文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、グループの存在意義や使命を定める経営理念(Mission)として、「人々に安全を」「社会に価値を」「企業をとりまく人々に幸福を」を掲げております。
また、新たな中長期経営計画「GLOBAL VISION 2030」において、実現したい姿(Vision)として「人と技術の力で世界中にLife Safetyを創造する」を掲げ、「火災から人命・財産を守る」という中核を維持しつつ、世界中の人々に安心かつ快適な人生・生活を提供するという思いのもと、事業活動を通じた社会課題の解決を目指してまいります。
(2) 経営戦略等
当社グループは、企業価値向上と持続可能な社会に一層の貢献を果たすべく、新たな中長期経営計画「GLOBAL VISION 2030」を策定し、次のグループ重点方針のもと、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指した経営に取り組んでまいります。
①事業ポートフォリオ最適化による資本収益性向上
②人的資本経営の推進
③DXによるイノベーション創出
(3) 経営環境
当社グループを取り巻く環境は、ウクライナ・中東における地政学リスクや原材料・資源価格の高騰、時間外労働の上限規制への対応、トランプ政権による他国への関税政策の影響等、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような環境の中、当社グループは、企業価値向上と持続可能な社会に一層の貢献を果たすべく、中長期経営計画「GLOBAL VISION 2030」において、実現したい姿(Vision)として「人と技術の力で世界中にLife Safetyを創造する」を掲げ、「火災から人命・財産を守る」という中核を維持しつつ、世界中の人々に安心かつ快適な人生・生活を提供するという思いのもと、事業活動を通じた社会課題の解決を目指してまいります。
さらに、サステナブルな社会の実現に向け、「グループESG基本方針」に従って、透明性の高いコーポレート・ガバナンスの充実や地球温暖化への対応を進めることにより、市場での存在感を高め、企業価値の向上に努めてまいります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 事業ポートフォリオ最適化による資本収益性向上
事業構成や経営資源の配分を最適化する事業ポートフォリオをグループ経営の中核に据え、ROICによる評価結果に基づき、個々の事業価値を高め、各事業を連動させることで、事業全体の収益性向上を図ります。加えて、戦略的な投資判断を可能とする管理体制の整備を進め、将来に向けた成長投資へとつなげます。成長戦略としては、海外、リニューアル、保守を注力領域と位置付け、「海外におけるシステム販売の拡張」「建物のライフサイクルに合わせたリニューアル需要への対応力強化」「顧客との関係基盤としての保守事業の拡大」に向けた重点施策を実行します。
② 人的資本経営の推進
従業員一人ひとりが働きがいを持って成長できるよう、「誠実」「情熱&チャレンジ」「チームワーク」から成る行動指針(Values)を軸に、多様な個性や能力を持つ世界中の従業員が活躍できる人事制度や人材育成体系へと進化させるための施策を展開します。
経営戦略と連動した人材ポートフォリオの構築に向けて、「働きがいと個の成長を醸成する人事制度の再構築」「従業員のキャリア形成と組織の競争力向上を支える教育機会の提供」「多様なチームワークを機能させる環境の整備」を進め、人的資本の価値の最大化を目指します。
個人とチームを尊重し、高い理念と強い信頼関係に基づく「ONE HOCHIKI」を形成し、「GLOBAL VISION 2030」実現のため、積極的に人的資本への投資を実行します。
③ DXによるイノベーション創出
デジタル技術の有効活用を通じて、ビジネスプロセスのさらなる効率化を進めることにより、既存事業を支えるあらゆる現場での生産性向上を図るとともに、従来の火災防災ソリューションの枠を超えたビジネス領域において、新たな価値の創出に挑みます。
当社グループは、「人々に安全を」「社会に価値を」「企業をとりまく人々に幸福を」という経営理念のもと、グローバルに事業を展開しております。メーカーとして、将来に向けた基礎研究や要素技術開発を強化するなど、中長期の視点で「モノづくり力」を高めるとともに、高品質でコスト競争力のある製品を適切な納期で提供できるよう、グローバルでのサプライチェーンの体制整備を図っております。
さらに、サステナブルな社会の実現に向け、「グループESG基本方針」に従って、透明性の高いコーポレート・ガバナンスの充実や地球温暖化への対応を進めることにより、市場での存在感を高め、企業価値の向上に努めてまいります。
(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
将来に向けた事業投資を確実に実行し、収益性向上に関する構造改革を進めることにより、営業利益率の改善とROEの維持を目指します。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「ESG基本方針」に従って、透明性の高いコーポレート・ガバナンスの充実や脱炭素社会の実現に向けた活動の推進を図るとともに、将来の労働力の変化を見据えた就労環境の整備や健康経営の推進等により、多様な価値観を持つ人材が個性や能力に応じて活躍できる組織を構築することにより、市場での存在感を高め、企業価値の向上に努めてまいります。
