当連結会計年度における世界経済は、堅調に推移する米国経済に牽引されて緩やかな成長を続けましたが、英国のEU離脱問題に端を発するEUの結束力に対する懸念や、欧米諸国における保護主義姿勢の強まりなどにより、先行きの不透明感がよりいっそう強まりました。
わが国におきましては、年度前半の円相場は円高で推移しておりましたが、昨秋の米国大統領選挙後の年度後半は円安が進み、製造業を中心とした輸出企業にとって追い風となりました。一方で、消費者の節約志向はいまだに根強く、個人消費の低迷が長期化しております。
当社グループの主要市場である自動車市場、半導体検査市場、携帯端末市場におきましては、コモディティ化の進展に加えて、ADAS/自動運転やあらゆる機器がネットワークでつながる、いわゆるIoT(Internet of Things)など次世代テーマに向けた製品/技術開発競争が、新たな競合関係や合従連衡の動きとともに大きな潮流となっております。
このような状況の中、当社グループは、質の高い本格成長を期し、経営基本方針に掲げる3つのイノベーション(プロダクト/プロセス/パーソネル)の推進に引き続き取り組みました。特に、当期はプロセスイノベーションによる収益性の向上を最重要テーマと定め、車載通信機器セグメントにおける中国工場からベトナム工場へのさらなる生産移管拡大やEMS(製造受託会社)の積極活用によるファブライト化を引き続き推進いたしました。
この結果、当連結会計年度における売上高は、すべてのセグメントが前期比で増収となったことにより、440億7千7百万円(前期比+10.2%)と、3期連続で過去最高の連結売上高を更新いたしました。営業損益につきましても、すべてのセグメントが前期比で増益となったことから、25億1千6百万円の利益(前期比+138.0%)となりました。経常損益につきましては、前期における為替差損計上に対し、当期は新興国通貨安による為替差益6千2百万円を計上したことなどから、26億8百万円の利益(前期比+217.2%)となりました。親会社株主に帰属する当期純損益につきましては、投資有価証券の退職給付信託設定益など特別利益6千6百万円、特許実施許諾料(過年度分)・製品保証費用など特別損失3億2千9百万円、繰延税金資産積み増しによる税金費用の減少などにより、23億8千1百万円の利益(前期比+477.6%)と、前期比で大幅な増益となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
<車載通信機器>
当セグメントの主要市場である自動車市場は、米国市場においては需要が頭打ちとなり、アセアン市場では需要の増減が入り混じっているものの、中国市場において安定的な需要の元に販売台数が順調に増加したことで、緩やかに拡大を続けております。国内におきましては、軽自動車における増税と不正データ問題を受けて販売台数が前期比で減少したものの、登録車の販売台数は安定して増加し、全体の新車販売台数は微増となりました。
このような状況の中、主力製品であるマイクロアンテナ/シャークフィンアンテナをはじめとする自動車メーカー向けアンテナは、米国・アセアン・中国を中心に海外向けの販売が伸長し、前期を大幅に上回りました。また、国内向けを主とする製品については、フィルムアンテナの販売が順調な推移となったほか、ETC車載アンテナはETC2.0対応需要により、前期を大幅に上回りました。
この結果、当セグメントの売上高は320億2千9百万円(前期比+11.4%)と、前期比で大幅な増収となりました。セグメント損益につきましては、比較的利益率の高い製品の売上比率上昇や、ベトナム工場において製造要員の高い定着率により大幅に習熟度向上・生産性改善が進んだことなどから、11億5千2百万円の利益(前期比+291.7%)となりました。
今後は、自動運転/5G(第5世代移動通信システム)など新規分野における、より先進的かつ付加価値の高い戦略製品の開発・投入を加速しつつ、中国/アセアン/欧州市場でのビジネス拡大や新規顧客獲得活動など、さらなる事業拡大と“重層化”を引き続き推進いたします。また、中国工場の開発機能強化と並行して、中国工場からベトナム工場へ生産機能の重心を移すべく生産移管を拡大するとともに、需要地域/製品などの特性に応じてEMS(製造受託会社)やアライアンスも積極活用し、さらなる収益構造革新を進めてまいります。
<回路検査用コネクタ>
当セグメントの主要市場である半導体検査市場は、パソコン向けの低迷、タブレット向けの減少や、スマートフォン向けの成長鈍化懸念の一方で、クラウドコンピューティング向けや電子制御化が進む車載分野向けの伸長とIoTの進展に伴い、全体としては成長が継続するものと見られております。
