文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、永年にわたり鉄道信号保安装置、踏切保安装置、運行管理システム等の製造・販売を中心に事業を展開してまいりました。鉄道をとりまく環境や関連技術が大きく変化する中、当社は一貫して高信頼・高品質な製品の提供と鉄道事業者のニーズに沿った製品開発を行い日本の鉄道の安全・安定輸送に貢献してきました。
当社グループは下記のとおり定めた企業理念のもと、今後も社会に貢献していきたいと考えております。
①安全で信頼性の高い製品と質の高いサービスを提供し、より快適な社会の実現に寄与する
②新技術に挑戦するとともに、会社の発展と社員の幸福を追求する
③健全な企業活動を通じて、社会に貢献し環境との調和を図る
当社グループの主要なお客様である鉄道事業者においては、堅調な個人消費やレジャー需要、インバウンド需要の継続等により、鉄道旅客需要は堅調に推移しております。その一方で、生産年齢人口の減少に伴い、列車運行やメンテナンス業務の効率化・省人化を進めることが急務となっており、それを実現する新たな技術の導入が強く求められる状況となっています。
このような中、当社グループは、3ヶ年毎に中期経営計画を策定し、めまぐるしく変化する事業環境に対応しつつ、これまで培ってきた鉄道の安全・安心を実現する技術を基盤とし、さらなるデジタル化の推進やAI活用等新しい技術を取り入れた開発にも挑戦し、安全・快適で効率的な鉄道運行をグループ一丸となり支えるとともに、産業機器や民生品への応用展開にも努め、社会に貢献してまいります。
2024年4月からスタートした中期経営計画「PLAN2026」においては、これまでの経営施策の継続に加え、「成長戦略」として、新規技術開発の比率を高めるとともに、施工・運用・保守の容易性等の顧客ニーズに沿った製品作りを進めております。「戦略基盤」として、財務基盤の強化や財務規律の遵守、拠点の再編と強化、情報システムの高度化等にも取り組んでおります。また、「戦略推進力」として、成長戦略に即した人材育成・事業展開に即応できる柔軟な人材育成等を推進してまいります。当社グループは今回の「PLAN2026」、さらには次期の「PLAN2029」を経て当面の到達点と定めている2030年に向けて、 鉄道信号ビジネスを通じて社会に貢献してまいります。
受注高、営業利益、ROE(株主資本当期純利益率)を主な経営指標としております。
②会社の対処すべき課題
当社のコアビジネスである鉄道信号関連事業について、物価上昇や人手不足等わが国経済に不透明な面がありますが、鉄道業界においては、旅客需要の回復を背景に、設備投資や維持更新費の回復継続が期待され、また、半導体を中心とする部品不足についても改善が期待されます。このような中、売上と利益の確保の観点より、引き続き、中長期的な縮小環境下における市場の確保と新規獲得に努めながら、生産面の効率化・管理強化、経費節減に努めてまいります。
また、ビジネス基盤拡大の観点では、技術面で、汎用性のあるシステム開発や将来の信号システムに向けた各種開発着手、及び保有技術を用いた新ビジネスの提案を実施し、市場のニーズに対応してまいります。
海外市場につきましては、米国における関税政策の影響をはじめ、ウクライナ情勢の長期化など地政学リスクが高まっていますが、世界的情勢を見極めながら慎重かつ入念に準備を進めてまいります。
また、経営基盤の強化に関し、ROEやPBRをはじめとする経営指標を意識し、コストダウン等による利益率向上、政策保有株式の縮減等の財務体質強化、株主還元の充実を進めてまいります。製品品質とコンプライアンスについては従来通りすべての基盤と位置付けているほか、「人的資本施策」についても適宜情報を開示してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループでは、鉄道という環境にやさしい社会基盤の安全・安心・快適を支える企業として、製品・サービスを含む企業活動全般を通じて持続的でより快適な社会の実現とグループの発展を目指して「サステナブル経営」を中期経営計画「PLAN2026」に明記し、取り組みを進めております。
「サステナブル経営」の進捗は、経営計画の進捗管理とともに、代表取締役社長 浦壁俊光が議長となる経営会議へ報告し、目標達成に向けた課題への対応方針の確認と関係部署との横通しを行うとともに、取締役会へ報告しております。
当社グループでは、中期経営計画「PLAN2026」の取り組みの中で「サステナブル経営」を掲げ、「環境」「人材育成」「企業統治」の観点で取り組んでおります。
「環境」については、生産拠点における再生可能エネルギー導入によるCO2排出削減に取り組んでおります。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針
当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。
当社グループでは、中期経営計画「PLAN2026」において、サステナブル経営の推進方針を明確にするとともに多様性の確保に向けてジェンダー平等に向けた数値目標を定めております。また、人材にかかわる重点テーマ「成長の推進力」では従業員がその能力を存分に発揮し輝ける環境整備と、労働人口の減少に備えた「多様な働き方」への対応を積極的に実施し、成長戦略を支える人材の確保・育成を進めております。
