第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 世界経済は、引き続き好調に推移するものと見込まれます。しかしながら、保護主義的な通商政策による貿易摩擦懸念やそれに伴う金融市場の動揺、また中東不安をはじめとする地政学的リスク等、予断を許さない状況が続くものと思われます。

 当社グループが属する電子部品業界は、車載向け部品の需要は好調に推移すると見込まれます。スマートフォン向け部品も引き続きグローバル需要を牽引すると見込まれますが、成長が鈍化してきています。一方、AI、IoT、ロボット、自動運転等の技術革新が今後加速されると予測される中、これら新たな市場への取り組みがより重要となってきています。

 以上のような情勢下ではありますが、当社グループは、「未来社会に音で貢献する」をビジョンとして掲げ、「音に関わる製品やソリューションを通して、世界中により快適な生活やコミュニケーションの喜びを提供し社会から期待される企業になる」ことをミッションとし、業界での地位を確固たるものにするとともに、グローバル企業としてさらなる事業の充実と企業価値の向上を図りながら、持続的な成長を実現するための体制作りを推進します。

 これらを実現するために、品質経営を推進し、利益重視の長期成長を目指します。また、中期的な経営目標として連結ROE10%超を掲げ、資産、資本効率を上げていきます。製品戦略としては、当社の強みをより活かすために、高付加価値の追求を図ります。加えて新たな技術の潮流をビジネスチャンスとして活かすために、音響信号と人間とのインターフェース技術を培ってきた知識・ノウハウによりさらに発展させるとともに、新たな技術の開発と新規事業の創出を図ります。

 以上を踏まえ、「品質、利益向上、事業変革の年」を社内スローガンとして定め、これまで当社の行ってきた企業体質の継続的改善活動をさらに進化させ改革を進めます。具体的な方策としては、「車載業務品質の浸透と徹底」、「製造プロセスの強化」、「グローバル機能の強化」、「新商品及び新市場の開拓」を実行し、当社グループ全体のあらゆる業務の改革・改善に努めます。一方でCSR(企業の社会的責任)を念頭に置き、法令順守、環境及びリスク管理をグループ全体へ展開し、社会や市場の中で信頼され、必要とされる企業となるための努力を着実に続けていきます。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループ(以下 当社という)の経営成績、財政状態、キャッシュ・フロー及び株価等に影響を及ぼす可能性のある事業等のリスクには次のようなことが想定されます。

 なお、下記における今後または将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(平成30年6月21日)現在当社が判断したものです。

 

(1)当社の事業領域を取り巻く経済状況及び関連市場の景況

 当社の売上高は、当社が製品を販売している国または地域の経済状況の影響を受けます。また、当社の製品及び他社製品に搭載される当社製品の需要は、当社が製品を販売している様々な関連市場における景況の影響を受けます。従って、北米、日本を含むアジア、欧州等の当社の主要市場における景気後退及びそれに伴う需要の縮小は、当社の経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 更に当社の事業は、当社が製造を行う国または地域(中国、インドネシア、ベトナム等)の経済状況から直接的間接的に影響を受けることがあります。例えば、当該国または地域の人件費、原材料・部品費や運送費等及び現地通貨レートの変動は、当社の製品製造コストに影響を及ぼします。製造コストが下落した場合でも、当社だけでなく他の競合メーカーの製品製造コストが下がる場合、却って輸出競争や価格競争が激化し、当社の経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性が生じることもあります。

 

(2)為替の変動

 当社は、世界各地において製品の生産及び販売等の事業活動を行っています。各国または各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての科目や項目は、連結財務諸表の作成のために最終的に円換算されています。換算時の為替レートにより、これらの項目は元の現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。概して、他の通貨に対する円高(特に当社売上の重要部分を占める米ドルに対する円高)は当社の事業や経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼします。更に為替変動は、当社が外貨建てで販売する製品の価格設定及び購入する原材料の価格にも影響します。