このような状況の中、当社グループの主力製品であるBGAソケット等半導体後工程検査用治具の販売は、円高による減収効果があったものの、販売数量の増加により、前期を上回りました。また、高周波電子部品検査用MEMSプローブカードを戦略製品とする半導体前工程検査用治具の販売も、拡販活動により、前期を上回りました。
この結果、当セグメントの売上高は68億8千3百万円(前期比+4.1%)と、前期を上回りました。セグメント損益につきましては、比較的利益率の高い製品の売上比率上昇やマレーシア工場における生産性向上と原価低減活動により、7億1千7百万円の利益(前期比+30.8%)となりました。
今後は、クラウドコンピューティング/車載/IoTといった分野での半導体需要増に的確に対応した戦略製品の開発・投入、投資効率の高い新生産ラインの導入を含めた国内/マレーシア工場での設備投資拡大及び原価低減活動の継続強化、高周波電子部品検査用MEMSプローブカードを中核に据えた半導体前工程検査領域での事業拡大を強力に推進いたします。また、積極的な提案活動による新規顧客の獲得と併せて、顧客ニーズに的確に応えるソリューション提供体制拡充による信頼関係強化により、さらに高収益な事業構造・安定的な事業運営への進化に努めてまいります。
<無線通信機器>
当セグメントの主要市場は携帯端末市場及びPOS端末市場であり、携帯端末市場は、中国のスマートフォンメーカーが販売台数を大幅に伸ばした半面、上位2社は減少に転じ、市場全体としての成長率は鈍化しております。一方のPOS端末市場は、物流/製造を始め幅広い業界での利用拡大が続いており、端末機器の多様化・高機能化とともに着実な成長が見込まれております。
このような状況の中、微細スプリングコネクタを中核製品とするファインコネクタ事業におきましては、携帯端末メーカー向けの販売が低迷した一方で、POS端末メーカー向けに加えて車載向けなどが順調に推移し、売上高は前期を上回りました。
当セグメントに含めておりますメディカル・デバイス事業につきましても、国内外ともに大手顧客向け販売が伸長し、売上高は前期を上回りました。
この結果、当セグメントの売上高は、51億6千4百万円(前期比+11.7%)と、前期比で大幅な増収となりました。セグメント損益につきましては、比較的利益率の高い製品の売上比率上昇や原価低減活動などにより、5億7千4百万円の利益(前期比+226.3%)となりました。
今後は、ファインコネクタ事業につきましては、防水・二体成形など要素技術の拡大・進化を推進するとともに、POS端末市場におけるさらなるシェア拡大、光学機器/車載分野におけるビジネス拡大、台湾など成長市場でのマーケティング・試作開発機能強化により、事業の再成長と製品・市場・顧客の“重層化”に引き続き取り組んでまいります。
メディカル・デバイス事業につきましては、量産化を間近に控えたガイドワイヤ/カテーテルユニット製品の確実な立上げによる本格的な事業成長を目指すとともに、生産拠点の海外展開や外注活用の拡大など、事業拡大を見据えたサプライチェーンの“重層化”も推進してまいります。
(事業セグメント別連結売上高 前期比較) (単位:百万円、%)
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セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
前 期 比 |
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車載通信機器 |
28,761 |
32,029 |
+11.4 |
|
回路検査用コネクタ |
6,614 |
6,883 |
+4.1 |
|
無線通信機器 |
4,622 |
5,164 |
+11.7 |
|
合計 |
39,998 |
44,077 |
+10.2 |
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、58億1千8百万円(前期比17億6千2百万円の増加)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増加8億2千5百万円、たな卸資産の増加6億4千万円などの減少要因がありましたが、税金等調整前当期純利益23億4千4百万円、減価償却費17億円、仕入債務の増加7億9千7百万円などの増加要因により、32億8千4百万円の収入(前期比27億4千8百万円の収入増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却による収入1千7百万円などの増加要因がありましたが、有形固定資産の取得による支出17億7千9百万円、無形固定資産の取得による支出9千8百万円などの減少要因により、19億2百万円の支出(前期比11億7千3百万円の支出増加)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、リース債務の返済による支出2億1千3百万円、配当金の支払額2億7千8百万円などの減少要因がありましたが、短期借入金の純増額8億1千4百万円などの増加要因により、3億9千3百万円の収入(前期比6億7千9百万円の収入減少)となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前期比(%) |
