第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針

<経営の基本方針>

●品質第一主義に徹し、最高品質と環境負荷物質ゼロ化により、「ヨコオ品質ブランド」を確立する

●「技術立脚企業」として、アンテナ技術・マイクロウェーブ技術・表面改質材料技術・微細精密加工技術をさらに強化・革新するとともに、製品の付加価値向上に貢献する新技術を積極的に導入し、顧客の製品機能多様化・適用技術多様化へのニーズに応える

●プロダクト・イノベーション(事業構造・製品構造の革新)、プロセス・イノベーション(事業運営システムの革新)、パーソネル・イノベーション(人材の革新)の3つの革新に加え、将来成長を見据えたマネジメント・イノベーション(経営・事業運営の革新) を強力に推進することにより、「進化経営」の具現化を加速する

●業界/顧客/技術/サプライチェーン等の事業構造を重層化することにより、世界的パラダイムシフト/ドラスティックな事業環境や競争環境激変に対応可能な事業体制を確立する

 

(2)目標とする経営指標

<中期経営基本目標>

当社グループは、2024年5月14日公表の「新中期経営計画2024-2028」(2025年3月期~2029年3月期)において、以下の指標を中期経営基本目標として掲げております。なお、営業利益成長率につきましては、安定的に10%以上を達成できる見込みのため、2026年5月13日公表の更新時に除外しております。

●ミニマム10(テン)の安定的な実現

ミニマム10:売上高営業利益率・投下資本利益率・自己資本利益率を10%以上確保

●連結売上高1,000億円の達成

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、パーパス「人と技術で、いい会社をつくり、いい社会につなげる。」の実現に向け、グローバル社会のサステナビリティに貢献する事業活動/企業活動により、ステークホルダーと共に持続的な進化と成長を続ける「進化永続企業」を目指しております。

この考え方に基づき策定した「新中期経営計画2024-2028」の骨子(2026年5月更新)は、以下のとおりです。
<経営戦略>

1)事業ポートフォリオマネジメント強化による成長・収益基盤強化

① VCCS事業等の安定収益基盤により創出したキャッシュを活用した、企業価値向上に向けた取組みの推進

② CTC/MD事業を中心とした注力事業への積極投資によるさらなる成長の加速化

③ 安定収益事業における規律ある投資運営を通じた財務健全性の確保

2)「両利きの経営」の推進

① ソリューション型ビジネスをはじめとするビジネスモデル変革による既存事業の深化

② 光電融合等、既存事業の延長線上には無い新たな事業領域の探索

③ 新技術の獲得と新たなビジネスモデル創出を目的としたM&A/アライアンスへの積極取組み

3)人的資本経営=「人財」中心の経営、サステナビリティの取組み

① 従業員に対する育成を通じた能力やスキル向上を組織の成長に活かし、中長期的な事業進化と企業価値の向上につなげる

② 企業価値の向上と持続可能な社会への貢献の両立を志向したサステナビリティの取組みを推進する

 

これらを強力に推進することにより、本中期経営計画期間において、中期経営基本目標である「ミニマム10」の安定的な実現と連結売上高1,000億円の達成を目指してまいります。

 

 

(4)会社の対処すべき課題

世界経済は、米国における関税引き上げに伴う国際的なサプライチェーンの混乱や原材料等の調達コストの上昇に加え、欧州及び中東を中心とする地政学リスクの長期化により、先行き不透明な事業環境が継続しております。このような状況下で、当社グループは以下の点に重点的に取り組んでまいります。

1)VCCS事業

① キャッシュカウ事業としての安定収益基盤を軸に、持続的な収益創出力の強化と事業価値向上を追求

② 採算性・投資規律を前提とした、インド市場をはじめとする成長市場における事業基盤の拡充

③ 固定費構造改革の継続による、収益創出力の底上げ

2)CTC事業

① 現有技術の研鑽と他社との共創を通じた、内外技術の融合による総合テストソリューションベンダーへの進化

② 顧客ニーズに応える、量・質・スピードを重視した開発・生産・デリバリー体制の構築・抜本強化

③ 顧客の現場支援体制を起点とした製品ポートフォリオの重層化

3)FC事業

① 材料/部品加工/表面改質の深耕による主力スプリングコネクタ(SPC)製品の競争優位再構築と成長基盤の確立

② 利益構造改革の実行加速による収益性の段階的向上

4)MD事業

① 医療製販業認可取得に基づく自社企画製品の上市

② 先端医療機器分野におけるエコシステム拡大による人類・社会への貢献を加速

5)インキュベーションセンター

現有技術にとどまらず、顧客ニーズを満たす技術を保有するパートナーを探索し連携することで、

① 新たな市場を創造する製品・ソリューションを提供

② グローバル市場のニーズを把握し、「モノ売りからコト売り」、「ソリューションビジネス」等へのビジネスモデル変革を推進

③ 企業連携、M&A、共創する企業への積極投資をも活用し、技術・人財・設備を補完し、新たな事業領域/ビジネスモデルを創出

 

上記の重点施策を着実にかつ強力に推進することで、激変の中でも揺るがない圧倒的な強みを確立するとともに、ステークホルダーの皆様との対話と透明性ある情報開示を継続重視し、信頼され選ばれ続ける企業経営を実践してまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1) サステナビリティ全般

当社グループは「進化永続企業」として、サステナブルな企業であるべきだと考えており、進化し続けることでサステナビリティを実現していきます。私たちは、「新しい」に挑戦し続けることで企業価値の向上と持続可能な社会への貢献の両立を目指していきます。サステナビリティ推進の基本的な考え方として「サステナビリティ基本方針」を取締役会で決定しております。

当社グループの主要市場は自動車、半導体検査、携帯端末、医療機器であり、これらの顧客においては、供給の継続性と回復力、品質・信頼性(規格・認証への適合を含む)、規制・顧客要件への対応力、並びに人財基盤及びビジネス倫理の実効性が、長期契約の維持、販路拡大に影響し得る要素であると認識しています。

本項の開示は、投資者の投資判断にとって重要な情報となるよう、事業特性及び外部環境(顧客要求、規制動向、資源・エネルギー制約、人材市場、地政学・災害等)を踏まえ、重要性に応じ「人的資本、品質、サプライチェーン管理、気候変動・エネルギー管理、ビジネス倫理・コンプライアンス」を重要テーマとして記載しております。なお、重要テーマは相互に関連しており、例えば、人財の確保・定着は品質の安定や供給回復力の向上に寄与し、サプライチェーンの安定は顧客の製品採用及び生産計画の確実性に影響します。気候変動やエネルギーの課題は、操業コスト・設備投資・調達要件の変化を通じて、上記テーマとも相互に連関すると認識しています。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、実際の結果は様々な要因により異なる可能性があります。

サステナビリティ基本方針の本文については、当社コーポレートサイト「サステナビリティ基本方針」をご参照ください。https://www.yokowo.co.jp/company/philosophy.html

 

(2) ガバナンス

サステナビリティ基本方針に基づき、ヨコオグループがサステナビリティの実現を推進するため「サステナビリティ委員会」を設置しています。当委員会は、執行役員社長を委員長、委員は役付執行役員とし、オブザーバーとして執行役員、常勤監査役、社外役員で構成しております。サステナビリティに関する方針・戦略の決定、マテリアリティ・KPIを特定し、取締役会へ上申、KPIの活動進捗を取締役会へ報告しております。また、サステナビリティ活動・ISOなどの社外監査結果の確認・評価・提言とサステナビリティ重要テーマの討議を行っております。

