文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、創業理念「お客様への奉仕を通じて、社会の繁栄、世界の平和に貢献する」ことをミッションとし、豊かで平和な社会を実現するために不可欠な周波数の制御と選択、検出に関連する製品の専業メーカーとして、業界をリードする高信頼性商品を開発、製造、販売することにより、お客様に喜んでいただくことを経営の基本としております。
中期的には自動車に搭載されるADAS(先進運転支援システム)機器の増大、並びに次世代通信規格「5G」基地局のインフラ整備が進むとともに5G対応のスマートフォンが普及することが見込まれます。これにより、水晶デバイス市場では車載、5G対応の基地局やスマートフォン向けで需要が拡大することが期待されます。5Gでは、高周波・小型化ニーズに対応した高精度・高信頼の水晶デバイスが求められることから、当社ではこうしたビジネスチャンスの果実を刈り取り、確実に利益を確保できる強固な経営体質を構築することを目的とした中期経営計画を2021年3月期より実施しております。
中期経営計画では、①固定費の抜本的な圧縮を柱とした構造改革の実施、②既存製品の売上構成及び事業ポートフォリオの見直し、③自社の強みである前工程への重点リソース投下、④後工程(組立)の生産性向上、⑤財務体質の改善を最重要施策としております。
不透明な経済情勢・競争環境に鑑み、現状の売上水準下においても確実に利益が確保できる体質を構築すべく、当社は固定費の抜本的な圧縮を柱とした構造改革を実施してまいりました。2020年3月期には当社単体の人員を対象に希望退職者の募集を実施、2020年10月にはSAWフィルタ事業の一部を譲渡いたしました。連結子会社に関しては、中国及びマレーシアの子会社において人員の合理化を含めた構造改革を進めました。国内の子会社に関しましても、生産体制の再構築を中心とした体制の見直しを進めておりますが、新潟エヌ・デー・ケー㈱に関しては2021年9月30日に事業を終了し、その後、所定の手続きを経て解散いたします。これらの施策により、固定費を2019年度から約23億円削減する見通しであり、中期経営計画で目標としていた固定費180億円までの削減の目途は立ちました。但し、依然として、新型コロナウィルス感染症や米中対立など、世界経済の先行きは不透明な状況にあり、構造改革の手綱を緩めない方針であります。
② 既存製品の売上構成及び事業ポートフォリオの見直し
・フォトリソブランクを用いた小型・高精度振動子の販売を拡大
当社は、フォトリソグラフィー技術を利用して、高品質の原石を用いた小型で高精度なフォトリソブランク内蔵の高付加価値品を増やす一方、採算が厳しくなっております既存品を徐々に減らすことで「売上の質」の改善を図っております。
特に移動体通信向けでは、米国Qualcomm Technologies社の5Gスマホ向けIC用途としての認定第一号を受けた76.8MHzサーミスタ内蔵水晶振動子(1.6×1.2mmサイズ)の受注が順調に拡大しており、2022年3月期は更なる生産能力の増強を図ります。また、5Gスマホやワイヤレスイヤフォン等を含むウェアラブル機器の需要拡大に伴い、フォトリソブランクを用いた小型の1.2×1.0mmサイズ及び1.0×0.8mmサイズ水晶振動子の需要も増える見込みであることから、同製品の生産能力も増強いたします。この結果、これまで利益創出が困難となっていた移動体通信向けにおいて、安定的な利益計上が可能な状況となってまいりました。
・SAWフィルター事業の譲渡
当社は、SAWフィルター事業を単独で立て直すのは困難と判断して、当社100%子会社としてNDK SAW devices㈱を設立した後、2020年10月30日に同社株式の51%を中国の先端テクノロジー投資会社に譲渡いたしました。
③ 自社の強みである前工程への重点リソース投下
水晶デバイスの小型化・高精度化ニーズに対応すべく、高品質の原石を用いたフォトリソブランクへ重点的にリソースを投下し、安定した周波数特性のフォトリソブランクを大量生産しております。当社では、フォトリソブランクのさらなる品質向上並びに生産性アップを図るべく、技術開発や設備の改善などにリソースを投下してまいります。
④ 後工程(組立)の生産性向上
後工程(組立)においては、生産性向上・コスト競争力強化を図るべく、高速・高精度の設備導入を進めております。2022年3月期は移動体通信や車載向けで高速・高精度の新規ラインの導入を計画しております。
⑤ 財務体質の改善
財務基盤を安定させ、事業面の立直しに最優先で取組むことが中期経営計画の方針です。全取引金融機関とは既存借入金に対し、2023年9月末日までの残高維持に合意頂き、2020年8月には第三者割当による種類株式50億円を発行し、資本注入を受けました。また、売上増等により、利益が想定を上回ったことにより、2021年3月末時点での自己資本比率は21.5%となりました。今後はより一層の財務健全化に取り組んでまいります。
