第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日において判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

当社は、電子部品メーカーとして常に市場が求めるものを、先進の技術力と徹底した品質保証体制に支えられた高性能・高品質な製品をタイムリーに供給することにより、エレクトロニクス市場の発展に貢献してまいりました。

今後も、クラウドを活用したAI技術やADAS(先進運転支援システム)技術等の急速な発展に伴い、高度化、多様化するエレクトロニクス市場に対し、独創性の高い技術でお客様の企業戦略をサポートする企業として前進してまいります。

世界中の最新情報を分析し、次世代の独自技術を提案することにより、ユーザーのビジネスをサポートし、世界のエレクトロニクス市場の発展に貢献してまいります。

また、環境活動につきましては、全生産拠点でISO14001の認証を取得し、地球環境に配慮した活動を推進しており、製品の環境管理物質の削減・全廃、省電力化、軽量化を推進し、カーボンニュートラルも含め環境負荷の低減対策に取り組んでまいります。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略

当社の属するエレクトロニクス業界は、デジタル化、ネットワーク化等めまぐるしい技術革新により急速に大きく変化しており、新たな発展が期待できる新製品・新技術が相次ぎ創出されております。スマートフォン及びタブレット端末やネット関連機器は、5Gをはじめとした高速通信化や高機能化が見込まれ、従来の家電・AV市場、ゲーム市場とも融合しながら、さらに進化・発展し、急速に普及しております。車業界のトレンド「CASE(※)」や「ADAS」は車載電子機器の増加を後押しし、電子部品デバイスの裾野が拡大しております。加えて医療・健康・美容機器関連、IoE(すべてのものがインターネットにつながる)関連にも充分期待でき、電子部品業界全体では、成長が見込まれます。

 

この中にあって、当社は電子部品メーカーとして豊富な製品ラインアップ、顧客の多様なニーズを満たす技術力、顧客満足を第一としたきめ細かいサービスの提供等により、連結ベースでの売上高、利益の確保・拡大による企業価値の増大をはかってまいります。

 

また、当社及びグループ各社の技術・研究開発体制の強化をはかり、電子機器の高性能化、多機能化、高速伝送化やワイヤレス化、高周波化、デジタル化、モバイル化、省電力化等の技術トレンドに対応する新製品開発による高付加価値化を追求するとともに、開発のスピードアップ・効率化に積極的に取り組み、1つの技術を多市場・多顧客に、1顧客に対して多製品を展開し、新規市場・新規顧客の開拓を進めてまいります。

 

コア技術の深耕にも注力し、機構設計技術、高周波設計技術、音響設計技術、光学設計技術、回路設計技術、金型設計技術、シミュレーション技術、解析技術、ソフトウェア開発、EMC対策設計技術、センサー開発・応用技術等の蓄積、レベルアップをはかるとともに、デバイスの再構築をはかり、市場ニーズに対応した独自技術製品の開発を強力に進めます。

また、生産においては、産業用ロボットの活用など、スピード感を持って自動化・省人化を進め、コスト削減、及び品質の安定化をはかってまいります。

 

また、ESG経営、SDGsへの貢献は、企業・社会が目指す世界的な流れであり、当社としても取り組んでまいります。

 

(※)CASE…自動車の次世代技術やサービスの新たな潮流を表す英語の頭文字4つをつなげた造語「C=コネクテッド(つながる)」「A=オートノマス(自動運転)」「S=シェアリング(共有)」「E=エレクトリシティー(電動化)」

 

 

(3)経営環境

現状、当社グループの属する電子部品業界を取り巻く環境は、環境対応やADAS等の普及により、一層の電子化が進む自動車関連向け需要は着実に増加しております。また、ウェアラブル端末やAI機器も電子部品需要の大きな牽引マーケットとして期待されると共に、クラウド化の進展に伴う高速・大容量化を目指したインフラ需要や、環境・省エネ・新エネルギー関連市場なども新たな部品需要を創出していくと期待されております。

 

(4)優先的に対処すべき課題

当社グループといたしましては、新技術・新製品開発及び高付加価値商品の開発促進として、伸びる市場、伸びるユーザー、伸びる商品、新しい市場、新しいユーザー、新しい商品へ向けて、自動車関連機器、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル機器等のモバイル機器、アミューズメント機器用途などの製品開発に取り組んでおります。また、次の柱となる市場の構築に向け、医療・健康・美容機器、さらには新たに市場が拡大しつつあるwith/afterコロナ関連機器、環境・省エネルギー関連、IoE関連、メタバース関連等の有望市場に対して、電子部品への顧客ニーズ及び技術トレンドを着実にとらえ、スピーディー、かつ、タイムリーに新技術、新製品の開発、新規ユーザーの開拓に取り組み、受注・売上高の拡大をはかってまいります。