 当社が生産を行う国または地域の通貨の上昇は、それらの国・地域における製造・調達コストのアップをもたらす可能性があります。コストの増加は、当社の収益性及び価格競争力を低下させ、中長期的にも経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)新商品の開発力

 当社が属するエレクトロニクス業界は急速な技術的進歩を背景に急激な変化をしており、当社においても、内外の既存市場の深耕に加え、進化する情報通信市場・デジタルネットワーク市場、急進するデジタルAV・家電等の先進製品マーケット及びカーエレクトロニクス市場等に対しても、特徴ある音響専業メーカーとして新市場開拓と新商品開発を進め、「軽薄短小」化や高音質化等のマーケットニーズの変化に素早く即応できる対応力・競争力の強化を図る必要があります。しかしながら、新商品の企画・開発と販売促進の諸過程は、微妙かつ不確実な要素があり、次のような様々なリスク要因が含まれています。

 

① 当社が既存または新興市場のマーケットニーズに見合った新商品・新製品または新技術を的確に予想して企画・開発できるとは限らず、またこれらの新商品・製品の販売が成功する保証はありません。

② 技術の急速な進歩・変化及び消費者ニーズの変遷等により、当社製品が市場ニーズの動向に遅れてしまう可能性もあります。

③ 現在企画・開発中の新技術の商品化の遅れにより、市場の需要への対応に遅延が生じ、市場の動向にマッチしなくなる可能性があります。

 上記リスクだけでなく、当社が本業界と市場の変化を充分にまたは的確に予測できず、マーケットニーズに即した新製品・新技術を企画・開発できない場合は、今後の当社の成長性と収益性を低下させ、当社の経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)国内外の競合状況と価格競争の動向

 当社が取扱う主力製品であるスピーカ、ヘッドホン、マイクロホン等のエレクトロニクス業界における競争はたいへん厳しいものがあります。当社は、当社が属している各製品市場と地域市場において、今後も企業競争や価格競争の激化に引続き直面するものと予想されます。競合先にはメーカーと販売業者があり、その一部は当社よりも多くの研究開発や製造、販売等における諸資源を保有しています。また、技術が変化・進歩し、新しい関連エレクトロニクス製品が関連市場に創出されていくと、既存競合先の巻き返しや新しい競合先が台頭して、競争が激化する可能性があります。

 当社は、コスト、品質、納期等において当該製品市場の世界的なリーディングメーカーの一社であると自認していますが、今後においても必ず競争に勝ち抜いていけるという保証はありません。価格競争面における後退または競争場裡で優勢を保持できないことによる得意先のシェア喪失等は、当社の経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、新興メーカーとの競争が、引き続き激化する可能性があり、ますます熾烈化する価格低減競争の環境下で、当社は低コスト体質の競合先に対して市場シェアを維持もしくは拡大し、収益性を維持することができなくなる可能性があります。

 

(5)海外展開・進出の潜在リスク

 当社の生産及び販売活動の主な拠点は、発展途上市場や新興市場等を含む東南アジアや米国、欧州等の海外にあります。これらの海外市場への事業進出には,以下に掲げるようないくつかのリスク要因が内在しており、当社の経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

①予期しない法令や規制の変更 ②予期しない政治的経済的変動 ③人材の採用・確保・育成難 ④未整備の経済・技術インフラ ⑤テロ・争乱・その他の社会的混乱

 

(6)ODM・OEM得意先企業の景況への依存

 当社の主な業務はスピーカ・ヘッドホン等のODM・OEM事業であり、全世界のAV(音響・映像)・自動車・情報通信(パソコン・携帯電話機等)等の大手メーカーやエレクトロニクスメーカーを販売得意先としており、上位販売先による当社売上高に占める割合は相当高いものがあります。これらの得意先企業への売上は、その得意先企業の景況・業績や得意先の販売・業績不振、経営合理化・リストラ、予期しない契約の変更・解除、調達方針の変化、値下げ要求等の当社が予測・管理しにくい要因等により大きな影響を受けます。また、特に得意先の要求に応じるための値下げ等は、当社の収益性・利益率を低下させ、当社の経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)国内外の法的規制・制限

