第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、「誠実」の社是の基、「未来社会に音で貢献する」をビジョンとして掲げ、「音に関わる製品やソリューションを通して、世界中により快適な生活やコミュニケーションの喜びを提供し社会から期待される企業になる」ことをミッションとし、業界での地位を確固たるものにするために、グローバル企業としてさらなる事業の充実と企業価値の向上を図りながら、持続的な成長を実現するための体制作りを推進します。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略

〈中期的な取組み〉

 当社グループでは、品質経営を推進し、利益重視の長期成長を目指します。そして当社の強みを活かすために、高付加価値の追求を図ります。加えて新たな技術の潮流をビジネスチャンスとして活かすために、音響信号と人間とのインターフェース技術を、培ってきた知識・ノウハウによりさらに発展させるとともに、新技術の開発と新規事業の創出を図ります。

 

 当社の2019年度の経営方針等の要旨は次のとおりです。

[基本方針]

 利益率を向上させるとともに、新規ビジネスの確実な成長を図り、車載関連ビジネスを中心におく事業変革を実行

 

[方策]

1.車載業務品質の浸透と徹底

2.製造プロセスの強化

3.グローバル機能の強化

4.新製品及び新市場の開拓

5.CSRをベースとしたコンプライアンスの徹底、環境及びリスク管理のグローバル体制構築ならびにFoster Rhythm浸透による健全な企業風土の醸成

 

[社内スローガン]「“車載”品質・利益回復、事業変革の年」

 

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(3)目標とする経営指標

 当社グループは、中期的な経営目標として連結ROE10%超を掲げ、資産、資本効率を高め、事業の持続的成長及び更なる企業価値の向上に取り組みます。

 

