44百万円(△34.1%)減の801億75百万円となりました。これは主として、アレグロを連結範囲から除外したことによるものであります。
当連結会計年度の売上原価は、売上高の減少に伴い、前連結会計年度に比べ240億10百万円(△24.8%)減の726億74百万円となり、売上原価率は前連結会計年度に比べ11.2ポイント悪化し、90.6%となりました。
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ164億93百万円(△57.4%)減の122億29百万円となりました。これは主として、アレグロを連結範囲から除外したことによるものであります。売上高販管費比率は前連結会計年度に比べ8.4ポイント良化し、15.3%となりました。
この結果、当連結会計年度の営業損益は、前連結会計年度に比べ9億40百万円減の47億28百万円の損失となりました。
(為替変動の影響)
当社グループの海外売上高は479億34百万円で、連結売上高総額の約59.79%を占めており、そのほとんどを米ドル建で取引しております。また、主要な在外連結子会社の財務諸表は米ドル建で作成されております。このため、為替相場の変動は、円高が売上減少、円安が売上増加の方向に影響する傾向があります。
一方、原価面でみますと、ほぼ同じ外貨ボリュームがあることから、売上高への影響額は利益段階では縮小することになります。
(営業外損益及び経常損益)
当連結会計年度の営業外損益は、前連結会計年度に比べ63億76百万円損失(純額)が減少し、41億11百万円の損失(純額)となりました。これは主として、為替差損が減少したこと等によるものであります。
この結果、当連結会計年度の経常損益は、前連結会計年度に比べ54億36百万円増の88億39百万円の損失となりました。
(特別損益)
当連結会計年度の特別損益は、前連結会計年度に比べ647億84百万円利益(純額)が減少し、6百万円の損失(純額)となりました。これは主として、持分変動利益が減少したこと等によるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損益は、前連結会計年度に比べ607億33百万円減の97億98百万円の損失となりました。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、2024年4月から向こう4ヵ年にわたる中期経営計画において、最終年度である2028年3月期の目標値をサンケンコアの連結売上高1,000億円以上、連結営業利益率10%としております。当連結会計年度においては、サンケンコアの連結売上高は786億円、連結営業利益率は△5.7%となりました。
(キャッシュ・フロー)
当社グループの資金状況は、「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、88億98百万円の支出(対前年度比8億8百万円増)となりました。前年度比の主な要因は、売上債権の減少によるものです。「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、102億79百万円の支出(対前年度比1,083億30百万円減)となりました。前年度比の主な要因は、前連結会計年度末における投資有価証券の売却による収入によるものです。「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、70億40百万円の支出(対前年度比408億51百万円増)となりました。前年度比の主な要因は、短期借入金の増加及び長期借入れによる収入によるものです。これにより、当連結会計年度末における有利子負債残高は805億41百万円となり、有利子負債依存度は33.6%となりました。これらの活動の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、348億40百万円(対前年度末比259億3百万円減)となりました。
(財務政策)
当社グループの資金調達の手段は、社債の発行、コマーシャル・ペーパーの発行、コミットメントライン契約、銀行借入等でありますが、2026年3月31日現在の残高は、1年内返済予定の長期借入金を含む短期借入金428億76百万円、コマーシャル・ペーパー10億円、社債100億円、長期借入金263億69百万円となっております。当社グループは、運転資金及び設備投資資金の調達は内部資金によることを基本としておりますが、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、未使用のコマーシャル・ペーパー発行枠290億円、当座貸越未実行分237億円等により調達可能と考えております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(連結子会社の吸収合併)
当社は、2025年8月13日開催の取締役会において、2025年10月1日を効力発生日として、当社を吸収合併存続会
社、当社の連結子会社である株式会社パウデックを吸収合併消滅会社とする吸収合併を行うことを決議し、2025年
