文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、電子部品事業、車載情報機器事業、物流事業を柱とし、電子部品事業は当社、車載情報機器事業はアルパイン(株)、物流事業は(株)アルプス物流を基幹として構成しており、各事業が密なる連携によるシナジーを発揮し、グローバルな事業展開を行っています。
電子部品事業の当社は、「人と地球に喜ばれる新たな価値を創造します」という企業理念のもと、人とメディアの快適なコミュニケーションの実現を目指しています。その「ものづくり」の姿勢は、「美しい電子部品を究めます」との言葉に凝縮され、「Right(最適な)」「Unique(独自性)」「Green(環境にやさしい)」を兼ね備えたもの、
すなわち洗練された外観のみならず、求められる機能を高い品質で実現し、かつ省エネルギーや省資源など環境への影響も十分に配慮した製品を示します。その実現には、微細加工技術や金型加工技術、ソフトウェア・IC設計技術、材料加工技術等、多彩な固有技術をベースとした先端のものづくりを常に追究しています。スイッチ、センサなどコンポーネント製品、モジュール製品をはじめ、グリーンデバイスなど新しい製品開発、事業分野にも挑戦しています。
車載情報機器事業では、アルパイン(株)がグループ連携により企業価値を最大限にすべく取り組みます。また、企業理念として「個性の尊重」、「価値の創造」、「社会への貢献」、そして2020年に向けた企業ビジョン
「VISION2020」にて、「アルパインは、あなたのカーライフを豊かにするモービルメディア・イノベーションカンパニーを目指します」をビジョンステートメントとして掲げ、ものづくりメーカーとしてより創造的、革新的な価値創出に挑戦し、企業価値を高めていきます。
物流事業では、(株)アルプス物流が電子部品を主な取扱い貨物とし、「ものづくりを支える最適物流を追求し、豊かな社会の実現に貢献します」との企業理念を掲げ、事業領域を「電子部品を核とした総合物流サービス」と定めています。また、消費物流関連の(株)流通サービスでは、「地域社会の中で、消費者の暮らしに貢献できる消費物流に特化した総合物流企業を目指します」との企業理念を定めています。
グループ各社は企業理念のもと連携して、中期・短期の経営計画を推進し、業容の拡大と企業価値の最大化を図っていきます。
(2) 中長期的な経営戦略と目標とする経営指標
電子部品事業においては、2016年4月から2019年3月末まで3年にわたる第8次中期経営計画が進行中です。ここでは、目指す姿を「持続的な成長が可能な会社」とし、70年の歴史の中で培った固有技術をもとにした、HMI(Human Machine Interface)、センサ、コネクティビティの三つの技術領域を更に深耕するとともに、これらを融合することで、独自性の高い、競争力を持った新製品をいち早く生み出すことを事業方針としています。
注力市場は車載、モバイル、EHII(Energy、Healthcare、Industry、IoT)とし、車載市場ではコクピット周辺の各種操作入力用モジュールやコネクテッドカーに向けた各種通信モジュール、更に低燃費、安全性向上につながる各種センサなどコンポーネント製品を手がけます。モバイル市場では、各種スイッチなどの操作入力用製品をはじめ、主力のカメラ用アクチュエータを展開していきます。また、EHII市場ではセンサと通信モジュールを融合したIoTスマートモジュールや独自素材を用いた電源用製品、各種センサなどを投入しています。更に、フォースフィードバック技術によるハプティック®は、車載、ゲームをはじめ、今後さまざまな分野での応用を視野に入れ開発を続けています。
目標とする経営指標として「GT510」(売上高5,000億円、営業利益率10%)を掲げ、持続的成長が可能な会社を目指します。
そのための収益の確保については、これまで主であったスマートフォン向け製品に加え、車載市場向け製品の収益改善を進めることにより、スマートフォンなどモバイルと車載による「収益の両輪化」を目指し、更なる拡大を図ります。更に、今後スマートフォン市場の成長鈍化が見込まれる中では、これに代わる次の柱にEHIIといった新しい分野での事業開発を進めます。
車載情報機器事業においては、2017年4月からの3年間を「VISION2020」達成に向けた企業変革実行の時期と位置づけており、中期経営目標達成及び2020年以降の成長に向けた基盤構築を加速するため、次の戦略をもとに諸施策を確実に推進し、企業体質の強化、収益力の向上及び独自性ある価値の創造を図り、企業価値の拡大を目指します。①売上・利益の柱である情報・通信機器ビジネスには継続して研究開発投資を実施しつつ、更に進化したスマートフォン融合型商品や、新しいHMIといった新分野への比率を高め、新たな事業基盤の確立を図ります。②全社あげて製品構造改革、設計プロセスの改革及び「桁違いの搬入・市場品質」活動に取り組むとともに、生産マネジメント改革に向けた設備投資を積極的に行うことで品質の向上と価格競争力の強化を図ります。③グローバル(日本、米州、欧州、中国・アジア)で開発・調達・生産・販売の各機能を最適化し、顧客満足度の向上と収益・コストの構造改革に取り組むとともに、スクラップ&ビルドによる成長領域へのリソースシフトを進め、強い企業体質を作ります。④ますます複雑化する企業活動に関するリスクへの対応として、引き続きCSR委員会を中心として、内部統制の強化及びリスクマネジメント、コンプライアンス対応の強化を図ります。目標とする経営指標として、国内・海外関連会社を含む連結経営を重視し、営業利益率5%超を目指しています。開発・生産・営業の各機能が一体となり、持続的成長及び収益力の向上に取り組んでいきます。
物流事業においては、2016年4月より3ヶ年の第3次中期経営計画をスタートし、「お客様ごとの『最適物流』を追求し、グローバル成長を加速する」ことを掲げ、「次の飛躍に向けた事業基盤の強化」に取り組んでいます。重点戦略・施策として、①Next GTB(Get the Business/新領域への挑戦):成長・拡充エリアへのネットワーク構築、新ニーズの把握と新市場顧客の開拓、②Next GTP(Get the Profit/現場革・進と基盤強化):一人・時間当たりの生産性・付加価値の向上、③Next GTC(Get the Confidence/競争優位性の拡大):「感動品質」「環境物流」「最適物流」の追求、「感じのいい会社」の追求と「働き方改革」の推進に取り組んでいきます。目標とする経営指標として、中期・短期の経営計画で、事業別・地域別の売上高や営業利益など損益目標を定め、PDCAのサイクルにより計画達成を図っています。また、グローバル成長の度合いを測る指標として「外販比率(親会社であるアルプスグループ以外の売上構成比率)」、「海外売上比率」の目標値を設定し、達成に向けて戦略・施策を推進しています。
