文中における将来に関する記載は、有価証券報告書提出日現在において、将来に関する見通しおよび計画に基づき当社グループが合理的に判断したものであり、これらの記載は実際の成果と異なる可能性があるとともに、その達成を保証するものではありません。
(1) 経営の基本方針
当社グループは、人間社会における存在価値を高めることを目指し、次の企業理念を掲げています。
「私たち山洋電気グループは、すべての人々の幸せをめざし、人々とともに夢を実現します。」
この企業理念の遂行のために、次の6つの経営理念と私たち自身が遵守すべき行動規範を定め、企業活動をおこなっています。
(2) 目標とする経営指標等
当社グループでは、2021年4月から期間を5年とする「第9次中期経営計画」をスタートさせました。
① 計画の目的
・殻を破る。
・山洋電気グループが、グローバル企業として「世界のトップブランド」を構築する。
② 重要方針
・私たちの強みを武器にすべての殻を破る。
・新たな地域・新たな業界で市場を広げる。
・新たな夢を実現する製品を開発する。
・新たなビジネスを創り出す。
・ナンバーワンの業務品質にする。
・どんな変化も得意にできる企業体質にする。
また、当社グループは持続的な成長のために、中長期的に重視すべき目標と経営指標を定めています。
① フリー・キャッシュ・フローを重視した経営をする。
② ROE 10%以上を目標とする。
③ 営業利益率を重視した経営をする。
(3) 経営環境及び対処すべき課題等
① 経営環境
当連結会計年度における世界経済は、米国の個人消費が堅調な一方、中国や欧州では景気の回復に遅れが見られました。
日本経済は、安定した企業収益を背景とした設備投資が底堅く、緩やかに景気が回復してきましたが、世界経済の回復の遅れにともない、経済活動は弱い動きとなりました。
そのような中で、当社グループの主要な販売市場である通信装置、ロボット、半導体製造装置などのファクトリーオートメーション市場からの需要は全体的に低調でしたが、AIに関連した市場では、回復の兆しが見られました。
これらの前提のもとに翌連結会計年度(2026年3月期)は売上収益107,100百万円、営業利益11,550百万円、税引前当期利益11,950百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益8,500百万円を予想としています。
② 対処すべき課題等
このような経営環境のもと、当社グループでは、現在、第9次中期経営計画の達成に向けて、次の取り組みを推進しています。
また、当連結会計年度の取り組みに対する主な成果は次のとおりです。
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取り組みは、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものです。
山洋電気グループは、当社グループが持つ技術と強みを活かし、企業理念に掲げる「すべての人々の幸せを目指し、人々とともに夢を実現する」社会の創造を目指します。
当社グループは、社会課題の解決に真摯に向き合い、これまでにない新製品の開発や、世の中にないサービスを提供していくことで、新たな価値の創出と持続可能な社会の実現に向けて取り組んでまいります。
当社グループでは、代表取締役を委員長とする企業行動規範委員会を設置し、企業理念および企業行動規範に基づいた行動と判断ができる社員の育成が、当社グループの持続的な事業の成長と社会課題の解決を実現するものと位置付けております。この委員会では、企業理念に基づいた行動と判断のできる人材を育成するため、グループ全体への敷衍活動、およびそのモニタリングとして、年に2回の全社教育および自己点検の場を設けることで、持続的に事業の成長と社会課題の解決が図られる仕組みを構築しています。
(2)リスク管理
危機管理委員会は代表取締役を委員長として、リスクの特定、評価、管理、対策立案とその実行をおこなっております。また危機発生時には危機のレベルに応じた対策本部を設置し適切に対処します。
ここで特定・管理されるリスクは、当社グループの事業継続上のリスクとして捉えられ、定期的に取締役会へ報告されます。
(人的資本強化の基本的な考え方)
当社グループは社員一人ひとりが、仕事や会社生活を通じて、自己実現を図れる会社であることを目指しています。そして、社員が生き生きと働き、それぞれの能力を最大限に発揮することこそが、当社グループの中長期的な成長と社会貢献につながると考えます。
当社グループでは、社員の採用活動や人事考課、管理職への登用などにおいて、多様性を前提とするのではなく、1990年代より、人種・宗教・国籍・出身・性別・年齢・障害・個人的嗜好などによる何らの差別をせず、すべての社員を等しく処遇し、能力と成績を公平・公正に評価してきました。公平・公正な評価を監視するために人事評価監査委員会を設置しています。
当社グループでは、グローバルな経営を推進するため、現地の人材を積極的に各国の経営層や管理職に登用しています。現在、各国拠点のうち2/3において、現地の人材が代表者を務めています。さらに、そのうちの約半数を女性が占めています。なお、女性を積極的に管理職・経営職に登用するという逆差別はせず、すべての社員を何らの差別もなく公平に評価しています。
当社グループでは、グループ会社共通の価値観を浸透させるとともに、企業価値の向上を実現するため、個々の専門性をじゅうぶんに活かせる組織体制を構築しています。当社グループはグローバルに事業を展開しており、様々な国籍や文化を持つ社員が就業しています。また、グループ経営を強化し、企業風土の変革や新たな価値の創造を推進する人材の育成に向け、教育訓練を体系的、かつ継続的におこなっています。