 

ASEANでの生産拠点の増強・新設の検討を行うと共に、経営全般の一層の効率化とスピードアップを進め、さらに生産性の向上、品質向上、原価力強化のため機械化、自動化、省人化を強力に推し進め、業績の向上、利益体質の強化、及びコンプライアンス体制、CSR(企業の社会的責任)体制、内部統制システム、情報セキュリティ管理体制、リスク管理体制等の充実・強化をはかり、企業価値の増大に努めてまいります。

 

品質については、全生産拠点でISO9001の認証を取得し、さらに自動車関連向けの生産拠点では、IATF16949の認証も取得しており、今後とも、品質の向上・安定化に努めてまいります。

 

また、カーボンニュートラル達成に向け具体的に取り組むと共に、地球環境に配慮した製品設計や生産活動、グリーン調達、RoHS指令、REACH規則等による環境管理物質対策、省資源・省エネ活動、廃棄物削減、リサイクル等の環境負荷の低減に向けて、グループ全体で環境マネージメントシステムの継続的改善に積極的に取り組んでまいります。

 

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、売上高及び営業利益を経営上の目標としており、当連結会計年度の結果につきましては、3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 に記載しております。

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日において判断したものであります。

 

(1)経済状況

当社グループの大半の製品は、セットメーカーが製造する最終商品に搭載される部品であることから、日本、アジア、アメリカ、ヨーロッパを含む主要市場における景気後退により、最終商品を製造するセットメーカーの生産が縮小し、それが当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)為替レートの変動

当社グループは世界各地で事業を展開しており、為替レートの変動による影響を受けています。海外及び国内市場での売上高の大部分は円、米ドル及びユーロ建であります。各地域における売上、費用、資産及び負債を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されており、換算時の為替レートにより、円換算後の価値が悪影響を受ける可能性があります。

これに対する対策として、顧客への販売通貨と当社の生産・仕入通貨を一致させるよう取り組んでおります。また、必要に応じ為替予約を行っております。その結果、為替レートの変動による、営業利益に係る影響は軽微であります。一方、営業外収支に係る影響は、外貨建債権債務の残高によりますが、1米ドルの変動1円当たり、数億円の影響(外貨建債権が多い場合、円安局面では為替差益)となる場合があります。但し、米ドル以外の各国通貨の変動にも左右されます。

 

(3)価格競争

当社グループが属するエレクトロニクス業界における競争は大変厳しいものとなっており、各製品市場と地域市場において、競争の激化に直面することが予想されます。当社グループの競合先の一部は、研究開発、製造および販売について当社グループよりも優れた資源を有している可能性があります。当社グループの主要市場における価格下落圧力は今後も強まると予想され、価格競争が当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)原材料の価格変動と供給状況

当社が生産する製品には種々の金属及び石油化学製品が原材料として使用されています。当社グループは重要な資材については政策的な調達活動を行っていますが、急激な原材料価格の高騰や原材料供給状況の悪化により、当社グループの生産やコストに重大な影響を及ぼす可能性があります。現在、半導体や非鉄金属、樹脂材料の不足、価格高騰が続いており、当連結会計年度の業績に影響がありました。また、2023年3月期の業績にも影響がある可能性があります。

 

(5)物流に関するリスク

当社が製品を生産・販売するには、供給元からの材料、部品の納入及び顧客先への納品が必要ですが、これらに係る物流の停滞や費用の高騰によるリスクがあります。当連結会計年度において、世界的なコンテナ不足、船便の遅れ、輸送費の高騰により、当連結会計年度の業績に影響がありました。また、2023年3月期の業績にも影響がある可能性があります。

 

(6)技術革新と需要動向

当社グループの事業に関わる市場は、技術の急速な変化やこれに伴う顧客の需要の変化に影響を受けます。業界での頻繁な技術革新により、比較的短期間で当社グループの既存製品が陳腐化する可能性があります。また当社グループが業界と市場の変化を充分予想できず、魅力ある新製品を開発できない場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。更に当社グループの売上高の56.8%は、任天堂株式会社に対するものであり、同社からの受注動向や、アミューズメント(ゲーム)機器の需要動向が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

 

