第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは「防災事業のパイオニアとしての使命に徹し、社会の安全に貢献する」ことを社是とし、研究開発から営業、施工、メンテナンスまでの一貫体制のもと、災害から生命・財産を守るための最新・最適な防災システムを提供する一方、地球環境保全ならびに省エネ・省資源に配慮して行動することを基本方針としております。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略

平成28年12月に創立100周年を迎えた当社グループは、さらに大きく飛躍するため、平成28年度から3年間にわたる中期経営計画「project30~次世代防災への進化~」を策定しております。

その骨子は以下のとおりです。

○ビジョン

~次世代防災への進化~

「創立100周年を迎え、能美新世紀として、防災事業の基盤を更に強固なものにして社会の変化に対応する次世代防災システム・サービスを創造・提供し続けることにより世界の安全に貢献する」

○施策

①次世代防災への基盤整備

②基幹事業の収益力向上と売上拡大

③お客様との信頼関係の更なる向上

④新規市場・サービス事業への積極果敢な挑戦

⑤技術開発力・エンジニアリング力の強化

⑥海外事業の強化

⑦防災領域の拡大を目的とした国内外におけるM&Aの推進

⑧人材育成の強化

⑨グループ全体でのCSR・コーポレートガバナンスの強化

 

(3) 会社の対処すべき課題

今後の経済見通しとしましては、企業収益や雇用情勢の改善が続くなかで、景気は緩やかに回復していくことが期待されるものの、海外経済の不確実性の影響などに依然留意が必要な状況となっております。

当防災業界におきましても、市場が堅調に推移することが期待されるものの、労務費や原材料価格の動向などが引き続き懸念される状況にあります。

このような局面に対処するため、当社グループは平成28年度から3年間にわたる中期経営計画「project30~次世代防災への進化~」を策定しており、その最終年度にあたる平成30年度におきましても、企業価値の最大化を目指してまいります。

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 事業環境について

当社グループの業績は建設業界や公共事業の影響を受け、変動する可能性があります。

 

(2) 法的規制等について

当社グループの売上の主要な部分は消防法による規制に関連して生じております。この規制が急激に変化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 業績の季節変動について

当社グループの業績には季節変動があり、売上が第4四半期に集中する傾向があります。

 

(4) 取引先の信用リスクについて

取引先が信用不安に陥った場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 原材料等の調達について

原材料等の価格が大幅に上昇した場合や一部の原材料等が供給不足に陥った場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 資産保有リスクについて

不動産や有価証券等の保有資産の時価が著しく下落した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 退職給付債務について

年金資産の時価が下落した場合、または、退職給付債務を計算する上での前提条件が大幅に変更になった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 自然災害について

地震等の大規模な自然災害により生産および販売拠点が被害を受けた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

 ① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、政府や日銀による各種政策を背景に、雇用・所得環境の改善や個人消費の持ち直しがみられるなど、緩やかな回復基調が続きました。

当防災業界におきましては、企業収益の改善が続くなか、民間設備投資が緩やかに増加したことなどにより、事業環境は堅調に推移いたしました。

このような状況のなか、当社グループは平成28年度から3年間にわたる中期経営計画「project30~次世代防災への進化~」を策定しており、そのビジョンと施策のもと、企業価値の最大化を目指してまいりました。

中期経営計画の2年目として積極的な営業活動に努めた結果、大型物件の寄与などにより、当連結会計年度の受注高は109,019百万円(前年同期比11.3%増)、売上高は105,032百万円(前年同期比10.2%増)となりました。

利益につきましては、売上高の増加に加え、業務効率化等による継続的な原価低減の取り組みが奏功したことなどにより、営業利益は12,881百万円(前年同期比26.4%増)、経常利益は13,073百万円(前年同期比25.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は9,135百万円(前年同期比31.6%増)となりました。

