文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは「防災事業のパイオニアとしての使命に徹し、社会の安全に貢献する」ことを社是とし、「研究開発からメンテナンスまでの一貫体制の下、災害から生命・財産を守るための最新・最適な防災システムを、日本全国そして世界に提供し続けること」を経営理念としております。
今後の経済見通しとしましては、景気回復の動きは継続する一方で、地政学的リスクの高まりに伴う原材料・エネルギー価格の上昇や、海外景気の下振れ懸念などにより、不透明な状況が続くものと見込まれます。
当防災業界におきましても、需要は堅調に推移することが期待されますが、原材料等のコスト上昇や、2024年4月から建設業にも適用される時間外労働の上限規制の影響などが懸念される状況となっております。こうした影響は当社の全てのセグメントにおいて懸念されます。
このような状況のなか、当社グループは2028年度のありたい姿と、その実現に向けた施策を「中長期ビジョン2028 ~期待の先をカタチに~」として策定しております。中長期ビジョンステートメントを「『期待の先』にある安全を『カタチ』にし、誰もが笑顔で暮らせる社会を実現する」とし、そのために以下の3つの施策に取り組んでまいります。
①未来共創プロジェクト
組織的な対応・仕組みにて「事業の深耕と探索」及び「提案型人財の育成」を推進。
②飛躍的成長への人事戦略
社員一人ひとりと組織双方の成長サイクルを加速し、中長期ビジョンの実現を支えていくための人事戦略を推進。
③未来投資計画
未来に向けた成長投資を積極的に進める。
さらに、これらの施策を支える土台として、「デジタルトランスフォーメーション」、「安定した製品・サービス供給体制をより強固にするサプライチェーンの実現」、「サステナビリティ経営推進による企業価値向上を前提とした課題対応」にも取り組んでまいります。
これらの取組みを2022年度から始めており、この3年目にあたる2025年3月期におきましては、引き続き価格改定や業務効率化に取り組むとともに、中長期ビジョンとして策定した各種施策を推進し、より高い付加価値を創造できる企業への変革に挑戦することで収益性の向上を図ってまいります。
中長期ビジョンの数値目標としましては、2029年3月期に連結売上高を170,000百万円以上、連結営業利益率を10%以上とすることを目指してまいります。これに加えて、資本効率向上の観点から、2029年3月期までにROEを9%以上とすることを目指してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は社是及び経営理念のもとで、以下のサステナビリティ基本方針を策定しております。
私たち能美防災グループは、永年にわたり社会の安全を追求してきました。その歴史に裏打ちされた技術と信頼で、「火災被害ゼロの社会」を目指しています。そして、あらゆる災害から生命・財産を守ること、サステナブルな未来を創ることに挑戦していきます。
当社では、2022年9月よりサステナビリティ経営推進ワーキングをスタートし、基本方針の策定、重要な社会課題(マテリアリティ)の特定、推進体制の整備等を行い、2023年3月にはサステナビリティ委員会を設置いたしました。
サステナビリティ委員会は取締役社長を委員長とし、環境や人材といったサステナビリティに関連する部門の担当役員等で構成されております。
年2回定例開催するほか、必要に応じて随時開催し、サステナビリティを巡る課題の審議、マテリアリティについての取組みの進捗状況確認等を行い、重要事項については取締役会に報告することで取締役会の監督が適切に図られる体制を整えております。事務局は総務部が担当し、サステナビリティ委員会の活動補佐として情報収集・情報発信・啓蒙活動等を行っております。
開催実績 2回
主な議題 統合報告書の発行について
TCFD提言に沿った情報開示、TCFD提言への賛同表明
マテリアリティの取り組み施策検討および優先順位付け、進捗状況の確認
サステナビリティ関連のリスク管理
人権への取組み

(3) 戦略
当社は、社会課題について「社会的な重要性」、「重視する価値観」、「自社の強み」の3つの軸で評価するなどし、当社が取組むべき重要な社会課題(マテリアリティ)を特定いたしました。今後、以下の4つのマテリアリティについての取組みを推進してまいります。
①あらゆる災害から生命・財産を守るためのソリューションの提供
②自律と挑戦を重んじた人財育成と多様性の確保
③カーボンニュートラル実現をはじめとする地球環境保全への取組み
④安全・安心を担う企業にふさわしい経営の実践

また、当社の人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。
○人材育成方針及び社内環境整備方針
当社は、2028年度のありたい姿と、その実現に向けた施策を「中長期ビジョン2028 ~期待の先をカタチに~」として策定しており、その柱の一つとして「飛躍的成長への人事戦略」を掲げております。これは、社員と組織双方の成長サイクルを加速させる各種施策を展開することで中長期ビジョンの実現を支えていくものです。そのためには社員一人ひとりの個性を尊重し、多様な能力・価値観を持つ人財により活躍・成長する機会を提供できる組織風土を確立させていく必要があると考えております。