(4)経営環境と対処すべき課題

 世界経済は、米中貿易摩擦の激化や英国の合意なきEU離脱に対する懸念等、引き続き予断を許さない状況が続く

ものと思われます。

 当社グループが属する電子部品業界は、成長鈍化が顕著になったスマートフォン向けに対しては、慎重姿勢が強

まると見込まれますが、5Gの開始によりAIやIoTの活用がさらに拡大し、電子部品需要の成長トレンドが続いてい

くと期待されています。特に、車載向け部品は、新興国での自動車販売増に加え、EVや自動運転の実現に向けた技

術革新がますます加速し、電子部品のグローバル需要を牽引していくものと期待されます。

 以上のような情勢下、当社グループは「未来社会に音で貢献する」をビジョンとして掲げ、「音に関わる製品や

ソリューションを通して、世界中により快適な生活やコミュニケーションの喜びを提供し社会から期待される企業

になる」ことをミッションとし、業界での地位を確固たるものにするとともに、グローバル企業としてさらなる事

業の充実と企業価値の向上を図りながら、持続的な成長を実現するための体制作りを推進します。

 これらを実現するために、品質経営を推進し、利益重視の長期成長を目指します。また、中期的な経営目標とし

て連結ROE10%超を掲げ、資産、資本効率を上げていきます。製品戦略としては、当社の強みをより活かすため

に、高付加価値の追求を図ります。今後の当社事業の主軸である車載用では、さらなる差別化を図り、自動運転時

代に向けた新しい提案をしてまいります。加えて新たな技術の潮流をビジネスチャンスとして活かすために、マー

ケティング活動をより強力に推進し、EVはもとより、ロボット、ヘルスケア等の新市場、新製品の開発に積極的に

取り組みます。そして、キャッシュ・フロー経営をベースに、グローバル生産・供給体制の最適化を図り、機械

化・省力化をさらに推し進め、コスト競争力の強化を図ります。

 以上を踏まえ、「利益率を向上させるとともに、新規ビジネスの確実な成長を図り、車載関連ビジネスを中心に

おく事業変革を実行」を今年度の基本方針として定め、これまで当社の行ってきた企業体質の継続的改善活動をさ

らに進化させ改革を進めます。

 具体的な方策としては、「車載業務品質の浸透と徹底」、「製造プロセスの強化」、「グローバル機能の強

化」、「新商品及び新市場の開拓」を実行し、当社グループ全体のあらゆる業務の改革・改善に努めます。一方で

CSR(企業の社会的責任)を念頭に置き、法令順守、環境及びリスク管理をグループ全体へ展開し、社会や市場の

中で信頼され、必要とされる企業となるための努力を着実に続けていきます。

2【事業等のリスク】

 当社グループ(以下 当社という)の経営成績、財政状態、キャッシュ・フロー及び株価等に影響を及ぼす可能性のある事業等のリスクには次のようなことが想定されます。

 なお、下記における今後または将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(2019年6月20日)現在当社が判断したものです。

 

(1)当社の事業領域を取り巻く経済状況及び関連市場の景況

 当社の売上高は、当社が製品を販売している国または地域の経済状況の影響を受けます。また、当社の製品及び他社製品に搭載される当社製品の需要は、当社が製品を販売している様々な関連市場における景況の影響を受けます。従って、北米、日本を含むアジア、欧州等の当社の主要市場における景気後退及びそれに伴う需要の縮小は、当社の経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 更に当社の事業は、当社が製造を行う国または地域(中国、インドネシア、ベトナム等)の経済状況から直接的間接的に影響を受けることがあります。例えば、当該国または地域の人件費、原材料・部品費や運送費等及び現地通貨レートの変動は、当社の製品製造コストに影響を及ぼします。製造コストが下落した場合でも、当社だけでなく他の競合メーカーの製品製造コストが下がる場合、却って輸出競争や価格競争が激化し、当社の経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性が生じることもあります。

 

(2)為替の変動

 当社は、世界各地において製品の生産及び販売等の事業活動を行っています。各国または各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての科目や項目は、連結財務諸表の作成のために最終的に円換算されています。換算時の為替レートにより、これらの項目は元の現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。概して、他の通貨に対する円高(特に当社売上の重要部分を占める米ドルに対する円高)は当社の事業や経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼします。更に為替変動は、当社が外貨建てで販売する製品の価格設定及び購入する原材料の価格にも影響します。

 当社が生産を行う国または地域の通貨の上昇は、それらの国・地域における製造・調達コストのアップをもたらす可能性があります。コストの増加は、当社の収益性及び価格競争力を低下させ、中長期的にも経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)新商品の開発力

 当社が属するエレクトロニクス業界は急速な技術的進歩を背景に急激な変化をしており、当社においても、内外の既存市場の深耕に加え、進化する情報通信市場・デジタルネットワーク市場、急進するデジタルAV・家電等の先進製品マーケット及びカーエレクトロニクス市場等に対しても、特徴ある音響専業メーカーとして新市場開拓と新商品開発を進め、「軽薄短小」化や高音質化等のマーケットニーズの変化に素早く即応できる対応力・競争力の強化を図る必要があります。しかしながら、新商品の企画・開発と販売促進の諸過程は、微妙かつ不確実な要素があり、次のような様々なリスク要因が含まれています。

 

① 当社が既存または新興市場のマーケットニーズに見合った新商品・新製品または新技術を的確に予想して企画・開発できるとは限らず、またこれらの新商品・製品の販売が成功する保証はありません。

② 技術の急速な進歩・変化及び消費者ニーズの変遷等により、当社製品が市場ニーズの動向に遅れてしまう可能性もあります。

③ 現在企画・開発中の新技術の商品化の遅れにより、市場の需要への対応に遅延が生じ、市場の動向にマッチしなくなる可能性があります。

 上記リスクだけでなく、当社が本業界と市場の変化を充分にまたは的確に予測できず、マーケットニーズに即した新製品・新技術を企画・開発できない場合は、今後の当社の成長性と収益性を低下させ、当社の経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)国内外の競合状況と価格競争の動向