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車載通信機器 |
33,017,913 |
+14.9 |
|
回路検査用コネクタ |
6,749,820 |
+0.2 |
|
無線通信機器 |
5,090,430 |
+10.8 |
|
合計 |
44,858,165 |
+12.0 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は販売価格によっております。
3 記載金額は消費税等を除いて表示しております。
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前期比(%) |
受注残高(千円) |
前期比(%) |
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車載通信機器 |
32,150,640 |
+9.5 |
2,686,585 |
+4.7 |
|
回路検査用コネクタ |
6,974,134 |
+4.4 |
692,231 |
+15.0 |
|
無線通信機器 |
5,239,810 |
+12.8 |
367,226 |
+26.0 |
|
合計 |
44,364,585 |
+9.0 |
3,746,042 |
+8.3 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は販売価格によっております。
3 記載金額は消費税等を除いて表示しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前期比(%) |
|
車載通信機器 |
32,029,503 |
+11.4 |
|
回路検査用コネクタ |
6,883,784 |
+4.1 |
|
無線通信機器 |
5,164,080 |
+11.7 |
|
合計 |
44,077,368 |
+10.2 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 記載金額は消費税等を除いて表示しております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社グループは、創立以来「常に時代の先駆者でありたい」と考え、急速に進化する情報通信・電子部品業界で、「アンテナスペシャリスト」、「ファインコネクタスペシャリスト」、「マイクロウェーブ(高周波)スペシャリスト」、「先端デバイススペシャリスト」としてのコアコンピタンスを活かし、主要市場である自動車市場・半導体検査市場・携帯端末市場・先端医療機器市場向けに当社独自の先進技術力を駆使し、革新的な先端製品を提供してまいりました。
当社グループは、企業価値のさらなる向上を目指し、以下の経営の基本方針を掲げております。
<経営の基本方針>
●品質第一主義に徹し、最高品質と環境負荷物質ゼロ化により、「ヨコオ品質ブランド」を確立する
●「技術立脚企業」として、アンテナ・マイクロウェーブ・セラミック・微細精密加工技術をさらに強化・革新するとともに、製品の付加価値向上に貢献する新技術を積極的に導入し、顧客の製品機能多様化・適用技術多様化へのニーズに応える
●プロダクト・イノベーション(事業構造・製品構造の革新)、
プロセス・イノベーション(事業運営システムの革新)、
パーソネル・イノベーション(人材の革新)
の3つの革新を推進することにより、「進化経営」を具現化する
(2)目標とする経営指標
<中期経営基本目標>
当社グループは、以下の指標を中期経営基本目標として掲げております。
●ビジネスモデル革新による質の高い本格成長とミニマム8(エイト)の達成
ミニマム8: 売上高成長率・売上高営業利益率・自己資本利益率を8%以上確保
(3)中長期的な会社の経営戦略
世界経済のパラダイムシフトは弛むことなく続いており、新技術や新製品の急速な普及により先行者利益が希薄化・喪失する “コモディティ化” と、異なる分野の技術・製品が融合し新たな市場が創出される “ボーダレス化” は、絶えず進展しております。