(3) 会社の経営環境と対処すべき課題
当社グループを取り巻く環境は、不確実性が強まる中で先行きを見通すことが大変困難ですが、エレクトロニクス製品・自動車の需要は、先進国における高機能・多機能化に加えて、中長期的には新興国における需要の増加が牽引役となり、今後も拡大していくものと期待されます。
電子部品事業では、よりエレクトロニクスの重要性が高まる自動車市場、成長は鈍化したものの高機能部品の需要は高いスマートフォン市場、また新たにVR市場が立ち上がりを見せるなど、今後も拡大が見込まれます。当社では、HMI(Human Machine Interface)、センサ、コネクティビティの三つの技術領域から優位性の高い製品を継続して生み出し、これらニーズに応えていきます。開発スピードアップ、生産性並びに品質の向上に向けて技術・営業・製造部門が一体となった取り組みを更に強化し、Number1製品を創出していきます。
また、お客様がグローバル各地域に広がり、製品によって短期間での激しい需要増減もある中で、より強固でフレキシブルな生産体制の整備・確立が急務であり、国内外生産拠点の整備を進めるとともに、間接部門を含めた生産性向上により、収益性の強化にもつなげていきます。更に、EHII市場では幅広く、さまざまなビジネス形態がある中で、独自の製品開発と他社との協業や提携などによって事業基盤の確立に取り組みます。
車載情報機器事業では、現在の自動車業界は100年に1度とも言われる大きな変革の時代に入っており、特にCASE(Connected、Autonomous、Shared & Services、Electric)と呼ばれる4つの領域においては、インターネットへの常時接続機能の搭載(Connected)、自動運転(Autonomous)、自動車シェアリングサービス(Shared & Services)及び電気自動車(Electric)等、他の業界に類を見ないほどの大きな変化が生じています。また、IT企業による自動車業界への進出に代表されるように、自動車業界の枠組みを超えた合従連衡の動きは従前よりも格段に加速しています。
2018年度以降もCASE領域への経営資源の集中は自動車業界全体のトレンドであり続け、HMI等のサプライヤーは、単なるモジュール製品の開発だけではなく、自動車全体におけるHMIシステムの提案まで行うことが期待されています。目まぐるしく変化している車載機器の市場環境を踏まえ、当社とアルパイン(株)の強みを融合させた新製品の開発及び市場投入までの期間短縮は喫緊の課題となっており、当事業はアルパイン(株)との経営統合を加速しシナジーを創出することで、これらの課題に速やかに対処して顧客の期待に応えていきます。
物流事業では、主要顧客である電子部品業界は、さまざまな機器や自動車の電子化の進展、そして新興国需要の拡大によって、今後も成長が予想されています。一方で、商品やマーケットの変化に対応した最適地生産・海外シフトや、電子機器・部品の価格競争に伴う生販合理化が進んでおり、顧客の物流改革ニーズは高度化かつ多様化しています。
このような事業環境のもと、電子部品関連の事業をドメインとする(株)アルプス物流及びその国内外の子会社では、2016年4月より3ヶ年の第3次中期経営計画をスタートしました。中期基本方針として、お客様ごとの「最適物流」を追求し、グローバル成長を加速することを掲げ、売上高1,000億円の達成と次の飛躍に向けた事業基盤の強化に取り組んできました。2017年度に売上高1,000億円を1年前倒しで達成し、中期経営計画の最終年度となる2018年度は、引き続きNext Actions「高度化する物流QCDSに挑戦」との年度事業方針を掲げ、その達成に向けて戦略・施策を推進し、電子部品関連、消費関連それぞれの分野において、更なるグローバル成長を図っていきます。
また、その他の子会社群についても、グループ外部に対する拡販活動の強化などにより、収益への貢献を果たしていきます。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)経済状況
当社グループは、電子部品事業を中心としてグローバルに事業を展開しており、当連結会計年度の海外売上高は81.8%を占めています。当社グループ製品の大部分は顧客であるメーカーに販売されるため、経済動向に左右される可能性のある顧客の生産水準が、当社グループの事業に大きく影響します。従って、当社グループは直接あるいは間接的に、日本や欧米、アジアの各市場における経済状況の影響を受ける環境にあり、各市場における景気の変動等によって、当社グループの業績及び財務状況に影響が及ぶ可能性があります。
(2)競合
当社グループは、電子部品事業をはじめ、全ての事業分野において、他社との激しい競争に晒されています。当社グループは、新製品の導入や高品質の製品供給、グローバルなネットワークの整備・拡充等により、顧客満足を得るべく努めていますが、市場における競争は更に激化することが予想されます。従って、失注などの不測事態の発生によって、当社グループの業績及び財務状況に影響が及ぶ可能性があります。
(3)顧客ニーズ及び新技術の導入
当社グループの事業は、技術革新のスピードが早く、顧客要求の変化や新製品・サービスの導入が頻繁な市場であり、新たな技術・製品・サービスの開発により短期間に既存の製品・サービスが陳腐化して市場競争力を失うか、又は販売価格が大幅に下落することがあります。従って、当社グループは新技術・新製品等の開発を積極的に進めていますが、その結果が必ずしも市場で優位性を確保できるという保証はありません。急速な技術革新やその予測に迅速な対応ができない場合、又は顧客ニーズに合わせた新製品の導入ができない場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(4)顧客の生産計画