 当社が取扱う主力製品であるスピーカ、ヘッドホン、マイクロホン等のエレクトロニクス業界における競争はたいへん厳しいものがあります。当社は、当社が属している各製品市場と地域市場において、今後も企業競争や価格競争の激化に引続き直面するものと予想されます。競合先にはメーカーと販売業者があり、その一部は当社よりも多くの研究開発や製造、販売等における諸資源を保有しています。また、技術が変化・進歩し、新しい関連エレクトロニクス製品が関連市場に創出されていくと、既存競合先の巻き返しや新しい競合先が台頭して、競争が激化する可能性があります。

 当社は、コスト、品質、納期等において当該製品市場の世界的なリーディングメーカーの一社であると自認していますが、今後においても必ず競争に勝ち抜いていけるという保証はありません。価格競争面における後退または競争場裡で優勢を保持できないことによる得意先のシェア喪失等は、当社の経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、新興メーカーとの競争が、引き続き激化する可能性があり、ますます熾烈化する価格低減競争の環境下で、当社は低コスト体質の競合先に対して市場シェアを維持もしくは拡大し、収益性を維持することができなくなる可能性があります。

 

(5)海外展開・進出の潜在リスク

 当社の生産及び販売活動の主な拠点は、発展途上市場や新興市場等を含む東南アジアや米国、欧州等の海外にあります。これらの海外市場への事業進出には,以下に掲げるようないくつかのリスク要因が内在しており、当社の経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

①予期しない法令や規制の変更 ②予期しない政治的経済的変動 ③人材の採用・確保・育成難 ④未整備の経済・技術インフラ ⑤テロ・争乱・その他の社会的混乱

 

(6)ODM・OEM得意先企業の景況への依存

 当社の主な業務はスピーカ・ヘッドホン等のODM・OEM事業であり、全世界のAV(音響・映像)・自動車・情報通信(パソコン・携帯電話機等)等の大手メーカーやエレクトロニクスメーカーを販売得意先としており、上位販売先による当社売上高に占める割合は相当高いものがあります。これらの得意先企業への売上は、その得意先企業の景況・業績や得意先の販売・業績不振、経営合理化・リストラ、予期しない契約の変更・解除、調達方針の変化、値下げ要求等の当社が予測・管理しにくい要因等により大きな影響を受けます。また、特に得意先の要求に応じるための値下げ等は、当社の収益性・利益率を低下させ、当社の経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)国内外の法的規制・制限

 当社は、事業展開する各国・地域において、事業・投資及びその変更の許可、安全保障貿易その他の輸出規制、関税その他の輸出入制限など、様々な法的公的規制の適用を受けています。また、通商、独占禁止、特許等知的財産権、消費者、租税、為替管理、情報セキュリティー、環境・リサイクル関連の法規制の適用も受けています。様々の要因により、これらの規制に対応できなかった場合、当社の事業活動が制約を受ける可能性があります。更に規制を順守できなかった場合は、コスト増加につながる可能性があります。従って、これらの諸規制への対応如何により当社の経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)災害や停電等による影響

 当社は各生産拠点(中国、インドネシア、ベトナム等)における製造ラインの中断による潜在的なマイナス影響を最小化するために、全ての諸設備の定期的な災害防止検査と設備メンテナンスを行っています。しかし、生産施設で発生する災害、事故、停電またはその他の中断事象による影響を完全に防止または軽減できる保証はありません。また、上記生産拠点の周辺で、大規模な地震・火災・風水害やその他災害により工場の操業を中断あるいは操業度を低落する事態が生じた場合は、スピーカ・ヘッドホン等の当社取扱い製品の生産能力が著しく低下する可能性があります。

 

(9)保有株式の株価

 当社は、長期的な取引関係の維持のために取引先等の株式を保有しています。今後、株価の下落あるいは低迷が生じないという保証はなく、保有株式の時価評価において、当社の経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があるという財務的なリスク要因は存在し続けると考えられます。また、商取引上の関係から、保有する株式の株価が低迷した状況にあっても、保有株式を容易には売却できない恐れもあります。

