第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループにおける経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は次のとおりです。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 経営方針

当社グループは、「『誠実・創造・挑戦』をモットーに地球環境保全と豊かで人にやさしい社会環境の実現に貢献します」を経営理念としています。そして、「水・大気・医療・ガス」の4本柱で成長製品を創出し、ステークホルダーの皆さまに支持される企業を目指しています。その実現を図るため中期経営計画を策定し、成長戦略を着実に推進し、企業価値の向上に努めていきます。

 

(2)経営環境

今後の見通しについては、原材料やエネルギー価格、物流費などの製造コストが依然として上昇傾向にあり、引き続き厳しい状況が予想されます。一方で、当社グループが事業展開する計測機器市場は、世界的な脱炭素を中心とした環境保全への取り組みとともに環境法規制が一層強化されていることから、今後も中長期的に拡大傾向が継続すると見込んでいます。

その中でも、当社グループの計測機器が使われている水道・電力や医療などの社会インフラ市場では、省人化や業務の効率化の観点から、現場設備のリモート監視などの新たなニーズが高まっています。また脱炭素、農業・漁業・医療など環境・社会課題に向けて創出される新市場においても計測需要が見込まれ、ニーズが多様化しています。このような市場の変化に対応し、国内外での事業を拡大するためには、一層のスピード感をもった成長分野への経営資源シフトが必要となります。

また、気候変動対応などの環境経営、人的資本の充実、コンプライアンスの徹底、情報セキュリティなどリスク管理の強化などESG経営の継続的な推進も最重要課題のひとつと考えています。

「持続的な企業価値の向上」と「持続可能な地球環境・社会づくりへの貢献」の両面で、今まで以上にサステナブルな経営が求められていると認識しています。

 

 

(3)経営上の目標を達成するための客観的な指標

当社グループの経営目標を達成する上での客観的な指標は、売上高、営業利益、自己資本利益率です。当社グループは、2030年度以降に売上高250億円以上、営業利益25億円以上、自己資本利益率(ROE)8%以上の達成を目標として、バックキャスティングで新たな中期経営計画(2025~2027年度)を策定しました。本計画では、2027年度に売上高200億円、営業利益18億円、ROE6.3%を目指します。

 

2025年度予測

 

売   上   高

  18,500百万円

営 業 利 益

  1,516百万円

R  O  E

  5.0%以上

 

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、中長期目標の達成に向けて策定した、新たな中期経営計画(2025~2027年度)において、以下の5つの重点戦略に取り組み、「電気化学センサ技術を用いて『環境』に貢献する企業」として持続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。

 

新中期経営計画の概要

   全 社 戦 略:

新たなビジネス創造と売上高200億円に挑戦

   国内事業戦略 :

お客様から常に必要とされ続けるソリューション企業になる

   海外事業戦略 :

当社ブランドをより多くの国に浸透させる

   社会課題解決への挑戦

 

   サステナビリティの更なる深化

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

当社グループは、経営理念実現のため、社会課題や事業環境の変化を中期経営計画に反映し、事業活動を通じて課題の解決に取り組むESG経営を実践しています。

 

<サステナビリティ基本方針> 

 当社は、経営理念のもと、ESGの取り組みを積極的に推進し、すべてのステークホルダーとの共存共栄を図ります。

 

「すべてのステークホルダー」を「六方よし」の概念に基づき、「お客さま」「お取引先さま(サプライヤー)」「株主さま」「従業員」「地域社会」「地球環境」と定義しました。「六方よし」に取り組むことが、企業価値の向上、経営体質の強化、事業リスクの低減、そして新たな事業機会の発掘につながると考えています。ESGの各方面において社会的責任を果たし、「持続可能な社会の実現」と「グループの持続的な成長」の両立を目指します。

 

(1)ガバナンス

当社グループは、東亜ディーケーケー企業行動憲章・行動規範を定め、法令・規則を遵守し、環境保全関連企業として高い倫理観を持って行動することを促しています。

また、グループ全体でサステナビリティの推進を加速するため、サステナビリティ委員会を設置しています。代表取締役社長を委員長とし、複数の取締役及び関連部門の責任者を中心に構成されており、原則年2回開催しています。同委員会には下部組織として「気候変動・脱炭素対応分科会」や「人的資本経営推進分科会」などの作業部会を置き、重要テーマについてスピード感をもって取り組む体制を整えています。サステナビリティに関する重要事項はサステナビリティ委員会、経営会議を経て、取締役会に付議又は報告の上決定します。その他、サステナビリティ委員会から取締役会への定期的な報告や勉強会を通じて、取締役会による適切な監督が行えるよう体制を整えています。

