文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、創立以来「常に時代の先駆者でありたい」と考え、急速に進化する情報通信・電子部品業界で、「アンテナスペシャリスト」、「ファインコネクタスペシャリスト」、「マイクロウェーブ(高周波)スペシャリスト」、「先端デバイススペシャリスト」としてのコアコンピタンスを活かし、主要市場である自動車市場・半導体検査市場・携帯通信端末市場・先端医療機器市場向けに当社独自の先進技術力を駆使し、革新的な先端製品を提供してまいりました。
当社グループは、企業価値のさらなる向上を目指し、以下の経営の基本方針を掲げております。
<経営の基本方針>
●品質第一主義に徹し、最高品質と環境負荷物質ゼロ化により、「ヨコオ品質ブランド」を確立する
●「技術立脚企業」として、アンテナ・マイクロウェーブ・セラミック・微細精密加工技術をさらに強化・革新するとともに、製品の付加価値向上に貢献する新技術を積極的に導入し、顧客の製品機能多様化・適用技術多様化へのニーズに応える
●プロダクト・イノベーション(事業構造・製品構造の革新)、
プロセス・イノベーション(事業運営システムの革新)、
パーソネル・イノベーション(人材の革新)
の3つの革新に加え、将来成長を見据えた
マネジメント・イノベーション(経営・事業運営の革新)
を強力に推進することにより、「進化経営」の具現化を加速する
●業界/顧客/技術/サプライチェーン等の事業構造を重層化することにより、世界的パラダイムシフト/ドラスティックな事業環境や競争環境激変に対応可能な事業体制を確立する
(2)目標とする経営指標
<中期経営基本目標>
当社グループは、以下の指標を中期経営基本目標として掲げております。
●ビジネスモデル革新による質の高い本格成長とミニマム8(エイト)の達成
ミニマム8: 売上高成長率・売上高営業利益率・自己資本利益率を8%以上確保
(3)中長期的な会社の経営戦略
世界経済のパラダイムシフトは弛むことなく続いており、新技術や新製品の急速な普及により先行者利益が希薄化・喪失する “コモディティ化” と、異なる分野の技術・製品が融合し新たな市場が創出される “ボーダレス化” は、絶えず進展しております。
当社グループは、このような状況の中、持続的な企業価値の向上を目指し、経営の基本方針に掲げる4つのイノベーション(プロダクト/プロセス/パーソネル/マネジメント)の推進に取り組んでおります。当期(2020年3月期)におきましては、6期連続で過去最高の連結売上高を更新するとともに各利益につきましても過去最高を更新し、その結果、前記の中期経営基本目標であるミニマム8の3指標すべてを達成するに至りました。
当社グループのターゲット市場である自動車/半導体検査/携帯通信端末/先端医療の各市場は、基本的に成長市場であり、5Gや自動運転など新たな社会インフラを形成する技術・製品の開発・普及により、中長期的な拡大が期待されております。当社グループは、これら主要市場においてより優位なポジションを獲得・確立するべく、上記4つのイノベーション施策を強力に推進しつつ、ビジネスモデル転換により、全社の安定成長と強靭な高収益構造を追求してまいります。
しかしながら、2019年末以降世界的に拡大した新型コロナウイルス感染症の影響は極めて大きく、当社グループのターゲット市場においても半年先の見通しが立たない状況にあります。当社グループは、世界的な事業環境・競争環境の激変期が到来するという認識のもと、事業戦略の抜本的な見直しを含め、83期(2021年3月期)から85期(2023年3月期)までの新中期経営計画の策定を、2020年7月を目途に進めてまいります。
(4)会社の対処すべき課題
当期におきましては、前記のとおり売上高から当期純利益まですべて過去最高を更新し、ミニマム8の3指標もすべて達成いたしましたが、セグメント別には好調/不調が入り交じった結果となりました。83期(2021年3月期)はさらに、新型コロナウイルス感染症による直接及び間接の影響を受けており、事業環境は極めて不透明な状況にあります。このような状況下、以下の点に重点的に取り組みます。
① 車載通信機器セグメント
中国工場の開発機能強化、ベトナム工場のさらなる拡張と生産技術体制強化、生産拠点における自働組立ライン・自動検査システムの導入・拡大、コスト競争力強化に向けた第3生産拠点の検討
② 回路検査用コネクタセグメント
半導体前工程検査領域でのターンキービジネスの本格事業拡大、国内/マレーシア工場における大幅な能力増強投資及び自働組立ライン構築・自動検査システム導入など効率化・合理化投資
③ 無線通信機器セグメント
ファインコネクタ事業:市場の差別化製品ニーズに沿ったカスタムタイプのコネクタの投入や、標準品ラインナップの拡充による新たな需要の取込みの加速
