(1)業績
当連結会計年度における世界経済は、米国では雇用環境の改善や個人消費の拡大を背景に、景気回復が持続しました。欧州では、英国Brexitによる不透明感が漂ったものの、ユーロ圏全体では概ね堅調に推移しました。また、中国では経済成長が緩やかなものとなる一方、新興各国では減速傾向ながら一部で底打ち感も見られるなど、まだら模様となりました。日本経済は、春先から円高傾向による企業業績への影響や個人消費の伸び悩みなど、2015年より一転して潮目が変わりましたが、堅調な雇用や年末以降の円安傾向を背景に、緩やかに持ち直しました。
[電子部品事業]
エレクトロニクス業界においては、自動車市場では、好調な米国景気や中国での小型車減税による需要増、また原油安などを背景に好調を持続しました。モバイル市場では、北米メーカーの新型スマートフォンが堅調に推移するとともに、高機能モデルを投入した中国メーカーが躍進しました。また、VR(バーチャルリアリティ)製品が市場に投入され、関連技術に注目が集まるなど、エレクトロニクスの更なる進展に向けた動きも活発化しています。
この中で電子部品事業では、2016年4月より3年間の第8次中期経営計画がスタートし、潮目の変化を受けながらも持続的な成長に向けた各種の取り組みを進めました。車載市場では、各種操作入力用モジュール、通信モジュールなどを中心に、売上は全般にわたり堅調に推移しました。一方、モバイル市場では、スマートフォン向けコンポーネント製品が年央まで軟調でしたが、後半より好調さを取り戻しました。新しいEHII(Energy、Healthcare、Industry、IoT)市場向けでは、注目のIoT(Internet of Things)市場で各社との協業を推進し、具体的な取り組みを進めました。以上から、当期は前期に比べて為替の円高による影響を大きく受けましたが、業容は着実に拡大しました。
(車載市場)
電子部品事業における車載市場では、ADAS(先進運転支援システム)の搭載や自動運転の一部実用化など、自動車メーカー各社の取り組みにも拍車がかかり、クルマのエレクトロニクス化がより進展しました。この中で、電子シフターやBluetooth®、W-LAN、LTEなどの各種通信モジュール製品、及びセンサをはじめとした各種車載デバイス製品など全般にわたって堅調に推移しました。また、2016年10月には車載製品製造子会社であった栗駒電子(株)を吸収合併するなど、生産活動の強化も進めました。
当連結会計年度における当市場の売上高は2,560億円(前期比3.4%増)となりました。
(民生その他市場)
電子部品事業における民生その他市場では、モバイル市場において、カメラ用アクチュエータやスイッチを中心としたスマートフォン向け製品が当初は軟調に推移したものの、中国メーカースマートフォンの高機能化や北米メーカーの新製品の好調などから、年度後半より好転しました。また、HMI(Human Machine Interface)分野では、当社のハプティック®がVR市場の立ち上がりなどから注目を集め、ゲーム機をはじめとして、さまざまな市場での展開に向け、製品開発や提案活動を進めました。EHII市場では、IoTスマートモジュールを用い、通信等各社との協業によるソリューション提案を進めるとともに、パワーエレクトロニクス分野でのアルプス・グリーンデバイス(株)の吸収合併、また海外電力会社との協業契約締結など、事業基盤の確立及び将来の拡大に向けた具体的な取り組みを進めました。
当連結会計年度における当市場の売上高は1,816億円(前期比2.6%減)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の電子部品事業の売上高は4,376億円(前期比0.8%増)、営業利益は328億円(前期比19.6%減)となりました。
[車載情報機器事業]
カーエレクトロニクス業界は、インフォテインメントシステムを核とした車載情報分野と、自動車の電子化・自動運転・AI(人工知能)などの新分野との連携が拡大し、業種・業態を超えた競争が激化しました。
このような中、車載情報機器事業(アルパイン(株)・東証一部)では、世界最大規模の自動車市場である中国のモーターショーに出展し、ナビゲーションを核とした車種専用ソリューション及びプレミアムサウンドシステムの訴求を図りました。また、中国でEV(電気自動車)市場が急拡大する中、次世代バッテリー制御システムの開発など、EV関連事業に注力している持分法適用会社の資本増強を実施し開発機能の強化を図りました。国内では、市販市場にビッグXシリーズの新製品11インチ大画面ナビゲーションを投入し、他社との差別化を図りました。一方、自動車メーカー向け純正品は、燃費や環境に配慮した薄型・軽量スピーカーや、設置場所の自由度を向上させた軽量・小型の新製品レイアウトフリースピーカーの受注拡大を図りました。更に自動運転時代を見据え、日本アイ・ビー・エム(株)と共同で次世代車載システムの開発をスタートさせるとともに、ナビゲーション開発で培った位置制御技術を応用したドローンを活用する新規ビジネス創出を図るなど事業基盤の強化に取り組み、為替変動の影響を大きく受けながらも堅調に推移しました。
以上の結果、当連結会計年度の車載情報機器事業の売上高は2,423億円(前期比9.4%減)、営業利益は56億円(前期比3.5%増)となりました。
[物流事業]
物流事業((株)アルプス物流・東証二部)は、主要顧客である電子部品業界において、車載関連が米国や新興国需要によって好調に推移しました。また、昨年の夏場以降はスマートフォン向けの需要も拡大に向かいました。
このような需要動向のもと、物流事業では、グローバル・ネットワークの拡充や、国内・海外が一体となった提案営業を推進するとともに、運送・保管・輸出入各事業それぞれの生産性向上に取り組みました。国内では、相模原(神奈川県)や金沢(石川県)に倉庫を開設、名古屋の倉庫を拡張するとともに、九州や北陸地区を中心に輸送ネットワークの拡充を図りました。一方、海外では、中国の無錫(江蘇省)、タイのバンナ、韓国の仁川、ドイツのドルトムントなど既存拠点で、それぞれ倉庫の拡張を行いました。また、重点戦略地域の一つであるアセアンにおいては、倉庫の拡張に加えフィリピンのマニラに駐在員事務所を開設し、物流インフラの強化と今後のグローバル成長を推進しました。
以上の結果、当連結会計年度の物流事業の売上高は611億円(前期比1.5%増)、営業利益は50億円(前期比4.6%増)となりました。