中期経営計画で掲げております数値目標は、計画最終年度となる2023年3月期に売上高420億円、営業利益率7%、自己資本比率20%超であります(前提となる為替レートは対米ドル107円)。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識し、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努め、より良い事業展開に向かい邁進する所存であります。
なお、下記のリスクの中には将来に関する事項も含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において当社グループが開示する必要があると判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。
当社グループは収益性・成長性の高い市場への対応を目指し積極的な研究開発、設備投資を行い、柱となる事業の早期構築並びに定着に取り組み、業績の向上を目指しております。
主なお客様といたしましては、自動車、産業機器、移動体通信及びAV/OA業界となりますが、これらの業界の市況並びに需要動向の変化により、また世界の景気動向の変化、金利・為替・株価の変動により、売上高及び損益は影響を受けます。
水晶業界は大変競争が厳しく、想定以上の価格下落のリスク、最大限の経営努力をしても競争優位を維持できないリスクがあります。また、競争力を維持するために多額の研究開発、設備投資が必要であり、投資計画の前提条件に変動があった場合には、投資を回収できないリスクや機会損失を被るリスクがあります。
当社グループはグローバルな事業展開を行っており、国内外の進出先において事業・投資の許可、国家安全保障又はその他の理由による輸出入規制等、様々な政府規制の適用を受けております。また、通商、独占禁止、特許、租税、為替管理、環境関連の適用も受けており、これらの規制や法令の変更により、事業停止等による業績への影響が出る他、規制等の強化に伴い対応コストが増加することがあります。
当社グループは製品の製造にあたり、多岐にわたる原材料等の購入を行っておりますが、安定調達が維持できない場合には、想定利益を確保できないリスク、工程の遅延、機会損失、お客様等への賠償責任が発生するリスクがあります。
人材の育成、採用を積極的に進めておりますが、計画どおりにできない場合には、当社グループの成長や利益に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、「NDKグループ 環境基本理念・基本方針」のもと、環境負荷の低減に努めておりますが、事業活動を通じて一切の環境汚染が発生しないという保証はありません。環境汚染が発生又は判明した場合、浄化処理等の対策費用が発生し、当社グループの損益に悪影響を及ぼす可能性があります。
お客様等の個人情報や機密情報の保護については、社内規程の制定、従業員への教育など対策を徹底しておりますが、情報漏洩を完全に防ぐことはできません。情報漏洩が起きた場合には、競争力の低下、信用の低下、あるいはお客様等に対する賠償責任が発生する可能性があります。
当社グループは生産並びに販売ともにグローバルな展開を行うことにより、取引集中によるリスクの回避に努めております。しかし、地政学的リスクの高まりや地震をはじめとする自然現象の大きな変化、感染症の蔓延等、突発的な不測事態の発生は、当社グループの業績に重大な影響を与える可能性があります。
新型コロナウイルス感染症への対応につきましては、テレワークや時差勤務の実施、不要不急の外出・出張の中止等、従業員の安全確保と感染拡大防止に最大限配慮しながら事業活動を継続しておりますが、感染症の世界的流行による景気後退、各国の規制等による操業停止や顧客企業における生産活動の停止・縮小等により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。
当社グループの在外子会社等の外貨建の財務諸表項目は、換算時の為替レートにより円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。また、当社グループは世界各国に製品を販売しており、為替変動に対するヘッジ等を通じて、短期的な為替の変動による影響を最小限に止める措置を講じていますが、予測を超えた為替変動が当社グループの業績及び財務状況に影響を与える場合があります。
当社グループの事業運営上において、知的財産に係わる紛争が将来生じ、当社グループに不利な判断がなされたり、製品の欠陥に起因して製品回収、お客様への補償、機会損失等が生じる可能性があります。これらのリスクが顕在化する場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。
当社グループ取引先の信用不安により予期せぬ貸倒れリスクが顕在化し、追加的な損失や引当の計上が必要となる場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。
