第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度の当社グループにおける連結業績は、売上高7,740億円(前期比3.4%増)、営業利益523億円(前期比2.3%減)、経常利益500億円(前期比13.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益390億円(前期比12.4%増)となりました。なお、当連結会計年度の米ドル及びユーロの平均為替レートはそれぞれ、120.14円及び132.58円と、前期に比べ米ドルは10.21円の円安、ユーロは6.19円の円高で推移しました。

 また、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 2013年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としています。

 

[電子部品事業]

 エレクトロニクス業界においては、自動車市場は好調な米国景気などを背景に堅調に推移し、スマートフォン市場は中国メーカーの高機能製品が好調な伸びを示す一方で、年後半より一部主要メーカーの成長鈍化など変化が見られました。

 この中で電子部品事業では、自動車市場向け製品で、各種入力用モジュール及び通信モジュールを中心に、売上が順調に伸長。スマートフォン向けは、コンポーネント製品が上期に大きく伸長しました。下期には、市場の大きな変化から一部の製品が軟調に推移しましたが、通期では期初の計画を上回る結果となりました。新市場では、今後の伸びが期待されるIoT(インターネット・オブ・シングス)市場に向けて各種の提案活動をはじめ、ネットワーク関連企業などとの協業等も積極的に展開しました。

 この結果、電子部品事業における今期の業績は、売上高、利益ともに前期実績を上回り、過去最高を記録しました。

 

(車載市場)

 電子部品事業における車載市場では、自動車各社でADAS(先進運転支援システム)やエコカーなど開発の活発化に伴って、電子化率が自動車販売台数の伸びを上回る勢いで高まっています。この中で、当社では電子シフターや各種操作入力用モジュール、通信モジュールなど、全般にわたって堅調に推移しました。

 当連結会計年度における当市場の売上高は2,475億円(前期比18.7%増)となりました。

 

(民生その他市場)

 電子部品事業における民生その他市場では、スマートフォン市場において高機能化を進める中国メーカー向けに、低消費電力、高速フォーカスを実現したカメラ用アクチュエータの拡販を進めました。北米主要メーカー向け同アクチュエータは、市況の変化によって下期に見通しを下回ったものの、通期では高い水準を保ちました。

新市場においては、IoT市場での提案活動、協業などをスピーディーに推進。また、東北大学との軟磁性合金の実用化に向け、新会社への共同出資を実施するなど、将来を見据えた事業活動も積極的に展開しました。

 当連結会計年度における当市場の売上高は1,865億円(前期比3.3%増)となりました。

 

 以上の結果、当連結会計年度の電子部品事業の売上高は4,340億円(前期比11.6%増)、営業利益は407億円(前期比11.4%増)となりました。

 

[車載情報機器事業]

 カーエレクトロニクス業界は、米国自動車市場での好調な新車販売に加え、自動車の高機能化による電子化の加速や、車載機器とスマートフォンとの融合に伴いナビゲーションなどを核としたインフォテインメントシステムの需要が高まり、市場が拡大しました。一方、中国自動車市場の減速や欧州自動車メーカーによる排気ガス不正問題の発覚など、当業界に与える影響が懸念されました。

 このような中、車載情報機器事業(アルパイン(株)・東証一部)では、技術提案の強化と新製品開発を加速させましたが、自動車メーカー向け純正品では、北米及び中国での自動車メーカーのモデル切換えの影響などから売上が減少。更に製品モデルミックスも悪化したことから営業利益が減少しました。市販向けでは、音響製品で高音質を訴求したサウンドシステムの拡販に注力し、ナビゲーションでは車種専用の大画面製品を投入して売上の拡大を図りましたが、中国及び周辺アジア地域の景気減速の影響を受け、厳しい状況で推移しました。

  以上の結果、当連結会計年度の車載情報機器事業の売上高は2,675億円(前期比7.7%減)、営業利益は54億円(前期比52.9%減)となりました。

 

 

[物流事業]

 物流事業((株)アルプス物流・東証二部)は、主要顧客である電子部品業界で、米国を中心に好調な車載向け製品やスマートフォン向け製品などの生産が年間を通じて概ね堅調に推移しましたが、民生・ITなどその他の市場では、製品や顧客、地域によってまだら模様となりました。

 このような需要動向の中、物流事業では、取扱物量の拡大に向けたグローバルネットワークの拡充や、国内・海外が一体となった提案営業の推進に加え、運送・保管・輸出入各事業それぞれの生産性向上に取り組みました。

 以上の結果、当連結会計年度の物流事業の売上高は602億円(前期比5.6%増)、営業利益は48億円(前期比9.0%増)となりました。

 

