第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、電子部品事業、車載情報機器事業、物流事業を柱とし、各事業が密なる連携によるシナジーを発揮し、グローバルな事業展開を行っています。

 目指すべき姿を「革新的T型企業“ITC101”」としています。コアデバイスを深耕して製品力を高める「縦のI型」と、広範なデバイスや技術をシステムに仕上げる「横のI型」を合わせた革新的な「T型」企業へと進化し、新たな価値を提供することで2024年までに売上高1兆円、営業利益率10%を目指します。このために、アルプスカンパニーでは「部品サプライヤーから機能デバイスパートナーへの進化」を、アルパインカンパニーでは「内製コアデバイスを持つモビリティライフクリエーターへの進化」を進めていきます。

 電子部品事業の当社は、「人と地球に喜ばれる新たな価値を創造します」という企業理念のもと、人とメディアの快適なコミュニケーションの実現を目指しています。その「ものづくり」の姿勢は、「美しい電子部品を究めます」との言葉に凝縮され、「Right(最適な)」「Unique(独自性)」「Green(環境にやさしい)」を兼ね備えたもの、すなわち洗練された外観のみならず、求められる機能を高い品質で実現し、かつ省エネルギーや省資源等の環境への影響も十分に配慮した製品を示しています。その実現には、微細加工技術や金型加工技術、ソフトウェア・IC設計技術、材料加工技術等、多彩な固有技術をベースとした先端のものづくりを常に追究しています。また、スイッチやセンサ等のコンポーネント製品、モジュール製品をはじめ、グリーンデバイスなどの新しい製品開発、事業分野にも挑戦しています。

 車載情報機器事業では、電子部品事業の車載デバイス・モジュール製品と車載情報機器事業の自動車メーカー向け製品等をひとつにし、これまで両社が培ってきた技術と、それぞれの得意分野を組み合わせた相乗効果により、今後、人とクルマにかかわる安心・快適・感動を提案するサービス、上質な移動空間の実現に向けた独創的かつ革新的な製品開発に取り組んでいきます。

 物流事業では、(株)アルプス物流が電子部品を主な取扱い貨物とし、「ものづくりを支える最適物流を追求し、豊かな社会の実現に貢献します」との企業理念を掲げ、事業領域を「電子部品を核とした総合物流サービス」と定めています。

 グループ各社は企業理念のもと連携して、中期・短期の経営計画を推進し、業容の拡大と企業価値の最大化を図っていきます。

 

(2) 中長期的な経営戦略と目標とする経営指標

 2019年4月から2022年3月末まで3年にわたる第1次中期経営計画がスタートしました。目指す姿を「革新的T型企業“ITC101“」、部品サプライヤーから機能デバイスパートナーへの進化、内製コアデバイスを持つモビリティライフクリエーターへの進化とし、2024年までに売上高1兆円、営業利益率10%を達成する目標を掲げています。

 電子部品事業では、HMI、センサ、コネクティビティの三つのコア技術の融合と、これにソフトを内包させた機能デバイスへの進化を目指します。

 車載情報機器事業では、車の利用スタイルが変化する中、カーライフ全体を考えた提案型のシステム製品へ、更にそれらに電子部品事業で培ったコアデバイスをあわせた高付加価値製品の開発を目指します。

 物流事業では、2019年度より3カ年の第4次中期経営計画をスタートしました。中期基本方針を「進化する『最適物流』をより多くのお客様に」と定め、「連結売上高1,200億円の達成」と「企業クオリティの向上」に取り組んでいきます。

 

(3) 会社の経営環境と対処すべき課題

 当社グループを取り巻く環境は、不確実性が強まる中で先行きを見通すことが大変困難ですが、エレクトロニクス製品・自動車の需要は、先進国における高機能・多機能化に加えて、中長期的には新興国における需要の増加が牽引役となり、今後も拡大していくものと期待されます。

 電子部品事業では、よりエレクトロニクスの重要性が高まる自動車市場、成長は鈍化したものの高機能部品の需要は高いスマートフォン市場、また新たにVR市場が立ち上がりを見せるなど、今後も拡大が見込まれます。当社では、HMI、センサ、コネクティビティの三つの技術領域から優位性の高い製品を継続して生み出し、これらニーズに応えていきます。開発スピードアップ、生産性並びに品質の向上に向けて技術・営業・製造部門が一体となった取り組みを更に強化し、Number1製品を創出していきます。

 また、お客様がグローバル各地域に広がり、製品によって短期間での激しい需要増減もある中で、より強固でフレキシブルな生産体制の整備・確立が急務であり、国内外生産拠点の整備を進めるとともに、間接部門を含めた生産性向上により、収益性の強化にもつなげていきます。更に、EHII(Energy、Healthcare、Industry、IoT)市場では幅広く、さまざまなビジネス形態がある中で、独自の製品開発と他社との協業や提携などによって事業基盤の確立に取り組みます。

 車載情報機器事業では、現在の自動車産業は100年に1度とも言われる大きな変革の時代に入っており、特にCASEと呼ばれる4つの領域においては、インターネットへの常時接続機能の搭載、自動運転、自動車シェアリングサービス、ハイブリッド車や電気自動車の電動化等、他の業界に類を見ないほどの大きな変化が生じています。また、IT企業による自動車業界への進出に代表されるように、自動車業界の枠組みを超えた合従連衡の動きは従来よりも格段に加速しています。今後もCASE領域への経営資源の集中は自動車業界全体のトレンドであり続け、HMI 等のサプライヤーは、単なるモジュール製品の開発だけではなく、自動車全体におけるトータルシステムソリューションの提案まで行うことが期待されています。

 このように目まぐるしく変化する車載情報機器の市場環境を踏まえ、電子部品事業と当事業の強みを融合させた新製品の開発及び市場投入までの期間短縮は喫緊の課題となっています。経営統合によるシナジーを創出することで、これらの課題に速やかに対処し顧客の期待に応えていきます。

 物流事業では、主要顧客である電子部品業界は、さまざまな機器や自動車の電子化の進展、そして新興国需要の拡大によって、今後も成長が予想されています。一方で、商品やマーケットの変化に対応した最適地生産や生販合理化が進んでおり、顧客の物流改革ニーズは高度化かつ多様化しています。このような中、顧客ごとの「最適物流」を追求し、より多くの顧客に提供していくことで、更なるグローバル成長を図ります。

 また、その他の事業についても、グループ外部に対する拡販活動の強化などにより、収益への貢献を果たしていきます。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)経済状況の変動に係るリスク

 当社グループは、電子部品事業、車載情報機器事業を中心としてグローバルに事業を展開しており、当連結会計年度の海外売上高は81.4%を占めています。当社グループ製品の大部分は顧客であるメーカーに販売されるため、経済動向に左右される可能性のある顧客の生産水準が、当社グループの事業に大きく影響します。従って、当社グループは直接あるいは間接的に、日本や欧米、アジアの各市場における経済状況の影響を受ける環境にあり、各市場における景気の変動等によって、当社グループの業績及び財務状況に影響が及ぶ可能性があります。

 