 当社は、事業展開する各国・地域において、事業・投資及びその変更の許可、安全保障貿易その他の輸出規制、関税その他の輸出入制限など、様々な法的公的規制の適用を受けています。また、通商、独占禁止、特許等知的財産権、消費者、租税、為替管理、情報セキュリティー、環境・リサイクル関連の法規制の適用も受けています。様々の要因により、これらの規制に対応できなかった場合、当社の事業活動が制約を受ける可能性があります。更に規制を順守できなかった場合は、コスト増加につながる可能性があります。従って、これらの諸規制への対応如何により当社の経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)災害や停電等による影響

 当社は各生産拠点(中国、インドネシア、ベトナム等)における製造ラインの中断による潜在的なマイナス影響を最小化するために、全ての諸設備の定期的な災害防止検査と設備メンテナンスを行っています。しかし、生産施設で発生する災害、事故、停電またはその他の中断事象による影響を完全に防止または軽減できる保証はありません。また、上記生産拠点の周辺で、大規模な地震・火災・風水害やその他災害により工場の操業を中断あるいは操業度を低落する事態が生じた場合は、スピーカ・ヘッドホン等の当社取扱い製品の生産能力が著しく低下する可能性があります。

 

(9)保有株式の株価

 当社は、長期的な取引関係の維持のために取引先等の株式を保有しています。今後、株価の下落あるいは低迷が生じないという保証はなく、保有株式の時価評価において、当社の経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があるという財務的なリスク要因は存在し続けると考えられます。また、商取引上の関係から、保有する株式の株価が低迷した状況にあっても、保有株式を容易には売却できない恐れもあります。

 

(10)原材料市況の高騰

 厳しい価格競争が続くエレクトロニクス業界の中で、更なる原材料市況の高騰に伴うリスク要因が発生する可能性が想定されます。加えて、原油価格やレアアース価格の動向も懸念されます。特に民生用エレクトロニクス業界にあっては、原材料価格の高騰が予想を上回る形で業績悪化の要因になる可能性があり、最終商品における価格転嫁が容易でない場合、原材料価格の高騰が長期化すれば、最終商品・セットメーカーの営業収益力は鈍化または悪化し、ひいては我々電子部品メーカーへの値下げ要求圧力が増す事態が生じます。

 また、当社においても、原材料市況の高騰により原材料・部材の調達コストの下落程度が鈍れば、材料価格の上昇部分を吸収するのが精一杯で、業績面における改善要因が消失する恐れがあります。更に関係メーカー間で価格転嫁できる力関係の格差が生まれ、厳しい価格交渉や激しい価格競争が生じる可能性が予想されます。

 

(11)減損会計の適用による影響

 固定資産の減損会計の適用に伴い、今後、当社グループの経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)税務に係るリスク

 近年、各国はそれぞれの立場から移転価格等で適正税額を主張するようになってきています。

 各国での制度運用・解釈の結果、当社の経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

業績等の概要

(1)業績

 当期における世界経済は、総じて好調に推移しました。米国では雇用や所得環境の改善に伴って堅調に推移し、欧州や日本も回復基調にて推移しました。また、中国は安定成長となり、その他新興国においても復調してきました。しかしながら年度末にかけ、米国の関税率引き上げの動きから貿易摩擦の懸念が生じ、先行きに対する不透明感が高まりました。

 当社グループの属する電子機器・電子部品業界においては、車載向け部品の需要は引き続き好調に推移し、IoTやAI等の新たな市場への取り組みも拡がりました。一方、スマートフォン市場では、高機能化により一台当たりの部品搭載数は増加していますが、端末販売自体は成長が鈍化してきました。