 以上により、上記の3事業セグメントにその他を加えた当連結会計年度の連結業績は、売上高7,740億円(前期比3.4%増)、営業利益523億円(前期比2.3%減)、経常利益500億円(前期比13.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益390億円(前期比12.4%増)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ174億円減少し、当連結会計年度末の残高は、1,168億円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度末における営業活動による資金の増加は、539億円(前年同期は651億円の増加)となりました。この増加は、主に税金等調整前当期純利益678億円、減価償却費307億円及び仕入債務の増加額88億円による資金の増加と、法人税等の支払額204億円、関係会社株式売却益184億円及びたな卸資産の増加額70億円による資金の減少によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度末における投資活動による資金の減少は、303億円(前年同期は297億円の減少)となりました。この減少は、主に関係会社株式の売却による収入209億円による資金の増加と、有形及び無形固定資産の取得による支出357億円、出資金の払込による支出140億円による資金の減少によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度末における財務活動による資金の減少は、363億円(前年同期は279億円の減少)となりました。この減少は、主に長期借入れによる収入175億円による資金の増加と、長期借入金の返済による支出426億円、配当金の支払額37億円、短期借入金の純増減額の減少34億円及び非支配株主への配当金の支払額21億円による資金の減少によるものです。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前連結会計年度比(%)

電子部品事業

437,404

9.9

車載情報機器事業

231,353

△7.0

物流事業

合計

668,758

3.4

 (注)1. セグメント間取引については、相殺消去しています。

2. 金額は、販売価格によっています。

3. 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

(2)受注状況

 当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前連結会計年度比(%)

受注残高(百万円)

前連結会計年度比(%)

電子部品事業

425,030

6.7

30,561

△22.8

車載情報機器事業

268,849

△6.5

24,229

5.7

物流事業

合計

693,880

1.1

54,791

△12.4

 (注)1. セグメント間取引については、相殺消去しています。

2. 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前連結会計年度比(%)

電子部品事業

434,072

11.6

車載情報機器事業

267,541

△7.7

物流事業

60,251

5.6

 報告セグメント計

761,864

3.5

その他

12,173

△3.8

合計

774,038

3.4

 (注)1. セグメント間取引については、相殺消去しています。

2. 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

3【対処すべき課題】

 当社グループを取り巻く環境は、日本を含む世界経済の先行きを見通すことが大変困難ですが、先進国における電子機器の高機能化、多機能化による需要増加に加え、中長期的には新興国における需要の増加が牽引役となり、電子部品をはじめとしたエレクトロニクス・自動車の需要は、今後も拡大していくものと期待されます。

 電子部品事業では、スマートフォンやタブレット端末などの民生エレクトロニクス市場、電装化、ICT化の進む自動車市場など今後も拡大が見込める市場や分野において、顧客ニーズに合った製品をタイムリーに提供し、また、そのための強固でフレキシブルな生産体制を整備確立し、グローバルに供給を行うことで、需要機会の確実な取り込みを行い、会社の持続的な成長を目指していきます。特に国内においては、エネルギー問題と省エネ、また、健康志向と高齢化社会における総合医療費削減の動きを踏まえて、環境・エネルギーとヘルスケアの領域に積極的に対応していきます。

 車載情報機器事業では、昨今のクラウド化に対応すべく、日本・米国・欧州・中国の4極にそれぞれソフトウェア技術開発体制を整備し、かつ幅広い技術提携を通じた先端技術開発に努めていきます。また、電子部品事業との連携を強化し、車載機器のトータルソリューションの提供、先進のコンシューマーエレクトロニクス技術の取り込みを目指します。更に、桁違い品質追究による顧客満足度の向上と間接構造改革を推進し、収益力を高め経営基盤の強化を図っていきます。今後、EV(電気自動車)やHV(ハイブリッド自動車)等のエコカーや燃費効率の高い小型車の需要が拡大される中、自動車の軽量化・省電力化・安価に対応した商品開発や、安心・安全を実現するドライバー支援システムの機能向上と充実も図っていきます。

 物流事業では、主要顧客である電子部品業界は、機器や自動車の電子化の進展、新興国での需要拡大により、今後も成長が予想されます。一方で、市場の変化に対応した最適地生産や価格競争に伴う合理化が進んでおり、顧客ニーズは高度化かつ多様化しています。物流面では、電子部品の小型化により、数量の増加に対し容積ベースの物量は増えにくい状況となっており、物流各社のサービスの同質化が進む中で、貨物の確保に向けた競争はますます厳しさを増しています。当事業では、目標とする経営指標として、事業別・地域別の売上高や営業利益など損益目標を定め、PDCAのサイクルにより計画達成を図っています。また、グローバル成長を測る指標として、グループ外への販売比率や海外売上比率の目標値を設定し、達成に向けて戦略・施策を推進しています。

