第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、企業理念「アルプスアルパインは人と地球に喜ばれる新たな価値を創造します」、及び現在のESG、SDGsにも通ずる創業期制定の社訓をベースとした5つの経営姿勢をグループ共通の価値観として、各社が連携して経営計画を推進し、業容の拡大と企業価値の最大化を図っていきます。

 当社では、事業ビジョンに「Perfecting the Art of Electronics」を掲げ、「Right(最適な)」「Unique(独自性)」「Green(環境にやさしい)」の実現により、全ての人々、社会に対して当社が約束する独自の価値を追究していきます。

 

(2) 中長期的な経営戦略と目標とする経営指標

 当社は現在、2022年4月から2025年3月末まで、3年にわたる第2次中期経営計画に取り組んでいます。経営統合時に掲げた全社の目指す姿「革新的T型企業“ITC101”」への取り組みを継続し、コアデバイスを深耕して製品力を高める「縦のI型」と、広範なデバイスや技術をシステムに仕上げる「横のI型」を合わせた革新的な「T型」企業へと進化すべく、更なる取り組みを進めています。

 これまでの事業環境の変化を鑑み、第3次中期経営計画期間の2027年度において売上高1兆円、営業利益率10%、ROE(自己資本利益率)10%を目指します。

 これらの実現に向けて、既存事業の良質化と新事業へのリソースシフト、マーケティング力の強化、当社製品の独自性や強みを融合させて更に高める「T型」戦略と、コア技術の深耕によって新たな技術や製品を生み出す「しみだし」による製品開発の追求、DX(Digital Transformation)を用いた業務・原価改革等コスト改革の推進、ものづくり品質を更に極めることによる顧客満足の向上等に鋭意、取り組んでいきます。

 

(3) 会社の経営環境と対処すべき課題

 当社グループを取り巻く環境は、半導体不足の長期化や地政学リスク等により、依然として予断を許さない状況であり、特に足元の業績課題としてインフレへの対応が最重要課題の一つとなっています。

 また、企業価値向上に向けた収益性改善、成長シナリオの実行、資本効率改善の取り組みも進めていきます。

 自動車産業では、主要各国でEV化政策が打ち出され、各自動車メーカーで具体的な目標を定めた開発活動や量産化が進んでいます。CASEへの対応や高機能・多機能化ニーズ等、自動車におけるエレクトロニクス製品の重要性が増しており、今後も拡大していくものと期待されます。また、5G通信の普及により、モバイル機器を始め、VR(Virtual Reality)やAR(Augmented Reality)の実用化、AI、IoT、ロボティクス等、DXの社会実装も伸張しています。また、地球温暖化対策も喫緊の課題として、EV化を始め、再生可能エネルギーの活用等、脱炭素化の動きが今後ますます加速するものと考えています。

 これらの経営環境において、当社は「ステークホルダー価値の最大化とCSR(企業の社会的責任)・ESG(環境、社会、ガバナンス)の両立」を目指す会社の姿とするとともに、「ハードウェア+ソフトウェアの両技術で『感動、安全、環境』の価値を創出するT型企業」を目指す事業の姿としました。

 経済価値だけでなく、社会貢献や社会的価値の創出を目指すこと、またハードとソフトを融合したT型の強みを活かすことで当社の優位性を発揮し、持続的な成長へとつなげていきます。

 また、その他の事業についても、グループ外部に対する拡販活動の強化などにより、収益への貢献を果たしていきます。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、実際の結果とは様々な要因により異なる可能性があります。

 

(1)ESG経営の実践

当社グループは、社会や顧客からの要求、法規制への対応にとどまらず、将来にわたり持続的に成長し、社会的価値と経済的価値を創出するため、ESGは重要な経営課題であると捉え、ESG課題を全社及び各部門の中期経営計画へ落とし込み、活動を推進することで、企業理念である「人と地球に喜ばれる新たな価値の創造」の実現を目指しています。

 

① ガバナンス

世界的な半導体不足や一部原材料の逼迫に伴う資材価格の高騰、国際物流停滞によるグローバルレベルでのサプライチェーンの混乱に加え、エネルギー価格の上昇は業界を問わず大きな影響を与え、当社グループを取り巻く環境は大きく変貌しています。このような中において、事業機会の拡大と社会課題の解決に向けて、社外取締役を含めた経営諸会議で、政治、経済、技術動向に加え社会課題や社内環境の把握及び持続的な成長に向けた機会とリスクの分析を行い、事業マテリアリティマップを策定、取締役会で審議・決定しています。

 


 

策定した重要課題は、戦略、施策及びKPIをそれぞれ設定し、サステナビリティ課題に関しては各部門の中期経営計画へ落とし込み、活動を推進するとともに、重要項目かつ複数部門での活動が必要な事項については、取締役を委員長とするサステナビリティ推進委員会の下、ワーキンググループ(以下、WG)を設置し活動の推進及び進捗管理を行っています。また、四半期ごとに開催するサステナビリティ推進委員会にて取り組みの進捗状況の確認や課題深耕を行うとともに取締役会へ年4回の定期報告を行い、経営判断が必要な課題については随時経営諸会議で審議しています。

 


 

 

なお、当社グループでは、サステナビリティ課題を含めたリスクマネジメントを事業の持続的成長と中長期的な企業価値の向上を実現するための「経営・事業運営の基盤=攻めの経営を支える基盤」と位置付け、事業のグローバル化、サプライチェーンの複雑化など当社グループを取り巻くリスクを可視化することを目的としたリスクマップを整備するとともにリスクをカテゴリー別に整理し、影響度、発生可能性及びリスク対策の実施状況の視点から評価した上で、リスクマネジメント活動を展開しています。

 


 

② 戦略

当社グループは、第2次中期経営計画に「ステークホルダー価値の最大化とCSR、ESGの両立」を掲げ、社会的責任の遂行とESG経営の両立は、企業の持続的成長に欠かせない重要な経営課題であると捉え取り組みを進めています。サステナビリティ課題の推進において、特に重点的に取り組むテーマを「脱炭素社会の実現」「循環型社会の実現」「人権の尊重」「ダイバーシティ&インクルージョン」「持続可能なサプライチェーンマネジメント」の5つに定め、各部門の中期経営計画へ落とし込み主体的に活動を推進するとともに、サステナビリティ推進委員会による進捗確認などを行うことで、サステナビリティ活動におけるPDCAサイクルを実行しています。

 


 

③ 指標及び目標

当社グループでは、策定された事業マテリアリティごとにテーマ/施策、第2次中期経営計画における指標/KPIをそれぞれ設定し、ESG視点による進捗管理と評価を行っています。なお、2022年度の活動実績は2023年9月に発行予定の当社統合報告書にて開示する予定です。

 


 

(2)気候変動への取り組みとTCFDへの対応

当社グループは、2020年9月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同を表明しました。気候変動関連リスクと機会の分析を行い、その結果を事業戦略につなげることで持続可能な成長及びリスクへの適切な対応を目指していきます。

 