 このような環境のもと当社グループは、市場変化に対応した受注確保やVA・VEを含めた原価低減活動に取り組みました。

 生産面では、生産性を高めるための工程改善、機械化・省力化を強力に推進しました。2017年12月には、ミャンマー・ティラワ工場の第二期工事が完了し、アセアンでの車載用スピーカ生産体制の強化を図りました。ヘッドホン・ヘッドセットの生産においては、不良率の低下や歩留まりの改善を図り、生産能率が大幅に改善しました。また、当社の強みである「音作り」をさらに発展させるため、ボイスコイル用ボビンを製造する鈴木管紙タイランドの株式を取得し、子会社化しました。

 以上の結果、当期連結業績における売上高は、184,800百万円(前期比14.9%増)、営業利益は9,307百万円(前期比214.1%増)、経常利益は9,062百万円(前期比200.3%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、固定資産の将来の回収可能性を検討し特別損失(減損)を計上したことから、4,265百万円(前期比292.0%増)となりました。

 

セグメント別の業績は、次のとおりです。

 なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しています。以下は、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しています。

 

[スピーカ事業]

 車載用スピーカ・スピーカシステムの出荷は好調に推移しました。薄型テレビ用スピーカ・スピーカシステムや、オーディオ用スピーカの出荷は概ね計画通りでした。その結果、当事業の売上高は、75,520百万円(前期比0.9%増)となりました。一方、営業利益は、資材価格の上昇が影響し4,636百万円(前期比12.3%減)となりました。

 

[モバイルオーディオ事業]

 主力顧客向けヘッドセットは、昨年度より生産を開始した新機種の出荷が本格化しました。その結果、当事業の売上高は、103,513百万円(前期比28.9%増)となりました。営業利益は、歩留まりや生産性の向上により、4,259百万円(前期は営業損失2,325百万円)となりました。

 

[その他事業]

 小型音響部品や「フォステクス」ブランドの製品を含むその他の売上高は、5,886百万円(前期比2.1%増)となりました。営業利益は、小型音響部品事業での生産性が大幅に改善し413百万円(前期比39,780.2%増)となりました。

 

 

 

販売の状況

 当連結会計年度における販売の状況は下記のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

スピーカ事業

75,520

0.9

モバイルオーディオ事業

103,513

28.9

その他事業

5,766

0.1

合計

184,800

14.9

 

スピーカ事業           オーディオ用、テレビ用及び車載用スピーカ・スピーカシステム等

モバイルオーディオ事業      ヘッドホン・ヘッドセット、小型スピーカ、業務用マイクロホン等

その他事業            警報音用等のブザー・サウンダ製品、「フォステクス」ブランドの製品、物流サービス等

(注)1 受注高、受注残高及び生産高につきましては、主として見込生産方式を採用しているため、記載を省略しています。

2 セグメント間の取引については相殺消去しています。

3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

APPLE Inc.

60,174

37.4

82,086

44.4

4 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

 

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 下記における今後または将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(平成30年6月21日)現在 当社グループ(以下「当社」という)が判断したものです。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告金額及び偶発債務の開示、ならびに報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与えるような見積り・予測が必要とされます。当社経営陣は、継続的に、過去の実績や状況に応じ合理的と判断される範囲での様々な仮定に基づきその見積り・予測を評価します。その様な評価の結果は、他の方法からは即時に判定しえない資産・負債の簿価あるいは収益・費用の報告金額についての判断の基礎となります。実際の結果は、見積特有の不確実性があるため、これらの見積と異なる場合があります。当社は、以下の重要な会計方針が、当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えています。

① 投資有価証券

 当社は、長期的な取引関係の維持等のために、特定の金融機関及び取引先等に対する非支配持分を所有しています。これらの株式は、価格変動性が高い公開会社の株式です。公開会社への投資の場合、決算日における株価が取得価額を50%以上下回った場合及び2期連続して取得価額を30%以上下回り、かつ、回復する見込みがあると認められない場合に評価損を計上しています。将来の市況悪化又は投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失または簿価の回収不能が発生した場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。

② 貸倒引当金

 当社は、顧客等の支払不能時に発生する損失の見積額について、貸倒引当金を計上しています。顧客等の財務状況が悪化しその支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。