 また、その他の子会社群についても、グループ外部に対する拡販活動の強化などにより、収益への貢献を果たしていきます。

4【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

(1)経済状況

 当社グループ(当社及び連結子会社)は、電子部品事業を中心としてグローバルに事業を展開しており、当連結会計年度の海外売上高は81.4%を占めています。当社グループ製品の大部分は顧客であるメーカーに販売されるため、経済動向に左右される可能性のある顧客の生産水準が、当社グループの事業に大きく影響します。従って、当社グループは直接あるいは間接的に、日本や欧米、アジアの各市場における経済状況の影響を受ける環境にあり、各市場における景気の変動等によって、当社グループの業績及び財務状況に影響が及ぶ可能性があります。

 

(2)競合

 当社グループは、電子部品事業をはじめ、全ての事業分野において、他社との激しい競争に晒されています。当社グループは、新製品の導入や高品質の製品供給、グローバルなネットワークの整備・拡充等により、顧客満足を得るべく努めていますが、市場における競争は更に激化することが予想されます。従って、失注などの不測事態の発生によって、当社グループの業績及び財務状況に影響が及ぶ可能性があります。

 

(3)顧客ニーズ及び新技術の導入

 当社グループの事業は、技術革新のスピードが早く、顧客要求の変化や新製品・サービスの導入が頻繁な市場であり、新たな技術・製品・サービスの開発により短期間に既存の製品・サービスが陳腐化して市場競争力を失うか、又は販売価格が大幅に下落することがあります。従って、当社グループは新技術・新製品等の開発を積極的に進めていますが、その結果が必ずしも市場で優位性を確保できるという保証はありません。急速な技術革新やその予測に迅速な対応ができない場合、又は顧客ニーズに合わせた新製品の導入ができない場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)顧客の生産計画

 当社グループの事業は、大部分の顧客はメーカーであり、顧客の生産計画の影響を直接受けます。また、顧客の生産計画は、個人消費の周期性や季節性、新製品の導入、新しい仕様・規格に対する需要予測及び技術革新のスピードなどの要因に左右されます。従って、このような不確実性が、当社グループの中長期的な研究開発や設備投資計画の策定に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)海外進出・運営に潜在するリスク

 当社グループの事業は、生産及び販売活動の多くを米国や欧州、並びに中国を含むアジア諸国にて行っています。これら海外市場に対する事業進出、また海外での事業運営を行うに当たっては、予期しない法律又は税制の変更、不利な政治又は経済要因、テロ・戦争・その他の社会的混乱等のリスクが常に内在しています。従って、これらの事象が起きた場合には、当社グループの事業の遂行が妨げられる可能性があります。

 

(6)特定の部品の供給体制

 当社グループの事業は、重要部品を当社グループ内で製造するよう努めていますが、一部の重要部品については、当社グループ外の企業から供給を受けています。従って、これらの供給元企業が災害等の事由により当社グループの必要とする数量の部品を予定どおり供給できない場合、生産遅延や販売機会損失等が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響が及ぶ可能性があります。

 

(7)業績の変動

 当社グループの業績は、当社グループのコントロールが及ばない要因によって変動する可能性があります。その要因とは、経済全般及び事業環境の変化、セット製品の市場投入の成否、大口顧客による製品戦略等の変更、大口注文の解約、大口顧客の倒産、大口顧客のM&Aによる消滅に伴う大きな変化等であり、上記の要因等に好ましくない変化が生じた場合は、当社グループの業績や財務状況に影響が及ぶ可能性があります。

 

(8)知的財産

 特許その他の知的財産は、当社グループ製品の市場の多くが技術革新に重点を置いていることなどから、重要な競争力の要因となっています。当社グループは、基本的に自社開発技術を使用しており、特許、商標及びその他の知的財産権を取得し、場合によっては行使することなどにより、当該技術の保護を図っています。しかし、当社グループの知的財産権の行使に何らかの障害が生じないという保証はなく、他社の知的財産権を侵害しているという申し立てを受ける可能性があります。

 また、当社グループが知的財産権を侵害しているとして損害賠償請求を提訴されている訴訟案件については、訴状への反論を行っていますが、裁判の経過により将来において訴訟の解決による損害賠償支払が確定した場合には、当社グループの業績や財務状況に影響が及ぶ可能性があります。更に当社グループの製品には、他社の知的財産権のライセンスを受けているものもありますが、当該知的財産権の保有者が将来において、ライセンスを当社グループに引き続き与えるという保証はありません。当社グループにとって好ましくない事態が生じた場合には、当社グループの事業はその影響を受ける可能性があります。

 