このための基盤整備として、「女性社員の上級職(管理職相当)への昇格に向けた配置・担当業務の拡大」、「高い専門性を持ったキャリア採用者及び外国人の積極採用」といった取組みを進めております。これらの取組みに継続的に注力するとともに、管理職層をはじめとした社員全体に対して、ダイバーシティの必要性・重要性を学ぶ機会を与える等、さらなる強化を進めてまいります。
2021年度 ・女性活躍推進ワーキンググループ活動開始
- 女性社員のキャリア形成・成長支援を目的として、女性活躍のありたい姿と課題創出
- ありたい姿の実現に向けた対応策を経営層へ提言
2022年度 ・アンコンシャスバイアスに関する全社教育(e-learning 受講率82.4%)
・女性活躍推進委員会を常設で設置
- 2021年度の女性活躍推進ワーキンググループ活動を継続する形で、女性活躍推進委員会の中に課題ごとに3つの部会をおき、社外役員も含む役員との懇談、外部講師による研修、施策検討等を実施し、取締役会及び経営執行会議で活動報告
2023年度 ・部所長向けアンコンシャスバイアス理解浸透研修(WEB研修 受講率94.6%)
・女性活躍推進委員会の3つの部会を2つに統合して前年度からの活動を継続
- 仕事と子育ての両立についての交流イベント実施
- 多様な働き方紹介(シェアオフィスの紹介、社内外のリモートワーク利用と生産性等実態調査)
・外国籍新入社員に対する相談会兼交流会の実施
- 外国籍社員の職場や仕事への適応促進等を目的とした、社長・担当役員との懇談、相談会兼交流会を実施
さらに、当社の気候変動への取組みは以下のとおりであります。
当社は気候変動への対応を重要な経営課題の一つと認識しており、重要な社会課題(マテリアリティ)として「カーボンニュートラル実現をはじめとする地球環境保全への取組み」を掲げております。こうした中、当社は気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures、以下「TCFD」)の提言への賛同を表明いたしました。
TCFD提言は、企業等に対して気候変動に関する「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」の開示を推奨しており、当社はTCFD提言に沿って情報開示を進めてまいります。そして、気候変動が事業に与える影響(リスクと機会)についての分析をもとに、リスクの低減及び機会の創出に向けた対策に取組んでまいります。
現状、具体的な取組みとしては、再生可能エネルギー由来の電気の調達を進めてきております。また、事業で使う自動車の電動車(電気自動車、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、燃料電池自動車)へのシフトを進めており、温室効果ガス排出量を削減しております。
気候変動がもたらすリスク・機会を選別し、シナリオ分析を実施いたしました。シナリオ分析においては、移行面で影響が顕在化する2℃シナリオ(※1)と物理面での影響が顕在化する4℃シナリオ(※2)の2つを選択し、IEA(※3)が発行しているWEO(※4)等のデータをもとに、2050年における財務への影響について定性的に評価しております。
リスク・機会評価
※1 2℃シナリオ…脱炭素社会に向けた規制強化や技術革新が進み、社会が変化することで気温上昇が持続可能な範囲で収まるシナリオ
※2 4℃シナリオ…脱炭素社会に向けた有効な対策が打ち出されず、気温上昇が継続し、異常気象や自然災害が激甚化するシナリオ
※3 IEA(International Energy Agency)…国際エネルギー機関
※4 WEO(World Energy Outlook)…世界エネルギー見通し
※5 時間軸は以下のように定義しています。
中期:2030年頃
長期:2050年頃
各シナリオにおける影響と対策・方針
サステナビリティ委員会は年2回の定例開催加え、必要に応じて随時開催する委員会において、重要な社会課題(マテリアリティ)に関連したリスク及び機会の識別、評価、各種施策の決定及び進捗確認等を行います。
重要事項については取締役会に報告し、取締役会は報告された内容の審議、監督を行います。
また、当社はリスク統制機関としてリスクマネジメント委員会を設置しており、サステナビリティ委員会とリスクマネジメント委員会が連携しながら、全社的なリスクマネジメント体制を構築するものとしております。
STEP1 重要な社会課題(マテリアリティ)に関連したリスクと、リスクだけではなく機会もあわせて抽出。
STEP2 社会からの要請やステークホルダーの期待を踏まえたリスク及び機会の特定。
STEP3 重要度に応じた対応策の策定及び進捗確認。
STEP4 取締役会による審議、監督。
上記「(3) 戦略」において記載した人材育成方針及び社内環境整備方針に係る指標に関しては、目標及び実績は次のとおりであります。
