文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、創立以来「常に時代の先駆者でありたい」と考え、急速に進化する情報通信・電子部品業界で、「アンテナスペシャリスト」、「ファインコネクタスペシャリスト」、「マイクロウェーブ(高周波)スペシャリスト」、「先端デバイススペシャリスト」としてのコアコンピタンスを活かし、主要市場である自動車市場・半導体検査市場・携帯端末市場・先端医療機器市場向けに当社独自の先進技術力を駆使し、革新的な先端製品を提供してまいりました。
当社グループは、企業価値のさらなる向上を目指し、以下の経営の基本方針を掲げております。
<経営の基本方針>
●品質第一主義に徹し、最高品質と環境負荷物質ゼロ化により、「ヨコオ品質ブランド」を確立する
●「技術立脚企業」として、アンテナ・マイクロウェーブ・セラミック・微細精密加工技術をさらに強化・革新するとともに、製品の付加価値向上に貢献する新技術を積極的に導入し、顧客の製品機能多様化・適用技術多様化へのニーズに応える
●プロダクト・イノベーション(事業構造・製品構造の革新)、
プロセス・イノベーション(事業運営システムの革新)、
パーソネル・イノベーション(人材の革新)
の3つの革新に加え、将来成長を見据えた
マネジメント・イノベーション(経営・事業運営の革新)
を強力に推進することにより、「進化経営」の具現化を加速する
(2)目標とする経営指標
<中期経営基本目標>
当社グループは、以下の指標を中期経営基本目標として掲げております。
●ビジネスモデル革新による質の高い本格成長とミニマム8(エイト)の達成
ミニマム8: 売上高成長率・売上高営業利益率・自己資本利益率を8%以上確保
(3)中長期的な会社の経営戦略
世界経済のパラダイムシフトは弛むことなく続いており、新技術や新製品の急速な普及により先行者利益が希薄化・喪失する “コモディティ化” と、異なる分野の技術・製品が融合し新たな市場が創出される “ボーダレス化” は、絶えず進展しております。
当社グループは、このような状況の中、持続的な企業価値の向上を目指し、経営の基本方針に掲げる4つのイノベーション(プロダクト/プロセス/パーソネル/マネジメント)の推進に取り組んでおります。当期(2019年3月期)におきましては、5期連続で過去最高の連結売上高を更新いたしましたが、営業利益は前期比で若干の減益となり、中期経営基本目標の一つである「売上高営業利益率を8%以上確保」に対しては足踏みする結果となりました。
しかしながら、当社グループのターゲット市場である自動車/半導体検査/携帯端末/先端医療の各市場は、基本的に成長市場であり、5Gや自動運転など新たな社会インフラを形成する技術・製品の開発・普及により、中長期的な拡大が期待されております。当社グループは、これら主要市場においてより優位なポジションを獲得・確率するべく、上記4つのイノベーション施策を強力に推進しつつ、ビジネスモデル転換により、全社の安定成長と強靭な高収益構造を追求してまいります。
この考え方に基づき策定した新中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)の重点施策は、以下のとおりです。
●新中期経営計画の重点施策
1)マネジメント・イノベーションの推進
開発/製造/販売が一体となってお客様ニーズに突き刺さる事業運営の実現と製造マネジメント力強化
① ロードマップによる事業部意志の明確化
② 事業収支責任と収支達成権限の一本化
③ キャッシュ創出力の向上
2)プロセス・イノベーションの進化
(※)
① 重要工程ラインへの新5S(※1)思想適用拡大
※1 新5S:Simple(単純化・簡素化)/Slim(ムダゼロ化)/Small(小ロット化・小型化)/Short(リードタイム短縮)/Smooth(平準化)
② 事業プロセス全体への新5S思想適用拡大
③ AI/IoT活用による製造固定費構造改革
④ IT環境抜本的刷新による間接業務の生産性向上
3)業界・市場変化をチャンスに変えるプロダクト・イノベーション
① CASE(※2)向け製品/事業モデル開発
※2 CASE:自動車の新しいトレンドであるConnectivity(接続性)/Autonomous(自動運転)/Shared(共有)/Electric(電動化)
② 高周波検査技術強化とターンキー事業体制構築
③ メディカル・デバイスの独自接合技術によるアッセンブリ事業の強化 など
4)パーソネル・イノベーションの推進
① グローバル人材活用とTISP(Tomioka International Specialist Park)プロジェクト
② 働き方改革のさらなる推進
上記の重点施策を強力に推進することにより、本中期経営計画期間において中期経営基本目標である「ミニマム8」の達成を目指してまいります。
(4)会社の対処すべき課題