以上により、上記の3事業セグメントにその他を加えた当連結会計年度の当社グループにおける連結業績は、売上高7,532億円(前期比2.7%減)、営業利益443億円(前期比15.2%減)、経常利益427億円(前期比14.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益349億円(前期比10.5%減)となりました。
なお、当連結会計年度の米ドル及びユーロの平均為替レートはそれぞれ、108.38円及び118.79円と、前期に比べ米ドルは11.76円の円高、ユーロは13.79円の円高で推移しました。
(2)キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ11億円増加し、当連結会計年度末の残高は、1,179億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末における営業活動による資金の増加は、416億円(前期は539億円の増加)となりました。
この増加は、主に税金等調整前当期純利益495億円、減価償却費330億円及び仕入債務の増加額95億円による資金の増加と、売上債権の増加額279億円、法人税等の支払額142億円、関係会社株式売却益76億円による資金の減少によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末における投資活動による資金の減少は、379億円(前期は303億円の減少)となりました。
この減少は、主に有形及び無形固定資産の取得による支出474億円による資金の減少と、関係会社株式の売却による収入93億円による資金の増加によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末における財務活動による資金の減少は、3億円(前期は363億円の減少)となりました。
この減少は、主に長期借入金の返済による支出127億円、配当金の支払額58億円による資金の減少と、短期借入金の純増減額144億円、長期借入れによる収入83億円による資金の増加によるものです。
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
電子部品事業 |
496,336 |
13.5 |
|
車載情報機器事業 |
215,557 |
△6.8 |
|
物流事業 |
- |
- |
|
合計 |
711,894 |
6.5 |
(注)1. セグメント間取引については、相殺消去しています。
2. 金額は、販売価格によっています。
3. 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2)受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
受注残高(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
電子部品事業 |
449,599 |
5.8 |
42,484 |
39.0 |
|
車載情報機器事業 |
236,134 |
△12.2 |
18,057 |
△25.5 |
|
物流事業 |
- |
- |
- |
- |
|
合計 |
685,733 |
△1.2 |
60,541 |
10.5 |
(注)1. セグメント間取引については、相殺消去しています。
2. 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
電子部品事業 |
437,676 |
0.8 |
|
車載情報機器事業 |
242,306 |
△9.4 |
|
物流事業 |
61,150 |
1.5 |
|
報告セグメント計 |
741,134 |
△2.7 |
|
その他 |
12,128 |
△0.4 |
|
合計 |
753,262 |
△2.7 |
(注)1. セグメント間取引については、相殺消去しています。
2. 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、電子部品事業、車載情報機器事業、物流事業を柱とし、電子部品事業は当社、車載情報機器事業はアルパイン(株)、物流事業は(株)アルプス物流を基幹として構成しており、各事業が密なる連携によるシナジーを発揮し、グローバルな事業展開を行っています。
電子部品事業の当社は、「人と地球に喜ばれる新たな価値を創造します」という企業理念のもと、人とメディアの快適なコミュニケーションの実現を目指しています。その「ものづくり」の姿勢は、「美しい電子部品を究めます」との言葉に凝縮され、「Right(最適な)」「Unique(独自性)」「Green(環境にやさしい)」を兼ね備えたもの、すなわち洗練された外観のみならず、求められる機能を高い品質で実現し、かつ省エネルギーや省資源など環境への影響も十分に配慮した製品です。その実現には、微細加工技術や金型加工技術、ソフトウェア・IC設計技術、材料加工技術等、多彩な固有技術をベースとした先端のものづくりを常に追究しています。スイッチ、センサなどコンポーネント製品、モジュール製品をはじめ、グリーンデバイスなど新しい製品開発、事業分野にも挑戦しています。
車載情報機器事業では、アルパイン(株)がグループ連携により企業価値を最大限にすべく取り組みます。また、企業理念として「個性の尊重」、「価値の創造」、「社会への貢献」、そして2020年に向けた企業ビジョン「VISION2020」にて、「アルパインは、あなたのカーライフを豊かにするモービルメディア・イノベーションカンパニーを目指します」をビジョンステートメントとして掲げ、ものづくりメーカーとしてより創造的、革新的な価値創出に挑戦し、企業価値を高めていきます。
物流事業では、(株)アルプス物流が、電子部品を主な取扱い貨物とし、それぞれのお客様の「物流個性」に合わせた最適物流を追求し、高品質・高効率、かつ安全で環境に配慮したサービスにより、ものづくりを支えます。
当社グループでは、その他の子会社群も含めた事業間の有機的な連携による経営を推し進め、グループ全体の業容の拡大と企業価値の最大化を図るとともに、豊かな電子社会の実現に向けて、「ものづくり」で社会に貢献していきます。
(2) 中長期的な経営戦略と目標とする経営指標