① ガバナンス

当社グループでは、「脱炭素社会の実現」「循環型社会の実現」といった気候変動への対応を事業マテリアリティの項目として設定し、気候変動課題に対する基本方針や対応策等の重要事項を取締役会で審議・決議しています。社長は気候変動課題を含むサステナビリティ課題に対する最高責任と権限を有しており、社長から任命された取締役がサステナビリティ推進委員会の委員長として、全てのサステナビリティ施策を監督する責任を負っています。

サステナビリティ推進委員会は、サステナビリティ重要課題に対する施策の進捗状況を監督し、適宜助言を行っています。サステナビリティ推進委員会傘下の各WGは、気候変動関連のリスクと機会の評価を含む課題の取り組み状況をサステナビリティ推進委員会に報告し、サステナビリティ推進委員会が内容を精査した上で取締役会に報告しています。

会議名

役割

頻度

取締役会

議 長:取締役 社長執行役員

 栗山 年弘

▪気候変動を含むサステナビリティ方針の決定

▪気候変動を含むサステナビリティ重要課題の決定

▪気候変動対応の監督

年4回報告

適時課題審議

サステナビリティ推進委員会

委員長:取締役 常務執行役員

 小平 哲 

▪気候変動を含むサステナビリティ課題の施策推進

  と取締役会への進捗報告及び提言

年4回報告

 

※議長、委員長は2023年3月末現在の役職、役員名を記載しています。

 

② 戦略

気候変動における当社グループのリスクと機会を抽出し、当社グループの事業に与えるインパクトを、内部的な基準で定量的に評価しました。

 

1)シナリオ分析

IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)及びIEA(International Energy Agency)の情報をもとに、物理シナリオ(RCP8.5,RCP2.6)及び移行シナリオ(STEPS,NZE)を選定し、4℃と1.5℃のシナリオ世界観における分析を行いました。2030年時点の4℃シナリオと2℃/1.5℃シナリオには気温上昇に大きな差異が見られないこと、事業視点で2050年時点の移行リスク、機会を予測することは困難であるため次の組み合わせに対して評価を行いました。

 

2030年

2050年

移行リスク

2℃/1.5℃シナリオ

物理リスク

4℃シナリオ

機会

2℃/1.5℃シナリオ

 

 

2)シナリオ分析結果

シナリオ分析の結果、4℃シナリオの場合、異常気象に伴う災害の激甚化に対し国内外の拠点への対策のみならず、サプライチェーン全体に範囲を広げたリスク対策の重要性を認識しています。一方、1.5℃シナリオの場合、移行リスクを低減するために、脱炭素化に対する取り組みを継続的に推進するとともに、市場の変化に対応する製品・サービスを提供する機会への積極的な対応が必要であると再確認しました。

 

3)リスクと機会の評価

リスクは、移行リスク(政策と法律、技術、市場、評判)と物理リスク(急性、慢性)の側面から評価しました。

 


 

機会は、資源効率性、エネルギー源、製品とサービス、市場、レジリエンスの側面から評価しています。

 


 

 

4)リスクマネジメント

企業の持続的成長と企業価値向上を実現するためには、事業を取り巻く様々なリスク項目について、事業への影響度と重要度を見極めた上で、中長期で施策を立案、対応していくことが重要であると認識しています。当社グループは、リスクに対する備えを検討するためのフレームワークとしてリスクマップを作成しており、気候変動関連リスクは経営上のリスクとしてリスクマップに含まれています。具体的な活動としては、年に1回、環境WGがリスク調査を行い、洗い出されたリスクはサステナビリティ推進委員会で評価・管理されます。財務影響度の大きいリスクは取締役会に報告、審議されています。

 

③ 指標及び目標

当社グループは、2050年度にバリューチェーン全体のGHG排出ゼロを目指し活動を推進しています。中期目標として2030年度にGHG排出量(スコープ1、2)を2020年度比90%削減することを目指します。また、「RE100」に加盟し、 2030年度に再エネ導入率100%達成することを宣言しました。

また、徹底した省エネ活動や積極的な再エネ利活用を推進することで、GHG排出量削減に貢献していきます。

なお、2022年度の活動実績は2023年9月に発行予定の当社統合報告書にて開示する予定です。

 

2050年目標

バリューチェーン全体のGHG排出ゼロ

2030年目標

GHG スコープ1、2: 90%削減(2020年度比)

使用する電力の再生可能エネルギー比率 : 100%

 

 

(3)人的資本

近年、企業の人的資本経営の重要性が高まりを見せています。当社グループにおいても、経営理念に「個の尊重」を掲げており、従業員の情熱を引き出し活かす経営を目指すとの考え方の下、第2次中期経営計画においては「ケイパビリティ改革」を戦略の柱の一つとして位置付けています。成長軌道への復活と更なる飛躍に向けて、お客様や市場環境の変化へ柔軟に対応し、新たなビジネスへ挑戦できる人財の確保と育成及び働きがいのある職場づくりに向けて、制度・カルチャーの両面から取り組んでいます

 

① ガバナンス

当社グループでは、全社・本部・部門ごとにそれぞれ人財開発会議を開催し、各会議体の機能・役割に応じて検討を深めることで、全社レベルの人財・組織課題の可視化を図るとともに、組織パフォーマンスの最大化、人財一人ひとりの活躍を促進する体制を整備しています。

単位

機能・役割

出席者

開催頻度

全社

持続的成長にむけた全社人財・組織課題の共有及び方針・方向性の策定・展開

全執行役員

年2回(5、11月)

本部

本部人財に関する課題解決と組織パフォーマンス最大化に向けた人財計画の策定(後任人事、ローテーション、本部固有の人財育成等)

担当執行役員、部長

各本部にて
 必要とする回数

部門

部門内における人的課題の解決と一人ひとりの活躍を促進する施策検討及び育成計画の策定

部長、課長

年1回(6~8月)

 

 

また、ダイバーシティ&インクルージョンの活動推進に関しては、ESG経営における重点課題と定めており、全社人財開発会議及びサステナビリティ推進委員会の下、D&Iワーキンググループにて関連するプロジェクトの連携・情報共有を行うとともに、サステナビリティ推進委員会及び経営層への報告を行っています。

 


 

社内環境整備における安全衛生推進体制については、取締役を統括者とする中央安全衛生会議を設置し、安全衛生、健康推進活動、防火・交通安全活動等の方針決定及び活動を推進しています。また、取締役会へは年度方針の報告及び重大事故発生時には都度付議し、原因究明と再発防止に取り組んでいます。

 


 

更に、従業員の健康管理においては、2022年度より総務部長を責任者とする健康経営ワーキンググループを新たに発足させ、国内各拠点の産業医・健康管理スタッフ、及び健康保険組合と連携し取り組みを加速させています。

 


 

② 戦略

市場や事業環境が大きく変容する中、人と地球に喜ばれる新たな価値を創出し続けるためには、変化・変革に対応できる組織能力の向上と人財育成及び活性化は欠かせないと考えています。その実現に向け、当社グループでは、従業員一人ひとりが自ら主体的に挑戦し、評価される新たな人事制度の導入と定着、個々人の強み、専門性及び多様性を組織力につなげる人財マネジメントの実現をケイパビリティ改革の重要テーマと定め施策展開することで、組織成果の最大化と持続的成長の実現を目指します。