当社グループは、このような状況の中、持続的な企業価値の向上を目指し、経営の基本方針に掲げる3つのイノベーション(プロダクト/プロセス/パーソネル)の推進に取り組んでおります。当期(平成29年3月期)におきましては、3期連続で過去最高の連結売上高を更新し、営業利益も前期比で大幅な増益となり、中期経営基本目標の一つである「売上高営業利益率を8%以上確保」に一歩近づく結果となりました。
中期経営基本目標である「ミニマム8」を恒常的に実現する体制を構築するためには、ビジネスモデル革新まで踏み込んだ全社収益構造の革新が不可欠であるとの考えから、事業ミックスの高度化/固定費効率の抜本的な向上/グローバル事業運営体制/付加価値創出の高度化などの観点から主要事業の構造を見直すとともに、プロダクト・イノベーションで進めてきた新規テーマ・新製品を確実に事業化・量産化へとつなげることにより、従来とは段違いの成長性・収益性を追求してまいります。
現在遂行中の中期経営計画(平成28年3月期~平成32年3月期)の骨子は、以下のとおりです。
●中期経営計画の全社基本方針
1)盤石な収益構造確立に向けたビジネスモデル革新
① 事業ミックスの高度化
・車載通信機器セグメントの高付加価値製品へのシフト
・回路検査用コネクタ/無線通信機器セグメントの新分野本格拡大などビジネスモデル革新
② 固定費効率の抜本的な向上
・グローバル顧客への即応体制強化(24時間/365日接続)
・投資効率を大幅に向上させた新生産ラインの具現化
2)質の高い本格成長に向けたビジネスモデル革新の深掘
① グローバル事業運営体制の構築
・世界主要エリアごとの統括体制構築とマネジメント人材の配置
・現地採用中核人材の戦略的育成施策の展開
② 事業の付加価値創出の高度化
・戦略製品の開発/投入サイクルの高速化
・顧客現場課題のソリューション提供サービスを顧客満足向上と付加価値創出の機会として設定
③ プロダクト・イノベーション/新事業開発の推進体制革新
・戦略新製品の早期立ち上げに向けた事業部技術部門、技術本部、研究開発部の一体運営体制確立
・国内外研究開発機関とのオープンイノベーションの推進
④ 先端技術顧客のパートナーたりえるガバナンス体制の確立
・情報セキュリティに関する国際標準規格ISO27001の日本取得に続き全拠点での取得
・先端技術顧客にソリューションを提供できる測定・検査環境の整備と人材の集積
(4)会社の対処すべき課題
当連結会計年度におきましては、前記のとおり増収増益となったものの、中期経営基本目標の一つである「売上高営業利益率を8%以上確保」は依然として未達成であり、さらなる収益性向上が最重要課題であることに変わりはないと認識しております。前記の中期経営計画の3期目である平成30年3月期におきましては、以下の点に重点的に取り組みます。
① 車載通信機器セグメント
中国工場からベトナム工場への移管拡大、付加価値/受注規模など製品ごとの特性に応じた外注化の推進、投資効率を大幅に向上させた新生産ラインへの置き換えなど、コスト競争力強化による収益性向上
② 回路検査用コネクタセグメント
投資効率を大幅に向上させた新生産ラインへの置き換え・増設、付加価値が比較的低い製品の設計・生産外注化、半導体前工程検査領域への本格進出によるさらなる売上拡大・収益性向上
③ 無線通信機器セグメント
ファインコネクタ事業:新市場進出・新規取引開始などによる売上・利益拡大
メディカル・デバイス事業:量産化テーマの確実な立上げ、海外生産体制の検討・構築などによる高収益事業体制の確立
④ 新規事業領域
LTCC事業:LED用基板の量産テーマの確実な立上げによる全社利益貢献
また、グローバルに事業展開する企業としてさらに高い水準でCSR(企業の社会的責任)を果たさなければならないとの認識から、環境/コンプライアンス/コーポレートガバナンス/人権保護/情報資産保護など、総合的なCSRの取組みを引き続き推進してまいります。
当社グループは、中期経営計画に基づき、中期経営基本目標の達成に全力を挙げて取り組んでまいります。株主の皆様におかれましては、今後ともご理解、ご支援を賜りますよう心よりお願い申しあげます。
(5) 会社の支配に関する基本方針
① 基本方針の内容
上場会社である当社の株式は、株主、投資家の皆様による自由な取引が認められており、当社の株式に対する大規模買付提案又はこれに類似する行為があった場合においても、企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、当社といたしましては、一概にこれを否定するものではなく、最終的には株主全体の意思により判断されるべきものと考えております。
