第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針

<経営の基本方針>

●品質第一主義に徹し、最高品質と環境負荷物質ゼロ化により、「ヨコオ品質ブランド」を確立する

●「技術立脚企業」として、アンテナ技術・マイクロウェーブ技術・表面改質材料技術・微細精密加工技術をさらに強化・革新するとともに、製品の付加価値向上に貢献する新技術を積極的に導入し、顧客の製品機能多様化・適用技術多様化へのニーズに応える

●プロダクト・イノベーション(事業構造・製品構造の革新)、 プロセス・イノベーション(事業運営システムの革新)、 パーソネル・イノベーション(人材の革新) の3つの革新に加え、将来成長を見据えた マネジメント・イノベーション(経営・事業運営の革新) を強力に推進することにより、「進化経営」の具現化を加速する

●業界/顧客/技術/サプライチェーン等の事業構造を重層化することにより、世界的パラダイムシフト/ドラスティックな事業環境や競争環境激変に対応可能な事業体制を確立する

 

(2)目標とする経営指標

<中期経営基本目標>

当社グループは、2024年5月14日公表の「新中期経営計画2024-2028」(2025年3月期~2029年3月期)において、以下の指標を中期経営基本目標として掲げております。

●ミニマム10(テン)の安定的な実現

ミニマム10:売上高営業利益率・営業利益成長率・投下資本利益率・自己資本利益率を10%以上確保

●連結売上高1,000億円の達成

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、パーパス「人と技術で、いい会社をつくり、いい社会につなげる。」の実現に向け、グローバル社会のサステナビリティに貢献する事業活動/企業活動により、ステークホルダーと共に持続的な進化と成長を続ける「進化永続企業」を目指しております。

この考え方に基づき策定した「新中期経営計画2024-2028」の骨子は、以下のとおりです。
<経営戦略>

1)主要市場(自動車/半導体検査/携帯端末/医療機器)における成長・収益基盤強化

① 主力3事業(VCCS/CTC/FC)における事業進化テーマの探索と推進

② 成長率の高い新興国市場(特に中国・インド・アセアン)での本格事業拡大

③ CTC/FC事業の再成長路線への回帰による事業ミックスの適正化

④ 第4の核事業としての成長が確実なMD事業(医療分野)の本格躍進

2)新たなコアコンピタンスの獲得/他社との協業による事業ドメイン拡張

① 主力事業のドメイン拡張への取組み強化

② 電鋳技術/MEMS加工技術/光電融合技術領域における協業の構築と自社取込み

③ 自社ソフトウェア開発能力の取込みと並行したコト売りビジネスの本格化

3)ROIC経営の浸透

① ROIC(投下資本利益率)/WACC(加重平均資本コスト)を事業別に導入するとともに、より収益力/資本効率の高い事業構造に創り変えていく

② 不測の事態に備えて一定のキャッシュを保ちつつ、M&A/アライアンスを通したビジネスモデル革新/事業拡大と、安定成長配当と自社株買いによる株主還元の充実を図る

4)人的資本経営=「人財」中心の経営、サステナビリティの取組み

① 従業員の能力やスキルを組織の成長に活かし、中長期的な企業価値の向上につなげる

② マテリアリティを軸としたサステナビリティの取組みを推進する

 

これらを強力に推進することにより、本中期経営計画期間において、中期経営基本目標である「ミニマム10」の安定的な実現と連結売上高1,000億円の達成を目指してまいります。

 

 

(4)会社の対処すべき課題

世界経済は、欧米各国をはじめとしたインフレ抑制策により景気は緩やかな回復基調にあるものの、地政学的リスクの高まりや資源価格高騰、中国経済の低迷、米国の関税政策による影響など、先行き不透明な状況が続いております。このような状況下で、当社グループは以下の点に重点的に取り組みます。

1)VCCS事業

① 標準化/共通化による原価構造の徹底改革による収益体質の継続改善

② EV化/SDV(※)化/ADAS化に伴う新アプリケーション領域製品新規参入による新たな分野での売上拡大

※SDV:Softwear Defined Vehicle 外部との双方向通信でアップデートされる制御ソフトウェアにより性能の維持・向上を行う自動車のこと

2)CTC事業

① 現有技術の研鑽と他社との協業/共創/M&Aを通じて、新たなテストニーズに対応したハードウェア供給力を強化

② 社内・外部技術を駆使した総合テストソリューション型ベンダーへの進化

3)FC事業

① 材料/部品加工/表面改質の深耕による主力スプリングコネクタ(SPC)製品の強力引上げ

② 最小最軽量/低コストを付加価値とした製品の市場投入による事業拡大

4)MD事業

① 医療製販業認可取得に基づく自社企画製品の上市

② 先端医療機器分野におけるエコシステム拡大による人類・社会への貢献を加速

5)インキュベーションセンター

現有技術にとどまらず、顧客ニーズを満たす技術を保有するパートナーを探索し連携することで、

① 新たな市場を創造する製品・ソリューションを提供

② グローバル市場のニーズを把握し、モノ売りからコト売りへのビジネスモデル変革を推進

③ 企業連携、M&A、共創する企業への積極投資をも活用し、技術・人財・設備を補完し、新たな事業領域/ビジネスモデルを創出

 

上記の重点施策を着実にかつ強力に推進することで、中長期的に、激変の中でも揺るがない圧倒的な強みを確立するとともに、ステークホルダーの皆様と新たな価値の協創に邁進してまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1) サステナビリティ全般

当社グループは企業理念体系(パーパス、ビジョン、バリュー)の実現に向けて、社会・環境が私たちに与える影響と、私たちが社会・環境に与える影響の視点から課題を整理し、持続可能な社会の発展のため、サステナビリティ活動を推進しております。サステナビリティ推進の基本的な考え方として「サステナビリティ基本方針」を取締役会で決定しております。

パーパス、ビジョン、バリューの本文については、当社コーポレートサイト「企業理念体系/スローガン」をご参照ください。

https://www.yokowo.co.jp/company/philosophy.html

 

 


 

 

 

サステナビリティ基本方針


私たちは進化し続けることでサステナビリティを実現します。
そして、かけがえのない地球を守ること及び地域社会やステークホルダーの期待に対し誠実であり続けることが必要であると考えています。
そのために、私たちのさまざまな活動に対し、マテリアリティを特定し、企業活動、事業活動、対話により、課題の解決に取り組んでいきます。
 これらを通じて、私たちは、社会的責任を果たすとともに、「新しい」に挑戦し続けることで企業価値の向上を目指し、持続可能な社会の発展・進化に貢献していきます。

 

 

 

 

 

①  ガバナンス

サステナビリティ基本方針に基づき、ヨコオグループがサステナビリティの実現を推進するため「サステナビリティ委員会」を設置しています。当委員会は、執行役員社長を委員長、委員は役付執行役員とし、オブザーバーとして執行役員、常勤監査役、社外役員で構成しております。サステナビリティに関する方針・戦略の決定、マテリアリティ・KPIを特定し、取締役会へ上申、KPIの活動進捗を取締役会へ報告しております。また、サステナビリティ活動・ISOなどの社外監査結果の確認・評価・提言とサステナビリティ重要テーマの討議を行っております。

 


 

<サステナビリティに関する主な議論 時系列>

執行経営会議

2024年5月

マテリアリティ見直しの進め方報告

取締役会

2024年5月

マテリアリティ見直しの全社アンケート報告

執行経営会議

2024年6月

アンケート結果「重点領域」「マテリアリティ」の議論

取締役会

2024年6月

マテリアリティ見直しの進捗報告

執行経営会議

2024年7月

マテリアリティの選出理由、KPI検討

取締役会

2024年10月

マテリアリティ、KPI、2030年度目標の承認

執行経営会議

2024年9~10月

サステナビリティ基本方針と浸透の議論

取締役会

2024年10月

サステナビリティ基本方針の制定

執行経営会議

2025年1月

サステナビリティ委員会の推進体制見直し検討

取締役会

2025年1月

サステナビリティ委員会の推進体制見直し

 

 

②  戦略

 外部環境の変化が激しく、経営をとりまく環境の不確実性が高まる中、当社グループは「新中期経営計画2024-2028」の策定に合わせて、マテリアリティとそれに関わる指標と目標の見直しを行いました。

 このたび設定した5つの非財務領域の重点領域は、マテリアリティの具体的な取組みを通じて、「新中期経営計画2024-2028」の実現につなげ、財務領域と連携させることで、企業価値の向上を目指し、持続可能な社会の発展・進化に貢献していきます。

 

〈マテリアリティの特定プロセス〉

Step1 ESG課題の抽出と整理

 課題抽出にあたり、ESG評価機関の設問や国際機関の報告書、お取引先さま及び当社の重要課題からロングリストを作成し、E(環境)/S(社会)/G(ガバナンス)/その他の4グループに集約し、整理しました。

Step2 優先順位付け

 Step1で抽出した課題に優先順位を付けるにあたり、評価軸をステークホルダーにとっての重要度と当社の事業にとっての重要度に設定し、評価は「とても重要」「重要」「重要でない」の3段階に設定しました。国内外の役員・社員にアンケートを実施し、マテリアリティマップを作成しました。

Step3 マテリアリティ案の選出

アンケート結果をもとに、執行役員会議にて5つの重点領域「人的資本」「人権」「ステークホルダーエンゲージメント」「地球環境」「ガバナンス」ごとのマテリアリティ案を選出し、KPI・2030年度目標案を設定しました。

Step4 マテリアリティの審議・承認

取締役会において、執行役員会議で選出した5つの重点領域と13のマテリアリティ及びKPI・2030年度目標を審議し、承認されました。特定したマテリアリティやKPI・2030年度目標は、外部環境・事業の変化や活動の進捗に合わせて適宜見直しを行います。

 


 


 

<マテリアリティ>

重点領域

 

             マテリアリティ

 

選定理由

 