(9)外国為替リスク及び金利リスク

 当社グループは、グローバルに事業展開しており、結果として為替レートの変動による影響を受けます。一例として、外国通貨に対する円高、特に米ドル及びユーロに対して円高に変動した場合には、当社グループの業績にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。従って当社グループでは、先物為替予約や通貨オプションによるヘッジ取引や外貨建債権債務の相殺等、為替変動による影響額の極小化を図っていますが、為替レートの変動が想定から大きく乖離した場合、業績への影響を抑制できる保証はありません。

 また、当社グループでは金利変動リスクを抱える資産・負債を保有しており、一部については金利スワップによりヘッジを行っていますが、金利の変動により金利負担の増加を招く可能性があります。

 

(10)公的規制

 当社グループは、事業展開する各国において事業・投資の許可、関税をはじめとする輸出入規制等、様々な政府規制・法規制の適用を受けています。これらの規制によって、当社グループの事業活動が制限されコストの増加につながる可能性があります。従って、これらの規制は当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)環境汚染に関するリスク

 当社グループでは、CSRの一環として「アルプスグループ環境憲章」のもと、環境リスク対策への取組みを行っており、具体的には、化学物質の漏洩防止策や排水・排気管理の徹底、国内事業所における土壌・地下水の浄化等を実施しています。しかしながら、事業活動を通じて今後新たな環境汚染が発生しないという保証はありません。このような不測の事態が発生又は判明した場合、その対策費用が発生し、当社グループの業績及び財政状態の悪化につながる可能性があります。

 

(12)資金繰りに関するリスク

 当社グループでは、取引先銀行とシンジケートローン契約及びシンジケーション方式のコミットメントライン契約を締結していますが、これら契約の財務制限条項に抵触した場合には、借入金の繰上げ返済請求を受けることがあり、当社グループの財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

(13)災害等のリスク

 当社グループでは、国内外の各生産拠点において地震を含めた防災対策を徹底しており、過去の災害発生時には事業への影響を最小限に留めることができています。しかしながら、想定を超える大規模な災害が発生した場合には、事業への影響が大きくなる可能性があります。

 

(14)減損会計に関するリスク

 当社グループでは、事業の用に供する様々な資産を有しています。こうした資産は、時価の下落や、将来のキャッシュ・インフローの状況により、減損会計の適用を受けるリスクがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)有価証券の時価変動リスク

 当社グループでは、売買を目的とした有価証券は保有していませんが、時価を有するものについては全て時価評価を行っており、株式市場における時価の変動が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)法的手続き及び訴訟に関するリスク

 当社グループは、事業活動に関するコンプライアンス体制を構築し、その実行に努めています。しかしながら、当社グループの活動に関連して、法令違反に関する規制当局による法的手続きが開始された場合、あるいは訴訟が提起された場合には、その結果として、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、自動車部品の取引について競争を制限したとの理由で、米国等において、当社及び当社米国子会社を含む複数の事業者に対して損害賠償を求める集団訴訟が提起されています。現時点で本件訴訟の結果を合理的に予測することは困難です。

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

6【研究開発活動】

 当社グループ(当社及び連結子会社)は、独創技術の開発を基本理念として、新材料の開発から製品の開発、更には生産技術の開発に至るまで、積極的な研究開発活動を電子部品事業、車載情報機器事業及びその他で推進しています。

 当社グループの研究開発費の総額は33,336百万円です。

(1)電子部品事業

 「アルプスは人と地球に喜ばれる新たな価値を創造します。」を企業理念とし、「美しい電子部品を究めます。」を事業領域として、人とメディアのより快適なコミュニケーションを目指し、独自の材料、小型化技術などの当社固有技術を融合化することにより、ユニークな新製品への展開を進めています。

 現在、電子部品分野において、東北大学をはじめ国内外の大学や研究機関等とのコラボレーションを図るとともに、国内外の研究開発拠点の技術力を技術本部に結集し、積極的な研究開発を進めています。

 電子部品事業に係わる研究開発費は13,668百万円です。

 

①車載市場

 車の安全・安心・快適、そして環境性能などの向上に貢献すべく、エンジンやシャシーに使用されるセンサをドメインとして、部品からシステム製品迄の幅広い分野で研究開発を、また、車室内で人が操作するインプットデバイスの研究開発を行っています。

 

<コンポーネント製品>

 当連結会計年度の主な成果として、車のドアやトランク、エンジンフードなどの開閉状態を正確に検出するとともに、周辺回路の断線やショート等の異常をいち早く検出する抵抗器内蔵型の防水型検出スイッチを開発し、量産を開始しました。検出部には、当社固有の精密加工技術を応用することにより、塵、ほこり、振動や衝撃に強く、高い接触信頼性を実現しています。

 また、自動車部品の組み立て工程でのリフロー方式に対応した、業界初の中空エンコーダを開発し、量産を開始しました。軸材料の見直しを行い、耐熱性を向上させリフロー方式に対応しました。更に、独自の機構設計技術と精密加工技術を駆使し、高級感のあるフィーリングを実現しています。