メディカル・デバイス事業:生産設備増強、アッセンブリ新製品の確実な量産立上げ
④ 新規事業領域
システム事業:来るべきCASE時代に備えた事業モデルの進化
また、グローバルに事業展開する企業としてさらに高い水準でCSR(企業の社会的責任)を果たさなければならないとの認識から、環境/コンプライアンス/コーポレートガバナンス/人権保護/情報資産保護など、総合的なCSRの取組みを引き続き推進してまいります。
当社グループは、新型コロナウイルス感染症による極めて厳しいこの難局を全社一丸となって乗り越え、ミニマム8の安定的な達成に取り組んでまいります。株主の皆様におかれましては、今後ともご理解、ご支援を賜りますよう心よりお願い申しあげます。
当社グループの経営成績、財務状況及び株価に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する記載は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1) 一般リスク
①国内外活動及び海外進出に潜在するリスク
当社グループの販売及び生産活動は、日本国内のみならず米国・欧州・アジア諸国等世界全域に幅広く行っております。これら関係諸国での事業活動に伴い、以下に掲げるリスクが内在しております。
a.予期しない法律又は規制の変更
b.不利な政治又は経済要因
c.未整備の技術インフラ
d.潜在的に不利な税制
e.テロ、戦争、デモその他の要因による社会的混乱
f.労働力需給逼迫に伴う賃金・人材確保コストの急増
g.拠点における不正行為
生産活動については、その80%以上を中国・マレーシア・ベトナム・米国の生産子会社4社が行っておりますが、当該国での法環境の変化、経済政策の変更があった場合は、当社の業績見通しに大幅な変動が生じる可能性があります。
また、当社では、内部統制システムを整備することはもとより、行動規範において信頼の確立や法令遵守などを従業員に求め、ハンドブックを作成し、周知徹底させています。しかしながら、このような施策を講じても、複雑化する法令や規制への抵触、役員、従業員による不正行為は完全には回避できない可能性があります。このような事象が発生した場合、ステークホルダーをはじめとする社会的信用が低下し、取引停止、罰金・罰則等により、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を与える可能性があります。
各拠点における必要性に応じてガイドライン(法令情報のタイムリーな収集などを含む)の制定や教育の強化を行い、継続的な教育実施をすることでリスク低減に取り組んでいきます。さらに、業務の適正化および効率化の観点から業務プロセスの継続的な改善・標準化を強化、様々な国や地域で事業活動を行っており、また業務プロセスも多岐にわたっているため、共通の業務プロセスをベースに個別的な対応の結果として業務プロセスの改善・標準化を継続的におこなっていきます。
②市場ニーズの変動
当社グループは最終消費製品メーカー等に対し部品を製造販売する事業を営んでおり、主要市場である自動車、半導体検査、携帯端末の各市場の動向や当社顧客業績やニーズの動向により、当社グループの受注が大きな影響を受けることがあります。主要市場の縮小や顧客業績の不振は、当社グループの受注減少、売上高の減少となる可能性があります。また、顧客が法的整理等に至った場合は、当社グループの当該顧客に対する債権の全部又は一部が回収不能となる可能性があります。
当社グループでは、顧客ニーズにいち早く答えるために常日頃から変化に対して敏感に察知するよう市場マーケティングに努めております。
③為替レートの変動に伴うリスク
当社グループの販売高の約65%及び生産高の80%以上は、海外で発生しております。各地域における売上、原価、保有資産等多くは現地通貨建てであり、連結財務諸表上は円換算しております。為替レートの変動によりこれらの財産・業績等の円換算後の金額が変動し、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。
なお、当連結会計年度末における通貨別構成の下では、他の通貨に対する円高は当社グループの業績にマイナスの影響を、円安はプラスの影響を及ぼします。
外貨建債権債務の管理の徹底等によるリスクヘッジやグローバル全拠点を網羅したトータル外貨バランスを取ることに努めております。
④株価変動に伴うリスク