考え方・選定理由

人的資本

当社グループは、パーパスに基づき、持続可能な社会を実現するために、「技術」と並んで重要な資産である「人」=「人的資本」を継続的に拡充していくことが企業価値の持続的向上を生み出す重要なファクターであると位置付けています。

多様性・公平性・包摂性

グローバルに事業を展開する当社グループにとって、多様な知が新たな発想と成長の源です。
当社グループでは、国籍・性別・世代等だけでなく、様々な才能・知識・経験、そして価値観などの多様性を尊重し、大切にします。一人ひとりがそれぞれの個性や強みを発揮できるよう、成長や挑戦の機会を整えることで、多様性を企業の力に変える土壌づくりに取組んでいます。そして、「自分と異なる意見に耳を傾ける」、「安心して、自分の考えを発言できる」、このようなチームづくりに取組むことで、一人ひとりが認められ、尊重され、「自分の力が発揮できている」と感じられる状態をめざします。
多様な個性や違いを持った人たちが関わり合い、認め合うことで、様々なアイディアが引き出され、新しい価値を生み出し、一人ひとりの成長と当社グループの成長につながると考えています。

グローバル人材育成

グローバルに人材を有しているという当社グループの優位性を確固たる競争優位とするには、グローバル人材に対する教育を重点的に拡充していくことが必要不可欠であると考えています。

人権

当社グループは、近年の人権に関する外部環境の変化を踏まえ、「人権尊重」への取組みを強化することで、パーパスの実現を目指していきます。

人権尊重

国連「ビジネスと人権に関する指導原則」を支持し、これに基づき「ヨコオグループ人権方針」を策定し、人権尊重と救済に取組んでいます。人権方針で定めるステークホルダーとの対話を重視し、サプライチェーン全体を通じた人権への負の影響を特定・評価し、具体的な課題への取組みを推進しています。

私たちと働く人の権利

人権における具体的な課題は、公正・公平を第一に取組み、サプライチェーン全体で働く人の権利を尊重します。より安全・安心で、働きがいのある職場環境づくりへの取組みを推進していきます。

ステークホルダーエンゲージメント

当社グループは、パーパスに基づき、ステークホルダーの皆さまの期待に応えるいい会社となるため、対話を中心としたコミュニケーションを重ねることにより信頼関係を築き、誰もが幸せないい社会の実現を共に目指していきます。

顧客満足

お客さまから「ヨコオと取引していて良かった。もっと拡大しよう」と言っていただける会社を目指しています。お客さまの期待に応えるため、お客さまの声を真摯に受け止め、誠実に取組んでいきます。これらを継続することにより「ヨコオ品質ブランド」を確立し、お客さまとの長期的な信頼関係を構築していきます。

取引先との双方向コミュニケーション

お取引先から「ヨコオの仕事をしていて良かった。もっと貢献できるよう頑張ろう」と言っていただけるような会社を目指しており、そのために公正・公平な取引を追求しています。相互に価値を高め合うパートナーシップを築き、長期的な信頼関係を構築していきます。

地域社会との対話・交流

地域社会の皆さまから「ヨコオがこの町にいて良かった。是非うちの子供をヨコオに入社させたい」と言っていただけるような会社を目指しており、そのためには地域の発展や社会が抱える課題について対話と交流が重要だと考えています。当社グループの事業や社会課題の解決に寄与する取組みを理解いただきながら、信頼関係を築くことに努めています。

株主・投資家との対話

株主さま・投資家さまとの長期的な信頼関係を構築するため、正確・迅速かつ積極的な情報開示に努めています。また、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を図るべく、株主さま・投資家さまとの建設的な対話に積極的に取組んでいます。

地球環境

当社グループは、かけがえのない地球環境を健全な状態で次世代に継承するために、地球環境保全活動及び気候変動への対応をグループ全体で推進していきます。

気候変動の緩和と適応

カーボンニュートラルの実現に向けて、環境方針及び行動指針に基づき、気候変動への対応を強力に推進するとともに、事業活動を通じた社会の発展に貢献していきます。

循環型社会への移行と、有害物質の管理・削減

地球環境及び人体に影響を与える物質や、廃棄物のリサイクルを阻害する物質の使用量削減をグループ全体で推進しています。環境関連法規、条例等の要求事項及び顧客要求事項を遵守し、有害物質の管理と削減を通して、地球環境保全と循環型社会の実現に貢献していきます。

 

 

重点領域

 

             マテリアリティ

ガバナンス

当社グループは、パーパス/ビジョン/バリューを行動で具現化するべく、あらゆる企業活動の基礎・根幹となるガバナンス体制を充実させていきます。

コーポレート・ガバナンス

コーポレート・ガバナンスの強化が経営の重要課題の一つであると位置付け、経営の効率性、透明性及び遵法性を確保し、経営目標の達成を目指します。

コンプライアンス

常に企業価値の向上を目指し、ステークホルダーの信頼に応えるため、経済・環境・社会に影響を与える活動に対し、透明かつ高い倫理観を持って取組むことで、持続可能な社会の発展に貢献します。

リスクマネジメント

事業活動におけるリスクの影響に配慮し、関連法令及び規程を遵守するとともに、リスクマネジメントシステム及びパフォーマンスの継続的向上への取組みを通じて、リスクに適正に対応することにより企業の社会的責任を果たし、組織運営の安定化に努めます。

 

 

 

③  リスク管理

事業環境におけるリスクと機会を分析し、サステナビリティ委員会が長期戦略に基づくサステナビリティ戦略の討議及びマテリアリティ・KPIの活動進捗の確認と検証を実施していくにあたり、当委員会の下部にマテリアリティを担う委員会・部門を設定し、マテリアリティ・マネジメントを実施しています。各委員会・部門はマテリアリティ・KPIごとに目標と計画に基づいて活動しています。

事業活動におけるリスク管理は、後記「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 


 

④  指標と目標

マテリアリティのKPI・2030年度目標を設定し、マテリアリティ・マネジメントによりサステナビリティ戦略を実行しています。

重点領域

マテリアリティ

KPI(2030年度目標)

2024年度実績

評価指標

目標値

人的資本

多様性・公平性・包摂性

TISP※1採用・在籍者

120以上(累計)

87

障がい者雇用比率

3.45(2023年度法定雇用率:2.3%の1.5倍)

2.8

女性管理職者比率

10以上

5.6

従業員のエンゲージメント向上

2022年スコア46%※2を基準とし、できるだけ早期に20%UP達成とその維持を目指す

53

グローバル人材育成

通信機器系:有資格者数

60

31

コネクタ系:製品・工法の発明者数

72

48

メディカル系:医療事業人材 製造販売業者における三役※3の力量保有者数とFDA,MDR対応者

20

5

DXリテラシー標準の社員習得レベル※4

標準を超えた社員比率20以上

6

人権

人権尊重

グループ全拠点における人権研修受講率

100

1.5
(人権業務関係者130人)

ヨコオグループ全拠点における人権デュー・ディリジェンスのリスク評価

(ヨコオ独自の指標)

B以上

50
(10/20拠点)

私たちと働く人の権利

ヨコオグループ主要取引先(総仕入高上位80%)に対するデュー・ディリジェンス実施率

100

100

休業度数率

基準年度(2023年度)の休業度数率から30%改善した0.23

0.305

ステーク
ホルダー
エンゲージメント

顧客満足

顧客満足度調査のスコア

基準年(2023年度)のスコア以上を毎年度維持する

VCCS:83.2、CTC:-、

FC:80.6、MD:84

取引先との双方向コミュニケーション

仕入先説明会やCSR調達水準向上に向けた
サステナビリティ説明会の実施

1以上

1回 30
(日本所在のサプライヤー)

地域社会との対話・交流

社会貢献活動

70/年

55

株主・投資家との対話

決算説明会、スモールミーティング等の実施

5/年

3

個別IR(国内・海外合計)

200/年

154

地球環境

気候変動の緩和と適応

GHG排出量(Scope1・2)削減 
2014年度比

35削減

22.7%増加※7

循環型社会への移行と、有害物質の管理・削減

水使用量(原単位)2020年度比

10削減

24.6%減少

再生プラスチック使用率

25以上

再生プラスチックの定義を策定中

廃棄物のリサイクル率

グローバル80以上

78

PRTR対象物質使用量削減(国内グループ)

代替物質の積極的な検討による、PRTR対象物質の使用量抑制

12,440kg※7

 

 

重点領域

マテリアリティ

KPI(2030年度目標)

2024年度実績

評価指標

目標値

ガバナンス

コーポレート・ガバナンス

取締役会の実効性評価

5段階評価で4.5以上

4.55

ボードダイバーシティ

取締役会の実効性及び企業価値の向上に資する取締役会構成の最適化※5

独立社外比率43
女性比率14%

コンプライアンス

コンプライアンス研修受講率( ヨコオグループ全拠点)

100

98
(グループのe-ラーニング受講対象者)

内部通報制度の認知度( ヨコオグループ全拠点)

100

45.3

リスクマネジメント

リスクアセスメントに基づく重要リスクの特定と施策実施の進捗確認

1以上

1

社内セキュリティインシデント重要度判断に基づくインシデント件数

40以上を0※6

0

 

※1 TISP:Tomioka International Specialist Park

※2 クアルトリクス社によるエンゲージメント調査のスコア

※3 三役:総括製造販売責任者、国内品質業務運営責任者、安全管理責任者

※4 全社員が具備すべきDXスキルとして経済産業省が定めているDXリテラシー標準を習得している社員の比率をKPIとする。

※5 女性/外国籍/独立性を中心に最適化を毎年度検討

※6 ヨコオ独自の指標である重要度が高いインシデントのゼロ化・維持を目指す。

※7 GHG排出量削減率、PRTR対象物質使用量(国内グループ)については、2023年度の実績を記載しております。2024年度の実績については2025年8月頃にコーポレートサイトで掲載予定です。

 