 

<モジュール製品>

 通信モジュールでは、車室内におけるインフォテイメント領域でのコネクティビティ向けに開発を手掛けており、Bluetooth®モジュールが業界シェアNo.1を誇っています。

 当連結会計年度の主な成果として、インフォテイメント領域に加え、ITS(高度道路交通システム)社会の広がりを視野に、自動運転を支援するADAS(交通安全支援システム)や、事故を未然に防ぐDSSS(交通安全支援システム)に対応すべく、車車間・路車間の通信を可能とするV2X(Vehicle to X)モジュールを開発し、量産を開始しました。

 研究開発としては、車載用エアコンやオーディオの操作性を向上したタッチパネルモジュールの開発を進めています。更に、LTE(Long Term Evolution)のネットワーク網を車内で活用可能とするニーズに対応した、各国通信周波数に対応の車載用LTE通信モジュールの開発を進めています。

 

②民生その他市場

 スマートフォンやウェアラブル端末をはじめとする民生市場やヘルスケア・エネルギー市場において、機器の操作性・快適性・環境性・高速大容量化等に貢献すべく、新素材からセンサデバイス、モジュール製品等の幅広い分野で研究開発を行っています。

 

<コンポーネント製品>

 当連結会計年度の主な成果として、スマートフォン等に搭載されるカメラの高性能化・高画質化と低消費電力化のニーズにより、大口径レンズへの対応と低消費電力を同時に実現するバイダイレクションタイプのカメラ用アクチュエータを開発し、量産を開始しました。φ7.05mm(16メガピクセル向け)とφ8.0mm(20メガピクセル向け)の大口径レンズに対応する2種をラインナップし、いずれも10mm×10mm×4.3mmと同一の外形サイズ・仕様であるため、容易に大口径タイプへの変更が可能となり、顧客の設計負荷の低減にも寄与します。また、このカメラ用アクチュエータは、レンズの原点位置をあらかじめ使用頻度の高い焦点距離(位置)に設定し、その地点からプラス電流及びマイナス電流に応じて両方向(バイダイレクション)へ移動させ、ピント調整を行なう方式を採用しました。これにより、レンズの移動距離が短くなるため、移動に伴う消費電力の低減を実現しています。一方、13メガピクセル向けでは、従来タイプと比較して約1/3程度の低消費電力化と高速フォーカスを実現した業界初のバイダイレクションタイプのアクチュエータを開発し、量産を開始しました。外形サイズ8.5mm×8.5mm×2.8mmと業界最低背クラスを実現し、筐体の設計自由度とデザイン性に貢献します。

 また、スマートフォン向けとして、F2センサ方式を採用した曲面タッチパネルを開発し、量産を開始しました。

 更に、ウェアラブル端末やヘルスケア機器などは、軽薄短小化とともに高度な防水防塵化のニーズにより、IP68(注1)相当まで防塵を向上させた業界初のタクトスイッチ®を開発し、量産を開始しました。

 

<モジュール製品>

 当連結会計年度の主な成果として、IoT(インターネット・オブ・シングス)、M2M(Machine to Machine)市場の拡大が進む中、低消費電力化によりコイン型リチウム電池での駆動を可能とし、アンテナをモジュールの上面に配置することで、顧客の設計負荷低減にも寄与するBluetooth® Smartモジュールを開発し、量産を開始しました。

 研究開発としては、ウェアラブル端末、IoTへの注目が高まる中、6軸(地磁気+加速度)、気圧、温湿度、照度の各センサとBluetooth® Smartモジュール、アンテナを1パッケージ化した世界最小のセンサネットワークモジュールを「CEATEC JAPAN 2015」に出展し、グリーン・イノベーション部門で準グランプリを受賞しました。この小型センサネットワークモジュールにより、アクセサリーへの埋め込みや設備の隙間スペースなど、場所を問わず設置が可能で、住環境のモニタリングや健康管理、インフラ整備の監視など、幅広い用途で応用が可能となります。

 

(注1):IPとは日本工業規格で規定された防水・防塵性能の等級の事。

     IP68は、粉塵の侵入を完全に防ぎ、かつ長時間水没しても影響がないレベル。

 

(2)車載情報機器事業

 カーエレクトロニクスの事業領域において、従来型のオーディオ、ビジュアル、ナビゲーションを中核としたシステムから、カメラ、レーダー等のセンサを活用した運転者支援機能やスマートフォン等の個人情報端末・クラウドとの接続による複合システムへ大きく変化しており、更にそこで必要とされる技術の高度化・領域拡大も急速に進んでいます。また、中国や新興国市場の拡大による市場・顧客ニーズの多様化、グローバル化も年々進んでいます。これらの変化に対応するためアルパイン(株)が中心となり、日本、米国、欧州、中国の4極開発体制の強化に加え、昨年11月に中国NEUSOFT CORPORATIONとの合弁会社NEUSOFT REACH AUTOMOTIVE TECHNOLOGY (SHANGHAI)CO., LTD.(以下「NRA」という。)を設立し、また、当社とのグループ連携及び他社とのアライアンスを積極的に進めています。