業績の内訳をセグメント別にみますと、火災報知設備につきましては、売上高は37,641百万円(前年同期比9.6%増)、営業利益は6,640百万円(前年同期比19.8%増)、消火設備につきましては、売上高は37,328百万円(前年同期比17.0%増)、営業利益は7,647百万円(前年同期比35.6%増)、保守点検等につきましては、売上高は24,889百万円(前年同期比3.4%増)、営業利益は4,987百万円(前年同期比2.2%増)、その他につきましては、売上高は5,172百万円(前年同期比3.2%増)、営業利益は185百万円(前年同期比47.5%減)となりました。

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比べ8,523百万円増加し、122,617百万円となりました。これは、現金及び預金が3,603百万円減少、建設仮勘定が3,447百万円減少したものの、受取手形及び売掛金が8,309百万円増加、建物及び構築物が3,665百万円増加したことなどによります。

負債は、前連結会計年度末と比べ287百万円増加し、38,933百万円となりました。これは、未払金が452百万円減少したものの、社債が245百万円増加、工事損失引当金が219百万円増加したことなどによります。

純資産は、利益剰余金の増加を主因として、前連結会計年度末と比べ8,235百万円増加し、83,684百万円となりました。

 

 ② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して3,320百万円の減少となり、31,892百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

売上債権の増加額8,007百万円、法人税等の支払額4,631百万円、たな卸資産の増加額1,692百万円等による流出があったものの、税金等調整前当期純利益13,187百万円、減価償却費1,671百万円等により、営業活動全体では1,706百万円の流入(前連結会計年度は12,532百万円の流入)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

主に固定資産の取得による支出により3,422百万円の流出(前連結会計年度は4,209百万円の流出)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

主に配当金の支払いにより1,631百万円の流出(前連結会計年度は1,569百万円の流出)となりました。

 

 

 ③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

火災報知設備

23,168

5.6

消火設備

28,465

25.6

保守点検等

15,257

3.6

その他

4,505

9.8

合計

71,397

12.6

 

(注) 1  セグメント間の取引については相殺消去しております。

     2  金額はすべて製造原価及び実際発生原価によっており、消費税等は含まれておりません。

 

b. 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

火災報知設備

38,106

7.1

12,133

4.0

消火設備

40,323

19.5

38,081

8.5

保守点検等

25,296

5.7

4,125

10.9

その他

5,292

13.2

631

23.7

合計

109,019

11.3

54,971

7.8

 

(注) 1  セグメント間の取引については相殺消去しております。

     2  金額はすべて販売価格(取付工事代を含む)に換算しており、消費税等は含まれておりません。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

火災報知設備

37,641

9.6

消火設備

37,328

17.0

保守点検等

24,889

3.4

その他

5,172

3.2

合計

105,032

10.2

 

(注) 1  セグメント間の取引については相殺消去しております。

     2  金額はすべて販売価格(取付工事代を含む)に換算しており、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

 ① 重要な会計方針

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しており、財政状態及び経営成績について以下のように分析しております。

 

 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの各セグメントの経営成績等は以下のようになっております。

火災報知設備につきましては、工事収入および商品販売ともに増収となり、売上高は前年同期比9.6%増加の37,641百万円となりました。セグメント資産は前連結会計年度末と比べ1,436百万円増加し、38,923百万円となりました。

消火設備につきましては、高層ビル等の一般物件は減収となったものの、プラント・トンネル等の特殊物件は増収となり、売上高は前年同期比17.0%増加の37,328百万円となりました。セグメント資産は前連結会計年度末と比べ7,888百万円増加し、32,014百万円となりました。

保守点検等につきましては、保守点検および補修工事ともに増収となり、売上高は前年同期比3.4%増加の24,889百万円となりました。セグメント資産は前連結会計年度末と比べ40百万円減少し、12,628百万円となりました。

その他につきましては、駐車場関連は減収となったものの、売上高は前年同期比3.2%増加の5,172百万円となりました。セグメント資産は前連結会計年度末と比べ287百万円減少し、3,551百万円となりました。