 


 

1)人事制度

事業環境が急速に変化する中において、企業が成長し続けるには、従業員一人ひとりが改革意識を持ち、大胆かつ迅速に意思決定していくことは必要不可欠です。主体的な行動、挑戦を促進するため、2021年から人事制度の改定に着手し、2022年度より管理職・リーダー層を対象に、基幹制度を「職能型」から「役割型」へ変更しました。それに伴い人事考課も能力や経験を基とする要素を改め、役割に応じた挑戦的行動や活動実績そのものを重視する評価へ見直しするとともに、「役割型」の定着化に向けて「対話型マネジメント」の導入を推進しています。

 

2)成長支援

従業員自らが描くキャリアプランを実現できるよう、実践を通じた育成に加え、「評価」「配置」「能力開発」を連携させた総合的かつ長期的な成長支援を行っています。また、従業員各々のキャリアビジョンの実現に向け、スキルを高め、知識を深められるように、ビジネススキルやマネジメントスキルなど、個々のキャリアステージに合わせた階層別の必須研修に加え、自ら関心のあるものを選び手挙げで受講できる選択型研修、技術者向けのエンジニアの基礎力向上を狙いとした技術者研修など、学びを通じて成長し続ける組織文化の醸成に努めています。

 


 

3)多様な人財の活躍(ダイバーシティ&インクルージョン:D&I)

当社グループでは、多様な価値観を持った人々が人種・宗教・国籍・性別・年齢・性的指向又は、性自認・障がいの有無などに関わらず個を尊重し合い、自分らしくいきいきと働ける職場環境の実現を目指しています。

この実現に向け、第2次中期経営計画で優先的に取り組むテーマにD&Iを位置づけ、サステナビリティ推進委員会のD&Iワーキンググループを中心として、「障がい者雇用・環境改善プロジェクト」「ベテラン活用化プロジェクト」「アルプスアルパインの魅力発信プロジェクト」「D&I拠点推進プロジェクト」を設置し、各プロジェクトが連携しながら活動を推進しています。

D&I推進に当たっては、第2次中期経営計画期間中はD&Iに関する知識を得る機会を増やすとともに、社内の人と人がお互いの多様性を知ることができる「つながる」場を増やし、多様な価値観を知ることで自身を見つめ直し、その上でお互いを尊重しながら共に挑戦し続ける風土の醸成を目指しています。

 

 


 

また、女性の活躍推進に関して、当社の女性従業員比率は23.0(2022年度国内単体実績)となっており、特に管理職候補となる基幹従業員(総合職相当)の女性従業員比率は9.5%(同実績)にとどまっています。この様な中、当社では2024年度までに女性管理職比6%(同実績3.1%)を掲げ、女性管理職登用のための育成・キャリアデザイン支援に注力するとともに、管理職候補となる母数そのものを増加させるべく、新卒・経験者採用ではエンジニアを含めて女性を積極的に採用しています。また、属性を問わず管理職を計画的に育成・登用するため、各部門において管理職候補者を明確にした上で、本人への継続的な動機づけや将来のアルプスアルパインを牽引する人財の育成を目的とした女性リーダー育成研修や総合職キャリア研修会等、外部研修へも積極的に参加・派遣するなど成長の機会を提供しています。加えて、従業員が能力を最大限に発揮できる機会の提供や、育児休業とは別に配偶者の出産又は育児の支援、家族の看護・介護、ボランティア参加等に取得できる多目的特別休暇など、従業員のライフスタイルに合わせた働き方ができる各種制度の充実にも取り組んでいます。

なお、当社グループでは、女性活躍推進法に基づく行動計画を策定しており、女性が活躍できる社内環境の整備を計画的に実施しています。

 


 

4)働きがいのある職場づくり

当社グループでは、従業員の働く姿の指針として労使で「働き方ビジョン」を策定し、働きがいのある職場づくりを重要課題と捉え、従業員の心身の健康維持と向上、労働時間に関する各国の法令、慣行等の遵守による安全で快適な職場環境の形成に努めています。

賃金水準及び福利厚生についても、各国の地域・業界の水準や、労働市場における競争力や会社業績などを考慮し、適正で妥当なものになるよう様々な施策を実施し、従業員一人ひとりの状況に応じたライフデザイン支援に努めています。

 


 

 

5)労働環境・安全衛生

当社グループでは、「安全衛生方針」を策定し、従業員一人ひとりが安全に、そして心身ともに健康に働ける職場環境づくりに努めています。

 


 

また、2021年4月に「健康経営宣言」を制定しており、従業員の健康管理を重要な経営課題と捉え、健康診断やストレスチェックの定期的な実施、特定保健指導の実施率向上をはじめとする様々な「健康経営」の実践に積極的に取り組むとともに、2022年度には健康経営ワーキンググループを発足させ、取り組みを加速させています。

 


 

③ 指標及び目標

事業マテリアリティで設定した指標及び目標に加え女性管理職比率や障がい者雇用率、従業員の健康と安全確保に関する定量的な指標を設定し、人的資本の可視化と強化への取り組みを進めています。なお、2022年度の活動実績は2023年9月に発行予定の当社統合報告書にて開示する予定です。

テーマ/施策

指標/KPI(第2次中期経営計画)

人財活性化と企業風土改革

エンゲージメント指標及び測定方法の確立

個性や能力を最大限に発揮し

活躍できる職場環境の実現

女性管理職比率(国内):6.0%

障がい者雇用率(国内):2.39%

従業員の健康と安全の確保

重大労災件数(国内):0件

安全教育の実施(国内):100%

ISO45001準拠体制の確立と運用(国内):2023年度完了

 

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)新型コロナウイルスの感染拡大に係るリスク

2019年からの新型コロナウイルスの感染拡大により、世界各国で渡航制限や外出制限等が実施され、世界経済は大きな打撃を受けました。各国でワクチン接種が進み、世界経済は緩やかに回復傾向に向かって来ました。2023年3月期の経済状況としては、各国での行動制限緩和や経済活動の正常化が進んでいるものの、確実な景気回復は見通せない状況にあります。加えて、一部地域での新型コロナウイルス再拡大等の影響による下振れリスクもあり、この影響が当社の想定した範囲を超えて発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)地政学に係るリスク

ロシア・ウクライナ情勢の悪化に加え、米中デカップリングや台湾情勢等の影響により、原油及び天然ガス等の価格上昇、サプライチェーンの混乱加速、インフレ対策を主眼とした各国中央銀行の利上げによる為替相場の急変が続くこともあり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)気候変動に係るリスク