電子部品事業においては、2016年4月から2019年3月末まで3年にわたる第8次中期経営計画が進行中です。ここでは、目指す姿を「持続的成長が可能な会社になる」とし、約70年を超える歴史の中で培った固有技術をもとにした、HMI、センサ、コネクティビティの三つの技術領域を更に深耕するとともに、これらを融合することで、独自性の高い、競争力を持った新製品をいち早く生み出すことを事業方針としています。
注力市場は車載、モバイル、EHIIとし、車載市場ではコクピット周辺の各種操作入力用モジュールやコネクテッドカーに向けた各種通信モジュール、更に低燃費、安全性向上につながる各種センサなどコンポーネント部品を手がけます。モバイル市場では、各種スイッチなどの操作入力用部品をはじめ、主力のカメラ用アクチュエータを展開していきます。また、EHII市場ではセンサと通信モジュールを融合したIoTスマートモジュールや独自素材を用いた電源用部品、各種センサなどを投入しています。更に、フォースフィードバック技術によるハプティック®は、車載、ゲームをはじめ、今後さまざまな分野での応用を視野に入れ開発を続けています。
第8次中期経営計画期間中での売上目標を、車載市場では3,000億円、モバイル市場では2,000億円としました。また、EHII市場では、次期の第9次中期経営計画で売上600億円が達成できるよう土台作りを進めます。収益の確保については、これまで主であったスマートフォン向け製品に加え、車載市場向け製品の収益改善を進めることにより、スマートフォンなどモバイルと車載による「収益の両輪化」を目指し、更なる拡大を図ります。更に、今後スマートフォン市場の成長鈍化が見込まれる中では、これに代わる次の柱にEnergy、Healthcare、Industry、IoTといった新しい分野での事業開発を進めます。これらにより、第8次中期経営計画の事業目標である売上5,000億円、営業利益率10%の達成を目指します。
車載情報機器事業においては、2017年からの3年間を「VISION2020」達成に向けた企業変革実行の時期と位置づけており、中期経営目標達成及び2020年以降の成長に向けた基盤構築を加速するため、次の戦略をもとに諸施策を確実に推進し、企業体質の強化、収益力の向上及び独自性ある価値の創造を図り、企業価値の拡大を目指します。
①売上・利益の柱である情報・通信機器ビジネスには継続して研究開発投資を実施しつつ、更に進化したスマートフォン融合型商品や、新しいHMI(Human Machine Interface)といった新分野への比率を高め、新たな事業基盤の確立を図ります。②全社あげて製品構造改革、設計プロセスの改革及び「桁違いの搬入・市場品質」活動に取り組むとともに、生産マネジメント改革にむけた設備投資を積極的に行うことで品質の向上と価格競争力の強化を図ります。③グローバル(日本、米州、欧州、中国・アジア)で開発・調達・生産・販売の各機能を最適化し、顧客満足度の向上と収益・コストの構造改革に取り組むとともに、スクラップ&ビルドによる成長領域へのリソースシフトを進め、強い企業体質を作ります。④ますます複雑化する企業活動に関するリスクへの対応として、引き続きCSR委員会を中心として、内部統制の強化及びリスクマネジメント、コンプライアンス対応の強化を図ります。目標とする経営指標として、国内・海外関連会社を含む連結経営を重視し、連結売上高営業利益率5%超を目指しています。開発・生産・営業の各機能が一体となり、持続的成長及び収益力の向上に取り組んでいきます。
物流事業においては、2016年度より3ヶ年の第3次中期経営計画をスタートし、「お客様ごとの『最適物流』を追求し、グローバル成長を加速する」ことを掲げ、「連結売上高1,000億円の達成」と「次の飛躍に向けた事業基盤の強化」に取り組んでいます。重点戦略・施策として、①Next GTB(Get the Business/新領域への挑戦):成長・拡充エリアへのネットワーク構築、新ニーズの把握と新市場顧客の開拓、②Next GTP(Get the Profit/現場革・進と基盤強化):一人・時間当たりの生産性・付加価値の向上、③Next GTC(Get the Confidence/競争優位性の拡大):「感動品質」「環境物流」「最適物流」の追求、「感じのいい会社」の追求と「働き方改革」の推進に取り組んでいきます。目標とする経営指標として、中期・短期の経営計画で、事業別・地域別の売上高や営業利益など損益目標を定め、PDCAのサイクルにより計画達成を図っています。また、グローバル成長の度合いを測る指標として「外販比率(親会社であるアルプスグループ以外の売上構成比率)」、「海外売上比率」の目標値を設定し、達成に向けて戦略・施策を推進しています。
(3) 会社の経営環境と対処すべき課題
当社グループを取り巻く環境は、不確実性が強まる中で先行きを見通すことが大変困難ですが、エレクトロニクス製品・自動車の需要は、先進国における高機能・多機能化に加えて、中長期的には新興国における需要の増加が牽引役となり、今後も拡大していくものと期待されます。
電子部品事業では、よりエレクトロニクスの重要性が高まる自動車市場、依然として旺盛な需要が続くスマートフォン市場、また新たにVR市場が立ち上がりを見せるなど、今後も拡大が見込まれます。当社では、三つの技術領域から優位性の高い製品を継続して生み出し、これらニーズに応えていきます。開発スピードアップ、生産性並びに品質の向上に向けて技術・営業・製造部門が一体となった取り組みを更に強化し、First1、Number1製品を創出していきます。また、お客様がグローバル各地域に広がり、製品によって短期間での激しい需要増減もある中で、より強固でフレキシブルな生産体制の整備・確立が急務であり、国内外生産拠点の整備を進めるとともに、間接部門を含めた生産性向上により、収益性の強化にもつなげていきます。更に、EHII市場では幅広く、さまざまなビジネス形態がある中で、独自の製品開発と他社との協業や提携などによって事業基盤の確立に取り組みます。
車載情報機器事業では、核となるインフォテインメントシステムが、カメラ、センサなどを活用した安全機能との連携やメータークラスタパネルとの融合など、車室内における重要性がますます高まっています。コネクテッドカーの開発に伴う情報配信システムや地図データの高度化など、ハードウェアと制御ソフトウェアを組み合わせたシステムが重視される中、ソフト開発力の強化を重要課題と認識し、他社との業務提携や資本参加などにより先端技術開発を深耕するとともに、研究開発投資の効率化を図ります。また、先進のコンシューマーエレクトロニクス技術やADAS(先進運転支援システム)のコアとなるデバイスとインフォテインメントシステムとの融合に注力し、自動車メーカー向けにデジタルコクピットをはじめとする車載情報システムのトータルソリューションを提供していきます。
