第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループ(当社および連結子会社)が判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは「開かれた透明性のある企業」「社会の負託に応えられる企業」「働きがいのある企業」「環境に配慮した企業」を経営理念に掲げ、角度センサ・フィルムヒーター・可変抵抗器のプロフェッショナルとして、エレクトロニクス業界において一層の飛躍をめざします。

 環境への取組みにつきましても、全社的な運動を継続して展開し、コーポレートガバナンスコード、内部統制システムに関する基本方針を確立し、透明性と信頼感が高い組織を作り、良き企業市民として社会の発展に貢献したいと考えております。

 

(2)経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財政上の課題

 当社グループは、2021年度から2023年度の3年間は、赤字体質から脱却し営業利益に拘った経営をテーマとした第1次中期経営計画を進めてまいりました。その結果、「高収益製品の選択と集中」「車載製品の販売拡大」「固定費削減と生産性向上」の大きく3つの成果を上げることができました。

 一方で、継続して取り組むべき課題が3つあります。「資本コストを意識した明確な財務戦略の構築」「積極的な新製品開発と市場投入」「当社グループ全体の最適生産体制の構築」です。

 この3つの課題に取り組むため、2024年度から2026年度の3年間は、中長期的に成長拡大していくための成長投資の期間であると位置付け、以下のとおり第2次中期経営計画を策定いたしました。第2次中期経営計画を達成し、その次の3年間を成長拡大の3年間とするべく取組みを進める所存です。

 

     基本方針  成長・拡大に向けた成長投資

     取組骨子  ①技術開発力強化

           ②収益力強化

           ③財務体質改善

           ④株主還元強化

     数値目標

                    2026年度    2029年度

           売上高      105億円     135億円

           営業利益率      10%       12%

           ROA        9%       11%

           DOE       3.5%      4.5%

          (配当性向換算    約40%      約45%)

 

(3)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等

 2021年3月発表の中期経営計画(2022年3月期から2024年3月期)における2024年3月期の計画対比とし、その結果は次の通りであります。

 

 

2024年3月期

計画

2024年3月期

実績

増減

増減率

(%)

売上高

(百万円)

8,700

10,434

1,734

19.9

営業利益

(百万円)

440

1,261

821

186.7

営業利益率

(%)

5.1

12.1

7.0

経常利益

(百万円)

400

1,403

1,003

251.0

経常利益率

(%)

4.6

13.5

8.9

 

 当社は第1次中期経営計画期間内(2022年3月期から2024年3月期)では、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として営業利益率と経常利益率を経営指標として採用しております。本連結会計年度においては中国経済の停滞などにより電子部品の生産に影響があるなか、可変抵抗器部門では中国経済停滞の影響を受けましたが為替の円安基調が好影響となり、車載用電装部品部門では半導体不足の緩和が好影響となり、売上高は計画を上回る事を達成いたしました。利益面につきましては生産性の向上による固定費削減や、生産子会社の生産活動が堅調に推移したこと、為替の円安基調により営業利益、営業利益率共に達成となりました。経常利益は円安となったことにより為替差益があり、経常利益、経常利益率共に達成となりました。

 第2次中期経営計画期間内(2025年3月期から2027年3月期)の経営上の目標達成状況を判断する客観的な指標は、ROAといたします(2027年3月期目標数値9%)。第2次中期経営計画期間内に設備投資・研究開発費を合計20億円投入する計画であります。投資を積極的に進めてまいりますが、有利子負債の削減などの施策を進めることで資本効率を向上させ、財務体質の改善、ROAの目標達成を図ってまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

1.基本方針

 当社グループは、「地域社会との信頼関係を築き 従業員にはチャンスと達成の喜びを お客様には安心と感動を 地球には優しさと潤いを与え続ける」ことを私たちの社会的役割(CSRビジョン)と位置付け、サステナビリティ経営の強化を進めています。

 このビジョンの下、目まぐるしく変化する事業環境にいち早く適応し、持続可能な企業であり続けるために、本業を通じて社会課題の解決に貢献し、企業価値の向上に取り組んでまいります。