 

(2)戦略

当社グループは、国内外の環境行政に適合する環境計測機器・アフターサービスの提供を通じて、地球環境保全に貢献する事業を強力に推進しています。省試薬・省エネルギー等環境調和に配慮した製品開発に継続的に取り組むほか、環境・社会が抱える課題(ニーズ)や新技術の進展を踏まえた開発ロードマップを作成し、研究開発を進めています。また、気候変動を含むサステナビリティ課題の様々なリスクと機会を踏まえて中期経営計画を策定しており、現行計画には「サステナビリティのさらなる深化」を掲げ、当社グループのマテリアリティに基づくKPIを設定しています。今後も様々な環境・社会課題に関わるリスクと機会への対応力を強化し、リスクの低減に努めるとともに、社会課題を解決する新たな事業活動を通じて、サステナビリティ経営のレベルアップに努めてまいります。

 

<気候変動関連>

当社グループは、気候変動に伴うリスク及び機会を経営戦略上の重要な要素の一つと認識しています。リスクとしては、自然災害による自社を含むサプライチェーンの停滞があります。また、当社グループの計測機器は、水道、電力、医療等、ライフラインに関わる施設で重要な役割を果たしていることから、災害発生時にはその影響を最小限に抑えるため、BCPの策定に取り組んでいます。その一環として、緊急時に主要製品の代替生産が可能な狭山インテグレーションセンターを2024年6月に建設しました。その他のリスクとしては、炭素税の導入や再生可能エネルギー賦課金の上昇等により部材・エネルギー・物流コストの増加が想定されますので、仕入先・輸送ルートの最適化や自家発電・省エネ設備の導入にも取り組んでいます。一方、脱炭素社会への動き、特に脱炭素技術(アンモニア・水素を燃料とした火力発電、バイオマス発電等)の進展は市場拡大の機会と捉え、販促及び技術開発に注力しています。また、環境配慮型設計の製品開発等による他社製品との差別化は継続的に推進しています。

<人的資本・多様性関連>

多様かつ有能な人材を安定的に確保することが、当社グループの持続的成長のみならず将来の事業継続に関わる重要課題と認識しています。リスクとしては、特に日本国内においては少子高齢化に伴う労働人口の減少等もあり、必要な人材を継続的に獲得するための競争が厳しさを増していくと予想されます。そのため当社グループは、経営理念「誠実・創造・挑戦」を具現化できる「誠実な人間性」「豊かな創造性」「旺盛なチャレンジ精神」を備えた人材を当社グループの求める人材像と位置づけ、以下の方針のもと、人材の多様性の確保を含む人材の採用・育成及び社内環境の整備に取り組んでいます。

・人材採用・育成方針:高い専門性と倫理観を持ち、創造的かつ自律的に行動する人材を採用・育成します

3つの重点施策 ・新卒、経験者を問わず能力・意欲ある人材の積極採用・登用

・専門分野別・職能階層別の教育及び知見・技術の継承

・自己啓発支援(リスキル支援含む)及びキャリア形成支援

・働きやすい職場環境づくりの方針:多様な価値観を有する人材が能力を発揮できる社内環境の整備を推進します

3つの重点施策 ・人権を尊重し、差別的な取り扱いのない職場の形成

・良好な労使関係の維持と、社員一人ひとりが活躍できる職場環境の整備

・社員の安全と健康経営のさらなる推進

 

(3)リスク管理

「リスク管理規程」に基づき、コンプライアンス委員会が中心となり、リスク管理体制の整備と運用を図っています。毎年、事業の特性や外部環境の変化を踏まえ、全社的なリスク項目を網羅的に洗い出し、その影響度と発生頻度を評価し、リスクマップを作成しています。その中に、サステナビリティ関連のリスクも含んでいます。特に重要なリスクについては対応策を経営会議で確認し、グループ全体でリスクの低減に取り組み、発生した場合の諸施策を整備しています。詳細については、「第2事業の状況 3事業等のリスク」に記載のとおりです。

そして、内部監査部門は、各部門及び関係会社のリスクが適切に管理されているかを個別にヒアリングし、その結果を取締役会に報告しています。また、市場環境や社会情勢から事業拡大につながる事象を「機会」と捉え、中期経営計画を始めとする事業計画に適宜反映しています。

 

(4)指標及び目標

2024年3月、ESG経営の深化を図るため、「解決すべき社会・環境課題」と「当社グループの事業成長」の観点から優先的に取り組むマテリアリティ(重要課題)を特定しました。そして2025年3月、マテリアリティを実現するため、以下の取組テーマ毎の重要達成度指標(KPI)及び目標を設定しました。なお、サステナビリティの取り組み状況については、外部評価機関の審査(EcoVadis社の審査でブロンズ評価を4年連続で獲得)を受け、その結果をもとに改善を図っています。