ESG基本方針
ホーチキグループは、「人々に安全を」「社会に価値を」「企業をとりまく人々に幸福を」を経営理念に掲げています。
この実践を通じ、お客様や社会が抱える課題の解決に向け果敢に挑戦しつづけることこそが、私たちの存在意義です。
私たちは、社会の皆様とともに成長し続ける企業であり続けたいと考えています。
持続的に事業を成長させ、安全・安心な世の中の構築に貢献し続けられる企業を目指します。
1.環境(Environment)
地球温暖化防止につながる脱炭素社会づくりに向け、従業員一人ひとりがグローバル社会の一員としての当事者意識を持ち、日々の業務や生活の中で責任ある小さな行動を積み重ねます。
併せて、安全・安心を世の中にお届けする当社の使命に則り、商品の製造やサービスの提供を通じて環境保全への貢献を追求していきます。
2.社会(Social)
性別・年齢・国籍等にとらわれない多様な価値観を尊重し、能力発揮機会の提供と労働環境の整備を推進するとともに、様々なステークホルダーと積極的につながりながら、従来の延長線上にない競争力と働きがいを創出していきます。さらに、世の中の技術革新や働き方の変化へ柔軟に適応し続けることで、事業の成長や生産性の向上を目指します。
その活力の源泉となるのは心身の健康です。ホーチキグループで働く一人ひとりが自らの人生を充実させることができるワークライフバランスの実現を目指していきます。
また、社会・地域貢献活動にも積極的に取り組み、社会の一員として持続可能な社会の発展に貢献する役割を果たしていきます。
3.ガバナンス(Governance)
持続的に社会へ価値を提供するために、経営の透明性を高め、外部の多様な視点や意見を積極的に取り入れることで企業価値を向上させていきます。
また、グローバルに事業展開している企業の責任として、コンプライアンス遵守やハラスメント撲滅等の世界共通の基本を徹底し、世界中のステークホルダーとの信頼関係を築いていきます。
なお、取組みや推進体制については、
URL: https://www.hochiki.co.jp/corporation/csr/
<マテリアリティ>
当社グループは、経営理念と国際ガイドラインを踏まえ、ESG評価機関の要請、戦略的目標への整合性、そして社員からの意見を参考に、マテリアリティ(重要課題)を精査しました。当社の持続可能な成長と社会への貢献を確実なものにするための以下の5つのマテリアリティを特定し、全てのステークホルダーに対して透明性と責任を持った事業活動を推進します。
●地球温暖化への対応:グループ一体でカーボンニュートラルを目指す環境経営の実現
●DXによるイノベーションの加速:DX活用による生産性向上と競争力強化で長期的な事業成長を実現
●人権に関する取り組み強化:社内及びサプライチェーン全体を通じた人権尊重の徹底
●多様な人材の獲得、社員の育成:DE&Iを基盤とした人材活用・教育の最適化
●グローバル経営推進のためのガバナンス強化:グローバル競争力の強化と強固なガバナンスフレームワークの確立
当社は、人的資本や気候変動を含む当社グループの課題に取り組むため、社長を委員長とした「人材戦略委員会」「サステナビリティ戦略委員会」を定期的に開催しており、審議内容は取締役会へ定例報告を行っております。
「人材戦略委員会」では、人的資本経営の基盤となる人材マネジメント及び実行施策について意思決定を行ってきました。2024年度においては、事業戦略に合わせた中長期人員・人件費計画や、人材開発関連プロジェクト、新人事システム導入などについて議論をしてまいりました。人的資本経営を推進するうえで、重要事項の方向性や施策を決定する場として機能しております。
「サステナビリティ戦略委員会」では、目標や進捗等のモニタリングにより監督体制を構築してきました。2024年度においては、社内におけるESG主要KPI報告のほか、マテリアリティについても取締役会において取り上げました。また、取締役会で決定された事項については、各本部及び各グループ会社に展開され、それぞれの経営計画や事業運営に反映してきました。
各委員会の役割、構成及び開催頻度につきましては下記のとおりです。
① 人的資本
当社グループは、より魅力的な会社になるための最大の原動力は「人」であると考えております。従業員一人ひとりが働きがいを持って成長できるよう、「誠実」「情熱&チャレンジ」「チームワーク」から成る行動指針を基軸とし、多様な個性や能力を持つ世界中の従業員が活躍できる人事制度や人材育成体系へと進化させるための人的投資をベースに人的資本経営を実施していきます。
「GLOBAL VISION 2030」の実現に向けて、「個人の成長を促進する会社の仕組み再整備」と「チームでの協働、多様性を活かす風土醸成」で人的資本の価値を最大化してまいります。「経営戦略と連動した人材ポートフォリオ構築」を中核に、「働きがいと個の成長を醸成する人事制度の導入」「個人のキャリア形成と組織の競争力向上を支える教育機会の提供」「多様なチームワークを機能させる環境の整備」を重視し、積極的な人的資本への投資を継続してまいります。
a.働きがいと個の成長を醸成する人事制度の導入