サステナビリティ委員会については、当社コーポレートサイト「サステナビリティマネジメント サステナビリティ委員会体制」を参照してください。https://www.yokowo.co.jp/sustainability/management.html

 

<サステナビリティに関する主な議論 時系列>

会議名

実施年月

議題

サステナビリティ委員会

2025年4月

マテリアリティ マネジメント計画

サステナビリティ委員会

2025年9月

CDP2025開示内容

サステナビリティ委員会

2025年10月

人権方針改定

取締役会

2025年10月

人権方針改定案の承認

サステナビリティ委員会

2025年11月

SBT認定取得によるGHG削減の推進

取締役会

2025年11月

GHG削減目標改定案の承認

サステナビリティ委員会

2025年12月

環境方針等の改定、RBA-VAP監査受審結果

取締役会

2026年2月

CDP・EcoVadis等評価結果の報告

 

 

 

(3) 人的資本

①  戦略(リスク/機会)

当社グループは、「社員を企業競争力の源泉」と捉え、社員が学び成長する場をつくることで、社員の成長実感 → 事業競争力の強化 → 会社の成長 → 優秀人財の獲得という正の循環を生み出し、持続的な企業価値向上を目指しています。これを実現するためには、一人ひとりの社員が自ら考え、行動し、変化を起こしていくことが不可欠であると認識しています。

a.  リスク

当社グループの競争力は、開発・製造・品質に係る専門性の高い人財の確保と定着にあると認識しており、採用難や離職率の上昇が生じた場合、生産の安定性、製品立上げの速度及び技術競争力に影響を及ぼす可能性があります。特に自動車、半導体検査、医療機器市場では、厳格な品質管理・規格対応・品質保証を支える技能及びスキルを持つ人財の確保が重要であり、技能の伝承やスキル・経験の不足は、品質のばらつき、設備トラブル対応の遅れ、製品立上げ遅延等を通じて顧客対応力に影響し得ます。また、繁閑差に起因する業務負荷の偏り、過重労働、メンタル不調等が発生した場合、欠勤やミス・事故の増加により、歩留まりや納期に影響を及ぼす可能性があります。

b.  機会

一方で、人財育成、働きやすい職場環境の整備、安全衛生管理の向上、並びに多様な人財が活躍できる職場環境づくりを通じて、生産性・品質の向上、人財定着及び技術革新の促進が期待されます。当社グループは、重要ポストの後継者育成や技術伝承を含む人財基盤の強化を推進し、階層別研修の実施、AIを含むDX能力の向上、各領域のエキスパート同士の連携、期待するスキルの明示と学習手段の提供などを通じて、マネジメント力・技術力・ものづくり力の向上と職務遂行能力の向上を図っております。これらの取組みにより製品品質の安定、製品立上げの確実性、供給信頼性の向上を推進し、顧客からの評価向上及び長期取引の維持・拡大に寄与することを目指しております。

②  リスク管理

人財に関するリスク及び機会は、採用・配置・育成・定着の各プロセスにおいて定期的にモニタリングし、主要指標の変動(離職率の上昇、要員不足、技能ミスマッチ等)が認められる場合には、原因分析のうえ対策(要員計画、育成計画、採用チャネルの見直し、グループ内の要員調整等)を講じます。

安全衛生については、安全衛生マネジメントシステムを運用し、リスクアセスメント、順守評価、教育訓練、現場巡視の点検等を通じて事故の未然防止に努めております。年間活動のマネジメントレビューを実施し、経営者による指示事項を改善に活かす継続的な取組みを実施しております。

③  指標及び目標

当社グループは、人財に関する取組みの進捗を評価・管理するため、以下の指標を用いています(算定範囲:連結)。各指標は生産の安定性及び技術競争力に影響し得るため、重要な管理指標として位置付けています。

指標

単位

当期目標

当期実績

対象範囲

備考

退職者率

3.9

単体

 

平均勤続年数

10.8

単体

 

エンゲージメント向上

56

52

連結(国内)

 

一般社員教育

914

単体

e-ラーニング受講者数

階層別研修受講実績

270

単体

 

DXリテラシー標準の習得

9

21.6

単体

 

労働災害度数率

0.301

0.311

一部の製造拠点

日本、中国、マレーシア、ベトナム

 

※全社員が具備すべきDXスキルとして経済産業省が定めているDXリテラシー標準を習得している社員の比率をKPIとする。

 

 

 

(4) 製品の品質と安全性

①  ガバナンス

当社グループは、品質保証担当役員を最高責任者とする品質保証体制を構築しています。重大な品質リスクが発生、またはその兆候を検知した場合には、直ちに経営陣へ報告され、迅速な意思決定及び是正措置を講じる体制を敷いています。また、軽微な不適合事象についても、月次の経営会議において全件が報告・共有され、経営層全体で継続的な監視と品質改善プロセスの統制を行っています。

 

②  戦略(リスク/機会)

当社グループは、製品の品質及び安全性が、顧客との取引継続及び中長期的な企業価値の向上に直結する重要な要素であると認識しています。事業特性を踏まえ、製品の品質と安全性に関するリスク及び機会を識別し、顧客要求、設計及び製造の各プロセスにおいて適切に管理するとともに、事業運営及び競争力強化に反映しています。

a.  リスク

当社製品に品質上の問題が発生した場合、顧客製品の不具合、リコール、ライン停止等に波及し、是正対応費用や取引関係に影響を及ぼす可能性があります。特に自動車、医療機器市場では要求水準が高く、品質問題が顧客の製品安全や供給計画に影響を与える可能性があります。これらの品質問題や、各国・地域の法規制・製品安全基準への不適合が発生した場合、中長期的なブランド価値の毀損や顧客基盤の喪失など、当社の経営成績及び財務状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

b.  機会

一方で、より良い品質の製品を継続的に提供することは、自動車、半導体検査、医療機器市場を中心に、高い信頼性が重視される領域での取引関係の安定化や採用拡大につながる機会であると認識しています。当社グループは、積極的な品質管理と技術の先進性を結びつけるゼロディフェクト品質を競争優位の源泉として強化します。

③  リスク管理

品質リスクは、設計審査、工程管理、変更管理、顧客対応(監査・不具合対応)まで一連で管理しています。重要工程の管理指標を定常モニタリングし、不良発生時には是正を行います。顧客クレームについては、原因究明から恒久対策までのリードタイムを管理し、再発防止を徹底します。特に設計・製造プロセスの変更に際しては、事前に品質・安全性への影響評価を行うリスクベースの変更管理を徹底しているほか、サプライヤーに対しても定期的な監査を行い、バリューチェーン全体での品質底上げを図っています。

④  指標及び目標

当社グループは、品質に関する取組みの進捗を評価・管理するため、以下の指標をモニタリングしています。

指標

単位

当期目標

当期実績

対象範囲

備考

重大クレーム件数

0

連結

 

 

 

(5) サプライチェーン管理

①  戦略(リスク/機会)