 

(10)原材料市況の高騰

 厳しい価格競争が続くエレクトロニクス業界の中で、更なる原材料市況の高騰に伴うリスク要因が発生する可能性が想定されます。加えて、原油価格やレアアース価格の動向も懸念されます。特に民生用エレクトロニクス業界にあっては、原材料価格の高騰が予想を上回る形で業績悪化の要因になる可能性があり、最終商品における価格転嫁が容易でない場合、原材料価格の高騰が長期化すれば、最終商品・セットメーカーの営業収益力は鈍化または悪化し、ひいては我々電子部品メーカーへの値下げ要求圧力が増す事態が生じます。

 また、当社においても、原材料市況の高騰により原材料・部材の調達コストの下落程度が鈍れば、材料価格の上昇部分を吸収するのが精一杯で、業績面における改善要因が消失する恐れがあります。更に関係メーカー間で価格転嫁できる力関係の格差が生まれ、厳しい価格交渉や激しい価格競争が生じる可能性が予想されます。

 

(11)減損会計の適用による影響

 固定資産の減損会計の適用に伴い、今後、当社グループの経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)税務に係るリスク

 近年、各国はそれぞれの立場から移転価格等で適正税額を主張するようになってきています。

 各国での制度運用・解釈の結果、当社の経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

① 業績の概要

 当期における世界経済は、上半期までは総じて好調に推移していましたが、下半期は米中貿易摩擦による中国経済の減速や英国のEU離脱問題等により先行き不透明感が高まりました。

 当社グループが属する電子部品業界においては、自動車の電装化の進展に伴い車載向け部品需要は引き続き拡大していますが、スマートフォン市場では2年連続のマイナス成長となりました。こうした中、2020年以降本格的に始まろうとしている自動運転やEVに代表される次世代自動車等への取り組みが一層重要となってきています。

 当社グループにおいては、主要顧客向けヘッドセットの販売数量及び価格が低下し、非常に厳しい事業環境となりました。これに対して、ベトナム地域で早期退職者を募集し、また減損により固定資産を圧縮する等、最適な生産体制の再構築に取り組みました。車載向け製品事業では、中国やアセアン地域での営業を強化し、生産面では米国での地産地消に対応するため、テキサス州エルパソ拠点でのスピーカ生産開始に向け本格始動しました。

 以上の結果、当期連結業績における売上高は、140,303百万円(前期比24.1%減)、営業利益は3,937百万円(前期比57.7%減)、経常利益は4,318百万円(前期比52.3%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純損失は、特別退職金や減損に伴う特別損失を計上したことから、2,026百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益4,265百万円)となりました。

 

セグメント別の業績は、次のとおりです。

 

[スピーカ事業]

 車載用スピーカ・スピーカシステムは、一部顧客のプレミアムブランド向け製品の販売数量が減少しました。薄型テレビ用スピーカ・スピーカシステムや、オーディオ用スピーカの出荷は概ね計画通りでした。その結果、売上高が、70,403百万円(前期比6.8%減)、営業利益が4,343百万円(前期比6.3%減)となりました。

 

[モバイルオーディオ事業]

 主要顧客向けヘッドセットの販売数量及び価格が低下したことから、売上高が、63,851百万円(前期比38.3%減)、営業損失が670百万円(前期は営業利益4,259百万円)となりました。

 

[その他事業]

 小型音響部品や「フォステクス」ブランドの製品を含むその他の売上高は、6,224百万円(前期比5.7%増)、営業利益は265百万円(前期比35.8%減)となりました。

 

 

 

② 販売の状況

 当連結会計年度における販売の状況は下記のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

スピーカ事業

70,403

△6.8

モバイルオーディオ事業

63,851

△38.3

その他事業

6,048

4.9

合計

140,303

△24.1

 