しかしながら、将来において、計画どおりの人材が確保できない場合には、当社グループの競争力は低下し、長期的には事業展開を滞らせ、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(ダイバーシティ&インクルージョン)
当社グループでは国籍・人種・出身・性別・年齢・宗教・学歴・信条・個人的な嗜好などによって、何らの差別もなく、すべての社員を等しく処遇し、能力と成績を公平・公正に評価しています。社員の採用にあたってもこの方針を厳守しています。今後も、この方針に誇りをもって堅持し、社員が安心して働ける環境の整備を推進してまいります。
(ワークライフバランスの推進)
社員一人ひとりが持つ能力を職務で最大限に発揮できるよう、ワークライフバランスに配慮した、働きやすい環境づくりに向けた取り組みをおこなっています。その一つとして、適正な労働管理を徹底し、長時間労働の防止や有給休暇取得の向上を推進しています。また、働き方の多様性も推進しており、フレックスタイムや在宅勤務、時短勤務など、社員が柔軟な働き方ができる環境を整えています。
(健康経営の推進)
当社グループでは、健康経営の推進が中長期的な成長と社会貢献につながるという考えのもと、2021年8月に「山洋電気グループ 健康経営宣言」を策定いたしました。また、代表取締役会長を健康経営委員会の委員長とし、健康経営委員会メンバーが中心となり、社員が心身の健康を維持し、健康増進が図れるよう、当社グループの健康経営に取り組んでいます。2025年3月に山洋電気株式会社と山洋電気テクノサービス株式会社は「健康経営優良法人(大規模法人部門)~ホワイト500~」に認定されました。健康経営優良法人は2022年以降4年連続4度目の認定、そのうち評価の高い上位500法人が認定される「ホワイト500」には2023年度に続き、2度目の認定となりました。

健康課題に基づいた具体的目標
当社グループでは、「山洋電気グループ 健康経営宣言」に基づき、以下の目標に取り組んでまいります。
・働きやすい職場づくり ~健康リスクの高い職場をゼロに~
ストレスチェックの定期的な実施や結果のフィードバックをおこない、健康リスクの高い職場には、保健師の
サポートによる職場改善活動をおこなうなど、健康リスクの低減に努めます。
2024年度ストレスチェックの健康リスク値が低い職場比率:95.6%(2023年93.4%)(前年比2.2%の改善)
・有所見改善率の目標:前年比 100%
健康診断において有所見が見られた社員に対しては、保健指導や受診勧奨をおこない、健康増進を図ります。
また、社員食堂では健康増進メニューを提供するなど、食生活の改善もサポートしていきます。
2024年度有所見率:70.4%(2023年度 67.0%)(前年比3.4%の増加)
・運動習慣の改善率の目標:前年比 100%
運動意識アンケートやウォーキングイベントなどを実施し、社員の運動機会の増進と習慣化を促します。
2024年度運動習慣者比率:22.2%(2023年度 22.4%)(前年比 0.2%の減少)
(人権方針の制定)
当社グループでは、2025年4月に「山洋電気グループ人権方針」を制定いたしました。この方針は、全社員およびサプライチェーンにおける人権尊重の重要性を認識し、これらに関する取り組みを推進する目的から制定したものです。
この方針は、当社グループが掲げる企業行動規範に基づいた、人権に関する最上位の方針として、取締役会においてその内容を決定しております。ここで決定された方針を当社グループの事業活動に浸透させ、すべてのステークホルダーとの健全で長期的な信頼関係を構築することで、人権尊重の取り組みを一層推進し、人権侵害の未然防止を図っています。
https://www.sanyodenki.co.jp/corporate/environmental_social/human_rights.html
当社グループでは、環境に関する課題を分析し、環境への取り組み状況の進捗管理および推進をおこなう機関として、取締役が委員長を務める環境対策委員会が中心となって活動しています。気候変動リスクについても環境対策委員会において、リスクの特定、評価、管理、対策の立案とその実行をおこなっています。取締役会へは事業に大きな影響を及ぼす事項が報告されます。
(主な事業リスクに対する戦略)
当社グループにおける気候変動の顕在化のリスクとしては、炭素税導入や製品の原材料・電力価格の高騰などによる製造コスト増加、また自然災害による工場設備の損傷や、社員への被害により生産活動そのものに影響を受ける、もしくはその対策のための費用の発生といったものが想定されます。
一方で、環境負荷を低減した製品、再生エネルギー普及やBCP対策の推進に寄与する技術や製品など、当社が活躍できる市場が広がることで売上増加の機会にもなり得ます。
これらのリスクと機会は、当社の事業戦略や財務に直接的な影響を及ぼします。
当社グループでは、環境対策委員会において気候変動に関連する規制や事業継続に影響のあるリスクを把握し、リスク顕在化の防止および損失の最小化に向けて対策を講じるなど、適切に管理しています。また危機発生時には危機のレベルに応じた対策本部を設置し、適切に対処します。
ここで特定・管理されるリスクは、当社グループの事業継続上のリスクとして捉えられ、定期的に取締役会へ報告されます。
当社では、気候変動に係る指標として、生産活動におけるCO2排出量、製品のライフサイクルにおけるCO2排出量、環境適合設計製品の売上比率などにおいて、目標設定および実績の評価をおこなっています。当社グループの生産活動におけるCO2排出量を2030年度に46%削減(2017年度比)、2050年度までに実質ゼロとする中長期目標(注)を策定しております。これらは取締役が委員長を務める環境対策委員会にて実績の評価および施策の策定を実施しています。