物流事業では、主要顧客である電子部品業界は、さまざまな機器や自動車の電子化の進展、そして新興国需要の拡大によって、今後も成長が予想されています。一方で、商品やマーケットの変化に対応した最適地生産・海外シフトや、電子機器・部品の価格競争に伴う合理化が進んでおり、顧客の物流改革ニーズは高度化かつ多様化しています。また、物流面では、機器の統合や小型化によって数量の増加に対し容積ベースの物量は増えにくい状況になっており、物流各社のサービスの同質化が進む中で、物流企業間の競争はますます厳しさを増しています。このような事業環境のもと、物流事業では、主力の電子部品物流事業を中心にエリアの拡大と新市場への取り組みを進め、グローバルに業容の拡大を図っていきます。
また、その他の子会社群についても、グループ外部に対する拡販活動の強化などにより、収益への貢献を果たしていきます。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)経済状況
当社グループ(当社及び連結子会社)は、電子部品事業を中心としてグローバルに事業を展開しており、当連結会計年度の海外売上高は79.8%を占めています。当社グループ製品の大部分は顧客であるメーカーに販売されるため、経済動向に左右される可能性のある顧客の生産水準が、当社グループの事業に大きく影響します。従って、当社グループは直接あるいは間接的に、日本や欧米、アジアの各市場における経済状況の影響を受ける環境にあり、各市場における景気の変動等によって、当社グループの業績及び財務状況に影響が及ぶ可能性があります。
(2)競合
当社グループは、電子部品事業をはじめ、全ての事業分野において、他社との激しい競争に晒されています。当社グループは、新製品の導入や高品質の製品供給、グローバルなネットワークの整備・拡充等により、顧客満足を得るべく努めていますが、市場における競争は更に激化することが予想されます。従って、失注などの不測事態の発生によって、当社グループの業績及び財務状況に影響が及ぶ可能性があります。
(3)顧客ニーズ及び新技術の導入
当社グループの事業は、技術革新のスピードが早く、顧客要求の変化や新製品・サービスの導入が頻繁な市場であり、新たな技術・製品・サービスの開発により短期間に既存の製品・サービスが陳腐化して市場競争力を失うか、又は販売価格が大幅に下落することがあります。従って、当社グループは新技術・新製品等の開発を積極的に進めていますが、その結果が必ずしも市場で優位性を確保できるという保証はありません。急速な技術革新やその予測に迅速な対応ができない場合、又は顧客ニーズに合わせた新製品の導入ができない場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(4)顧客の生産計画
当社グループの事業は、大部分の顧客はメーカーであり、顧客の生産計画の影響を直接受けます。また、顧客の生産計画は、個人消費の周期性や季節性、新製品の導入、新しい仕様・規格に対する需要予測及び技術革新のスピードなどの要因に左右されます。従って、このような不確実性が、当社グループの中長期的な研究開発や設備投資計画の策定に影響を及ぼす可能性があります。
(5)海外進出・運営に潜在するリスク
当社グループの事業は、生産及び販売活動の多くを米国や欧州、並びに中国を含むアジア諸国にて行っています。これら海外市場に対する事業進出、また海外での事業運営を行うに当たっては、予期しない法律又は税制の変更、不利な政治又は経済要因、テロ・戦争・その他の社会的混乱等のリスクが常に内在しています。従って、これらの事象が起きた場合には、当社グループの事業の遂行が妨げられる可能性があります。
(6)特定の部品の供給体制
当社グループの事業は、重要部品を当社グループ内で製造するよう努めていますが、一部の重要部品については、当社グループ外の企業から供給を受けています。従って、これらの供給元企業が災害等の事由により当社グループの必要とする数量の部品を予定どおり供給できない場合、生産遅延や販売機会損失等が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響が及ぶ可能性があります。
(7)業績の変動
当社グループの業績は、当社グループのコントロールが及ばない要因によって変動する可能性があります。その要因とは、経済全般及び事業環境の変化、セット製品の市場投入の成否、大口顧客による製品戦略等の変更、大口注文の解約、大口顧客の倒産、大口顧客のM&Aによる消滅に伴う大きな変化等であり、上記の要因等に好ましくない変化が生じた場合は、当社グループの業績や財務状況に影響が及ぶ可能性があります。
(8)知的財産
特許その他の知的財産は、当社グループ製品の市場の多くが技術革新に重点を置いていることなどから、重要な競争力の要因となっています。当社グループは、基本的に自社開発技術を使用しており、特許、商標及びその他の知的財産権を取得し、場合によっては行使することなどにより、当該技術の保護を図っています。しかし、当社グループの知的財産権の行使に何らかの障害が生じないという保証はなく、他社の知的財産権を侵害しているという申し立てを受ける可能性があります。
また、当社グループが知的財産権を侵害しているとして損害賠償請求を提訴されている訴訟案件については、訴状への反論を行っていますが、裁判の経過により将来において訴訟の解決による損害賠償支払が確定した場合には、当社グループの業績や財務状況に影響が及ぶ可能性があります。更に当社グループの製品には、他社の知的財産権のライセンスを受けているものもありますが、当該知的財産権の保有者が将来において、ライセンスを当社グループに引き続き与えるという保証はありません。当社グループにとって好ましくない事態が生じた場合には、当社グループの事業はその影響を受ける可能性があります。
(9)外国為替リスク及び金利リスク