当社グループは、取引先様との公正・公平な取引を追求することに加え、法令順守、生産拠点の重層化や途切れない供給網構築のために、サプライチェーンにおける社会的責任を遂行することが重要であると認識しております。

a.  リスク

当社グループは、特定の原材料・部材、外部サプライヤー、物流等に依存する部分があり、地政学リスク、需給逼迫、自然災害などにより供給制約や価格変動が生じた場合、生産活動や収益性に影響を及ぼす可能性があります。自動車、半導体検査、医療機器市場は安定供給が重視されるため、供給途絶は事業継続→取引継続に影響し得ます。また、サプライチェーン上の環境・人権等の問題が顕在化した場合、社会的信頼や取引継続→取引条件に影響する可能性があります。

b.  機会

一方で、複数調達先の確保、代替材の検討及びサプライヤー評価・監査の高度化により、供給回復力を高めることが可能です。材料効率・歩留まり改善、設計の最適化等は、原価競争力の向上と安定供給の両立につながり、中長期的な競争力強化の機会であると認識しています。

 

②  リスク管理

サプライチェーンリスクは、重要部材・重要サプライヤーの特定、調達集中度の把握、代替調達・代替工程の事前検討、並びにBCPの整備により管理しています。主要サプライヤーについては、品質・供給・コンプライアンス(環境・人権等を含む)を評価し、必要に応じて是正を求めるとともに、複数調達先の確保を進めています。需給逼迫時には、顧客への影響最小化の観点から、優先順位付けと代替手配を含む対応を行います。

③  指標及び目標

当社グループは、サプライチェーンに関する取組みの進捗を評価・管理するため、以下の指標を重要性の観点からモニタリングしています。

指標

単位

当期目標

当期実績

対象範囲

備考

全世界の製品用部材取引高の
80%の取引先様のリスク管理

55

64

連結

指標:2024年度中期計画目標

2026年度末までに達成

 

サプライチェーン管理の活動実績については、当社コーポレートサイト「サプライチェーン CSR購買活動実績」を参照してください。https://www.yokowo.co.jp/sustainability/society/supply-chain-management.html

 

(6) 気候変動・エネルギー管理

①  戦略(リスク/機会)

当社グループは、気候変動及びエネルギー管理に関する取組みが、中長期的な企業価値の向上に影響を与える重要な要素であると認識しています。これらは、規制動向、エネルギー価格の変動、顧客からの環境対応要求、並びに自然災害の影響等を通じて、当社グループの事業活動、財政状態及び経営実績に影響を及ぼす可能性があります。これらの外部環境の変化を踏まえ、気候変動に関するリスク及び機会を識別し、戦略及び事業運営に反映しています。

a.  移行リスク

当社グループは、製造工程において主として電力を使用しており、エネルギー価格の変動、温室効果ガス排出に係る制度・規制の強化及び顧客の調達要件(環境負荷低減、情報開示等)の高度化により、製造コストや設備投資負担が増加する可能性があります。

b.  物理リスク

また、台風・豪雨等の自然災害の激甚化により、工場稼働や物流に影響が生じ、供給遅延等を通じて業績に影響を及ぼす可能性があります。

c.  機会

一方で、省エネルギー投資、工程改善及び再生可能エネルギー活用等により、エネルギーコストの抑制及び供給安定性の向上を図ることが可能です。また、当社製品が自動車の電動化・省エネルギー化、並びに半導体検査の効率化に寄与することは、中長期的な需要拡大につながる機会であると認識しています。

d.  レジリエンス

当社グループは、気候変動の進展に伴う外部環境の変化を踏まえ、複数の気候シナリオ(例:脱炭素移行が加速するシナリオ及び現状延長シナリオ)に基づき、事業への影響を分析しています。当該分析に基づき、エネルギー価格上昇、規制強化、ならびに自然災害の影響に対する事業レジリエンスの確保に向け、省エネルギー投資、生産体制の分散化、BCPの強化等の対応を進めています。

②  リスク管理

気候関連リスクについては、エネルギー使用実態、拠点の立地特性、インフラ依存(電力・水・物流)等を踏まえて影響を評価し、優先順位付けのうえ対策を講じています。

移行リスクについては、エネルギー使用量、温室効果ガス排出量、規制動向及び顧客要求を踏まえ、影響度及び発生可能性に基づき評価し、省エネルギー投資、設備更新、再生可能エネルギー導入等の対応を進めています。

物理リスクについては、生産拠点の立地条件、災害リスク評価に基づき、BCPの整備、防災・減災対策、代替生産体制の確保等を実施しています。
これらは定期的に見直され、重要事項はサステナビリティ委員会及び取締役会に報告されています。

 

③  指標及び目標

当社グループは、気候変動への対応状況を評価・管理する指標として、温室効果ガス排出量(Scope1・2)、エネルギー使用量、再生可能エネルギー比率等を用いています。

指標

単位

当期目標※

当期実績※

対象範囲

備考

Scope1排出量

t-CO2

19,558(Scope1+2)

967

連結

 

Scope2排出量

t-CO2

19,558(Scope1+2)

20,155

連結

 

再エネ導入比率

15

19

連結

 

エネルギー原単位

MWh/億

55

連結

 

 

※Scope1,2排出量、再エネ導入比率、エネルギー原単位については、2024年度の目標及び実績を記載しております。2025年度の実績については2026年9月頃にコーポレートサイトで掲載予定です。

 

(7) ビジネス倫理・コンプライアンス

①  戦略(リスク/機会)

当社グループを取り巻く事業環境は常に変化し続けており、このような状況下においても、法令を遵守し、社会倫理に適合した行動を実践することにより企業の社会的責任を果たしていく必要があります。重大なコンプライアンス違反はステークホルダーからの信頼の失墜、企業価値の毀損につながると認識しています。

当社グループの役職員が、法令・規程・社会倫理等を遵守することにより、社会から信頼される「いい会社をつくり、いい社会につなげる」ために、「人を守るコンプライアンス」をテーマとして、集合研修やeラーニングなどを通じて、コンプライアンスに関する教育・啓発を継続的に実施しています。

a.  リスク

当社グループは、国内外で事業を展開し、多様な顧客・サプライヤーとの取引を行っていることから、贈収賄、不適切な取引慣行、競争法令違反、品質データの不適切な取扱い、利益相反等が顕在化した場合、法的責任や取引関係、信用に影響を及ぼす可能性があります。

b.  機会

一方で、ビジネス倫理の徹底とコンプライアンス体制の高度化は、顧客・取引先からの信頼獲得、監査対応の円滑化及び中長期的な企業価値の安定に資する機会であると認識しています。

②  リスク管理

当社グループは、行動指針・贈収賄防止・競争法コンプライアンス等の方針を整備し、教育・研修、相談・通報窓口、内部監査等を通じて遵守状況をモニタリングしています。重大な懸念が認識された場合には、調査・是正・再発防止を実施し、必要に応じて経営へ報告します。また、主要サプライヤーに対しても、倫理・コンプライアンスに関する要求事項を提示し、評価・是正を通じてリスク低減に努めています。

③  指標及び目標

当社グループは、ビジネス倫理に関する取組みの進捗を評価・管理するため、以下の指標をモニタリングしています。

指標

単位

当期目標

当期実績

対象範囲

備考

贈収賄と汚職防止トレーニングの履修が完了した人数

2,376

連結

 

内部通報件数

33

連結(国内)

 

 

 