当社グループが保有する金融資産には、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準等に則り、期末時点における時価により評価替えを行う有価証券等が含まれております。期末時点における当該有価証券等の時価が著しく下落したときには、回復する見込みがあると認められる場合を除き、当社グループの定める基準に従い評価損を計上することにより、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。
有価証券の適正な保有状況を毎年見直していきます。
⑤減損会計適用に伴うリスク
当社グループが保有する事業用固定資産は、減損会計適用対象となっております。当該事業用固定資産を活用する事業の収益性が著しく低下した場合、所定の算定基準に従い当該事業用固定資産の帳簿価額を減額することにより、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。
事業の収益安定化を行い、監査法人などの専門家との定期的なコミュニケーション強化に努めております。
⑥知的財産権に関するリスク
当社グループの製品の知的財産権に関して、当社グループまたはその顧客等が第三者から特許侵害訴訟等を提起された結果損害賠償を負う可能性又は当社グループの当該製品が、一定の国・地域で製造・販売できなくなる可能性、当社グループの顧客等に対して損害賠償責任を負う可能性があります。
当社グループでは、特許等の知的財産権の管理を行う知的財産権部門を強化し、当社グループの開発技術を権利化するとともに、製品の開発・販売に際し、第三者の知的財産権との抵触・類似が発生しないように事前調査を行い、抵触等可能性がある場合は事前に回避策をとるなど、第三者の知的財産権の侵害を未然に防止できるよう注意を払っております。
⑦自然災害や疾病、突発的事象発生のリスク
地震等の自然災害、新型コロナウィルス・インフルエンザなどの疾病や突発的事象に起因する設備の破損、電力・水道の供給困難等による生産の停止は、当社グループの経営成績及び財政状況等に影響を及ぼす可能性があります。
定期的な防災訓練の実施及び社員の安否確認システムの構築実施、必要とされる安全対策や事業継続・早期復旧のための対策として、事業継続計画(BCP)の拡充を進めております。
特に、新型コロナウィルス対応といたしましては、テレワーク(在宅勤務)の導入、グループ全体で手洗い・うがい・消毒の実施、マスク着用の義務化、検温の記録・会議などの行動履歴の迅速な活用によるクラスターなどの拡大を抑えられるような対応をしております。
(2) マテリアリティ・リスク
①コーポレートガバナンスに関するリスク
当社グループは、コーポレートガバナンス・コードの精神に則り、コーポレートガバナンスを継続的に強化しておりますが、世界的あるいは地域的な行動様式・概念等が大きく変化し多様化が進展する中で、当社グループ内の管理体制の不足などからガバナンスを十分に発揮できない可能性があります。
当社グループは、事業リスクを全社横断的に把握・検討する「事業リスク管理委員会」がさらに積極的・機動的に意思決定プロセスに関与することで、ガバナンスの継続的な水準向上とその発揮に努めてまいります。
②当社への投資に関するリスク
SDGsへの取組みを重視するESG投資は、既に世界のメインストリームとなっており、世界の投資マネーの大部分を占めているところ、当社グループのSDGsに関するディスクロージャーは積極的であるとは言えない状況にあり、そういった投資家からの新規投資が得られなくなったり、投資を引き揚げられたりすることで、当社株価が下落ないし低迷する可能性があります。
当社グループは、早急にSDGsの枠組みに沿って取り組み内容を整理し、積極的にディスクロージャーを充実させてまいります。
③製品不良に関するリスク
当社製品の品質不良に伴うリスク:当社グループが製造・販売する製品は、顧客の製造工程で使用される部品、半完成品、又は検査工程で使用される検査機器です。当社製品の欠陥による顧客財物等の破損等や顧客製品の市場回収等に伴い発生した費用等について当社が賠償責任を負った場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、関係部門間の連携をさらに強化しつつ、不良ゼロ化活動などの品質向上活動や工程の重要性に対する社員の認識向上を強化推進するとともに、万が一の場合に備えてPL(製造物責任)保険に加入しております。
④自動車部品事業の将来性に関するリスク
当社グループで営む車載通信機器事業は、製品進化に対する先行・追従技術の遅延リスク、部品調達力、労働集約製品の収益構造上の課題があり、大規模な自然災害・疾病蔓延などが発生した場合には著しく収益が低下するリスクがあります。
当社グループでは、不良ゼロ化活動などの品質向上活動による歩留・良品率向上、自動化組立ライン・自動検査システムの構築による生産性向上、また抜本的な固定費構造改革の推進により、収益性改善を図っております。