 

 

 


 

<気候変動関連>

当社グループは、温室効果ガス(GHG)排出量をモニタリング指標として事業活動による環境負荷低減に取り組んでいます。Scope1※1は、2022年度より排出量の算定及び発生原因分析を行っており、排出量の削減を目標としています。Scope2※2は、①2021年10月に「再エネ100宣言 RE Action※3」に参加。②自社で使用する電力については100%再生可能エネルギー由来を活用。③残存する温室効果ガス排出量に相当する量をカーボンオフセットで相殺。以上の活動により2021年度以降は目標である実質ゼロ化を達成しています。

また、Scope3※4は、2024年度より連結子会社含む全グループを算定範囲とし、GHGプロトコルに則り 環境省/経済産業省の「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関するガイドライン」を基準に排出量の算定を開始しました。

※1 Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)

※2 Scope2:他社から供給された電気・熱・蒸気の使用に伴う間接排出

※3 再エネ100宣言 RE Action:2050年までに企業や自治体、教育機関、医療機関等が使用電力を100%再生可能

   エネルギーに転換する目標を表明し、行動していく枠組み

※4 Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)

 

2024年度 グループ全体の温室効果ガス排出量(単位:t—CO₂e)

Scope1:

323t—CO₂e

Scope2:

0t—CO₂e

Scope3:

135,812t—CO₂e

 

Scope1は、2024年度比3%削減を目標とします。Scope2は、再生可能エネルギーの利用とカーボンオフセットを活用した排出量実質ゼロ化を継続してまいります。Scope3は、引続き算出精度の向上を図り、原因分析を行い具体的な削減目標の設定につなげてまいります。

 

 

<人的資本・多様性関連>

上記「(2)戦略」において記載した人的資本に関するKPIと目標は次のとおりです。

取り組みテーマ

KPI

中期目標
(2027年度目標)

2024年度実績

ダイバーシティ推進

えるぼし三ツ星認定(女性活躍推進企業)(単体)※

継続

継続

男性育児休業取得率

100%

78%

自律型人材の育成

一人当たり研修費用(単体)※

5万円/人・年

3.5万円/人・年

働きがいのある職場

づくり

エンゲージメントスコア
(肯定的回答率)

50以上

45%

労働安全衛生の徹底

労働災害件数

0

休業2件、不休1件

事業活動全体における人権尊重

人権関連研修履修率

100%

100%

 

※一部の指標に関する目標及び実績は、制度の異なる連結会社の状況を一体的に進捗管理することが困難なため、その所属する従業員数の連結グループの従業員数に占める割合の最も高い提出会社単体の数値を記載しています。

 

 

3 【事業等のリスク】

経営者が当社グループの業績、財務状況等に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主なリスクは、以下のとおりです。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであり、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。

 

(1) 事業環境の変動

当社グループは、環境・プロセス分析機器の売上割合が大きく、この分野での法規制の動向、製品需給の変動により業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、各種業界団体及び関連協会等に加盟し、各委員会等に積極的に参加することで、環境にかかる法改正や市場動向にかかる情報を収集するとともに、それらを速やかに経営層、関係部門に展開し共有する体制を構築しています。
 また、当社グループは、賃貸ビルほかを所有し不動産賃貸事業を行っています。テナントの退去等が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、不動産管理会社と月1回定例の打合せを行い、テナントに関する情報を共有しています。

 

(2)原材料調達

当社グループは、生産活動において様々な部材・資材を使用しており、調達先を複数確保するなど安定的な部材の調達に努めています。しかし、部材メーカーの高齢化及び事故等による供給の遅延・中断の影響から生産活動に支障をきたす可能性があり、その結果、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループは、主要部品の内製化及び代替品の活用等の対策を実行し、製品納期確保・利益確保に努めています。

また、部材・輸送価格の上昇が継続しており、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。事業計画策定においては一定のコスト上昇を織り込んでいますが、想定を超える価格上昇が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、コスト低減活動の継続や調達価格高騰の適切な販売価格転嫁などの対策を行っています。

 

(3) 為替相場の変動

当社グループは、ハック・カンパニーと国内総代理店契約を締結しています。同製品の輸入に際しては米ドル建ての決済をしているため、想定以上の為替相場の変動により業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、為替予約によりリスクヘッジをしています。

 