スピーカ事業           オーディオ用、テレビ用及び車載用スピーカ・スピーカシステム等

モバイルオーディオ事業      ヘッドホン・ヘッドセット、小型スピーカ、業務用マイクロホン等

その他事業            警報音用等のブザー・サウンダ製品、「フォステクス」ブランドの製品、物流サービス等

(注)1 受注高、受注残高及び生産高につきましては、主として見込生産方式を採用しているため、記載を省略しています。

2 セグメント間の取引については相殺消去しています。

3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

APPLE Inc.

82,086

44.4

45,225

32.2

4 当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、ヘッドセットの販売数量及び価格が低下したこと等によるものです。

5 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

(2)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 下記における今後または将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(2019年6月20日)現在 当社グループ(以下「当社」という)が判断したものです。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告金額及び偶発債務の開示、ならびに報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与えるような見積り・予測が必要とされます。当社経営陣は、継続的に、過去の実績や状況に応じ合理的と判断される範囲での様々な仮定に基づきその見積り・予測を評価します。その様な評価の結果は、他の方法からは即時に判定しえない資産・負債の簿価あるいは収益・費用の報告金額についての判断の基礎となります。実際の結果は、見積特有の不確実性があるため、これらの見積と異なる場合があります。当社は、以下の重要な会計方針が、当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えています。

a 投資有価証券

 当社は、長期的な取引関係の維持等のために、特定の金融機関及び取引先等に対する非支配持分を所有しています。これらの株式は、価格変動性が高い公開会社の株式です。公開会社への投資の場合、決算日における株価が取得価額を50%以上下回った場合及び2期連続して取得価額を30%以上下回り、かつ、回復する見込みがあると認められない場合に評価損を計上しています。将来の市況悪化又は投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失または簿価の回収不能が発生した場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。

b 貸倒引当金

 当社は、顧客等の支払不能時に発生する損失の見積額について、貸倒引当金を計上しています。顧客等の財務状況が悪化しその支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。

c 繰延税金資産

 繰延税金資産については、将来の課税所得を検討することによって回収可能性のある金額を検証しており、繰延税金資産の全部又は一部を将来実現困難と判断した場合は、相応の評価性引当額を計上しています。これは財務諸表上、法人税等調整額として表示され、当期純利益を減額させることとなります。

② 財政状態の分析

 総資産は、主に棚卸資産の減少により前連結会計年度末に比べ9,598百万円減少して91,271百万円となりました。

主な増減の内訳ですが、流動資産は、モバイルオーディオ事業の主力顧客向け取引の減少による売掛金及び棚卸資産の減少等により、5,840百万円減少の67,773百万円となりました。一方、固定資産はモバイルオーディオ事業の設備投資の減少、減損損失の計上等により3,758百万円減少の23,497百万円となりました。

 負債は、主に支払手形及び買掛金の減少により前連結会計年度末に比べ2,100百万円減少して31,977百万円となりました。純資産は、主に利益剰余金の減少により前連結会計年度末に比べ7,498百万円減少して59,294百万円となり、また自己資本比率は前連結会計年度末比2.0ポイント減少して59.5%となりました。

 なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。

 

 当連結会計年度の経営成績の分析

 当期の連結売上高は、主要顧客向けヘッドセットの販売数量及び価格が低下したことから、前期比24.1%減の140,303百万円(前期売上高184,800百万円)となりました。利益面につきましては、主にモバイルオーディオ事業の売上高の減少に伴い、営業利益は前期比57.7%減の3,937百万円(前期営業利益9,307百万円)、経常利益は前期比52.3%減の4,318百万円(前期経常利益9,062百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純損失は、特別退職金や減損に伴う特別損失を計上したこと等により、2,026百万円(前期は、親会社株主に帰属する当期純利益4,265百万円)となりました。

 

④ キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ11,373百万円増加し、当連結会計年度末には21,524百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

a 営業活動によるキャッシュ・フロー

 営業活動による資金の増加は、棚卸資産の減少等により17,961百万円(前年同期比120.3%増)となりました。

 

b 投資活動によるキャッシュ・フロー

 投資活動による資金の減少は、モバイルオーディオ事業の設備投資が当連結会計年度は減少したこと等により3,425百万円(前年同期比52.0%減)となりました。

 

c 財務活動によるキャッシュ・フロー

 財務活動による資金の減少は、自己株式の取得等により2,937百万円(前年同期2.7%増)となりました。

 

 当社のキャッシュ・フロー関連指標の推移は、次のとおりです。

 

2015年

3月期

2016年

3月期

2017年

3月期

2018年

3月期

2019年

3月期

自己資本比率

58.2%

63.7%

58.2%

61.5%

59.5%

時価ベースの自己資本比率

77.1%

64.8%

47.9%

66.0%

41.1%

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

0.9

0.4

3.1

1.4

0.8

インタレスト・カバレッジ・レシオ

77.7

198.3

35.9

35.6

95.9

(注)1.自己資本比率:自己資本/総資産

2.時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

3.キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

4.インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

※各指標は、いずれも連結ベースの財務指標により計算しています。

※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数により計算しています。

※キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性

 2020年3月期の設備投資は約50億円を予定しており、所要資金については自己資金及び借入金を充当する予定です。また、(連結貸借対照表)及び(貸借対照表)に記載の通り、コミットメントライン契約を締結しております。(融資枠設定金額7,000百万円、当連結会計年度末借入実行残高ゼロ)

 

⑥ 経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

 当連結会計年度の連結業績目標の達成状況は以下のとおりです。

 当社グループは、中期的な経営目標として連結ROE10%超を目標としています。当期におきましては、特別退職金や減損に伴う特別損失を計上したことから、親会社株主に属する当期純利益が2,026百万円の純損失となり、その結果、連結ROEは△3.5%となりました。当社グループは、今後成長が期待される車載向け製品事業の強化や収益性を重視した新規事業への取り組みを強化すると同時に、資産、資本効率を高め、事業の持続的成長及び更なる企業価値の向上に取り組みます。

 

 

2015年3月期

2016年3月期

2017年3月期

2018年3月期

2019年3月期

ROE(%)

9.1

11.0

1.8

7.0

△3.5

 

 

4【経営上の重要な契約等】

製造委託契約

 製造委託契約は下記のとおりです。

契約会社名

相手先

契約品目

契約内容

契約期間

摘要

フォスターエレクトリックCO.,(ホンコン)Ltd.

番禺旧水坑五金綜合総廠

電子機器及び電子部品

製造加工契約

2014年10月1日から

10年間

製造加工費用を支払う

 

重要な固定資産の譲渡

 当社は、2019年3月27日開催の取締役会において次の通り固定資産の譲渡について決議し、2019年3月28日に売買契約を締結致しました。

 

(1)譲渡の理由

 2012年11月に本社機能を現在地に移転して以降、宮沢オフィスを物流等に活用していましたが、建物の老朽化により当該業務の継続が困難となり、現在は休止状態であります。

今般、経営資源のさらなる有効活用を図るため、譲渡することを決定致しました。

 

(2)譲渡資産の内容

所在地

土地面積(㎡)

譲渡益(百万円)

現況

東京都昭島市

宮沢町512番地

10,797.37

約2,700

遊休資産

(注)1.譲渡価格は、先方との契約により、公表は差し控えさせていただきます。

2.譲渡益は、譲渡価格から帳簿価格および譲渡に係る諸費用を控除した金額であります。

 

(3)譲渡先の概要

 譲渡先は国内法人1社でありますが、先方との契約により公表は差し控えさせていただきます。

譲渡先と当社の間には記載すべき資本関係、人的関係及び取引関係はありません。

また、当社の関連当事者には該当いたしましません。

 