「GLOBAL VISION 2030」の実現に向けては、従業員一人ひとりがこれまで以上に成長・挑戦をしていくことが必要との考えのもと、人事制度改革を推進し、2025年度より新たな人事制度の運用を開始しています。新人事制度では、従業員一人ひとりの成長・挑戦、自律的なキャリア形成を促すために、属人的・年功的要素を見直し、より役割や貢献に応じた処遇・報酬体系への変更や、多様化するキャリアやライフプランへの対応などを行っております。
また、今後は、導入した新人事制度をいかに運用していくかが重要だと考えております。従業員一人ひとりが制度に対する理解を深め、適切に制度を運用することで、個々人の能力を最大限発揮できるよう取り組んでまいります。
b.個人のキャリア形成と組織の競争力向上を支える教育機会の提供(人材育成方針)
事業戦略と連動した人材ポートフォリオ構築を推進しております。タレントマネジメントシステムの導入・活用による「人材の見える化」と当社の将来に必要な人材要件定義を実施し、現状と将来のギャップを踏まえた戦略的人材マネジメントを採用・社内発掘・育成等において実行を進めております。
従業員一人ひとりの潜在能力の底上げと自律した学習意欲を支える教育体系の再構築やEラーニングの導入など学びの場・機会の充実を進めております。また、幹部候補人材の選出と後継者育成計画(サクセッションプラン)の策定・実行、技術継承を確実に行う「育成トレーナー」の人選・育成・配置など、将来組織を牽引する人材を長期的かつ綿密な計画性をもって育成しております。
(指標・目標)
(注) 連結グループに属する全ての会社で具体的な取組みが行われていないため、提出会社のデータを記載しております。
c.多様なチームワークを機能させる環境の整備(社内環境整備方針)
(a) 行動指針の浸透・定着
会社という一つのチームに多様な人材が集まり働く中で、会社の価値観や目指している方向性を従業員一人ひとりが理解し、同じベクトルを向いて日々の活動していくために、行動指針の浸透・定着を進めてまいります。
行動指針の浸透・定着に向けて、研修やワークショップを推進しております。また、2024年より、行動指針を体現し模範となる従業員やチームを表彰する新たな表彰制度(HOCHIKI AWARD)を新設いたしました。本表彰を通じて、行動指針の浸透・定着を図るとともに、称賛し合う文化を醸成してまいります。
(b) ワークライフバランスの充実
当社ではワークライフバランスの充実を重視しており、労働時間の適正化と生産性向上を進めております。労働時間の適正化においては、2024年問題対応を含め長時間労働是正に向けた勤怠及びPCログのモニタリングの推進などに取り組んでおります。生産性向上においては、施工部門でタブレット端末を活用した図面のチェック・情報の取得を可能にするクラウドサービスを推進しております。そして、全社業務プロセス変革と高付加価値業務へのシフトを目的とした部門横断型プロジェクトを発足し、活動を進めております。従来の手法に固執することなく、業務プロセスの抜本的な見直しに向けた取組みを進めてまいります。
また、当社では男性従業員の育児休業取得の促進に取り組んでおり、男性育児休業に関するワークショップや座談会、制度についての情報発信などを実施しております。2024年度における男性育児休業の取得率は61.3%となっております。また、男性育児休業を1か月(30日)以上取得する従業員の割合が増えるなど、男性が育児休業を取得できる風土醸成が徐々に進んできていると考えております。引き続き、男性育児休業の取得推進に向けて、より丁寧な実態把握と対策の立案、男性の育児休業に関する情報発信などを進めてまいります。
育児や介護など家庭と仕事の両立やワークライフバランスの充実に向けては、より時間と場所に柔軟性を持たせた時代に適したワークスタイルを追求していくことが必要と考えております。今後も各種制度の見直しと拡充を図るとともに、誰もが制度を活用できる環境作りを推進してまいります。
(指標・目標)
(注)1 連結グループに属する全ての会社で具体的な取組みが行われていないため、提出会社のデータを記載しております。
2 連結子会社におきましては、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」に基づく、公表義務の対象外となっているため、記載を省略しております。
(c) DE&Iの推進
ESG戦略委員会内にダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン推進部会を設置し、多様な人材がイキイキと活躍できる環境づくりに取り組んでおります。DE&Iの推進においては、従業員一人ひとりがDE&Iを自分事として考えるようになることが大切と考えており、全従業員を対象としたEラーニングの実施や、職場でのワークショップ、DE&Iに関する情報発信などを実施いたしました。
また、女性の活躍が当社の活力や組織としての意思決定の多様化につながると期待し、女性従業員を対象としたセミナーの開催や、育児をしながら働く女性の座談会、国際女性デーに合わせたイベントの実施など、女性活躍推進の取組みを進めております。一方で、依然として管理職は男性が中心となっており、女性が能力を発揮し活躍できる環境整備を推進するとともに、女性リーダーの育成、女性の積極的採用を継続・強化し、2030年度の女性管理職比率の目標達成に向けてグローバルで計画的に取り組んでまいります。
なお、推進体制及びホーチキグループダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン宣言については、当社ホームページにおいて公表しております。