(4) 自然災害、事故、パンデミック

大規模な自然災害やパンデミック等が発生した場合、生産活動の停止、部材・資材調達の遅延またはシステム障害、さらには修復・生産工場等の代替に伴う費用負担等が発生し、当社グループの経営成績、財務状況等に影響を与える可能性があります。当社グループでは、このような事態に備え、災害発生時の影響を最小限に抑えるため、緊急連絡網を整備し、BCPの策定を推進しています。

また、当社グループは、従業員に新型コロナウイルスのような感染症が拡大した場合、一時的に操業を停止するなど、当社グループの経営成績、財務状況等に影響を与える可能性があります。当社グループではこれらのリスクに対応するため、感染予防や感染拡大防止に対して適切な管理体制を構築しています。

 

 

(5) 研究開発

当社グループは、市場動向、技術動向を分析し新技術や新製品の研究開発に努めています。しかし、急速な技術の進歩により当社の相対的な優位性が低下した場合や、新製品の市場投入が遅延・中止する可能性も考えられ、結果として当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループは、当該リスクを最小化するため、中長期的な開発ロードマップを適時改訂するとともに、技術者の計画的な育成やオープンイノベーションの推進等を図っています。

 

(6) 契約や取引に関するリスク

当社グループは、お客様、仕入先ほか利害関係者との間で、取引にかかる様々な契約を締結していますが、契約の履行や取引の条件などを巡って利害関係者と見解が食い違うなどした場合、損害賠償請求などにより業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、取引に当たっては法務部門を通じて法律事務所の見解、確認を得ること等により、相互の解釈に法的な齟齬のないよう対応を行っています。

 

(7) 製造物責任

当社グループは、ISO規格の認証を受けた品質マネジメントシステムを通じて、より良い製品・サービスを提供するよう品質管理体制を確立しています。しかしながら、予期せぬ欠陥等により人の生命・身体又は財産に対する製造物責任が発生する可能性があります。このような事態に備えて製造物責任賠償保険に加入していますが、当該保険で損害を充分に填補できない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 人材確保・育成

多様かつ有能な人材を安定的に確保することが、当社グループの持続的成長のみならず将来の事業継続に関わる重要課題と認識しています。特に日本国内においては少子高齢化に伴う労働人口の減少等もあり、必要な人材を継続的に獲得するための競争は厳しさを増していくと予想されます。こうした環境の中、当社グループでは、多様な人材が活躍できる職場環境の整備や積極的な採用活動に加え、全社員が継続的に成長できる教育機会の提供や業務のローテーションを通じて、人材の育成と従業員エンゲージメントの向上を図ります。また、DXの推進や業務プロセスの見直し等による業務効率化・生産性向上を継続的に進めることで、社員一人ひとりがより付加価値の高い業務に取り組める環境を整え、より質の高い仕事の実現を目指します。

 

(9) 情報セキュリティ

当社グループは、事業活動を通じて入手した顧客や取引先の個人情報及び機密情報や、設計・技術・営業等に係る機密情報を多数保有しています。そのため、サイバー攻撃などによるコンピュータウイルスの感染、不正アクセスや盗難、その他不測の事態により個人情報や機密情報が消失、もしくは社外に漏洩する可能性があります。また、当社グループの事業活動において、情報システムの利用とその重要性は増大しており、コンピュータウイルスその他の要因によってかかる情報システムの機能に支障が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、外部環境との接続にはファイアウォールを設置し、加えて適切なアンチウイルスソフトの導入などで対策するとともに、外部環境への接続制限や従業員への教育等を通じた情報セキュリティの維持・向上を図っています。

 

 

(10) 契約店の管理

当社グループは、国内外において販売代理店契約を結び事業展開しており、代金後払いで製品を販売している場合があります。契約店の財政状態が悪化し、債権が回収不能となった場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、契約店の財政状態・業績等に応じた与信設定等を通じて信用リスクの回避には細心の注意を払っています。また、万一、契約店において法令に違反する行為があった場合、当社グループの信頼性やブランドイメージが低下する恐れがあります。当社グループは、契約店との信頼関係の構築に努めるとともに、指導・教育の充実を図っています。

 

(11) 法的規制

当社グループでは、公正な競争に関する規制及びその他商取引、環境、安全、労働、知的財産権、会計基準及び租税等の各種法令諸規則の適用を受けています。これらの法令諸規則またはその運用にかかる変更は、当社グループの事業活動への制約、法令遵守対応にかかる費用の増加または法令諸規則違反による当社グループへの過料賦課若しくはこれに関連する民事訴訟の提起等がなされた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、東京証券取引所や金融庁等、当局の公表文書を注視するとともに、各種業界団体及び関連協会に加盟することで各種法改正にかかる情報を入手し、それらを速やかに経営層、関係部門に展開し共有する体制を構築しています。