当社グループの事業は、大部分の顧客はメーカーであり、顧客の生産計画の影響を直接受けます。また、顧客の生産計画は、個人消費の周期性や季節性、新製品の導入、新しい仕様・規格に対する需要予測及び技術革新のスピードなどの要因に左右されます。従って、このような不確実性が、当社グループの中長期的な研究開発や設備投資計画の策定に影響を及ぼす可能性があります。
(5)海外進出・運営に潜在するリスク
当社グループの事業は、生産及び販売活動の多くを米国や欧州、並びに中国を含むアジア諸国にて行っています。これら海外市場に対する事業進出、また海外での事業運営を行うに当たっては、予期しない法律又は税制の変更、不利な政治又は経済要因、テロ・戦争・その他の社会的混乱等のリスクが常に内在しています。従って、これらの事象が起きた場合には、当社グループの事業の遂行が妨げられる可能性があります。
(6)特定の部品の供給体制
当社グループの事業は、重要部品を当社グループ内で製造するよう努めていますが、一部の重要部品については、当社グループ外の企業から供給を受けています。従って、これらの供給元企業が災害等の事由により当社グループの必要とする数量の部品を予定どおり供給できない場合、生産遅延や販売機会損失等が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響が及ぶ可能性があります。
(7)業績の変動
当社グループの業績は、当社グループのコントロールが及ばない要因によって変動する可能性があります。その要因とは、経済全般及び事業環境の変化、セット製品の市場投入の成否、大口顧客による製品戦略等の変更、大口注文の解約、大口顧客の倒産、大口顧客のM&Aによる消滅に伴う大きな変化、原材料及び購入部品の価格の変動、輸送費及びその他の費用の変動、電力事情、個人情報・機密情報の管理等であり、上記の要因等に好ましくない変化が生じた場合は、当社グループの業績や財務状況に影響が及ぶ可能性があります。
(8)知的財産
特許その他の知的財産は、当社グループ製品の市場の多くが技術革新に重点を置いていることなどから、重要な競争力の要因となっています。当社グループは、基本的に自社開発技術を使用しており、特許、商標及びその他の知的財産権を取得し、場合によっては行使することなどにより、当該技術の保護を図っています。しかし、当社グループの知的財産権の行使に何らかの障害が生じないという保証はなく、他社の知的財産権を侵害しているという申し立てを受ける可能性があります。
また、当社グループが知的財産権を侵害しているとして損害賠償請求を提訴されている訴訟案件については、訴状への反論を行っていますが、裁判の経過により将来において訴訟の解決による損害賠償支払が確定した場合には、当社グループの業績や財務状況に影響が及ぶ可能性があります。更に当社グループの製品には、他社の知的財産権のライセンスを受けているものもありますが、当該知的財産権の保有者が将来において、ライセンスを当社グループに引き続き与えるという保証はありません。当社グループにとって好ましくない事態が生じた場合には、当社グループの事業はその影響を受ける可能性があります。
(9)外国為替リスク及び金利リスク
当社グループは、グローバルに事業展開しており、結果として為替レートの変動による影響を受けます。一例として、外国通貨に対する円高、特に米ドル及びユーロに対して円高に変動した場合には、当社グループの業績にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。従って当社グループでは、先物為替予約や通貨オプションによるヘッジ取引や外貨建債権債務の相殺等、為替変動による影響額の極小化を図っていますが、為替レートの変動が想定から大きく乖離した場合、業績への影響を抑制できる保証はありません。
また、当社グループでは金利変動リスクを抱える資産・負債を保有しており、一部については金利スワップによりヘッジを行っていますが、金利の変動により金利負担の増加を招く可能性があります。
(10)公的規制
当社グループは、事業展開する各国において事業・投資の許可、関税をはじめとする輸出入規制等、様々な政府規制・法規制の適用を受けています。これらの規制によって、当社グループの事業活動が制限されコストの増加につながる可能性があります。従って、これらの規制は当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(11)環境汚染に関するリスク
当社グループは、CSRの一環として「アルプスグループ環境憲章」のもと、環境リスク対策への取組みを行っており、具体的には、化学物質の漏洩防止策や排水・排気管理の徹底、国内事業所における土壌・地下水の浄化等を実施しています。しかしながら、事業活動を通じて今後新たな環境汚染が発生しないという保証はありません。このような不測の事態が発生又は判明した場合、その対策費用が発生し、当社グループの業績及び財政状態の悪化につながる可能性があります。
(12)資金繰りに関するリスク
当社グループは、取引先銀行とシンジケートローン契約及びシンジケート方式のコミットメントライン契約を締結していますが、これら契約の財務制限条項に抵触した場合には、借入金の繰上げ返済請求を受けることがあり、当社グループの財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
(13)災害等のリスク
当社グループは、国内外の各生産拠点において地震を含めた防災対策を徹底しており、過去の災害発生時には事業への影響を最小限に留めることができています。しかしながら、想定を超える大規模な災害が発生した場合には、事業への影響が大きくなる可能性があります。
(14)減損会計に関するリスク
当社グループは、事業の用に供する様々な資産を有しています。こうした資産は、時価の下落や、将来のキャッシュ・インフローの状況により、減損会計の適用を受けるリスクがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(15)有価証券の時価変動リスク
当社グループは、売買を目的とした有価証券は保有していませんが、時価を有するものについては全て時価評価を行っており、株式市場における時価の変動が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16)法的手続き及び訴訟に関するリスク