2.ガバナンス

 当社グループでは、サステナビリティ方針の下、取り組むべき社会課題ごとに推進責任部門を決め、経営審議会の中で定期的に議論・審議・進捗確認し、具体策の実行を進めています。

 経営審議会における議論や審議内容、及び新たな課題などは定期的に取締役会に諮る体制とし、具体策の実行が止まることのないよう機能させています。

 「気候変動への対応」と「人的資本多様性」に関するリスクと機会の洗い出しと特定を行いました。経営審議会にて特定したリスクと機会に対する具体策を議論・審議し、実行継続いたします。

 

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3.気候変動への取り組み

 気候変動への対応は、世界規模で解決すべき課題であり、当社においても持続可能な企業であり続けるため基本方針に沿って、取り組みを推進しています。

 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の枠組みに沿って、CSR・ESGなどの各種ガイドライン等を参照しリスクと機会を洗い出し、次頁の表のとおり特定しました。

 移行リスクでは、生産活動においてはエネルギー不足や購入価格の高騰、或いは新規投資のリスクがあること、営業活動においては売上の減少リスクがあることを認識しました。物理的リスクでは、異常気象の深刻化や気象パターンの変化等により、BCP対応コストの増大や工場運営への支障等があることを認識し、以下の取り組みを進めています。

・生産拠点においては、地下水の循環利用等の再エネ。

・寒冷地の生産拠点では、工場社屋の断熱効率向上に伴う省エネ(Co2削減)。

・調達先の多様化、部品標準化への取り組みにより、近年増え続ける異常気象に伴う自然災害に対するサプライチェーンの分断リスク回避。

・製品・部品輸送を集約し、陸送から海上輸送や鉄道輸送に転換しCo2削減。

・環境に配慮した材料使用率を増加。

 洗い出したリスクと機会については、CSRビジョンや事業戦略、及び将来の企業価値への影響度等を鑑み、今後、経営審議会にて議論・審議、取締役会への報告を通じて当社で取り組むべきマテリアリティを特定します。

 また、特定したマテリアリティ毎に更なる再エネ、省エネへの投資、環境配慮製品の開発・提供推進、生産・物流拠点の最適化等の戦略の具体化を進めるとともに、2050年温室効果ガス実質ゼロを最終目標とし、マイルストーンの設定を進め、着実に取り組みを進めていきます。

 

 

種類

世の中の変化

事業への影響

財務影響

対応案

移行リスク

政策・法規制リスク

GHG排出に関する規制の強化

再エネ、省エネ設備への投資負担増

汎用ラインの導入による生産設備の集約

エネルギー不足

コンプレッサの排熱利用

炭素税、排出権取引の導入

炭素税、排出権取引コストの発生

屋根、外壁の塗装による冷暖房効率向上(遮熱塗装)

地下水利用、循環水利用

設備の小型化による省エネ

技術リスク

低炭素、脱炭素移行への急進

顧客要求に対応できず売上減少

技術開発力強化のための投資

市場リスク

消費者行動の変化

対応遅れによる売上減少

OEM先のグリーンパートナーの維持とスコア向上

評判リスク

ステークホルダーからの懸念の増加

対応遅れによる売上減少、対応コストの増大

環境に配慮した材料使用の製品を増やす

環境マネジメントシステムによる継続的な改善

物理的リスク

急性リスク

異常気象の深刻化、増加

自然災害によるサプライチェーンの分断

調達先の多様化検討、部品標準化による調達性向上

慢性リスク

降雨や気象パターンの変化、平均気温の上昇、海面上昇等

BCP対応推進コスト増加

地下水利用、水のリサイクル

機会

サプライチェーン

交通、輸送手段の効率化

生産コスト、営業費用の削減

船輸送及び鉄道輸送への転換検討

製造、流通プロセスの効率化

生産コスト、営業費用の削減

汎用ラインの導入による生産設備の集約

製品

環境配慮型製品の増加

電子部品拡大による販売増加

環境に配慮した材料使用製品を増やす

 