ただし、この指標に関する目標及び実績は提出会社のものを記載しております。理由といたしましては、当社においては関連する指標のデータ管理とともに具体的な取組みが行われているものの、必ずしも連結グループに属する全ての会社では行われておりません。また、会社規模として連結グループにおいては主要な事業を営む当社単体が占める割合が大きいことから、当社の目標及び実績のみを記載しております。今後は連結グループに属する全ての会社におけるデータ管理と具体的な取組みについても検討いたします。
さらに、上級職(管理職相当)について、当社では人事制度として職能資格制度を採用しており、本人の能力に応じて昇格を実施しております。その中で、課レベルの組織のマネジメントができる者を上級職として昇格させており、上級職に昇格した者は人事異動や組織の改編などにより課レベル以上の組織のマネジメント職に就く可能性があることから、管理職相当と判断しております。
2024年3月31日現在:13名
[今後の目標]2025年4月:15名 2030年4月:40名
現在、当社ではキャリア採用にも注力しており、直近3年平均では年間56名を採用、年間採用者数のおよそ45%をキャリア採用者が占めております。今後も少子高齢化が進展する中、新卒採用の競争が激化することが予想されます。そのため、即戦力の確保を目的として、年間50名程度(約40%程度)のキャリア採用を継続的に行う予定であります。
一方、全社におけるキャリア採用者の比率は25%であり、上級職(管理職相当)においては17%がキャリア採用者となっております。当社では資質や能力のある社員の中から新卒採用、キャリア採用の分け隔てなく、上級職(管理職相当)に登用しており、今後もその方針を継続する予定であることから、管理職におけるキャリア採用者の比率は現在の17%を最低水準として維持、向上させる予定であります。
近年、当社では外国籍社員の採用を積極的に推進しております。直近3年の年間平均採用数は3名で、今後も毎年3名程度の採用を継続する予定であります。また、入社後の定着率を向上させるため、外国籍社員の相談会兼交流会を開催しております。ただし、全社に占める外国籍社員の割合は1%にとどまり、2024年3月31日現在の上級職(管理職相当)の外国籍社員は1名であります。外国籍社員の大多数が若手社員であることから、現時点において上級職(管理職相当)への登用に関する目標値の設定は困難であると考えております。
当社は、カーボンニュートラルの実現を目指し、温室効果ガス排出量について中長期の削減目標を設定しております。
[長期削減目標] 2045年までに温室効果ガス排出ゼロを目指す(スコープ1、2※)
[中期削減目標] 2030年度までに温室効果ガス排出量を2018年度比で45%削減する(スコープ1、2※)
※スコープ1・・・直接排出量(ガソリン、軽油、灯油など)
スコープ2・・・間接排出量(電力、冷温水など)
温室効果ガス排出量の実績値は算定中のため、取組み事例と合わせて2024年度発行の統合報告書にて開示予定であります。さらに、スコープ3についてはサプライチェーン全体での排出量可視化に向けた検討段階であり、現時点で実績算定及び目標設定はしておりません。今後取組みが進み次第、有価証券報告書及び統合報告書にて情報を開示いたします。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの事業は、建設業界や公共事業の動向の影響を受けております。当社グループは、積極的な提案営業活動や原価低減等に取り組んでおりますが、景気の後退により民間設備投資及び公共投資が減少した場合には、受注環境が悪化し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの売上の主要な部分は消防法による規制に関連して生じております。この規制が急激に変化した場合には、競争環境に変化が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、自動火災報知設備や消火設備など社会の安全に貢献するための製品・サービスを提供しております。品質管理には万全を期しておりますが、予期せぬ事情により製品・サービスにおいて社会の安全を損なうような不具合等が発生した場合には、当社グループの社会的信用が低下するなどし、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、製品の提供にあたり安定的に原材料等を確保できるよう努めておりますが、原材料等の価格が大幅に上昇した場合や一部の原材料等が供給不足に陥った場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業継続に支障をきたす事態を想定して事業継続計画(BCP)を策定しておりますが、地震等の大規模な自然災害により生産及び販売拠点が被害を受けた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、継続したコンプライアンス教育を行うなど役員及び従業員のコンプライアンス意識の向上に努めておりますが、重大なコンプライアンス上の問題が発生した場合には、当社グループの社会的信用が低下するなどし、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの業績は、建設業界の影響を受ける部分が多いため季節変動があり、売上が第4四半期に集中する傾向があります。