当社グループは、グローバルに事業展開しており、結果として為替レートの変動による影響を受けます。一例として、外国通貨に対する円高、特に米ドル及びユーロに対して円高に変動した場合には、当社グループの業績にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。従って当社グループでは、先物為替予約や通貨オプションによるヘッジ取引や外貨建債権債務の相殺等、為替変動による影響額の極小化を図っていますが、為替レートの変動が想定から大きく乖離した場合、業績への影響を抑制できる保証はありません。
また、当社グループでは金利変動リスクを抱える資産・負債を保有しており、一部については金利スワップによりヘッジを行っていますが、金利の変動により金利負担の増加を招く可能性があります。
(10)公的規制
当社グループは、事業展開する各国において事業・投資の許可、関税をはじめとする輸出入規制等、様々な政府規制・法規制の適用を受けています。これらの規制によって、当社グループの事業活動が制限されコストの増加につながる可能性があります。従って、これらの規制は当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(11)環境汚染に関するリスク
当社グループでは、CSRの一環として「アルプスグループ環境憲章」のもと、環境リスク対策への取組みを行っており、具体的には、化学物質の漏洩防止策や排水・排気管理の徹底、国内事業所における土壌・地下水の浄化等を実施しています。しかしながら、事業活動を通じて今後新たな環境汚染が発生しないという保証はありません。このような不測の事態が発生又は判明した場合、その対策費用が発生し、当社グループの業績及び財政状態の悪化につながる可能性があります。
(12)資金繰りに関するリスク
当社グループでは、取引先銀行とシンジケートローン契約及びシンジケート方式のコミットメントライン契約を締結していますが、これら契約の財務制限条項に抵触した場合には、借入金の繰上げ返済請求を受けることがあり、当社グループの財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
(13)災害等のリスク
当社グループでは、国内外の各生産拠点において地震を含めた防災対策を徹底しており、過去の災害発生時には事業への影響を最小限に留めることができています。しかしながら、想定を超える大規模な災害が発生した場合には、事業への影響が大きくなる可能性があります。
(14)減損会計に関するリスク
当社グループでは、事業の用に供する様々な資産を有しています。こうした資産は、時価の下落や、将来のキャッシュ・インフローの状況により、減損会計の適用を受けるリスクがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(15)有価証券の時価変動リスク
当社グループでは、売買を目的とした有価証券は保有していませんが、時価を有するものについては全て時価評価を行っており、株式市場における時価の変動が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16)法的手続き及び訴訟に関するリスク
当社グループは、事業活動に関するコンプライアンス体制を構築し、その実行に努めています。しかしながら、当社グループの活動に関連して、法令違反に関する規制当局による法的手続きが開始された場合、あるいは訴訟が提起された場合には、その結果として、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループ(当社及び連結子会社)は、独創技術の開発を基本理念として、新材料の研究開発から製品の開発、更には生産技術の開発に至るまで、積極的な研究開発活動を電子部品事業、車載情報機器事業及びその他で推進しています。
当社グループの研究開発費の総額は32,279百万円です。
(1)電子部品事業
「アルプスは人と地球に喜ばれる新たな価値を創造します。」を企業理念とし、「美しい電子部品を究めます。」を事業領域として、人とメディアのより快適なコミュニケーションを目指し、メカトロニクス技術・プロセス技術・マテリアル技術等の当社固有技術をより深化させるとともに融合化することにより、ユニークな新製品への展開を進めています。
また、国内外の大学や研究機関等とのコラボレーションを図っており、東北大学とは2017年3月に組織的連携協力協定を締結。共同研究に加え新たな共創による先端技術新事業の創出を目指すとともに、人材面において地域産業の持続的成長促進に向けたイノベーションを担う創業人材の育成と交流を推進していきます。
電子部品事業に係わる研究開発費は16,780百万円です。
①車載市場
車の安全・安心・快適、そして環境性能などの向上に貢献すべく、部品からシステム製品迄の幅広い分野に対応できる商品の研究開発を進めており、車室内で進む電子化・複雑な操作に対しては、統合操作デバイスの開発を行っています。今後増えていくHV・PHV・EV・燃料電池車等に必要とされる商品の開発も進めています。
<車載モジュール製品>
当連結会計年度の主な成果として、車載用エアコンやオーディオの操作性向上を目的にタッチパネルモジュール・ハプティック®タッチパッド・静電ステアリングホイールスイッチ・小型電子シフタの開発を進めています。更に、衝突防止・自動運転の目となるべく、前方の車両や人・障害物などを検知するための超短距離ミリ波レーダーの開発を進めています。
快適な操作フィーリングの追求や複合化・多機能化によって付加価値の向上を図りながら、材料・部品の共通化及び設計・開発工程の標準化を推進しています。更に、生産性改善にも一層の拍車をかけて安定品質を維持・徹底し、収益力の強化を図っています。
<車載デバイス製品>
当連結会計年度の主な成果として、ADAS(先進運転支援システム)での自動運転の実現に向け、コア技術である高周波回路技術によりモジュール化を行い、V2X(Vehicle to X)モジュールの量産を開始し、今後更なる拡大を見込んでいます。ITS(高度道路交通システム)が進展していくことによって、これまで以上に必要性が高まることから、製品ラインナップ拡充のため研究開発を強化していきます。
②民生その他市場
スマートフォンをはじめとする民生市場やヘルスケア・エネルギー市場において、機器の操作性・快適性・環境性・高速大容量化等に貢献すべく、新素材からセンサデバイス、モジュール製品等の幅広い分野で研究開発を行っています。