4.人的資本多様性への取り組み

 私たちのCSRビジョンである「地域社会との信頼関係を築き 従業員にはチャンスと達成の喜びを お客様には安心と感動を 地球には優しさと潤いを与え続ける」の実現のためには、

 ①多様な人材の獲得と登用(柔軟に思考し果敢にチャレンジする人材の獲得)

 ②成長支援(社員一人ひとりが主体的に行動できる組織風土の醸成)

 ③安心安全な職場環境(社員個々の能力を最大限に発揮させる職場環境構築)

が必要であると考えています。その具体化にあたっては、新卒採用だけではなく経験者採用等、様々な人材獲得手段を取り入れ、人材の多様性を高めるとともに、社員の成長支援や安心安全な職場環境を維持・向上することを重点課題と認識し取り組みを推進しています。

 

5.リスク及び戦略

 上記にあげた3点の重点課題毎に管理部会においてリスクと機会を特定し経営戦略への影響を分析しました。

重点課題

機会とリスク

リスクの経営戦略への影響

取り組み方針・施策

多様な人材の獲得

機会 ・社員のモチベーションの向上

   ・イノベーションが起こる

・優秀な人材の不足や多様な人材が活

 躍できないことによる研究開発力、

 生産性、計画推進力の低下

・経験者採用の推進

・外部人材の積極採用

・人材ポートフォリオの策定

 と人材活用の推進

リスク・人材獲得競争激化によるコス

    ト上昇

成長支援

機会 ・優秀な人材の獲得と定着化の

    推進

・イノベーションの停滞による社会に

 対する新たな価値提案力低下

・会社の競争力低下

・育成体制、研修制度の整備

 と推進

・管理職、管理職候補の育成

 とOJT力の強化

・労使協議会を活用した効果

 的な成長支援施策の推進

リスク・技術伝承の停止、停滞

   ・優秀な人材の外部流出

安心安全な職場環境構築

機会 ・社員の生産性向上

・社員のモチベーション低下、離職率

 の上昇による会社の競争力低下

・多様な働き方や健康経営等

 の検討、推進

・育児世帯社員に各種制度の

 構築

・労災を発生させない啓発活

 動と職場環境改善の推進

リスク・労働災害による工場停止

   ・人的、機械的なエラーによ

    る事故

   ・コンプライアンスが遵守さ

    れないことによる会社の信

    用失墜

 人材戦略について議論中の段階であり、重点課題を推進するための「指標と目標」の設定は見送りました。

 人材戦略の策定に当たり、「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4)女性管理職比率・男性育休取得率・男女賃金格」に記載しております内容を含め,議論を進めております。

 今後、取り組み方針及び施策について、管理部会を通じて更に議論を進め、第2次中期経営計画(技術開発力強化、人材確保・育成)と連動させ、今年度中を目途に具体化するとともに、当社グループ全体の取り組み状況を開示できるように整備する計画です。

 

3【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があると認識している主なリスクは、以下のとおりです。

 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月26日)現在において、当社グループが判断したものです。

1)経済環境に関するリスク

①経済状況の変動

 当社グループでは、各国の経済状況・販売状況を定期的に確認し、適切な対応を行っておりますが、世界各地の景気後退による需要の減少により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

②為替相場の変動

 当社グループでは、海外において生産及び販売活動を行っており、輸出入においては主に米国ドル建てにて取引を行っています。急激な為替変動により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。一般的に、円高に振れた場合は利益が減少します。

③株式市況の変動

 当社グループでは、政策保有株式として国内企業の株式を保有しており、株式市況の変動により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

2)事業活動に関するリスク

④技術革新における競争

 ヒータ分野としては、市場を拡大する目的で、AC駆動や、高電圧駆動などの取り組みを開始しています。これらの仕様が求められる市場では、求められる安全性が高いことが想定され、品質面のリスクとなっております。

  また、環境規制物質の増加の影響により、使用している材料や購入部品を変更(4M)する必要のある製品が急激に増加しています。技術本部、品質本部を設置し対応しておりますが、適正な変更手続きが進まない場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑤販売価格競争