(7)海外事業に関するリスク

当社グループの生産及び販売活動の相当な部分は、アジア、アメリカ、ヨーロッパ等の日本国外で行われております。これらの地域における海外事業は、さまざまな不確定要素による影響を受けやすく、特に以下に掲げるいくつかのリスクが内在しております。

①不利な政治または経済要因

②予期しない法律または規制の変更

③人材の確保に関わる障害

④潜在的に不利な増税の影響

⑤戦争、テロ、伝染病、地震、災害、暴動、その他の要因による社会的混乱

また、近年中国の生産拠点への依存度が高く、上記リスクが発生した場合の経営への影響が大きかったことから、主に東南アジアでの生産能力増強に力を入れ、リスク軽減に努めております。ロシア・ウクライナ情勢につきましては、現在当社グループに直接の影響はありませんが、サプライチェーンの混乱による顧客の工場稼働停止で、需要の減少が起きる可能性があります。また、ゼロコロナ政策により、上海などがロックダウン状態となった中国では、物流の停滞、これに伴う顧客の工場稼働停止が当社の業績に影響する可能性があります。

 

(8)サイバー攻撃

当社グループでは、事業活動で入手したお客様及び自社の機密情報を保持しております。近年多様化・巧妙化するサイバー攻撃により、万が一攻撃を受けた場合、重要なデータの破壊、改ざん、漏洩などを引き起こし、当社グループの事業継続に大きな影響を及ぼす可能性があります。

これに対する対策として、当社グループでは攻撃の侵入部分のセキュリティを強化するとともに、万が一攻撃を受けた場合に社内から重要な情報が外部へ出ていく出口部分のセキュリティの強化も行っています。また、重要な情報の取り扱いに関するルールを策定し、従業員への教育や啓蒙を行っています。

 

(9)株式の希薄化

当社グループは転換社債型新株予約権付社債を2017年9月21日に発行しました。当該新株予約権が行使された場合、株式へ転換される割合に応じて、当社の1株当たりの株式価値は希薄化し、その希薄化が株価形成に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)新型コロナウイルス感染症に関するリスク

新型コロナウイルス感染症につきましては、まだ収束が見通せない状況です。現段階では、ワクチンの普及もあり、経済は回復基調にあるものの、感染再拡大によりサプライチェーン寸断のリスク、人の移動制限等による工場等の稼働率低下リスクは残っており、さらには、当社グループの従業員が感染することにより、工場等の稼働や部品調達及び販売網にも影響を与えるリスクもあります。かかるリスクについては、2022年3月期の当社グループにおいて顕在化し、海外政府のロックダウン政策により、当社主力海外工場が一時的に稼働停止となったことから、生産面での影響がありました。

当社取締役会では、顧客の需要動向や工場稼働状況、当社グループ及びサプライチェーンの稼働状況や物流状況などが報告され、従業員の感染対策や生産活動維持の為の対策などを引き続き検討いたしております。具体的には、工場や営業所の稼働などを各国当局の指示に従うのは当然として、従業員の感染を防ぐため、在宅勤務、時差出勤、WEB会議の推奨、出張制限、マスクやアルコール消毒液の備蓄、感染症対応マニュアルの整備などの対策を行い、生産面におきましては複数拠点での生産を行うことにより、当該リスクの最小化に努めております。

 

(11)環境関連の規制強化に関するリスク

カーボンニュートラル、SDGs達成への貢献、ESG経営については、近年投資家はもとより、顧客からも求められる事案であり、特にカーボンニュートラルに関する取り組みが遅れた場合、顧客からの受注削減にさらされるリスクがあります。一方、これらに取り組むことによる費用負担増も考えられますが、当社グループでは、積極的に環境対策に取り組むことで、投資家、顧客からの要望に応えるべく、対応をとってまいります。

 

(12)少子高齢化に伴うリスク

わが国では、少子高齢化が特に進んでおり、人材獲得が計画通りに進まないリスクがあります。これに対し、当社では超過勤務削減をはじめとする働き方改革を進めるとともに、新卒採用と同様に中途採用の強化を行い、優秀な人材確保に取り組んでいまいります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績等の状況の概要

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度(2021年4月~2022年3月)の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の増減の波が続く中、景気回復は続いているものの、勢いは弱まってきております。さらに、第4四半期に入ってからは、ロシアによるウクライナ侵攻に対して各国が経済制裁を発動し、それに伴った資源や食糧の高騰で、特に欧州経済は大きな影響を受けております。米国は、堅調な雇用状況と個人消費に支えられ、景気は順調に回復しておりますが、金利引き上げにより、鈍化する可能性があります。また、日米の金融政策の違いにより、為替相場は急激な円安となり、日本経済にとっては、輸入物価上昇が資源高に追い打ちをかけることになり、個人消費は強い下押し圧力を受け、先行きは不透明であります。