引き続き、気候変動問題への取り組みに注力するとともに、TCFDの枠組みに基づき、気候変動に係るリスクおよび収益獲得の機会が当社の事業活動や収益等に与える影響について、タイムリーな情報の開示に努めてまいります。
(注) 山洋電気株式会社、山洋電気テクノサービス株式会社および山洋電気ITソリューション株式会社を対象と
しています。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況などに関する事項のうち、当社グループの経営成績、および財務状況に重要な影響を及ぼす可能性のある主なリスクには、次のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する記載は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものです。
(1)景気変動のリスクについて
当社グループは主に冷却ファン、電源機器、サーボアンプ、サーボモータを生産、販売しています。当社グループの製品は、主に日本およびフィリピンで生産され、国内、および北米、ヨーロッパ、東アジア、東南アジアへ販売しています。当社グループの主要な販売市場である工作機械・ロボット・半導体製造装置などの業界は景気動向の影響を受けやすく、国内外の景気が低迷した場合、企業収益の悪化にともなう設備投資の抑制などにより受注が減少する可能性があります。
当社グループは、幅広い分野の販売市場を開拓し、グローバルな事業展開をすることにより、事業構造の強化を目指していますが、国内外の景気が低迷し、予測の範囲を大幅に超えて受注が減少した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)急速な技術革新のリスクについて
当社グループが事業を展開する市場においては、急速な技術革新、顧客のニーズの変化などによって、既存の製品、サービスの陳腐化のスピードが速まっており、競合他社に対する当社グループ製品の優位性が損なわれるリスクが存在します。
このような技術環境のなかで、当社グループは、設計開発活動の充実、生産技術の向上、生産活動の効率化、品質管理の徹底などにより、業界No.1の性能、品質、信頼性を有する製品の製造に取り組んでいますが、当社グループが、技術および顧客のニーズの変化に適切に対処できない場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)グローバル展開におけるリスクについて
当社グループは、「グローバル化」を中期経営計画の施策の一つとしていますが、海外市場で事業を拡大するにあたっては、進出先地域における地政学的要因、言語、習慣、法制、税制などの規制に起因する様々な潜在的なリスクが存在します。
新たな地域で事業を展開するにあたっては、該当地域についてじゅうぶんな調査をおこない、事業展開後も現地の情勢に常時留意していますが、当社グループが、これらのリスクの顕在化に適切に対処できない場合、また、これらの変化に対処するために多大な費用を負担しなければならない場合には、当社グループのグローバル展開および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)ガバナンス体制のリスクについて
当社グループは、経営の透明性の確保やコーポレート・ガバナンスの充実を図るとともに、経営環境の変化に迅速に対処できる体制を構築、維持することを重要な施策としています。しかしながら、事業の急速な拡大や変化、もしくはコーポレート・ガバナンス体制の構築時には想定外であった社会環境の変化など、様々な要因により、体制の機能が低下する可能性があります。
当社グループがこのような状況に適切に対処できず、正常なコーポレート・ガバナンス体制の維持が困難となり、企業価値が毀損し、社会的信用が失墜するというような事態に陥った場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)情報システムのリスクについて
当社グループは、事業上の重要情報および役職員や顧客などの個人情報を保有しています。当該情報の漏洩を防ぐため、情報管理を徹底し、社員教育を定期的におこなっていますが、不測の事態によって情報の漏洩が発生する可能性があります。
また、情報システムへのサイバー攻撃対策やITガバナンスの強化などを実施していますが、想定を超える攻撃やインフラの障害などによって、重要なデータの消滅、改竄、漏洩、システムダウンなどが発生する可能性があります。
その結果、情報の流出によって被害を受けた関係者への補償、企業価値の毀損、社会的信用の失墜というような事態に陥った場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)雇用のリスクについて
当社グループでは、グループ会社共通の価値観を浸透させるとともに、多様性を尊重し、企業価値の向上を実現するため、個々の専門性をじゅうぶんに活かせる組織体制を構築しています。当社グループはグローバルに事業を展開しており、様々な国籍や文化を持つ社員が就業しています。また、グループ経営を強化し、企業風土の変革や新たな価値の創造を推進する人材の育成に向け、教育訓練を体系的、かつ継続的におこなっています。
しかしながら、将来において、計画どおりの人材の確保ができない、あるいは専門性の高い人材の育成ができない場合には、当社グループの競争力は低下し、長期的には事業展開を滞らせ、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)自然災害のリスクについて
当社グループは、生産・販売・調達・研究開発などの拠点を世界各国に置き、グローバルに事業を展開しています。このようななかで、巨大台風の襲来、大地震、河川の氾濫、火山の噴火にともなう降灰、感染症の流行などが発生した場合、当社グループの社員および施設が被災し、事業活動が中断、生産および出荷が遅延する可能性があります。