(4)譲渡の日程

取締役会決議

2019年3月27日

契約締結日

2019年3月28日

物件引渡期日

2019年6月28日予定

 

 

5【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動体制は、新たなマーケットの創造を目指し、要素技術開発・商品開発を行う新規事業開発本部の技術部門、短中期的要素技術開発・商品開発を行うスピーカ事業本部・モバイルオーディオ事業本部の技術部門、小型音響変換器を主に担当するフォスターマイクロアコースティック・カンパニーの技術部門、プロ用機器の開発を主に担当するフォステクス・カンパニーの技術部門、およびこれらと密接に連携する各国製造・販売子会社の技術部門により役割構成され、デファクト・スタンダードを目指してグローバルな開発活動を推進しております。

 また、製造に関する要素技術・設備開発は、製造本部の技術部門が海外の生産技術部門と連携してグローバルな開発活動を展開しております。

 

 当期の研究開発活動は、新市場や環境対応への継続的な取り組みと共に、音響デバイス・音響システムの高品質・高音質化のための基礎開発・応用開発・製品開発及び、製造設備開発に一貫して取り組み、音響機器専門メーカとして顧客ニーズを的確に捉えた商品開発を目指して参りました。

 

 当連結会計年度における研究開発費は、2,380百万円であります。技術分野別の主な成果は以下のとおりです。

 

ホームオーディオ分野

・アミューズメント用スピーカ及びスピーカシステムの開発。

 

カーオーディオ分野

・原価低減、軽量化を目的に部品、製品の標準化の推進。

・顧客要求に合わせたマーケット別の音作りを推進。

・重低音再生を追及したボックス型サブウーファの開発。

・生産プロセスの効率化のため、機械化・省人化を推進。

・EV、HV車向け軽量・小型・省スペース スピーカの開発。

・接近通報用高音圧スピーカの開発。

・e-Call小型スピーカの開発。

・小型リフロー用スピーカの開発。

・RSEブルートゥースワイヤレスヘッドホンの開発。

 

情報通信機器分野

・モバイルオーディオアクセサリ向け左右独立型ブルートゥースワイヤレスヘッドホン開発。

・モバイルオーディオアクセサリ向けアクティブ・ノイズキャンセル付きブルートゥースワイヤレスヘッドホンの開発。

・モバイルオーディオアクセサリ向け低消費電力ブルートゥースワイヤレスヘッドホンの開発。

・モバイルオーディオアクセサリ向け生体情報取得機能付きブルートゥースワイヤレスヘッドホンの開発。

・高音質インイヤーヘッドホン用ドライバーユニットの開発。

・インイヤーヘッドホン用超小型ドライバーユニットの開発。

 

プロ用機器、市販オーディオ分野

・オンライン限定発売ハイブリッドタイプイヤホン TE200/TE100Rの開発。

・オンライン限定発売プレミアム・ヘッドホン TH900mk2(SB)の開発。

・スピーカボックス BK-WB2シリーズの開発。

・アクティブ・サブウーハー CW200Dの開発。

・ワイヤレス・ボリュームコントローラー PC1BTの開発。

・プレミアム・ヘッドホン TH909の開発。

・オンライン限定発売スピーカシステム GX100BJ-TLの開発。

・アクティブ・スピーカ NF04Rの開発。

・フルレンジユニットFE168NSの開発。

・限定販売スーパーツイーター T96A-REの開発。

・FE168NS専用バックロードホーンボックス BK168NSの開発。

 

その他

・車載用HMI目的の振動デバイスの開発。

・AR/VRゲーミング機器へ向けた振動デバイスの開発。

・VOC削減・生産性向上の為のスピーカ組立用接着剤の開発。

・イヤホン用高性能紙振動板の開発。

・接近通報用スピーカの振動板開発。

・ヘルスケア向け超小型弁の開発。