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、財務状況及び株価に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。当社グループは、全社的なリスクアセスメントを定期的に実施し、各リスクの発生可能性及び影響度を評価したうえで、優先的に対応すべきリスクを特定し、対策の方向性を定めて管理に取り組んでおります。なお、文中における将来に関する記載は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

(1) 一般リスク

①国内外活動及び海外進出に潜在するリスク

当社グループの販売及び生産活動は、日本国内のみならず米国・欧州・アジア諸国等世界全域にわたり幅広く行っております。これら関係諸国での事業活動に伴い、以下に掲げるリスクが内在しております。

a.予期しない法律又は規制の変更、及び各種法令(下請法、環境関連法令、労働関連法令、財務会計関連法令等)への抵触

b.経済制裁・貿易摩擦・紛争等に伴う関税の引上げによるコスト上昇、並びに輸出入規制の強化による部材流動の停滞

c.不利な政治又は経済要因、地政学的緊張の高まり

d.未整備の技術インフラ

e.潜在的に不利な税制

f.テロ、戦争、デモその他の要因による社会的混乱

g.労働力需給逼迫に伴う賃金・人材確保コストの急増

h.海外拠点における労働組合との関係悪化や労働争議・訴訟

i.拠点における不正行為

生産活動については、その80%以上を中国・マレーシア・ベトナム・米国・フィリピンの生産子会社が行っておりますが、当該国での法環境の変化、経済政策の変更があった場合は、当社の業績見通しに大幅な変動が生じる可能性があります。

また、当社では、内部統制システムを整備することはもとより、「サステナビリティ行動指針」において信頼の確立や法令遵守などを従業員に求め、ハンドブック配付や、動画配信等による行動指針研修などを通じて周知徹底に努めています。しかしながら、このような施策を講じても、複雑化する法令や規制への抵触、役員、従業員による不正行為は完全には回避できない可能性があります。このような法令違反や不正行為等が発生した場合、社会的信用が低下し、取引停止、罰金・罰則等により、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を与える可能性があります。

当社グループは、本社を含む各拠点において、必要性に応じて規程の制定・改廃、ガイドライン(法令情報のタイムリーな収集などを含む)の制定や教育の強化を行い、継続的な教育実施をすることでリスク低減に取り組んでまいります。経済制裁・貿易摩擦等への対応としては、調達先の複数化・分散や、経済圏に合わせた調達先・利用製品・設備の選択を進めるとともに、有事発生時には迅速な調査と対策を実施する体制を整えております。また、海外拠点の労務面については、人事関連規程の整備や福利厚生関連委員会を通じた従業員の意見の吸い上げ、苦情処理システムの見直し等を進めております。さらに、グループ全社をカバーする内部通報窓口を設置し、不法行為等のリスクが生じた際にはいち早く対処・是正する体制を整えております。加えて、業務の適正化及び効率化の観点から業務プロセスの継続的な改善・標準化についても積極的に推進しております。

②市場ニーズの変動

当社グループは、最終消費製品メーカー等に対し部品を製造販売する事業を営んでおり、主要市場である自動車、半導体検査、携帯端末、先端医療機器の各市場の動向、当社顧客業績やニーズの動向により、当社グループの受注が大きな影響を受けることがあります。主要市場の縮小や顧客業績の不振、市場ニーズの取りこぼし、開発要件不一致は、当社グループの受注減少、売上高の減少となる可能性があります。また、顧客が法的整理等に至った場合は、当社グループの当該顧客に対する債権の全部又は一部が回収不能となる可能性があります。

加えて、各事業部を取り巻く市場競争環境の変化スピードが年々高まる中で、既存の技術・製品やビジネスモデルが陳腐化する速度が早まっております。競合他社との価格競争の激化や、車載通信の統合化・ソフトウェア化の進展等に伴う既存製品の需要減少により、当社グループの競争優位が損なわれる可能性があります。

当社グループでは、顧客ニーズにいち早く応えるために常日頃から変化に対して敏感に察知するよう、市場/顧客の変化・拡大等を見据えた市場マーケティングに努めております。また、2023年4月に新設したインキュベーションセンターでは、新規事業の育成・確立とともに、ハードウェアからソフトウェアへの転換などビジネスモデル変革を目指しております。さらに、経営企画部門における市場調査・マーケティング機能の拡充、CTO(最高技術責任者)の設置と研究開発部門のScrap&Buildを通じた新たなコア要素技術の探索、高収益製品・顧客への選択と集中、成長が見込まれる新規顧客・新規事業の開拓に取り組んでまいります。

③為替レートの変動に伴うリスク

当社グループの販売高の70%以上及び生産高の80%以上は、海外で発生しております。各地域における売上、原価、保有資産等多くは現地通貨建てであり、連結財務諸表上は円換算しております。為替レートの急激な変動によりこれらの財産・業績等の円換算後の金額が変動し、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

なお、当連結会計年度末における通貨別構成の下では、他の通貨に対する円高は当社グループの損益にマイナスの影響を、円安はプラスの影響を及ぼします。

当社グループは、外貨建債権債務の管理の徹底や、グローバル全拠点を網羅したトータルの通貨バランスを取ること、拠点間取引通貨のマリー、為替モニタリングの標準化、ヘッジ方針の検討などにより、為替レート変動による業績変動リスクの軽減に努めております。

④保有株式の株価変動に伴うリスク

当社グループが保有する金融資産には、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準等に則り、期末時点における時価により評価替えを行う有価証券等が含まれております。期末時点における当該有価証券等の時価が著しく下落したときには、回復する見込みがあると認められる場合を除き、当社グループの定める基準に従い評価損を計上することにより、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

有価証券の適正な保有状況を毎年見直していきます。

⑤減損会計適用に伴うリスク

当社グループが保有する事業用固定資産は、減損会計適用対象となっております。当該事業用固定資産を活用する事業の収益性が著しく低下した場合、所定の算定基準に従い当該事業用固定資産の帳簿価額を減額することにより、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

当社グループは、各事業の継続的な収益力向上を推進するとともに、監査法人などの専門家との定期的なコミュニケーションなどにより会計基準のアップデートやその考え方の浸透に努めております。

⑥知的財産権に関するリスク

当社グループが設計・製造・販売する製品やサービスに関する知的財産権について、当社グループまたはその顧客等が第三者から特許侵害訴訟等を提起された結果として、当社グループが損害賠償責任を負う可能性、当該製品が一定の国・地域で製造・販売を差し止められる可能性、又は当社グループの顧客等に対して損害賠償責任を負う可能性があります。

当社グループでは、特許等の知的財産権の管理を行う知的財産権部門を強化し、ポートフォリオ戦略による当社グループの開発技術を積極的に権利化するとともに、i)当社の事業に関係する新規特許の定期的な内容確認の実施、ii)製品の開発・販売に際し、第三者の知的財産権との抵触・類似が発生しないように事前調査を行い、抵触等可能性がある場合は事前に回避策をとることを規程化するなど、第三者の知的財産権の侵害を未然に防止する体制を構築し、その運用を徹底しております。