当社グループの属する電子部品業界におきましては、自動車関連市場では、前期から続いていた半導体不足がいまだ収まっておらず、自動車メーカー各社は生産調整を強いられております。移動体通信関連向けにつきましては、5G対応製品が牽引しているものの、やはり半導体不足の影響があり、回復状況は不透明であります。

半導体不足やその他電子部品の不足、原材料の高騰、物流の混乱については解消の目途がついておらず、新型コロナウイルス感染症の収束も見通せない中、先行きは不透明であります。

 

このような状況の下で、当社グループでは、移動体通信関連向け、自動車関連向けの売上は増加したものの、アミューズメント関連向けでは、新型コロナウイルス感染症による海外政府のロックダウン政策により、当社海外主力工場が一時的に稼働停止したことが影響し、全体では売上が減少いたしました。

 

これらの結果、当連結会計年度の連結売上高は、207,608百万円(前連結会計年度比11.3%減)となりました。利益面では、営業利益は、11,725百万円(前連結会計年度比5.3%減)、経常利益は、為替相場変動に伴う為替差益3,558百万円を計上し、15,786百万円(前連結会計年度比17.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、11,901百万円(前連結会計年度比15.1%増)となりました。

 

報告セグメントの売上高及びセグメント利益は、次のとおりであります。

 

機構部品につきましては、移動体通信関連向けが増加したものの、アミューズメント関連向けが減少したことにより、177,211百万円(前連結会計年度比12.9%減)、セグメント利益は9,078百万円(前連結会計年度比10.6%減)となりました。

音響部品につきましては、移動体通信向けが減少したものの、自動車関連向けが増加したことにより、13,817百万円(前連結会計年度比11.6%増)、セグメント利益は1,148百万円(前連結会計年度比451.9%増)となりました。

表示部品につきましては、自動車関連向けが増加したものの、家電関連向けが減少したことにより、8,431百万円(前連結会計年度比1.4%減)となったものの、セグメント利益は213百万円(前連結会計年度比26.0%増)となりました。

複合部品その他につきましては、健康機器関連向けが減少したことにより、8,147百万円(前連結会計年度比14.5%減)、セグメント利益は1,284百万円(前連結会計年度比30.3%減)となりました。

 

(注)各セグメント別の売上高は、外部顧客への売上高にセグメント間の内部売上高又は振替高を加算したものです。

なお、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (セグメント情報等)」に記載のとおり、当連結会計年度より、報告セグメントごとの売上高及び利益又は損失の測定方法を変更しております。

また、前連結会計年度のセグメント情報は、変更後の方法により作成したものを記載しております。

 

当連結会計年度末の総資産は、現金及び預金、有価証券が減少したものの、棚卸資産、有形固定資産の増加等により前連結会計年度末比9,630百万円増の171,525百万円となりました。また、負債につきましては、その他流動負債が増加したものの、仕入債務の減少等により前連結会計年度末比652百万円減の51,991百万円となりました。

なお、純資産は、利益剰余金の増加等により前連結会計年度末比10,282百万円増の119,533百万円となり、自己資本比率は69.7%となりました。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ7,042百万円減少(前連結会計年度末は6,873百万円の増加)し、当連結会計年度末には62,479百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金は、1,230百万円の減少(前連結会計年度は12,590百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益16,306百万円(前連結会計年度は税金等調整前当期純利益13,330百万円)、減価償却費3,185百万円(前連結会計年度は3,136百万円)、売上債権の減少2,183百万円(前連結会計年度は932百万円の減少)、棚卸資産の増加13,115百万円(前連結会計年度は3,809百万円の増加)、仕入債務の減少7,274百万円(前連結会計年度は2,022百万円の増加)、その他負債の増加1,687百万円(前連結会計年度は250百万円の増加)法人税等の支払3,942百万円(前連結会計年度は3,063百万円)によるものであります。

 

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金は、3,059百万円の減少(前連結会計年度は2,360百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出3,823百万円(前連結会計年度は2,663百万円)によるものであります。