(2)   気候変動

当社グループは、かけがえのない地球環境を健全な状態で次世代に継承することをマテリアリティ重点領域「地球環境」として定め、「気候変動の緩和と適応」をマテリアリティとして設定しております。環境方針及び行動指針において温室効果ガス(GHG)排出量(Scope1・2)の削減目標を掲げ、気候変動対策に取組んでいます。また2021年10月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言へ賛同しており、CDPの枠組みにおいて、TCFD提言に沿った情報開示を進めております。

環境方針及び行動指針の本文については、当社コーポレートサイト「サステナビリティ 環境経営」をご参照ください。

https://www.yokowo.co.jp/sustainability/environment/management.html

 

①  ガバナンス

マテリアリティの「気候変動の緩和と適応」に関する事項は、前記「(1)サステナビリティ全般 ③リスク管理」に記載の体制のもと、環境管理委員会を設置し活動しています。当委員会は執行役員社長から承認された環境担当役員を委員長とし、委員は富岡工場・MEMS開発センター・国内製造子会社の部門長及び環境推進委員で構成され、気候変動対応を含む環境全般の計画・施策立案と推進を担い、毎月開催しております。気候変動に関する課題への取組み及びKPI目標の進捗は、サステナビリティ委員会でレビューされ、取締役会に報告しております。

 

②  戦略

気候関連リスクと機会を特定・評価し、気候関連課題が事業に与える中長期的なインパクトをVCCS、CTC及びFC・MDの3セグメントで想定し、分析を実施しております。また、当社の事業活動領域である産業のシナリオ分析を確認し、当社グループの中長期的な事業環境を認識した上で、世界の平均気温が2100年までに3℃前後上昇すると想定したシナリオと1.5℃未満に抑えられたシナリオを採用し、移行リスク・物理的リスクと機会からシナリオ分析を実施しました。

5~15年以内の移行リスクとして、電気自動車(BEV)が普及しガソリン車・ハイブリッド車のシェア低下による売上高減少、炭素税の導入による支出増加、医療用デバイスのリユース化の推進による売上高減少、5年以内の物理的リスクとして異常気象による集中豪雨・落雷・台風などによる部品供給停止による売上高減少の財務的影響が発生すると予測しております。

5~15年以内の機会として、BEVが普及しBEVへの販売が拡大することによる売上高増加、自動車メーカー向けの省エネルギー新規開発製品の販売による売上高増加、BEVが普及し車載向けの半導体需要が増加することによる売上高増加、新型感染症の出現などで新薬・新治療デバイスのグローバル認証制度の開始想定による売上高増加の財務的影響が発生する可能性を予測しております。

 

区分

リスク/機会の種類

影響の段階

セグメント

要因

当社グループ
への影響

時間軸※1

財務的影響

※2

当社グループの対応

シナリオ

移行
リスク

市場

バリューチェーン
下流

VCCS

顧客行動の変化

電気自動車(BEV)への販売拡大

・新しい製品、サービスの開発、市場の開拓

1.5℃

政策

直接操業

共通

カーボンプライシングメカニズム

炭素税の導入による財務的負担

・再生可能エネルギーの導入
・インターナルカーボンプライシングの導入

1.5℃

技術

直接操業

MD

再生可能コンテンツ増加への移行

顧客のリユース化の推進

・技術、インフラへの研究開発投資の増加

1.5℃

物理的
リスク

急性

直接操業

共通

異常気象による集中豪雨・落雷・台風など

サプライチェーンの寸断、操業停止

・技術、インフラへの研究開発投資の増加

3℃

機会

市場

直接操業

VCCS

新市場への展開

電気自動車(BEV)への販売拡大

・BEVへの拡販

1.5℃

製品及びサービス

直接操業

VCCS

R&D及び技術革新を通じた新製品やサービスの開発

省エネルギー製品の新規開発

・開発期間の短縮、生産方式の変更、保守性の向上

1.5℃

市場

直接操業

CTC

環境負荷を低減した製品(認証製品以外)の入手可能性の増加

BEVシフトによる半導体需要の増加、半導体の高性能化

・販売と開発リソースの確保

1.5℃

製品及びサービス

バリューチェーン
下流

MD

既存の製品、サービス売上増

感染症増加、新たな感染症の出現可能性の増大に伴う新薬や新治療デバイスの開発のグローバル認証

・グローバル認証制度による国内/海外での同時販売

3℃

 

 

 

※1 時間軸 短:5年以内、中:5~15年、長:15年以上

※2 財務的影響 大:100億円以上、中:10~100億円、小:10億円以下

 

③  リスク管理

 気候関連リスクの特定及び評価は環境管理委員会を構成する部門ごとに毎年気候関連リスク・機会を洗い出し、世界の平均気温が2100年までに3℃前後上昇すると想定したシナリオと1.5℃未満に抑えられたシナリオの分析を実施し、同委員会事務局が集約・評価を行っております。マテリアリティに設定している気候関連リスクは全社的リスクとしてサステナビリティ委員会及び取締役会に報告しています。

 

 

④  指標と目標

当社グループは2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、自社工場からの温室効果ガス(GHG)排出量(Scope1・2)を2030年度に2014年度比で35%削減することを目標として設定しております。2024年1月にSBTi(Science Based Target Initiative)に対するコミットメントレターが受理されたことを受け、同イニシアティブに合致するGHG排出量削減目標及び同削減計画を策定中です。

今後も、新目標となるSBTi認定取得と当該目標の達成に向けて、エネルギー原単位削減、再生可能エネルギーの利用拡大、グリーン電力調達などを進めるとともに、Scope3におけるGHG排出量削減への取組みについても強化していきます。

マテリアリティの「気候変動の緩和と適応」の目標と実績については、前記「(1)サステナビリティ全般 ④指標と目標」に記載しております。

なお、気候変動に関するデータや具体的な取組みの最新情報については、当社コーポレートサイト「サステナビリティ 気候変動への対応」をご参照ください。

 https://www.yokowo.co.jp/sustainability/environment/warming.html

 

(3)   人的資本

当社グループの経営の基本方針の一つである「パーソネル・イノベーション(人材の革新)」を具現化する「人に関するビジョン」及び戦略・施策の推進は、企業理念体系の「Vision/目指す姿」に向けた経営戦略の実現を担うものであり、経営戦略と人事戦略を連動させることで「人的資本経営」を推進しております。

 

 

                              人に関するビジョン
 
企業理念を出発点にヨコオが求める人物像、ヨコオが求める組織風土を規定する
 ■  ヨコオが求める人財像 :衆知を集め、「新しい」を生み、チャレンジし続ける人へ
 ■  ヨコオが求める組織風土:進化を支援する組織風土
進化永続企業の実現に向け進化経営に資する人財、風土を育てていくことにコミットしていく

 

 

 


 

①  ガバナンス

マテリアリティの重点領域の「人的資本」に関する事項は、前記「(1)サステナビリティ全般 ③リスク管理」に記載の体制のもと、新たに創設された人財本部が人的資本の拡充に向けた方針の策定、計画・施策立案と推進を担っています。人的資本に関する課題への取組み及びKPI目標の進捗は、サステナビリティ委員会でレビューされ、取締役会に報告しております。

 

②  戦略

急速な産業構造変革により既存のコアコンピタンス・事業競争力が陳腐化、人材獲得競争が激化するリスクを想定しており、一方、デジタル化・DX化が進むことにより当社の事業領域における機会が拡大していくものと捉えております。このような状況下において採用・育成を通して経営戦略の実現に必要な人的資本を拡充することは事業構造上の課題と位置付けております。

経営・事業課題を認識するためHRBP(Human Resource Business Partner)による定期的な経営陣との対話により経営課題を認識し、解決する人事施策に落とし込んでいきます。また、人的資本拡充を中核に置いた採用、内部人財の育成、従業員が納得できる評価と報酬の実現、それらの施策の成果を測るエンゲージメントの向上を一貫した施策で推進していきます。

 

人財育成

人財育成は、トップガン人財層の先端技術実装能力の競合優位確立と、全従業員の職務遂行能力のレベルアップの両輪の取組みで企業競争力向上を加速していきます。

 

a.    トップガン人財の育成

・  経営におけるトップガン人財育成

・  AIを含むDXにおけるトップガン人財育成

・  先端技術におけるトップガン人財育成

 

b.    全従業員の職務遂行能力向上

<従業員自身が学びたいと思う事に応える環境整備と自発性の促進>

・   自発的学習を促すe-ラーニングの導入と学習の促進

・   経済産業省の定めるDXリテラシー標準を通したDXスキル強化

・   グローバルビジネスを支える語学学習機会の提供と学習の促進

 


 

 

多様性・公平性・包摂性

 様々な専門性や価値観などの多様性が活かされない職場ではエンゲージメントが下がり人財の流出や採用が難しくなると認識しております。一方で多様性・公平性・包摂性の考え方が浸透し、お互いの個性や能力を認め合い活かされる職場は、従業員と当社グループの成長につながるものと考えております。
 当社グループは、「多様性・公平性・包摂性」をマテリアリティとして設定しており、国籍・性別・世代等だけでなく、様々な才能・知識・経験、そして価値観などの多様性を尊重し、大切にします。一人ひとりがそれぞれの個性や強みを発揮できるよう、成長や挑戦の機会を整えることで、多様性を企業の力に変える土壌づくりに取組んでいます。そして、「自分と異なる意見に耳を傾ける」、「安心して、自分の考えを発言できる」、このようなチームづくりに取組むことで、一人ひとりが認められ、尊重され、「自分の力が発揮できている」と感じられる状態をめざします。多様な個性や違いを持った人たちが関わり合い、認め合うことで、様々なアイディアが引き出され、新しい価値を生み出し、一人ひとりの成長と当社グループの成長につながると考えています。前記「(1)サステナビリティ全般 ③リスク管理」に記載の体制のもと、新たに創設された人財本部が人的資本の拡充に向けた計画・施策立案と推進を担っています。