当社グループは、気候変動に伴うリスクが事業活動に大きく影響すると認識しています。当社は、2020年9月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同を表明し、その開示項目に沿ったシナリオ分析を実施しています。異常気象に伴う災害の激甚化によるサプライチェーンの寸断や、自社操業の停止などの物理リスク、新たな法規制への対応、省エネ活動によるコスト削減や新規市場への参入など、気候変動関連リスクと機会を分析し、事業戦略につなげることで、持続可能な成長及びリスクへの適正な対応を目指していきます。また、脱炭素社会に向けた取り組みとして、2030年までに使用する電力の100%再生可能エネルギー化を目指し、省エネ推進、太陽光発電設備導入、再エネ由来電力への切り替え、再エネ電力証書の購入などの施策をグローバルで推進しています。移行リスクとして、顧客の意識変化による追加要求や要求高度化により、それらの対応に追加的なコストが発生する可能性や対応できない場合のビジネス機会の損失、カーボンプライシング施策の導入による費用負担増加などを想定しています。それらが当社の想定した範囲を超えて発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)経済状況の変動に係るリスク

当社グループは、コンポーネント事業、センサ・コミュニケーション事業、モジュール・システム事業を中心としてグローバルに事業を展開しており、当連結会計年度の海外売上高は88.4%を占めています。従って、当社グループは直接あるいは間接的に、自動車やスマートフォンなどをはじめとし、IoT、AIの活用により新たなビジネスも生まれているEI市場など、グローバルの各市場における経済状況の影響を受ける環境にあり、各市場における景気の変動等によって、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、物流コスト・各種原材料・エネルギーコストの高騰、貿易摩擦、テロ・戦争・感染症拡大・その他の社会的混乱、不利な政治又は経済要因、予期しない法律又は税制の変更等のリスクが常に内在しています。従って、これらの事象が起きた場合には、当社グループ事業の遂行が妨げられる可能性があり、様々なリスクについて対処していくことができない場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。これらの変化への対応として、生産拠点と販売拠点が綿密に連携し、迅速に顧客に販売動向や市場の動向を共有することで、生産規模の最適化を図っています。

 

 

(5)外国為替に係るリスク

当社グループは、グローバルに事業展開しており、結果として為替レートの変動による影響を受けます。一例として、外国通貨に対する円高、特に米ドル、ユーロ及び人民元に対して円高に変動した場合には、当社グループの業績にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。従って、当社グループでは、先物為替予約、通貨オプション及び外貨建て債権債務の相殺等、為替変動による影響額の極小化を図っていますが、為替レートの変動が想定から大きく乖離した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)有価証券の時価変動に係るリスク

当社グループは、売買を目的とした有価証券は保有していませんが、当連結会計年度末において、667億円の有価証券を保有しています。時価を有するものについては全て時価評価を行っており、株式市場における時価の変動が当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)顧客ニーズ及び新技術の導入に係るリスク

当社グループの事業は、自動車やスマートフォンをはじめとして技術革新のスピードが非常に早く、顧客要求の変化や新製品・サービスの導入が頻繁な市場であり、新たな技術・製品・サービスの開発により短期間に既存の製品・サービスが陳腐化して市場競争力を失い、販売価格が大幅に下落することがあります。コンポーネント事業においては、スマートフォン向けカメラ用アクチュエータの映像の高精細化、高画質化の動きが進み、センサ・コミュニケーション事業やモジュール・システム事業の車載ビジネスにおいては、CASEの進展に伴い、システム及びソフトウェアの高度化やセキュリティ対策など、急速に技術革新が進んでいます。これらの変化に対応すべく2023年3月期においては、507億円の設備投資、319億円の研究開発を実施しました。しかし、それらの市場の変化に迅速な対応ができない場合や、製品の販売が想定した台数に達しない場合、又は顧客ニーズに合わせた新製品の導入ができない場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)特定の部品の供給体制に係るリスク

世界的な半導体不足が継続している中、ウクライナ情勢、米中デカップリング及び台湾情勢等による地政学上の各種影響により自動車メーカーの生産調整が継続して行われています。当社グループにおいても、生産調整による売上減少や、電子部品の需給逼迫による材料費上昇、サプライチェーンの混乱による物流費の高騰や生産ロスが発生しています。また、当社グループの事業は、重要部品を当社グループ内で製造するよう努めていますが、一部の重要部品については、当社グループ外の企業から供給を受けています。従って、これらの供給元企業が災害・事故等の事由により当社グループの必要とする数量の部品を予定どおり供給できない場合、生産遅延や販売機会の損失等が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。供給問題を未然に防ぐ対策として、サプライチェーンマネジメントの強靭化に取り組み、代替調達先の確保や、災害・事故等の発生時は調達部品の生産地を特定できるシステム等により、迅速な対応が取れるよう取り組んでいます。また、喫緊の電子部品逼迫への対応策として、各取引先との契約及び発注単位や条件の見直しにより必要な部材の安定的な確保を図ることで、生産遅延や販売機会の損失等を最小限に留める取り組みを進めています。

 

(9)顧客の生産計画に係るリスク

当社グループは国内外のメーカーからの受注生産が大部分を占めるため、顧客の生産計画の影響を直接受けます。地政学上の各種影響による高まりを受けたエネルギー問題、物流費や部材の高騰など不確実な政治経済状況によるサプライチェーン全体への混乱で見通しが立てづらい状況が加速しています。これらの不透明な環境が海外も含めた販売・生産見通し、投資など、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性が高まっています。対応策として、販売部門、生産部門及び購買部門が綿密に連携し、顧客や市場の動向を迅速に共有化し、生産規模を最適化する取り組みを進めています。

 

(10)M&A及び業務提携・戦略的投資に係るリスク

当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値向上、また、グローバル競争力及び顧客価値の向上、更に、よりスピーディーな事業立ち上げと成果に結びつけるため、新規事業領域への参入、新技術の獲得、現行事業の競争力強化を目的として、M&A及び業務提携・戦略的投資を実施しています。これらの実施に当たっては、当社事業計画に照らし合わせ、市場・技術動向や顧客ニーズ、相手先企業のポテンシャル等のリスクを十分に分析した上で、慎重に進めています。しかし、市場環境の著しい変化や、買収した事業を計画通りに進めることが出来ず、投下資本の回収に計画以上の期間を要する又はその回収ができないことにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)競合に係るリスク

当社グループは、コンポーネント事業におけるスマートフォン向けカメラ用アクチュエータをはじめとしたデジタル機器向けコンポーネント製品、センサ・コミュニケーション事業やモジュール・システム事業におけるCASEに対応した各種センサ、デバイス製品、インフォテインメント機器など全ての事業分野において、他社との激しい競争に晒されています。特に車載ビジネス分野においては、CASEやADAS(先進運転支援システム)の進展により、IT・通信分野など業種・業態の垣根を越えた企業間の開発競争が激化しています。また、従来製品・技術においては市場成熟化の中でコスト競争が激化し、新興国競合が低コストを武器に当社グループと競合しています。当社グループは、新製品の導入や高品質の製品供給、グローバルネットワークの整備・拡充、M&Aや業務提携の推進等により、顧客満足を得るべく努め、同時にコスト構造改革を進めていますが、国内外の競合各社との市場における競争は更に激化することが予想されます。従って、失注などの不測事態の発生によって、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)製品品質に係るリスク