(2)業績の変動に係るリスク

 当社グループの業績は、当社グループのコントロールが及ばない要因によって変動する可能性があります。その要因とは、経済全般及び事業環境の変化、セット製品の市場投入の成否、大口顧客による製品戦略等の変更、大口注文の解約、大口顧客の倒産、大口顧客のM&Aによる消滅に伴う大きな変化、原材料及び購入部品の価格の変動、輸送費及びその他の費用の変動、電力事情、個人情報・機密情報の管理等であり、上記の要因等に好ましくない変化が生じた場合は、当社グループの業績や財務状況に影響が及ぶ可能性があります。

 

(3)外国為替及び金利に係るリスク

 当社グループは、グローバルに事業展開しており、結果として為替レートの変動による影響を受けます。一例として、外国通貨に対する円高、特に米ドル及びユーロに対して円高に変動した場合には、当社グループの業績にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。従って当社グループでは、先物為替予約や通貨オプションによるヘッジ取引や外貨建債権債務の相殺等、為替変動による影響額の極小化を図っていますが、為替レートの変動が想定から大きく乖離した場合、業績への影響を抑制できる保証はありません。

 また、当社グループでは金利変動リスクを抱える資産・負債を保有しており、一部については金利スワップによりヘッジを行っていますが、金利の変動により金利負担の増加を招く可能性があります。

 

(4)有価証券の時価変動に係るリスク

 当社グループは、売買を目的とした有価証券は保有していませんが、時価を有するものについては全て時価評価を行っており、株式市場における時価の変動が当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)グローバルな事業活動に係るリスク

 当社グループの事業は、生産及び販売活動の多くを米国や欧州、並びに中国を含むアジア諸国にて行っています。これら海外市場に対する事業進出、また海外での事業運営を行うに当たっては、予期しない法律又は税制の変更、不利な政治又は経済要因、テロ・戦争・その他の社会的混乱等のリスクが常に内在しています。従って、これらの事象が起きた場合には、当社グループの事業の遂行が妨げられる可能性があります。特に、近年の米中間をはじめとする各国の貿易政策に係る動向や、英国のEU離脱問題による世界経済への影響などにより、政治・経済・社会的要因の急激な変化が起きた場合には、当社グループの業績及び財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)顧客ニーズ及び新技術の導入に係るリスク

 当社グループの事業は、技術革新のスピードが早く、顧客要求の変化や新製品・サービスの導入が頻繁な市場であり、新たな技術・製品・サービスの開発により短期間に既存の製品・サービスが陳腐化して市場競争力を失うか、又は販売価格が大幅に下落することがあります。従って、当社グループは新技術・新製品等の開発を積極的に進めていますが、その結果が必ずしも市場で優位性を確保できるという保証はありません。急速な技術革新やその予測に迅速な対応ができない場合、又は顧客ニーズに合わせた新製品の導入ができない場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)特定の部品の供給体制に係るリスク

 当社グループの事業は、重要部品を当社グループ内で製造するよう努めていますが、一部の重要部品については、当社グループ外の企業から供給を受けています。従って、これらの供給元企業が災害等の事由により当社グループの必要とする数量の部品を予定どおり供給できない場合、生産遅延や販売機会損失等が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響が及ぶ可能性があります。

 

(8)顧客の生産計画に係るリスク

 当社グループの事業は、大部分の顧客はメーカーであり、顧客の生産計画の影響を直接受けます。また、顧客の生産計画は、個人消費の周期性や季節性、新製品の導入、新しい仕様・規格に対する需要予測及び技術革新のスピードなどの要因に左右されます。従って、このような不確実性が、当社グループの中長期的な研究開発や設備投資計画の策定に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)M&A及び業務提携・戦略的投資に係るリスク

 当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値向上のため、新規事業領域への参入、新技術の獲得、現行事業の競争力強化を目的として、M&A及び業務提携・戦略的投資を実施しています。これらの実施にあたっては、当社事業計画に照らし合わせ、市場・技術動向や顧客ニーズ、相手先企業のポテンシャル等のリスクを十分に分析した上で、慎重に進めています。しかし、市場環境の著しい変化や、買収した事業が計画通りに進めることが出来ず、投下資金の回収遅れや未回収、追加費用の発生などにより、当社グループの業績及び財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)競合に係るリスク

 当社グループは、電子部品事業をはじめ、全ての事業分野において、他社との激しい競争に晒されています。当社グループは、新製品の導入や高品質の製品供給、グローバルなネットワークの整備・拡充等により、顧客満足を得るべく努めていますが、市場における競争は更に激化することが予想されます。従って、失注などの不測事態の発生によって、当社グループの業績及び財務状況に影響が及ぶ可能性があります。

 

(11)品質に係るリスク

 当社グループは、品質保証体制を構築し、品質改善活動を通じ品質の維持・向上に努め、また問題発生の未然防止に取り組んでいます。しかしながら、当社グループの製品の品質に起因して顧客の損失が発生した場合、生産物賠償責任保険の適用を超える賠償責任を問われる可能性があります。その結果として、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)顧客の財務状況に係るリスク

 当社グループは、顧客が適時に支払うことができないことから生じる見積損失について、売掛金に関連する貸倒引当金を維持しています。ただし、通常の業務の過程に関連する売掛金は、担保又は信用保険の対象にはなりません。そのため、実質的な売掛金を保有している顧客が景気低迷のために支払いが困難になり、その売掛金を償却しなければならない場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)災害等に係るリスク

 当社グループは、国内外の各生産拠点において地震を含めた防災対策を徹底しており、過去の災害発生時には事業への影響を最小限に留めることができています。しかしながら、想定を超える大規模な災害が発生した場合には、事業への影響が大きくなる可能性があります。

 

(14)環境汚染に係るリスク

 当社グループは、CSRの一環として「アルプスアルパイングループ環境憲章」のもと、環境リスク対策への取組みを行っており、具体的には、化学物質の漏洩防止策や排水・排気管理の徹底、国内事業所における土壌・地下水の浄化等を実施しています。しかしながら、事業活動を通じて今後新たな環境汚染が発生しないという保証はありません。このような不測の事態が発生又は判明した場合、その対策費用が発生し、当社グループの業績及び財政状態の悪化につながる可能性があります。

 

(15)法的手続き及び訴訟に係るリスク

 当社グループは、事業活動に関するコンプライアンス体制を構築し、その実行に努めています。しかしながら、当社グループの活動に関連して、法令違反に関する規制当局による法的手続きが開始された場合、あるいは訴訟が提起された場合には、その結果として、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)知的財産に係るリスク

 特許その他の知的財産は、当社グループ製品の市場の多くが技術革新に重点を置いていることなどから、重要な競争力の要因となっています。当社グループは、基本的に自社開発技術を使用しており、特許、商標及びその他の知的財産権を取得し、場合によっては行使することなどにより、当該技術の保護を図っています。しかし、当社グループの知的財産権の行使に何らかの障害が生じないという保証はなく、他社の知的財産権を侵害しているという申し立てを受ける可能性があります。