⑤M&Aに関するリスク
当社グループは、事業上のニーズに応じて事業買収などのM&Aを行っておりますが、買収した事業あるいは会社とのシナジーを十分に発揮できるような状況・体制を創出できないことで、M&Aで想定した企業価値の向上を実現できない可能性があります。
当社グループは、事業リスクを全社横断的に把握・検討する「事業リスク管理委員会」がさらに積極的・機動的に意思決定プロセスに関与することで、想定した以上のシナジー発揮・企業価値向上に努めてまいります。
⑥敵対的買収に関するリスク
当社グループは企業価値の極大化を目指して経営戦略を検討・実行しておりますが、狙った成果を得られずに経営成績・財務状況を損なった結果、敵対的買収を仕掛けられる可能性があります。
当社グループは、既存ビジネスの深耕拡大や新規ビジネスの獲得、M&Aなどにより継続的に企業価値の向上を図ってまいります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は、現金及び預金増加5,162百万円、売上債権減少807百万円、たな卸資産増加508百万円などにより、33,262百万円(前期末比4,934百万円の増加)となりました。
固定資産につきましては、有形固定資産増加437百万円などにより、14,872百万円(前期末比418百万円の増加)となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における資産合計は、48,134百万円(前期末比5,353百万円の増加)となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は、仕入債務増加409百万円、短期借入金増加2,950百万円などにより、17,580百万円(前期末比3,458百万円の増加)となりました。
固定負債につきましては、リース債務減少163百万円などにより、4,021百万円(前期末比150百万円の減少)となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における負債合計は、21,602百万円(前期末比3,307百万円の増加)となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益3,440百万円の計上、その他有価証券評価差額金減少271百万円、為替換算調整勘定減少590百万円、剰余金の配当566百万円などにより、26,532百万円(前期末比2,045百万円の増加)となりました。
<車載通信機器>
業量増に伴う売掛債権及び棚卸資産の増加のほか、設備投資などに伴う有形固定資産及び無形固定資産の増加1,884百万円などにより、当連結会計年度末におけるセグメント資産は、19,671百万円(前期末比373百万円の増加)となりました。
上記の設備投資(当連結会計年度における投資総額1,630百万円)のうち主なものは、中国生産子会社である東莞友華汽車配件有限公司、ベトナム生産子会社であるYOKOWO VIETNAM CO., LTD.における量産設備等の導入であります。
<回路検査用コネクタ>
業量拡大に伴う売掛債権増加のほか、設備投資などに伴う有形固定資産及び無形固定資産の増加1,171百万円などにより、当連結会計年度末におけるセグメント資産は、7,150百万円(前期末比372百万円の増加)となりました。
上記の設備投資(当連結会計年度における投資総額1,021百万円)のうち主なものは、半導体検査用治具の受注拡大及び短納期化に対応するための日本国内生産拠点及びマレーシア生産子会社であるYOKOWO ELECTRONICS (M) SDN. BHD.における各種設備の新規投資であります。
<無線通信機器>
業量拡大に伴う売掛債権増加のほか、設備投資などに伴う有形固定資産及び無形固定資産の増加568百万円などにより、当連結会計年度末におけるセグメント資産は、4,878百万円(前期末比420百万円の減少)となりました。
上記の設備投資(当連結会計年度における投資総額530百万円)のうち主なものは、中国生産子会社である東莞友華汽車配件有限公司やマレーシア生産子会社であるYOKOWO ELECTRONICS (M) SDN. BHD.におけるファインコネクタ事業の量産設備等の更新及び増設、メディカル・デバイス事業の販売拡大に対応した日本国内生産拠点における量産設備等の増設であります。
当連結会計年度における世界経済は、米中貿易摩擦の長期化や中東における地政学的リスクの高まり、英国のEU離脱問題などの不安定要素により、総じて減速傾向となりました。底堅く推移していた米国経済は製造業の景況感の低下により停滞感が見られ、中国経済は内需が低迷したのに加え米国向け輸出が減少し、アジアや欧州の一部では景気の減速感が強まりました。また、第4四半期以降は新型コロナウイルス感染症の拡大により、世界経済はマイナス成長に陥るものと見られ、先行きは極めて不透明な状況となっております。