当連結会計年度におきましては、前記のとおり過去最高の売上高となったものの、中期経営基本目標の一つである「売上高営業利益率を8%以上確保」は依然として未達成であり、さらなる収益性向上が最重要課題であることに変わりはないと認識しております。前記の新中期経営計画の初年度である2020年3月期におきましては、以下の点に重点的に取り組みます。
① 車載通信機器セグメント
生産拠点における製造コストマネジメント強化、中国工場からベトナム工場へのさらなる移管推進、生産拠点における自働組立ライン・自動検査システムの導入・拡大
② 回路検査用コネクタセグメント
半導体前工程検査領域でのターンキー・ビジネスによる本格事業拡大、国内/マレーシア工場における能力増強投資及び自働組立ライン構築・自動検査システム導入など効率化・合理化投資
③ 無線通信機器セグメント
ファインコネクタ事業:市場の差別化製品ニーズに沿ったカスタムタイプのコネクタの投入や、標準品ラインナップの拡充による新たな需要の取込みの加速
メディカル・デバイス事業:生産設備増強、アッセンブリ新製品の確実な量産立上げ
④ 新規事業領域
システム事業:来るべきCASE時代に備えた事業モデルの進化
また、グローバルに事業展開する企業としてさらに高い水準でCSR(企業の社会的責任)を果たさなければならないとの認識から、環境/コンプライアンス/コーポレートガバナンス/人権保護/情報資産保護など、総合的なCSRの取組みを引き続き推進してまいります。
当社グループは、中期経営計画に基づき、「ミニマム8」の達成に全力を挙げて取り組んでまいります。株主の皆様におかれましては、今後ともご理解、ご支援を賜りますよう心よりお願い申しあげます。
(5) 会社の支配に関する基本方針
① 基本方針の内容
上場会社である当社の株式は、株主、投資家の皆様による自由な取引が認められており、当社の株式に対する大規模買付提案又はこれに類似する行為があった場合においても、企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、当社といたしましては、一概にこれを否定するものではなく、最終的には株主全体の意思により判断されるべきものと考えております。
しかしながら、株式の大規模買付提案の中には、例えばステークホルダーとの良好な関係を保ち続けることができない可能性があるなど、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を損なうおそれのあるものや、当社グループの価値を十分に反映しているとは言えないもの、あるいは株主の皆様が最終的な決定をされるために必要な情報が十分に提供されないものもありえます。
そのような提案に対して、当社取締役会は、株主の皆様から負託された者の責務として、株主の皆様のために、必要な時間や情報の確保、株式の大規模買付提案者との交渉を行う必要があると考えております。
② 基本方針の実現に資する特別な取組み
当社グループは、創立以来「常に時代の先駆者でありたい」と考え、急速に進化する情報通信・電子部品業界で、「アンテナスペシャリスト」、「ファインコネクタスペシャリスト」、「マイクロウェーブ(高周波)スペシャリスト」、「先端デバイススペシャリスト」としてのコアコンピタンスを活かし、主要市場分野である自動車市場・半導体検査市場・携帯端末市場に当社独自の先進技術力を駆使し、革新的な先端製品を提供してまいりました。このことにより、上記基本方針に示したとおり、ステークホルダーの皆様の利益・幸福を希求してまいりました。
当社グループは、企業価値のさらなる向上を目指し、経営の基本方針のもとに、さらなる事業拡大と収益力向上に取り組んでまいります。これらの取組みは、基本方針の実現に資するものと考えます。
なお、「経営の基本方針」、「中期経営基本目標」、「中長期的な会社の経営戦略」及び「会社の対処すべき課題」につきましては、前記(1)から(4)までをご参照ください。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は2017年5月23日開催の取締役会において「当社株式の大規模買付行為に関する対応策」(以下、「本プラン」といいます。)の継続を決議し、2017年6月29日開催の第79期定時株主総会において、本プランを継続することの承認を得ております。
本プランの詳細につきましては、2017年5月23日公表の「当社株式等の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)の継続について」の「3.基本方針に照らして不適切な者によって当該株式会社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み」をご参照ください。
(当社ウェブサイト https://www.yokowo.co.jp/ir/news/)
(a) 本プランの導入目的と必要性
当社株式の大規模買付行為が行われる場合に、不適切な買付行為でないかどうかについて、株主の皆様が判断されるために必要な情報や時間を確保したり、株主の皆様のために当社取締役会が買付者と交渉を行うことを可能とすること、及び大規模買付ルールが遵守された場合及び大規模買付ルールが遵守されなかった場合につき、基本方針に即した一定の対応方針を定めることを目的としています。