 

(12) ハック・カンパニーとの業務及び資本提携並びに補訂合意に関するリスク

当社は、ハック・カンパニー(以下「ハック」といいます。)と2005年11月21日付で業務及び資本提携契約を、更に2010年12月3日付で同契約の補訂合意書を締結し、ハックが当社議決権の33.4%以上を保有しています。当社は経営方針及び事業展開の意思決定において独立性・自律性を保っていますが、ハックは当社の筆頭株主として議決権行使等により当社の経営等に影響を及ぼし得る立場にあり、同社の利益は当社の他の株主の利益と一致しない可能性があります。

なお、営業面ではハックの国内総代理店としてハック製品の更なる販売拡大を図るとともに、ハックの販売網を活用して中国市場等の開拓を進めるほか、研究開発面でも既に共同開発で一定の成果を上げており、引き続き新製品開発に共同で取り組むことに合意しています。しかしながら、今後、かかる業務提携が当初期待していた成果を出せない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、ハックとの定期的な情報交換やミーティングの開催等で、随時、相互の意思を確認し、良好な関係の構築に努めています。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の業績は、売上高18,058百万円(前期比3.5%増)となりました。利益につきましては、営業利益1,338百万円(前期比24.3%減)、経常利益1,474百万円(前期比20.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,113百万円(前期比13.8%減)となりました。

 

セグメント毎の経営成績は次のとおりです。

(計測機器事業)

当事業の売上高は17,816百万円(前期比3.6%増)、セグメント利益は2,313百万円(前期比13.6%減)となりました。

(不動産賃貸事業)

当事業の売上高は242百万円(前期比0.3%減)、セグメント利益は136百万円(前期比3.2%減)となりました。 

 

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ390百万円減少の28,653百万円となりました。これは、建物及び構築物が2,522百万円、現金及び預金947百万円、機械装置及び運搬具が292百万円、売掛金が165百万円、工具、器具及び備品が142百万円それぞれ増加し、狭山インテグレーションセンターの稼働等により建設仮勘定が2,168百万円、投資有価証券が1,680百万円、電子記録債権が402百万円、受取手形が246百万円それぞれ減少したことなどによります。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ59百万円増加の6,733百万円となりました。これは、長期借入金が615百万円、未払金が411百万円それぞれ増加し、繰延税金負債が461百万円、電子記録債務が170百万円、未払消費税等が166百万円、退職給付に係る負債が134百万円それぞれ減少したことなどによります。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ449百万円減少の21,919百万円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,507百万円増加し、5,057百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

営業活動によるキャッシュ・フローは、1,837百万円の収入(前期165百万円の収入)となりました。主な要因は税金等調整前当期純利益1,629百万円、減価償却費697百万円、売上債権の減少額548百万円、法人税等の支払額450百万円、投資有価証券売却益427百万円、仕入債務の減少額264百万円、棚卸資産の減少額226百万円です。

投資活動によるキャッシュ・フローは、596百万円の支出(前期1,729百万円の支出)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出1,387百万円、定期預金の払戻による収入560百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入436百万円、長期前払費用の取得による支出391百万円、保険積立金の解約による収入282百万円です。

財務活動によるキャッシュ・フローは、266百万円の収入(前期376百万円の支出)となりました。主な要因は、借入による収入1,350百万円、借入金の返済による支出615百万円、配当金の支払額414百万円です。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

   当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

計測機器事業

17,203

4.0

合計

17,203

4.0

 

(注) 金額は販売価格によっています。

 

b.受注状況

   主として受注見込みに基づく生産を行っていますが、特別仕様品については、受注生産を行っています。

   当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

 
 
セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至  2025年3月31日)

 

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

計測機器事業

17,435

4.2

3,035

△11.2

合計

17,435

4.2

3,035

△11.2

 

(注) 金額は販売価格によっています。

 

c.販売実績

  当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

計測機器事業

17,816

3.6

不動産賃貸事業

242

△0.3

合計

18,058

3.5

 

(注) 販売実績が総販売実績の10%以上となる相手先はありません。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度(2024年4月1日~2025年3月31日)におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善するなど、緩やかな景気回復基調で推移しました。一方で、エネルギー価格や原材料価格の高騰、海外景気の下振れリスク等の影響により先行きは依然として不透明な状況が続いています。