(指標・目標)
(d) 経営と従業員の対話の充実
経営と従業員が一体となり新たな価値を提供すべく、経営によるタウンホールミーティングを継続して実施しております。現場から寄せられた従業員の困りごとや職場の課題に対して、経営が迅速かつ柔軟に対応し、改善に取り組むことが経営と従業員間のギャップ解消につながり、従業員のモチベーションやエンゲージメント向上に寄与すると考えております。
従業員一人ひとりの価値観や働き方が多様化する中で、変化の激しい環境に対応していくためには、最前線で働く従業員と経営トップとの対話がこれまで以上に重要になっています。今後も現場の困りごとや意見をタイムリーに吸い上げ、具体的な改善につなげていくことで、より良い職場づくりを目指してまいります。
(e) エンゲージメント向上
「GLOBAL VISION 2030」の実現に向けて、会社という大きなチームに属している従業員一人ひとりが、会社の目指す方針に共感し、チームに対する自発的な貢献意欲を持ち、仕事に主体的に取り組むことが重要と考えております。従業員エンゲージメント向上を重要課題の一つと位置付け、2024年度よりエンゲージメントサーベイを導入いたしました。エンゲージメントサーベイの結果を踏まえ、エンゲージメント向上に向けて、新たに自ら手を挙げて参画できる機会や仕組みを作るなど、従業員の主体的な行動をサポートするとともに、会社の変化を実感できる施策を推進してまいります。
(f) 健康経営
健康はイキイキと働くうえでの基盤であると考えており、健康経営を重視しています。当社は、健康経営優良法人制度により「健康経営優良法人2025」に認定されました。

(人的資本に関する取組み)

② 気候変動
当社は、IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)による
当社における事業への影響の概要は次のとおりです。
a.気候変動に関する主なリスクと機会
当社では、気候変動による移行及び物理的なリスクと機会について、影響度、発生可能性、対応策の有効性の3つの項目で、戦略面の評価、定義付けを行い、時間軸については、短期(0~3年)、中期(4~10年)、長期(11~30年)で及ぶ影響も評価しています。
b.気候変動への対応策
(指標・目標)
当社は、地球温暖化が社会全体に対する脅威となることに鑑み、Scope1・2(当社自身の事業活動)においてCO2排出量を、2019年度比で2030年度までに30%削減、2050年度には実質ゼロ、カーボンニュートラルにすることを目標に掲げております。
CO2排出量の実績値につきましては、以下の当社ウェブサイトで公表しております。
(
なお、現在、2024年度におけるScope1・2のCO2排出量の計測・確認を進めており、完了次第、上記サイトにてお知らせします。
③ 人権
当社は、人権を当社グループにおける重要なサステナビリティ課題と位置付けております。社内において施策の検討を開始したところであり、指標・目標は現時点ではありません。今後、具体的なアクションプランとともに、指標・目標を検討してまいります。
「ホーチキグループのリスク管理方針」では、『経営理念を具現化し、社会に価値ある企業として存続・発展していくために、リスク管理のための体制構築は、株主はじめ多くのステークホルダーに対する責任であると位置付け、積極的に推進する』ことを宣言しています。
また、当社では、グループ全体のリスクを掌握し、管理の実効性を高めるため、「リスク管理・コンプライアンス委員会」を設置しております。サステナビリティ関連リスクのうち重大なリスクについては、同委員会と「人材戦略委員会」「サステナビリティ戦略委員会」が連携しながら、全社的なリスクマネジメント体制を構築しています。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 市場リスク
当社グループの事業は、国内外の設備投資や建設市場の動向に影響を受けます。
特に国内市場では、少子高齢化に伴って建設市場の成長が減速していく可能性が高く、減速した場合には当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、持続的な成長に向け、収益性を高め、将来に向けた戦略的な投資を実施していくと同時に、国内のストック事業基盤を強化し、海外事業を成長ドライバーと位置付けております。
海外市場においては、戦略商品として市場投入した新型受信機を軸に、火災報知設備を構成する製品群のシステム販売を進めることで、段階的に海外事業の拡大を図っており、全事業に占める売上高比率を高めることを目指しております。
(2) 地政学的リスク
当社グループは、英国その他の海外各地で事業活動を営んでおります。そのため、米中の貿易摩擦等の地政学的リスクによる影響がさらに顕在化した場合には当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。また、ロシア、ウクライナの顧客に対する販売高が全体に占める割合はごく僅かでありますが、ウクライナ情勢が及ぼす金融やサプライチェーンへの影響が当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。中東の紛争による影響は、今後の情勢によっては当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、各海外グループ会社との連携を強め、定期的に当社の経営委員会に海外グループ会社メンバーを参加させるなど、情報共有を行っております。加えて、(4) 部品・原材料等の供給リスクに示すとおり、可能な限り一社からの集中購買は避けるようにしております。また、当社グループは米国に生産工場を保有しておりますが、一部の製品や部品を米国外から輸入しているため少なからず米国の関税政策の影響を受ける可能性があります。当社グループで連携してその対応策を検討しています。