⑦自然災害や疾病、突発的事象発生のリスク

地震等の自然災害、台風・水害、インフルエンザなどの感染症や突発的事象に加え、国内及び主要輸出国・海外拠点における政情不安・戦争等に起因する設備の破損、電力・水道の供給困難、サプライチェーンの寸断等による生産の停止は、当社グループの経営成績及び財政状況等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、定期的な防災訓練の実施及び社員の安否確認システムの構築実施、必要とされる安全対策や事業継続・早期復旧のための対策として、事業継続計画(BCP)の拡充を進めております。地震対策として新棟の建設や老朽建屋の更新、水害対策として本社ビル移転など、様々な施策を講じております。さらに、国際規格(ISO22301)を基準としたBCPアセスメントの実施、非常用発電装置の設置・予備電源の確保、生産拠点の分散、代替部品の事前設定・在庫の積み増し、契約における不可抗力条項の設定等により、事業継続性の確保に努めております。

(2) マテリアリティ・リスク

①コーポレート・ガバナンスに関するリスク

コーポレート・ガバナンスは、取り巻く経営環境が激変する状況下で企業が柔軟かつスピーディにリスクテイクしたり不祥事を防止したりするために継続的な強化が必要不可欠であり、当社グループにおいてこれらの機能が不十分である場合、業績悪化・低迷、株価下落、評判の低下などを招く可能性があります。また、資本コストを下回る事業やプロジェクトへの投資は、企業価値の毀損につながる可能性があります。

当社は、2025年6月27日開催の第87期定時株主総会後より取締役会における独立社外取締役の比率を50%(8名中4名)としているほか、指名・報酬諮問委員会(委員5名中3名が独立社外取締役、そのうちの1名が委員長)において取締役・執行役員・理事の指名及び報酬等の決定プロセスの透明性をより高めることなどにより、当社のコーポレート・ガバナンスの継続的な強化に取り組んでおります。また、人財本部グローバルサポート室を中心として国内外のグループ会社のガバナンス強化にも取り組むとともに、内部監査室とも連携し3線ディフェンス体制を構築しております。さらに、全社成長ストーリー・事業ポートフォリオ戦略の策定と、これに基づく投資の優先順位付け、投資・撤退基準の明確化と運用強化、ROIC(投下資本利益率)を軸とした経営の徹底により、意思決定の精度向上に努めてまいります。

②人員不足に伴うリスク

当社グループは最終消費製品メーカー等に対し部品を製造販売する事業を営んでおり、その製品やサービスを提供するために必要な人材の採用の拡大及び継続的な育成に取り組んでおります。しかし、昨今の人材獲得競争の激化から、当社が必要とする技術やノウハウを有する人材を確保することが困難な場合が増えております。また、後継者の不在は、部門機能の停滞やキャリアパスの固定化等を招く可能性があります。これらの状況が継続した場合、中長期的な事業推進、生産供給能力や製品品質の確保に影響を及ぼす可能性があります。

本リスクを低減する対策として、現在在籍している従業員による固定的な業務遂行環境から、機動的に複数の業務を自主・自立的に遂行できる人材の育成、多様性を考慮した柔軟な働き方により、人材がより幅広く活躍できる職場への変革に取り組んでおります。併せて、計画的な後継者の育成や、部門横断プロジェクトにおける公募制の採用検討等を進めております。また、従業員の業務効率・生産性向上を目的として、マイクロソフト社の生成 AI サービス「Microsoft Copilot for Microsoft 365」を導入し、順次利用を拡大しております。

③脱炭素社会に向けた取組みに関するリスク

気候変動問題に対する最大の方策である脱炭素社会の実現は極めて重要な課題です。当社の脱炭素の取組みが著しく不十分で改善がみられないと評価された場合、顧客からの取引縮小ないし停止、当社への出資を引き揚げるダイベストメント、地域社会からの評判低下などにより、業績悪化・株価下落などの可能性があります。また、気温上昇に伴う冷却コスト・エネルギーコストの増加は、当社グループの収益に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、グローバル社会の一員としての責任を果たすべく、自社グループ排出(Scope1・2)について2040年度までのカーボンニュートラル達成を目指し、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同及び2030年度でのGHG削減目標を掲げた環境方針を制定しております。GHG削減目標については、2026年3月31日にSBTi(Science Based Targets initiative)認定を取得し、Scope1・2を2030年度に2024年度比で42%削減、Scope3を同25%削減と設定しております。再生可能エネルギー調達の拡大や、GHG排出量のより少ない原材料への切り替え等を通じ、GHG排出量の削減に貢献するとともに、高効率空調設備の導入、断熱強化、複数の再生可能エネルギー電源の組合せ等によりエネルギーコストの抑制に取り組み、適宜計画の見直し等の改善努力とその進捗状況を積極的に開示してまいります。

④生物多様性保全の取組みに関するリスク

生物多様性保全の取組みは、世界的に広がり、深く浸透しつつあります。当社グループの取組みが著しく不十分である、あるいは取組み内容の開示が不十分であると評価された場合、脱炭素の取組みの場合と同様に、顧客からの取引縮小、当社への出資を引き揚げるダイベストメント、地域社会からの評判低下などにより、業績悪化・株価下落などの可能性があります。

当社グループは、生物多様性保全のための取組みについて、改善・向上を常に行うとともに、それらの内容を積極的かつ継続的に開示してまいります。

⑤製品品質に関するリスク

当社グループが製造・販売する製品は、顧客の製造工程で使用される部品、半完成品、又は検査工程で使用される検査機器です。当社製品の欠陥により顧客財物等の破損や顧客製品の市場回収等が発生し、顧客が被った損害・費用等について当社が賠償責任を負った場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、仕様・要件の確認強化及び関係部門間の連携をさらに強化しつつ、不良ゼロ化活動などの品質向上活動や製品・工程・品質についての社員教育の拡大・強化を推進するとともに、万が一の場合に備えてPL(製造物責任)保険に加入しております。

⑥原材料等の調達・デリバリーに関するリスク

当社グループは、生産活動・事業活動に必要な原材料・部品・物品等を国内外から調達しております。戦争・紛争の勃発、世界各国のインフレーション進行、大規模な感染症の拡大、その他不測の事態の発生により、それら原材料等の仕入れコスト及び調達に係る配送コストが著しく上昇し、さらには、各国の政策・法改正により仕入れや配送そのものが不可能となって当社製品出荷が停滞・停止することにより、当社の経営成績及び財務状況等に影響を与える可能性があります。

特に、イラン情勢の緊迫化等によりホルムズ海峡の封鎖等が生じた場合、エネルギー・原材料価格の高騰及び物流の混乱を通じて、調達コストの増加や供給遅延が発生し、当社グループの収益を圧迫する可能性があります。また、需給バランスの変動、投機的な動き、安全資産への資金流入等を背景とした金・銅等の原材料価格の高騰も、当社グループの製造コストに影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、こうしたリスクを低減するため、戦略的な在庫の確保に努めるとともに、物流ルートの分散・代替確保、調達先の多元化(特定地域・単一サプライヤーへの依存の低減)、代替材料・代替仕様の事前認定による設計柔軟性の確保に取り組んでおります。また、原材料価格の上昇分については、売価への反映や、代替材の開発・導入を進めてまいります。

⑦情報セキュリティに関するリスク

当社が取得し、あるいは顧客等から預かる情報は、経営上重要な資産であり、厳格かつ適正に取り扱う必要があります。当社の情報資産が、内部からの情報漏洩行為や外部からのサイバー攻撃などにより漏洩・破壊・抹消・改ざんされた場合、経営上重大な損害・損失を被る可能性があります。