 

a.    女性の活躍

・   社外役員への就任

・   管理職、リーダーへの積極的な登用

b.    外国籍人財の活躍

・   外国籍スペシャリスト人財(日本・海外在住問わず)の積極的な採用と育成

・   海外拠点の新卒・キャリア入社者に対する短期・長期のキャリア支援プログラムの推進とキャリア支援プログラムの対象職種と対象拠点の拡大

c.    障がい者の活躍

・   一人ひとりの障がいの特性を個性と捉える運営体制

・   保健師、精神保健福祉士による「こころと身体」のサポート体制

・   特例子会社におけるニューロダイバーシティを取り入れた人財発掘・育成・職場環境整備とサポーター教育

   障がい者雇用の特例子会社「株式会社ヨコオみらいサポート」を2022年4月に設立しております。https://www.yokowo-fs.com/

 

③  リスク管理

 人的資本リスクと機会は、人財本部HRBPが経営陣との定期的な対話から分析、対策を検討し、中期計画の戦略立案につなげます。2022年度より「多様な従業員にとって働きがいのある魅力的な職場環境を実現する」ため職場環境課題を可視化し、改善課題の特定を行うエンゲージメント調査を実施しており、結果を執行経営会議及び取締役会に報告しております。また、幹部職を対象に調査結果の説明会を実施し、部門単位でアクションプランを立案し、改善活動を実施することでエンゲージメントの向上を推進しております。

 

④  指標と目標

 マテリアリティの重点領域の「人的資本」の目標と実績については、前記「(1)サステナビリティ全般 ④指標と目標」に記載しております。

なお、多様性・公平性・包摂性に関するデータや具体的な取組みの最新情報については、当社コーポレートサイト「サステナビリティ Diversity, Equity & Inclusion(DEI)」をご参照ください。

https://www.yokowo.co.jp/sustainability/society/dei.html

 

(4)   人権尊重

当社グループは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、人権を尊重し、救済するための体制を強化しています。多様な仲間の声に耳を傾け、世界に目を向け、従業員を支える家族、お客さま、お取引先さま、地域の皆さまなど、事業活動において関わる全てのステークホルダーの人権を尊重するとともに、幸せないい未来の姿を思い描き、「新しい」を生み出し続ける進化永続企業を目指しています。

 

①  ガバナンス

マテリアリティの重点領域の「人権」に関する事項は、前記「(1)サステナビリティ全般 ③リスク管理」に記載の体制のもと、人権・労働・倫理マネジメント委員会を設置し活動しています。当委員会は執行役員社長から承認されたサステナビリティ担当役員を委員長とし、委員はRBA(Responsible Business Alliance)の労働・倫理に関連する役員及び部門・グループ会社で構成され、人権全般の方針の策定、計画・施策立案と推進を担い、毎月開催しております。人権に関する課題への取組み及びKPI目標の進捗は、サステナビリティ委員会でレビューされ、取締役会に報告しております。

 

②  戦略

 当社グループはグローバルで事業を展開しており、当社グループだけでなくサプライチェーンも含め、人権への影響を深刻度・蔓延性と回復可能性の観点から当社グループ事業と社会に与える影響を評価する必要であると認識しております。また、人権を軽視した対応をした場合、ステークホルダーからの信頼の喪失、レピュテーションへの影響などのリスクが生じると認識しております。人権尊重に取組むことにより職場環境が整備され、エンゲージメントの向上につながり、人的資本、企業価値、ビジネス機会、健全なサプライチェーンが構築されていくと捉えています。

当社グループは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」を支持し、これに基づき「ヨコオグループ人権方針」を策定しております。人権方針で定めるステークホルダーとの対話を重視し、サプライチェーン全体を通じた人権への負の影響を特定・評価し、防止・軽減に取組みます。また、その取組みの実効性を評価したうえで、どのように対処したかについて説明・情報開示する人権デュー・ディリジェンスプロセスを実施し、個別の人権課題に取組みます。

 

ヨコオグループの人権方針における個別の人権課題への取組み

 

 

ヨコオグループの人権方針における

個別の人権課題

ヨコオの実施策

強制労働の禁止

労働者による手数料支払い防止のための送り出し機関・受け入れ機関との三者間契約

児童労働の禁止

児童労働救済規程策定 年齢確認プロセスの強化

差別の禁止

匿名通報が可能な外部受付窓口の整備

非人道的待遇の禁止

祈祷室整備・ハラル食の提供

結社の自由および団体交渉権

労働協約

労働時間および賃金

同一労働同一賃金における不合理な待遇差への対応

労働安全衛生

安全装置導入の必須化 健康診断・ストレスチェックの実施

 

ヨコオグループ人権方針の本文については、当社コーポレートサイト「サステナビリティ 人権尊重の取組み」をご参照ください。

https://www.yokowo.co.jp/sustainability/society/humanright.html

 

 

③  リスク管理

 当社グループは、「ヨコオグループ人権方針」に基づき、人権の尊重・救済に取組むため、当社グループ会社及び主要取引先に対して人権デュー・ディリジェンスを実施しています。

 

ヨコオグループの人権デュー・ディリジェンス

 

 

人権DDプロセス

施策

2024年度実績

リスクの特定

重要課題の選定

自社グループ・サプライヤー:セルフアセスメント実施

質問票の実施

(※実施状況参照)

分析評価

質問票回答の集計・データ分析

自社グループ:回答評価・フィードバック・対策立案

リスク値の比較と取組みの優先順位づけ

サプライヤー:分析、フィードバック

対策の実行

海外を含む拠点担当者への教育

自社グループ:拠点担当者への人権教育

規程整備

サプライヤー:是正計画策定

開示

コーポレートサイトへの記載

自社グループ・サプライヤー:コーポレートサイト

統合報告書

サステナビリティページへの記載、統合レポートへの記載

サプライヤー展開

サプライヤー説明会

サプライヤー:CSR購買ガイドライン説明会実施

CSR購買ガイドライン配布

取引先行動規範同意確認

サプライヤー

是正促進

セルフアセスメント実施

有効性の確認

実地監査

是正計画策定

 

 

 

人権デュー・ディリジェンス実施状況

 

カテゴリ

人権DD実施対象

範囲

人権及び社会的責任に関する説明会の実施

セルフアセスメントの実施

自社グループ

製造拠点

本社

100%

100%

国内海外含むすべての子会社

販売拠点

国内海外含むすべての子会社

100%

100%

直接購買

製造関連サプライヤー

国内取引高90%を占める取引先企業

100%

100%

間接購買

人材サプライヤー

人材提供を受けている国内企業すべて

100%

100%

構内請負サプライヤー

富岡工場構内で業務請負契約を締結している企業すべて

100%

75%

 

 

 

④  指標と目標

 マテリアリティの重点領域の「人権」の目標と実績については、前記「(1)サステナビリティ全般 ④指標と目標」に記載しております。

なお、人権尊重に関するデータや具体的な取組みの最新情報については、当社コーポレートサイト「サステナビリティ 人権尊重の取組み」をご参照ください。

https://www.yokowo.co.jp/sustainability/society/humanright.html

 

 

 

 

 

(5)   安全衛生

当社グループは、労働安全衛生マネジメントシステムに基づいた活動を通じて、マテリアリティ「私たちと働く人の権利」の中で掲げている、より安全・安心で、働きがいのある職場環境づくりへの取組みを推進しております。

 

①  ガバナンス

安全衛生に関する事項は、前記「(1)サステナビリティ全般 ③リスク管理」に記載の体制のもと、安全衛生委員会を設置し活動しています。当委員会は執行役員社長から承認された富岡工場総括(工場長)を委員長とし、委員は部門安全衛生管理者・推進者及び法令に基づき有資格者・産業医を交え労使の構成員が方針の策定、安全衛生計画の進捗確認、労働災害の原因分析及び再発防止対策、健康保持増進などの審議・協議を行える場として毎月開催し、その結果を全従業員に展開しております。安全衛生に関する課題への取組み及びKPI目標の進捗は、サステナビリティ委員会でレビューされ、取締役会に報告しております。

 

②  戦略

当社グループの製造プロセスでは機械設備や化学物質を使用しており身体への影響、事故・災害のリスクがあり、労働災害による労働損失は、関係する職場の業務負荷を招き心身への影響から新たな労働災害の可能性があると認識しております。安全衛生マネジメントシステムのリスク低減施策に取組むことは安全な職場環境を提供する機会につながると認識しております。

当社グループは従業員をはじめ当社の活動における利害関係者の安全と健康面の管理を経営の最優先課題と位置付け、「ヨコオグループ労働安全衛生方針」を策定しております。安全を常に確保し安心して働ける職場を追求し、心身の健康増進に努めています。

ヨコオグループ労働安全衛生方針の本文については、当社コーポレートサイト「サステナビリティ 労働安全衛生」をご参照ください。

https://www.yokowo.co.jp/sustainability/society/safety.html

 

③  リスク管理

労働安全衛生マネジメントシステムに基づき各部門が外部・内部の課題及び利害関係者の要求事項からリスクと機会を整理した上で年間計画を策定し、活動しております。各部門においてリスクアセスメント、ヒヤリハットによるリスク管理を行い労働災害の未然防止に取組んでおります。

また、作重点チェック項目(挟まれ・巻き込まれ、切れ・こすれ、飛来・落下、火災予防、化学物質など)を設定し、役員・部門責任者によりチーム編成した安全巡視を毎月行い、安全衛生委員会で結果を報告しております。

労働安全衛生マネジメントシステムが有効であることを確実にするため、マネジメントレビューを実施し、継続的な改善を実施しております。

 

④  指標と目標

マテリアリティの「私たちと働く人の権利」において、安全衛生の指標として休業度数率をKPIに設定しています。目標と実績については、前記「(1)サステナビリティ全般 ④指標と目標」に記載しております。