(3) 法的規制等リスク
当社グループが提供する火災報知設備に関する生産品等は、消防法その他関係法令により、設置等が義務付けられております。今後、社会情勢等の変化により、適宜、法令の改正ないし解釈の変更等が行われる可能性があります。また、当社グループの製品は、各国の認証機関の認証を受けて販売しておりますが、国によって製品の規格が異なるため、ある国では認証を受けられても、他国では認証取得に時間を要することがあります。
建設業については、改正労働基準法に基づく時間外労働時間の上限を遵守するため、人員の確保や受注量を抑える必要が生じる可能性があります。
これらの事象により、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、関係法令の改正等があった場合に速やかに対応できるよう、動向について継続的に情報収集を行っております。また、時間外労働時間の上限見直しについては、ITを活用した施工支援ツールによる効率化などを推進し、施工現場における業務負荷の軽減に取り組んでおります。また、予防管理の観点から、従業員の時間外労働状況を日次管理しております。
(4) 部品・原材料等の供給リスク
当社グループにおいて、サプライヤーから供給を受けている部品や原材料等の価格が需給環境の変化等により高騰した場合や、世界的な供給難、サプライヤーの災害や倒産等により部品や原材料等の供給が不足して当社グループ製品の製造に支障を来した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
部品や原材料等の種類によっては、特定のサプライヤーに依存せざるを得ない場合もありますが、可能な限り一社からの集中購買は避けるようにし、最適なサプライチェーンの再構築に取り組んでおります。
(5) 品質管理リスク
生産品や設置工事等において品質不具合が生じた場合、対象製品の単価や販売実績、工事物件の規模等によっては、損害が膨らみ、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループの火災報知設備に関する生産品の大部分については、日本消防検定協会による検定品及び日本消防設備安全センター等による認定品を提供しており、また、設置工事等については、消防検査の義務付けがあるものは検査に合格したものを納入しております。また、当社グループ内においては、PL委員会等の設置により徹底した品質管理を実施しております。
(6) 自然災害リスク
当社グループやサプライヤーの事業所や工場が地震等の自然災害を被った場合、事業活動に影響が生じ、結果的に経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社グループでは、自然災害の発生時においても製品の供給やサービスの提供を果たすため、各本部・会社別の事業継続計画(BCP)基本計画書を策定するとともに、当社役職員やサプライヤーを対象として机上訓練を実施しております。また、BCP視点において、部材調達網の見直しを進めてまいります。
(7) 気候変動リスク
気候変動に伴うリスクとしては「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) 戦略、指標及び目標 ② 気候変動 a.気候変動に関する主なリスクと機会」に記載のとおり、夏季の平均気温上昇に伴う熱中症対策の雇用コスト増加、生産性低下等の各種リスクを想定しております。これらのリスクが顕在化した場合には、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
なお、対応策については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) 戦略、指標及び目標 ② 気候変動 b.気候変動への対応策」に記載のとおりです。
(8) コンプライアンスリスク
独禁法違反、外国公務員等贈賄法制違反、建設業法違反、各国個人情報保護法制違反等の重大な法令違反や長時間労働等に起因する労務災害が生じた場合には、課徴金や営業停止、損害賠償等の法的リスクが想定され、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、関連規程を制定し、申請・届出による事前チェック体制の整備や、内部監査による遵守状況の確認等を行うとともに、法令遵守のための定期的な社内教育を行っております。
(9) 為替変動リスク
当社グループは海外でも製品の生産、販売事業を展開しており、また輸出入もあるため、為替レートが大きく変動した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、為替予約等によるヘッジを行い、為替変動リスクの軽減に努めております。
(10) 保有株式関連リスク