当社グループは、品質保証体制を構築し、品質改善活動を通じ品質の維持・向上に努め、また問題発生の未然防止に取り組んでいます。しかし、当社グループの製品の品質に起因して顧客の損失が発生した場合、生産物賠償責任保険の適用を超える賠償責任を問われる可能性があります。その結果として、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)顧客の財務状況に係るリスク

当社グループは、顧客が適時に支払うことができないことから生じる見積損失について、売掛金に関連する貸倒引当金を維持しています。ただし、通常の業務の過程に関連する売掛金は、担保又は信用保険の対象にはなりません。貸倒引当金は当連結会計年度末において2.2億円計上されていますが、実質的な売掛金を保有している顧客が景気低迷のために支払いが困難になり、その売掛金を償却しなければならない場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)災害等に係るリスク

当社グループは、災害等の発生に備え防災対策や重要な情報インフラのバックアップ体制の整備を行っています。また、事業に重大な影響を及ぼしうる災害等が発生した際は、災害対策本部を設置するなど、迅速に対応に当たる体制を構築しています。各拠点において、事業活動が停止又は停止に至る可能性のある事象が発生した際は、拠点責任者が予め定められたルールに基づき報告し、全社で収集した情報を共有する体制を整えています。また、顧客に当社グループの被害状況や納入への影響を報告する体制を整備しています。しかし、災害等の規模が当社の想定範囲を超えて発生した場合、設備等への被害、重要な業務の中断、顧客への納期問題等の発生により収益性が悪化し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)環境汚染及び環境負荷物質に係るリスク

当社グループは、企業ビジョンにおいてグループ経営、コンプライアンス及び環境保全についての基本理念と行動指針を定めて当社及び当社子会社に展開しています。その中で、経営姿勢の一つとして、地球との調和を掲げ、環境リスク対策への取り組みを行っています。具体的には、化学物質の漏洩防止策や排水・排気管理の徹底、国内事業所における土壌・地下水の浄化等を実施しています。しかし、事業活動を通じて今後新たな環境汚染が発生しないという保証はありません。このような不測の事態が発生又は判明した場合、その対策費用が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、欧州や中国を中心に環境負荷物質に対する規制が強化される方向にあり、必要な要件を満たせない場合、販売機会の損失や市場における回収に繋がるリスクがあります。

 

(16)法的手続き及び訴訟に係るリスク

当社グループは、事業を展開する各国において法令などの遵守を求められています。そのため、例えば、高いシェアを有する製品については独占禁止法に関する調査手続きを受ける可能性、また、当社グループの製造する自動車向け製品についてはその不具合に伴って顧客・消費者から訴訟提起を受ける可能性を否定できません。そこで、当社グループにおいては、定期的に役員・従業員向けの社内研修を実施するなど、法令遵守・品質維持などを謳う「アルプスアルパイングループ倫理規範」の遵守体制を確保しているほか、有事の際には法務部門と社外弁護士などが連携し適切な措置を講じる体制を確保しています。しかし、法的手続き又は訴訟の提起を完全に予防することは困難であり、その場合には、当該対応に要する費用が生じることで、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17)知的財産に係るリスク

特許その他の知的財産は、当社グループ製品の市場の多くが技術革新に重点を置いていることなどから、重要な競争力の要因となっています。当社グループは、自社開発技術、製品、サービスにおいて、特許、商標及びその他の産業財産権を取得し、場合によっては特許、その他の知的財産権を行使することなどにより、当該技術、製品、サービスの保護を図っています。一方、製品開発に当たっては第三者の知的財産権を尊重した開発を行っていますが、実際に侵害しているか否かを問わず第三者による知的財産権侵害の申し立てを受ける可能性があります。

また、当社グループが知的財産権を侵害しているとして提訴されている訴訟案件については、裁判の経過により将来において損害賠償等が確定した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。更に当社グループの製品には、他社の知的財産権のライセンスを受けているものもありますが、当該知的財産権の保有者が将来において、ライセンスを当社グループに引き続き与えるという保証はありません。当社グループにとって好ましくない事態が生じた場合には、当社グループの事業はその影響を受ける可能性があります。

 

(18)人材の確保等に係るリスク

当社グループの事業の中核の一つである自動車市場では、CASEをはじめとする技術革新が加速しています。これらの環境下、ビジネスを確立・拡大していくためには、デジタル分野など多様な分野において優れた専門性を有した人材の必要性がますます高まっています。一方、同業他社を含む各社の採用意欲の高まりや、少子高齢化に伴う労働人口の減少などにより、年々、人材の確保に関する難易度が高まっています。
 これに対して当社では、継続的な年間約200名の新卒採用に加え、中途採用においても次世代自動車向けソフトウェアの開発力強化に向けたデジタル人材をはじめ、必要な人材の積極採用を進めるとともに、新卒・中途採用に関わらず入社時からの体系的な人材育成や、人事理念に基づく評価、昇進・昇格、賃金制度等により、社員の能力・意欲を高める取り組みを行っています。また、ビジネスのグローバル化に対応し、日本においても継続して、外国籍社員の採用にも積極的に取り組んでおり、新卒の約1割を目指しています。一方で、社員の高齢化や、定年再雇用者が増加する中、各人の適性に応じた職務の割当てにより、社員一人ひとりの豊富な経験や能力を十分に発揮できる環境の整備に努めています。しかし、雇用環境の変化などにより、当社が求める人材の確保やその定着・育成が計画通りに進まなかった場合には、当社グループの将来の成長に影響を及ぼす可能性があります。

 

(19)情報管理に係るリスク

昨今のサイバー攻撃の高度化や、ITを活用したビジネス詐欺の巧妙化などに対応するため、当社では、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)体制を構築し、当社及び当社サプライチェーン全体での情報管理強化対策、サイバー攻撃を早期に発見し排除するセキュリティシステムの活用、社内研修による従業員の知識習得と意識向上、インシデント対応計画整備に加え、その有用性を継続的に維持・改善していくための取り組みを開始しています。しかし、当社が事業活動を通じて創出した情報、顧客・サプライヤー又はその他団体及び個人(従業員含む)からお預かりした情報などの漏洩、改ざん、破壊により、当社グループの情報システムやそれに依存する業務が停止するリスクがあります。加えて、クラウドシステムの活用推進は、事業活動のDX化を促し大きな利便性が得られる反面、当社グループが直接管理できないリスクの増大にも繋がっています。
 また、新型コロナウイルス等に伴う従業員の働き方やビジネス環境の変化は、当社の情報管理における脅威の変化をもたらしこれまでの取り組みを陳腐化させ、新しいリスクを生む可能性があります。このようなリスクが具現化した場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に対して、重要な業務の中断による生産及び出荷の停止、顧客やその関係者の機密情報漏洩に起因する損害賠償請求などの短期的な影響、企業戦略や新技術の漏洩による競争力低下、並びに当社グループの企業イメージ毀損による販売機会損失など、中・長期的な影響が生じる可能性があります。また、特に自動車業界におけるCASE領域の製品では、サイバーセキュリティ体制整備が顧客の採用条件として明示されるようになり、対策の遅れが販売機会の損失に繋がる可能性もあります。