 また、当社グループが知的財産権を侵害しているとして損害賠償請求を提訴されている訴訟案件については、訴状への反論を行っていますが、裁判の経過により将来において訴訟の解決による損害賠償支払が確定した場合には、当社グループの業績や財務状況に影響が及ぶ可能性があります。更に当社グループの製品には、他社の知的財産権のライセンスを受けているものもありますが、当該知的財産権の保有者が将来において、ライセンスを当社グループに引き続き与えるという保証はありません。当社グループにとって好ましくない事態が生じた場合には、当社グループの事業はその影響を受ける可能性があります。

 

(17)人材の確保等に係るリスク

 当社グループの事業の中核の一つである自動車市場では、100年に1度と言われる大きな変革の時代を迎えるとともに、エレクトロニクス分野においてもIoTの発展など、技術革新が加速しています。これらの環境下、ビジネスを確立・拡大していく為には、多様な分野において優れた専門性を有した人材の必要性がますます高まっています。一方、同業他社を含む各社の採用意欲の高まりや、少子高齢化に伴う労働人口の減少などにより、年々、人材の確保に関する難易度が高まっています。

 これに対して当社では、継続的な新卒採用に加え、ニーズに基づいたキャリア採用を実行し、人材を確保するとともに、入社時からの体系的な人材育成や、人事理念に基づく評価、昇進・昇格、賃金制度等により、社員の能力・意欲を高める取組みを行っています。また、ビジネスのグローバル化に対応し、日本においても継続して、外国籍社員の採用にも積極的に取り組んでいます。一方では、社員の高齢化や、定年再雇用者が増加する中、各人の適性に応じた職務の割当てにより、社員一人ひとりの豊富な経験や能力を十分に発揮できる環境の整備に努めています。しかし、雇用環境の変化などにより、当社が求める人材の確保やその定着・育成が計画通りに進まなかった場合には、当社グループの将来の成長に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(18)情報管理に係るリスク

 当社グループは、事業活動の中で、顧客又はその他団体や個人(従業員を含む。)に関する機密的な情報を入手することがあります。これらの情報の管理には細心の注意を払い、情報管理に関する規定を整備し、情報の漏洩が生じないようにセキュリティシステムの活用や従業員の情報管理意識の向上及び知識の習得を目的とした社内研修実施等の対策を講じており、管理体制の継続的な改善を図るとともに安全対策に努めています。しかし、不測の事態によってこれらの情報の漏洩やインシデントが発生する可能性があり、また、情報システムへのサイバー攻撃などによって、重要データの破壊、改ざん、流出、システム停止等を引き起こす可能性があります。このような事態が発生した場合、重要な業務の中断や、顧客やその他関係者に関する機密データの漏洩などにより損害賠償請求を受ける可能性及び当社グループの企業イメージが損なわれる可能性があります。また、顧客や従業員等の情報と同様、新技術に関する機密情報が、何らかの事情で漏洩した場合も、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(19)公的規制に係るリスク

 当社グループは、事業展開する各国において事業・投資の許可、関税をはじめとする輸出入規制等、様々な政府規制・法規制の適用を受けています。これらの規制によって、当社グループの事業活動が制限されコストの増加につながる可能性があります。従って、これらの規制は当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(20)資金繰りに係るリスク

 当社グループは、取引先銀行とシンジケートローン契約及びシンジケート方式のコミットメントライン契約を締結していますが、これら契約の財務制限条項に抵触した場合には、借入金の繰上げ返済請求を受けることがあり、当社グループの財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

(21)減損会計に係るリスク

 当社グループは、事業の用に供する様々な資産を有しています。こうした資産は、時価の下落や、将来のキャッシュ・インフローの状況により、減損会計の適用を受けるリスクがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

①財政状態の状況

 当連結会計年度末における総資産は前連結会計年度末と比べ58億円増加の6,757億円、自己資本は、資本剰余金、利益剰余金の増加等により、641億円増加の3,653億円となり、自己資本比率は54.1%となりました。

 流動資産は、現金及び預金の増加等により、前連結会計年度末と比べ25億円増加の4,029億円となりました。

 固定資産は、建物及び構築物、無形固定資産の増加等により、前連結会計年度末と比べ32億円増加の2,728億円となりました。

 流動負債は、製品保証引当金、短期借入金の増加と、支払手形及び買掛金、未払法人税等の減少等により、前連結会計年度末と比べ96億円減少の1,880億円となりました。

 固定負債は、長期借入金の増加と、繰延税金負債の減少等により、前連結会計年度末と比べ359億円増加の923億円となりました。

 なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及適用後の前連結会計年度末の数値で比較を行っています。

 

②経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、米国では良好な雇用や所得環境を背景に個人消費が拡大し、企業活動も好調に推移しました。一方、欧州では内需は堅調だったものの輸出が伸び悩み、景気は減速傾向へ、また中国では貿易摩擦が大きく影響し、停滞局面が続いています。日本経済は、個人消費や公共投資が後半にやや軟調となったものの輸出や設備投資は底堅く、安定基調を保ちました。

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりです。

 

[電子部品事業]

 エレクトロニクス業界においては、自動車市場で減速の影響が見られたものの、次世代CASE(Connected、Autonomous、Shared & Services、Electric)への対応の動きが自動車メーカーのみならず電機業界でも活発化し、開発活動に拍車がかかりました。一方、スマートフォン市場ではマイナス成長の余波が広がっています。EHII(Energy、Healthcare、Industry、IoT)各市場では、IoT(Internet of Things)を活用した具体的な展開が進むとともに、AI(人工知能)やロボティクスの活用など新たな広がりも見られました。

 この中で電子部品事業では、車載市場で、モジュール製品や通信用高周波製品が堅調に推移しましたが、民生その他市場ではスマートフォン向け各種製品が前期比で減少しました。為替は想定より円安で推移したものの、全体ではスマートフォン向け製品の減少を補いきれず、前期比で売上高及び営業利益ともに減少しました。

 

(車載市場)

 電子部品事業における車載市場では、電子シフターやドアモジュール等のモジュール製品、Bluetooth®、W-LAN、LTE等の通信用高周波製品が全般にわたって堅調に推移しました。また、中国での自動車向け通信技術C-V2X(Cellular Vehicle to Everything)に向け、同国の国営企業との戦略パートナーシップを締結しました。また、全ての海外現地生産法人で国際的品質マネジメントシステム規格「IATF16949」への移行を完了しました。この他、国内外自動車メーカー各社より品質等の表彰を受けました。

 当連結会計年度における当市場の売上高は2,778億円(前期比1.9%減)となりました。

 

(民生その他市場)

 電子部品事業における民生その他市場では、モバイル市場において、スマートフォンの減速傾向を受け、スイッチやカメラ用アクチュエータ等の一部のコンポーネント製品が軟調となりました。EHIIでは、光通信やIoT等、進展する市場の新規開拓に向け、中国、インド、マレーシア等の各国での展示会に出展するなど、積極的な提案活動を進めました。

 当連結会計年度における当市場の売上高は1,907億円(前期比17.4%減)となりました。

 