(b) 大規模買付ルールの設定
本プランにおいては、当社発行済株式数の20%以上の株式を取得しようとする買付者等(以下「買付者等」といいます。)が遵守するべき「大規模買付ルール」(以下「本ルール」といいます。)として、株主の皆様が検討するうえで必要な情報の提供と時間の確保を求めることとしております。
(c) 株主意思確認手続と対抗措置発動
買付者等が本ルールを遵守し、当社取締役会が検討の結果当該買付者等による買付提案に反対する場合は、対抗措置(新株予約権の無償割当て)の発動について株主の皆様の意思を確認する手続(株主意思確認総会等)を実施することとしておりますが、当該買付提案が企業価値の最大化に資すると当社取締役会が賛同する場合は、対抗措置の発動は行いません。反対に、本ルールが遵守されなかった場合や、本ルールは遵守されているが当該買付行為が企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するものであると合理的に判断される場合は、株主の皆様の意思を確認する手続を経ずに取締役会決議のみによって対抗措置を発動することがあります。
(d) 本プランの有効期間
本プランの有効期間は、2020年6月開催予定の当社定時株主総会終結の時までとします。
(e) 本プランの変更・廃止
本プランの変更については、上記有効期間満了前であっても、当社株主総会の決議により行うことができます。
一方、廃止については、上記有効期間満了前であっても、当社株主総会の決議によって行うことができるほか、当社株主総会において選任された取締役で構成される取締役会における決議によっても行うことができるものとします。
④ 本プランについての取締役会の判断及びその理由
当社取締役会といたしましては、本プランは以下の点を充たしていることから基本方針に適ったものであり、したがって、株主共同の利益を損なうものではなく、当社役員の地位の維持を目的とするものでもないと判断しております。
(a) 買収防衛策に関する指針の要件を全て充足していること
(b) 株主共同の利益の確保・向上の目的をもって継続されていること
(c) 株主意思を重視するものであること
(d) 合理的な客観的発動要件の設定
(e) 第三者専門家の意見の取得
(f) デッドハンド型もしくはスローハンド型買収防衛策ではないこと
当社グループの経営成績、財務状況及び株価に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する記載は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1) 国際的活動及び海外進出に潜在するリスク
当社グループの販売及び生産活動は、日本国内のみならず米国・欧州・アジア諸国等世界全域に幅広く行っております。これら関係諸国での事業活動に伴い、以下に掲げるリスクが内在しております。
①予期しない法律又は規制の変更
②不利な政治又は経済要因
③未整備の技術インフラ
④潜在的に不利な税制
⑤テロ、戦争、デモその他の要因による社会的混乱
⑥労働力需給逼迫に伴う賃金・人材確保コストの急増
生産活動については、その80%以上を中国・マレーシア・ベトナム・米国の生産子会社4社が行っておりますが、当該国での法環境の変化、経済政策の変更、反日感情等に伴うデモ・ストライキ等が長期かつ大規模であった場合は、当社の業績見通しに大幅な変動が生じる可能性があります。
また、新型インフルエンザ等の感染症や自然災害による被害・影響が、企業努力で対処可能な範囲を超えて波及した場合は、製品供給に大幅な支障が生じる可能性があります。
(2) 主要市場・顧客業績の動向に伴うリスク
当社グループは最終消費製品メーカー等に対し部品を製造販売する事業を営んでおり、主要市場である自動車、半導体検査、携帯端末の各市場の動向や当社顧客業績の動向により、当社グループの受注が大きな影響を受けることがあります。主要市場の縮小や顧客業績の不振は、当社グループの受注減少、売上高の減少となる可能性があります。また、顧客が法的整理等に至った場合は、当社グループの当該顧客に対する債権の全部又は一部が回収不能となる可能性があります。
(3) 為替レートの変動に伴うリスク
当社グループの販売高の約65%及び生産高の80%以上は、海外で発生しております。各地域における売上、原価、保有資産等多くは現地通貨建てであり、連結財務諸表上は円換算しております。為替レートの変動によりこれらの財産・業績等の円換算後の金額が変動し、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。
なお、当連結会計年度末における通貨別構成の下では、他の通貨に対する円高は当社グループの業績にマイナスの影響を、円安はプラスの影響を及ぼします。
(4) 株価変動に伴うリスク