このような環境のもと、当社グループは中期経営計画の最終年度を迎え、製品開発を含む市場別重点施策を進めるとともに、経営基盤の強化に向けた積極的な投資を着実に実行しました。国内では、半導体設備やエネルギー関連を中心とした旺盛な設備投資需要の獲得に注力しました。海外では、主要市場(中国・韓国・台湾)及び重点市場(東南アジア・インド)での販売強化、国家認証の取得などにも継続的に取り組みました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高18,058百万円(前期比3.5%増)となり、過去最高を記録しました。利益面では、労務費や新生産棟への集約に伴う移転、海外認証試験などにより売上原価が増加し、さらに人件費や研究開発費の増加により販売費及び一般管理費も増加したことで、営業利益1,338百万円(前期比24.3%減)、経常利益1,474百万円(前期比20.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,113百万円(前期比13.8%減)となりました。

 

セグメント毎の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

(計測機器事業)

環境・プロセス分析機器

この分野は、基本プロセス計測器、環境用大気測定装置、煙道排ガス用分析計、ボイラー水用分析装置、上下水道用分析計、環境用水質分析計、石油用分析計等です。

国内においては、特に半導体関連の旺盛な設備投資需要を確実に取り込んだ結果、国内売上高は増加しました。一方海外では、台湾の半導体関連及び韓国の上水関連の販売が好調も、中国の景気減速の影響が大きく、海外売上高は減少しました。これらの結果、当分野の売上高は6,158百万円(前期比0.6%減)となりました。

科学分析機器

この分野は、ラボ用分析機器、ポータブル分析計等です。

前期の大型案件の反動があったものの、ポータブル分析計の販売が堅調に推移し、当分野の売上高は1,181百万円(前期比3.9%増)となりました。

医療関連機器

この分野は、粉末型透析用剤溶解装置等です。

主要製品である粉末型透析用剤溶解装置の販売が減少し、当分野の売上高は759百万円(前期比14.8%減)となりました。

産業用ガス検知警報器

この分野は、バイオニクス機器株式会社が製造・販売する産業用ガス検知警報器です。

前期の大型案件の反動で国内販売が減少し、当分野の売上高は289百万円(前期比17.3%減)となりました。

電極・標準液、保守・修理、部品・その他

この分野は、前記環境・プロセス分析機器、科学分析機器、医療関連機器の分野における全製品群の補用品類、現地調整・定期点検及び修理、補用パーツ等に該当するものです。

これらアフタービジネス分野につきましては、電極等の消耗品や交換部品の販売が好調に推移し、売上高は9,427百万円(前期比9.3%増)となりました。

以上の結果、当事業の売上高は17,816百万円(前期比3.6%増)、セグメント利益は2,313百万円(前期比13.6%減)となりました。

 

(不動産賃貸事業)

東京都新宿区の本社に隣接の賃貸ビル1棟ほかを所有し、不動産賃貸事業を行っています。当事業の売上高は242百万円(前期比0.3%減)、セグメント利益は136百万円(前期比3.2%減)となりました。

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

経営方針・経営戦略、経営目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高、営業利益、自己資本利益率(ROE)です。2025年3月期の達成状況は以下のとおりです。

 

指標

2025年3月期(計画)

2025年3月期(実績)

計画比増減

売上高

18,000百万円

18,058百万円

58百万円増

営業利益

1,540百万円

1,338百万円

201百万円減

ROE

5.0%

5.0%

 

(注)2025年3月期の計画値は、2024年4月26日に公表した当初の通期業績予想数値です。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、運転資金需要のうち主なものは、材料や商品の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費の営業費用です。投資を目的とした資金需要は設備・IT投資、製品開発、国内外の新市場開拓、人的資本投資などです。短期運転資金及び設備投資資金の調達は自己資金を基本としていますが、状況に応じて金融機関からの借入も検討しながら、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することとしています。

当社グループの配当政策につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりです。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 

 

5 【重要な契約等】

(業務及び資本提携契約の締結)
 2005年11月から、ハック・カンパニー(以下「ハック」といいます。)との業務及び資本提携の契約を締結しています。

また、2010年12月、ハックとの間で、業務及び資本提携に関する補訂合意(以下、「本補訂合意」という。)を締結しています。

契約に関する内容等は、以下のとおりです。

(1) 契約の概要

契約締結日

相手先の名称

相手先の住所

合意の内容

2010年12月3日

ハック・カンパニー

米国コロラド州

1.ハック(その関係会社を含みます。以下同じ。)は当社の株式の買い増し、譲渡その他の処分に際し、当社とハックは必要に応じて、時期、方法及び数量につき協議し、かつ合意を得るものとする。但し、係る合意は不合理に留保され、条件付けられ又は遅延されないものとする。 

 