当社グループは、情報セキュリティの国際標準規格であるISO27001の枠組みに沿って強固な情報セキュリティ体制を構築し、役員・社員への情報セキュリティ教育を継続的かつ定期的に実施するとともに、内部・外部による定期的な監査により、情報資産の保護及び適切な運用の確保・向上を図っております。なお、2020年3月より導入したテレワーク(在宅勤務)制度下においても、通信暗号化ソフトウェアの利用などにより、十分な情報セキュリティを確保しております。

⑧M&Aに関するリスク

当社グループは、事業上のニーズに応じて事業買収などのM&Aを行っておりますが、買収手続きに不備があったり買収後の経営統合プロセスに不首尾が生じたりした場合、想定していたシナジーを十分に発揮できず、企業価値の向上を実現できない可能性があります。

当社グループは、事業リスクを全社横断的に把握・検討する「事業リスク管理委員会」が積極的・機動的に意思決定プロセスに関与することで、想定した以上のシナジー発揮・企業価値向上に努めてまいります。

⑨同意なき企業買収に関するリスク

当社グループが属する自動車/半導体検査/携帯情報端末/先端医療機器の各業界は、技術革新や競合会社間の合従連衡など業界構造が激しく変動し続けており、その中で、当社が競合他社等から同意なき買収提案・買収行為を受ける可能性があります。とりわけ、当社の企業価値が十分に評価されず当社株価が過小評価され続けた場合、こうした買収提案・買収行為を受ける可能性が高まります。

当社グループは、「新中期経営計画2024-2028」に基づき、既存ビジネスの深耕拡大や新規ビジネスの獲得、M&Aなどによる継続的な企業価値向上の実現、ROIC(投下資本利益率)経営を軸としつつ、株主・投資家等との対話などを通じて、株価水準の適正化と継続的上昇に努めてまいります。併せて、重要パートナーとの戦略的提携の拡大や、従業員持株会の強化等を通じた株主構造の長期安定化、成長ストーリーの明確化・事業ポートフォリオ改革・IR活動の強化等による企業価値の向上及び株価への適切な反映に取り組んでまいります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 財政状態の状況

① 事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況

a. 事業全体の状況

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は、現金及び預金増加1,052百万円、売上債権増加4,547百万円などにより、55,112百万円(前期末比7,556百万円の増加)となりました。売上債権の増加は、光波の事業承継に伴う電子記録債権の増加に加え、主にCTCセグメントにおける受注増に伴う売上増加によるものです。

固定資産につきましては、投資その他の資産増加5,332百万円などにより、34,245百万円(前期末比5,522百万円の増加)となりました。投資その他の資産の増加は、信託株式の時価上昇に伴う退職給付に係る資産の増加によるものです

以上の結果、当連結会計年度末における資産合計は、89,358百万円(前期末比13,079百万円の増加)となりました。

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は、1年内返済予定の長期借入金減少1,356百万円などがありましたが、仕入債務増加1,376百万円などにより、19,655百万円(前期末比555百万円の増加)となりました。

固定負債につきましては、長期借入金増加3,076百万円繰延税金負債増加1,279百万円などにより、9,360百万円(前期末比4,212百万円の増加)となりました。繰延税金負債の増加は、保有有価証券の時価上昇に伴う評価額の増加によるものです。

以上の結果、当連結会計年度末における負債合計は、29,016百万円(前期末比4,767百万円の増加)となりました。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は、為替換算調整勘定増加2,679百万円、親会社株主に帰属する当期純利益3,886百万円の計上、配当金の支払1,142百万円などにより、60,341百万円(前期末比8,311百万円の増加)となりました。

b. セグメント情報に記載された区分ごとの状況

<VCCS>

設備投資などに伴う有形固定資産及び無形固定資産の増加1,745百万円などがありましたが、現金及び預金の減少1,723百万円や棚卸資産の減少938百万円などにより、当連結会計年度末におけるセグメント資産は、46,048百万円(前期末比5,070百万円の増加)となりました。

上記の設備投資(当連結会計年度における投資総額1,541百万円)のうち主なものは、ベトナム生産子会社であるYOKOWO VIETNAM CO., LTD.及びフィリピン生産子会社であるYOKOWO MANUFACTURING OF THE PHILIPPINES, INC.における量産設備の更新投資であります。

<CTC>

設備投資などに伴う有形固定資産及び無形固定資産の増加1,250百万円などにより、当連結会計年度末におけるセグメント資産は、23,748百万円(前期末比3,430百万円の増加)となりました。

上記の設備投資(当連結会計年度における投資総額1,188百万円)のうち主なものは、日本国内生産拠点及びマレーシア生産子会社であるYOKOWO ELECTRONICS (M) SDN. BHD.等における各種設備の増設など、開発能力増強投資であります。

<FC・MD>

設備投資などに伴う有形固定資産及び無形固定資産の増加1,012百万円などにより、当連結会計年度末におけるセグメント資産は、12,815百万円(前期末比1,598百万円の増加)となりました。

上記の設備投資(当連結会計年度における投資総額940百万円)のうち主なものは、マレーシア生産子会社であるYOKOWO ELECTRONICS (M) SDN. BHD.におけるFC事業の量産設備の増設と富岡工場におけるMD事業の能力増強投資であります。

<インキュベーションセンター>

設備投資などに伴う有形固定資産及び無形固定資産の増加69百万円などにより、当連結会計年度末におけるセグメント資産は、2,641百万円(前期末比1,574百万円の増加)となりました。

 

(2) 経営成績の状況

① 事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況

a. 事業全体の状況

当連結会計年度における世界経済は、米国における関税引き上げに伴う国際的なサプライチェーンの混乱や原材料等の調達コストの上昇に加え、欧州及び中東を中心とする地政学リスクの長期化により、先行き不透明な事業環境が継続しました。このような状況のもと、各地域においては物価上昇の影響を受けながらも、安定的な雇用環境を背景に、個人消費は概ね堅調に推移しました。日本経済につきましては、賃上げの動きが見られる一方で、物価高が消費者心理に影響を及ぼしており、内需は緩やかな回復にとどまりました。

このような状況の中、当社グループは、2024年5月に公表した「新中期経営計画2024-2028」(2025年3月期~2029年3月期)の下、経営基本方針に掲げる4つのイノベーション(プロダクト/プロセス/パーソネル/マネジメント)の推進に引き続き取り組みました。VCCSセグメントにおきましては、生産拠点の最適化による固定費構造改革を推進するとともに、インド市場など新たな成長市場への進出やADAS製品の量産開始など新アプリケーション領域での売上拡大により、安定収益化と事業拡大に努めました。CTCセグメントにおきましては、生成AI関連半導体などの旺盛な検査需要に対応すべく、製品開発力の強化に取り組むとともに、多様な半導体検査工程に対応した製品ラインナップの拡充を推進しました。また、アライアンス及びM&Aの活用を図りながら、将来の半導体デバイスの進化に向けた技術開発ならびに生産体制及び供給能力の強化を継続して進めました。