 当社グループでは、価格に頼らず技術的に進化した高品質で高付加化価値の製品の提供に取り組んでおりますが、競合他社の技術進歩により販売価格競争が激しくなり、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑥原材料価格の変動及び調達リスク

 当社グループでは、信頼のおける複数の供給業者から原材料等を仕入れ、一定の在庫を確保することや、商品価値に見合った適正価格で販売する等、供給不安や原材料価格の変動に対応しています。急激な原材料価格の変動や供給停滞等により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑦製品の欠陥リスク

 当社グループでは、世界的に認められている品質管理基準に従って製品を製造しております。品質本部を設置し、欠陥のない製品の提供に努めており、また、万が一の場合に備え、製造物責任賠償については保険を付保しておりますが、製品の欠陥により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑧特定販売先への依存リスク

 当社グループでは、販売顧客の拡大に努めておりますが、連結売上高の四分の一相当が車載電装部品関連の主要顧客である東亜電気工業株式会社向けとなっています。当社グループは、同社と良好な関係を保持しているものと認識しておりますが、同社で取り扱う部品構成の変更や協力会社との取引方針変更等により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

3)経営基盤に関するリスク

⑨情報セキュリティに関するリスク

 当社グループでは、事業の遂行を通じて取引先等の機密情報に多数接しているほか、当社グループの技術・営業・その他事業に関する機密情報を有しております。これらの機密情報について、情報セキュリティ、サイバー攻撃に対する方針、リスク管理等の諸規程により対応を図っておりますが、不正アクセス、コンピュータウイルス等により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑩法的リスク

 当社グループでは、日本国内だけではなく、諸外国の法令に則って事業を推進しておりますが、環境規制等、法的規制内容に変更が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑪人材確保に関するリスク

 当社グループでは、「地域社会との信頼関係を築き 従業員にはチャンスと達成の喜びを お客様には安心と感動を 地球には優しさと潤いを与え続ける」ことを社会的役割(CSRビジョン)と位置付け、サステナビリティ経営の強化を進めています。新卒採用だけではなく、通年採用も積極的に行っておりますが、採用競争は激化しており、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑫財務制限条項の付された借入契約の返済リスク

 当社では、有利子負債の適切なコントロールを行うことを目的としてシンジケーション方式のコミットメントライン契約を締結しています。この契約には、各年度の決算期の末日における連結財務諸表純資産の部の金額及び各年度の決算期における連結損益計算書の経常損益等を基準として財務制限条項が付されています。これに抵触した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

4)外部環境に関するリスク

⑬自然災害に関するリスク

 当社グループでは、製品及び部材を生産するにあたり、国内3拠点、中国2拠点にて行うことで一定のリスク分散は図られておりますが、地震等の自然災害により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑭気候変動に関するリスク

 当社グループでは、「地域社会との信頼関係を築き 従業員にはチャンスと達成の喜びを お客様には安心と感動を 地球には優しさと潤いを与え続ける」ことを社会的役割(CSRビジョン)と位置付け、気候変動に対するリスクを特定し対応を進めています。対応の遅れや想定外の事象等により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑮地政学的リスク

 当社グループの生産及び販売活動の一部は、中国、台湾、米国及び欧州で行っています。これらの海外での活動には、以下のようなリスクがあると認識しています。

・予期しない法律又は規制の変更

・技術インフラが我が国と異なるため製造活動に悪影響を及ぼす可能性

・テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱

・ストライキ等の労働争議

・感染症拡大による社会的混乱

 当社グループの製品には、調達の多くを海外に依存している原材料が含まれており、また、中国においては生産の拡大を続けてまいりました。生産及び販売活動を行っている国において、政情や法環境の変化等、予期せぬ事象により社会的混乱が起こり、事業の遂行が困難になり、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(重要な会計方針及び見積り)

 当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき、作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産、負債の報告数値及び報告期間における収益、費用の報告数値に影響を与える見積りを行わなければなりません。