 

(20)公的規制に係るリスク

当社グループは、事業展開する各国において事業・投資の許可、関税をはじめとする輸出入規制等、様々な政府規制・法規制の適用を受けています。これらの規制によって、当社グループの事業活動が制限され売上の減少又はコストの増加につながる可能性があります。従って、これらの規制は当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(21) 資金繰りに係るリスク

当社グループは、取引先銀行とシンジケートローン契約及びシンジケート方式のコミットメントライン契約を締結していますが、これら契約の財務制限条項に抵触した場合には、借入金の繰上げ返済請求を受けることがあり、当社グループの財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(22)固定資産の評価及び減損損失に係るリスク

当連結会計年度末における有形固定資産及び無形固定資産の帳簿価額は1,850億円です。当社グループは顧客の需要予測による将来の販売計画に基づいて設備投資を行っていますが、固定資産の回収可能性は、個人消費の動向、新製品の導入タイミング、新仕様や規格変更への対応及び技術革新のスピード等に影響を受けます。当社グループは、各市場における製品ライフサイクルを分析し生産設備等の経済的耐用年数を設定しています。新製品の導入が活発なスマートフォン市場向けの一部の固定資産については、経済実態に即してより短期間で償却するなどによりリスクの軽減に努めています。
 一方、自動車市場においては、エレクトロニクスの重要性が高まり市場拡大が見込まれますが、自動車販売台数に基づく顧客の需要変動や顧客ニーズの変化、CASE領域における技術革新への対応等が遅延した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、投資判断を行う際、その収益性・投資回収予定時期を社内で厳格に精査することで減損損失の計上リスクの軽減に努めています。しかし、急激な経営環境の悪化により収益性が低下し、帳簿価額の全部又は一部を回収できないと判断した場合、減損損失を計上する可能性があります。

 

(23)繰延税金資産に係るリスク

当連結会計年度末において、繰延税金資産を70億円計上しています。当社グループは将来の収益力に基づく課税所得を見積り、繰延税金資産の回収可能性を判断しています。将来課税所得の見積りは、事業計画及びグループ会社間の取引価格を基礎としています。事業計画は、主に、各事業の主要顧客への販売数量及び販売価格、予測されている営業利益率、売上規模に応じた固定費の見積り及び想定為替レートを前提に策定しています。当社グループは、経営環境の変化に応じて事業計画を見直し経営成績の維持を図るとともに必要な税務戦略を考慮しています。しかし、将来において事業計画の主要な仮定が変化した場合、繰延税金資産の取崩しが発生する可能性があります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

① 財政状態の状況

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比べ65億円減少7,369億円、自己資本は、為替換算調整勘定、利益剰余金の増加と、退職給付に係る調整累計額の減少等により、86億円増加の3,981億円となり、自己資本比率は54.0%となりました。

流動資産は、棚卸資産、受取手形及び売掛金の増加と、現金及び預金の減少等により、前連結会計年度末と比べ74億円増加4,665億円となりました。

固定資産は、建物及び構築物、土地、機械装置及び運搬具の減少と、投資有価証券、建設仮勘定の増加等により、前連結会計年度末と比べ139億円減少2,704億円となりました。

流動負債は、短期借入金、支払手形及び買掛金の増加と、賞与引当金の減少等により、前連結会計年度末と比べ302億円増加2,645億円となりました。

固定負債は、長期借入金の減少等により、前連結会計年度末と比べ112億円減少726億円となりました。

なお、上記の固定資産の減少及び投資有価証券の増加の主な要因は、当社の連結子会社であった(株)アルプス物流及びその子会社25社を持分法適用会社に変更した影響によるものです。

 

② 経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルスによる行動制限緩和に伴い社会経済活動の正常化が進むとともに、サプライチェーン混乱、半導体不足も緩和し、景気は緩やかな回復基調となりました。一方で、長期化するロシア・ウクライナ情勢により、エネルギー資源、部材の高騰が進み、インフレ対策を主眼とした各国中央銀行の利上げにより為替相場の急変が続くなど、依然として予断を許さない状況が続いています。

地域別の状況については、米国・欧州では個人消費はおおむね堅調に推移しましたが、高いインフレ率と金利の上昇により消費者の購買力に陰りが見えています。中国ではゼロコロナ政策及びその解除に伴う混乱はありましたが、収束後の消費拡大が牽引し、経済は回復傾向です。日本においては、経済社会活動の正常化が進み、消費・輸出は堅調に推移するも、円安や、天然資源及び穀物価格の上昇による食料品やエネルギー価格高騰の影響は色濃く、回復は緩やかなものとなりました。

こうした事業環境において、当社では部材や物流費高騰への対応、部品在庫の確保による計画的な生産及び売上高の維持等、計画達成に向けて活動しました。

当連結会計年度における経営成績の概況については以下のとおりです。なお、下記に示す売上高は外部顧客に対する売上高であり、報告セグメント間売上高は内部取引売上高として消去しています。

 

セグメントの状況

当社は、2022年4月より、事業セグメントを収益基盤の維持・拡大を目指す「コンポーネント事業」、今後の成長領域と位置づけて伸ばす「センサ・コミュニケーション事業」、改善により収益体質の良質化を図る「モジュール・システム事業」へと再整理し、よりバランスの取れた成長に向けた取り組みを進めています。これに伴い、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの区分を変更しています。

また、第1四半期連結会計期間末において、「物流事業」を構成していた(株)アルプス物流及びその子会社25社を持分法適用会社に変更したことに伴い、第2四半期連結会計期間より、「その他」の区分に含めています。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等) セグメント情報 2.報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。

 

経営者が認識しているセグメントごとの経営成績は次のとおりです。

 

<コンポーネント事業>

 中国での新型コロナウイルス感染拡大による生産減速の影響があったものの、顧客のスマートフォンの販売好調に伴い、モバイル機器向け製品は総じて堅調に推移しました。為替の円安基調による業績への寄与もあり、売上高、営業利益ともに前期を上回りました。

 以上の結果、当連結会計年度におけるコンポーネント事業の売上高は3,290億円(前期比25.5%増)、営業利益は383億円(前期比13.9%増)となりました。

 

<センサ・コミュニケーション事業>

部材供給懸念の一部解消を受けて自動車生産が回復に向かう中、車載向けセンサの売れ行きが堅調に推移し、為替の円安基調による業績への寄与もあったことで、売上高は前期を上回りました。一方、スマートフォン向けセンサの顧客モデルの切り替えによる事業規模縮小、半導体をはじめとした部材の高騰や開発費増加による利益率低下に伴い、営業損失となりました。

以上の結果、当連結会計年度におけるセンサ・コミュニケーション事業の売上高は855億円(前期比6.9%増)、営業損失は15億円(前期における営業利益は23億円)となりました。

 