しかしながら、株式の大規模買付提案の中には、例えばステークホルダーとの良好な関係を保ち続けることができない可能性があるなど、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を損なうおそれのあるものや、当社グループの価値を十分に反映しているとは言えないもの、あるいは株主の皆様が最終的な決定をされるために必要な情報が十分に提供されないものもありえます。
そのような提案に対して、当社取締役会は、株主の皆様から負託された者の責務として、株主の皆様のために、必要な時間や情報の確保、株式の大規模買付提案者との交渉を行う必要があると考えております。
② 基本方針の実現に資する特別な取組み
当社グループは、創立以来「常に時代の先駆者でありたい」と考え、急速に進化する情報通信・電子部品業界で、「アンテナスペシャリスト」、「ファインコネクタスペシャリスト」、「マイクロウェーブ(高周波)スペシャリスト」、「先端デバイススペシャリスト」としてのコアコンピタンスを活かし、主要市場分野である自動車市場・半導体検査市場・携帯端末市場に当社独自の先進技術力を駆使し、革新的な先端製品を提供してまいりました。このことにより、上記基本方針に示したとおり、ステークホルダーの皆様の利益・幸福を希求してまいりました。
当社グループは、企業価値のさらなる向上を目指し、経営の基本方針のもとに、さらなる事業拡大と収益力向上に取り組んでまいります。これらの取組みは、基本方針の実現に資するものと考えます。
なお、「経営の基本方針」、「中期経営基本目標」、「中長期的な会社の経営戦略」及び「会社の対処すべき課題」につきましては、前記(1)から(4)までをご参照ください。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は平成29年5月23日開催の取締役会において「当社株式の大規模買付行為に関する対応策」(以下、「本プラン」といいます。)の継続を決議し、平成29年6月29日開催の第79期定時株主総会において、本プランを継続することの承認を得ております。
本プランの詳細につきましては、平成29年5月23日公表の「当社株式等の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)の継続について」の「3.基本方針に照らして不適切な者によって当該株式会社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み」をご参照ください。
(当社ウェブサイト http://www.yokowo.co.jp/ir/release/index.shtml)
(a) 本プランの導入目的と必要性
当社株式の大規模買付行為が行われる場合に、不適切な買付行為でないかどうかについて、株主の皆様が判断されるために必要な情報や時間を確保したり、株主の皆様のために当社取締役会が買付者と交渉を行うことを可能とすること、及び大規模買付ルールが遵守された場合及び大規模買付ルールが遵守されなかった場合につき、基本方針に即した一定の対応方針を定めることを目的としています。
(b) 大規模買付ルールの設定
本プランにおいては、当社発行済株式数の20%以上の株式を取得しようとする買付者等(以下「買付者等」といいます。)が遵守するべき「大規模買付ルール」(以下「本ルール」といいます。)として、株主の皆様が検討するうえで必要な情報の提供と時間の確保を求めることとしております。
(c) 株主意思確認手続と対抗措置発動
買付者等が本ルールを遵守し、当社取締役会が検討の結果当該買付者等による買付提案に反対する場合は、対抗措置(新株予約権の無償割当て)の発動について株主の皆様の意思を確認する手続(株主意思確認総会等)を実施することとしておりますが、当該買付提案が企業価値の最大化に資すると当社取締役会が賛同する場合は、対抗措置の発動は行いません。反対に、本ルールが遵守されなかった場合や、本ルールは遵守されているが当該買付行為が企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するものであると合理的に判断される場合は、株主の皆様の意思を確認する手続を経ずに取締役会決議のみによって対抗措置を発動することがあります。
(d) 本プランの有効期間
本プランの有効期間は、平成32年6月開催予定の当社定時株主総会終結の時までとします。
(e) 本プランの変更・廃止
本プランの変更については、上記有効期間満了前であっても、当社株主総会の決議により行うことができます。
一方、廃止については、上記有効期間満了前であっても、当社株主総会の決議によって行うことができるほか、当社株主総会において選任された取締役で構成される取締役会における決議によっても行うことができるものとします。