 現在、アルパイン(株)では、自動車メーカーと複数の共同開発プロジェクトを推進しており、市場への展開を行っています。

 当連結会計年度の主な成果として、お客様のカーライフを分析した結果から生まれたアルパイン・プレミアムサウンドシステムを北米OEM車種専用向けに導入を行い、特に耐水性に優れたサブウーファーはSUVユーザーからの高評価を得る事ができました。次世代小型軽量・高効率車載オーディオシステムとしてアルパイン(株)が開発した革新的サブウーファーは欧州自動車メーカーを中心に導入が開始され、車両の軽量化に貢献しました。

 また、国内自動車メーカー車種専用に先進のサウンドテクノロジー「DDリニア構造」を採用した3WAYスピーカーシステムを開発し、導入を開始しました。当製品は18cm大口径ユニットを搭載し、ライブ感あふれる圧倒的なサウンドの実現が可能です。

 国内市場向けカーナビゲーション『Big-Xプレミアム』に車載市場向けとして世界最大となる11型WXGA液晶搭載モデルを開発しました。大画面・高精細画質の実現に加え、新たにリアビジョン(後席モニター)との前後座席コミュニケーション機能やカーアロマ(フレグランスユニット)の制御にも対応しています。また、『Big-Xシリーズ』はJDパワー社による顧客満足度調査で4年連続No.1、オートサウンドウェブによるカーオーディオ評価においても4年連続で最高位にあたるゴールドアワードを受賞しました。海外市販向けにおいては、車種専用トータルカーライフソリューションに対し、欧州EISA(European Imaging and Sound Association)年間最優秀賞と北米CES(Consumer Electronics Show) Innovation Awardsを相次いで受賞しました。新たに開発した車両BUSシステムとの連携、ライトバー・サスペンション・トノーカバー・ウインチ等のトラックアクセサリ操作機能に高い評価を受けました。

 中国の大手ソフトウェア開発会社であるNEUSOFT CORPORATIONと、自動車のインテリジェント化、インターネット化や新エネルギー化におけるソフトウェア開発及び関連技術開発を目的とした合弁会社NRAを設立しました。拡大を続ける中国市場において、電気自動車などのバッテリーパッケージ管理とインテリジェントチャージの重要技術、画像認識やセンサーとの融合を中核技術とする高度な運転支援システム、自動運転の重要技術、クラウドプラットフォームベースのテレマティクス、コネクテッドカーなどの分野で研究開発を進め、事業化を図っていきます。

 更に、Airbiquity社と『アルパインコネクト』を共同開発しました。アルパイン製ヘッドユニットから海外で人気の高いスマホアプリ(Yelp、Spotify、iHeartRadio、Glymse等)を操作可能な新しいサービスを実現しました。

 車載情報機器事業に係わる研究開発費は19,648百万円です。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものです。

 なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 2013年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としています。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループ(当社及び連結子会社)の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されています。

 この連結財務諸表の作成に際し、連結決算日における資産・負債の数値及び連結会計年度の収益・費用の数値に影響を与える会計上の見積りを用いています。この会計上の見積りは、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき行っています。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社は、特に以下の会計上の見積りが、当社グループの連結財務諸表に重要な影響を与えるものと考えています。

 

①たな卸資産及び有価証券の評価

 たな卸資産及び時価のない有価証券は主に原価法を、時価のある有価証券は時価法を採用しています。

 有価証券は、その価値の下落が原則30%以上の場合は、評価損を計上しています。

 たな卸資産では顧客の将来需要の減少等に伴う陳腐化、有価証券では将来の景気変動等によって投資先が業績不振になった場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。

 

②繰延税金資産

 繰延税金資産については、回収可能性があると判断できる金額のみ計上しています。繰延税金資産の回収可能性を判断するに当たっては、将来の課税所得等を考慮しています。

 すでに計上されている繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産を取崩し、税金費用として計上することになります。逆に回収可能性がないとして未計上であった繰延税金資産が回収可能になったと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産を計上し、税金費用を減少させることになります。

 

③退職給付に係る負債

 従業員の退職給付に備えるため、当社グループは連結会計年度末における退職給付債務及び年金資産の見込額に基づき、退職給付費用及び退職給付に係る負債の計上を行っています。退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率等に基づいて算出されています。この前提条件には割引率、退職率、死亡率、脱退率、昇給率が含まれています。