 以上の結果、当連結会計年度の電子部品事業の売上高は4,686億円(前期比8.8%減)、営業利益は296億円(前期比44.1%減)となりました。

 

 

[車載情報機器事業]

 自動車業界では、CASEの領域において、インターネットへの常時接続機能の搭載、自動運転、自動車シェアリングサービス、ハイブリッド車や電気自動車の電動化等、他の業界に類を見ないほどの大きな変化が生じています。自動車の電子化が加速する中、カーエレクトロニクス業界ではインフォテインメントシステムを核とした車載情報分野と、自動運転やAI等の新分野との連携が拡大し、業種・業態を超えた企業間競争が激化しています。

 このような中、車載情報機器事業では、高品位なプレミアムサウンドシステムを搭載したデモカーを世界最大の自動車市場となった中国でのモーターショーに出展し、アルパインブランドの訴求を図りました。国内市販市場には、大画面モニターの装着が困難な車種向けに開発したフローティングタイプの新製品ナビゲーションを投入し、更にナビゲーションを核としたシステム製品を搭載し、高品質な車室内インテリアを実現した「アルパインスタイル カスタマイズカー」の拡販にも注力しました。北米市販市場では、Apple CarPlayやAndroid Autoに対応した同タイプの新製品を投入して新規顧客の獲得を図りました。自動車メーカー向け純正品は、欧州高級自動車メーカー向けナビゲーションやディスプレイ製品の売上が好調に推移する中、更なるビジネスの拡大を目指して臨場感のある高音質を追及したスピーカーやアンプ、燃費や環境にも配慮した薄型・軽量スピーカーの受注拡大を図りました。

 今後の成長基盤の強化に向けた取り組みとして、電気自動車や自動車シェアリングサービスの市場規模拡大が期待される中国市場へのアプローチを強化するため、持分法適用関連会社Neusoft Reach Automotive Technology (Shanghai) Co., Ltd. に対する増資を実施しました。更に、自動運転の実現に伴い重要性が増す車室内の音質に着目し、イタリアの高級スピーカーメーカーFaital S.p.A.と資本業務提携を行いました。

 以上の結果、当連結会計年度の車載情報機器事業の売上高は3,035億円(前期比13.4%増)、営業利益は139億円(前期比1.4%増)となりました。

 ※Apple CarPlayは米国及び他の国々で登録されたApple Inc.の登録商標です。また、Android Autoは米国及び  他の国々で登録されたGoogle Inc.の登録商標です。

 

[物流事業]

 物流事業の主要顧客である電子部品業界において、自動車関連は底堅く推移しましたが、スマートフォン向けや設備関連の出荷が年度後半から軟調に推移しました。

 このような需要動向のもと、当事業では、引き続きグローバルに拠点・倉庫・ネットワークの拡充を行い、国内・海外一体となった提案営業を推進しました。国内では昨年5月に埼玉県加須市に竣工した大型の新倉庫が稼働し、質の高い保管環境とサービスにより、取り扱い貨物の拡大に寄与しました。海外においても、事業基盤強化に向けて拠点の拡充を進めました。中国では上海近隣の江蘇省太倉での需要増に伴う倉庫拡張、アセアン・南アジアでは保管ビジネス拡大のためのシンガポール倉庫の移転拡張、インドでは輸出業務や保管業務を開始しました。また、電子部品・自動車関連部品の取扱貨物増加が見込まれるタイにおける新たな倉庫建設の着工、ベトナムの体制整備などを行いました。北米においては、メキシコで従来の保税ビジネスに加え国内事業の拡大に取り組み、欧州では東欧展開に向けてハンガリーに拠点設立準備を進めました。更に、株式会社ロジコムとの間で、自動車部品向けに競争力のある高付加価値な物流サービスの構築、事業拡大を目的に合弁会社を設立することに合意しました。

 以上の結果、当連結会計年度の物流事業の売上高は668億円(前期比3.4%増)、営業利益は47億円(前期比4.3%減)となりました。

 

 以上により、上記の3事業セグメントにその他を加えた当連結会計年度の当社グループにおける連結業績は、売上高8,513億円(前期比0.8%減)、営業利益496億円(前期比31.0%減)、経常利益436億円(前期比34.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益221億円(前期比53.3%減)となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ24億円減少し、当連結会計年度末の残高は、1,183億円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度末における営業活動による資金の増加は、726億円(前期は703億円の増加)となりました。

この増加は、主に減価償却費441億円、税金等調整前当期純利益411億円及び仕入債務の増加額47億円による資金の増加と、法人税等の支払額158億円及び貸倒引当金の減少額19億円による資金の減少によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度末における投資活動による資金の減少は、674億円(前期は667億円の減少)となりました。

この減少は、主に新製品対応や顧客に満足される品質の確保、原価低減などを目的とした設備投資を行ったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度末における財務活動による資金の減少は、69億円(前期は29億円の減少)となりました。

この減少は、主に経営統合後の株主還元施策として行った自己株式の取得による支出175億円、株式交換に伴う子会社の自己株式の取得による支出115億円、配当金の支払額88億円、非支配株主への配当金の支払額60億円及び短期借入金の減少額42億円による資金の減少と、長期借入れによる収入460億円による資金の増加によるものです。

 

④生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前連結会計年度比(%)

電子部品事業

473,737

△10.2

車載情報機器事業

260,661

14.6

物流事業

合計

734,399

△2.7

 (注)1. セグメント間取引については、相殺消去しています。

2. 金額は、販売価格によっています。

3. 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

b. 受注実績

 当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前連結会計年度比(%)

受注残高(百万円)

前連結会計年度比(%)

電子部品事業

461,632

△10.9

39,474

△15.0

車載情報機器事業

306,250

12.2

25,993

11.4

物流事業

合計

767,882

△2.9

65,468

△6.2

 (注)1. セグメント間取引については、相殺消去しています。

2. 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

c. 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前連結会計年度比(%)

電子部品事業

468,605

△8.8

車載情報機器事業

303,593

13.4

物流事業

66,888

3.4

 報告セグメント計

839,087

△0.9

その他

12,244

2.2

合計

851,332

△0.8

 (注)1. セグメント間取引については、相殺消去しています。

2. 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されています。

 この連結財務諸表の作成に際し、連結決算日における資産・負債の数値及び連結会計年度の収益・費用の数値に影響を与える会計上の見積りを用いています。この会計上の見積りは、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき行っています。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社は、特に以下の会計上の見積りが、当社グループの連結財務諸表に重要な影響を与えるものと考えています。

 

a. たな卸資産及び有価証券の評価

 たな卸資産及び時価のない有価証券は主に原価法を、時価のある有価証券は時価法を採用しています。

 有価証券は、その価値の下落が原則30%以上の場合は、評価損を計上しています。

 たな卸資産では顧客の将来需要の減少等に伴う陳腐化、有価証券では将来の景気変動等によって投資先が業績不振になった場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。

 

b. 繰延税金資産

 繰延税金資産については、回収可能性があると判断できる金額のみ計上しています。繰延税金資産の回収可能性を判断するに当たっては、将来の課税所得等を考慮しています。

 すでに計上されている繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産を取崩し、税金費用として計上することになります。逆に回収可能性がないとして未計上であった繰延税金資産が回収可能になったと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産を計上し、税金費用を減少させることになります。