当社グループが保有する金融資産には、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準等に則り、期末時点における時価により評価替えを行う有価証券等が含まれております。期末時点における当該有価証券等の時価が著しく下落したときには、回復する見込みがあると認められる場合を除き、当社グループの定める基準に従い評価損を計上することにより、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。
(5) 減損会計適用に伴うリスク
当社グループが保有する事業用固定資産は、減損会計適用対象となっております。当該事業用固定資産を活用する事業の収益性が著しく低下した場合、所定の算定基準に従い当該事業用固定資産の帳簿価額を減額することにより、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。
(6) 製造物責任に伴うリスク
当社グループが製造・販売する製品は、顧客の製造工程で使用される部品、半完成品、又は検査工程で使用される検査用機器です。当社製品の欠陥による顧客財物等の破損等や顧客製品の市場回収等に伴い発生した費用等について当社が賠償責任を負った場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。
(7) 訴訟に伴うリスク
当社グループの事業領域は多岐にわたっており、活動範囲もグローバルに広がっております。開発から調達・製造・販売までの事業活動を展開するなかで、権利保護や損害賠償請求等を目的として訴訟を提起し、又は提起され、判決・和解等により当社が損害賠償・和解金等の債務を負った場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。
(8) 自然災害や突発的事象発生のリスク
地震等の自然災害や突発的事象に起因する設備の破損、電力・水道の供給困難等による生産の停止は、当社グループの経営成績及び財政状況等に影響を及ぼす可能性があります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は、現金及び預金増加2,592百万円、売上債権増加96百万円、たな卸資産増加839百万円などにより、28,327百万円(前期末比3,927百万円の増加)となりました。
固定資産につきましては、有形固定資産増加1,881百万円などにより、14,453百万円(前期末比1,823百万円の増加)となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における資産合計は、42,781百万円(前期末比5,751百万円の増加)となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は、仕入債務増加253百万円、短期借入金増加1,300百万円などにより、14,121百万円(前期末比1,087百万円の増加)となりました。
固定負債につきましては、長期借入金増加3,400百万円などにより、4,172百万円(前期末比3,461百万円の増加)となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における負債合計は、18,294百万円(前期末比4,548百万円の増加)となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益2,209百万円の計上、その他有価証券評価差額金減少280百万円、退職給付に係る調整累計額減少171百万円、剰余金の配当526百万円などにより、24,486百万円(前期末比1,202百万円の増加)となりました。
<車載通信機器>
業量増に伴う売掛債権及び棚卸資産の増加のほか、設備投資などに伴う有形固定資産及び無形固定資産の増加1,955百万円などにより、当連結会計年度末におけるセグメント資産は、19,298百万円(前期末比575百万円の増加)となりました。
上記の設備投資(当連結会計年度における投資総額1,717百万円)のうち主なものは、中国生産子会社である東莞友華汽車配件有限公司、ベトナム生産子会社であるYOKOWO VIETNAM CO., LTD.における量産設備等の導入であります。
<回路検査用コネクタ>
業量拡大に伴う売掛債権増加のほか、設備投資などに伴う有形固定資産及び無形固定資産の増加1,557百万円などにより、当連結会計年度末におけるセグメント資産は、6,778百万円(前期末比1,428百万円の増加)となりました。
上記の設備投資(当連結会計年度における投資総額1,471百万円)のうち主なものは、半導体検査用治具の受注拡大及び短納期化に対応するための日本国内生産拠点及びマレーシア生産子会社であるYOKOWO ELECTRONICS (M) SDN. BHD.における各種設備の新規投資であります。
<無線通信機器>