また、インフラの寸断やサプライチェーンの混乱による部品の供給不足、物流の停滞、および市場の混乱が生じる可能性があります。当社グループでは、自然災害などによる拠点での被災を想定して、危機管理委員会を設置し、社員安否確認システムの運用、防災計画、事業継続計画の策定などによって、人命の安全確保、事業の維持継続、被害・損失の最小化、社会的信用の維持に努めています。しかしながら、自然災害などによる被害を完全に回避できるものではなく、そのような状況においては、事業活動の縮小など、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)知的財産のリスクについて
当社グループでは、製品の開発およびサービスの提供のなかで、競合他社に対する優位性を保つため、新たな技術やノウハウを蓄積し、知的財産権の保有に努めていますが、一部の地域では法的な制約のためにその権利がじゅうぶんに保有されない場合があり、第三者による予期せぬ不正使用の結果、当社グループの信頼を損ねるような取引・行為がなされる可能性があります。
また、当社グループでは、他社の権利を侵害しないように製品の開発、およびサービスの提供を進めていますが、見解の相違などの理由により、他社の知的財産権を侵害しているとみなされ、当社グループが事業遂行上重要な技術を使用できず、適切な製品の開発やサービスの提供ができなくなる可能性や、多額の損害賠償責任を負う可能性があります。
いずれの場合においても、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)製造物責任リスクについて
当社グループは、厳格な品質管理体制を構築し、国内外の顧客に対して均一で高品質な製品やサービスを提供していますが、当社グループの製品あるいはサービスに欠陥が生じた場合、その欠陥に起因した損害に対して当社グループが賠償責任を負う可能性があり、またその欠陥に対処するために多額の費用が発生する可能性があります。さらに、当該問題に関する報道などにより、当社グループの企業価値が毀損し、社会的な信用を失墜する事態に陥り、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)調達のリスクについて
当社グループは、日本および海外から多くの部品や原材料を調達しており、予測の範囲を超える市況変動があった場合には、当社グループの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、部品・原材料の市況変動に左右されない体制の維持のために、調達先の分散、製品設計の変更、代替部品の評価、購入部品から社内生産への変換などを推進するとともに、財政状態に大きな影響を与えるような市況の変動が生じた場合には、適宜、販売価格への反映をおこなっていますが、これらの施策を実施できない場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)為替リスク
当社グループでは、為替レートの変動による財政状態への影響を最小限に抑えるため、外貨建資産・負債のバランスを考慮しながら部品・原材料の調達および販売活動をおこなっていますが、連結財務諸表作成の際に各会計年度の平均レートを用いて円換算をおこなっており、円換算時の為替レートによって換算後の価値が変動することから、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)人権リスク
当社グループが属する事業環境において、人権への配慮やそれにともなう社会からの要求は一層増大しています。当社グループは従前から、企業行動規範において人権尊重に関する基本方針と指針を定め、多くの施策を実行してきました。また、2025年4月にはこの基本方針と指針を「山洋電気グループ人権方針」として新たに制定し、当社グループの人権に関する最上位の方針として位置付けることで、人権尊重の取り組みを一層推進しています。しかしながら、サプライチェーン上の予期せぬ事態により、人権問題が発生した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
1.経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
(経営成績の状況)
当連結会計年度における世界経済は、米国の個人消費が堅調な一方、中国や欧州では景気の回復に遅れが見られました。
日本経済は、安定した企業収益を背景とした設備投資が底堅く、緩やかに景気が回復してきましたが、世界経済の回復の遅れにともない、経済活動は弱い動きとなりました。
そのような中で、当社グループの主要な販売市場である通信装置、ロボット、半導体製造装置などのファクトリーオートメーション市場からの需要は全体的に低調でしたが、AIに関連した市場では、回復の兆しが見られました。
その結果、当連結会計年度における連結売上収益は97,847百万円(前年同期比13.3%減)となり、連結営業利益は7,936百万円(前年同期比32.8%減)、連結税引前当期利益は8,003百万円(前年同期比39.9%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は5,637百万円(前年同期比46.2%減)となりました。
受注高は89,391百万円(前年同期比18.7%増)、受注残高は35,882百万円(前年同期比19.1%減)となりました。

当社は、経営基盤と事業体制の強化を目的とし、2024年4月1日付で社内カンパニー制を導入しました。取締役会は、各カンパニーの業績をもとに経営資源の配分、意思決定、評価をおこなうことから、報告セグメントを、地域別のセグメント区分からカンパニー別のセグメント区分に変更しました。