感染症の拡大(パンデミック)が発生した場合には、工事の進捗遅延や民間設備投資が抑制されることによる受注環境の悪化が生じるなどし、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類感染症へ移行されたことに伴う経済活動の正常化が進み、雇用・所得環境などが改善するなか、緩やかな回復基調で推移いたしました。その一方で、物価上昇や為替変動、不安定な国際情勢などにより、先行きは不透明な状況となっております。
当防災業界におきましても、部品の供給制約は概ね解消され、企業収益や業況感が改善するなかで設備投資は緩やかな増加傾向にあることから需要は堅調に推移いたしましたが、依然として原材料価格の上昇の影響などに注視が必要な状況が続いております。
このような状況のなか、当社グループは2028年度のありたい姿と、その実現に向けた施策を「中長期ビジョン2028 ~期待の先をカタチに~」として策定しており、各種の取組みを2022年度から始め、より高い付加価値を創造できる企業への変革に挑戦しております。
この中長期ビジョンの2年目として、積極的な営業活動に努めた結果、当連結会計年度の受注高は123,492百万円(前年同期比8.2%増)、売上高は118,506百万円(前年同期比12.3%増)となりました。
売上原価率は、原材料等の価格高騰が続く厳しい状況のなかで、業務の刷新・原価低減や計画的な価格改定に努めたことなどから、前年同期に比べ0.3ポイント改善し、66.7%となりました。
売上総利益は39,473百万円(前年同期比13.2%増)となり、売上総利益率は前年同期に比べ0.3ポイント上昇し、33.3%となりました。
販売費・一般管理費につきましては、前年同期に比べ1,830百万円増加しましたが、売上高に対する比率は1.1ポイント低下の23.5%となりました。
以上の結果、営業利益は11,662百万円(前年同期比31.3%増)、経常利益は12,242百万円(前年同期比30.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は8,574百万円(前年同期比22.1%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
火災報知設備セグメントにつきましては、積極的な営業に努めた結果、工事付、商品販売ともに増収となったことから、売上高は43,005百万円(前年同期比8.4%増)となりました。また、比較的採算性の高い物件が多く、原材料等の高騰に対して計画的に価格改定に取り組んだこともあり、営業利益は7,674百万円(前年同期比17.9%増)となりました。
消火設備セグメントにつきましては、高層ビル等の一般物件及びプラント・トンネル等の特殊物件ともに増収となったことから、売上高は38,245百万円(前年同期比18.1%増)となりました。また、原価の低減に努めたことから、営業利益は5,020百万円(前年同期比18.6%増)となりました。
保守点検等セグメントにつきましては、受注を着実に積み上げたことから保守点検及び補修工事ともに増収となり、売上高は32,143百万円(前年同期比12.7%増)、営業利益は7,259百万円(前年同期比25.0%増)となりました。
その他セグメントにつきましては、駐車場関連が増収となったことなどから、売上高は5,113百万円(前年同期比2.8%増)となりました。また、厳しい環境ながら原価率の改善に取り組んだものの、営業利益は251百万円(前年同期比11.3%減)となりました。
当社グループは、2028年度のありたい姿を実現するために中長期ビジョンを策定し、2029年3月期に連結売上高を170,000百万円以上、連結営業利益率を10%以上とすることを目指しております。この中間目標として2025年3月期に連結売上高を133,000百万円、連結営業利益率を10%以上とすることを掲げておりましたが、コロナ禍の影響による部品の供給制約や物価の高騰などが中長期ビジョンの数値目標に対する進捗に影響し、2024年5月9日に公表した2025年3月期の業績予想における連結売上高は120,800百万円となっております。ただし、連結営業利益率につきましては、目標達成となる10%を予想しております。このような状況にありますが、各種施策を積極化し、さらなる収益性向上に取り組むことで、引き続き2029年3月期の目標達成を目指してまいります。なお、中長期ビジョンの2年目にあたる2024年3月期の実績につきましては、受注環境が堅調に推移する中で公表していた業績予想を上回り、連結売上高は過去最高となる118,506百万円となっております
(2) 財政状態