事業の動向により、財務・経理上、以下のようなリスクが生じる可能性があります。
需要の急変、販売見込みの相違等による滞留在庫の発生や、販売価格の大幅な下落により、棚卸資産の評価損が発生する可能性があります。
有形固定資産は見積耐用年数に基づき減価償却を実施しておりますが、将来の陳腐化や事業撤退等により臨時の損失が発生するリスクがあります。また、業績見込み悪化により将来キャッシュ・フロー見込額が減少し、回収可能価額が低下した場合には、減損損失が発生する可能性があります。
投資有価証券は、将来その時価又は実質価額が著しく下落した場合には、減損する可能性があります。
繰延税金資産は、税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異に対して将来の業績予想を基に適正額を計上しておりますが、将来の業績の変動、税制改正等により計上額が増減する可能性があります。
確定給付負債は、割引率、退職率、死亡率等の前提条件に基づき算出しております。実績の前提条件との相違、前提条件の変更、会計基準の改訂等により、負債額に影響する可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。これらの将来に関する記載事項につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載した内容等を含む様々な要因により、実際の結果と異なる場合があります。
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウィルス感染拡大の影響で世界各国の経済活動が停滞し、当第1四半期(4-6月)の景気は大幅に悪化いたしましたが、主要国では積極的な財政出動を実施し、経済活動を徐々に再開させたことで、期末にかけて自動車市場などにおいて、回復基調が継続いたしました。
売上高の約半分を占める車載向けの売上高は、第1四半期に大きく減少したものの、第2四半期(7-9月)以降は自動車メーカーの生産が急回復したことに加えて、ADAS機器の増加に伴い1台当たりに搭載される水晶デバイスの員数が増えたため、下半期(2020年10月-2021年3月)の売上高はこれまでのピークであった2018年度の売上高水準を上回りました。
また、売上高の約2割を占める移動体通信向けでは、不採算品の販売を減らす一方、5Gスマホ向けに採算の良好な76.8MHzサーミスタ内蔵水晶振動子や超小型品の販売を増やしました。販売単価の改善も進んだ結果、移動体通信向けの平均売上単価は前年比10%以上改善し、売上高は前期比で増加いたしました。
売上高の約1割を占める産業機器向けでは、中国の大手通信機器メーカー向けの販売が米国政府による制裁強化の影響で下期に大きく減少したものの、通期では基地局向けを中心に売上高は前期比で増加いたしました。
一方、売上高の約1割を占める民生向けはPC向けの販売は増加いたしましたが、一眼レフカメラ向けの販売が大きく減少した結果、売上高は前期比で減少いたしました。
全体としては、第1四半期の落ち込みが大きかった車載向けの売上高が減少した影響が大きく、当期の売上高は39,195百万円(前期比0.7%減)となりました。
利益につきましては、8億円の構造改革費用を計上し、棚卸資産の減少による利益押し下げ要因があった一方、固定費を圧縮したこと、当社100%子会社であったNDK SAW devices㈱の株式の51%を譲渡したことによる株式売却益と本譲渡に伴う残存持分の評価益として合わせて44億円を計上したこと、減損損失が36億円減少し、構造改革費用も17億円減少したことにより、当連結会計年度の営業利益は2,844百万円(前期は営業損失8,286百万円)、税引前当期利益は2,592百万円(前期は税引前当期損失8,644百万円)、当期利益は1,976百万円(前期は当期損失8,709百万円)となりました。なお、下半期は、子会社株式の譲渡に伴って発生した収益44億円、構造改革費用4億円及び減損損失3億円を除いた営業利益は6億円の黒字となりました。
在外営業活動体の換算差額が847百万円増加する等、税引後その他の包括利益が1,294百万円となったことから、当期包括利益合計は3,270百万円(前期は当期包括損失合計9,376百万円)となりました。
これにより、売上高営業利益率は7.3%となりました。
① 水晶振動子
車載向けでは、水晶振動子の販売が第1四半期(4-6月)を底に急回復したものの、第1四半期における販売の落ち込みの影響が大きく、通期の売上高は前期比で減少いたしました。一方、移動体通信向けでは、5Gスマホ用に76.8MHzサーミスタ内蔵水晶振動子や超小型水晶振動子の販売が増加いたしました。また、スマホやPC向けに音叉型水晶振動子の販売が増加いたしました。その結果、売上高は25,476百万円(前期比4.0%増)となりました。
② 水晶機器