なお、安全衛生に関するデータや具体的な取組みの最新情報については、当社コーポレートサイト「サステナビリティ 労働安全衛生」をご参照ください。

https://www.yokowo.co.jp/sustainability/society/safety.html

 

 

(6)   情報セキュリティ

当社グループは、世界中の至る所で情報セキュリティ強化が求められる時代において、取り扱う全ての情報資産の重要性を常に認識するとともに、グローバルで等質な情報セキュリティ活動を推進しています。

 

①  ガバナンス

 情報セキュリティに関する事項は、前記「(1)サステナビリティ全般 ③リスク管理」に記載の体制のもと、ISO27001情報セキュリティマネジメントシステムの体制を活用し、情報セキュリティ委員会を設置し活動しています。当委員会は執行役員社長から承認された経営企画担当役員を委員長とし、委員は事業部長・本部長・海外拠点長及びCSIRT(Computer Security Incident Response Team)で構成され、方針の策定、計画・施策立案と推進を担い、毎月開催しております。情報セキュリティに関する課題への取組み及びKPI目標の進捗は、サステナビリティ委員会でレビューされ、取締役会に報告しております。

 

②  戦略

クラウドコンピューティングやリモートワークの普及を背景にサイバー攻撃が急増し、攻撃の対象がサプライチェーンの脆弱性を突いた攻撃へと変化し、情報セキュリティの脅威は高い状態が続いていると認識しております。

当社グループは、情報資産の不適正な開示、漏えい、破壊、改ざん、そして目的外の使用を防ぎ適切に保護するため、「ヨコオグループ情報セキュリティポリシー」を定め、NIST(National Institute of Standards and Technology)のサイバーセキュリティフレームワークに基づき対策を推進しております。統治・識別・防御・検知・対応・復旧の6つのコア機能に対し、潜在的危険性を特定し、リスクアセスメントからリスク低減措置を検討し、特に識別・防御・検知・対応の機能を中心に活動を実施してきました。

外部環境(サイバー攻撃の高度化、複雑化など)・内部環境(生産設備のデジタル化・IoT化など)が変化し、サイバーセキュリティリスクもIT (Information Technology)セキュリティからOT (Operational Technology)セキュリティのリスクも顕在化し始めてきていると認識しております。これまでのITセキュリティに加え、幅広いリスク対策が必要となるOTセキュリティの特徴を踏まえた体制整備を準備しております。

ヨコオグループ情報セキュリティポリシーの本文については、当社コーポレートサイト「サステナビリティ 情報セキュリティ」をご参照ください。

https://www.yokowo.co.jp/sustainability/governance/security.html

 

③  リスク管理

CSIRTがIPA(独立行政法人情報処理推進機構)、JPCERTコーディネーションセンターのレポートから社外のセキュリティインシデント状況を分析し、情報セキュリティの維持のためのトレーニング計画を立案しております。当社グループ内のメールアドレス保持者に対し、セキュリティ訓練(フィッシングメール訓練)、少量多頻度の情報セキュリティ教育(4回)、また、グループ内の「情報セキュリティ」サイトよりセキュリティ啓蒙情報発信(毎月)を行い、セキュリティ意識の向上を図っております。実効的なセキュリティ対策については、NISTフレームワークに基づき、一元的に統治を図る技術対策・現場対策を展開・実施しております。

 情報セキュリティマネジメントシステムが有効であることを確認するため、マネジメントレビューを実施し、継続的な改善を実施しております。

 

④  指標と目標

マテリアリティの「リスクマネジメント」の中でも、情報セキュリティを重要なリスク領域にあるものと捉えており、「社内セキュリティインシデント」を評価指標として設定し、継続的な対策を強化しています。目標と実績については、前記「(1)サステナビリティ全般 ④指標と目標」に記載しております。

 

 

(7)   サプライチェーン

当社グループは、取引先様との公正・公平な取引を追求することに加え、法令遵守、生産拠点の重層化や途切れない供給網構築のために、サプライチェーンにおける人権、労働慣行、安全衛生、環境などの社会的責任を遂行すべく購買活動に取組んでおります。

 

①  ガバナンス

サプライチェーンについては、マテリアリティの「取引先との双方向コミュニケーション」として、前記「(1)サステナビリティ全般 ③リスク管理」に記載の体制のもと、購買本部が責任ある購買活動に向けた方針の策定、計画・施策立案と推進を担っています。サプライチェーンに関する課題への取組み及びKPI目標の進捗は、サステナビリティ委員会でレビューされ、取締役会に報告しております。

 

②  戦略

当社グループはグローバルで事業を展開しており、地政学リスク、自然災害、気候変動、環境問題、人権侵害、サイバー攻撃などのリスクによりサプライチェーンが中断・遅延させる可能性があると認識しております。

企業理念体系(パーパス、ビジョン、バリュー)に基づき、「購買方針」を策定し、CSR購買体制の構築を中期的な重点テーマとしてグローバルに「取引先様と共に成長する」購買活動を展開しております。リスクを認識し様々な課題に対応できる強固なサプライチェーンの構築を目指します。

「購買方針」の本文については、当社コーポレートサイト「サステナビリティ 責任ある購買活動」をご参照ください。

https://www.yokowo.co.jp/sustainability/society/supply-chain-management.html

 

③  リスク管理

当社グループでは、これまでも新規取引開始時や継続的に「一般事項」「情報セキュリティ」「環境」「CSR」について、取引先様への監査等を通じてCSR購買活動を推進してきました。

昨今のCSRの重要性の高まりから、これまで以上にステークホルダーの信頼に応えるため、取引先様に具体的に実践・遵守していただきたい行動・活動の基準として、法令遵守・国際規範の尊重、労働、安全衛生、環境、倫理、品質・安全性、情報セキュリティ、事業継続計画、社会貢献、マネジメントシステムの10項目で構成したヨコオ取引先行動規範 Ver2.0を制定しました。

2024年よりPDCA活動サイクルを基本とした取組み体制に再構築し、活動をスタートしております。2024年度の取組みとして国内取引先様を対象に、「取引先様説明会」 「セルフアセスメントの実施/評価」 「改善活動」 を実施し、CSR購買活動の強化に取組んでおります。

また、「ヨコオ取引先行動規範」をより深く理解していただく目的として、具体的な取組みを交えて説明している「CSR購買ガイドライン」を策定しております。

CSR 購買ガイドラインを通じて、取引先様の皆様が当社グループのCSR活動について共通の認識を持ち、持続可能な社会の発展に貢献することによって、将来的に共に社会から支持され続ける関係を構築していきたいと考えております。

「ヨコオ取引先行動規範」「CSR購買ガイドライン」の本文については、当社コーポレートサイト「サステナビリティ 責任ある購買活動」をご参照ください。

https://www.yokowo.co.jp/sustainability/society/supply-chain-management.html

 

④  指標と目標

マテリアリティの「取引先との双方向コミュニケーション」に関連し、評価指標として設定している「仕入先説明会やCSR調達水準向上に向けたサステナビリティ説明会の実施」は、サプライチェーンに関するKPIとして位置づけられています。目標と実績については、前記「(1)サステナビリティ全般 ④指標と目標」に記載しております。

なお、サプライチェーンに関するデータや具体的な取組みの最新情報については、当社コーポレートサイト「サステナビリティ 責任ある購買活動」をご参照ください。

https://www.yokowo.co.jp/sustainability/society/supply-chain-management.html

 

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、財務状況及び株価に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する記載は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

(1) 一般リスク

①国内外活動及び海外進出に潜在するリスク

当社グループの販売及び生産活動は、日本国内のみならず米国・欧州・アジア諸国等世界全域に幅広く行っております。これら関係諸国での事業活動に伴い、以下に掲げるリスクが内在しております。

a.予期しない法律又は規制の変更

b.不利な政治又は経済要因

c.未整備の技術インフラ

d.潜在的に不利な税制

e.テロ、戦争、デモその他の要因による社会的混乱

f.労働力需給逼迫に伴う賃金・人材確保コストの急増

g.拠点における不正行為

生産活動については、その80%以上を中国・マレーシア・ベトナム・米国・フィリピンの生産子会社が行っておりますが、当該国での法環境の変化、経済政策の変更があった場合は、当社の業績見通しに大幅な変動が生じる可能性があります。

また、当社では、内部統制システムを整備することはもとより、行動規範において信頼の確立や法令遵守などを従業員に求め、ハンドブックを作成し、周知徹底させています。しかしながら、このような施策を講じても、複雑化する法令や規制への抵触、役員、従業員による不正行為は完全には回避できない可能性があります。このような法令違反や不正行為等が発生した場合、社会的信用が低下し、取引停止、罰金・罰則等により、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を与える可能性があります。

当社グループは、本社を含む各拠点において、必要性に応じて規程の制定・改廃、ガイドライン(法令情報のタイムリーな収集などを含む)の制定や教育の強化を行い、継続的な教育実施をすることでリスク低減に取り組んでまいります。また、グループ全社をカバーする内部通報窓口を設置し、不法行為等のリスクが生じた際にはいち早く対処・是正する体制を整えております。さらに、業務の適正化及び効率化の観点から業務プロセスの継続的な改善・標準化についても積極的に推進しております。

②市場ニーズの変動

当社グループは、最終消費製品メーカー等に対し部品を製造販売する事業を営んでおり、主要市場である自動車、半導体検査、携帯端末、先端医療機器の各市場の動向、当社顧客業績やニーズの動向により、当社グループの受注が大きな影響を受けることがあります。主要市場の縮小や顧客業績の不振、市場ニーズの取りこぼし、開発要件不一致は、当社グループの受注減少、売上高の減少となる可能性があります。また、顧客が法的整理等に至った場合は、当社グループの当該顧客に対する債権の全部又は一部が回収不能となる可能性があります。

当社グループでは、顧客ニーズにいち早く答えるために常日頃から変化に対して敏感に察知するよう、市場/顧客の変化・拡大等を見据えた市場マーケティングに努めております。