以上の結果、全体の売上高は前連結会計年度に比べ9,703百万円(10.2%)増加し、105,032百万円となりました。

売上原価率は、厳しい環境ながらコストダウン・原価低減に努めた結果、前連結会計年度と比べ0.2ポイント改善し、66.1%となっております。

売上総利益は前連結会計年度と比べ10.9%増加し35,583百万円となり、売上総利益率は前連結会計年度と比べ0.2ポイント改善し、33.9%となりました。

販売費・一般管理費につきましては、795百万円増加しましたが、売上高に対する比率は前連結会計年度と比べ1.4ポイント改善し、21.6%となりました。

以上の結果、営業利益は前年同期比26.4%増加の12,881百万円となり、経常利益は前年同期比25.4%増加の13,073百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期比31.6%増加の9,135百万円となり、1株当たりの当期純利益は151.51円となりました。

自己資本比率につきましては、前連結会計年度の64.8%から増加し、67.0%となりました。また、1株当たり純資産額は前連結会計年度の1,226.58円から1,362.16円となりました。

キャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローが1,706百万円の流入、投資活動によるキャッシュ・フローが3,422百万円の流出、財務活動によるキャッシュ・フローが1,631百万円の流出で、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は31,892百万円となりました。

資本の財源および資金の流動性につきましては、当社グループは運転資金および設備投資資金等の必要な資金を主に自己資金で賄っております。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、社会の安全に貢献することを基本理念として、火災事象の基礎研究をベースとした火災の早期検知・消火方法の確立に努めており、これらをもとに新しい防災システムの構築及び機器の開発を行っております。

現在、研究開発は当社の技術部を推進母体として研究開発センター、工場の設計部門等により推進されております。研究開発スタッフはグループ全体で110名であり、これは総従業員の約5%にあたります。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は2,063百万円であります。

当連結会計年度におけるセグメントの研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は、次のとおりであります。

(1) 火災報知設備

一般ビルや共同住宅市場向けに、ユーザーニーズに応えた新たな自動火災報知システムの開発に取り組んでおります。また、海外市場向けに信頼性を向上させた新型感知器を開発し、中国や東南アジア等の海外市場へ積極的な展開を行っております。更に特殊分野として、電算機室向けに付加価値が高く、顧客のニーズに応えた新たな防災機器の開発に取り組んでおります。

① 大規模建物向けGR型受信機の後継機種として、大型画面を採用して操作性を向上し、最大系統数を20系統に拡張した、集中型の受信機を開発いたしました。

② 住宅用火災警報器の買い替え需要や住宅メーカーへの拡販を狙い、単独型で小型薄型の住宅用火災警報器を開発いたしました。

③ 一般ビル市場に対して、施工性の向上とコストダウンを目指した新たな無線式自動火災報知システムを開発いたしました。

④ 東南アジア等の海外市場向けに信頼性を向上させた、熱付光電アナログ式感知器(R型)を開発いたしました。

⑤ 電算機室の異常に対して、いち早く異常箇所を特定するために感度切替機能を有する、新たなポータブルタイプの火災予兆システムを開発いたしました。

⑥ ホテル客室等の湯気や埃による誤作動対策として、新たに自動試験機能付きの湯気・埃環境強化型感知器(P型/R型)を開発いたしました。

 

当連結会計年度に係る研究開発費は1,655百万円であります。

 

(2) 消火設備

消火設備は、種々の市場に対して当社独自の技術を結集した差別化商品の開発を推進しております。また、大空間や大型物件向けに新たな消火システムの開発に取り組んでおります。

① 文化財等の伝統的建築物の新たな消火システムとして、高粘度液体の利用を研究開発しております。(総務省消防庁平成29年度消防防災科学技術研究推進制度に採択された研究)

② 大空間物件向けの放水砲システム用として、一斉開放弁の認証を取得いたしました。

③ 従来製品の後継機種として、新たな加圧型一斉開放弁の認証を取得いたしました。

 

当連結会計年度に係る研究開発費は408百万円であります。