わが国におきましては、雇用環境の改善が緩やかに持続する一方で、消費税増税や大型台風など自然災害の影響により個人消費が低迷し、海外経済の減速を受けて輸出や生産が弱含むなど、製造業を中心に景気の足踏み感が見られました。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により、インバウンド需要の減少や輸出のさらなる減少とともに国内の個人消費が大幅に落ち込むなど、予断を許さない状況が続いております。
当社グループの主要市場である自動車市場、半導体検査市場、携帯通信端末市場におきましては、5G(第5世代移動通信システム)の一部実用化が始まるとともに、CASE、MaaS、IoT、AIなどの先進アプリケーション活用拡大に向けた製品/技術開発競争が激化することで、市場構造が急速に変わり得る状況が続いております。
このような状況の中、当社グループは、質の高い本格成長を期し、経営基本方針に掲げる4つのイノベーション(プロダクト/プロセス/パーソネル/マネジメント)の推進に引き続き取り組みました。特に、当期は、プロダクト・イノベーション施策としましては、5Gをはじめとした先進アプリケーション領域における有望テーマを多数推進するとともに、プロセス・イノベーション施策としましては、車載通信機器セグメントにおいて自働組立ラインの構築・自動検査システムの導入を開始し、まだ道半ばながらも収益体制の再建に努めました。また、回路検査用コネクタセグメントにおきましても、5Gをはじめとする将来の事業成長機会をより確実に捉えるべく、技術/製造体制の強化、国内・マレーシア工場への新生産ライン増設による能力増強・生産性向上を引き続き推進いたしました。
この結果、当連結会計年度における売上高は、すべてのセグメントが前期比で増収となり、60,595百万円(前期比+10.7%)と、6期連続で過去最高の連結売上高を更新するとともに、各利益についてもすべて過去最高を更新いたしました。営業損益につきましては、前期比で車載通信機器セグメントが減益となったものの、回路検査用コネクタ及び無線通信機器の両セグメントが大幅に増益となった結果、4,916百万円の利益(前期比+62.3%)となりました。これにより、中期経営指標に掲げるミニマム8(売上高成長率・売上高営業利益率・自己資本利益率を8%以上確保)は、売上高営業利益率を含め、すべての項目について達成いたしました。経常損益につきましては、円高による為替差損214百万円を計上したものの、営業増益により、4,583百万円の利益(前期比+39.5%)となりました。親会社株主に帰属する当期純損益につきましては、政策保有株式の一部売却による特別利益93百万円を計上したことに加え、経常増益により、3,440百万円の利益(前期比+55.8%)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
<車載通信機器>
当セグメントの主要市場である自動車市場は、米中貿易摩擦の長期化による世界景気の減速などにより、米国や中国をはじめとした主要各国で需要が横ばいないしは減少傾向で推移し、さらに第4四半期における新型コロナウイルス感染症の拡大により、完成車メーカーも工場の稼働停止を余儀なくされる事態となりました。国内におきましては、10月の消費増税に伴う駆け込み需要の反動減や新型コロナウイルス感染症の拡大などによる需要の落ち込みにより、登録車/軽自動車の新車販売台数は前期比で下回りました。
このような状況の中、主力製品であるシャークフィンアンテナ/GPSアンテナをはじめとする自動車メーカー向けアンテナは、主要顧客への国内・海外向け販売が堅調に推移し、前期を上回りました。また、ETCアンテナなど国内向けを主とする製品については、一部の完成車メーカーの販売台数が好調に推移したことなどにより、前期を上回りました。
この結果、当セグメントの売上高は39,264百万円(前期比+2.8%)と、前期比で若干の増収となりました。セグメント損益につきましては、新規導入した自働化ラインの立上げ費用増や新規調達部材の不具合発生による一時的な費用の発生に加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた中国生産拠点の一時的な製造要員不足・部材供給遅滞に伴う休日出勤・残業増などにより、30百万円の利益(前期比△93.8%)となりました。