これらの結果、当連結会計年度における売上高は、全てのセグメントが前期比で増収となったことにより、90,090百万円(前期比+8.7%)となりました。営業損益につきましては、VCCS及びFC・MDの両セグメントが減益となったものの、CTCセグメントが大幅増益となったことに加え、信託株式の株価上昇に伴う退職給付費用計上額の減少などもあり、5,016百万円の利益(前期比+18.7%)となりました。経常損益につきましては、営業増益に加え、為替レートの円安進行に伴い為替差益369百万円を計上したことなどにより、5,528百万円の利益(前期比+40.8%)となりました。親会社株主に帰属する当期純損益につきましては、中国生産拠点での事業構造改革費用など特別損失1,273百万円を計上したものの、株式会社光波(以下、「光波」といいます)のネットワークソリューション事業の承継に伴う負ののれん発生益など特別利益683百万円を計上したことなどにより、3,886百万円の利益(前期比+74.4%)となりました。

 

b. セグメント情報に記載された区分ごとの状況

セグメント別の業績は次のとおりであります。

<VCCS(主要製品:車載用アンテナ)>

当セグメントの主要市場である自動車市場は、米国における関税政策の影響を受け販売環境に変化が生じ、EV販売台数の成長率が鈍化しつつも、全体としては緩やかな回復傾向となりました。地域別の販売台数は、中国市場では増加した一方、米国及び日本市場ではほぼ横ばいで推移しました。

このような状況の中、主力製品であるシャークフィンアンテナ/GPSアンテナをはじめとする自動車メーカー向けアンテナの販売は、一部顧客における半導体不足の影響などにより、前期並みの水準にとどまりました。

この結果、当セグメントの売上高は56,096百万円(前期比+0.2%)と、前期と同水準となりました。セグメント損益につきましては、安定受注による生産効率向上がみられたものの、生産拠点における労務費単価上昇や米国関税の影響による費用負担増などにより、2,198百万円の利益(前期比△22.5%)となりました。

<CTC(主要製品:半導体検査用ソケット及びプローブカード)>

当セグメントの主要市場である半導体検査市場は、生成AIやデータセンター向けを中心に高付加価値分野での需要拡大が継続するとともに、PC市場の更新需要増加やスマートフォン市場の堅調な推移を背景に、全体として力強い成長を示しました。

このような状況の中、当社グループの主力製品である半導体後工程検査用治具の販売は、PC向けロジック半導体検査用ソケットの受注は依然として低水準で推移したものの、生成AI関連の検査需要の拡大による大幅な受注増などにより、前期を大きく上回りました。半導体前工程検査用治具の販売は、周辺機器を含めてワンストップでソリューションを提供するターンキービジネスが堅調に推移し、高周波電子部品検査用MEMSプローブカード(YPX)の販売も伸長したことなどから、前期を上回りました。

この結果、当セグメントの売上高は19,610百万円(前期比+25.6%)と、前期比で大幅な増収となりました。セグメント損益につきましては、増収及び第2四半期以降における製品ミックスの大幅な改善による増益が、原材料価格上昇や労務費増によるコストアップ要因を大きく上回り、2,931百万円の利益(前期比+98.1%)となりました。

<FC(主要製品:電子機器用微細コネクタ)・MD(主要製品:医療機器用部品/ユニット)>

当セグメントの主要市場である携帯通信端末市場は、ウェアラブル端末の多様化・高機能化により今後の成長が期待される一方、スマートフォンの出荷台数の拡大ペースに一服感がみられました。POS端末市場については、物流/製造を始めとする幅広い業界において、情報管理による業務効率化実現の観点から着実な成長が見込まれ、需要は底堅く推移しております。

このような状況の中、微細スプリングコネクタを中核製品とするFC事業におきましては、POS端末向けの受注が一時的に軟調な推移となりましたが、ワイヤレスイヤホンなどウェアラブル端末向けやその他電子機器向けの販売が順調に推移したことなどにより、売上高は前期比で小幅な増収となりました。

MD事業につきましては、主要顧客である国内大手医療機器メーカー向けのカテーテル用部品及びユニット製品の販売において顧客ごとに濃淡がみられたものの、当社が製造パートナーとして参画しているベンチャーエコシステム向けの販売が堅調に推移したことから、売上高は前期比で小幅な増収となりました。

この結果、当セグメントの売上高は、11,458百万円(前期比+3.9%)と、前期比で増収となりました。セグメント損益につきましては、FC事業における原材料価格上昇などのコストアップ要因により、551百万円の利益(前期比△30.2%)となりました。

<インキュベーションセンター(主要製品:MaaS/IoT向けアンテナ及びソリューション)>

当セグメントの主要市場であるMaaS/IoT市場は、カーシェアリングなどモビリティの進展、あらゆるものがインターネットにつながるIoTの普及に伴い、順調に成長するものとみられております。

このような状況の中、プラットフォーム事業におきましては、IoT向けのスマートアンテナ技術を活用したMIMOアンテナや、MaaS/レンタカー向け車載鍵管理ソリューションの拡販を進めました。また、2025年6月1日付で承継した光波のネットワークソリューション事業につきましては、当セグメントに区分しております。

この結果、当セグメントの売上高は2,920百万円(前期比+977.7%)と、前期比で増収となりました。セグメント損益につきましては、投資が先行している段階にあることから、690百万円の損失(前期は886百万円の損失)となりました。

 

(事業セグメント別連結売上高 前期比較)                        (単位:百万円、%)

セグメントの名称

前連結会計年度

(自  2024年4月1日

  至  2025年3月31日)

当連結会計年度

(自  2025年4月1日

  至  2026年3月31日)

前 期 比

VCCS

55,961

56,096

+0.2

CTC

15,614

19,610

+25.6

FC・MD

11,032

11,458

+3.9

インキュベーション
センター

271

2,920

+977.7

その他

4

4

+9.1

合計

82,884

90,090

+8.7

 

 

c. 目標とする経営指標の達成状況等

前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(2)目標とする経営指標」に記載のとおり、当社グループは、「ミニマム10(テン)」として、「売上高営業利益率・投下資本利益率・自己資本利益率を10%以上確保」の指標を掲げております。

当連結会計年度においては、売上高が過去最高を更新するとともに、営業利益以下の各利益が伸長し、上記ミニマム10の各指標も、目標達成に向けて改善しております。

本有価証券報告書提出日(2026年6月24日)現在、2027年3月期の業績見通しは2026年5月13日に公表した内容のとおりです。中期的には、前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(4)会社の対処すべき課題」に記載の重点取組み項目を着実に遂行することにより、新中期経営計画(2025年3月期~2029年3月期)における経営基本目標であるミニマム10の安定的達成と連結売上高1,000億円の達成を目指してまいります。

 

② 生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

VCCS

56,545

+1.9

CTC

19,349

+23.0

FC・MD

11,685

+6.5

インキュベーションセンター

2,943

その他

4

+9.1

合計

90,528

+9.8

 

(注)  1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 金額は販売価格によっております。

3 インキュベーションセンターの生産実績の前期比については、1,000%を超えるため記載しておりませ

  ん。

b. 受注状況

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

VCCS

55,984

+0.2

4,426

△2.5

CTC

20,407

+25.2

2,481

+47.4

FC・MD

11,417

+2.5

668

△5.7

インキュベーションセンター

3,233

332

その他

4

+9.1

合計

91,048

+8.9

7,909

+13.8

 

(注)  1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 金額は販売価格によっております。

3 インキュベーションセンターの受注高及び受注残高の前期比については、1,000%を超えるため記載

  しておりません。

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

VCCS

56,096

+0.2

CTC

19,610

+25.6

FC・MD

11,458

+3.9

インキュベーションセンター

2,920

+977.7

その他

4

+9.1

合計

90,090

+8.7

 

(注)  1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

(自  2024年4月1日

  至  2025年3月31日)

当連結会計年度

(自  2025年4月1日

  至  2026年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

Toyota Motor North America, Inc.