 この前提条件の変更等があった場合には、将来期間における退職給付費用及び退職給付債務に影響を及ぼすことがあります。

 

④固定資産の減損

 当社グループの保有する固定資産については、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損処理の要否を検討しています。

 事業用資産は、事業環境の悪化等により、これらの製品を製造する資産グループの帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失としています。

 遊休資産、賃貸資産及び処分予定資産は、時価の下落など資産価値が下落しているものや今後の使用見込みがないものについて、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失としています。

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

①概況

 当連結会計年度における世界経済は、米国では雇用の改善や個人消費の拡大を背景に、景気は堅調に推移しました。欧州では、国別にまだら模様ながらユーロ安や原油価格安などを追い風に、緩やかに回復しました。一方、中国では景気減速が鮮明となり、東南アジアの各新興国についても、通貨や資源価格の下落及び中国経済の減速などが影響し、経済成長は鈍化しました。日本経済においては、設備投資の増加や雇用の改善が進む一方、個人消費は昨年後半から伸び悩み、年明けからの円高基調などにより、景気回復は足踏み状態となりました。

 当連結会計年度の当社グループにおける連結業績は、売上高7,740億円(前期比3.4%増)、営業利益523億円(前期比2.3%減)、経常利益500億円(前期比13.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益390億円(前期比12.4%増)となりました。

 なお、当連結会計年度の米ドル及びユーロの平均為替レートはそれぞれ、120.14円及び132.58円と、前期に比べ米ドルは10.21円の円安、ユーロは6.19円の円髙で推移しました。

 

②売上高

 売上高は、7,740億円を計上し、254億円の増収(前期比3.4%増)となりました。

 セグメント別では、電子部品事業の売上高は4,340億円となり、前連結会計年度に比べ449億円の増収(前期比11.6%増)となりました。車載情報機器事業の売上高は2,675億円となり、前連結会計年度に比べ222億円の減収(前期比7.7%減)となりました。また、物流事業の売上高は602億円となり、前連結会計年度に比べ31億円の増収(前期比5.6%増)となりました。

 前連結会計年度に比べ、ユーロは円高が進行しましたが、米ドルは円安となったことにより352億円の増収要因となりました。

 

③営業利益

 営業利益は、523億円を計上し、12億円の減益(前期比2.3%減)となりました。また、為替の変動については、104億円の増益要因となりました。

 

④経常利益

 経常利益は、500億円を計上し、75億円の減益(前期比13.1%減)となりました。主な要因は、為替影響等によるものです。

 

⑤税金等調整前当期純利益

 税金等調整前当期純利益は、678億円を計上し、134億円の増益(前期比24.8%増)となりました。主な要因は、関係会社株式売却益によるものです。

 

⑥法人税等

 法人税等は、前連結会計年度の112億円に対して、当連結会計年度は211億円となりました。主な要因は、関係会社株式売却益に伴う法人税の増加と、繰延税金資産の取り崩しによる法人税等調整額の増加によるものです。

 

⑦非支配株主に帰属する当期純利益

 非支配株主に帰属する当期純利益は、主としてアルパイン(株)と(株)アルプス物流の非支配株主に帰属する損益からなり、前連結会計年度の83億円の非支配株主に帰属する当期純利益に対して、当連結会計年度は76億円の非支配株主に帰属する当期純利益となりました。

 

⑧親会社株主に帰属する当期純利益

 親会社株主に帰属する当期純利益は、390億円を計上し、42億円の増益(前期における親会社株主に帰属する当期純利益は347億円)となりました。1株当たり当期純利益は、206.64円(前期における1株当たり当期純利益は193.81円)となりました。

 

(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析

①キャッシュ・フロー

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度末における営業活動による資金の増加は、539億円(前期は651億円の増加)となりました。この増加は、主に税金等調整前当期純利益678億円、減価償却費307億円及び仕入債務の増加額88億円による資金の増加と、法人税等の支払額204億円、関係会社株式売却益184億円及びたな卸資産の増加額70億円による資金の減少によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度末における投資活動による資金の減少は、303億円(前期は297億円の減少)となりました。この減少は、主に関係会社株式の売却による収入209億円による資金の増加と、有形及び無形固定資産の取得による支出357億円、出資金の払込による支出140億円による資金の減少によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度末における財務活動による資金の減少は、363億円(前期は279億円の減少)となりました。この減少は、主に長期借入れによる収入175億円による資金の増加と、長期借入金の返済による支出426億円、配当金の支払額37億円、短期借入金の純増減額の減少34億円及び非支配株主への配当金の支払額21億円による資金の減少によるものです。

 これらの活動の結果及び為替相場の変動が海外子会社の現金及び現金同等物の円換算額に与えた影響などにより、現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ174億円減少し、当連結会計年度末の残高は、1,168億円となりました。

 