当社グループは、事業活動に関するコンプライアンス体制を構築し、その実行に努めています。しかしながら、当社グループの活動に関連して、法令違反に関する規制当局による法的手続きが開始された場合、あるいは訴訟が提起された場合には、その結果として、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(17)品質に関するリスク
当社グループは、品質保証体制を構築し、品質改善活動を通じ品質の維持・向上・また問題発生の未然防止に取り組んでいます。しかしながら、当社グループの製品の品質に起因して顧客の損失が発生した場合、生産物賠償責任保険の適用を超える賠償責任を問われる可能性があります。その結果として、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は前連結会計年度末と比べ688億円増加の6,717億円、自己資本は、利益剰余金増加等により、466億円増加の3,011億円となり、自己資本比率は44.8%となりました。
流動資産は、受取手形及び売掛金、たな卸資産、現金及び預金の増加等により、前連結会計年度末と比べ302億円増加の4,099億円となりました。
固定資産は、機械装置及び運搬具、工具器具備品及び金型、無形固定資産及び投資有価証券の増加等により、前連結会計年度末と比べ386億円増加の2,618億円となりました。
流動負債は、未払費用、賞与引当金、製品保証引当金の増加と、支払手形及び買掛金、短期借入金の減少等により、前連結会計年度末と比べ96億円増加の1,977億円となりました。
固定負債は、長期借入金の増加と、退職給付に係る負債の減少等により、前連結会計年度末と比べ44億円増加の581億円となりました。
②経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、米国では、企業業績や雇用環境が順調さを維持し、個人消費も拡大が続きました。欧州では、ユーロ圏で失業率の低下や輸出増加に伴う企業の設備投資は堅調に、英国でも個人消費が緩やかな回復基調になり、好調さを持続しました。また中国では、公共投資の下支えのもと、輸出の好調などから景気は安定的に推移しました。日本経済は、堅調な企業収益や雇用環境の改善などにより、景気は緩やかな回復を続けています。
セグメントごとの経営成績は次のとおりです。
[電子部品事業]
エレクトロニクス業界においては、自動車向け市場でCASE(Connected、Autonomous、Shared & Services、Electric)への開発活動が活発化し、電装化ニーズが更に高まりました。モバイル市場のスマートフォンでは過去数年継続してきた高い成長は減速したものの、大きな市場として存在感を維持しています。ゲーム機向けはVR搭載製品が伸長し、IoT(Internet of Things)市場は、各国で政府主導による活用の動きが活発化しています。
この中で電子部品事業では、第8次中期経営計画の2年目を迎え、車載市場では操作入力用モジュール製品や通信用高周波製品等が全般にわたり堅調でした。民生その他市場では、スマートフォン向け各種製品が期初より高水準で推移し、期末の減少傾向はあったものの、通期で業績を牽引しました。ゲーム機向け製品も順調に伸び、EHII(Energy、Healthcare、Industry、IoT)向けは、IoTをはじめとした様々な市場に向け、具体的な提案活動を進めました。以上に加え、為替が年間を通じて期初想定より円安に推移したこともあり、業績は着実に拡大しました。
(車載市場)
電子部品事業における車載市場では、自動運転車の開発に伴い自動車の電子化の動きが更に加速する中で、電子シフターやドアモジュールなどのモジュール製品、Bluetooth®、W-LAN、LTEなどの通信用高周波製品及びセンサをはじめとした各種車載デバイス製品など、全般にわたって堅調に推移しました。
当連結会計年度における当市場の売上高は2,832億円(前期比10.6%増)となりました。
(民生その他市場)
電子部品事業における民生その他市場では、モバイル市場において、期初よりカメラ用アクチュエータが高水準を維持し、一部地域向けで期末に減速傾向となりましたが、通期では昨年を上回る伸びを示し、スイッチなどコンポーネント製品も順調に推移しました。ハプティック®は、ゲーム機市場の活況を受けて好調を持続するとともに、さまざまな市場への展開にも取り組みました。EHIIでは、大手重電企業や電力会社とのエネルギーに関する取り組みが進展し、IoTでは、さまざまな業界に向けて子会社アルプス システム インテグレーション(株)と共同で、ニーズの把握と新規需要の掘り起こしを進めました。
当連結会計年度における当市場の売上高は2,308億円(前期比27.1%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の電子部品事業の売上高は5,140億円(前期比17.4%増)、営業利益は529億円(前期比61.4%増)となりました。
[車載情報機器事業]
カーエレクトロニクス業界は、自動車の電子化が加速する中、インフォテインメントシステムを核とした車載情報分野と、自動運転やAI(人工知能)など新分野との連携が拡大し、業種・業態を超えた競争が激化しました。
このような中、車載情報機器事業(アルパイン(株)・東証一部)では、2017年4月から3カ年の「第14次中期経営計画」を策定しました。この計画に基づき、国内技術開発子会社を吸収合併して技術開発力を強化するとともに、期初に統合した国内製造子会社3社の生産性向上を図るなど、グループ再編による構造改革を推進し、より強固な事業基盤の構築に努めました。また、ソフトウェアの性能や品質向上のため(株)シーズ・ラボとの資本及び業務提携の強化を行い子会社化し、コニカミノルタ(株)が開発した3D AR(拡張現実)技術を活用したHUD(ヘッドアップディスプレイ)の量産化を目指し、同社との共同開発を開始しました。更に、新規ビジネスとして「アルパインスタイル・カスタマイズカー」の販売を開始しました。以上に加え、国内市販市場向けアルパインブランドの車種専用製品や、中国市場における欧州自動車メーカー向け純正品の売上が伸長する中、為替が期初の想定よりも円安に推移したことから、当初の予想を上回る業績となりました。
以上の結果、当連結会計年度の車載情報機器事業の売上高は2,676億円(前期比10.5%増)、営業利益は137億円(前期比144.2%増)となりました。
[物流事業]