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比べ5,883百万円増加し、157,485百万円となりました。これは、現金及び預金が2,255百万円減少したものの、受取手形、売掛金及び契約資産が2,739百万円増加、投資有価証券が2,523百万円増加、原材料及び貯蔵品が1,501百万円増加、退職給付に係る資産1,418百万円増加したことなどによります。
負債は、前連結会計年度末と比べ2,647百万円減少し、32,318百万円となりました。これは、未払法人税等が1,206百万円増加したものの、電子記録債務が5,231百万円減少、退職給付に係る負債が2,107百万円減少したことなどによります。
純資産は、利益剰余金の増加を主因として、前連結会計年度末と比べ8,530百万円増加し、125,166百万円となりました。
セグメント資産につきましては、火災報知設備は前連結会計年度末と比べ2,723百万円増加の55,322百万円、消火設備は前連結会計年度末と比べ2,777百万円増加の38,300百万円、保守点検等は前連結会計年度末と比べ1,675百万円増加の16,907百万円、その他は前連結会計年度末と比べ323百万円減少の4,599百万円となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して2,134百万円の減少となり、45,550百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
仕入債務の減少額4,632百万円、棚卸資産の増加額2,681百万円、売上債権及び契約資産の増加額2,672百万円等による流出があったものの、税金等調整前当期純利益12,263百万円により、営業活動全体では3,279百万円の流入(前連結会計年度は5,194百万円の流入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
主に固定資産の取得による支出により2,657百万円の流出(前連結会計年度は2,613百万円の流出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
主に配当金の支払いにより2,845百万円の流出(前連結会計年度は2,469百万円の流出)となりました。
資本の財源及び資金の流動性につきましては、当社グループは運転資金及び設備投資資金等の必要な資金を主に自己資金で賄っております。当社グループは、防災事業を通じて社会の安全に常に貢献し続けるためには、安定的な財務状況の維持が必要であると考えており、また、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のための成長への投資機会を迅速・確実に捉えるためにも、十分な株主資本の水準を保持することを基本としております。当社グループはさらなる成長のため、研究開発などに積極的に投資していく方針であります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
なお、感染症の拡大(パンデミック)の影響等不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、当連結会計年度末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(a)繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断しております。
収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度及び組戻・繰越期間における課税所得を見積っております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(b)退職給付債務の算定
当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在します。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には割引率等の様々な計算基礎があります。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。
退職給付債務の算定において、主要な仮定の変化が当連結会計年度末の退職給付債務に与える感応度は以下のとおりであります。マイナス(△)は退職給付債務の減少を、プラスは退職給付債務の増加を表しております。感応度分析は分析の対象となる数理計算上の仮定以外のすべての数理計算上の仮定が一定であることを前提としております。
当連結会計年度末(2024年3月31日)
なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(退職給付関係)(9)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりであります。
(c)減損会計における将来キャッシュ・フロー