2.ハックが33.4%以上の議決権を保有している限り、①当社は、当社が企図する時期において新株発行等を行わないことが当社の財務状況に重大な影響を及ぼすと合理的に認められる場合を除き、同社の同意なしに、同社の議決権保有割合を低下させる新株発行等を行わないこと

②当社が同社の議決権保有割合を低下させる新株発行等を行う場合、同社は33.4%の議決権保有割合を維持するために必要な新株の割当等を当社に請求できること 

③ハックは、上限3名までの当社の取締役候補者を、当社の取締役会の決議に付すために上程することができ、当社は、当該候補者が当社の企業価値の向上に寄与すると合理的に判断される場合、当社の取締役会の決議を経て、これらの者を当社の株主総会の議案として上程するものとすること

 

 

(2) 合意の目的

ハックとの業務提携は、両社製品の相互販売はもとより、新製品の共同開発、資材の共同調達、製造ノウハウの共有による製造原価の低減、新市場への共同進出などを企図したものです。また、その一環として、両社の関係を強固なものとするために資本提携も行っています。

 

(3) 取締役会における検討状況その他の当社における合意に係る意思決定に至る過程

2005年11月にハックとの業務及び資本提携契約を締結し、同社は第三者からの株式譲受けにより、当社の議決権の約11%を獲得し、また当社の取締役候補者1名の指名を行うことになりました。その後、業務提携が順調に進み、ハックは2006年に当社株式を買い増しし、議決権割合を約19%とし、ハックが指名する当社取締役候補も1名増員されました。

業務提携から5年経過し、相互の販売協力という面において一定の成果を得るに至っていました。そのような中、当社は2009年の取締役会において、埼玉県狭山市の狭山テクニカルセンター(現 埼玉事業所)内に開発研究センターを建設することを決定し、2010年に竣工しました。当該研究施設は、ハックとの共同開発研究拠点とすることで相互の販売協力のみならず、開発研究活動、その他事業全領域で協業を進めることとしました。

そこで当社は、「グローバル企業としての成長戦略」の一環として、ハックとの相互販売協力以外の分野を強化するため、業務及び資本提携契約の補訂合意書の締結を決定すると共に、その一環として建設した開発研究センターの費用負担の一部として第三者割当を実施することとし、本第三者割当により払い込まれる資金は、開発研究センターの開発研究設備費及びハックとの提携関係の強化などを見据えて新製品の開発及び既存製品の競争力の維持・向上を図るための継続的な研究開発費用(人件費及び材料費等)に充当するほか、その残額を開発研究センター建設を含む当面の資金として手当てしていた借入金の返済に充当することとしました。

また、当社は、販売面においても、ハックとの業務提携の強化を機にハックの国内総代理店として同社製品の更なる拡販体制を敷くと共に、海外の同社チャネルを活用して中国市場への展開を強化するほか、その他の国々の市場開拓に向けた更なる協業を逐次視野に入れていました。

 

こうした両社の提携関係を一層深めるために、本第三者割当によりハックが当社議決権の約33.6%(2025年3月31日現在は33.4%)を保有することになりました。また、同社が指名する当社取締役候補についても、従来の2名から1名を増員し、現在は計3名を取締役として受け入れています。当社の取締役総数は12名であり、議決権比率とのバランスに照らしても構成は適正と判断しています。加えて、ハックから指名された取締役はいずれも、当社の業務発展において有用な人材であり、一定の役割を果たしていると認識しています。

 

(4) 合意が当社の企業統治に及ぼす影響

当社の経営方針の尊重及び上場の維持が確認されており、2005年11月の業務及び資本提携契約に基づき当社の経営の自主性を尊重することとなっているため、本合意が企業統治に及ぼす影響は軽微であると考えています。

 

6 【研究開発活動】

当社グループでは、開発研究センターをグループ全体の技術中枢として位置付け、新たな計測技術の研究と独創的な製品の開発に取り組み、新商品を国内外の市場へ提供しています。

同センターでは、製品開発を行うほか、お客様が実際に使用している環境大気測定用コンテナ局舎や、バッテリーバックアップ付き水道水用水質自動測定装置(屋外キュービクル)等の施設も併設し、新製品の紹介・展示、技術サービスのトレーニング等を行うとともに、世界各国からの視察団やJICA等の国内外の政府機関からの見学者や研修者を受け入れるなど、多方面にわたる活動を展開しています。

さらに医療関連機器の開発は、同センター敷地内に所在する臨床医療用関連機器専用の開発・製造設備を持つ医療関連機器生産棟にて取り組んでいます。

2024年6月に、埼玉事業所(旧 狭山テクニカルセンター)内に新生産棟となる狭山インテグレーションセンターが竣工し、開発から生産までの一気通貫体制が構築されました。