物流事業の主要顧客である電子部品業界において、年明け以降、スマートフォン向けの需要の減速感が見られたものの、全体を通しては車載関連やスマートフォン向けの生産増加によって好調に推移しました。
このような需要動向のもと、物流事業((株)アルプス物流・東証二部)では、グローバルに拠点・倉庫・ネットワークの拡充や、新市場の顧客開拓と受託エリアの拡大に向けた営業活動を行い、取扱貨物量の拡大を図るとともに、運送・保管・輸出入各事業それぞれの生産性向上に取り組みました。国内では、千葉県船橋市に倉庫を開設し、今後の輸出入事業の拡大に対応していきます。また、埼玉県加須市に2018年5月竣工予定の大型倉庫建設に着工しました。海外では、香港での事業拡大に伴う倉庫の再編による保管能力の拡張を図り、更に、中国・重慶では重慶支店を開設、ベトナム・ハノイに現地法人、インド・デリー近郊のグルグラムに現地法人を設立しました。北米では米国テキサス州ダラスに営業事務所、メキシコでは2社目の現地法人を設立しました。
以上の結果、当連結会計年度の物流事業の売上高は646億円(前期比5.7%増)、営業利益は49億円(前期比3.0%減)となりました。
以上により、上記の3事業セグメントにその他を加えた当連結会計年度の当社グループにおける連結業績は、売上高8,583億円(前期比13.9%増)、営業利益719億円(前期比62.0%増)、経常利益667億円(前期比56.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益473億円(前期比35.7%増)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ27億円増加し、当連結会計年度末の残高は、1,207億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末における営業活動による資金の増加は、703億円(前期は416億円の増加)となりました。
この増加は、主に電子部品事業及び車載情報機器事業において営業利益が過去最高を更新したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末における投資活動による資金の減少は、667億円(前期は379億円の減少)となりました。
この減少は、将来の利益創出のため主にスマートフォン向け製品の規模拡大を図るために積極的に設備投資を行ったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末における財務活動による資金の減少は、29億円(前期は3億円の減少)となりました。
この減少は、主に配当金の支払額62億円、短期借入金の純増減額27億円及び非支配株主への配当金の支払額20億円による資金の減少と、長期借入れによる収入106億円による資金の増加によるものです。
④生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
電子部品事業 |
527,519 |
6.3 |
|
車載情報機器事業 |
227,455 |
5.5 |
|
物流事業 |
- |
- |
|
合計 |
754,975 |
6.1 |
(注)1. セグメント間取引については、相殺消去しています。
2. 金額は、販売価格によっています。
3. 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
b. 受注実績
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
受注残高(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
電子部品事業 |
517,995 |
15.2 |
46,447 |
9.3 |
|
車載情報機器事業 |
272,918 |
15.6 |
23,337 |
29.2 |
|
物流事業 |
- |
- |
- |
- |
|
合計 |
790,914 |
15.3 |
69,785 |
15.3 |
(注)1. セグメント間取引については、相殺消去しています。
2. 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
電子部品事業 |
514,031 |
17.4 |
|
車載情報機器事業 |
267,638 |
10.5 |
|
物流事業 |
64,666 |
5.7 |
|
報告セグメント計 |
846,336 |
14.2 |
|
その他 |
11,981 |
△1.2 |
|
合計 |
858,317 |
13.9 |
(注)1. セグメント間取引については、相殺消去しています。
2. 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されています。
この連結財務諸表の作成に際し、連結決算日における資産・負債の数値及び連結会計年度の収益・費用の数値に影響を与える会計上の見積りを用いています。この会計上の見積りは、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき行っています。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社は、特に以下の会計上の見積りが、当社グループの連結財務諸表に重要な影響を与えるものと考えています。
a. たな卸資産及び有価証券の評価
たな卸資産及び時価のない有価証券は主に原価法を、時価のある有価証券は時価法を採用しています。
有価証券は、その価値の下落が原則30%以上の場合は、評価損を計上しています。
たな卸資産では顧客の将来需要の減少等に伴う陳腐化、有価証券では将来の景気変動等によって投資先が業績不振になった場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。
b. 繰延税金資産
繰延税金資産については、回収可能性があると判断できる金額のみ計上しています。繰延税金資産の回収可能性を判断するに当たっては、将来の課税所得等を考慮しています。
すでに計上されている繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産を取崩し、税金費用として計上することになります。逆に回収可能性がないとして未計上であった繰延税金資産が回収可能になったと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産を計上し、税金費用を減少させることになります。