変更内容の詳細は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.セグメント情報」をご参照ください。
各セグメントの業績は次のとおりです。前年同期の比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値にておこなっています。また、当連結会計年度よりセグメント売上収益には外部顧客への売上収益を記載しています。
(注) 1. セグメントごとの外部顧客への売上収益を記載しています。
2. 調整額は、セグメント間取引の消去によるものです。
①サンエースカンパニー
サンエースカンパニーの製品「San Ace」は、高性能サーバやネットワーク機器向けなどの需要が堅調でした。また、北米や国内の販売店からの需要は、顧客の在庫調整の改善から新規の受注に回復の傾向が見られました。一方、無線基地局などの通信インフラ機器、サーボアンプやインバータなどの制御機器、半導体製造装置向けの需要は低調でした。
その結果、セグメント売上収益は38,062百万円(前年同期比11.5%減)、セグメント利益は6,856百万円(前年同期比20.1%減)、受注高は32,266百万円(前年同期比20.9%増)、受注残高は12,569百万円(前年同期比31.6%減)となりました。
②エレクトロニクスカンパニー
エレクトロニクスカンパニーの製品「SANUPS」は、情報通信、データセンタ向けサーバ、消防・道路交通関連等の社会インフラ向け、および防衛システム向けの需要が堅調でした。また、太陽光・水力・風力発電システムを含めた再生可能エネルギー向けも安定した需要が継続しました。一方、半導体製造装置用途向けの需要は低調でした。
エレクトロニクスカンパニーの製品「SANMOTION」は、半導体製造装置、ウェハ搬送ロボット向けの需要は、AI関連と中国向けの設備投資は堅調でしたが、従来の水準にまで回復するには至らず、低調でした。また、中国市場の低迷により、金属加工機、射出成形機、工作機械向けの需要は低調に推移しましたが、一部に回復の兆しが見られました。
その結果、セグメント売上収益は21,149百万円(前年同期比11.2%減)、セグメント利益は483百万円(前年同期比68.6%減)、受注高は19,667百万円(前年同期比4.1%減)、受注残高は9,993百万円(前年同期比12.9%減)となりました。
③モーションカンパニー
モーションカンパニーの製品「SANMOTION」は、電子部品実装機向けの需要が、前半は堅調でした。半導体製造装置、ウェハ搬送ロボット向けの需要は、AI関連と中国向け設備投資は堅調でしたが、従来の水準にまで回復するには至らず、低調でした。また、中国市場の低迷により、金属加工機、射出成形機、工作機械、ロボット向けの需要は低調に推移しましたが、一部に回復の兆しが見られました。
その結果、セグメント売上収益は32,971百万円(前年同期比18.3%減)、セグメント利益は291百万円(前年同期比81.5%減)、受注高は31,839百万円(前年同期比40.3%増)、受注残高は11,686百万円(前年同期比8.8%減)となりました。
④その他
電気機器の販売事業、および電気工事事業などを「その他」セグメントとして区分し、計上しています。
産業用電気機器・制御機器および電気材料は、医療機器関連や造船関連、公共インフラ関連の需要が堅調に推移しました。一方、半導体業界、ロボット業界向けの需要は低調でした。
電気工事事業は、主要顧客である鉄鋼業界からの需要は、老朽化した電気設備の点検、補修工事が計画どおりにおこなわれ堅調に推移しました。一方、一般産業向けの電気設備工事の需要は、従来の水準に回復するまでには至らず、低調でした。
その結果、セグメント売上収益は5,663百万円(前年同期比1.3%減)、セグメント利益は276百万円(前年同期比254.0%増)、受注高は5,617百万円(前年同期比3.5%増)、受注残高は1,633百万円(前年同期比2.8%減)となりました。

当社グループが事業展開する地域ごとの状況は、「第2事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 (2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容 ②連結経営成績の分析」に記載しています。
(財政状態の状況)
当連結会計年度末における財政状態は、前連結会計年度末と比較して、資産合計は5,059百万円の減少、負債合計は8,033百万円の減少、資本合計は2,974百万円の増加となりました。
資産の主な変動要因は、営業債権及びその他の債権の減少2,951百万円、棚卸資産の減少2,696百万円によるものです。
負債の主な変動要因は、借入金(流動負債)の減少4,720百万円、借入金(非流動負債)の減少2,397百万円、営業債務及びその他の債務の減少791百万円によるものです。
資本の主な変動要因は、利益剰余金の増加5,353百万円、その他の資本の構成要素の減少2,407百万円によるものです。
また、各セグメントの財政状態は次のとおりです。