当社は、取引関係を維持、強化する目的で取引先の株式を政策的に保有することがありますが、株式市況の低迷等が生じた場合には、政策保有株式について売却損、評価損が生じ、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社では「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおり、政策保有株式の貸借対照表計上額の総額が、直近の期末における連結純資産の10%を超えないこと等をルール化して、保有をコントロールしております。
当社グループは、債権の貸倒れに備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能額に対して貸倒引当金を設定しておりますが、実際の貸倒れが当該前提等を大幅に上回り、貸倒引当金が不十分となることがあります。
また、経済状況全般の悪化により、設定した前提等を変更せざるを得なくなり、貸倒引当金の積み増しを実施する可能性があります。
これらの場合、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、取引先について与信管理を徹底しております。
当社グループの従業員退職給付費用及び退職給付債務は、割引率等数理計算上で設定されている前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されます。今後、年金資産の運用環境の悪化等から数理計算上の差異が発生する可能性及び前提条件について再検討する必要が生じる可能性もあります。
その場合、退職給付債務の増加等、費用処理される債務金額が増加することにより、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、退職給付債務の把握、年金資産の運用状況のモニタリングを定期的に行い、年金資産の運用配分の見直しを検討するなど対応しております。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の高まりにより、緩やかな回復基調で推移したものの、ウクライナ・中東における地政学リスクや原材料・資源価格の高騰等、依然として先行き不透明な状況が続いております。
防災・防犯業界におきましても、時間外労働の上限規制への対応や労務費の増加、原材料価格、物流費の上昇等、収益に影響を及ぼすリスクが顕在化しております。
このような状況のもと、当社グループは、新たな中長期経営計画「GLOBAL VISION 2030」をスタートし、全社を挙げて営業活動を推進してまいりました結果、当連結会計年度における経営成績は、次のとおりとなりました。
当社は、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けて、2024年4月、事業ポートフォリオ委員会を設置し、ROICによる評価結果に基づき、事業ごとの資本の収益性・効率性の向上に努め、事業ポートフォリオ経営を推進してまいりました。その結果、経営上の目標の達成状況を判断するための経営指標としている自己資本利益率(ROE)は、当期純利益の増加により、13.7%(前連結会計年度比2.3ポイント増)となりました。
また、2025年3月末のWACC(加重平均資本コスト)は7.65%、株主資本コストは7.77%としております。
営業利益の主な増減要因は次のとおりであります。
<売上高による影響> 2,163 百万円
国内ストックビジネス(リニューアル・メンテナンス)が好調に推移したことと、2023年2月に実施した価格改定効果に加え、海外事業において特に欧州と東南アジアを中心に販売が伸長したことが増収を牽引いたしました。また為替レートの円安進行も寄与いたしました。
<売上原価率による影響> 2,080百万円
労務費上昇の影響はあるものの、採算性を重視した受注活動の推進により売上原価率は改善いたしました。
<販売費及び一般管理費による影響> △1,056百万円
経営計画に基づく開発投資の実施や採用活動の強化、労働条件の改善等が主な要因であります。
セグメント別の概況は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (セグメント情報等)」に記載のとおりであります。前連結会計年度比については、前期実績を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
(火災報知設備)
当セグメントの主要な事業内容は、自動火災報知設備、非常警報設備、火災通報装置等の製造、販売及び施工であります。
当連結会計年度における売上高は、62,486百万円(前連結会計年度比9.1%増)となりました。これは主に、国内事業においてリニューアル事業が好調に推移したことに加え、海外事業において欧州及び東南アジアを中心に増収となったことによるものであります。
セグメント利益は8,974百万円(同24.7%増)となりました。増益となっておりますのは、国内事業では、採算性を重視した受注活動により収益性が改善したことに加え、海外事業において、主に英国やベトナムでの増収により利益額が増加したことによるものであります。
(保守)
当セグメントの主要な事業内容は、防災設備に係る保守点検及び整備工事の実施であります。