人材の確保においては労働者不足への対応、生産性向上等の観点から、性別や年齢等に関係なく優秀な人材を確保するため、新卒を対象とした定期採用に加え、即戦力として期待できるキャリア採用も積極的に行っております。
人材の育成においては社内研修を重要な経営戦略として位置づけており、社員の育成に力を入れています。社員向けに実施する研修の9割以上を内製化しており、社内事例を共有しながら実践的な知識を得られるメリットも生まれています。低コストかつ高頻度で社内研修を実施でき、カリキュラムも階層別のほか、系統別等の社員が参加しやすい形にアレンジする等研修参加のチャンスを増やす工夫が凝らされているのも特徴です。
当社グループのサステナビリティ関連のリスクの識別及び優先的に対応すべきリスクの絞り込みについては、当社グループに与える財務的影響、当社グループの活動が環境・社会に与える影響、発生可能性を踏まえて検討し、抽出された重要なリスクは、経営会議の決議を経て戦略・計画に反映し、取締役会へ報告しております。
また、自然災害やパンデミック、サプライチェーンに関わるリスクに対し事業継続計画を策定して備えております。
当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した環境に関する方針について次の指標を用いており、当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
なお、当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した環境に関する方針に係る指標については、現時点では連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社及び一部のグループ会社のものを記載しております。
CO2排出量削減に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績
当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
なお、当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属するすべての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績
経営の最重要課題として製品の品質管理の徹底・品質の向上に取り組んでおります。当社グループの鉄道信号関連事業は、鉄道交通の安全・安心に係る事業であり、列車運行の安全を支える製品(ATC(自動列車制御装置)・運行管理システム等のシステム製品及びATS(自動列車停止装置)・集中監視装置・電子踏切装置・軌道回路・リレー等のフィールド製品)をお客様に提供するために、品質のさらなる向上と過去発生した不具合発生事象の再発防止を徹底しています。しかしながら、当社グループの取り組みの範囲を超える品質問題が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼすリスクが考えられます。
鉄道業界においては、コロナ禍を脱して出社回帰等に伴う定期利用の安定推移やインバウンドを中心にレジャー需要の中長期的な増加基調が見込まれることにより鉄道旅客事業も堅調に推移することが期待されます。これに伴い、当社業務に関わる設備投資や維持更新費も回復基調の継続が期待されますが、長期的には、コロナ禍を契機に、鉄道事業者各社の効率化・省人化による構造改革への取り組みが進み、設備や業務のスリム化が進められることも予想されます。今後とも、鉄道事業者の設備投資計画如何によっては、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼすリスクが考えられます。
鉄道信号コア技術の堅持と新技術への挑戦に努めていますが、当社グループを取り巻く事業環境は、少量多品種の製品が求められ、製造に要する期間が長くなる製品も少なくないことから、製造期間が長い製品の受注が集中した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼすリスクがあります。当社グループとしては、永年培ってきたユーザーとの信頼関係をベースに、お客様満足度の向上に注力するとともにきめ細かい営業活動の展開により適正な受注の確保を図ってまいります。
また、当社製品の部材の多くは海外製品に依存しており、為替変動の影響を、調達先を通じたコスト増の形で受けることがあります。特に、原材料費上昇や半導体を中心とする部品・素材調達の不安定な状況が長期的に継続する懸念等、取り巻く環境の厳しさが増すことも想定されますが、これまで以上に、生産体制の効率化等に取り組んでまいります。
製造リスクの分散の観点から、当社グループの製造拠点等は、東京・福島・山梨・盛岡に分散しています。しかしながら、地震や洪水、台風、火山噴火等の大規模自然災害やテロ等が発生した際は、生産能力の低下等が懸念され当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼすリスクが考えられます。
また、当社の海外事業に関しては、海外輸出先における政治的及び社会的要因、経済の動向等様々な要因により、事業開発に悪影響を受ける可能性があります。