業量拡大に伴う売掛債権増加のほか、設備投資などに伴う有形固定資産及び無形固定資産の増加718百万円などにより、当連結会計年度末におけるセグメント資産は、5,298百万円(前期末比976百万円の増加)となりました。
上記の設備投資(当連結会計年度における投資総額678百万円)のうち主なものは、中国生産子会社である東莞友華汽車配件有限公司やマレーシア生産子会社であるYOKOWO ELECTRONICS (M) SDN. BHD.におけるファインコネクタ事業の量産設備等の更新及び増設、メディカル・デバイス事業の販売拡大に対応した日本国内生産拠点における量産設備等の増設であります。
当連結会計年度における世界経済は、良好な雇用環境と消費に支えられた米国経済の順調な推移の一方で、英国のEU離脱問題の長期化や中国経済の減速などの不安要素により、緩やかな成長を続けながらも混迷の様相を深めました。とりわけ、米国と中国の経済摩擦の激化は、米中のみならず世界各国にも影響が波及しており、世界経済の先行きは予断を許さない状況です。
わが国におきましては、消費は堅調に推移しましたが、人手不足に伴う賃金上昇・輸送費増加、米中貿易摩擦による関税大幅引き上げ、中国をはじめとする海外需要の減退などが、景況感や企業の業績に影を落としつつあります。
当社グループの主要市場である自動車市場、半導体検査市場、携帯端末市場におきましては、IoT、5G(第5世代移動通信システム)、ADAS/自動運転の実用化に向けた製品/技術開発競争が新たな競合関係や合従連衡の動きとともに熾烈さを増し、覇権争いが一層激化しております。
このような状況の中、当社グループは、質の高い本格成長を期し、経営基本方針に掲げる4つのイノベーション(プロダクト/プロセス/パーソネル/マネジメント)の推進に取り組みました。特に、当期は、製造力/製造マネジメント力強化を最重要テーマの一つとして、車載通信機器セグメントの収益構造再建に注力し、中国・ベトナム両工場のオペレーション安定化と生産性向上を着実に推進いたしました。期中で生じた米国による対中国関税引き上げに対しては、中国工場からベトナム工場への生産移管を範囲拡大・前倒しして進めるなどの対策により、関税負担の軽減に努めました。また、回路検査用コネクタセグメントにおきましては、顧客の生産調整などにより減収を余儀なくされるなか、5Gをはじめとする将来の事業成長機会をより確実に捉えるべく、技術/製造体制の強化、国内・マレーシア工場への新生産ライン増設による能力増強・生産性向上を推進いたしました。
この結果、当連結会計年度における売上高は、車載通信機器及び無線通信機器の両セグメントが前期比で増収となり、54,752百万円(前期比+5.5%)と、5期連続で過去最高の連結売上高を更新いたしました。営業損益につきましては、前期比で車載通信機器及び無線通信機器の両セグメントが大幅に増益となったものの、回路検査用コネクタセグメントが減益となり、3,028百万円の利益(前期比△3.4%)となりました。経常損益につきましては、円安による為替差益258百万円を計上したことなどにより、3,286百万円の利益(前期比+12.9%)となりました。親会社株主に帰属する当期純損益につきましては、製品保証費用の計上などにより、2,209百万円の利益(前期比△5.5%)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
<車載通信機器>
当セグメントの主要市場である自動車市場は、中国市場が減少に転じ、米国市場もわずかに減少となったものの、インド/アセアン市場の順調な伸長により、緩やかな拡大を続けるものとみられております。国内におきましては、登録車がわずかに販売減となった一方、軽自動車が堅調に推移した結果、新車販売台数は前年をわずかに上回りました。
このような状況の中、主力製品であるシャークフィンアンテナ/GPSアンテナをはじめとする車載アンテナ製品は、日系自動車メーカーの国内・海外向けともに販売が伸長し、前期を上回りました。
この結果、当セグメントの売上高は38,183百万円(前期比+5.3%)と、前期比で増収となりました。セグメント損益につきましては、中国における製造労務費の上昇、米国向け輸出製品に係る関税の税率引き上げ、棚卸資産の評価方法変更などによる利益押し下げの一方で、生産管理効率向上による部品・製品輸出費用の削減などから、482百万円の利益(前期比+459.1%)となりました。
自動運転/5Gなど新規分野における、より先進的かつ付加価値の高い戦略製品の開発・投入を加速しつつ、中国/アセアン/欧州市場でのビジネス拡大や新規顧客獲得活動など、さらなる事業拡大と“重層化”を引き続き推進いたします。また、生産拠点において能力増強投資に加えて自働組立ライン構築・自動検査システム導入など効率化・合理化投資を進めるとともに、中国工場からベトナム工場へのさらなる生産移管拡大、EMS(製造受託会社)やアライアンスの積極活用により、収益構造再建を進めてまいります。
<回路検査用コネクタ>