(注)「その他」にはセグメント間取引の消去を含めています。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、28,898百万円となり、前連結会計年度末より2,211百万円増加いたしました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動による資金の増加は、15,788百万円(前連結会計年度は21,452百万円の増加)となりました。これは主に、税引前当期利益8,003百万円、減価償却費及び償却費5,959百万円、営業債権及びその他の債権の減少額2,878百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動による資金の減少は、3,734百万円(前連結会計年度は6,466百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出2,666百万円、その他支出1,142百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動による資金の減少は、9,690百万円(前連結会計年度は10,666百万円の減少)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出3,710百万円、短期借入金の純減少額3,435百万円、配当金の支払額1,786百万円によるものです。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
(注) 1 セグメント間取引については、内部振替前の数値によっています。
2 金額は、販売価格によっています。
3 上記金額には、消費税等は含まれていません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しています。
2 上記金額には、消費税等は含まれていません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しています。
2 上記金額には、消費税等は含まれていません。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
(1) 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり、過去の実績や状況に照らし合理的と考えられる前提に基づき、会計上の見積りを実施しています。
なお、当社グループで採用する個々の項目は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性のある会計方針」に記載しています。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
当社グループの第9次中期経営計画は、「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しています。この計画のもと、当連結会計年度の財政状態および経営成績等は次のとおりです。
① 連結財政状態の分析
(資産)
流動資産は、営業債権及びその他の債権の減少や棚卸資産の減少により、前連結会計年度末に比べて2,095百万円減少しました。非流動資産は、有形固定資産の減少やその他の金融資産の減少により前連結会計年度末に比べて2,964百万円減少しました。その結果、当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて5,059百万円減少の145,628百万円となりました。
(負債)
流動負債は、借入金の返済による減少や営業債務及びその他の債務の減少により、前連結会計年度末に比べて6,604百万円減少しました。非流動負債は、借入金の減少や、退職給付に係る負債が増加したことにより前連結会計年度末に比べて1,429百万円減少しました。その結果、当連結会計年度末における負債合計は前連結会計年度末に比べて8,033百万円減少の32,280百万円となりました。
(資本)
当期利益の計上、および配当金の支払により利益剰余金は5,353百万円増加しました。また、保有する金融資産の公正価値の変動等により、その他の資本の構成要素が2,407百万円減少しました。その結果、資本合計は前連結会計年度末に比べて2,974百万円増加の113,347百万円となりました。
② 連結経営成績の分析
当連結会計年度は、当社グループの主要な販売市場である通信装置、ロボット、半導体製造装置などのファクトリーオートメーション市場からの需要は全体的に低調でしたが、AIに関連した市場では、回復の兆しが見られました。その結果、当連結会計年度の連結売上収益は97,847百万円となり、前連結会計年度に比べ15,057百万円減少しました。
また、販売費及び一般管理費につきましては、人件費が増加し、荷造運送費が減少しました。その結果、当連結会計年度の販売費及び一般管理費は17,760百万円となり、前連結会計年度に比べ151百万円減少しました。
以上から、連結営業利益は前連結会計年度に比べ32.8%減の7,936百万円、連結税引前当期利益は前連結会計年度に比べ39.9%減の8,003百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前連結会計年度に比べ46.2%減の5,637百万円となりました。
セグメントごとの売上収益に関する分析は、「第2事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (1) 財政状態および経営成績の状況」に記載しています。
また、当社グループが事業展開する地域ごとの外部顧客への売上収益に関する分析は、次のとおりです。
(日本)
日本には、当社および連結子会社の山洋工業株式会社、山洋電気テクノサービス株式会社、山洋電気ITソリューション株式会社があります。
日本では、医療機器、公共インフラ向けの需要は堅調に推移しました。一方、半導体製造装置、ウェハ搬送ロボット向けの需要は低調に推移しました。売上収益は前連結会計年度に比べ15.9%減の59,945百万円となりました。
(北米)
北米には、連結子会社のSANYO DENKI AMERICA,INC.があります。
北米では、AI関連、医療機器向けの需要は堅調に推移しました。一方、半導体製造装置向けの需要は低調でした。売上収益は前連結会計年度に比べ1.8%減の20,990百万円となりました。