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金は、3,748百万円の減少(前連結会計年度は3,860百万円の減少)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出1,775百万円(前連結会計年度は1,987百万円)、配当金の支払1,411百万円(前連結会計年度は1,461百万円)によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

 a.生産実績

  当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

機構部品

179,350

△11.0

音響部品

15,113

23.5

表示部品

9,110

6.9

複合部品その他

8,543

△12.5

合計

212,117

△8.6

  (注)  金額は販売価格により表示しております。

 b.受注実績

  当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

機構部品

185,500

△7.8

49,867

19.9

音響部品

14,475

12.8

4,238

18.4

表示部品

9,789

△7.3

6,217

27.9

複合部品その他

8,928

7.8

3,279

31.2

合計

218,694

△6.1

63,603

21.1

  (注)  金額は販売価格により表示しております。

 c.販売実績

  当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

機構部品

177,211

△12.9

音響部品

13,817

11.6

表示部品

8,431

△1.4

複合部品その他

8,147

△14.5

合計

207,608

△11.3

  (注)1  主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

任天堂㈱

155,861

66.6

118,013

56.8

Samsung Electronic Vietnam

Thai Nguyen

23,169

11.2

2  金額は販売価格により表示しております。

3  当該割合が100分の10未満の金額及び割合については、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析につきましては、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

当社をとりまく事業環境は非常に競争が激しく、アミューズメント関連部品や移動体通信関連部品等の当社グループ主力製品の需要は、これらが搭載される最終商品の需要の変動に大きく影響を受けます。またエレクトロニクス業界における頻繁な新技術の導入は、当社グループの需要動向の予測や研究開発活動の動向と密接に関わっており、経営成績に重大な影響を与える要因となっております。

 

当社は、売上高及び営業利益を経営上の目標としており、当連結会計年度の目標値は、売上高は260,000百万円、営業利益は11,500百万円としておりました。実績値は、売上高は207,608百万円、営業利益は11,725百万円となりました。

売上高につきましては、新型コロナウイルス感染症による海外政府のロックダウン政策により、当社海外主力工場が一時的に稼働停止となったことが大きく影響したほか、半導体不足等による顧客の減産もあり、目標達成にはいたりませんでした。

営業利益につきましては、上述の海外主力工場の一時稼働停止による減収が影響したものの、移動体通信関連向けが好調であったこと、減価償却費が想定よりも少なかったこと、為替が円安に推移したことにより、目標を達成いたしました。

 

②キャッシュ・フローの分析

  キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

  当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次の通りです。

  当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。

  当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

  短期運転資金は、自己資金及び銀行等金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金、銀行等金融機関からの借入及び新株予約権付社債の発行などによる調達を基本としております。

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

  当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

  当社は、連結財務諸表の作成に際し、貸倒債権、棚卸資産、投資、法人税等、退職金や偶発事象等に関し、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。見積りには、特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合もあります。

(貸倒引当金)

  債権の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。

(棚卸資産の評価)

  棚卸資産の評価につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

(退職給付費用及び退職給付に係る負債)

  従業員の退職給付に備えるため、各連結会計年度末における退職給付債務及び年金資産の見込額に基づき引
当計上しております。これらは割引率、昇給率、死亡率、年金資産の長期期待運用収益率等の重要な見積りを加
味して計上しております。

(繰延税金資産)
  繰延税金資産については、将来の利益計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減
算一時差異について計上しております。なお、当該課税所得を見積るにあたって、前提とした条件や仮定に変更
が生じ、これが減少した場合、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

当連結会計年度における当社グループの主な開発製品の研究開発費の総額は2,187百万円であります。

また、当連結会計年度における主な開発製品の研究開発活動のセグメントごとの状況は、次のとおりであります。

 

(1)機構部品における研究開発

①高速伝送化が進む自動運転・先進安全システムに用いられるECU(Electronic Control Unit)や多チャンネル化と高帯域化が進む5G・V2X等の通信用ECUのインターフェース用途として、世界最小クラスサイズの「車載用超小型同軸コネクタ(クアッド対応)」を開発いたしました。ダイキャストハウジング構造を採用したレセプタクルは、自動車メーカーが求める高い堅牢性とEMC(Electromagnetic Compatibility)特性を高次元で両立するとともに、信号端子が隣接することによって発生するクロストークを制御する独自構造によって、広帯域化を実現いたしました。従来のシングルタイプ(HVE1282)を4個並列実装するのに対し、基板占有面積を約60%縮小でき、ECUのさらなる小型化に貢献いたします。また、多連コネクタ特有の課題である「コネクタ挿抜力の増大」も抑制いたします。4ポートのコネクタ接続を1回の嵌合で完了することができ、作業工程を低減いたします。次世代Ser/Des(Serializer/Deserializer)や次世代通信規格の周波数帯域を網羅するDC~10GHzの広帯域を確保しており幅広い用途に使用可能であります。