③ 繰延税金資産

 繰延税金資産については、将来の課税所得を検討することによって回収可能性のある金額を検証しており、繰延税金資産の全部又は一部を将来実現困難と判断した場合は、相応の評価性引当額を計上しています。これは財務諸表上、法人税等調整額として表示され、当期純利益を減額させることとなります。

 

 

(2)財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析

 総資産は、前連結会計年度末に比べ1,058百万円減少して101,350百万円となりました。

主な増減の内訳ですが、流動資産は、モバイルオーディオ事業の主力顧客向け取引の増加による売掛金及び棚卸資産の増加等により、5,008百万円増加の74,323百万円となりました。一方、固定資産はモバイルオーディオ事業の設備投資の減少、減価償却費の増加及び減損損失の計上等により6,067百万円減少の27,027百万円となりました。

 負債は、主に支払手形及び買掛金の減少により前連結会計年度末に比べ3,948百万円減少して34,558百万円となりました。純資産は、主に利益剰余金の増加により前連結会計年度末に比べ2,890百万円増加して66,792百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度末比3.0ポイント増加して61.2%となりました。

 

キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,886百万円減少し、当連結会計年度末には10,150百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

① 営業活動によるキャッシュ・フロー

 営業活動による資金の増加は、モバイルオーディオ事業の利益及び減価償却費が前連結会計年度比増加したこと等により8,153百万円(前年同期比86.4%増)となりました。

 

② 投資活動によるキャッシュ・フロー

 投資活動による資金の減少は、前連結会計年度は新機種の立ち上げで大きく膨らんだモバイルオーディオ事業の設備投資が当連結会計年度は減少したこと等により7,131百万円(前年同期比35.7%減)となりました。

 

③ 財務活動によるキャッシュ・フロー

 財務活動による資金の減少は、フリーキャッシュ・フローを借入金の返済に充てたこと等により2,859百万円(前年同期1,690百万円の資金の増加)となりました。

 

なお、今期の設備投資は約50億円を予定しており、所要資金については自己資金及び借入金を充当する予定です。

また、(連結貸借対照表関係)及び(貸借対照表関係)に記載の通り、コミットメントライン契約を締結しております(融資枠設定金額14,000百万円、当連結会計年度末借入実行残高ゼロ)。

 

 当社のキャッシュ・フロー関連指標の推移は、次のとおりです。

 

平成26年

3月期

平成27年

3月期

平成28年

3月期

平成29年

3月期

平成30年

3月期

自己資本比率

46.3%

58.2%

63.7%

58.2%

61.2%

時価ベースの自己資本比率

30.1%

77.1%

64.8%

47.9%

66.0%

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

2.4

0.9

0.4

3.1

1.4

インタレスト・カバレッジ・レシオ

45.4

77.7

198.3

35.9

35.6

(注)1.自己資本比率:自己資本/総資産

2.時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

3.キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

4.インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

※各指標は、いずれも連結ベースの財務指標により計算しています。

※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数により計算しています。

※キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。

 

(3)当連結会計年度の経営成績の分析

 当期の連結売上高は、主にモバイルオーディオ事業の主要モデル出荷が本格化したことから前期比14.9%増の184,800百万円(前期売上高160,896百万円)となりました。利益面につきましては、主にモバイルオーディオ事業の主要モデル出荷の本格化及び歩留まりや生産性の向上により、営業利益は前期比214.1%増の9,307百万円(前期営業利益2,963百万円)、経常利益は前期比200.3%増の9,062百万円(前期経常利益3,017百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、モバイルオーディオ事業の主要顧客向けヘッドセットの需要減及び単価下落を受け、固定資産の将来の回収可能性を検討し特別損失(減損)を計上したこと等により、前期比292.0%増の4,265百万円(前期親会社株主に帰属する当期純利益1,088百万円)となりました。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

製造委託契約

 製造委託契約は下記のとおりです。

契約会社名

相手先

契約品目

契約内容

契約期間

摘要

フォスターエレクトリックCO.,(ホンコン)Ltd.