<コンポーネント製品>
当連結会計年度の主な成果として、スマートフォン等に搭載されるカメラの高性能化・高画質化と低消費電力化のニーズにより、デュアルカメラ対応のオートフォーカスアクチュエータ、スマートフォンの薄型化に対応した低背のアクチュエータ、高画質に対応すべく高解像度対応のアクチュエータを開発し、量産を開始しました。また、業界トップクラスの実績と豊富なバラエティ、高い信頼性の評価を受けました。
ゲームの世界を中心に工場や医療現場の遠隔操作用コントローラなど、幅広い用途が期待されるVR(バーチャルリアリティ)に向けては、「ハプティック®」というフォースフィードバック技術を用いて各種の製品開発を進めています。「ALPS SHOW 2016」「CEATEC JAPAN 2016」などの各種展示会では、コップをモチーフに、お茶や冷水が注がれた際の温度変化や液体の動き、容器の感触が手に伝わる技術体感アイテム「ハプティック®トリガープラス」を展示し、大きな反響を得ました。
当社固有の精密加工技術や磁気設計・電気設計技術を応用した振動フィードバックデバイス「ハプティック®リアクタ」は、新たにゲーム機として採用され量産を開始しました。
<モジュール製品>
当連結会計年度の主な成果として、IoT(Internet of Things)、M2M(Machine to Machine)市場の拡大が進む中、低消費電力でコイン型リチウム電池の駆動が可能で、アンテナ、6軸(地磁気+加速度)、気圧、温湿度、照度の各センサとBluetooth® Smartモジュールを1パッケージ化した世界最小のセンサネットワークモジュールを開発し、量産を開始しました。ユーザーサイドで活用できる開発キットもあわせて提案することにより、幅広いIoTの構築及び効率よく利用ができる環境を提供可能になりました。実際の採用例としては、ビルの環境管理や設備の予防保全、製造の現場における製造ラインのモニタリング、物流における倉庫内の状態管理、農業ICT(Information and Communication Technology)における活用など、幅広い用途で採用されています。今後、IoTの広がりとともに、用途、需要の拡大が見込まれます。
新たに環境エナジー市場に向けて、家庭向け蓄電池システムの出荷を開始しました。当社独自素材を用いたリカロイ™トロイダルコアを搭載した自社開発小型・高効率電力変換モジュールにより、従来比では小型・軽量化は20%以上、総合効率も40%以上の向上を実現しました。
(2)車載情報機器事業
主としてアルパイン(株)が中心となり、カーエレクトロニクスの事業領域において、従来型のオーディオ・ビジュアル・ナビゲーションを中核としたシステムから、カメラ、各種センサ及びスマートフォン等の個人情報端末・クラウドとそこから得られるダイナミック(動的)な情報を組み合わせることで、快適なカーライフを提供する自動運転時代を見据えた次世代車載システムの開発に着手しました。
更に、これまで培った高精度自車位置技術を活用した産業用ドローンサービス事業の研究にも着手しました。市場・顧客ニーズの多様化及びグローバル化も年々進んでおり、これらの変化に対応するため日・米・欧・中の4極開発体制の強化に加え、当社をはじめとしたグループ連携及び他社・異業種とのアライアンスを積極的に進めています。
現在アルパイン(株)では、自動車メーカーと音響機器、情報・通信機器ともに複数の共同開発プロジェクトを推進しており、今後、適宜市場への展開を図っていきます。
当連結会計年度の主な成果として、音響機器事業においては、Apple社のCarPlay®対応ワイヤレスヘッドユニットとオフロード車種専用で防水仕様かつオープントップ時にも視認性の高い新しいディスプレイを組み込んだモデルが、優れたデザインと技術を認められ、CESの車載オーディオ/ビデオ部門において“CES Innovation Awards”を受賞しました。
また、クルマでの音の楽しみ方の幅を広げる小型軽量化スピーカー「レイアウトフリースピーカー」を発表し、純正ディーラーオプションとして採用されました。レイアウトフリースピーカーは外径48mm、奥行き33mmと従来のスピーカーよりも15%の小型化と45%の軽量化を実現しました(当社従来スピーカー比)。大きさが従来より小さいにも関わらず、幅広い帯域を高品質で再生可能にしました。
更に、国内外市販市場向けに“究極のリアルサウンド”と“圧倒的臨場感”を実現するスピーカーの新製品「X」(エックス)を導入しお客様からの高い評価を獲得しました。素材を微細化する最新技術で高密度に仕上げられたウーファー部のナノファイバー振動板や、カーボングラファイト振動板を採用したグラファイトツィーター、大型の35mmボイスコイルと超急冷押出しネオジウムによる超高密度ラジアルリングマグネットなどにより明瞭・緻密でパワフルな音の再生を実現しました。
情報・通信機器事業においては、ご好評をいただいている国内市場向けカーナビゲーション「Big-Xシリーズ」は、昨年発売の11型WXGA液晶搭載モデルを筆頭に高評価を受け、JDパワー社による顧客満足度調査において5年連続No.1を取得し、オートサウンドウェブによるカーオーディオ評価においてもカーナビゲーションとして最高位のシルバーアワードを受賞しました。引続きHMI(Human Machine Interface)革新などによる顧客価値を創造し「モノ」から「コト」への付加価値を提供していきます。
また、自動運転時代を見据え、快適なカーライフを提供する次世代車載システムの開発に着手しました。本システムはアルパイン(株)の車載機器技術と日本アイ・ビー・エム(株)の自動車業界向けIoTソリューション「Watson IoT for Automotive」を基盤技術として利用し、多様でダイナミック(動的)な情報を活用しながら、ドライバーや同乗者に合わせて快適なドライブを提供する次世代のIBM Cloudを活用したシステムです。また「Watson IoT for Automotive」が持つ豊富なデータを活用し、さまざまな業界のサービスとオープンに連携することが可能となります。
車載情報機器事業に係わる研究開発費は15,449百万円です。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループ(当社及び連結子会社)の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されています。