当セグメントの主要市場である半導体検査市場は、スマートフォン向けの成長鈍化に加え、2018年後半からのメモリー需要の減少・低迷により減速いたしましたが、IoT/車載/ビッグデータ/AIといった成長分野での需要増加により、中長期的には成長が継続するものとみられております。
このような状況の中、当社グループの主力製品であるBGAソケット等半導体後工程検査用治具の販売は、市場成長の減速を背景とした主要顧客の生産調整などにより、前期を下回りました。また、高周波電子部品検査用MEMSプローブカードを戦略製品とする半導体前工程検査用治具の販売は、周辺機器を含めてワンストップソリューションでサービスを提供する新ビジネス(ターンキー・ビジネス)が増加要因となった一方、既存製品の販売減により、前期を下回りました。一方、当セグメントに含めておりますLTCC事業につきましては、インターポーザ基板/LED基板などの販売が大幅に伸長し、前期を上回りました。
この結果、当セグメントの売上高は9,138百万円(前期比△3.8%)と、前期比で若干の減収となりました。セグメント損益につきましては、比較的利益率の高い製品の売上比率低下、将来の事業規模拡大に向けた技術・製造要員大幅増による固定費増加などにより、930百万円の利益(前期比△48.1%)となりました。
今後は、今後は、5G/ビッグデータ/車載/IoTといった分野での半導体需要増に的確に対応した戦略製品の開発・投入、国内/マレーシア工場における能力増強投資とともに自働組立ライン構築・自動検査システム導入など効率化・合理化投資及び原価低減活動の継続強化、半導体前工程検査領域でのターンキー・ビジネスによる本格事業拡大を強力に推進し、さらに高収益な事業構造・安定的な事業運営への進化に努めてまいります。
<無線通信機器>
当セグメントの主要市場は携帯端末市場及びPOS端末市場であり、携帯端末市場は、スマートフォンの出荷台数が前年割れとなった一方、ウェアラブル端末は多様化・高機能化により今後の成長が見込まれております。POS端末市場は、物流/製造を始めとする幅広い業界において、情報管理による業務効率化実現の観点から着実な成長を続けております。また、ヘルスケア/産業機器などの他市場も成長が期待されております。
このような状況の中、携帯端末メーカー向けの販売が受注減により落ち込んだものの、POS端末/ヘルスケア市場向け販売の堅調な推移により、売上高は前期を上回りました。
当セグメントに含めておりますメディカル・デバイス事業につきましても、国内顧客向けユニット製品販売の堅調な推移に加え、部品販売が増加したことにより、売上高は前期を大幅に上回りました。
この結果、当セグメントの売上高は、7,429百万円(前期比+20.6%)と、前期比で大幅な増収となりました。セグメント損益につきましては、増収による増益に加え、比較的利益率の高い製品の比率上昇などにより、1,615百万円の利益(前期比+30.3%)となりました。
今後は、ファインコネクタ事業につきましては、市場の差別化製品ニーズに沿ったカスタムタイプのコネクタの投入や、標準品ラインナップの拡充による新たな需要の取込みの加速により、事業の拡大と製品・市場・顧客の“重層化”に引き続き取り組んでまいります。
メディカル・デバイス事業につきましては、最先端の生産設備導入による微細精密部品の生産能力増強と、ガイドワイヤ/カテーテルユニット製品の国内外への拡販推進によるさらなる事業成長を目指すとともに、生産拠点の海外展開など事業拡大を見据えたサプライチェーンの“重層化”も推進してまいります。
(事業セグメント別連結売上高 前期比較) (単位:百万円、%)
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は販売価格によっております。
3 記載金額は消費税等を除いて表示しております。
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は販売価格によっております。
3 記載金額は消費税等を除いて表示しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 記載金額は消費税等を除いて表示しております。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、7,189百万円(前期比2,592百万円の増加)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、たな卸資産の増加769百万円などの減少要因がありましたが、税金等調整前当期純利益2,902百万円、減価償却費2,199百万円などの増加要因により、4,055百万円の収入(前期比2,074百万円の収入増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出3,538百万円、無形固定資産の取得による支出307百万円などの減少要因により、3,847百万円の支出(前期比1,328百万円の支出増加)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、リース債務の返済による支出208百万円、配当金の支払額524百万円などの減少要因がありましたが、長期借入による収入3,400百万円などの増加要因より、2,270百万円の収入(前期は549百万円の支出)となりました。