加えて、グループ会社における火災被害の経験を踏まえ、再発防止の実施を進めるとともに、万一火災が発生した場合も被害の最小化に努めてまいりますが、被害規模によっては、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼすリスクが考えられます。
(5) 将来に関する事項について
以上に記載している将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月27日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業の業績が堅調に推移し、雇用と所得環境の改善に加え、インバウンド需要の継続等を背景に、回復基調を維持いたしました。しかしながら、米国の今後の政策の不確実性による景気への影響のほか、ウクライナ情勢等の長期化や中東情勢の緊迫化、及びエネルギーや資源価格の高騰長期化等、景気の先行きは依然として不透明な状況となっております。
当社グループの主要なお客様である鉄道事業者においては、企業における出社回帰に伴う定期利用者の回復傾向、堅調な個人消費やレジャー需要、及びインバウンド需要の継続等により、鉄道旅客需要は堅調に推移しております。当社グループに関連する設備投資や維持更新費についても回復基調にあり、当社グループの安定的な受注につながっているものと考えられます。
このような中、当社グループは、中期経営計画「PLAN2026」の初年度として、重点テーマである、収益の基盤となる製品・サービスの競争力の維持と拡大、社会の要求にこたえる製品・サービス分野の開拓、及び既存の技術・ノウハウによる新たな事業への展開等に取り組んでおります。
鉄道信号部門では、製品のライフサイクルコスト(LCC)を意識し、鉄道事業者ニーズに合致した製品開発を進めております。例えば、車軸センサによる安全性を確保した列車検知装置(アクスルカウンタ)の開発への取り組みは、従来の方式と比較すると大幅に設備の省力化を図れるものであり、鉄道業界全体の課題でもある、今後の人材不足に備えた新たな信号設備の開発が形になりつつあります。
このほか、日本空港ビルデング株式会社の新たな取り組み「terminal.0 HANEDA」(ターミナル・ゼロ・ハネダ)へ参画し、実証実験の開始ならびに新規案件の受注へ展開する等、鉄道分野で培った技術を生かし新たな事業への戦略展開等へ取り組んでおります。
また、これらを支える財務基盤強化の一環として、政策保有株式の縮減や自己株式取得の実施にも取り組んでおります。
この結果、当連結会計年度の経営成績は売上高219億14百万円と前年同期比11億45百万円(5.5%)の増収となりました。
営業利益は11億52百万円と前年同期比1億44百万円(△11.1%)の減益、経常利益は12億62百万円と前年同期比1億33百万円(△9.6%)の減益、親会社株主に帰属する当期純利益は15億42百万円と前年同期比9億71百万円(170.2%)の増益となりました。
セグメント別の経営成績を示すと、次のとおりであります。
(鉄道信号関連事業)
鉄道信号関連事業につきましては、売上高は203億42百万円と前年同期比11億14百万円(5.8%)の増収、セグメント利益は25億73百万円と前年同期比35百万円(1.4%)の増益となりました。
(産業用機器関連事業)
産業用機器関連事業につきましては、売上高は11億66百万円と前年同期比1百万円(△0.2%)の減収、セグメント損失は6百万円(前年同期はセグメント利益43百万円)となりました。
(不動産関連事業)
不動産関連事業につきましては、売上高は4億4百万円と前年同期比32百万円(8.8%)の増収、セグメント利益は1億58百万円と前年同期比26百万円(19.9%)の増益となりました。
② 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べて7億32百万円増加し、454億1百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べて5億64百万円増加し、164億85百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて1億68百万円増加し、289億15百万円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、34億96百万円と前連結会計年度末と比べ2億48百万円の減少となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、減少した資金は5億円(前連結会計年度は17億7百万円の増加)となりました。これは、税金等調整前当期純利益により23億14百万円資金が増加しましたが、棚卸資産の増加により12億30百万円、仕入債務の減少により8億87百万円それぞれ資金が減少したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、減少した資金は3億67百万円(前連結会計年度は7億29百万円の減少)となりました。これは、投資有価証券の売却により6億89百万円資金が増加しましたが、有形及び無形固定資産の取得により12億51百万円資金が減少したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、増加した資金は6億18百万円(前連結会計年度は14億23百万円の減少)となりました。これは、これは、自己株式の取得により9億23百万円資金が減少しましたが、短期借入金の借入により18億50百万円資金が増加したこと等によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は販売価格によっております。