当連結会計年度における売上高は、21,085百万円(前連結会計年度比5.6%増)となりました。これは主に、定期点検保有高を着実に増やす取組みや整備工事の受注活動を推進したことによるものであります。
セグメント利益は5,044百万円(同14.3%増)となりました。増益となっておりますのは、主に点検・整備工事において、採算性を重視した受注活動を推進したことによるものであります。
(消火設備)
当セグメントの主要な事業内容は、スプリンクラー設備、放水銃システム、屋内・屋外消火栓設備等の製造、販売及び施工であります。
当連結会計年度における売上高は、11,179百万円(前連結会計年度比11.1%増)となりました。これは主に、一般建物向け消火設備が伸長したことによるものであります。
セグメント利益は1,607百万円(同53.0%増)となりました。増益となっておりますのは、主に採算性の良いトンネル非常用設備の大型案件を収益計上した影響によるものであります。
(防犯設備)
当セグメントの主要な事業内容は、入退室管理システム、鍵管理システム、電気錠制御システム等の製造、販売及び施工であります。
当連結会計年度における売上高は、6,149百万円(前連結会計年度比0.3%減)となりました。これは主に、前期好調であったOEM機器販売が減少したことによるものであります。
セグメント利益は634百万円(同69.2%増)となりました。増益となっておりますのは、主に価格改定及び採算性を重視した受注活動推進の効果に加え、前連結会計年度と比較して部品調達価格が改善した影響によるものであります。
次期(2026年3月期)の業績見通しにつきましては、売上高100,900百万円(当連結会計年度比0.0%減)、営業利益10,000百万円(同4.7%増)、経常利益10,000百万円(同2.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益7,200百万円(同5.9%減)を見込んでおります。
次期の外部環境におきましては、ウクライナ・中東における地政学リスクや原材料・資源価格の高騰、トランプ政権による他国への関税政策の影響に加え、時間外労働の上限規制への対応に関する労務費の増加等、収益に影響を及ぼすリスクが顕在化しており、先行きに不透明感はあるものの、防災・防犯業界における需要環境は引き続き堅調に推移することを想定しております。
一方で、当連結会計年度よりも為替レートの円高推移を前提としているため、売上高は当連結会計年度並みとなる見込みであります。
親会社株主に帰属する当期純利益は、当連結会計年度に計上した投資有価証券売却益の反動減により、450百万円の減益となる見込みであります。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 金額は全て販売価額(取付工事代を含む)に換算してあります。
2 当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。前年同期比については、前期実績を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 金額は全て販売価額(取付工事代を含む)に換算してあります。
2 当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。前年同期比については、前期実績を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 金額は全て販売価額(取付工事代を含む)に換算してあります。
2 当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。前年同期比については、前期実績を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、前連結会計年度末の残高と比べ4,320百万円増加し、66,087百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、前連結会計年度末の残高と比べ101百万円増加し、23,567百万円となりました。これは主に、ソフトウエアの増加によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、前連結会計年度末の残高と比べ2,098百万円減少し、23,055百万円となりました。これは主に、電子記録債務の減少によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、前連結会計年度末の残高と比べ109百万円増加し、7,278百万円となりました。これは主に、リース債務の増加によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末の残高と比べ6,410百万円増加し、59,321百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加によるものであります。
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末残高11,420百万円及び営業活動による資金の増加11,874百万円を原資として、投資活動において636百万円、財務活動において1,741百万円をそれぞれ使用しております。