また、2023年4月に新設したインキュベーションセンターでは、新規事業の育成・確立とともに、ハードウェアからソフトウェアへの転換などビジネスモデル変革を目指しております。

③為替レートの変動に伴うリスク

当社グループの販売高の70%以上及び生産高の80%以上は、海外で発生しております。各地域における売上、原価、保有資産等多くは現地通貨建てであり、連結財務諸表上は円換算しております。為替レートの急激な変動によりこれらの財産・業績等の円換算後の金額が変動し、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

なお、当連結会計年度末における通貨別構成の下では、他の通貨に対する円高は当社グループの損益にマイナスの影響を、円安はプラスの影響を及ぼします。

当社グループは、外貨建債権債務の管理の徹底や、グローバル全拠点を網羅したトータルの通貨バランスを取ることなどにより、為替レート変動による業績変動リスクの軽減に努めております。

④保有株式の株価変動に伴うリスク

当社グループが保有する金融資産には、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準等に則り、期末時点における時価により評価替えを行う有価証券等が含まれております。期末時点における当該有価証券等の時価が著しく下落したときには、回復する見込みがあると認められる場合を除き、当社グループの定める基準に従い評価損を計上することにより、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

有価証券の適正な保有状況を毎年見直していきます。

 

⑤減損会計適用に伴うリスク

当社グループが保有する事業用固定資産は、減損会計適用対象となっております。当該事業用固定資産を活用する事業の収益性が著しく低下した場合、所定の算定基準に従い当該事業用固定資産の帳簿価額を減額することにより、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

当社グループは、各事業の継続的な収益力向上を推進するとともに、監査法人などの専門家との定期的なコミュニケーションなどにより会計基準のアップデートやその考え方の浸透に努めております。

⑥知的財産権に関するリスク

当社グループが設計・製造・販売する製品やサービスに関する知的財産権について、当社グループまたはその顧客等が第三者から特許侵害訴訟等を提起された結果として、当社グループが損害賠償責任を負う可能性、当該製品が一定の国・地域で製造・販売を差し止められる可能性、又は当社グループの顧客等に対して損害賠償責任を負う可能性があります。

当社グループでは、特許等の知的財産権の管理を行う知的財産権部門を強化し、ポートフォリオ戦略による当社グループの開発技術を積極的に権利化するとともに、i)当社の事業に関係する新規特許の定期的な内容確認の実施、ii)製品の開発・販売に際し、第三者の知的財産権との抵触・類似が発生しないように事前調査を行い、抵触等可能性がある場合は事前に回避策をとることを規程化するなど、第三者の知的財産権の侵害を未然に防止する体制を構築し、その運用を徹底しております。

⑦自然災害や疾病、突発的事象発生のリスク

地震等の自然災害、インフルエンザなどの感染症や突発的事象に起因する設備の破損、電力・水道の供給困難等による生産の停止は、当社グループの経営成績及び財政状況等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、定期的な防災訓練の実施及び社員の安否確認システムの構築実施、必要とされる安全対策や事業継続・早期復旧のための対策として、事業継続計画(BCP)の拡充を進めております。地震対策として新棟の建設や老朽建屋の更新、水害対策として本社ビル移転など、様々な施策を講じております。

(2) マテリアリティ・リスク

①コーポレート・ガバナンスに関するリスク

コーポレート・ガバナンスは、取り巻く経営環境が激変する状況下で企業が柔軟かつスピーディにリスクテイクしたり、不祥事を防止したりするために継続的な強化が必要不可欠であり、当社グループにおいてこれらの機能が不十分である場合、業績悪化・低迷、株価下落、評判の低下などを招く可能性があります。

当社は、取締役会における独立社外取締役の比率を40%以上(7名中3名、43%)としているほか、指名・報酬諮問委員会(委員3名中2名が独立社外取締役、そのうちの1名が委員長)において取締役・執行役員の指名及び報酬等の決定プロセスの透明性をより高めることなどにより、当社のコーポレート・ガバナンスの継続的な強化に取り組んでおります。また、人財本部グローバルサポート室を中心として国内外のグループ会社のガバナンス強化にも取り組むとともに、内部監査室とも連携し3線ディフェンス体制を構築しております。

②人員不足に伴うリスク

当社グループは最終消費製品メーカー等に対し部品を製造販売する事業を営んでおり、その製品やサービスを提供するために必要な人材の採用の拡大及び継続的な育成に取り組んでおります。しかし、昨今の人材獲得競争の激化から、当社が必要とする技術やノウハウを有する人材を確保することが困難な場合が増えております。この状況が継続した場合、中長期的な事業推進、生産供給能力や製品品質の確保に影響を及ぼす可能性があります。

本リスクを低減する対策として、現在在籍している従業員による固定的な業務遂行環境から、機動的に複数の業務を自主・自立的に遂行できる人材の育成、多様性を考慮した柔軟な働き方により、人材がより幅広く活躍できる職場への変革に取り組んでおります。また、従業員の業務効率・生産性向上を目的として、マイクロソフト社の生成 AI サービス「Microsoft Copilot for Microsoft 365」を導入し、順次利用を拡大しております。

③脱炭素社会に向けた取組みに関するリスク

気候変動問題に対する最大の方策である脱炭素社会の実現は極めて重要な課題です。当社の脱炭素の取組みが著しく不十分で改善がみられないと評価された場合、顧客からの取引縮小ないし停止、当社への出資を引き揚げるダイベストメント、地域社会からの評判低下などにより、業績悪化・株価下落などの可能性があります。

当社グループは、グローバル社会の一員としての責任を果たすべく、2050年のカーボンニュートラル・脱炭素社会の実現に向けて、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同及び2030年度でのGHG削減目標を掲げた環境方針を制定しております。再生可能エネルギー調達の拡大や、GHG排出量のより少ない原材料への切り替え等を通じ、GHG排出量の削減に貢献するとともに、適宜計画の見直し等の改善努力とその進捗状況を積極的に開示してまいります。

④生物多様性保全の取組みに関するリスク

生物多様性保全の取組みは、世界的に広がり、深く浸透しつつあります。当社グループの取組みが著しく不十分である、あるいは取組み内容の開示が不十分であると評価された場合、脱炭素の取組みの場合と同様に、顧客からの取引縮小、当社への出資を引き揚げるダイベストメント、地域社会からの評判低下などにより、業績悪化・株価下落などの可能性があります。

当社グループは、生物多様性保全のための取組みについて、改善・向上を常に行うとともに、それらの内容を積極的かつ継続的に開示してまいります。

⑤製品品質に関するリスク

当社グループが製造・販売する製品は、顧客の製造工程で使用される部品、半完成品、又は検査工程で使用される検査機器です。当社製品の欠陥により顧客財物等の破損や顧客製品の市場回収等が発生し、顧客が被った損害・費用等について当社が賠償責任を負った場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、仕様・要件の確認強化及び関係部門間の連携をさらに強化しつつ、不良ゼロ化活動などの品質向上活動や製品・行程・品質についての社員教育の拡大・強化を推進するとともに、万が一の場合に備えてPL(製造物責任)保険に加入しております。

⑥原材料等の調達・デリバリーに関するリスク

当社グループは、生産活動・事業活動に必要な原材料・部品・物品等を国内外から調達しております。戦争・紛争の勃発、世界各国のインフレーション進行、大規模な感染症の拡大、その他不測の事態の発生により、それら原材料等の仕入れコスト及び調達に係る配送コストが著しく上昇し、さらには、各国の政策・法改正により仕入れや配送そのものが不可能となって当社製品出荷が停滞・停止することにより、当社の経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

⑦情報セキュリティに関するリスク

当社が取得し、あるいは顧客等から預かる情報は、経営上重要な資産であり、厳格かつ適正に取り扱う必要があります。当社の情報資産が、内部からの情報漏洩行為や外部からのサイバー攻撃などにより漏洩・破壊・抹消・改ざんされた場合、経営上重大な損害・損失を被る可能性があります。

当社グループは、情報セキュリティの国際標準規格であるISO27001の枠組みに沿って強固な情報セキュリティ体制を構築し、役員・社員への情報セキュリティ教育を継続的かつ定期的に実施するとともに、内部・外部による定期的な監査により、情報資産の保護及び適切な運用の確保・向上を図っております。なお、2020年3月より導入したテレワーク(在宅勤務)制度下においても、通信暗号化ソフトウェアの利用などにより、十分な情報セキュリティを確保しております。

⑧M&Aに関するリスク

当社グループは、事業上のニーズに応じて事業買収などのM&Aを行っておりますが、買収手続きに不備があったり買収後の経営統合プロセスに不首尾が生じたりした場合、想定していたシナジーを十分に発揮できず、企業価値の向上を実現できない可能性があります。

当社グループは、事業リスクを全社横断的に把握・検討する「事業リスク管理委員会」が積極的・機動的に意思決定プロセスに関与することで、想定した以上のシナジー発揮・企業価値向上に努めてまいります。

⑨同意なき企業買収に関するリスク

当社グループが属する自動車/半導体検査/携帯情報端末/先端医療機器の各業界は、技術革新や競合会社間の合従連衡など業界構造が激しく変動し続けており、その中で、当社が競合他社等から同意なき買収提案・買収行為を受ける可能性があります。

当社グループは、「新中期経営計画2024-2028」に基づき、既存ビジネスの深耕拡大や新規ビジネスの獲得、M&Aなどによる継続的な企業価値向上の実現、ROIC(投下資本利益率)経営を軸としつつ、株主・投資家等との対話などを通じて、株価水準の適正化と継続的上昇に努めてまいります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 財政状態の状況

① 事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況

a. 事業全体の状況

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は、現金及び預金減少1,579百万円などにより、47,556百万円(前期末比1,613百万円の減少)となりました。現金及び預金の減少は、次期以降の資金見通しを踏まえた短期借入金の返済によるものです。