④ 本プランについての取締役会の判断及びその理由
当社取締役会といたしましては、本プランは以下の点を充たしていることから基本方針に適ったものであり、したがって、株主共同の利益を損なうものではなく、当社役員の地位の維持を目的とするものでもないと判断しております。
(a) 買収防衛策に関する指針の要件を全て充足していること
(b) 株主共同の利益の確保・向上の目的をもって継続されていること
(c) 株主意思を重視するものであること
(d) 合理的な客観的発動要件の設定
(e) 第三者専門家の意見の取得
(f) デッドハンド型もしくはスローハンド型買収防衛策ではないこと
当社グループの経営成績、財務状況及び株価に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する記載は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1) 国際的活動及び海外進出に潜在するリスク
当社グループの販売及び生産活動は、日本国内のみならず米国・欧州・アジア諸国等世界全域に幅広く行っております。これら関係諸国での事業活動に伴い、以下に掲げるリスクが内在しております。
①予期しない法律又は規制の変更
②不利な政治又は経済要因
③未整備の技術インフラ
④潜在的に不利な税制
⑤テロ、戦争、デモその他の要因による社会的混乱
⑥労働力需給逼迫に伴う賃金・人材確保コストの急増
生産活動については、その約85%を中国・マレーシア・ベトナム・米国の生産子会社5社が行っておりますが、当該国での法環境の変化、経済政策の変更、反日感情等に伴うデモ・ストライキ等が長期かつ大規模であった場合は、当社の業績見通しに大幅な変動が生じる可能性があります。
また、新型インフルエンザ等の感染症や自然災害による被害・影響が、企業努力で対処可能な範囲を超えて波及した場合は、製品供給に大幅な支障が生じる可能性があります。
(2) 主要市場・顧客業績の動向に伴うリスク
当社グループは最終消費製品メーカー等に対し部品を製造販売する事業を営んでおり、主要市場である自動車、半導体検査、携帯端末の各市場の動向や当社顧客業績の動向により、当社グループの受注が大きな影響を受けることがあります。主要市場の縮小や顧客業績の不振は、当社グループの受注減少、売上高の減少となる可能性があります。また、顧客が法的整理等に至った場合は、当社グループの当該顧客に対する債権の全部又は一部が回収不能となる可能性があります。
(3) 為替レートの変動に伴うリスク
当社グループの販売高の約65%及び生産高の約85%は、海外で発生しております。各地域における売上、原価、保有資産等多くは現地通貨建てであり、連結財務諸表上は円換算しております。為替レートの変動によりこれらの財産・業績等の円換算後の金額が変動し、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。
なお、当連結会計年度末における通貨別構成の下では、他の通貨に対する円高は当社グループの業績にマイナスの影響を、円安はプラスの影響を及ぼします。
(4) 株価変動に伴うリスク
当社グループが保有する金融資産には、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準等に則り、期末時点における時価により評価替えを行う有価証券等が含まれております。期末時点における当該有価証券等の時価が著しく下落したときには、回復する見込みがあると認められる場合を除き、当社グループの定める基準に従い評価損を計上することにより、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。
(5) 減損会計適用に伴うリスク
当社グループが保有する事業用固定資産は、減損会計適用対象となっております。当該事業用固定資産を活用する事業の収益性が著しく低下した場合、所定の算定基準に従い当該事業用固定資産の帳簿価額を減額することにより、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。
(6) 製造物責任に伴うリスク
当社グループが製造・販売する製品は、顧客の製造工程で使用される部品、半完成品、又は検査工程で使用される検査用機器です。当社製品の欠陥による顧客財物等の破損等や顧客製品の市場回収等に伴い発生した費用等について当社が賠償責任を負った場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。
(7) 訴訟に伴うリスク