(ヨーロッパ)
ヨーロッパには、連結子会社のSANYO DENKI EUROPE S.A.およびSANYO DENKI GERMANY GmbHがあります。
ヨーロッパでは、医療機器向けの需要は堅調でした。一方、FA関連やEV関連向けの需要は減少しました。売上収益は前連結会計年度に比べ27.8%減の6,970百万円となりました。
(東アジア)
東アジアには、連結子会社の山洋電气(上海)貿易有限公司、山洋電氣(香港)有限公司、台灣山洋電氣股份有限公司、SANYO DENKI KOREA CO.,LTD.、上海山洋電气技術有限公司、山洋電气貿易(深圳)有限公司、中山市山洋電气有限公司、山洋電气精密機器維修(深圳)有限公司、山洋電气(天津)貿易有限公司および山洋電气(成都)貿易有限公司があります。
東アジアでは、EV関連向け、半導体製造装置の需要は堅調に推移しました。一方、ロボットや工作機械向けの需要は低調に推移しました。売上収益は前連結会計年度に比べ6.3%増の8,679百万円となりました。
(東南アジア)
東南アジアには、連結子会社のSANYO DENKI PHILIPPINES,INC.、SANYO DENKI INDIA PRIVATE LIMITED およびSANYO DENKI (THAILAND) CO.,LTD.があります。
東南アジアでは、前半は半導体関連装置の需要が低調でしたが、後半は一部回復に転じました。売上収益は前連結会計年度に比べ48.6%減の1,261百万円となりました。

また、翌連結会計年度(2026年3月期)の予想につきましては、「第2事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境及び対処すべき課題等 ① 経営環境」に記載のとおりです。
③ 資本の財源および資金の流動性の分析
当連結会計年度の資本の財源の分析は以下のとおりです。
(フリー・キャッシュ・フロー)
当社グループでは、フリー・キャッシュ・フローを重視した経営をおこなっています。
当社グループのキャッシュ・フロー関連の指標は、次のとおりです。
(注)フリー・キャッシュ・フロー:営業活動によるキャッシュ・フロー + 投資活動によるキャッシュ・フロー
当社グループは、第9次中期経営計画に掲げた目標の達成に向け、生産能力の増強を目的とした設備投資をおこないました。営業活動により獲得した現金、および金融機関からの計画的な資金調達によって、企業活動に必要な資金をじゅうぶんに確保しています。
当社グループでは、今後も資本の健全性や、成長のための投資との最適なバランスを勘案したうえで、内部留保の確保および株主還元の充実に努める方針です。
(ROE)
当社グループは、中長期的に重視すべき経営指標の目標値として、ROE10%以上を目標とした経営をおこなっています。当連結会計年度につきましては、当期利益の減少にともない、前連結会計年度の10.3%から低下し、5.0%となりました。
(営業利益率)
当社グループは、グローバル企業として「世界のトップブランド」の構築を目標としており、トップブランドにふさわしい企業グループとなることを目指して、営業利益率を重視した経営をおこなっています。当連結会計年度における営業利益率は、次のとおりです。
(3) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、2021年4月から期間を5年とする「第9次中期経営計画」をスタートさせました。計画の目的、重要方針、行動指針および重視すべき経営指標と目標値については、「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しています。
該当事項はありません。
当社グループは、営業部門と設計開発部門が一体となり、お客さまが新たに価値創造ができる製品の開発をおこなうことを基本方針としています。
研究開発活動は、「地球環境を守るための技術」、「人の健康と安全を守るための技術」、「新しいエネルギーの活用と省エネルギーのための技術」への貢献をめざし、3つの事業部において積極的に推進しています。
研究開発の体制は、当社テクノロジーセンターを主要な拠点とし、市場ニーズの先取りやお客さまの要求に即応できるよう、設計開発部門をグループ制とするなど、課題ごとのチーム編成が容易となる体制としています。
無形資産に計上された開発費を含む当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、
なお、研究開発費のセグメントはサンエースカンパニー、エレクトロニクスカンパニー、モーションカンパニーで計上されています。
また、セグメント別の研究開発活動は、次のとおりです。
(サンエースカンパニー)
「San Ace」においては、次のような開発に取り組みました。
高い冷却性能を必要とする高機能サーバ・通信機器などを中心に、二重反転ファンが使用されています。これら装置のさらなる高性能化にともない、既存製品では冷却できない領域をカバーするより高い冷却性能が必要とされています。このような市場の要求に応えるため、低消費電力化を図り、業界トップの高静圧、高風量を実現した二重反転ファン「San Ace 60」 9CRHタイプ、 「San Ace 80」 9CRHタイプを開発しました。
また、実装密度の高い1Uサイズ(≒44.45mm)のサーバや薄型のスイッチング電源、通信機器などの装置の高性能化は今後もさらに進み、高い冷却性能が必要となることが想定されることから、業界トップの高静圧・高風量を実現した38mm角×28mm厚の「San Ace 38」9HVAタイプを開発しました。