2 不動産関連事業は、生産形態をとらない事業活動のため記載しておりません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 不動産関連事業は、受注形態をとらない事業活動のため記載しておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績及び現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性を伴うため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は次のとおりであります。
連結子会社の株式会社三工社とともに当社グループをあげて品質管理の徹底、生産性の向上、経費の削減に努めるとともに、受注の獲得と拡大に取り組んでまいりました。この結果、当連結会計年度の経営成績は売上高219億14百万円と、前年同期比11億45百万円(5.5%)の増収となりました。
利益につきましては、きめ細かい生産体制の見直しを行うとともに営業活動の効率化等に努めたものの材料価格の上昇等の影響を受けた結果、営業利益は11億52百万円と前年同期比1億44百万円(△11.1%)の減益、経常利益は12億62百万円と前年同期比1億33百万円(△9.6%)の減益、親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券の売却及び前年度(2023年9月)に発生したグループ会社の火災にかかる保険金の受取等により15億42百万円と前年同期比9億71百万円(170.2%)の増益となりました。
受注高につきましては、232億93百万円と前年同期比4億33百万円(1.9%)の増加となりました。
ROEにつきましては、6.4%(前年同期は2.4%)となりました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・内容検討は、次のとおりであります。
(鉄道信号関連事業)
鉄道信号関連事業につきましては、運行管理・伝送装置や電子連動装置等のシステム製品や、軌道回路等のフィールド製品が増加し、売上高は203億42百万円と前年同期比11億14百万円(5.8%)の増収、セグメント利益は25億73百万円と前年同期比35百万円(1.4%)の増益となりました。
受注面では、システム製品は減少しましたが、軌道回路等のフィールド製品が前年を上回り、受注高は221億47百万円と前年同期比5億21百万円(2.4%)の増加となりました。
(産業用機器関連事業)
産業用機器関連事業につきましては、非接触耐熱IDシステムや空港関連設備は増加しましたが、鉄道車両用自動すきま調整器等が減少し、売上高は11億66百万円と前年同期比1百万円(△0.2%)の減収、セグメント損失は6百万円(前年同期はセグメント利益43百万円)となりました。
受注面では、鉄道車両用自動すきま調整器等が減少し、受注高は11億45百万円と前年同期比88百万円(△7.1%)の減少となりました。
(不動産関連事業)
不動産関連事業につきましては、テナント入居率向上により、売上高は4億4百万円と前年同期比32百万円(8.8%)の増収、セグメント利益は1億58百万円と前年同期比26百万円(19.9%)の増益となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
(資産の部)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて9億56百万円増加し、274億39百万円となりました。これは、受取手形及び売掛金が11億77百万円減少しましたが、契約資産が12億11百万円、棚卸資産が12億30百万円それぞれ増加したこと等によるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて2億24百万円減少し、179億61百万円となりました。これは、建物及び構築物が7億85百万円増加しましたが、投資有価証券が8億37百万円、建設仮勘定が5億94百万円それぞれ減少したこと等によるものです。
(負債の部)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて8億61百万円増加し、116億77百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が8億87百万円減少しましたが、短期借入金が18億76百万円増加したこと等によるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて2億97百万円減少し、48億8百万円となりました。これは、長期借入金が1億28百万円、製品補修引当金が83百万円それぞれ減少したこと等によるものです。
(純資産の部)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて1億68百万円増加し、289億15百万円となりました。これは、株主資本が自己株式の取得により9億23百万円減少しましたが、利益剰余金が13億64百万円増加したことにより4億41百万円増加したこと等によるものです。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて7億32百万円増加し、454億1百万円となりました。
キャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループは、事業活動にかかわる資金については、現在及び将来にわたって必要な営業活動及び債務の返済などに備えるために、自己資金のほか金融機関からの借入により資金調達を図っております。当社グループは長期・短期のバランスを考慮して安定的に資金調達を図っております。
③ 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは受注高、営業利益、ROEを主な経営指標としております。当連結会計年度の受注高は、232億93百万円と4億33百万円(1.9%)の増加、営業利益は11億52百万円と前年同期比1億44百万円(△11.1%)減益となり、ROEは、6.4%(前年同期は2.4%)となりました。
鉄道信号業界はインバウンドを中心としたレジャー需要等の継続を背景に、鉄道旅客需要も堅調であり、設備投資及び維持更新費は回復基調にあります。また、安全確保と生産性向上を目的とした鉄道車両や鉄道施設をモニタリングする装置の導入を進める等、安全性向上や省人化を実現する装置へのニーズがより高まっております。このような中で売上高につきましては、前年対比5.5%の増収となりました。きめ細かい生産体制の見直しを行うとともに営業活動の効率化等に努めたものの材料価格の上昇等の影響を受け営業利益、経常利益ともに前年同期より減少しましたが、投資有価証券の売却及び前年度(2023年9月)に発生したグループ会社の火災にかかる保険金の受取等により、親会社株主に帰属する当期純利益及びROEは増加しました。
鉄道事業者の設備投資及び維持更新費の回復基調が続く中、受注高は前年同期より増加しておりますが、受注の更なる回復や既存受注案件の再進捗等の期待のもと、売上・利益の確保維持に注力し、引き続き営業利益、ROEの改善に努めてまいります。
(注)各指標はいずれも当社連結ベースの財務数値を用いて算出しています。
・ROE:親会社株主に帰属する当期純利益/期首・期末平均自己資本×100
今後の経済見通しにつきましては、国内経済は、食料価格高騰の影響等から個人消費の伸び悩みが懸念されますが、実質賃金の回復、先行きの賃金改善期待から、緩やかに持ち直すと考えられます。また、企業の設備投資についても堅調な企業収益や省力化投資への対応等を背景に、持ち直し傾向が続くと考えられます。
一方で、世界経済は、米国における関税政策の動向やウクライナ情勢の長期化をはじめとする各地での地政学リスクの高まりにより、先行き不透明な状況が続いています。これら国際経済環境が国内に及ぼす影響は予断を許さないものと考えられます。
当社の主要なお客様である鉄道業界に関しては、インバウンドを中心としたレジャー需要等の継続を背景に、鉄道旅客需要も堅調であり、設備投資及び維持更新費は回復基調にあります。また、安全確保と生産性向上を目的とした鉄道車両や鉄道施設をモニタリングする装置の導入を進める等、安全性向上や省人化を実現する装置へのニーズがより高まっております。
このような環境変化を踏まえて、2024年度からスタートした中期経営計画「PLAN2026」のもと、鉄道事業者の大規模な設備投資計画の縮小や定期更新ニーズの減少に合わせた製品開発や生産管理を心掛けつつ、性能面でも保守管理の容易性等の付加価値を実現することを目指し、「成長戦略」・「戦略基盤」・「戦略推進力」を軸に、引き続き企業価値の向上に取り組んでまいります。
「PLAN2026」2年目も継続して収益の基盤となる製品・サービスの競争力維持と拡大、社会の要求にこたえる製品、サービス分野の開拓、既存の技術・ノウハウによる新たな事業への展開等の戦略展開を実施しつつ、それらを支える財務基盤の強化や情報システムの高度化、グループ間の連携強化に取り組みます。
併せて、成長戦略に即し、事業展開に即応できるよう、柔軟性・多様性を有する人材育成に取り組む等、人的資本経営を推進します。
加えて、環境問題や格差拡大等深刻化する社会問題への対応と社会全体の持続性への配慮を「サステナビリティ」という形で当社グループのすべての活動の基盤とするべく、注力してまいります。
なお、福島県浅川事業所近隣に購入した工場施設も大同信号電器新工場として、2024年4月より安定的な受注に対応する生産拠点として稼働しております。
引き続き、品質管理の徹底・生産性の向上・経費の削減に努め、受注の獲得と拡大に取り組んでまいります。
該当事項はありません。
当連結会計年度の研究開発活動は、鉄道信号技術や情報通信技術を研究するほか、長期的な見地から応用技術の研究開発にも取り組んでおります。
当連結会計年度の研究開発費の総額は
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
(1) 鉄道信号関連事業
鉄道信号関連事業での主な研究開発は、踏切関連機器、列車検知関連機器、列車制御関連機器、連動閉そく関連機器、運行管理・設備監視関連システムなどで、研究開発費の金額は
(2) 産業用機器関連事業
産業用機器関連事業での主な研究開発は、特殊車両における制御装置、防災設備用通信機器、保有技術を活かした新ビジネス製品の創出などで、研究開発費の金額は