13,157

15.9

13,476

15.0

 

 

(3) キャッシュ・フローの状況

① 現金及び現金同等物

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、18,174百万円(前期比1,052百万円の増加)となりました。

② 営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益4,939百万円、減価償却費4,126百万円などの増加要因がありましたが、売上債権の増加1,846百万円法人税等の支払額1,394百万円などの減少要因により、4,319百万円の収入(前期比2,920百万円の収入減少)となりました。

③ 投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出3,210百万円投資有価証券の取得による支出563百万円事業譲受による支出495百万円などの減少要因により、4,420百万円の支出(前期比335百万円の支出増加)となりました。

④ 財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出3,000百万円、配当金の支払による支出1,139百万円などの減少要因がありましたが、長期借入れによる収入4,720百万円などの増加要因により、174百万円の支出(前期比4,440百万円の支出減少)となりました。

⑤ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社の運転資金は、主に製品製造に使用する原材料や部品の調達に費やされており、製造費や販売費及び一般管理費に計上される財・サービスに対しても同様に費消されております。また、設備投資資金は、生産設備取得等生産体制の構築・強化、情報システムの整備等に支出されております。これらの必要資金は、利益の計上、減価償却費等により生み出される内部資金により賄うことを基本方針としております。

当連結会計年度の設備投資におきましては、主に生産子会社における量産設備の更新等を中心に実施いたしました。また、2025年3月期からの5カ年を対象としている「新中期経営計画2024-2028」(2026年5月更新)では、事業ポートフォリオマネジメントのもと、全社の企業価値向上に向けた成長戦略を推進するとともに、CTC事業における生産能力増強・先進技術拡充を中心とした大型投資、MD事業におけるベンチャーエコシステム強化や自社設計品開発への積極投資の実施などを計画しております。当連結会計年度におきましては、各事業セグメントにおける量産投資・開発投資等を中心に実施するとともに、今後の設備投資資金及び運転資金需要に対応するべく、長期借入金4,000百万円の借入更新を実施いたしました。その結果、当連結会計年度末における当社グループの現金及び現金同等物の残高は18,174百万円と、前期末比1,052百万円増加いたしました。

 

⑥  重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計上の見積りを行なっております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りの不確実性があるため、これらの見積りと異なる結果となる場合があります。
 重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、本社(コア技術開発本部、技術本部、事業部技術部門)及び現地開発拠点で行っております。

中長期的に、当社主要市場であるモビリティ用通信アンテナ市場、半導体検査市場、電子機器用コネクタ市場、医療機器関連市場は、CASE(Connected/Autonomous/Shared/Electric)と呼ばれる次世代技術への投資集中やCASEの進展に伴い、ハードウェアである車両と複数の交通手段の決済の統合等のソフトウェアサービスを組み合わせたMaaS(Mobility as a Service: サービスとしての移動)と呼ばれるビジネスモデルの拡大、5G及びBeyond 5G(6G)に代表される次世代高速・大容量通信用など新規半導体需要の顕在化、ウェアラブル端末など次世代製品の普及、低侵襲医療の浸透や遺伝子検査技術の高度化により、市場の拡大が予想されます。

当社グループでは、「全社成長戦略」に基づき、当社グループの基盤技術であるアンテナ技術、半導体応用技術、マイクロウェーブ(高周波)技術、表面改質材料技術、微細精密加工技術、フォトリソ(MEMS)技術を核に、研究開発部門、事業部技術部門及び現地開発拠点が一丸となって、技術集積度がより高く付加価値の高い製品への展開に重点をおき、新技術、新製品開発に向けて研究開発活動を展開してまいりました。

当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額(人件費、経費を含む)は5,731百万円であります。なお、研究開発費の総額には特定のセグメントに関連付けられない事業横断的な研究開発に係る費用540百万円が含まれております。

 

セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。

 

(1) VCCS(主要製品:モビリティ用通信アンテナ)

当セグメントでは、AM/FM/TV・地上デジタルTV・セルラ・GNSS・衛星DAB等多岐にわたるメディア用アンテナの複合化推進と、小型・低背、高性能アンテナの開発を推進してまいりました。次期戦略製品として、さらなる超低背・超小型AM/FM/LTEアンテナの技術開発と、ADAS(先進運転支援システム)/自動運転に不可欠なV2X(車/車間、道路/車間、歩行者/車間)用アンテナシステム、CASE時代に向けた種々のモビリティ用通信システム・機器・デバイスの技術開発を推進しております。当連結会計年度における研究開発費の金額は1,571百万円であります。

 

(2) CTC(主要製品:半導体検査用ソケット及びプローブカード)

当セグメントでは、大電流化に対応したICや高速高周波IC検査用ソケットの開発を推進するとともに、プローブ表面の改質技術など高性能化・高耐久化に関する研究開発を進めております。また、重点成長テーマと位置付けるプローブカード分野においてはフォトリソ技術による半導体狭ピッチ化・多ピン化・高速高周波化のロードマップに歩調を合わせた新規プローブカード、次世代光電融合デバイスの検査用プローブカードの開発を進めております。当連結会計年度における研究開発費の金額は2,238百万円であります。

 

(3) FC(主要製品:電子機器用微細コネクタ)・MD(主要製品:医療機器用部品/ユニット)

FC事業では、スマートフォン・ウェアラブル端末市場向けやPOS端末向けコイルコネクタ、スプリングコネクタ、板バネコネクタ、高定格コネクタの商品開発、さらに、センサーや導電性素材を織り込んで、温度・動き・生体情報などを感知・反応する機能を持つ先進的な繊維であるスマートテキスタイル向けコネクタ及び周辺機器の開発を推進してまいりました。MD事業では、当社の微細精密加工技術及び高周波技術を応用し、ガイドワイヤー・カテーテル領域における開発・製造体制の強化を推進しております。当連結会計年度においては、国内企業との協業を通じて脳神経領域における先端医療機器の開発・上市展開を推進するとともに、第一種医療機器製造販売業許可の取得により、自社企画製品の上市に向けた準備を本格化させております。当セグメントの当連結会計年度における研究開発費の金額は897百万円であります。

 

(4) インキュベーションセンター(主要製品:MaaS/IoT向けアンテナ及びソリューション)

当セグメントでは、新規事業分野の開拓を推進していく事を目的に、当連結会計年度において新設いたしました。自動車以外の分野で使われるアンテナ製品の開発に自動車用アンテナ製品の開発で培ったノウハウを生かしつつ取り組み、新市場への供給を進めております。また、他企業への出資や協業を通じ、交通弱者救済、地域活性化、社会サービスの高度化等の新たな価値の創出を目的としたモビリティサービス(MaaS)の実装を進めております。当連結会計年度における研究開発費の金額は483百万円であります。

 

当社グループは、これらの研究開発活動をさらに深耕・展開し、売上・収益の拡大に努めてまいります。