10月1日付で吸収合併いたしました。
詳細につきましては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)に記載のとおりです。
経営理念の一つである「パワーエレクトロニクスとその周辺領域を含めた最適なソリューション提供」に基づき、当連結会計年度における研究開発活動を進めてまいりました。パワーモジュール、パワーデバイスの領域での成長戦略の実現及び技術マーケティングの確立と効率的な開発マネジメントによる新製品開発の促進を進めるとともに、連結子会社にも研究開発部門を置き、グループを挙げて研究開発に取り組んでおります。当連結会計年度における研究開発費の総額は売上高の6.74%に当たる
製品開発における技術マーケティングの導入により成長市場へのシフトを担う製品開発に注力するとともに、前工程となる半導体素子プロセスから、後工程となる実装、パッケージ技術のプラットフォーム化(SPP: Sanken Power-electronics Platform)を進めることにより、設計改革、業務改革を推進し開発スピードのアップを図っております。当連結会計年度における研究開発の主な成果は次のものがあります。
・PSJGaNは、分極で生じる電子及び正孔によって形成される超接合構造による電界分布の均一化を利用することで、耐圧の向上及び電流コラプスの抑制効果が期待される。これらの効果を確認するため、試作及びデバイス評価を実施し、従来のGaN HEMTとの比較を行った結果、耐圧及び電流コラプス特性で優位性を示唆するデータを得た。さらにカスコード接続によるSW動作では、SJMOSよりも優れた特性を示す結果を得た。引き続きMOSFETや制御ICと組み合わせた統合型デバイスの製品化へ向けた検討を進める。
・電源・モータ向けパワーエレクトロニクス制御用に、RISC-V CPUコア、22nm超低リークプロセス、ReRAMを採用したマイコン MD6605を開発。MD6605はRISC-V CPUコアに加え、デジタルフィルタ演算用DSPと高速タスク・スイッチが可能なEPU(Event Processing Unit)によるヘテロジニアスマルチコア構成を採用しており、パワエレ制御システムの高効率化と高機能化を実現する。
・自動車の電動化に伴い様々なパワートレインが開発される中、主に欧州での需要が高い48V系マイルドハイブリッド車(48V MHEV)に搭載される電動コンプレッサに対応した100V 低圧三相 MOSFET Module SAM4L10M30Z1を開発。
・車載向け電動ウォーターポンプ制御ドライバ用製品として、1200V IPMシリーズ搭載パワーデバイスを開発するとともに、同デバイスを搭載したSAM2製品を開発。
・SiC MOSFETの駆動方式において、高速スイッチングを実現する4端子駆動と短絡耐量を向上させる3端子駆動の特性を両立する新たな駆動方法を開発。
・基板材質の見直しにより裏面からの漏光を抑制した赤外チップLED製品を開発。本製品は従来品と外形及び実装互換性を維持することでユーザーにおける設計変更を不要とし、適用性の向上を図っている。
・車室内の間接照明として普及が進むRGB-LEDにおいて、RGBの蛍光体を用いて単色及び中間色の色ばらつきを抑制するとともに、温度特性及び大電流領域における発光特性を改善させたRGB-LEDを開発。
・シーリングファン、コーヒーメーカ、除湿・加湿器、掃除機などの小物家電において求められる、面実装化及び非絶縁化による外付け部品点数削減と高効率化に対応し、小型化とシステム効率の向上を図った非絶縁コンバータ電源IC STR5M400シリーズを開発。
・エアコン、洗濯機、空気清浄機といった白物家電やスマートメーターなどの小容量電源向けに、高耐圧パワーMOSFET及びエラーアンプを内蔵した、非絶縁フライバック電源IC STR5A300シリーズを開発。本製品は、外付け部品点数の削減により小型化及び低コスト化を図るとともに、電源システムの高効率化に対応する。
・半導体前工程の一つであるウェーハテストにおいて要求されるスループット向上のためには、複数チップを一度に検査する同時測定機能を使用する。同時に測定するチップ数が増えることにより、コンポーネントの大型化及びコスト増に繋がるが、これを抑制するためのコンポーネントの汎用化設計を行った。
なお、SiCデバイスに関しては、2023年度に採択されたNEDO先導研究プログラム『SiCスマートパワーIC技術の研究開発』を産業技術研究所と共同で実施し、SiCの特性を最大限引き出すSiC-IC技術の開発検証を完了しました。現在は、本技術を基盤とした超低損失SiCモジュールの事業化に向けた検討を進めております。
GaNデバイスに関しては、NEDO基盤技術研究促進事業で得られたGaN on Si技術と、2025年4月に買収したパウデック社が所有していたPSJ技術と融合させ、独自のデバイス構造を開発、早期に市場投入できるよう対応中です。また、並行してGaN on GaN技術を用いた縦型デバイスについて、名古屋大学中心に進められているGaNコンソーシアムに参画し、検討を行っております。