車載向けでは、車載カメラ向けクロック発振器等の販売が第1四半期(4-6月)を底に急回復したものの、第1四半期における販売の落ち込みの影響が大きく、通期の売上高は前期比で減少いたしました。また、移動体通信向けでは、タブレット向け等でクロック発振器の販売が増加したものの、TCXO(温度補償水晶発振器)の低採算品の販売が減少いたしました。その結果、売上高は10,322百万円(前期比7.4%減)となりました。
③ その他
一眼レフカメラ市場縮小の影響を受け、光学製品の販売が減少いたしました。その結果、売上高は3,396百万円(前期比11.1%減)となりました。
基地局向けに水晶発振器の売上高が前期比で増加いたしました。一方、車載向けは、第1四半期(4-6月)を底に回復したものの、第1四半期における販売の落ち込みの影響が大きく、売上高は前期比で減少いたしました。また、一眼レフカメラ向け光学製品の販売も前期比で減少いたしました。その結果、売上高は6,950百万円(前期比11.6%減)となりました。
中国圏では、車載、移動体及びPC向けの売上高が前期比で増加いたしました。車載向けでは、第1四半期に販売が減少したものの、第2四半期以降はコロナ前を上回る水準で販売が回復しました。移動体通信向けでは、中国の大手通信機器メーカー向けの販売が米国政府による制裁強化の影響で下期に大きく減少したものの、その他の中国スマホメーカーへ5Gスマホ用76.8MHzサーミスタ内蔵水晶振動子の販売が増加したため、売上高は前期比で増加いたしました。基地局向けでは、中国大手通信機器メーカー向けの販売が減少いたしました。韓国では、5Gスマホ向け超小型水晶振動子の販売が増加いたしました。その結果、売上高は中国14,749百万円(前期比6.2%増)、韓国2,290百万円(前期比40.2%増)、その他2,265百万円(前期比12.7%減)となりました。
車載向けは、第1四半期を底に回復したものの、第1四半期における販売の落ち込みの影響が大きく、売上高は前期比で減少いたしました。その結果、売上高はドイツ3,961百万円(前期比7.9%減)、その他4,162百万円(前期比1.2%減)となりました。
血糖値計向け水晶振動子の販売が増加いたしました。一方、車載向けは、第1四半期を底に回復したものの、第1四半期における販売の落ち込みの影響が大きく、売上高は前期比で減少いたしました。その結果、アメリカ3,606百万円(前期比1.0%減)、その他17百万円(前期比48.0%減)となりました。
(注) 1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(注) 1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2 総販売実績に対する販売実績の割合が100分の10以上の相手先が存在しないため、主な相手先別の販売実績の記載を省略しております。
当連結会計年度末における資産、負債及び資本の、前連結会計年度末に対する主な増減は以下のとおりであります。
前連結会計年度末に比べ、総資産は、現金及び現金同等物の増加6,646百万円、営業債権の増加1,018百万円、棚卸資産の減少2,801百万円、NDK SAW devices㈱の49%分を当社持分として計上したことによる持分法で会計処理されている投資の増加2,844百万円等により8,506百万円増加し63,054百万円となりました。負債は、借入金の増加1,183百万円、未払法人所得税等の増加464百万円、引当金の減少1,630百万円等により303百万円増加し49,501百万円となりました。親会社の所有者に帰属する持分は、種類株式の発行による増加4,932百万円、当期包括利益合計3,270百万円等により8,202百万円増加し13,552百万円となりました。これにより、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末から11.7ポイント上昇し21.5%となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比較し6,646百万円増加の16,707百万円となりました。活動毎のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
フリー・キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローが124百万円のプラスとなり、投資活動によるキャッシュ・フローが313百万円のプラスとなったことにより、437百万円のプラス(前期比1,715百万円のマイナス)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、マイナス要因として、子会社株式売却益2,665百万円、持分法適用に伴う再測定による利益1,740百万円、引当金の減少1,837百万円があったものの、プラス要因として、税引前当期利益2,592百万円、減価償却費及び償却額3,104百万円、棚卸資産の減少2,945百万円があったこと等により、124百万円のプラス(前期比824百万円のマイナス)