当社グループの事業領域は多岐にわたっており、活動範囲もグローバルに広がっております。開発から調達・製造・販売までの事業活動を展開するなかで、権利保護や損害賠償請求等を目的として訴訟を提起し、又は提起され、判決・和解等により当社が損害賠償・和解金等の債務を負った場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。
(8) 自然災害や突発的事象発生のリスク
地震等の自然災害や突発的事象に起因する設備の破損、電力・水道の供給困難等による生産の停止は、当社グループの経営成績及び財政状況等に影響を及ぼす可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、本社(研究開発部、事業部技術部門)及び現地開発拠点で行っております。中長期的に、当社主要市場である自動車市場、半導体製造・検査市場及びモバイル端末市場並びに医療機器関連市場は、プラグインハイブリッド/電気自動車などの新型の環境対応車や、ADAS(先進運転支援システム)/自動運転などの進展、次世代高速・大容量通信用など新規半導体需要の顕在化、ウェアラブル端末など次世代製品の普及、低侵襲医療の浸透や遺伝子検査技術の高度化により、市場の拡大が予想されます。
当社グループでは、「全社成長戦略」に基づき、当社グループの基盤技術であるアンテナ技術、半導体応用技術、マイクロウエーブ(高周波)技術、セラミックス技術、微細精密加工技術、フォトリソ(MEMS)技術を核に、研究開発部門、事業部技術部門及び現地開発拠点が一丸となって、技術集積度がより高く付加価値の高い製品への展開に重点をおき、新技術、新製品開発に向けて研究開発活動を展開してまいりました。
当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額(人件費、経費を含む)は21億5百万円であります。なお、研究開発費の総額には特定のセグメントに関連付けられない事業横断的な研究開発に係る費用2億8百万円が含まれております。
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
(1) 車載通信機器
当セグメントでは、AM/FM/TV・地上デジタルTV・セルラー・GPS・衛星DAB等多岐にわたるメディア用アンテナの複合化推進と、小型・低背、高性能アンテナの開発を推進してまいりました。次期戦略製品として、更なる超低背・超小型AM/FMアンテナの技術開発と次世代通信(4G・5G)に対応するシステム開発、安全・安心な新世代の交通インフラ確立に向けた各種ITS関連システム・機器、ADAS(先進運転支援システム)/自動運転に不可欠なV2X(車車間、道路/車間、歩行者/車間)用アンテナシステムの技術開発を推進しております。当連結会計年度における研究開発費の金額は11億1千1百万円であります。
(2) 回路検査用コネクタ
当セグメントでは、大電流化に対応したIC検査用ソケットの開発を推進するとともに、プローブ表面の改質技術など高性能化・高耐久化に関する研究開発を進めております。また、プローブカード分野ではフォトリソ技術による半導体挟ピッチ化・多ピン化・高速高周波化のロードマップに歩調を合わせた新規プローブカード、さらにミリ波帯半導体IC検査用プローブカードの開発を進めております。セラミック技術においては、一般/車載照明LED用新型パッケージや新型基板の開発を完了し量産移管の準備を進めるとともに、これから需要が拡大する高周波ICの新型セラミックパッケージの開発を推進しております。当連結会計年度における研究開発費の金額は3億8千1百万円であります。
(3) 無線通信機器
当セグメントでは、スマートフォン・ウェアラブル端末市場向けやPOS端末向けコイルコネクタ、スプリングコネクタ、板バネコネクタ、ユニバーサルコネクタの商品開発を推進してまいりました。更に、5Gbps,10Gbpsといった高速光通信に対応する光コネクタの開発も推進しております。本分野に入れております医療機器関連分野では、当社の微細精密加工技術、高周波技術を応用し、日米の大学・医療機関と新たな低侵襲の医療用具や検査システムの共同開発を推進しております。当連結会計年度における研究開発費の金額は4億3百万円であります。
当社グループは、これらの研究開発活動を更に深耕・展開し、売上・収益の拡大に努めてまいります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の採用や資産・負債及び収益・費用の計上並びに開示に関する経営者の見積りについて過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実績の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用しております重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は、現金及び預金増加17億6千2百万円、売上債権増加8億7百万円などにより、224億4千3百万円(前期末比32億7千6百万円の増加)となりました。