この連結財務諸表の作成に際し、連結決算日における資産・負債の数値及び連結会計年度の収益・費用の数値に影響を与える会計上の見積りを用いています。この会計上の見積りは、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき行っています。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社は、特に以下の会計上の見積りが、当社グループの連結財務諸表に重要な影響を与えるものと考えています。
①たな卸資産及び有価証券の評価
たな卸資産及び時価のない有価証券は主に原価法を、時価のある有価証券は時価法を採用しています。
有価証券は、その価値の下落が原則30%以上の場合は、評価損を計上しています。
たな卸資産では顧客の将来需要の減少等に伴う陳腐化、有価証券では将来の景気変動等によって投資先が業績不振になった場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。
②繰延税金資産
繰延税金資産については、回収可能性があると判断できる金額のみ計上しています。繰延税金資産の回収可能性を判断するに当たっては、将来の課税所得等を考慮しています。
すでに計上されている繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産を取崩し、税金費用として計上することになります。逆に回収可能性がないとして未計上であった繰延税金資産が回収可能になったと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産を計上し、税金費用を減少させることになります。
③退職給付に係る負債
従業員の退職給付に備えるため、当社グループは連結会計年度末における退職給付債務及び年金資産の見込額に基づき、退職給付費用及び退職給付に係る負債の計上を行っています。退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率等に基づいて算出されています。この前提条件には割引率、退職率、死亡率、脱退率、昇給率が含まれています。
この前提条件の変更等があった場合には、将来期間における退職給付費用及び退職給付債務に影響を及ぼすことがあります。
④固定資産の減損
当社グループの保有する固定資産については、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損処理の要否を検討しています。
事業用資産は、事業環境の悪化等により、これらの製品を製造する資産グループの帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失としています。
遊休資産、賃貸資産及び処分予定資産は、時価の下落など資産価値が下落しているものや今後の使用見込みがないものについて、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失としています。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
①概況
当連結会計年度における世界経済は、米国では雇用環境の改善や個人消費の拡大を背景に、景気回復が持続しました。欧州では、英国Brexitによる不透明感が漂ったものの、ユーロ圏全体では概ね堅調に推移しました。また、中国では経済成長が緩やかなものとなる一方、新興各国では減速傾向ながら一部で底打ち感も見られるなど、まだら模様となりました。日本経済は、春先から円高傾向による企業業績への影響や個人消費の伸び悩みなど、2015年より一転して潮目が変わりましたが、堅調な雇用や年末以降の円安傾向を背景に、緩やかに持ち直しました。
当連結会計年度の当社グループにおける連結業績は、売上高7,532億円(前期比2.7%減)、営業利益443億円(前期比15.2%減)、経常利益427億円(前期比14.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益349億円(前期比10.5%減)となりました。
なお、当連結会計年度の米ドル及びユーロの平均為替レートはそれぞれ、108.38円及び118.79円と、前期に比べ米ドルは11.76円の円高、ユーロは13.79円の円高で推移しました。
②売上高
売上高は、7,532億円を計上し、207億円の減収(前期比2.7%減)となりました。
セグメント別では、電子部品事業の売上高は4,376億円となり、前連結会計年度に比べ36億円の増収(前期比0.8%増)となりました。車載情報機器事業の売上高は2,423億円となり、前連結会計年度に比べ252億円の減収(前期比9.4%減)となりました。また、物流事業の売上高は611億円となり、前連結会計年度に比べ8億円の増収(前期比1.5%増)となりました。
前連結会計年度に比べ、米ドル及びユーロ共に円高が進行したことにより597億円の減収要因となりました。
③営業利益
営業利益は、443億円を計上し、79億円の減益(前期比15.2%減)となりました。また、為替の変動については、137億円の減益要因となりました。
④経常利益
経常利益は、427億円を計上し、73億円の減益(前期比14.6%減)となりました。主な要因は、為替影響等によるものです。
⑤税金等調整前当期純利益
税金等調整前当期純利益は、495億円を計上し、183億円の減益(前期比27.0%減)となりました。主な要因は、関係会社株式売却益の減少によるものです。
⑥法人税等
法人税等は、前連結会計年度の211億円に対して、当連結会計年度は83億円となりました。主な要因は、課税所得減による法人税等の減少と、繰延税金資産の積増しによる法人税等調整額の減少によるものです。
⑦非支配株主に帰属する当期純利益
非支配株主に帰属する当期純利益は、主としてアルパイン(株)と(株)アルプス物流の非支配株主に帰属する損益からなり、前連結会計年度の76億円の非支配株主に帰属する当期純利益に対して、当連結会計年度は61億円の非支配株主に帰属する当期純利益となりました。
⑧親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、349億円を計上し、41億円の減益(前期における親会社株主に帰属する当期純利益は390億円)となりました。1株当たり当期純利益は、178.25円(前期における1株当たり当期純利益は206.64円)となりました。