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、マイナス要因として、有形固定資産の取得による支出2,256百万円、持分法で会計処理されている投資の取得による支出710百万円があったものの、プラス要因として、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入3,293百万円があったこと等により、313百万円のプラス(前期比891百万円のマイナス)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、株式の発行による収入4,932百万円、短期借入金の純増加額1,059百万円等により、5,420百万円のプラス(前期比5,443百万円のプラス)となりました。
当社グループの運転資金及び設備投資資金につきましては、内部資金及び種類株式の発行、銀行借入による調達で賄っております。種類株式の発行につきましては、2020年8月5日付で振込手続きが完了し、また銀行借入につきましては、全取引金融機関と2020年6月に合意した2023年9月末日までの借入残高維持について履行されたこと等により、当面の間の資金繰りについて懸念が大きく低減いたしました。当連結会計年度末現在、流動負債に計上されている借入金の残高は2,101百万円で、非流動負債に計上されている借入金の残高は31,630百万円であります。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは次のとおりであります。
[算式]親会社所有者帰属持分比率:親会社所有者帰属持分/総資産
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注) 1. IFRSに基づく連結ベースの財務数値により計算しております。
2. 株式時価総額は自己株式を除く発行済普通株式数をベースに計算しております。
3. キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
4. 有利子負債は連結財政状態計算書に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。
5. 2018年3月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の金額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、実際の結果は、これらの見積りとは異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4) 見積り及び判断の利用」に記載しております。
当社は、2020年5月26日開催の取締役会において、当社及び当社の100%子会社である函館エヌ・デー・ケー㈱(以下「函館NDK」)のSAWフィルターの開発・製造に関する事業を、2020年7月1日を効力発生日として、吸収分割の方法により、当社の100%子会社であるNDK SAW devices株式会社(以下「NSD」)に承継させることを決議いたしました。
また当社は、当社及び函館NDKにおいて運営されているSAWフィルター事業に関する開発・製造事業を分社化することにより、SAWフィルターの開発・生産・販売を行う合弁会社を設立することについて、JIC Technology Investment Co.,Ltd.(以下「JICT社」)と交渉を行い、2020年10月30日にNSDの株式のうち51%をJICT社の投資子会社であるJiaxing Jiawang Investment Partnership (Limited Partnership)の子会社Sito Microelectronics Technology (Shanghai) Co., Ltd.へ譲渡いたしました。本株式譲渡に伴い、NSDは当社の連結子会社から除外され持分法適用会社となりました。翌連結会計年度には、NSDの株式残り49%のうち24%も譲渡し、当社の議決権所有割合は25%となる予定であります。
(1) 本吸収分割の要旨
① 本吸収分割の日程
(注) 本吸収分割は、当社においては会社法第784条第2項に基づく簡易分割であるため、本吸収分割承認のための株主総会は開催しておりません。
当社及び函館NDKを分割会社とし、NSDを承継会社とする吸収分割であります。
本吸収分割による株式その他財産の割当てはありません。
(注) 承継会社は、2020年5月19日に設立されており、直前事業年度が存在しないため、④直前事業年度(2020年3月期)の財政状態については、その設立日における純資産及び総資産を記載しております。
SAWフィルターの開発・製造に関する事業
売上高:993百万円
売上高:833百万円
(注) 当社及び函館NDKから分割する資産及び負債の合計金額を記載しております。