固定資産につきましては、投資その他の資産増加1,321百万円などにより、28,722百万円(前期末比1,484百万円の増加)となりました。投資その他の資産の増加は、主に割引率変更に伴う退職給付に係る資産の増加によるものです

以上の結果、当連結会計年度末における資産合計は、76,278百万円(前期末比129百万円の減少)となりました。

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は、1年内返済予定の長期借入金増加1,400百万円、賞与引当金増加370百万円などがありましたが、短期借入金減少2,711百万円により、19,100百万円(前期末比525百万円の減少)となりました。

固定負債につきましては、長期借入金減少1,400百万円などにより、5,148百万円(前期末比1,249百万円の減少)となりました。

以上の結果、当連結会計年度末における負債合計は、24,248百万円(前期末比1,775百万円の減少)となりました。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は、退職給付に係る調整累計額増加461百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2,227百万円の計上、配当金の支払1,072百万円などにより、52,030百万円(前期末比1,645百万円の増加)となりました。

b. セグメント情報に記載された区分ごとの状況

<VCCS>

設備投資などに伴う有形固定資産及び無形固定資産の増加2,503百万円などがありましたが、現金及び預金の減少1,723百万円や棚卸資産の減少938百万円などにより、当連結会計年度末におけるセグメント資産は、40,978百万円(前期末比2,395百万円の減少)となりました。

上記の設備投資(当連結会計年度における投資総額1,603百万円)のうち主なものは、ベトナム生産子会社であるYOKOWO VIETNAM CO., LTD.及びフィリピン生産子会社であるYOKOWO MANUFACTURING OF THE PHILIPPINES, INC.における増設など、能力増強投資であります。

<CTC>

設備投資などに伴う有形固定資産及び無形固定資産の増加870百万円などにより、当連結会計年度末におけるセグメント資産は、20,317百万円(前期末比962百万円の増加)となりました。

上記の設備投資(当連結会計年度における投資総額380百万円)のうち主なものは、日本国内生産拠点及びマレーシア生産子会社であるYOKOWO ELECTRONICS (M) SDN. BHD.における各種設備の増設など、開発能力増強投資であります。

<FC・MD>

設備投資などに伴う有形固定資産及び無形固定資産の増加586百万円などにより、当連結会計年度末におけるセグメント資産は、11,216百万円(前期末比1,041百万円の増加)となりました。

上記の設備投資(当連結会計年度における投資総額403百万円)のうち主なものは、中国生産子会社である東莞友華汽車配件有限公司におけるFC事業の量産設備等の更新と富岡工場におけるMD事業の能力増強投資であります。

<インキュベーションセンター>

設備投資などに伴う有形固定資産及び無形固定資産の増加11百万円などにより、当連結会計年度末におけるセグメント資産は、1,067百万円(前期末比94百万円の増加)となりました。

上記の設備投資(当連結会計年度における投資総額7百万円)のうち主なものは、プラットフォーム事業における量産に向けた能力増強投資であります。

 

(2) 経営成績の状況

① 事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況

a. 事業全体の状況

当連結会計年度における世界経済は、欧米各国においてインフレ圧力が緩和されつつあるものの、日本/米国における金融政策の動向によりドル円レートが乱高下するなど、為替相場は激しく変動しました。また、中国経済においては不動産市場の調整がみられ、欧州経済の回復ペースが鈍化しているものの、日本経済は緩やかに持ち直してきており、米国経済は個人消費の改善などにより底堅く推移するなど、全体としては成長率が改善傾向にあります。

当社グループの主要市場である自動車市場、半導体検査市場、携帯通信端末市場、先端医療機器市場におきましては、欧米・中国等でのEV(電気自動車)やPHV(プラグインハイブリッド車)などクリーンビークルのシェア拡大や、生成AIのさらなる進化加速など、業界構造や各業界の事業モデルを変えうる先進アプリケーションの領域拡大とともに、製品/技術開発競争が激化しております。

このような状況の中、当社グループは、事業収益力の建て直しによる再成長を期し、経営基本方針に掲げる4つのイノベーション(プロダクト/プロセス/パーソネル/マネジメント)の推進に引き続き取り組みました。VCCSセグメントにおきましては、製品及び生産工程の標準化/共通化を中心に原価構造改革を推進するとともに、ADAS製品への新規参入など新アプリケーション領域での売上拡大を目指し、安定収益化と事業拡大に努めました。CTCセグメントにおきましては、生成AI関連半導体などの新たなテストニーズに対応した製品供給力を強化するとともに、アライアンス/M&A活用を駆使した新技術の導入と製造体制の最適化を推進し、将来の半導体微細化対応と生産効率向上に向けた技術開発を継続して進めました。

これらの結果、当連結会計年度における売上高は、VCCS及びCTC並びにFC・MDセグメントが前期比で増収となったことなどにより、82,884百万円(前期比+7.8%)となりました。営業損益につきましては、VCCSセグメントの損益が安定化したことに加え、CTC及びFC・MDの両セグメントも増益となったことなどにより、4,226百万円の利益(前期比+161.2%)となりました。経常損益につきましては、期末為替レートが円高方向に推移したことによる為替差損352百万円を計上したものの、営業増益などにより、3,926百万円の利益(前期比+5.8%)となりました。親会社株主に帰属する当期純損益につきましては、第2四半期において中国市場における需要低迷による当社子会社での人員整理・解雇を進めたことに伴う事業構造改善費用223百万円や技術ソフトウェアの開発見直しによる固定資産除却損361百万円を特別損失に計上したものの、税金負担率の正常化などにより、2,227百万円の利益(前期比+47.4%)となりました。

 

b. セグメント情報に記載された区分ごとの状況

セグメント別の業績は次のとおりであります。

<VCCS(主要製品:車載用アンテナ)>

当セグメントの主要市場である自動車市場は、世界的な半導体不足・部品供給停滞などの影響が緩和され、販売は改善方向に向かっておりますが、世界経済減速などを受けて新車需要の回復は鈍化傾向にあります。地域別でも、米国/中国/日本国内市場を中心に販売台数は横ばいで推移しました。

このような状況の中、主力製品であるシャークフィンアンテナ/GPSアンテナをはじめとする自動車メーカー向けアンテナの販売は、日本国内向けが増加したものの、日系自動車メーカーの中国市場向けが不振となったことに加えて一部顧客の生産調整の影響を受けたことなどにより、前期比で減少しました。

この結果、当セグメントの売上高は55,961百万円(前期比+0.7%)と、前期と同水準となりました。セグメント損益につきましては、製造体制の見直しや安定受注による生産効率の向上があったものの、現地通貨高に伴う中国/ベトナム生産拠点における労務費などの増加に加え、海上運賃など物流費が増加したことなどにより、2,838百万円の利益(前期比△8.4%)となりました。

<CTC(主要製品:半導体検査用ソケット及びプローブカード)>

当セグメントの主要市場である半導体検査市場は、PC/スマートフォン向けが低調に推移し、産業機械/自動車向けの伸びが鈍化しているものの、生成AI関連の需要の高まりにより全体としては若干の回復傾向にあります。

このような状況の中、当社グループの主力製品である半導体後工程検査用治具の販売は、PC/スマートフォン向けロジック半導体検査用ソケットなどの受注が底ばいで推移しているものの、生成AI関連の検査需要取り込みなどにより、前期比で増加しました。半導体前工程検査用治具の販売は、高周波電子部品検査用MEMSプローブカード(YPX)の販売が下期以降増加に転じ、周辺機器を含めてワンストップでソリューションを提供するターンキービジネスも増加したことなどにより、前期を上回りました。

この結果、当セグメントの売上高は15,614百万円(前期比+24.1%)と、前期比で増収となりました。セグメント損益につきましては、一時的な技術課題対応費用が発生したものの、増収に伴う増益に加え、製品ミックスの良化などにより、1,479百万円の利益(前期は794百万円の損失)となりました。

<FC(主要製品:電子機器用微細コネクタ)・MD(主要製品:医療機器用部品/ユニット)>

当セグメントの主要市場である携帯通信端末市場は、ウェアラブル端末の多様化・高機能化により今後の成長が期待されるほか、スマートフォンの出荷台数は前期比で増加しました。POS端末市場についても、物流/製造を始めとする幅広い業界において、情報管理による業務効率化実現の観点から着実な成長が見込まれ、需要は堅調に推移しております。

このような状況の中、微細スプリングコネクタを中核製品とするFC事業におきましては、顧客の生産調整が解消されたことによりPOS端末向けの受注が回復し、ワイヤレスイヤホンなどウェアラブル端末向けの販売も堅調に推移したことなどから、売上高は前期を上回りました。

MD事業につきましては、主要顧客である国内大手医療機器メーカー向けのカテーテル用部品/ユニット品の販売が増加したことに加え、当社が製造パートナーとして参画しているベンチャーエコシステム向けの販売が堅調に推移したことなどにより、売上高は前期を上回りました。

この結果、当セグメントの売上高は、11,032百万円(前期比+31.8%)と、前期比で増収となりました。セグメント損益につきましては、FC事業における増収に伴う増益などにより、789百万円の利益(前期比+571.8%)となりました。

<インキュベーションセンター(主要製品:MaaS/IoT向けアンテナ及びソリューション)>

当社は、MaaS/IoTなどの新規成長市場や、高速大容量通信に向けた光通信市場に対し、新たなビジネス創出・ビジネスモデル革新を目指して、本格的な事業展開に取り組んでまいりました。当セグメントの主要市場であるMaaS/IoT市場は、カーシェアリングなどモビリティの進展、あらゆるものがインターネットにつながるIoTの普及に伴い、順調に成長するものとみられております。

このような状況の中、プラットフォーム事業におきましては、IoT向けのスマートアンテナ技術を活用したMIMOアンテナや、MaaS/レンタカー向け車載鍵管理ソリューションの拡販を進めました。