今後は、ADAS/自動運転/コネクティッドカーなどの新規分野において、より先進的かつ付加価値の高い戦略製品の開発に取り組みつつ、MaaSなどモビリティサービス分野でのプレゼンスを本格化し、さらなる事業拡大と“重層化”を引き続き推進いたします。また、生産拠点における能力増強投資に加えて、当期に導入した自働組立ライン・自動検査システムの安定拡大に努めるとともに、中国工場からベトナム工場へのさらなる生産移管拡大、EMS(製造受託会社)やアライアンスの積極活用により、収益構造再建を進めてまいります。
<回路検査用コネクタ>
当セグメントの主要市場である半導体検査市場は、米中貿易摩擦などを背景にスマートフォン向けの需要が減少し、IC製品では特にメモリー市場が低調に推移しているものの、5G/IoT/車載/AI/ビッグデータといった成長分野での需要増加により、中長期的には成長が継続するものとみられております。
このような状況の中、当社グループの主力製品である半導体後工程検査用治具の販売は、メモリー分野を中心に需要が減速した前期とは対照的に、高周波対応製品の受注増などにより、前期を大幅に上回りました。また、半導体前工程検査用治具の販売も、周辺機器を含めてワンストップソリューションでサービスを提供するターンキービジネスが順調に拡大したことなどにより、前期を上回りました。
この結果、当セグメントの売上高は12,832百万円(前期比+40.4%)と、前期比で大幅な増収となりました。セグメント損益につきましては、増収による増益、比較的利益率の高い製品の売上比率上昇及び生産設備の稼働率上昇などにより、3,132百万円の利益(前期比+236.7%)となりました。
今後は、5G/車載/IoT/AIといった分野での半導体検査需要増を確実に取り込むために、戦略製品の開発・投入、国内/マレーシア工場における能力増強投資、自働組立ライン構築・自動検査システム導入など効率化および合理化投資、半導体前工程検査領域でのターンキービジネス拡大に向けた本格的体制強化を強力に推進し、さらに高収益な事業構造・安定的な事業運営への進化に努めてまいります。
<無線通信機器>
当セグメントの主要市場である携帯通信端末市場は、スマートフォンの販売が減少傾向にある一方、ウェアラブル端末は多様化・高機能化により今後の成長が見込まれております。また、POS端末市場は、物流/製造を始めとする幅広い業界において、情報管理による業務効率化実現の観点から着実な成長を続けているほか、産業機器などの他市場も成長が期待されております。
このような状況の中、微細スプリングコネクタを中核製品とするファインコネクタ事業におきましては、ヘルスケア市場向けが当下期より急速に減少したものの、POS端末/ウェアラブル端末向け販売が好調に推移したことなどにより、売上高は前期を上回りました。
当セグメントに含めておりますメディカル・デバイス事業につきましても、ユニット製品販売が国内・海外ともに堅調に推移したことに加え、部品販売が増加したことにより、売上高は前期を大幅に上回りました。
この結果、当セグメントの売上高は、8,498百万円(前期比+14.4%)と、前期比で増収となりました。セグメント損益につきましては、ファインコネクタ事業において新型コロナウイルス感染症の影響により生産性の低下があったものの、増収による増益、比較的利益率の高い製品の比率上昇、メディカル・デバイス事業における歩留の向上などにより、1,755百万円の利益(前期比+8.7%)となりました。
今後は、ファインコネクタ事業につきましては、市場の差別化製品ニーズに沿った高機能・高速大容量といったカスタムタイプのコネクタの投入や、標準品ラインナップの拡充による新たな需要の取込みの加速により、事業の拡大と製品・市場・顧客の“重層化”に引き続き取り組んでまいります。
メディカル・デバイス事業につきましては、最先端の生産設備導入による微細精密部品の生産能力増強と、ガイドワイヤ/カテーテルユニット製品の国内外への拡販推進によるさらなる事業成長を目指すとともに、米国をはじめ世界的に拡大する先端医療分野での事業拡大を見据えたサプライチェーンの“重層化”も推進してまいります。
(事業セグメント別連結売上高 前期比較) (単位:百万円、%)
<車載通信機器セグメント>
当セグメントにおける生産は、主に中国、ベトナム、北米拠点にて行っております。中国拠点におきましては、2020年2月中旬以降、出勤可能者数の減少から稼働率の大幅な低下を余儀なくされておりましたが、3月中旬以降の出勤可能者数は感染拡大前の水準に戻っております。しかしながら、受注減少から稼働率は低下しております。ほぼ通常の水準で操業が可能なベトナム拠点におきましても、受注減少から稼働率は低下しております。北米拠点におきましては、受注減少に伴い2020年3月下旬から操業を停止しておりましたが、5月中旬より一部再開しております。