c. 退職給付に係る負債
従業員の退職給付に備えるため、当社グループは連結会計年度末における退職給付債務及び年金資産の見込額に基づき、退職給付費用及び退職給付に係る負債の計上を行っています。退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率等に基づいて算出されています。この前提条件には割引率、退職率、死亡率、脱退率、昇給率が含まれています。
この前提条件の変更等があった場合には、将来期間における退職給付費用及び退職給付債務に影響を及ぼすことがあります。
d. 固定資産の減損
当社グループの保有する固定資産については、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損処理の要否を検討しています。
事業用資産は、事業環境の悪化等により、これらの製品を製造する資産グループの帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失としています。
遊休資産、賃貸資産及び処分予定資産は、時価の下落など資産価値が下落しているものや今後の使用見込みがないものについて、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失としています。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の当社グループにおける連結業績は、売上高8,583億円(前期比13.9%増)、営業利益719億円(前期比62.0%増)、経常利益667億円(前期比56.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益473億円(前期比35.7%増)となりました。
増収増益の主な要因は、前連結会計年度に比べ、米ドル及びユーロともに円安が進行したことによる為替影響や為替影響を除く売上高も増加し、売上高・営業利益ともに通期ベースで過去最高を更新したことによるものです。
今後については、当社グループでは「持続的成長が可能な会社」を目指す電子部品事業を中心に、次期ビジネスの確固たる基盤確立に注力する車載情報機器事業、グローバルネットワークの拡充により拡大を目指す物流事業がそれぞれ力を発揮するとともに、2019年1月の事業持株会社による新事業体制に向け、企業価値の向上を図っていきます。
なお各セグメントの状況については以下のとおりです。
[電子部品事業]
当連結会計年度は、「GT510」(売上高5,000億円、営業利益率10%)を経営指標としていましたが、実績は、売上高は5,140億円、営業利益率10.3%とその目標を達成しました。その要因としては、車載市場が着実に売上拡大(前期比10.6%増)し、かつ民生その他市場においては、大幅に売上増加(前期比27.1%増)したことにより、売上高・営業利益ともに過去最高を更新したことによるものです。
今後については、車載市場では、モジュール製品での一層の収益改善を進めるとともに、モバイル市場においても、スマートフォン市場のコモディティ化に対して既存設備のフル活用による一層の収益向上に努めます。これら車載市場とモバイル市場での「収益の両輪化」を更に追求する一方、自動車業界での革新的なCASEでの製品開発により重点を置き、次期ビジネスの確保に向けた取り組みに拍車をかけます。EHII市場向け事業では、当社グループ一体となった提案活動の継続と他社との協業により、事業基盤の早期確立に努めます。また、国内外での生産体制の拡充、及び生産性の向上に向けた各種取り組みを進めていきます。
[車載情報機器事業]
当連結会計年度は、営業利益率5%超(セグメント間の内部取引を含む。)を経営指標としていましたが、実績は営業利益率5.0%となりました。その要因としては、国内市販市場向けアルパインブラインドの車種専用製品の売上が堅調に推移し、また中国市場における欧州自動車メーカー向け純製品の売上が伸長する中、為替が円安で推移したことによる増収増益に加え、研究開発費の効率化を図るなど固定費を削減したことによるものです。
今後については、自動車産業の新たなトレンドであるCASEに対応するため、当社とアルパイン(株)との経営統合計画を推進します。当社が有するセンシングデバイスや通信デバイス技術とアルパイン(株)のソフトウェア技術を融合し、ドライバーや同乗者に感動の移動空間と時間を提供するPremium HMIの開発に取組み、車載情報システムのトータルソリューションを提供していきます。
[物流事業]
当連結会計年度は、売上高1,000億円(セグメント間の内部取引を含む。)を経営指標としていましたが、実績は売上高1,049億円とその目標を達成しました。また、電子部品関連の事業では、外販比率と海外売上比率(セグメント間の内部取引を含む。)の向上に取り組み、外販比率が前期比1.4ポイント上昇の49.9%に、海外売上比率が前期比1.2ポイント上昇の37.5%にそれぞれ上昇しました。その要因としては、グローバルでの拠点・ネットワークの拡大と、新規・深耕の拡販営業を推進したことによるものです。
今後については、主要顧客が属する電子部品業界は、さまざまな機器や自動車の電子化の進展、そして新興国需要の拡大によって、成長が予想されます。一方で、顧客の物流改革ニーズは高度化かつ多様化しており、Next Actions「高度化する物流QCDSに挑戦」との事業方針のもと、「新領域への挑戦」、「現場革・進と基盤強化」、「競争優位性の拡大」に取り組み、グローバルに業容の拡大を図っていきます。
③資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループにおいては、新製品対応、顧客に満足される品質の確保、原価低減等を目的として、生産設備の更新や合理化など設備投資を行いました。
電子部品事業については、生産体制の強化に向けた工場の新設や国内外の各事業拠点において、新製品の増産対応や合理化などを目的とした主にコンポーネント製品の機械設備や金型等に、総額612億円(前期比241億円増)の投資を行いました。
車載情報機器事業については、新製品の開発・生産革新の推進・品質の向上等を目的として、将来の成長に備え、自動車メーカー向け大型プロジェクトに対応した金型や機械設備に、総額86億円(前期比6億円増)の投資を行いました。