番禺旧水坑五金綜合総廠

電子機器及び電子部品

製造加工契約

平成16年10月1日から

15年間

製造加工費用を支払う

 

5【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動体制は、新たなマーケットの創造を目指し、要素技術開発・商品開発を行う新規事業開発本部の技術部門、短中期的要素技術開発・商品開発を行うスピーカ事業本部・モバイルオーディオ事業本部の技術部門、小型音響変換器を主に担当するフォスターマイクロアコースティック・カンパニーの技術部門、プロ用機器の開発を主に担当するフォステクス・カンパニーの技術部門、およびこれらと密接に連携する各国製造・販売子会社の技術部門により役割構成され、デファクト・スタンダードを目指してグローバルな開発活動を推進しています。

 また、製造に関する要素技術・設備開発は、製造本部の技術部門が海外の生産技術部門と連携してグローバルな開発活動を展開しています。

 

 当連結会計年度の研究開発活動は、新市場や環境対応への継続的な取り組みと共に、音響デバイス・音響システムの高品質・高音質化のための基礎開発・応用開発・製品開発及び、製造設備開発に一貫して取り組み、音響機器専門メーカとして顧客ニーズを的確に捉えた商品開発を目指してきました。

 

 当連結会計年度における研究開発費は、2,421百万円です。技術分野別の主な成果は以下のとおりです。

 

ホームオーディオ分野

・高精細テレビ内蔵用高音質スピーカ及びスピーカシステムの開発。

・テレビ外部設置用高音質スピーカ及びスピーカシステムの開発。

・アミューズメント用スピーカ及びスピーカシステムの開発。

 

カーオーディオ分野

・原価低減、軽量化を目的に部品、製品の標準化の推進。

・顧客要求に合わせたマーケット別の音作りを推進。

・重低音再生を追及したボックス型サブウーファの開発。

・生産プロセスの効率化のため、機械化・省人化を推進。

・3次元音場再生を実現するための、天井・ヘッドレストに取り付けるスピーカの開発。

・スキルフリー生産をグローバルに推進するための「無人化生産方式」の開発。

・EV、HV車向け軽量・小型・省スペース スピーカの開発。

・接近通報用高音圧スピーカの開発。

・耐熱性を向上させた電磁ブザーの開発。

 

情報通信機器分野

・モバイルオーディオアクセサリ向け左右独立型ブルートゥースワイヤレスヘッドホンの開発。

・モバイルオーディオアクセサリ向けアクティブ・ノイズキャンセル付きブルートゥースワイヤレスヘッドホンの開発。

・モバイルオーディオアクセサリ向け低消費電力ブルートゥースワイヤレスヘッドホンの開発。

・高音質インイヤーヘッドホン用ドライバーユニットの開発。

・インイヤーヘッドホン用超小型ドライバーユニットの開発。

 

プロ用機器、市販オーディオ分野

・国産(Made in Tokyo) スピーカシステム GX100BJの開発。

・アクティブ・サブウーハー PM-SUB8の開発。

・RPステレオヘッドホン T50RPmk3g の開発。

・ハイレゾ対応アクティブ・スピーカ PM0.3Hの開発。

・限定フルレンジユニット FE208-Solの開発。

・限定ツイーター T90A-Superの開発。

・FE208Sol専用バックロードホーンボックスBK208-Solの開発。

・RPステレオヘッドホン T60RPの開発。

・ワイヤレス・ステレオイヤホン TE05BT の開発。

・アクティブ・サブウーハー CW250Dの開発。

 

その他

・自動運転へ向けた車載用振動デバイスの開発。

・AR/VR機器へ向けた振動デバイスの開発。

・VOC削減・生産性向上のためのスピーカ組立用接着剤の開発。

・イヤホン用高性能紙振動板の開発。

・CNF(セルロースナノファイバー)振動板の開発。

・接近通報用スピーカの振動板開発。