<モジュール・システム事業>

中国での新型コロナウイルス感染拡大による生産減速の影響があったものの、世界的な自動車生産の回復に伴う自動車部品の需要増加や、当第4四半期連結会計期間から販売を開始した新製品による売上寄与、為替の円安基調による売上への貢献もあり、売上高は前期を上回りました。一方、部材高騰に対する顧客への適正価格化活動や継続的な原価改善等を行うも、価格転嫁の遅れや不足、新製品生産立上げにおけるコストの増加により、営業損失となりました。また、コスト面では外貨建てでの部材調達及び海外生産が多いため円安による業績貢献は限定的であり、営業損失は前期比で改善したものの、その勢いは緩やかなものとなりました。

以上の結果、当連結会計年度におけるモジュール・システム事業の売上高は4,813億円(前期比30.6%増)、営業損失は66億円(前期における営業損失は83億円)となりました。

 

以上により、上記の3事業セグメントにその他を加えた当連結会計年度における当社グループの連結業績は、売上高9,331億円前期比16.2%増)、営業利益335億円前期比4.6%減)、経常利益349億円前期比13.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益114億円前期比50.0%減)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ555億円減少し、当連結会計年度末の残高は、828億円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度末における営業活動による資金の増加は、154億円(前期は343億円の増加)となりました。

この増加は、主に減価償却費468億円、税金等調整前当期純利益268億円及び仕入債務の増加額201億円による資金の増加と、棚卸資産の増加額291億円、売上債権の増加額277億円及び法人税等の支払額130億円による資金の減少によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度末における投資活動による資金の減少は、542億円(前期は455億円の減少)となりました。

この減少は、主に有形及び無形固定資産の取得による支出523億円による資金の減少によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度末における財務活動による資金の減少は、7億円(前期は135億円の減少)となりました。

この減少は、主に長期借入金の返済による支出125億円、配当金の支払額61億円及び自己株式の取得による支出25億円による資金の減少と、長期借入れによる収入226億円による資金の増加によるものです。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

1)生産実績

  当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

コンポーネント事業

328,950

21.2

センサ・コミュニケーション事業

88,163

5.4

モジュール・システム事業

474,516

29.7

合計

891,630

23.7

 

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しています。

 2.金額は、販売価格によっています。

 

2)受注実績

  当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前年同期比

(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比

(%)

コンポーネント事業

323,664

19.7

37,817

△12.4

センサ・コミュニケーション事業

79,407

△2.6

13,258

△31.6

モジュール・システム事業

471,220

28.4

12,033

△45.8

合計

874,291

21.6

63,109

△25.6

 

(注)セグメント間取引については、相殺消去しています。

 

3)販売実績

  当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

コンポーネント事業

329,040

25.5

センサ・コミュニケーション事業

85,525

6.9

モジュール・システム事業

481,384

30.6

報告セグメント計

895,951

26.0

その他

37,162

△59.6

合計

933,114

16.2

 

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しています。

2.当連結会計年度において、販売実績の「その他」に著しい変動がありました。これは、主として第1四半期連結会計期間末において、連結子会社であった(株)アルプス物流及びその子会社25社を持分法適用の範囲に含めたことによるものです。

3.主な相手先の販売実績及び総販売実績に対する割合は、下記のとおりです。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

LG Innotek Co., Ltd.

113,330

12.1%

 

  前連結会計年度において LG Innotek Co., Ltd.は販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため、記載を省略しています。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されています。

この連結財務諸表の作成に際し、連結決算日における資産・負債の数値及び連結会計年度の収益・費用の数値に影響を与える会計上の見積りを用いています。

当社は、特に以下の会計上の見積りが、当社グループの連結財務諸表に重要な影響を与えるものと考えています。

 

1)棚卸資産の評価

棚卸資産は取得原価又は正味売却価額のいずれか低い金額で評価しています。正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、取得原価と正味売却価額との差額について評価損を計上しています。正味売却価額は、主に顧客との販売契約に基づく予定売価を基に見積もっています。また、一定の保有期間を超えた場合、滞留又は陳腐化しているとみなし、評価損を計上しています。更に、保有期間にかかわらず将来廃却が見込まれる棚卸資産についても評価損を計上しています。

市場環境の悪化による顧客の需要減少や製品ライフサイクルの変化等に伴い、棚卸資産の収益性の低下、滞留、陳腐化が生じた場合、将来において追加の評価損の計上が必要となる可能性があります。

 

2)繰延税金資産

繰延税金資産については、回収可能性があると判断できる金額のみ計上しています。将来の収益力に基づく課税所得を見積り、繰延税金資産の回収可能性を判断しています。将来課税所得の見積りは、事業計画並びにグループ会社間の取引価格を基礎としています。事業計画は、主に、各事業の主要顧客への販売数量及び販売価格、予測されている営業利益率、売上規模に応じた固定費の見積り及び想定為替レートを前提に策定しています。また、各市場における部材高騰の長期化やインフレの継続といった事業環境下で、これらに対する顧客への価格転嫁の遅れや不足、目標とする原価改善の未達等の要因を考慮しています。グループ会社間の取引価格は、各国の移転価格税制を考慮し、連結子会社ごとに設定しています。

将来において、事業環境の変化による顧客の需要減少や、移転価格を含む税務関連の動向の変化等により課税所得が予想を下回り、すでに計上されている繰延税金資産の全部又は一部を回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産を取崩し、税金費用が計上される可能性があります。

当連結会計年度の繰延税金資産の回収可能性を判断するに当たり、将来課税所得の見積りに用いた重要な仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

3)退職給付に係る負債

退職給付費用及び退職給付に係る負債は、数理計算上の前提条件に基づいて算出されています。前提条件には、割引率、長期期待運用収益率、退職率及び死亡率等の仮定が含まれています。このうち、退職給付費用及び退職給付に係る負債の計算に影響を与える最も重要な仮定は、割引率及び年金資産に係る長期期待運用収益率です。

割引率は優良債券の利回りを参考に決定しており、連結会計年度末において割引率を再検討した結果、割引率の変動が退職給付債務に重要な影響を及ぼすと判断した場合にはこれを見直した上で、退職給付債務を算定しています。長期期待運用収益率は、保有している年金資産のポートフォリオに基づく一定期間における運用実績を基に、今後の運用方針及び市場動向を考慮して設定しています。

これらの仮定が実際の結果と異なる場合、又は仮定を変更した場合、将来期間における退職給付費用及び退職給付に係る負債に影響を及ぼすことがあります。

当連結会計年度の退職給付費用の計算に使用した割引率及び長期期待運用収益率は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(退職給付関係)」に記載のとおりです。

 

4)固定資産の減損

当社グループの資産又は資産グループに減損が生じている可能性を示す事象があり、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額がこれらの帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しています。減損損失の測定に当たって見積られる回収可能価額は、資産又は資産グループの正味売却価額と使用価値のいずれか高い方の金額を使用しています。

減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において見積られる将来キャッシュ・フローは、事業計画を基礎として算定しています。当該事業計画は、主に顧客・製品別にまとめた受注予測、予測されている限界利益率及び固定費を前提として策定しています。なお、部材高騰の長期化やインフレの継続といった事業環境下で、これらに対する顧客への価格転嫁の遅れや不足、目標とする原価改善の未達等の要因を考慮しています。また、使用価値の算定に使用する割引率は、当社に要求される加重平均資本コストを採用しています。将来、事業環境の変化等により固定資産の収益性が低下した場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