開発部門で唯一東京都東大和市に所在していた大気の開発部門も埼玉事業所に集結し、開発業務の風通しが一層よくなったことに加え、生産技術部の新設により、開発と生産技術の業務分掌が明確になったことにより、品質の向上と開発スピードの向上の基盤が築かれました。

開発技術本部では、基礎技術研究と製品開発を合わせて行う技術頭脳集団として、国際競争力を強化し、知的財産権の取得強化、国際認証取得、開発スピードアップ、品質改革、新たな計測技術の獲得と実用化、さらには、脱炭素化への取り組み等を通じた環境保全に寄与する計測機器の研究開発、並びに医療関連事業を通じて社会貢献を果たしてまいります。

また、継続して進めている製品のモデルチェンジは、デザインや操作方法などの共通化を推進することでシリーズ化を図るとともに、当社のブランディングにも繋がるように、省資源・省電力のコストパフォーマンスと、使い易さに重点を置いた製品の開発に配慮しています。

なお、当連結会計年度の研究開発費500百万円は全て計測機器事業です。

(1) 環境・プロセス分析機器分野

この分野は主として基本プロセス計測器、環境用大気測定装置、煙道排ガス用分析計、ボイラー水用分析装置、上下水道用分析計、環境用水質分析計、石油用分析計等を扱っており、プラントでの運転管理や品質管理、工場からの放流水や排ガス等の監視などの「生産管理用プロセス計測器」や「環境保全用計測器」の開発と改良を行っています。

基本プロセス計測器では、昨年リリースの「自動校正機能付きpH計」や、「フッ素計」、「アンモニア計」など半導体工場の排水監視に対応した製品の拡販を進めております。今後は国内だけではなく海外の半導体工場にも対応できるような規格取得を進めることにより、お客様の測定ニーズに応えられる製品群を揃えてまいります。

 

環境用大気測定装置では、「PM2.5計」の米国EPA認証取得を進めてまいりました。年間を通じた米国での試験も終了し、試験合格となりました(登録番号待ち)。本認証取得により、海外市場として、成長著しいインドなどの東南アジア諸国への応用展開を進めてまいります。

上下水道用・環境用水質分析計では、上水道向け水質計の海外市場向け展開を図ると同時に、年々要求精度が厳しくなっている中国環境水質分析計に対応した新型の「全窒素・全りん自動測定装置」、「COD自動測定装置」を順次投入してまいります。

更に、当社のオンリーワンセンサにIoT通信機能を搭載したデジタル濁度センサ、デジタル残留塩素センサ、デジタルpHセンサを海外での上水・環境水マーケット向けに発売しグローバルな市場に広く役立つことを目指しています。

(2) 科学分析機器分野

この分野は主としてラボ用分析機器、ポータブル分析計などを対象として測定ニーズの多様化に合わせた商品展開を行っています。

科学分析機器は国内市場だけではなく、海外市場も視野に開発を進めており、「自動滴定装置」、「卓上型水質計」、「ポータブル分析計」のEU及び韓国のCE/KCマーク認証を取得しております。

「ポータブル多項目水質計」を活用した陸上養殖などの新分野への応用展開も継続して進めてまいります。

(3) 医療関連機器分野

この分野は主として国内の透析病院で使用される粉末型透析用剤溶解装置などの装置と、病院の水質検査機器を取り扱っています。

医療関連機器では、主力である粉末型透析用剤溶解装置の市場要求を受けたモデルチェンジを順次進めています。また、生物発光法による「エンドトキシン計」が高感度・短時間測定で好評です。エンドトキシン計のラインナップ拡充を図るため、更なる測定時間短縮と簡便操作を実現し、販売を開始しました。ポータブル型エンドトキシン計についても生物発光法の利点について市場のご理解が得られ好評をいただいています。さらに、エンドトキシン測定技術(生物発光法)の新たな応用分野の開拓に注力中です。また、その他の医療関連機器の開発も順調に進行しています。

(4) 産業用ガス検知警報器分野

この分野は、主に化学工業や半導体産業で使用される毒性ガスや可燃性ガス等が漏えいした際に検知をするガス検知警報器を対象とし、商品展開を行っています。

重点テーマとして数種類の定電位電解式ガスセンサの継続的な開発により、直近では塩素ガスセンサを上市しました。また、吸引式ガス検知部のモデルチェンジに取り組んでいます。

新たなテーマとしてスマート農業などでの二酸化炭素濃度のモニタリング・制御が可能な二酸化炭素モニターTX-1300EMシリーズを上市しました。