 

c. 退職給付に係る負債

 従業員の退職給付に備えるため、当社グループは連結会計年度末における退職給付債務及び年金資産の見込額に基づき、退職給付費用及び退職給付に係る負債の計上を行っています。退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率等に基づいて算出されています。この前提条件には割引率、退職率、死亡率、脱退率、昇給率が含まれています。

 この前提条件の変更等があった場合には、将来期間における退職給付費用及び退職給付債務に影響を及ぼすことがあります。

 

d. 固定資産の減損

 当社グループの保有する固定資産については、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損処理の要否を検討しています。

 事業用資産は、事業環境の悪化等により、これらの製品を製造する資産グループの帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失としています。

 遊休資産、賃貸資産及び処分予定資産は、時価の下落など資産価値が下落しているものや今後の使用見込みがないものについて、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失としています。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度の当社グループにおける連結業績は、売上高8,513億円(前期比0.8%減)、営業利益496億円(前期比31.0%減)、経常利益436億円(前期比34.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益221億円(前期比53.3%減)となりました。

 減収減益の主な要因は、電子部品事業において、車載市場はモジュール製品や通信用高周波製品が堅調に推移しましたが、民生その他市場ではスマートフォン向け各種製品が前期比で減少したことによるものです。為替は想定より円安で推移したものの、全体ではスマートフォン向け製品の減少を補いきれず、前期比で売上高及び営業利益ともに減少しました。

 今後については、当社グループでは第1次中期経営計画がスタートし、「革新的T型企業“ITC101”」の実現に向け、統合シナジーを加速させ、高付加価値領域の新製品開発を進めるなど、より大きな成果を、より早く実現できるよう取り組んでいきます。更にグローバルネットワークの拡充で一層の拡大を目指す物流事業を含め、グループ一丸となった事業運営を推進し、企業価値の向上を図っていきます。

 なお各セグメントの状況については以下のとおりです。

 

 [電子部品事業]

 当連結会計年度は、車載市場で、モジュール製品や通信用高周波製品が堅調に推移しましたが、民生その他市場ではスマートフォン向け各種製品が前期比で減少しました。為替は想定より円安で推移したものの、全体ではスマートフォン向け製品の減少を補いきれず、これらにより前期比で売上高及び営業利益ともに減少しました。

 今後については、CASEへの新提案や、快適な操作・車室内空間を実現するPremium HMI(Human Machine Interface)の新システム・モジュール開発を加速させる一方、デバイス製品では差異化できる高付加価値領域の新製品開発を進めます。

 

 [車載情報機器事業]

 当連結会計年度は、国内市販市場に大画面モニターの装着が困難な車種向けに開発したフローティングタイプの新製品ナビゲーションを投入しました。北米市販市場では、Apple CarPlayやAndroid Autoに対応した同タイプの新製品を投入して新規顧客の獲得を図りました。自動車メーカー向け純正品は、欧州高級自動車メーカー向けナビゲーションやディスプレイ製品の売上が好調に推移する中、更なるビジネスの拡大を目指して高音質を追及したスピーカーやアンプ、燃費や環境にも配慮した薄型・軽量スピーカーの受注拡大を図り、これらにより前期比で売上高及び営業利益ともに増加し、通期ベースで過去最高を更新しました。

 今後については、CASEに対応するため、電子部品事業が有するセンシングデバイスや通信デバイス技術と当事業のソフトウェア技術を融合し、ドライバーや同乗者に感動の移動空間と時間を提供するPremium HMIの開発強化を図り、魅力ある製品を創出していきます。

 

 [物流事業]

 当連結会計年度は、グローバルに拠点・倉庫・ネットワークの拡充を行い、国内・海外一体となった提案営業を推進しました。国内では昨年5月に埼玉県加須市に竣工した大型の新倉庫が稼働し、質の高い保管環境とサービスにより、取り扱い貨物の拡大に寄与しました。海外においても、事業基盤強化に向けて拠点の拡充を進めました。中国では上海近隣の江蘇省太倉での需要増に伴う倉庫拡張、アセアン・南アジアでは保管ビジネス拡大のためのシンガポール倉庫の移転拡張、インドでは輸出業務や保管業務を開始しました。前期比で、ビジネスの拡大に伴い売上高は増加しましたが、拠点拡充の費用の増加により営業利益は減少しました。

 今後については、引き続き拠点・ネットワークの拡充を行い、市場と顧客の2つの軸で外販を中心にグローバルに業容の拡大を図ります。

 

③資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループにおいては、新製品対応、顧客に満足される品質の確保、原価低減等を目的として、生産設備の更新や合理化など設備投資を行いました。

 電子部品事業については、生産体制の強化に向けた工場の新設や国内外の各事業拠点において、新製品の増産対応や合理化などを目的とした主にコンポーネント製品の機械設備や金型等に、総額332億円(前期比280億円減)の投資を行いました。

 車載情報機器事業については、新製品の開発・生産革新の推進・品質の向上等を目的として、将来の成長に備え、自動車メーカー向け大型プロジェクトに対応した金型や機械設備に、総額135億円(前期比49億円増)の投資を行いました。

 物流事業については、事業規模の拡大、顧客サービスの向上等を目的とした物流インフラ強化のための設備投資として、土地の取得を含めた倉庫建設、車両の購入、情報システム構築等、総額55億円(前期比0億円減)の投資を行いました。

 以上の結果、その他子会社での投資及び連結消去を含む当連結会計年度の当社グループにおける設備投資の総額は、529億円(前期比232億円減)となりました。

 当社グループにおける運転資金及び設備投資資金については、主に営業活動によるキャッシュ・フローにて調達しています。当連結会計年度末の借入金残高は1,088億円(前期比383億円増)となり、運転資金安定のための短期借入金が382億円(前期比14億円増)、将来の事業基盤確立に向けた研究開発や設備投資資金の確保などのための長期借入金が705億円(前期比369億円増)となりました。

 今後の重要な設備投資としては、電子部品事業は当社を中心に生産体制強化を図るための工場の新設や主にコンポーネント製品の生産設備への投資を行う予定です。

 車載情報機器事業は、新製品の研究開発・生産設備の更新や合理化のため、アルパイン(株)及びその主要な海外拠点で投資を行う予定です。

 物流事業は、国内外における倉庫建設を中心とした拠点・ネットワーク投資を行う予定です。

 なお、当社グループにおける運転資金及び設備投資資金については、主に営業活動によるキャッシュ・フローにて調達する予定です。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

 (業務提携基本契約の締結について)

 当社及びアルパイン株式会社(以下「アルパイン」といい、当社とアルパインを総称して「両社」といいます。)は、2018年7月27日付のそれぞれの取締役会において、以下のとおり、業務提携を行うことについて決議いたしました。

 