②資産、負債及び資本の状況

 当連結会計年度末における総資産は前連結会計年度末と比べ76億円減少の5,628億円、自己資本は転換社債型新株予約権付社債の株式転換が進んだことによる資本金及び資本剰余金の増加と、利益剰余金の増加等により489億円増加の2,284億円となり、自己資本比率は40.6%となりました。
  流動資産は、現金及び預金、受取手形及び売掛金の減少等により、前連結会計年度末と比べ183億円減少の3,543億円となりました。
  固定資産は、出資金及び建設仮勘定の増加と、投資有価証券の減少等により、前連結会計年度末と比べ107億円増加の2,084億円となりました。
  流動負債は、短期借入金の減少等により、前連結会計年度末と比べ338億円減少の1,788億円となりました。
  固定負債は、長期借入金及び退職給付に係る負債の増加と、転換社債型新株予約権付社債の減少等により、前連結会計年度末と比べ218億円減少の522億円となりました。

 

③財務政策と資金需要

 当社グループにおける運転資金及び設備投資資金については、主に営業活動によるキャッシュ・フローにて調達しています。当連結会計年度末の借入金残高は543億円(前期比316億円減)となり、運転資金安定のための短期借入金が349億円(前期比362億円減)、将来の事業基盤確立に向けた研究開発や設備投資資金の確保などのための長期借入金が194億円(前期比45億円増)となりました。

 

(4)今後の見通しについて

 世界経済は、米国で雇用環境の改善が続く中、堅調な個人消費にガソリン価格の低位安定や住宅市場の回復も下支えとなり、底堅い推移が見込まれます。欧州でも、各国でさまざまなリスクを抱えているものの、英国やドイツがけん引して緩やかながら景気回復傾向は継続するものと見られます。一方、中国は経済の減速が世界経済へと影響を及ぼすことが懸念されており、これら欧米、中国経済の行方により、新興各国の成長も明暗が分かれる可能性があります。日本経済は、雇用拡大や所得改善が期待される一方、輸出や個人消費が伸び悩むなど、景気回復は鈍化傾向にあります。

 このような経済環境の下、当社グループでは、新たな中期経営計画を策定し、更なる収益拡大を目指す電子部品事業を中心に、次期ビジネスの確固たる基盤確立に注力する車載情報機器事業、グローバルネットワークの拡充により拡大を目指す物流事業がそれぞれ力を発揮するとともに、より連携を強化し、業績向上、企業体質の強化を図っていきます。

 

①電子部品事業

 電子部品事業では、2016年4月から3年間の事業計画「第8次中期経営計画」を策定しました。第7次中期経営計画での成果を足がかりに、「持続的成長が可能な会社」への発展を目指して、車載、モバイルの両市場、及びEHII(エネルギー、ヘルスケア、インダストリー、IoT)の三つを重点市場と位置付けました。今後、車載市場向け事業では一層の収益改善に取り組むとともに、モバイル市場向けでは継続した新製品の創出と増客を図ることで、両市場での「収益の両輪化」を実現し、更なる拡大を目指します。またEHIIは、今後の成長市場として、HMI(ヒューマン・マシン・インタフェース)、センシング、コネクティビティの三つの技術領域を融合した新製品開発に拍車をかけるとともに、今後も各企業との協業などビジネススピードを加速させることで、早期に事業の柱として確立させるよう取り組みを強めます。

 

②車載情報機器事業

 車載情報機器事業では、2017年度以降の飛躍に備え、2016年度を経営基盤強化の準備期間と位置付け、プラットフォーム化による研究開発投資の効率化を目指します。音響機器ビジネスでは、自動車メーカー向け純正品として高評価を得たサウンドシステムの拡販に努めるとともに、自動車の燃費や環境に配慮した軽量・薄型スピーカーの付加価値を訴求し、受注拡大を図ります。また情報・通信機器ビジネスでは、新たな需要開拓を目指し欧米市販市場に投入した車種専用大画面ナビゲーションの拡販に注力し、好調な自動車販売が続く米国で引続きピックアップトラックやSUVにターゲットを絞ります。更に国内市販市場には業界最大サイズの大画面ナビゲーションの新製品を投入し、売上の拡大を目指します。

 

③物流事業

 物流事業では、主要顧客である電子部品業界において、自動車の電子化の進展や新興国における携帯機器などの需要拡大により今後も成長が予想されます。一方、製品や市場の変化に対応した適地生産や海外シフト、電子部品の価格競争に伴う合理化が進んでおり、顧客の物流改革ニーズはますます高度化かつ多様化しています。当事業では引き続き、ネットワークをはじめとする物流インフラの強化や、グローバルな提案営業の推進によって取扱貨物量の確保・拡大を図るとともに、生産性の向上など事業体質の強化に取り組んでいきます。