120mmサイズの防水ファンは,EV充電器・蓄電池・太陽光発電用インバータ・デジタルサイネージ・植物工場など、高い防水・防塵性能が求められる屋外設置の装置に広く使用されています。このような装置には、省スペース・低消費電力・低騒音が要求されることも多く、市場の要求に応えるため、薄型の25mm厚で業界トップの高静圧を実現した、低消費電力の「San Ace 120W」9WPAタイプを開発しました。
昨今のデータセンタで使用されるサーバラックや熱交換器の液冷システムには、ラックサイズに最適なΦ200mmサイズのファン需要が高まってきています。今後の装置の発熱量増大にともない、高い冷却性能と低消費電力が必要になると想定されるため、業界トップの低消費電力を実現した「San Ace 200」9GAタイプを開発しました。
このように、さまざまな市場からの要望に応えるため、世界トップの性能と安心してご使用いただける高信頼性を確保しつつ、脱炭素社会の実現やSDGsの目標達成にも寄与する冷却ファンの開発に取り組みました。
サンエースカンパニーにおける研究開発費は


(エレクトロニクスカンパニー)
「SANUPS」においては、次のような開発に取り組みました。
再生可能エネルギーシステム用パワーコンディショナ「SANUPS W83A」を開発しました。この製品の特長は、太陽光、風力、水力、バイオマスおよび廃熱利用など、さまざまな再生可能エネルギーの変換制御に使用できることです。また、蓄電池と組み合わせることで、停電時などの緊急時にも電力供給ができる自立運転機能を搭載しているため、防災対策やBCP対策に貢献できます。さらに、無線通信機能を搭載し、モバイル端末のわかりやすい画面から、状態監視や設定変更ができます。それらの特長に加え、従来の製品に対して電力変換効率を2%向上し95%を達成しました。消費電力、発熱量を抑え、CO2排出量の削減に寄与します。
次に、リチウムイオン電池パックを搭載した常時インバータ給電方式単相200V系UPS「SANUPS A11N-Li」において、国際安全規格に適合したモデルを開発しました。UPS本体はIEC62040-1※1に、リチウムイオン電池パックはIEC60730※2の安全クラスBにそれぞれ適合しています。製品には、リチウムイオン電池による危険やリスクを低減するための保護機能を備えています。単一故障が発生しても確実に保護機能が動作するように回路を冗長化し、故障を検出するための自己診断機能も搭載することで安全性を高めました。これにより、例えば、医療機器など高い安全性が求められる用途においても、安全に、安心して利用できます。
さらに、リチウムイオン電池パック「SANUPS LiB Pack」は、バッテリの安全規格IEC62133-2※3にも適合しています。この規格は、リチウム系二次電池を使用するポータブル機器に適用されます。この規格適合により、さまざまな機器向けのリチウムイオン電池パックとして安全に利用できます。
※1 無停電電源装置(UPS)の一般的な安全要求事項に関するIEC規格
※2 家庭用および類似用途の自動電気制御装置の一般事項要求事項に関するIEC規格
※3 携帯用密閉型二次リチウム電池およびそれらを使用した電池の安全要求事項に関するIEC規格

「SANMOTION」においては、次のような開発に取り組みました。
ACサーボシステム製品として、「やさしく」て「使いやすい」小型・軽量な2軸一体ACサーボアンプを「SANMOTION G」のラインアップに追加しました。本製品は、2つの出力容量タイプ、および内蔵回生抵抗の有無の組み合わせにより、4機種をラインアップしました。単軸サーボアンプを2台使用する場合と比較して、装置の小型・軽量化と省配線化を図ることができ、お客さま装置の設計自由度が向上します。また、本製品では、単軸アンプ2台使用に比べて、使用電力を大きく低減しました(待機時の電力:36%低減、定格出力時の電力:18%低減)。さらに、回生エネルギーを2軸間で有効に活用できるので、省エネルギーにも貢献します。2軸の高精度な同期運転やそれぞれ独立したプログラム運転も簡単にできるので、利用者の利便性が向上しました。
次に、2024年9月から長野工業高等専門学校とエレクトロニクスカンパニーのコア技術であるパワーエレクトロニクス技術の共同研究を開始しました。このパワーエレクトロニクス技術をより深め、新たな価値を創造する新製品の開発につなげます。これまで、サーボアンプの制御性能向上、そのための各種センシング情報の精度や機能の向上、そして最新のデジタル技術を活用した設計方法に関する研究を進めてきました。また、本共同研究は、得意技術が異なる複数の学校や企業とも連携しながら、地域の活性化と技術者の育成も目指しています。
エレクトロニクスカンパニーにおける研究開発費は

(モーションカンパニー)
「SANMOTION」においては、次のような開発に取り組みました。
サーボモータ製品では、織機用主軸モータを開発しました。これまで使用されていた誘導電動機に対し、装置の小型化と省エネルギー化を目指し、埋込磁石形同期電動機を開発しました。本製品は、高出力密度の設計を行うことで小型・軽量化を図り、構造部材の使用量を大幅に削減しました。また、幅広い運転領域で高効率駆動が可能な埋込磁石形ロータを採用することで高効率化を実現しました。これらにより、装置の小型・軽量化や省エネルギー化に貢献するとともに、地球環境の保全に寄与できます。
ステッピングモータ製品においては、ドライバ一体型モータを開発しました。本製品は、ステッピングモータと駆動用ドライバを一体構造にしたことで、機械装置の小型・軽量化と省配線化に貢献します。また、上位コントローラからシリアル通信によりモータを簡単に制御でき、システムの構築も容易です。さらに、従来比1.3倍の高トルク化により機械装置のサイクルタイムを短縮でき、装置の高性能化、小型・軽量化、省配線化を実現します。
モーションカンパニーにおける研究開発費は