1.業務提携の理由

 2017年7月27日付「アルプス電気株式会社とアルパイン株式会社の経営統合に関するお知らせ(アルプス電気株式会社とアルパイン株式会社の株式交換契約の締結(簡易株式交換)並びにアルプス電気株式会社の会社分割による持株会社体制への移行及び商号変更その他の定款の一部変更)」(以下「経営統合プレスリリース」といいます。)においてお知らせいたしましたとおり、持株会社体制への移行を伴う経営統合(以下「本経営統合」といいます。)に向けて、両社間で、当社を株式交換完全親会社とし、アルパインを株式交換完全子会社とする株式交換(以下「本株式交換」といいます。)に係る株式交換契約を締結し、その後、2018年2月27日付「アルプス電気株式会社とアルパイン株式会社の経営統合のスキーム変更及び持株会社名の変更に関するお知らせ(アルプス電気株式会社とアルパイン株式会社の株式交換契約の一部変更(簡易株式交換)並びにアルプス電気株式会社の会社分割の中止及び商号変更その他の定款の一部変更)」においてお知らせいたしましたとおり、本経営統合後の経営体制を純粋持株会社体制から事業持株会社体制に変更した上で、カンパニー制を導入すること(以下「本変更」といいます。)を決定し、両社間で、本変更に伴って必要となる変更を行うための株式交換契約の変更に関する覚書を締結いたしました(注)。両社は、日本及び海外各国の競争法上の関係当局への本経営統合に関する企業結合申請を行って参りましたところ、本年6月までにその全ての手続が完了いたしました。
 これを受けて、当社及びアルパインは、両社が競合する製品分野以外において、本経営統合を前提とした業務提携を行うべく、2018年7月27日、両社の企業価値の更なる向上を目指すと共に、本経営統合によるシナジー効果の着実な実現を図ることを目的として業務提携基本契約(以下「本業務提携基本契約」といいます。)を締結いたしました。

 

(注)さらに、両社は、2018年7月27日付「ストック・オプションの発行等に伴うアルプス電気株式会社とアル

パイン株式会社の株式交換契約の一部変更(簡易株式交換)に関するお知らせ」においてお知らせいたしましたとおり、2018年7月27日付の両社の取締役会の決議に基づき、アルパインが、2018年7月23日に実施したアルパインの取締役(非業務執行取締役、監査等委員である取締役を除く。)に対するストック・オプションとしての新株予約権の発行に伴って必要となる変更等を行うための本株式交換契約の変更に関する覚書を締結いたしました。

 

2.業務提携の内容等

 本業務提携基本契約に基づき、当社及びアルパインは、今後、競合する製品分野以外において、営業分野では、戦略製品の共同プロモーション、開発分野では、戦略製品の開発ロードマップ策定及び共同開発推進、生産分野では、生産技術・生産拠点の相互活用推進、品質分野では、評価・解析設備の相互活用、調達分野では、集中購買強化及び開発購買機能強化を前倒して行います。また、両社の共通機能及び協業事業における人員の集中化と最適化を加速し、比較的短期にシナジー効果を発現可能な分野から着実かつ迅速に取り組んでまいります。組織としても、これまで統合準備委員会として本経営統合の協議を行ってきた会議体の名称を本業務提携基本契約の締結を機に統合推進委員会に改め、メンバーと機能を充実させることで、実務的な側面から、2019年1月1日に実施した本経営統合による様々な分野でのシナジー効果の着実な発現を追求して参ります。

 

3.日程

 (1) 取締役会決議日

2018年7月27日

 (2) 契約締結日

2018年7月27日

 (3) 本業務提携基本契約に

     基づく提携開始日

2018年7月27日

 

 (アルパイン株式会社による特別配当の実施が株式交換比率に与える影響についての検証結果について)

 当社は、2018年9月14日付で、アルパインより、本株式交換がアルパインの臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)により承認を受けることを停止条件として、アルパインの株主に対して2018年10月15日を基準日とする1株当たり100円の特別配当(以下「本特別配当」といいます。)を行いたい旨の申入れを受け、本株式交換契約に基づき、アルパインとの間で本特別配当の実施について協議を行って参りました。

 当社は、本特別配当の実施により、アルパインの財務予測に変動が生じることから、本株式交換契約において両社の間で合意された株式交換比率(以下「本株式交換比率」といいます。)について見直しが必要であるかについて検証(以下「本検証手続」といいます。)を実施いたしました。

 当社は、本検証手続の結果を踏まえ、2018年9月27日付の当社の取締役会の決議により、アルパインによる本特別配当の実施に合意すること及び本株式交換比率の見直しを行わないことを決定し、アルパインとの間で、本特別配当の実施を合意いたしました。

 

1.本検証手続の目的

 当社は、本特別配当の実施により、アルパインの財務予測に変動が生じることから、本株式交換比率を変更しないことが当社の株主の皆様の利益を損ねるおそれがあるため、本特別配当の実施を前提とした場合でも、本株式交換比率により本株式交換を行うことが妥当であるかに関して検証を実施することといたしました。

 

2.本検証手続きの内容

(1)本検証手続の方法

 当社は、本検証手続に際し、当社及びアルパインから独立した第三者算定機関である野村證券株式会社(以下「野村證券」といいます。)に対して、本特別配当の実施を前提に、本株式交換比率の再算定を依頼しました。当社は、当該再算定に伴い、当社の財務予測の期間を2019年3月期から2021年3月期までに更新するとともに、アルパインより、同様に更新した財務予測を入手した上で更新の内容を確認することに加え、当該財務予測に関して同社に対する質疑応答を実施すること等によりその妥当性を検証いたしました。当社は、本特別配当の実施を前提に、本株式交換比率の公正性・妥当性を確保するため、野村證券から2018年9月26日付で本株式交換に係る株式交換比率算定書(詳細については、下記(2)「算定の内容」に記載のとおりです。)の提出を受けております。なお、当社は、本検証手続にあたり、野村證券から、本株式交換比率が当社にとって財務的見地から公正である旨の意見書(フェアネス・オピニオン)は取得しておりません。
 また、当社は、当社の本経営統合の法務アドバイザーであり、当社及びアルパインからの独立性が認められる森・濱田松本法律事務所から本検証手続及び取締役会の意思決定の方法・過程等について法的な観点から助言を受けております。

 

(2)算定の内容

 野村證券は、当社については、当社が金融商品取引所に上場しており、市場株価が存在することから、市場株価平均法を、また当社には比較可能な上場類似会社が複数存在し、類似会社比較による株式価値の類推が可能であることから類似会社比較法を、加えて将来の事業活動の状況を評価に反映するためディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)を、それぞれ採用し算定を行いました。

 アルパインについては、同社が金融商品取引所に上場しており、市場株価が存在することから、市場株価平均法を、またアルパインには比較可能な上場類似会社が複数存在し、類似会社比較による株式価値の類推が可能であることから類似会社比較法を、加えて将来の事業活動の状況を評価に反映するためDCF法を、それぞれ採用し算定を行いました。