また、固定資産の耐用年数については、各市場における製品ライフサイクルを基礎として、生産設備等の経済的耐用年数を設定しています。製品ライフサイクルについては、事業・市場・顧客単位などの性質を勘案して決定しています。

当連結会計年度において減損会計を適用するに当たり、将来キャッシュ・フローの見積りに用いた重要な仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

② 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度の当社グループにおける連結業績は、売上高9,331億円前期比16.2%増)、営業利益335億円前期比4.6%減)、経常利益349億円前期比13.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益114億円前期比50.0%減)となりました。

セグメント別の売上高及び営業利益については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」をご参照ください。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用及び設備投資、業務提携等の投資を目的とした資金需要であり、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本としています。

運転資金及び設備投資資金については、主に営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入金にて調達しています。
 なお、当連結会計年度末の借入金残高は1,219億円(前期比86億円増)となり、運転資金安定のための短期借入金が772億円(前期比201億円増)、将来の事業基盤確立に向けた研究開発や設備投資資金の確保などのための長期借入金が447億円(前期比115億円減)となりました。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)は、「人と地球に喜ばれる新たな価値を創造します」を全ての礎に、事業活動を通じて持続可能な社会の発展に貢献することを目指しています。

「Right(最適な)、Unique(独自性)、Green(環境にやさしい)」を兼ね備えた、「美しい電子部品を究める」ことを事業の根幹とし、70年の歴史の中で育んだ当社グループ独自の強みを最大限に活かし、「感動・安全・環境」の事業領域にて新しい価値を創造しています。

当社グループの研究開発費の総額は31,910百万円です。

 

(1)コンポーネント事業

高まる環境対応ニーズを受け、バイオマスプラスチックを用いたタクトスイッチ®等の環境負荷が少ない製品や省エネ・省資源に貢献する製品開発を進め、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを拡充しています。

当事業は、ニッチトップを維持しつつ市場拡大、顧客増加を推進していきます。特にスイッチ等のインプット製品は、業界トップの品揃えと品質によりシェアNo.1を維持・拡大しつつ、開発リソースの適正化にも取り組み、製品のコモディティ化による価格競争激化に対応します。また、これまでのコンシューマ及び車載市場だけでなく、産業機器市場へ参入すべくこれまで培ってきたコア技術を活かし、2021年9月にIDEC株式会社との間で設立した合弁会社を基点に、FA(Factory Automation)・産業機械分野向けの新製品開発とソリューション型ビジネスモデルの確立を目指します。更に、ハプティック®においては、ゲーム市場を中心にシェア拡大を行いながら、車載・モバイル市場への積極的な提案を続けます。スマートフォン向けアクチュエータは、大型口径レンズや絞り付きレンズの要求から、VCM(Voice Coil Motor)に加え、SMA(Shape Memory Alloy)技術やピエゾ技術を用いた新構造アクチュエータの開発・商品化を行い、これまでの実績に裏打ちされた高い生産技術力と生産体制、適時の市場投入と高品質化によりシェアを維持しつつ、既存生産設備を活用することで収益性の更なる向上を目指します。

コンポーネント事業に係わる研究開発費は7,716百万円です。

 

(2)センサ・コミュニケーション事業

センシング・高周波技術による「安心空間」の実現、脱炭素社会に貢献するデバイスの創出、高位置精度技術磨き上げと通信の融合を目指してきました。自動運転などの高度化が進む自動車産業において、安心・安全・快適を実現するために必要となるActive safety実現に向けて、車室内外のセンシングは予防安全の領域でそのニーズが高まっています。

当社は強みである無線規格のオーソリティ、高周波とシステム融合提案、システムレベルの知識と経験を活かし、低消費電力や複数センサの共存性に優れるパルス式と検知距離性に優れたFMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式レーダーをアプリケーションや要求仕様に基づき最適化した製品を顧客へ提案しています。

環境問題への世界各国の取り組みや支援策の拡大に伴い、脱炭素社会の実現に向けて、ガソリン車・ディーゼル車から電気自動車にシフトする動きが加速しており、2030年頃には電気自動車が主力となることが見込まれています。電気自動車のモーター駆動制御や回生電流の直流変換制御、バッテリーの充放電電流検出などに使用される電流センサは、制御用部品として重要な役割を担っています。当社の電流センサは、当社コア技術である磁気センシング技術を応用した独自のGMR(Giant Magneto Resistance)方式を採用しており、コアレス構造による大電流対応と小型軽量化を同時に実現しています。また、バスバ一体化構造により検出電流精度向上させたほか、顧客におけるセットの設計負荷低減、組立性の向上にも貢献しています。

予防安全とセーフティ事業への転換に向けて、車両安全運転支援技術の一つ、C-V2X(Cellular based Vehicle to X)の市場投入、ミリ波センサを用いた子供置き去り検知システムの市場展開、高周波センシング技術とソフトウェアを融合させたセキュアで便利なスマートフォンによるエントリーシステムやリモートパーキングシステムの開発も進めてきました。また、IoT分野では物流資材遠隔監視システムによる輸送エネルギーの削減やモビリティデータを活用したオンデマンド型ドライブレコーダーによる地域・社会課題の解決に向けた幅広い分野における新たなサービスの創出に取り組んでいます。

当事業は、保有するセンシング、高周波、ソフトウェアの各技術の融合による「安心空間」を具現化する製品や低燃費、小型・軽量化に貢献する製品、更にデバイス+ソフトウェア+クラウドによるIoTソリューションの提供を通じて顧客の期待に応えるとともに、事業面においてはシステム提供によるリカーリングビジネスを推進することで、将来に向けた事業領域の早期拡大を目指し、顧客ニーズの早期入手及び提案を行います。
 センサ・コミュニケーション事業に係わる研究開発費は6,078百万円です。

 

(3)モジュール・システム事業

従来は車内を安全・快適にするため、モジュール製品、ディスプレイ製品、サウンド製品、インフォテインメント製品など一つ一つの製品・分野について完成度を高めることに注力をしてきました。今後は、市場の動向や、アルプスアルパインの総合力を生かし、車室内のトータルソリューション製品の開発を進めて行きます。具体的に2027年にはいくつかの製品を統合したコックピットソリューションと言われる統合ディスプレイオーディオ(IVI+METER)、プレミアムサウンドの製品、そして2030年には更なる製品の統合を行い、キャビンコントローラー(IVI+METER+BODY+ADAS)、ドアコントロールモジュールなどを開発していきます。開発に当たっては、当社グループだけでなく、大学や研究機関、他社と協業することで、それぞれが持つ技術・製品力を持ち寄り、シナジー効果を目指します。

このような複合化された高付加価値の製品を生み出し、今までの製品群から移行していくことで、収益性の強化につなげ、事業の良質化を図っていきます。

モジュール・システム事業に係わる研究開発費は17,754百万円です。