このような状況から、2021年3月期の連結売上高につきましては、2020年4-6月期において主要顧客の生産停止/操業度低下から前年同期比45%減、続く7-9月期は前年同期比20~25%減、10月以降は前年同期比10~15%減の水準で推移するものと想定しております。
<回路検査用コネクタセグメント>
当セグメントにおける生産は、主にマレーシアと日本拠点にて行っておりますが、マレーシア拠点が現地政府の移動制限令により2020年3月中旬から操業を制限されていたことにより、4月には生産遅延が生じておりました。なお、現地政府より100%稼働の許可が出たことにより、5月初旬より感染拡大前の水準に戻っております。
一方、販売面につきましては、当連結会計年度に続き2021年3月期も、依然として5G用半導体の需要増に伴う高周波対応製品の引合いが強く、テレワーク拡大に伴うPC需要、サーバー需要の拡大を背景として、当期比20~25%増の水準で推移するものと想定しております。
<無線通信機器セグメント>
・ファインコネクタ事業
当事業における生産は、主にマレーシアと中国拠点にて行っております。マレーシア拠点におきましては、回路検査用コネクタセグメントと同様に2020年4月に生産遅延が生じておりましたが、現地政府より100%稼働の許可が出たことにより、5月初旬より感染拡大前の水準に戻っております。中国拠点においては、車載通信機器セグメントと同様に2月中は出勤可能者数の減少から稼働率が低下しておりましたが、3月中旬以降の出勤可能者数は感染拡大前の水準に戻っており、ほぼ通常の稼働が可能な状況にあります。
販売面につきましては、当連結会計年度において当社中国拠点・顧客拠点の稼働率低下から、一時的な減少がありました。2021年3月期におきましては、当社マレーシア拠点の一時的な稼働率低下や民生機器需要減退による受注減少がある一方、業務用端末向けの受注増加や学校教育現場のモバイル端末需要が増加しており、当事業の売上高は堅調に推移するものと想定しております。
・メディカル・デバイス事業
当事業における生産は、日本拠点のみで行っており、新型コロナウイルス感染症の影響は軽微です。
販売面につきましても、当連結会計年度・2021年3月期とも影響は軽微であり、2021年3月期の当事業の売上高は堅調に推移するものと想定しております。
c. 目標とする経営指標の達成状況等
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は販売価格によっております。
3 記載金額は消費税等を除いて表示しております。
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は販売価格によっております。
3 記載金額は消費税等を除いて表示しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 記載金額は消費税等を除いて表示しております。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、12,352百万円(前期比5,162百万円の増加)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、たな卸資産の増加868百万円などの減少要因がありましたが、税金等調整前当期純利益4,616百万円、減価償却費2,706百万円などの増加要因により、6,490百万円の収入(前期比2,434百万円の収入増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出3,066百万円、無形固定資産の取得による支出475百万円などの減少要因により、3,282百万円の支出(前期比564百万円の支出減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、リース債務の返済による支出312百万円、配当金の支払額564百万円などの減少要因がありましたが、短期借入金の純増減額2,995百万円などの増加要因により、2,143百万円の収入(前期比127百万円の収入減少)となりました。
当社の運転資金は、主に製品製造に使用する原材料や部品の調達に費やされており、製造費や販売費及び一般管理費に計上される財・サービスに対しても同様に費消されております。また、設備投資資金は、生産設備取得等生産体制の構築・強化、情報システムの整備等に支出されております。これらの必要資金は、利益の計上、減価償却費等により生み出される内部資金により賄うことを基本方針としております。