当社は、1979年にニオブ酸リチウムを用いたSAWフィルターの事業化に成功して以来、SAWフィルターの開発・生産・販売に取り組んでおります。SAWフィルターは、空間中の多種の電波の中から必要な信号のみを取り出すデバイスであり、携帯電話を始めとした情報通信機器に搭載される重要なデバイスです。今般、中国市場における需要の拡大に対応すべく、新たなパートナーシップを通じた事業展開を視野に検討を進めてまいりました。
JICT社は、中国の先端テクノロジー投資会社であり、SAWフィルターをはじめとした電子機器の市場に精通しております。今般、中国市場を中心としたグローバル市場での競争力確保には、JICT社とともに事業戦略を展開していくことが望ましいと判断し、本取引を実施することといたしました。今後は、当社が保有する技術力とJICT社が保有する資本力・営業力を活かしつつ、両社一体となってSAWフィルター市場、及び情報通信社会の発展に貢献してまいります。
2020年10月30日実行の株式譲渡
(注) 2021年4月1日以降に実行する株式譲渡により、当社の議決権所有割合は25%になる予定です。
研究開発部門では中・長期展望における将来商品の基礎となる新技術の研究開発及び工法開発を行っております。水晶デバイスへのニーズに応えるべく、狭山事業所を中心に、研究開発体制を強化し、次世代の周波数制御・選択・検出デバイスの開発とともにその核となる設計技術及びプロセス技術に関する研究開発を行っております。
これら研究開発の主対象分野と当連結会計年度における活動成果は次のとおりであります。
5G、ADAS、IoTなどの社会ニーズに対応し、移動体通信や情報端末機器、固定通信の無線基地局や光ネットワーク通信による情報通信装置、産業用電子応用機器、高信頼性が要求される車載用機器等に使われる水晶振動子、水晶発振器の開発を行っております。
世界的に危機管理の必要性が叫ばれている中、情報通信インフラの役割は益々重要度を増しています。近年のデータトラフィックの急増による通信市場の急速な技術進展に対応した水晶デバイスに求められるニーズは「小型化」、「高精度化」、「低位相雑音化」に集約されます。これらを踏まえた商品開発等を積極的に推進しております。
② MRI対応ペースメーカー用世界最小クラス1.2×1.0mmサイズ音叉型水晶振動子 NX1210VA 1.2×1.0×0.45mm typ.
③ 携帯端末用チップセット向け76.8MHzのサーミスタ内蔵水晶振動子 NX1612SD 1.6×1.2×0.65mm typ.
④ ウェアラブル機器、携帯端末向け超小型・薄型のクロック用水晶発振器 NZ1612SH 1.6×1.2×0.6mm typ.
⑥ 2520サイズ小型・低位相ジッタタイプ差動出力水晶発振器(2.5×2.0×0.9 mm Max.)
位相ジッタ:max.100fs(発振周波数156.25MHz、電源電圧+2.5V/+3.3V、12kHz~20MHz)
⑦ 業界最高レベル47fs(発振周波数156.25MHz、電源電圧3.3V、12kHz~20kHz)低位相ジッタ差動出力水晶発振器NP3225SAB/NP3225SBB 3.2×2.5×1.0mm typ.
⑧ GNSS向け超小型TCXO NT1210AA 1.2×1.0×0.35mm typ.
⑨ 業界初(2020年7月当社調べ)小型高周波対応TCXO NT1612AJA 1.6×1.2×0.45mm typ.
発振周波数:76.8MHz フロア雑音:-160dBc/Hz @100kHz offset 位相ジッタ:110fs @12kHz to 20MHz
⑩ 業界最高-170dBc/Hz@100kHz offset(発振周波数26MHz、温度+25℃)の低位相雑音を実現したTCXO NT2016SJA 2.0×1.6×0.7mm typ.
⑬ 5G基地局向け高温対応(+95℃)の世界最小クラス7×5mm サイズOCXO NH7050SA 7.0×5.0×3.3mm typ.
⑭ 宇宙用電子機器向け高信頼性水晶発振器(JAXA認定品) JAXA-QTS-2020/3001 15.8×15.8×3.5mm typ.
⑮ 経済産業省・NEDOの先導研究委託事業における委託契約締結と研究開発開始
「極限時刻同期に基づく革新的通信デバイスと応用開拓」の研究開発
水晶の性質を生かして高付加価値の新分野における事業を目指し、高性能・高機能モジュールやそれらを使用した装置及び医療用超音波プローブの開発を推進しております。
③ 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で、高精度ガス計測センサ及び計測システムを開発
④ 新型コロナウイルス抗原検査用水晶振動子式センサ及び機器
2010年より販売している水晶振動子をセンサとするQCM法による理化学機器“NAPiCOS”シリーズを発展させ、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原検査用のセンサ及び機器を開発中
⑧ 高級一眼レフカメラ及び高画質動画撮影機器向け光学フィルタを開発
なお、当連結会計年度における研究開発費は