減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローは、中期経営計画の前提になった数値を、経営環境などの外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(予算など)と整合的に修正し、資産グループの現在の使用状況等を考慮し見積っております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において将来の減損損失(特別損失)が発生する可能性があります。
(d)工事損失引当金
受注時における戦略的低採算案件や工事契約における未引渡工事のうち損失の発生する可能性が高く、工事損失額を期末において合理的に見積ることの出来る工事については、当該損失見込額を工事損失引当金として計上しています。
工事の進行に伴い見積りを超えた原価が発生する場合は当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
(e)工事履行保証損失引当金
見積りや前提条件については「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4会計方針に関する事項 (3)重要な引当金の計上基準 ⑦工事履行保証損失引当金 及び(連結貸借対照表関係)※3偶発債務 (3)その他」 に記載のとおりであります。
(f)完成工事高及び完成工事原価の計上
一定の期間にわたり充足される履行義務については、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき収益を一定の期間にわたり認識する方法を適用しております。履行義務の充足に係る進捗度の測定は、各報告期間の期末日までに発生した工事原価が、予想される工事原価の合計に占める割合に基づいて行っております。また、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積もることができないが、発生する費用を回収することが見込まれる場合は、原価回収基準にて収益を認識しております。契約内容・工程・期間について重要な変更が生じ、工事進捗度を見積る基礎となる施工実行予算の見直しを行うことで、工事原価総額及び工事進捗度に影響がある場合は、完成工事高及び完成工事原価が影響を受け、当社グループの業績を変動させる可能性があります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 金額はすべて製造原価及び実際発生原価によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 金額はすべて販売価格(取付工事代を含む)に換算しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 金額はすべて販売価格(取付工事代を含む)に換算しております。
該当事項はありません。
当社グループは、社会の安全に貢献することを基本理念として、火災事象の基礎研究をベースとした火災の早期検知・消火方法の確立に努めており、これらをもとに新しい防災システムの構築及び機器の開発を行っております。
現在、研究開発は当社の技術部を推進母体として研究開発センター、工場の設計部門等により推進されております。研究開発スタッフはグループ全体で142名であり、これは総従業員の約5%にあたります。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は
当連結会計年度におけるセグメントの研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は、次のとおりであります。
火災受信機の「分かりやすさ」と「使いやすさ」の機能性向上に取り組んでおります。
住宅用火災警報器は火災を感知すると無線で連動し、事前にグループ登録した全ての警報器から音声で火災を
知らせる無線式連動型タイプに上位機種を追加いたしました。
① P型受信機は2.4型グラフィックタイプLCDを搭載して分かりやすさを向上させ、LCD画面内の2次元コードを
読み込むことで取扱説明書を閲覧する使いやすさを実現いたしました。
また、新型感知器は全ラインアップで360°視認可能な確認灯を搭載した新型感知器および、業界最小で
意匠性が向上した小形熱感知器を製品化いたしました。
② 国の特例基準を取得し、業界初の無線式連動型住宅用火災警報器(CO反応式)を製品化いたしました。
CO(一酸化炭素)センサを搭載して、くん焼性の火災時に多く発生するCOを捉えると煙感度を約2倍に
切り替えて火災をより早く発見し、事前にグループ登録した全ての警報器から火災を一斉に警報します。
当連結会計年度に係る研究開発費は
有機フッ素化合物・PFASの世界的な規制動向を踏まえ、脱PFASに取り組んでおります。
当社独自製品である高発泡消火設備「インサイドエアHi-ExシステムPerf-Ex」用にPFASを使用しない
泡消火薬剤を開発いたしました。
当連結会計年度に係る研究開発費は