物流事業については、事業規模の拡大、顧客サービスの向上等を目的とした物流インフラ強化のための設備投資として、土地の取得を含めた倉庫建設、車両の購入、情報システム構築等、総額56億円(前期比35億円増)の投資を行いました。
以上の結果、その他子会社での投資及び連結消去を含む当連結会計年度の当社グループにおける設備投資の総額は、761億円(前期比284億円増)となりました。
当社グループにおける運転資金及び設備投資資金については、主に営業活動によるキャッシュ・フローにて調達しています。当連結会計年度末の借入金残高は704億円(前期比71億円増)となり、運転資金安定のための短期借入金が368億円(前期比6億円減)、将来の事業基盤確立に向けた研究開発や設備投資資金の確保などのための長期借入金が336億円(前期比77億円増)となりました。
今後の重要な設備投資としては、電子部品事業は当社を中心に生産体制強化を図るための工場の新設や主にコンポーネント製品の生産設備への投資を行う予定です。
車載情報機器事業は、新製品の研究開発・生産設備の更新や合理化のため、アルパイン(株)及びその主要な海外拠点で投資を行う予定です。
物流事業は、国内外における倉庫建設を中心とした拠点・ネットワーク投資を行う予定です。
なお、当社グループにおける運転資金及び設備投資資金については、主に営業活動によるキャッシュ・フローにて調達する予定です。
(経営統合に関する株式交換契約の締結について)
当社は、アルパイン(株)(以下「アルパイン」といいます。)と2017年7月27日開催の取締役会の決議に基づき、持株会社体制への移行を伴う経営統合(以下「本経営統合」といいます。)を行うことを決定し、株式交換契約(以下「本株式交換契約」といいます。)を同日付で締結しました。
株式交換(以下「本株式交換」といいます。)については、2019年1月1日を本株式交換の効力発生日(以下「本株式交換効力発生日」といいます。)として行う予定で、アルパインの普通株式(以下「アルパイン普通株式」といいます。)は、本株式交換効力発生日に先立ち、株式会社東京証券取引所市場第一部において2018年12月26日付で上場廃止(最終売買日は2018年12月25日)となる予定です。
なお、当社は、2017年7月27日開催の取締役会の決議により、当社の完全子会社であるアルプスHD株式会社(以下「分割準備会社」といいます。)との間で、当社のグループ経営管理事業及び資産管理事業を除く事業に関する権利義務を承継させる吸収分割(以下「本吸収分割」といいます。)を実施することに関する基本合意書(以下「本吸収分割基本合意書」といいます。)を締結しました。しかしながら、当社は、2018年2月27日開催の取締役会において、本吸収分割を中止し、本経営統合後の経営体制を事業持株会社体制に変更した上で、カンパニー制を導入することを決定しました。併せて、当社は、2018年2月27日開催の取締役会の決議に基づき、アルパインとの間で、本吸収分割の実施を前提とした規定を削除し、事業持株会社への移行を伴う経営統合を行う予定である旨の本株式交換契約の変更に関する覚書(以下「本株式交換契約変更覚書」といいます。)を同日付で締結しました。かかる事業持株会社体制及びカンパニー制への移行日は2019年1月1日(以下「持株会社体制移行日」といいます。)を予定しています。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載のとおりです。
当社グループ(当社及び連結子会社)は、「人と地球に喜ばれる新たな価値を創造します。」を全ての礎に、事業活動を通じて持続可能な社会の発展に貢献することを目指しています。
Right(最適な)Unique(独自性)、Green(環境にやさしい)を兼ね備えた、「美しい電子部品を究める」ことを事業の根幹とし、70年の歴史の中で育んだアルプス独自の強みを最大限に活かし、新しい価値を創造しています。
当社グループの研究開発費の総額は29,799百万円です。
(1)電子部品事業
当社の価値創造の源泉は、市場のニーズを捉えた「美しい電子部品」です。そして、それをタイムリーに世の中に送り出すことが、私たちの価値創造です。創業以来70年の中で、深化・融合した技術と脈々と受け継がれている企業風土が相まって、価値創造を支えています。
人とメディアのより快適なコミュニケーションを目指し、「HMIの深化」「センサバラエティの拡大」「コネクティビティをキーとしたビジネスの拡大」を独自の柱とし、固有技術の深化・融合により、新たな価値ある製品を開発しています。
また、更なる未来を見据えた技術開発は、現在所有する技術に留まらず、新たな技術領域への挑戦に向けて、大学や研究機関・他企業とのオープンイノベーションやアライアンスにもこれまで以上に取り組み、当社独自の生産技術力と組み合わせて、今までにない新しい製品を新しい市場に送り出すために、ダイナミックな技術開発を行っています。
電子部品事業に係わる研究開発費は19,539百万円です。
①車載市場
車の安全・安心・快適・環境に対する要求の高まりや、将来の完全自動運転、地球環境を意識した電気・燃料電池自動車に対応すべく、各種センサやADAS(先進運転支援システム)に用いるデバイス製品の拡充、電子シフターなど車室内で人が操作するモジュール製品まで幅広く開発を行っています。
<車載モジュール製品>
車の更なる安全・安心、かつ快適な車室内空間を実現するために、創業時からの実績を強みにしたHMI(Human Machine Interface)技術及びセンシング技術を応用した開発を行っています。自然素材を使った車室内のデザイン調和と、手袋をした状態でも可能な操作性を両立させたハプティック®タッチパッドや静電ステアリングホイールスイッチ等の開発を進めています。更に、衝突防止・自動運転の目となるべく、前方の車両や人・障害物などを検知するための超短距離ミリ波レーダーの開発を進めています。
心地良く快適な操作フィーリングを追求し、顧客のニーズを具現化するために、複合化・多機能化によって付加価値の向上を図りながら、材料・部品の共通化及び設計・開発工程の標準化を推進しています。更に、生産性改善にも一層の拍車をかけて安定品質を維持・徹底し、収益力の強化を図っています。
<車載デバイス製品>