(2)表示部品における研究開発

①現在、太陽電池で主流のシリコン系太陽電池は高温プロセスを必要とするため、製造過程の電力消費量が大きく、生産コストが割高になっていることが課題でありました。ペロブスカイト型太陽電池は低温プロセスにより製造されるため、製造過程の電力消費量が小さく、主に有機材料を用いるため、生産コストの抑制が実現可能であります。加えて従来の有機系太陽電池よりも変換効率が高く、シリコン系も上回る性能が各研究機関から報告されており、軽量で柔軟性があるため、モバイル機器やIoT機器向け用途に適しております。将来、フィルム基材タッチパネルの製造ラインを活用することにより、フレキシブル太陽電池の量産も視野に入れ、ペロブスカイト型太陽電池事業に参入を計画しております。

②Ultraleap Limited社が開発した空中触覚技術と当社のタッチパネルで培った技術を融合させた製品の量産化を進めるため、Ultraleap Limited社と共同開発に関する契約を締結いたしました。空中触覚技術は次世代自動車用HMI(Human Machine Interface)などに用いられることが想定されております。また、空中で様々な大きさや形の触感を作り出すことができ、運転中に操作パネルを見ずに入力操作できる「空中アイフリー操作」が実現可能な技術であります。空中触覚技術は、複数の小型超音波スピーカの集束超音波により、機器と非接触の空中で触感を生成させる技術で、自動車用途のほか券売機、トイレ、エレベータ、ATMなど様々な分野での製品開発を進めて参ります。

③従来の静電容量式タッチパネルでは難しかった、反射率の低減と外光による見えにくさを改善した業界最高クラスの外光反射率0.4%を実現した自動車用「超低反射タッチパネル」を開発いたしました。従来の静電容量式タッチパネルはITOセンサの採用が一般的でしたが、本開発品は超低反射黒化Agメッシュセンサを採用し、カバーガラス、OCA(Optical Clear Adhesive)等の構成部材について光学設計の最適化により低反射を実現いたしました。また、メタルメッシュセンサの高感度特性に加え、偏光サングラス装着時の虹ムラ対策を行い、快適な操作性と高視認性を実現しております。

④ダイヤルなどの入力デバイスを、タッチパネルの画面上に自由に装着できる「デバイス・キャプチャ・キャパシティブ・タッチパネル(Device Capture Capacitive Touch Panel)」を開発いたしました。ダイヤルスイッチの中央部をくり抜いた入力デバイスを設置することで、ダイヤルインディスプレイスイッチとして実現でき、入力デバイスとタッチパネルの組み合わせにより、視認性に加え、違和感のない操作性と良好な感触を実現しております。独自に開発したフォース・センシング機能により、入力デバイスの押し込み操作を付加でき、4チャンネルのGPIOを搭載することで、ホストコントローラを介することなく、タッチ、ダイヤル、押し込みなど各種操作に連動した操作フィードバック(音や振動など)を制御することが可能となっております。車内ヒータスイッチなど車載機器向け用途に加え、券売機や産業機器など操作性の良い入力デバイスとなっております。

(3)複合部品その他における研究開発

①Bluetooth バージョン5対応のBluetooth Low Energyモジュールを開発いたしました。モジュールの実装形態は端面スルーホール形式を採用することで、メイン基板への実装後のはんだ付け状態を容易に確認でき、実装強度、耐衝撃性に優れております。高性能なパターンアンテナを搭載しており、小型でありながら、安定した通信を実現しております。今後、Bluetooth バージョン5.1認証を取得予定で、Bluetooth 5.0から導入された2Mモードにも対応しております。また、無線認証は日本、米国、カナダの認可の取得を予定しております。センサビーコンや医療機器、玩具などのワイヤレスアプリケーション向けに最適な製品となっております。

②無線通信基板上に防塵、防水用のシリコンコーティング剤を塗布すると一般的にアンテナ特性の劣化を招きますが、お客様指定のシリコンコーティング剤を使用し、アンテナチューニングを実施することで、アンテナ特性を最適化したBluetooth low energyモジュール技術を確立いたしました。無線通信品質評価試験で、他社汎用モジュールと比べて通信距離を3~4倍に延ばすことができ、安定した無線通信の実現が可能となっております。