当社の運転資金は、主に製品製造に使用する原材料や部品の調達に費やされており、製造費や販売費及び一般管理費に計上される財・サービスに対しても同様に費消されております。また、設備投資資金は、生産設備取得等生産体制の構築・強化、情報システムの整備等に支出されております。これらの必要資金は、利益の計上、減価償却費等により生み出される内部資金により賄うことを基本方針としております。
当連結会計年度におきましては、富岡工場内における最新鋭の電波測定サイト建設をはじめとする研究開発・製品開発投資、中国及びベトナムの生産子会社における自働組立ライン新設など量産設備増強やマレーシア生産子会社の量産設備増強等を積極的に実施しており、今後も継続する計画であることから、その設備投資資金及び運転資金需要に対応するべく、長期借入金3,000百万円の追加借入を実施いたしました。その結果、当連結会計年度末における当社グループの現金及び現金同等物の残高は7,189百万円と、前期末比2,592百万円増加いたしました。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、本社(研究開発部、事業部技術部門)及び現地開発拠点で行っております。
中長期的に、当社主要市場である自動車市場、半導体製造・検査市場、モバイル端末市場、医療機器関連市場は、プラグインハイブリット/電気自動車などの新型の環境対応車や、ADAS(先進運転支援システム)/自動運転などの進展、第五世代携帯電話(5G)に代表される次世代高速・大容量通信用など新規半導体需要の顕在化、ウェアラブル端末など次世代製品の普及、低侵襲医療の浸透や遺伝子検査技術の高度化により、市場の拡大が予想されます。
当社グループでは、「全社成長戦略」に基づき、当社グループの基盤技術であるアンテナ技術、半導体応用技術、マイクロウエーブ(高周波)技術、セラミックス技術、微細精密加工技術、フォトリソ(MEMS)技術を核に、研究開発部門、事業部技術部門及び現地開発拠点が一丸となって、技術集積度がより高く付加価値の高い製品への展開に重点をおき、新技術、新製品開発に向けて研究開発活動を展開してまいりました。
当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額(人件費、経費を含む)は
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
(1) 車載通信機器
車載通信機器分野では、AM/FM/TV・地上デジタルTV・セルラ・GNSS・衛星DAB等多岐にわたるメディア用アンテナの複合化推進と、小型・低背、高性能アンテナの開発を推進してまいりました。次期戦略製品として、更なる超低背・超小型AM/FM/LTEアンテナの技術開発と次世代通信(4G・5G)に対応するシステム開発、安全・安心な新世代の交通インフラ確立に向けた各種ITS関連システム・機器、ADAS(先進運転支援システム)/自動運転に不可欠なV2X(車車間、道路/車間、歩行者/車間)用アンテナシステム、CASE時代に向けた通信システム・機器・デバイスの技術開発を推進しております。当連結会計年度における研究開発費の金額は
(2) 回路検査用コネクタ
回路検査機器分野では、大電流化に対応したICや高速高周波IC検査用ソケットの開発を推進するとともに、プローブ表面の改質技術など高性能化・高耐久化に関する研究開発を進めております。また、プローブカード分野ではフォトリソ技術による半導体挟ピッチ化・多ピン化・高速高周波化のロードマップに歩調を合わせた新規プローブカード、さらにミリ波帯半導体IC検査用プローブカードや5G Antenna in Package OTA検査用ソケットプローブカードの開発を進めております。セラミック技術においては、一般/車載照明LED用新型パッケージの開発を完了し本格量産開始するとともに、これから需要が拡大するパワー半導体用新型セラミックパッケージの開発を推進しております。当連結会計年度における研究開発費の金額は
(3) 無線通信機器
ファインコネクタ部門では、スマートフォン・ウェアラブル端末市場向けやPOS端末向けコイルコネクタ、スプリングコネクタ、板バネコネクタ、高定格コネクタの商品開発を推進してまいりました。更に、5Gbps,10Gbpsといった高速光通信に対応する光コネクタの開発も推進しております。本分野に入れております医療機器関連分野では、当社の微細精密加工技術、高周波技術を応用し、日米の大学・医療機関と新たな低侵襲の医療用具や検査システムの共同開発を推進しております。当連結会計年度における研究開発費の金額は
当社グループは、これらの研究開発活動を更に深耕・展開し、売上・収益の拡大に努めてまいります。