固定資産につきましては、有形固定資産増加3億5千5百万円、時価上昇に伴う投資有価証券増加2億1百万円などにより、108億7千6百万円(前期末比5億9千4百万円の増加)となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における資産合計は、333億1千9百万円(前期末比38億7千1百万円の増加)となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は、仕入債務増加7億6千4百万円などにより、100億8千1百万円(前期末比21億7千万円の増加)となりました。
固定負債につきましては、退職給付信託の追加設定に伴う退職給付に係る負債減少1億5千7百万円などにより、24億2百万円(前期末比1億8千4百万円の減少)となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における負債合計は、124億8千3百万円(前期末比19億8千6百万円の増加)となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益23億8千1百万円、その他有価証券評価差額金増加1億8千万円、為替換算調整勘定減少4億1千2百万円、剰余金の配当2億8千万円などにより、208億3千6百万円(前期末比18億8千5百万円の増加)となりました。
(売上総損益)
当連結会計年度における売上高は440億7千7百万円(前期比+10.2%)、売上原価は352億5千1百万円(前期比+6.7%)、売上総利益は88億2千6百万円(前期比+26.8%)となりました。全セグメントにおいて、増収に伴う増益のほか、比較的利益率の高い製品の売上比率上昇や更なる原価低減活動などにより、売上総利益が前期比で増益となりました。なお、セグメント別の売上高の分析は、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」で説明しております。
(営業損益)
当連結会計年度における営業損益につきましては、すべてのセグメントが前期比で増益となったことから、営業損益は25億1千6百万円の利益(前期比+138.0%)となりました。
(経常損益)
当連結会計年度における経常損益につきましては、前期における為替差損計上に対し、当期は新興国通貨安による為替差益6千2百万円の計上などにより、経常損益は26億8百万円の利益(前期比+217.2%)となりました。
(税金等調整前当期純損益)
当連結会計年度における税金等調整前当期純損益につきましては、投資有価証券の退職給付信託設定益など特別利益6千6百万円、特許実施許諾料(過年度分)・製品保証費用など特別損失3億2千9百万円により、税金等調整前当期純損益は23億4千4百万円の利益(前期比+184.6%)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純損益につきましては、繰延税金資産積み増しによる税金費用の減少などにより、親会社株主に帰属する当期純損益は23億8千1百万円の利益(前期比+477.6%)と、前期比で大幅な増益となりました。
当社の運転資金は、主に製品製造に使用する原材料や部品の調達に費やされており、製造費や販売費及び一般管理費に計上される財・サービスに対しても同様に費消されております。また、設備投資資金は、生産設備取得等生産体制の構築、情報システムの整備等に支出されております。これらの必要資金は、利益の計上、減価償却費等により生み出される内部資金により賄うことを基本方針としております。
当連結会計年度におきましては、中国・ベトナムでの二大主力生産拠点体制の確立やマレーシア生産子会社の量産設備増強等の設備投資を継続的に実施いたしましたが、金融機関からの借入れにより資金調達したこと等により、当連結会計年度末における当社グループの現金及び現金同等物の残高は58億1千8百万円と、前期末比17億6千2百万円増加いたしました。
なお、キャッシュ・フローの状況の詳細は「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
「第2 事業の状況 3 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。