(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①キャッシュ・フロー
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末における営業活動による資金の増加は、416億円(前期は539億円の増加)となりました。この増加は、主に税金等調整前当期純利益495億円、減価償却費330億円及び仕入債務の増加額95億円による資金の増加と、売上債権の増加額279億円、法人税等の支払額142億円、関係会社株式売却益76億円による資金の減少によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末における投資活動による資金の減少は、379億円(前期は303億円の減少)となりまし
た。この減少は、主に有形及び無形固定資産の取得による支出474億円による資金の減少と、関係会社株式の売
却による収入93億円による資金の増加によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末における財務活動による資金の減少は、3億円(前期は363億円の減少)となりまし
た。この減少は、主に長期借入金の返済による支出127億円、配当金の支払額58億円による資金の減少と、短
期借入金の純増減額144億円、長期借入れによる収入83億円による資金の増加によるものです。
これらの活動の結果及び為替相場の変動が海外子会社の現金及び現金同等物の円換算額に与えた影響などに
より、現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ11億円増加し、当連結会計年度末の残高は、1,179億
円となりました。
②資産、負債及び資本の状況
当連結会計年度末における総資産は前連結会計年度末と比べ401億円増加の6,029億円、自己資本は、利益剰
余金の増加等により、260億円増加の2,545億円となり、自己資本比率は42.2%となりました。
流動資産は、受取手形及び売掛金、たな卸資産、現金及び預金の増加等により、前連結会計年度末と比べ253
億円増加の3,797億円となりました。
固定資産は、機械装置及び運搬具、工具器具備品及び金型、無形固定資産及び繰延税金資産の増加等によ
り、前連結会計年度末と比べ147億円増加の2,232億円となりました。
流動負債は、支払手形及び買掛金、短期借入金、未払法人税等、未払費用及び賞与引当金の増加と、製品保
証引当金の減少等により、前連結会計年度末と比べ92億円増加の1,880億円となりました。
固定負債は、長期借入金の増加と、退職給付に係る負債及び繰延税金負債の減少等により、前連結会計年度
末と比べ14億円増加の537億円となりました。
③財務政策と資金需要
当社グループにおける運転資金及び設備投資資金については、主に営業活動によるキャッシュ・フローにて調達しています。当連結会計年度末の借入金残高は632億円(前期比89億円増)となり、運転資金安定のための短期借入金が374億円(前期比25億円増)、将来の事業基盤確立に向けた研究開発や設備投資資金の確保などのための長期借入金が258億円(前期比64億円増)となりました。
(4)今後の見通しについて
米国政府による各種政策の影響、英国BrexitやEU主要国の総選挙等の動向、成長カーブが鈍化した中国経済、不安定なアジア情勢、更に為替の変動による景気下振れリスクが懸念される日本経済など、世界景気はまさに不確実性が高まっており、決して予断を許さない状況です。
このような環境のもと、当社グループでは、更なる成長に向けて、電子部品事業、車載情報機器事業、物流事業ともに緊張感を持って、着実な事業活動を進めます。
①電子部品事業
電子部品事業では、「持続的成長が可能な会社」を目指し、車載市場売上3,000億円、スマートフォンを含むモバイル市場売上2,000億円などを達成目標とした第8次中期経営計画の2年目を迎えます。車載市場では、モジュール製品での一層の収益改善を進めるとともに、センサなど各種デバイス製品の拡大を図ります。モバイル市場では、スマートフォンの高機能化による部品需要の拡大に対し、高品質な製品の確実な供給に努めるとともに、VRなど新たな市場向けも含めた新製品の開発に注力し、車載市場とモバイル市場での「収益の両輪化」を目指します。EHII市場向け事業は、固有技術を融合した特徴あるものづくりと他社との協業によりビジネススピードを加速させます。更に、インテリジェントカーやVR市場、IoTの拡大など、将来の電子部品の高度化や需要拡大に備えて、国内外での生産基盤の拡充も進めていきます。
②車載情報機器事業
車載情報機器事業では、2020年度に向けて策定した企業ビジョン「VISION2020」達成に向け、国内における技術開発子会社の吸収合併や製造子会社の統合などグループ再編による構造改革を実施し、より強固な事業基盤の構築を進めます。音響機器ビジネスでは、自動車メーカー向け純正品として高評価を得ているサウンドシステムの拡販に努めるとともに、燃費や環境に配慮した軽量・薄型スピーカーや、設置場所の自由度を向上させた軽量・小型の新製品レイアウトフリースピーカーの付加価値を訴求し、受注拡大を図ります。また、情報・通信機器ビジネスでは、新たな需要開拓を目指し欧米市販市場に投入した車種専用大画面ナビゲーションの拡販に注力し、好調な自動車販売が続く米国で引続きピックアップトラックやSUVにターゲットを絞ります。国内市販市場では、業界最大サイズの大画面ナビゲーションやリアモニターを搭載した、専用の車室内及び外観パーツをデザインしたカスタマイズカーによる売上拡大を目指します。
③物流事業
物流事業では、主要顧客である電子部品業界において、自動車の電子化の進展や新興国における携帯機器などの需要拡大により今後も成長が予想されます。一方、製品や市場の変化に対応した適地生産や海外シフト、電子部品の価格競争に伴う合理化が進んでおり、顧客の物流改革ニーズはますます高度化かつ多様化しています。当事業では引き続き、主力の電子部品物流事業を中心に、成長・拡充エリアへの拠点・ネットワーク拡大と新市場の開拓を進めるなど、次の飛躍に向けた事業基盤の強化に取り組み、グローバルに業容の拡大を図っていきます。