 なお、市場株価平均法については、①当社が野村證券から2017年7月26日付で受領した本株式交換に係る株式交換比率算定書に掲載され、2017年7月27日付の当社の取締役会が決議に際して参照した、本株式交換の影響を受けていないと考えられる、2017年7月25日を基準日(以下「基準日①」といいます。)として、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)市場第一部における当社及びアルパインそれぞれの普通株式の2017年1月26日から基準日①までの直近6ヶ月間の終値平均値、2017年4月26日から基準日①までの直近3ヶ月間の終値平均値、2017年6月26日から基準日①までの直近1ヶ月間の終値平均値、2017年7月19日から基準日①までの直近1週間の終値平均値及び基準日①の終値を基とする分析(以下「市場株価平均法①」といいます。)、②本検証手続を踏まえた当社の取締役会決議直前の2018年9月25日を基準日(以下「基準日②」といいます。)として、東京証券取引所市場第一部における当社及びアルパインそれぞれの普通株式の2018年3月26日から基準日②までの直近6ヶ月間の終値平均値、2018年6月26日から基準日②までの直近3ヶ月間の終値平均値、2018年8月27日から基準日②までの直近1ヶ月間の終値平均値、2018年9月19日から基準日②までの直近1週間の終値平均値及び基準日②の終値を基とする分析(以下「市場株価平均法②」といいます。)をそれぞれ行いました。

 また、野村證券は、類似会社比較法及びDCF法において、本特別配当に伴う株主への現金流出価額を当社及びアルパインそれぞれの株式価値に織り込んでおります。

 当社の1株あたりの株式価値を1とした場合のアルパインの評価レンジは、以下のとおりとなります。

 

採用手法

株式交換比率の算定結果

市場株価平均法①

0.51~0.54

市場株価平均法②

0.74~0.78

類似会社比較法

0.57~1.13

DCF法

0.56~0.79

 

 野村證券は、上記株式交換比率の算定に際して、両社から提供を受けた情報、一般に公開された情報等を使用し、それらの資料、情報等が全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。また、両社及びその関係会社の資産又は負債(偶発債務を含みます。)について、個別の資産及び負債の分析及び評価を含め、独自に評価、鑑定又は査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。野村證券の株式交換比率の算定は、算定基準日である2018年9月25日現在までの情報(本特別配当を含みます。)及び経済条件を反映したものであり、また、両社の各々の財務予測(利益計画その他の情報を含みます。)については、両社の経営陣により現時点で得られる最善の予測及び判断に基づき合理的に検討又は作成されたことを前提としております。

 野村證券がDCF法による算定の前提とした当社及びアルパインの利益計画には、大幅な増減益が見込まれている事業年度はありません。なお、当該財務予測は、本株式交換の実施を前提としておりません。

 また、野村證券は、上記(1)「本検証手続の方法」に記載のとおり、本検証手続にあたり、当社に対して、本株式交換比率が当社にとって財務的見地から公正である旨の意見書(フェアネス・オピニオン)は提出しておりません。

 

(3)本検証手続の結果

 当社は、当社による両社の最新の財務予測に係る更新要因を含む内容の確認及び妥当性の検証、本特別配当の目的、内容、条件、効果及びその協議内容、野村證券による算定の内容並びに森・濱田松本法律事務所からの助言等を踏まえて慎重に協議・検討を行いました。

 その結果、上記(2)「算定の内容」に記載のとおり、本特別配当が実施された場合であっても、本株式交換比率は類似会社比較法及びDCF法の評価レンジの範囲内であること、本特別配当の規模は、本株式交換比率を決定した際に前提としていたアルパインの財務予測とその後の上方修正によって生じた差額を上回る規模ではなく、本株式交換比率の妥当性に重大な影響を与えるものではないこと等から、当社は、本特別配当の実施を前提とした場合でも、本株式交換比率は妥当であり、株主の皆様の利益を損ねるものではないとの判断に至ったため、本株式交換比率により本株式交換を行うことが妥当であると判断いたしました。その上で、本株式交換公表後のアルパインの業績や2018年6月21日開催のアルパイン第52回定時株主総会における議決権行使結果、直近の両社の市場株価の動向等を踏まえ、本特別配当の実施に合意することが本経営統合のスムーズな実現につながり、当社株主の皆様の利益につながるものと判断いたしました。

 これらの検討結果を踏まえ、当社は、2018年9月27日付の当社の取締役会の決議により、アルパインによる本特別配当の実施に合意すること及び本株式交換比率の見直しを行わないことを決定し、アルパインとの間で、本特別配当の実施を合意いたしました。

5【研究開発活動】

 当社グループ(当社及び連結子会社)は、「人と地球に喜ばれる新たな価値を創造します。」を全ての礎に、事業活動を通じて持続可能な社会の発展に貢献することを目指しています。

「Right(最適な)」「Unique(独自性)」、「Green(環境にやさしい)」を兼ね備えた、「美しい電子部品を究める」ことを事業の根幹とし、70年の歴史の中で育んだ当社グループ独自の強みを最大限に活かし、新しい価値を創造しています。

 当社グループの研究開発費の総額は32,886百万円です。

 

(1)電子部品事業

 当社の価値創造の源泉は、市場のニーズを捉えた「美しい電子部品」です。そして、それをタイムリーに世の中に送り出すことが、私たちの価値創造です。創業以来70年の中で、深化・融合した技術と脈々と受け継がれている企業風土が相まって、価値創造を支えています。

 人とメディアのより快適なコミュニケーションを目指し、「HMIの深化」「センサバラエティの拡大」「コネクティビティをキーとしたビジネスの拡大」を独自の柱とし、固有技術の深化・融合により、新たな価値ある製品を開発しています。

 また、更なる未来を見据えた技術開発は、現在所有する技術に留まらず、新たな技術領域への挑戦に向けて、大学や研究機関・他企業とのオープンイノベーションやアライアンスにもこれまで以上に取り組み、当社独自の生産技術力と組み合わせて、今までにない新しい製品を新しい市場に送り出すために、ダイナミックな技術開発を行っています。

 電子部品事業に係わる研究開発費は18,630百万円です。

 

①車載市場

 自動車産業における100年に1度の大変革期の中、その中心にあるCASEに対応した各種センサやデバイス製品の開発に加え、コクピット・インテリアデザイン、運転操作システムで差別化する各種モジュール製品まで幅広く開発を行っています。

 

<車載モジュール製品>

 車の更なる安全・安心、かつ快適な車室内空間を実現するために、創業時からの実績を強みにしたHMI技術及びセンシング技術を応用した商品開発を行っています。また、小型電子シフターをはじめ、エアコンやオーディオの操作性向上を目的に、ハプティック®、タッチパッド、静電ステアリングホイールスイッチなどの開発を進めます。更に現在、自動運転の目となる、前方の車両や人・障害物などを検知し、衝突を防止するための超短距離ミリ波レーダーの開発も進めています。これら複合化・多機能化に加え、大学や研究機関と共同研究を進めている人間工学に基づいた、心地良く快適な操作フィーリングを追求することで付加価値向上を図ります。

 一方、生産性改善を重要課題とし、材料や部品の共通化及び設計・開発工程の標準化を推進し、安定品質を維持して収益力の強化に取り組みます。

 