 経営陣は、営業債権、棚卸資産、投資、退職給付債務、繰延税金資産、税金費用及び財務活動等に関する見積り及び判断に対して評価を行っております。また、過去の実績や状況に応じて合理的だと考えられる見積り及び判断を行いますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。

 この連結財務諸表の作成に当たり、見積りが必要となる営業債権、棚卸資産、投資、退職給付債務、税金費用及び財務活動等事項の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

(1)財政状態の状況

(流動資産)

 流動資産は、前連結会計年度末比840百万円減少し8,080百万円となりました。主な要因は、現金及び預金が459百万円、売上債権が248百万円、棚卸資産が86百万円、それぞれ減少したことによるものであります。

 

(固定資産)

 固定資産は、前連結会計年度末比144百万円減少し4,335百万円となりました。主な要因は、有形固定資産が266百万円減少したことによるものであります。有形固定資産の減少は減価償却の進捗に比べ新規設備の増加が少なかったことによるものであります。

 

(流動負債)

 流動負債は、前連結会計年度末比1,493百万円減少し2,897百万円となりました。

 主な要因は、短期有利子負債が1,215百万円、支払債務が254百万円減少したことによるものであります。

 

(固定負債)

 固定負債は、前連結会計年度末比578百万円減少し2,515百万円となりました。主な要因は、長期借入金が480百万円、リース債務(固定)139百万円が減少したことによるものです。

 

(純資産)

 純資産合計は、前連結会計年度末比1,087百万円増加し7,003百万円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益を計上し、利益剰余金が876百万円増加したことによるものです。

 

(2)経営成績の状況

① 事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況

a.事業全体の状況

 当連結会計年度における世界経済は、ウクライナ問題の長期化、世界各国におけるインフレと金融引き締めに加え、中国経済の減速、中東地域の不安定な政情などから、先行き不透明な状況が続きました。

 日本経済においては、円安などから輸出を中心に企業業績が回復する動きがあるものの、継続的な物価上昇や海外経済の下振れ懸念などから、下押し圧力がみられる状況が続きました。

 当社グループの属する電子部品業界においても、物価上昇や中国経済の減速による影響が続きました。一方で、半導体不足が緩和したことなどによる自動車生産の持ち直しや自動車の電動化や電装化率の向上を背景にした電子部品・デバイスの搭載数の増加や円安による輸出製品での底上げがみられましたが、下押し要因を補うまでにはいたりませんでした。

 このような情勢の下、当社グループは生産・業務効率を向上させるとともに、当社グループの製品開発力を生かした営業活動を強化してまいりました。その結果、売上高は10,434百万円(前期比2.6%減)となりました。

 利益面では、円安の影響による売上増加などがありましたが、資源価格や原材料価格の値上げがあり、営業利益は1,261百万円(前期比6.6%減)となりました。営業外損益は、円安が続いたことにより、為替差益を157百万円計上し、経常利益は1,403百万円(前期比7.6%減)となりました。法人税、住民税及び事業税を358百万円、子会社の繰延税金資産の評価性等の見直しなどで法人税等調整額を69百万円それぞれ計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は962百万円(前期比18.1%減)となりました。

 

b.セグメント情報に記載された区分ごとの状況

(イ)可変抵抗器

 円安による底上げがありましたが、中国経済減速による需要減を補えず、売上高は4,085百万円(前期比14.8%減)となりました。売上高の増加などにより、セグメント利益(営業利益)は、1,133百万円(前期比21.3%減)となりました。

 

(ロ)車載用電装部品

 長らく続いた半導体不足が解消に向かったことにより、自動車会社の一部モデルに回復が見られたことなどにより、売上高は6,120百万円(前期比10.9%増)となりました。セグメント利益(営業利益)は、857百万円(前期比68.6%増)となりました。

 

(ハ)その他

 その他部門は、売上高は229百万円(前期比42.5%減)となりました。セグメント利益(営業利益)は93百万円(前期比12.2%減)となりました。

 