当連結会計年度におきましては、研究開発・製品開発投資、中国及びベトナムの生産子会社における自働組立ライン新設など量産設備増強やマレーシア生産子会社の量産設備増強等を積極的に実施しており、今後も継続する計画であることから、その設備投資資金及び運転資金需要に対応するべく、短期借入金の借入を実施いたしました。その結果、当連結会計年度末における当社グループの現金及び現金同等物の残高は12,352百万円と、前期末比5,162百万円増加いたしました。
⑥ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計上の見積りを行なっております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りの不確実性があるため、これらの見積りと異なる結果となる場合があります。
重要な会計方針については、「第5 経理の状況」 「1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大による影響により、車載通信機器セグメントで売上高が大幅に減少する見通しですが、2021年3月期第1四半期連結会計期間をボトムとしてその後は次第に回復に向かうものと想定しており、業量の減少に合わせたコスト削減策実施などにより損益の改善が進むと考えております。
上記の想定に基づき当連結会計年度における会計上の見積りを行った結果、影響は軽微であると判断しております。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、本社(研究開発部、事業部技術部門)及び現地開発拠点で行っております。
中長期的に、当社主要市場である自動車市場、半導体製造・検査市場、モバイル端末市場、医療機器関連市場は、プラグインハイブリッド/電気自動車などの新型の環境対応車や、ADAS(先進運転支援システム)/自動運転などの進展、第五世代携帯電話(5G)に代表される次世代高速・大容量通信用など新規半導体需要の顕在化、ウェアラブル端末など次世代製品の普及、低侵襲医療の浸透や遺伝子検査技術の高度化により、市場の拡大が予想されます。
当社グループでは、「全社成長戦略」に基づき、当社グループの基盤技術であるアンテナ技術、半導体応用技術、マイクロウエーブ(高周波)技術、セラミックス技術、微細精密加工技術、フォトリソ(MEMS)技術を核に、研究開発部門、事業部技術部門及び現地開発拠点が一丸となって、技術集積度がより高く付加価値の高い製品への展開に重点をおき、新技術、新製品開発に向けて研究開発活動を展開してまいりました。
当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額(人件費、経費を含む)は
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
(1) 車載通信機器
車載通信機器分野では、AM/FM/TV・地上デジタルTV・セルラ・GNSS・衛星DAB等多岐にわたるメディア用アンテナの複合化推進と、小型・低背、高性能アンテナの開発を推進してまいりました。次期戦略製品として、更なる超低背・超小型AM/FM/LTEアンテナの技術開発と次世代通信(4G・5G)に対応するシステム開発、安全・安心な新世代の交通インフラ確立に向けた各種ITS関連システム・機器、ADAS(先進運転支援システム)/自動運転に不可欠なV2X(車車間、道路/車間、歩行者/車間)用アンテナシステム、CASE時代に向けた通信システム・機器・デバイスの技術開発を推進しております。当連結会計年度における研究開発費の金額は
(2) 回路検査用コネクタ
回路検査機器分野では、大電流化に対応したICや高速高周波IC検査用ソケットの開発を推進するとともに、プローブ表面の改質技術など高性能化・高耐久化に関する研究開発を進めております。また、プローブカード分野ではフォトリソ技術による半導体挟ピッチ化・多ピン化・高速高周波化のロードマップに歩調を合わせた新規プローブカード、さらにミリ波帯半導体IC検査用プローブカードや5G Antenna in Package OTA検査用ソケットプローブカードの開発を進めております。当連結会計年度における研究開発費の金額は
(3) 無線通信機器
ファインコネクタ部門では、スマートフォン・ウェアラブル端末市場向けやPOS端末向けコイルコネクタ、スプリングコネクタ、板バネコネクタ、高定格コネクタの商品開発を推進してまいりました。更に、5Gbps,10Gbpsといった高速光通信に対応する光コネクタの開発も推進しております。本分野に入れております医療機器関連分野では、当社の微細精密加工技術、高周波技術を応用し、日米の大学・医療機関と新たな低侵襲の医療用具や検査システムの共同開発を推進しております。当連結会計年度における研究開発費の金額は
当社グループは、これらの研究開発活動を更に深耕・展開し、売上・収益の拡大に努めてまいります。