従って、当連結会計年度末の資金の残高は、20,921百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、11,874百万円(前年同期に得られた資金は775百万円)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益の計上などにより資金が増加したものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、636百万円(前年同期に使用した資金は2,535百万円)となりました。
これは主に、有形固定資産の取得などにより資金が減少したものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、1,741百万円(前年同期に使用した資金は2,511百万円)となりました。
これは主に、配当金の支払などにより資金が減少したものであります。
(キャッシュ・フロー指標)
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額(※)/総資産
※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しております。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループでは、手元流動性の向上を進めながら、当期純利益の一定割合を成長投資枠として充当することを資金配分の基本方針としております。配当においては中長期視点での持続的な成長に必要な投資を実行したうえで、配当性向やDOE(株主資本配当率)等の指標も勘案しながら、累進的配当方針の維持に努めてまいります。
これら成長投資、株主還元、運転資金等については、主として営業活動から得られるキャッシュ・フローによる自己資金で充当しております。また、当社グループは、資金の効率的な活用と金融費用の削減を目的として、キャッシュ・マネジメント・システムを導入し、グループ全体の資金効率化を進めております。また、当社グループの運転資金需要のうち主なものは、材料費、試験研究費、販売費一般管理費等の営業費用であります。成長投資を目的とした資金需要のうち主なものは、生産能力増強や生産合理化推進及び事業領域拡張に向けた投資を想定しております。
また、当社グループは、主要取引金融機関との間で長期間にわたり築き上げてきた良好な関係を維持しており、経営に必要な運転資金及び設備投資資金等の調達は問題なく実施可能と認識しております。
さらに、国内金融機関において50億円のコミットメントラインを設定しており、緊急時の流動性も確保しております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
当連結会計年度の研究開発活動は、中長期経営計画「GLOBAL VISION 2030」として「人と技術の力で世界中にLife Safetyを創造する」というグループビジョンを実現するため、経営理念である「人々に安全を」「社会に価値を」「企業をとりまく人々に幸福を」を具現化させた「火災報知設備」「保守」「消火設備」「防犯設備」に係る商品開発、研究活動を行ってまいりました。また新たな付加価値商品を創出し、よりお客様のニーズにマッチした商品開発の推進、さらには将来に向けた基礎研究や要素技術開発など、中長期的な視点で「モノづくり力」の強化に邁進してきました。
当連結会計年度の研究開発費として
セグメントごとの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。
火災報知設備
火災報知設備においては、火災感知器などのセンシング機器、防災盤を含めたシステム制御機器の開発を行っております。国内外の規格に準拠するだけでなく、お客様へより安全・安心を提供するために信頼性を向上させた商品、さらには施工性改善など環境を考慮した商品の開発を行っております。当連結会計年度は、火災報知設備の中心的商品である防災盤関連、米国向け火災感知器を新しくラインナップいたしました。
防災盤関連においては、大規模施設向けに、消防用設備等の監視や操作を総合的に行うための防災表示装置「HDS」を商品化いたしました。ネットワーク機能を強化し、本システムに接続されている受信機の火災や障害情報を、お客様の情報端末(スマートフォンなど)に通知が可能とさせたほか、メンテナンス性の向上による現場での作業効率化と負担軽減、視認性と操作性の改善等、多くのご要望に対応できるシステムを構築いたしました。
火災感知器においては、米国での煙感知器新規格に対応したアナログ式熱・煙マルチタイプ「ACE」の感知器の開発が完了し、火災の検知精度をさらに向上させました。
このような商品開発のほかに、将来に向けた基礎研究や要素技術開発を強化しており、100年を超えてもなお成長・発展する土台を作るため、企業や大学と積極的に連携して「モノづくり力」を高めております。
当連結会計年度における研究開発費は
保守
保守においては、火災感知器の点検時の作業性向上に向けた商品開発や研究開発を中心に行っております。
当連結会計年度における研究開発費は
消火設備
消火設備においては、現行の消火設備の改良開発及び市場ニーズに対応した商品ラインナップと低コスト化に向けた商品開発を中心に活動しております。
当連結会計年度における研究開発費は
防犯設備
防犯設備においては、お客様のニーズにマッチさせる入退室管理システムの商品開発を中心に活動しております。
当連結会計年度における研究開発費は