ADASでの自動運転の実現に向け、コア技術である高周波回路技術によりモジュール化を行い、V2X(Vehicle to X)モジュールの量産を開始し、今後更なる拡大を見込んでいます。ITS(高度道路交通システム)が進展していくことによって、これまで以上に必要性が高まる車載デバイスの製品ラインナップの更なる拡充のため、研究開発を強化していきます。
車の神経というべき、状態検知のニーズが今後ますます増えており、エンジン、車体、ドアに留まらず、シートにも各種センサが組み込まれ、車と人をセンシングすることにより、より安全で、快適な制御が可能になります。ドア、シートベルト等の開閉検知に使われている検出スイッチには、故障診断機能を付加、例えスイッチが故障したとしてもアラームを発信することが可能となり、車両の安全性、信頼性向上に寄与しています。また、EV(電気自動車)/HV(ハイブリッド車)のモーター駆動制御とモーターの回生電流の直流返還制御や、バッテリーの充放電電流検知に使用されており、制御のための心臓部品として重要な役割を担っている電流センサを量産開始しました。EV/HVの拡大に伴い、今後ますます需要が見込まれます。
②民生その他市場
スマートフォンをはじめとするモバイル市場やEHII(Energy、Healthcare、Industry、IoT)市場において、機器の操作性・快適性・環境性・高速大容量化等に貢献すべく、新素材からセンサデバイス、モジュール製品等の幅広い分野で研究開発を行っています。
<モバイル市場>
巨大な需要が続くスマートフォン市場、新たなVR(Virtual Reality)市場などで、スイッチなど各種操作入力用製品をはじめ、カメラの高性能化及び低消費電力、薄型化などのニーズに応え、カメラ用アクチュエータの新製品開発に更に注力します。また、VR市場ではゲームの世界を中心に、工場や医療現場での遠隔操作用コントローラ等幅広い用途を想定し、ハプティック®の製品開発を進めています。固有の精密加工技術や磁気・電気設計技術を応用した振動フィードバックデバイス「ハプティック®リアクタ」はゲーム機に採用され、今後更なる拡大を見込んでいます。
<EHII市場>
ICT(Information and Communication Technology)による「超スマート社会」の実現が政府より打ち出されるなど、日本をはじめ先進各国でビッグデータを活用した革新的な取り組みが始まっています。工業、農業、医療など、様々な産業で情報技術、エレクトロニクスの重要性が高まっています。当社はIoT(Internet of Things)スマートモジュールを用いて通信等各社との協業によるソリューション提案をHealthcare、Industry等の様々な分野で進めました。
Energy分野では、大手海外企業とスマート分電盤用電流センサを量産開始しました。また家庭向け蓄電池システムの出荷も開始しており、当社独自の軟磁性アモルファス材料 リカロイ™を用いた製品開発を基に、省エネルギー分野でのビジネス開発を進めます。
IoT分野では、世界最小のセンサネットワークモジュールを開発し、ユーザー側で容易にIoTが構築できる開発キットも提供しています。現在、オフィスビルの環境管理や、工場における生産ラインの稼働状況モニタリング、物流倉庫内の状態管理、更に農業ICTなど、幅広い用途で採用が進んでいます。また、製造現場における実証実験に基づいた「作業者見守りシステム」を開発中です。各種センサをヘルメットに装着、環境情報や作業者の生体情報・活動情報を取得することで、体調不良の検知や万が一の労働災害発生の早期発見・早期処置が可能となります。これら様々なビジネス形態の中で、スピーディーな事業基盤の確立に向け、他社との協業や提携なども積極的に進めます。
IoTの普及によって、ネット上のデータ通信量はますます増加することが予想され、それに伴って光通信システム機器を小型化し、複数設置することで対応する必要が有ります。当社はチャッキングエリア付き狭幅非球面ガラスレンズを商品化しました。機器の小型化を可能にする横幅0.6mmの狭幅化と、自動機で部品を掴む(チャッキング)エリアを設けたことで、機器への実装、調整が容易になったことが高く評価されています。
(2)車載情報機器事業
カーエレクトロニクス技術で磨かれた高品質なエンターテインメントを提供するアルパイン独自の「五感に響くHMI(Human Machine Interface)」技術に加え、自動運転、コネクテッド、EV(電気自動車)、シェアリングの4大潮流を加えた独創的な付加価値を生み出す技術開発をアルプス・アルパイングループの連携により統合コックピットとして実現を目指して技術・開発領域を拡大しています。クルマの中から外へ領域を拡げ魅力的なコンテンツやサービスを提供するクラウド領域、そしてコミュニティ領域ではビッグデータ、AI(人工知能)を活用し顧客のニーズやパターンを分析し最適な情報やサービスを提供していくことで事業の拡大を目指します。
現在アルパイン(株)では、自動車メーカーと音響機器/情報・通信機器ともに複数の共同開発プロジェクトを推進しており、今後適宜市場への展開を行なっていきます。
音響機器事業ではスピーカー振動版にCFRTP(熱可塑炭素繊維樹脂)を採用し、従来の振動板にない高音質化と耐熱性の両立に成功しました。CFRTPは航空機、自動車等の軽量化等の金属の代替え技術として期待されています。アルパイン(株)は金属代替え技術の範囲だけではなく、その特性を生かした内部損失や異方性の特徴を生かしたスピーカー振動板への採用を目指し開発を進めてきました。アルパインブランド商品より順次製品化を進めていきます。
情報・通信機器事業では自動運転時代を見据え、コニカミノルタ株式会社の保有する世界初の技術(フロントガラス越しにピント位置が近距離から遠距離まで奥行きを持った任意の位置に同時に重畳させて表示する技術)を応用し、車載用に適用していくことを目的としてコニカミノルタ株式会社との共同開発を開始しました。ドライバーの視線の変化や運転速度に応じ、適切な場所に表示することにより安全性を高め、ドライバーに安心を与え、より優しい運転環境の提供を実現していきます。
東芝デジタルソリューション株式会社との共同開発、関西電力株式会社の協力を得てドローンによる架空送電線の自動追尾飛行撮影の実証実験に成功しました。アルパイン(株)が培った高精度位置精度技術(地図情報)とセンサ技術により、強風の影響による揺れなどの過酷な条件の中での自動追尾飛行を実現しました。今後IoT、AI技術への応用を目指します。
車載情報機器事業に係わる研究開発費は10,227百万円です。