② 生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

可変抵抗器

2,144,971

△26.5

車載用電装部品

5,194,239

7.0

その他

6,028

△85.5

合計

7,345,239

△6.0

 

b.受注状況

 当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

可変抵抗器

3,524,495

△34.5

1,330,746

△29.6

車載用電装部品

6,171,367

10.7

327,246

18.5

その他

170,684

△59.1

37,041

△61.2

合計

9,866,547

△13.3

1,695,035

△25.1

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

可変抵抗器

4,085,213

△14.8

車載用電装部品

6,120,386

10.9

その他

229,169

△42.5

合計

10,434,769

△2.6

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高

(千円)

割合

(%)

販売高

(千円)

割合

(%)

東亜電気工業㈱

2,649,197

24.7

2,886,627

27.7

 

(3)キャッシュ・フローの状況

(現金及び現金同等物)

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ、459百万円減少し、3,553百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは1,630百万円の資金の増加(前連結会計年度は1,711百万円の増加)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益1,389百万円、減価償却費512百万円、売上債権の減少315百万円によるものであります。主な減少要因は、仕入債務の減少309百万円、法人税等の支払額364百万円の減少によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動のキャッシュ・フローは163百万円の資金の減少(前連結会計年度は204百万円の減少)となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出161百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動のキャッシュ・フローは2,143百万円の資金の減少(前連結会計年度は874百万円の減少)となりました。主な減少要因は、短期借入金の純増減額1,150百万円、長期借入金の返済538百万円、自己株式の取得による支出181百万円、リース債務の返済による支出153百万円によるものであります。

 

(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)

 当社グループでは、事業運営に必要な手元流動性の確保と安定的な資金源泉の準備を行うことを基本方針とし、より一層の手元流動性の確保と有利子負債の適切なコントロールを目的に、当連結会計年度において契約総額25億円のシンジケーション方式のコミットメントライン契約を締結しました。

 2024年度から2026年度を期間とする第2次中期経営計画では、資金調達方法の多様化を目的に必要な手元流動性を確保した上で有利子負債の削減を進めています。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

6【研究開発活動】

 当連結会計年度の研究開発は、スローガンである進化と深耕を実現するために、既存カテゴリの製品開発とともに、新しいカテゴリへの参入を企図する開発を仕掛けることになりました。既存カテゴリの領域の技術としては、小型バイク用角度センサの生産をスタートすることができました。また、既存製品に隣接するカテゴリへの開発として、ヒータ製品をミリ波通信機器へ応用する開発を行い、鋭意販路の拡大を行っております。

 

 当連結会計年度中に支出した研究開発費の総額は271百万円であります。

 当連結会計年度末現在、所有する産業財産権は、特許権:国内35件・外国86件、意匠権:国内9件・外国21件、商標権:国内8件・外国22件であります。

 セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。

 

(1)可変抵抗器関連

1.PTCヒータに関しては、従来からの電源供給DC12-24Vから、バッテリ駆動、AC電源、DCの高電圧駆動など様々な使用環境を想定した実証テストを行い、マテリアルの持つ温度制御が設計通り適正に行われることを確認しました。

2.当社のもつミリ波の計測技術、ミリ波透過反射設計技術と組み合わせることで、ミリ波の弱点である氷雪を融解するヒータの提案を行っております。

3.米国化学学会への参画により広がったネットワークを用い、カーボンナノチューブをはじめとする新しい材料を用いたヒータの開発へ取り組みを始めました。

 研究開発費は96百万円であります。

 

(2)車載用電装部品関連

1.車載用角度センサとして、環境規制に対応した新しいシステムに搭載される小型バイク用角度センサの生産を開始しました。

2.新たに、独自の角度センサの開発を開始しました。

 研究開発費は119百万円であります。

 

(3)その他

1.ミリ波の透過・反射特性を自在に操る制御技術開発を進めてきております。28GHz から79GHz の広い帯域での対応が可能になりました。

2.ロボット用の新センサの開発は条件が整わず中止することといたしました。

3.EV用のバッテリヒータへの挑戦も始めております。

 研究開発費は1百万円であります。

 

※ また、上記の(1)(2)(3)共通の開発費として54百万円があります。