当セグメントに第2四半期連結会計期間まで含めておりました先端デバイス事業につきましては、光通信市場向けに光電変換デバイス技術を活用した光コネクタの量産化に向けた体制構築を推進しておりましたが、半導体検査市場向けの光電融合プロジェクトとして発展的に解消しました。

この結果、当セグメントの売上高は271百万円(前期比△21.7%)と、前期比で減少しました。セグメント損益につきましては、展開初期の新規事業が中心の当セグメントにおける売上高は小規模なものとなっており、投資が先行している段階にあることから、886百万円の損失(前期は811百万円の損失)となりました。

 

(事業セグメント別連結売上高 前期比較)                        (単位:百万円、%)

セグメントの名称

前連結会計年度

(自  2023年4月1日

  至  2024年3月31日)

当連結会計年度

(自  2024年4月1日

  至  2025年3月31日)

前 期 比

VCCS

55,583

55,961

+0.7

CTC

12,585

15,614

+24.1

FC・MD

8,373

11,032

+31.8

インキュベーション
センター

345

271

△21.7

その他

7

4

△39.6

合計

76,895

82,884

+7.8

 

 

c. 目標とする経営指標の達成状況等

前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(2)目標とする経営指標」に記載のとおり、当社グループは、「ミニマム10(テン)」として、「売上高営業利益率・営業利益成長率・投下資本利益率・自己資本利益率を10%以上確保」の指標を掲げております。

当連結会計年度においては、VCCSセグメントの損益が若干の減益となったものの、CTC及びFC・MDの両セグメントが大幅な増収増益となりました。しかし、上記ミニマム10のうち営業利益率成長率以外の各指標については、いまだ未達となっております。

本有価証券報告書提出日(2025年6月24日)現在、2026年3月期の業績見通しは未定としておりますが、中期的には、前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(4)会社の対処すべき課題」に記載の重点取組み項目を着実に遂行することにより、新中期経営計画(2025年3月期~2029年3月期)における経営基本目標であるミニマム10の安定的達成と連結売上高1,000億円の達成を目指してまいります。

 

② 生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

VCCS

55,516

△2.1

CTC

15,735

+25.2

FC・MD

10,967

+30.3

インキュベーションセンター

259

+6.4

その他

4

△39.6

合計

82,483

+5.8

 

(注)  1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 金額は販売価格によっております。

b. 受注状況

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

VCCS

55,856

+32.0

4,538

△2.3

CTC

16,296

+39.9

1,684

+68.0

FC・MD

11,141

+97.1

709

+18.1

インキュベーションセンター

271

△13.1

19

+4.1

その他

4

△39.6

合計

83,570

+39.4

6,951

+11.0

 

(注)  1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 金額は販売価格によっております。

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

VCCS

55,961

+0.7

CTC

15,614

+24.1

FC・MD

11,032

+31.8

インキュベーションセンター

271

△21.7

その他

4

△39.6

合計

82,884

+7.8

 

(注)  1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

(自  2023年4月1日

  至  2024年3月31日)

当連結会計年度

(自  2024年4月1日

  至  2025年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

Toyota Motor North America, Inc.

12,565

16.3

13,157

15.9

 

 

(3) キャッシュ・フローの状況

① 現金及び現金同等物

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、17,122百万円(前期比1,579百万円の減少)となりました。

② 営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増加802百万円などの減少要因がありましたが、税金等調整前当期純利益3,352百万円、減価償却費3,996百万円などの増加要因により、7,239百万円の収入(前期比2,416百万円の収入増加)となりました。

③ 投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出2,483百万円、無形固定資産の取得による支出1,576百万円などの減少要因により、4,085百万円の支出(前期比1,039百万円の支出減少)となりました。

④ 財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増減額2,700百万円、配当金の支払による支出1,070百万円などの減少要因により、4,615百万円の支出(前期比4,354百万円の支出増加)となりました。

⑤ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社の運転資金は、主に製品製造に使用する原材料や部品の調達に費やされており、製造費や販売費及び一般管理費に計上される財・サービスに対しても同様に費消されております。また、設備投資資金は、生産設備取得等生産体制の構築・強化、情報システムの整備等に支出されております。これらの必要資金は、利益の計上、減価償却費等により生み出される内部資金により賄うことを基本方針としております。

当連結会計年度の設備投資におきましては、主に生産子会社における量産設備の更新等を中心に実施いたしました。また、2025年3月期からの5カ年を対象としている「新中期経営計画2024-2028」では、中長期的視点から、既存事業・既存技術の限界を突破し新たな成長力を獲得するため、コア技術のさらなる深化のための基礎研究投資、ADAS新製品における開発投資、内製比率向上及び省人化のための自動化設備など、新規領域進出に向けた設備投資の実施を計画しております。当連結会計年度におきましては、各事業セグメントにおける量産投資・開発投資等を中心に実施いたしました。一方、経営環境・事業環境を踏まえて余剰と判断される手元資金については、短期借入金の一部を返済いたしました。その結果、当連結会計年度末における当社グループの現金及び現金同等物の残高は17,122百万円と、前期末比1,579百万円減少いたしました。

 

⑥  重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計上の見積りを行なっております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りの不確実性があるため、これらの見積りと異なる結果となる場合があります。
 重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

5 【重要な契約等】

当社は、2025年3月28日開催の取締役会において、株式会社タムラ製作所の連結子会社である株式会社光波(以下、「光波」という)のネットワークソリューション事業(以下、「ネットワークソリューション事業等」という)を会社分割(簡易吸収分割)の方法により承継すること(以下、「本吸収分割」という)を決議し、2025年3月28日付で当該会社分割にかかる吸収分割契約を締結しました。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項」の(重要な後発事象)をご参照ください。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、本社(コア技術開発本部、技術本部、事業部技術部門)及び現地開発拠点で行っております。

中長期的に、当社主要市場であるモビリティ用通信アンテナ市場、半導体検査市場、電子機器用コネクタ市場、医療機器関連市場は、CASE(Connected/Autonomous/Shared/Electric)と呼ばれる次世代技術への投資集中やCASEの進展に伴い、ハードウェアである車両と複数の交通手段の決済の統合等のソフトウェアサービスを組み合わせたMaaS(Mobility as a Service: サービスとしての移動)と呼ばれるビジネスモデルの拡大、5G及びBeyond 5G(6G)に代表される次世代高速・大容量通信用など新規半導体需要の顕在化、ウェアラブル端末など次世代製品の普及、低侵襲医療の浸透や遺伝子検査技術の高度化により、市場の拡大が予想されます。

当社グループでは、「全社成長戦略」に基づき、当社グループの基盤技術であるアンテナ技術、半導体応用技術、マイクロウェーブ(高周波)技術、表面改質材料技術、微細精密加工技術、フォトリソ(MEMS)技術を核に、研究開発部門、事業部技術部門及び現地開発拠点が一丸となって、技術集積度がより高く付加価値の高い製品への展開に重点をおき、新技術、新製品開発に向けて研究開発活動を展開してまいりました。

当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額(人件費、経費を含む)は5,007百万円であります。なお、研究開発費の総額には特定のセグメントに関連付けられない事業横断的な研究開発に係る費用420百万円が含まれております。

 

セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。

 

(1) VCCS(主要製品:モビリティ用通信アンテナ)

当セグメントでは、AM/FM/TV・地上デジタルTV・セルラ・GNSS・衛星DAB等多岐にわたるメディア用アンテナの複合化推進と、小型・低背、高性能アンテナの開発を推進してまいりました。次期戦略製品として、さらなる超低背・超小型AM/FM/LTEアンテナの技術開発と、ADAS(先進運転支援システム)/自動運転に不可欠なV2X(車/車間、道路/車間、歩行者/車間)用アンテナシステム、CASE時代に向けた種々のモビリティ用通信システム・機器・デバイスの技術開発を推進しております。当連結会計年度における研究開発費の金額は1,372百万円であります。

 

(2) CTC(主要製品:半導体検査用ソケット及びプローブカード)

当セグメントでは、大電流化に対応したICや高速高周波IC検査用ソケットの開発を推進するとともに、プローブ表面の改質技術など高性能化・高耐久化に関する研究開発を進めております。また、重点成長テーマと位置付けるプローブカード分野においてはフォトリソ技術による半導体挟ピッチ化・多ピン化・高速高周波化のロードマップに歩調を合わせた新規プローブカード、次世代光電融合デバイスの検査用プローブカードの開発を進めております。当連結会計年度における研究開発費の金額は2,165百万円であります。

 

(3) FC(主要製品:電子機器用微細コネクタ)・MD(主要製品:医療機器用部品/ユニット)

FC事業では、スマートフォン・ウェアラブル端末市場向けやPOS端末向けコイルコネクタ、スプリングコネクタ、板バネコネクタ、高定格コネクタの商品開発、さらに、センサーや導電性素材を織り込んで、温度・動き・生体情報などを感知・反応する機能を持つ先進的な繊維であるスマートテキスタイル向けコネクタ及び周辺承認の開発を推進してまいりました。MD事業では、当社の微細精密加工技術、高周波技術を応用し、日米の大学・医療機関と新たな低侵襲の医療用具や検査システムの共同開発を推進しております。当セグメントの当連結会計年度における研究開発費の金額は874百万円であります。

 

(4) インキュベーションセンター(主要製品:MaaS/IoT向けアンテナ及びソリューション)

当セグメントでは、新規事業分野の開拓を推進していく事を目的に、当連結会計年度において新設いたしました。自動車以外の分野で使われるアンテナ製品の開発に自動車用アンテナ製品の開発で培ったノウハウを生かしつつ取り組み、新市場への供給を進めております。また、他企業への出資や協業を通じ、交通弱者救済、地域活性化、社会サービスの高度化等の新たな価値の創出を目的としたモビリティサービス(MaaS)の実装を進めております。当連結会計年度における研究開発費の金額は175百万円であります。

 

当社グループは、これらの研究開発活動をさらに深耕・展開し、売上・収益の拡大に努めてまいります。