<車載デバイス製品>

 ADAS(Advanced Driver-Assistance Systems)での自動運転の高度化に向け、コア技術である高周波回路技術によりモジュール化を行い、C-V2X(Cellular based Vehicle to X)モジュールの開発を開始しました。ITS(高度道路交通システム)が進展していくことによって、これまで以上に必要性が高まる車載デバイスの製品ラインナップの更なる拡充のため、研究開発を強化していきます。

 車の神経というべき、状態検知のニーズが今後ますます増えており、エンジン、車体、ドアに留まらず、乗員の搭乗空間にも各種センサが組み込まれ、車と人の双方をセンシングすることにより、より安全で、快適な自動運転制御が可能になります。ドア、シートベルト等の開閉検知に使われている検出スイッチには、故障診断機能を付加、たとえスイッチが故障したとしてもアラームを発信することが可能となり、車両の安全性、信頼性向上に寄与しています。加えて、今後普及が進んでゆく高度自動運転では、車室内の状態検知のみならず、居住性や快適性を提供する心地よい操作フィーリングを追求した入出力デバイスの開発を進めます。

 また、EV(電気自動車)/HV(ハイブリッド車)のモーター駆動制御とモーターの回生電流の直流返還制御や、バッテリーの充放電電流検知に使用されており、制御のための心臓部品として重要な役割を担っている量産中の電流センサに加え、電動化を担う各種センサを開発していきます。

 

 

②民生その他市場

 スマートフォン、ノートPC、小型プリンタをはじめとするモバイル市場やEHII市場において、機器の軽薄短小・操作性・快適性・省エネ・高速大容量化等に貢献すべく、新素材からデバイス、モジュール製品等の幅広い分野で研究開発を行っています。

 

<モバイル市場>

 巨大な需要が続くスマートフォン市場では、防水防塵のスイッチ、タクトスイッチ® など各種操作入力用製品をはじめ、カメラモジュールの高性能化及び低消費電力、薄型化などのニーズに応え、手振れ補正用アクチュエータ、次世代タッチパネルとして期待されている折り曲げ可能なファーダブルタッチパネルセンサ、低ノイズ・低消費電力の3軸地磁気センサの新製品開発に更に注力します。また、スマートフォンの付加価値向上に熱転写プリンタ技術を応用した加飾印刷の開発に取り組んでいます。

 ゲーム市場では長寿命・高触感のニーズからコントローラ用にスイッチやジョイスティック等のHMI製品、リアルな感触を再現できる2軸共振タイプの「ハプティック®リアクタ Hybrid Tough Type」の開発を行います。

 これらの製品は、当社固有の精密加工技術、磁気・電気・熱設計技術を応用し開発され、自動機組立てで安定した供給と品質が保証されています。

 

<EHII市場>

 ICT(Information and Communication Technology)による「超スマート社会」の実現が政府より打ち出されて以来、日本をはじめ先進各国でビッグデータを活用した革新的な取り組みが急速に広がり始めています。工業、インフラ、物流、ウェアラブルなどあらゆる分野で市場が形成されはじめており情報技術、エレクトロニクスの重要性が高まっています。当社グループはIoTスマートモジュールを用いて通信等各社との協業によるソリューション提案を様々な分野で進め、EHIIとして中国、インド、マレーシア等、各国での展示会に出展し、光通信やIoT等、進展する市場の新規開拓も進めてきました。

 Energy分野では、大手海外企業とスマート分電盤用電流センサを量産開始して以来、家庭向け蓄電池システムの量産も実施し当社独自の軟磁性アモルファス材料 リカロイ™を用いた製品を基に、小型高効率技術を追求し、省エネルギー分野でのビジネス開発を継続して進めます。

 IoT分野では、世界最小のセンサネットワークモジュールを開発し、ユーザー側で容易にIoT環境が構築できる開発キットも提供しています。現在、荷物の位置や状態をリアルタイムに把握できる物流状態の管理システムや製造現場における実証実験に基づいた「作業者見守りシステム」の採用が進んでいます。各種センサをヘルメットに装着、環境情報や作業者の生体情報・活動情報を取得することで、体調不良の検知や万が一の労働災害発生の早期発見・早期処置が可能となります。また送電線設備故障の未然防止のための異常放電を音や光で検知するシステムも開発が進んでいます。これら様々なビジネス形態の中で、スピーディーな事業基盤の確立に向け電子部品事業の強みであるハードウェア技術と車載情報機器事業のサービスビジネスフレームワークの融合により当社グループとして付加価値のある差異化した製品でソリューションビジネスを展開します。また、他社との協業や提携なども積極的に進め、国内外での生産体制の拡充及び生産性の改善に向けた各種取り組みを継続して進めていきます。

 

(2)車載情報機器事業

自動車業界における大きな潮流であるCASEが市場で加速する中、アルパイン(株)が一貫して大切にしてきた音へのこだわりやPremium HMIを核とした高付加価値製品と、価格重視傾向が顕著な既存製品のコモディティ化という2極化がより一層進行しています。

アルパイン(株)は、車室内を一人ひとりのお客様の感動空間へと変化させる“人とクルマをつなぐユニークなシステム製品”の提供を目指して、CASE/Premium HMIといった注力領域への研究開発リソースのシフトを加速すべく、電子部品事業と車載情報機器事業のコア技術を融合し、高付加価値領域の仕込みと事業化を推進し事業の拡大を目指します。

 

音響機器事業ではアルパイン(株)が自社ブランド及び自動車メーカー向けビジネスにおいてこだわり続けている“良い音”をより深化させ、プレミアム領域の更なる開拓を含めてより魅力ある製品開発を加速させるために、高級スピーカー専門メーカーであるイタリアFaital社との資本業務提携を行いました。アライアンス戦略により欧州地域の更なる音響機器事業の強化を図り、更なる顧客獲得・ビジネス拡大を目指します。

自動運転時代の到来により、車室内を快適移動空間化することが事業拡大に向けた重要なテーマであると認識しており、音をコントロールする技術開発、また、アルパイン(株)が長年培ってきた音のチューニングを機械学習・数値化することにより、人工知能(AI)を活用した短時間のチューニングを可能にし普遍価値であるプレミアムサウンドをより身近に実現することを目指した取り組みを推進します。

 

情報・通信機器事業では国内市販市場向けに投入したカーナビ『Big-Xシリーズ』が、J.D.パワー社による「2018年日本ナビゲーションシステム顧客満足度調査<市販ナビカテゴリー>」において総合満足度1位を受賞しました。これにより2012年度から7年連続でお客様満足度No.1を獲得しました。

また、“シームレスなカーライフの提案”として、カーナビに蓄積された走行ログデータの収集・分析を行いスマホアプリと連動させることにより、一人ひとりのユーザーに合わせた情報を発信していくデータソリューションモデルの開発を行っており、ビッグデータ活用展2019に出展しました。

また、電子部品事業の高周波技術と車載情報機器事業のシステム設計・大規模ソフト開発ノウハウを融合した通信機器をはじめとした、シナジー効果を最大限に生かした魅力ある新たな製品開発を進めていきます。

 車載情報機器事業に係わる研究開発費は14,196百万円です。