第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 経営方針・経営戦略等

当社グループ(当社及び連結子会社)は、着実な財務体質の改善を背景に、「センサ&モジュールのHOKURIKU」という価値創造型企業への転換を経営方針として、時代にマッチした製品の提供と収益力の強化を通じて当社グループの企業価値の向上ひいては株主共同の利益の持続的確保を課題といたしております。

その具体的実現の一環として、2017年に、㈱メイコーと包括的業務提携契約を締結し、電子機器のモジュール実装事業を中心に、当社のセンサ・抵抗器事業、㈱メイコーの電子回路基板事業など、両社の経営基盤の有効活用に取り組んでおり、また、2018年には、無線モジュールの企画、設計・販売を行っている野村エンジニアリング㈱を子会社化することで、無線関連事業の強化・拡大に取り組んでおります。

(2) 経営環境・優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

エレクトロニクス市場は、自動車電子化の進展、機器の高機能化、IoTなど、技術革新が進んでおります。当社グループとしては、このような変革する市場ニーズにマッチした製品の提案が急務であり、収益性の向上と財務体質のさらなる強化が喫緊の課題と認識しております。

(3) 新型コロナウイルス感染症の影響

新型コロナウイルスの世界的感染拡大による社会的規制および行動変容により、当社グループにおきましては以下の影響が想定されます。

①操業規制による中国およびアセアン子会社の生産性低下

②自動車関連メーカーなど供給先の減産に伴うモジュール製品、センサ等の受注減

③人工呼吸器などの医療機器向け電子部品の増産対応

④所得環境の悪化および外出自粛に伴う自動車、家電等、モノの買い控え

⑤テレワーク、オンライン学習、ネットショッピングなど新しい生活様式を実現するための5Gやキャッシュレス決済などICTインフラ普及に伴う新規需要の増加対応

これらのうち、①~③はある程度一時的なものと考えており、④につきましては影響の程度や期間が不透明ではあるものの、中期的には自動車の電子化進展、通信機器の高機能化に伴い、電子部品需要は回復から増加に向かうものと考えております。

また、⑤につきましては、当社の経営方針・経営戦略にマッチした環境変化でありますので、保有技術の融合を図ることで新分野への参入に取り組んで参ります。

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2020年3月31日)現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

(1) 財政状態および経営成績の異常な変動

①経済変動の影響

当社グループは国内外で、主として抵抗器、モジュール製品等の電子部品を製造販売しております。当社グループ製品の大部分は顧客であるメーカーに販売されるため、経済動向に左右される可能性のある顧客の生産水準が当社グループの事業に大きく影響いたします。従って、当社グループは直接あるいは間接的に日本、欧米、アジアの各市場における経済状況の影響を受ける可能性があり、各市場における景気後退などは当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

②価格競争の影響

電子部品の価格は、厳しい値下げ要請や同業者間の熾烈な競争により、恒常的に低下する傾向にあり、さらに一部の製品については、中国を中心とする東アジア地域の電子部品メーカーが低労務コストを背景に低価格品を販売しており、価格競争はさらに激化すると予想されます。

これに対して当社グループは、継続的かつ積極的なコストダウンを推進し、売上の拡大や収益性の向上に努めておりますが、価格競争の一層の激化により、不測の事態が発生し、当社グループの事業、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

③原材料や部品の供給による影響

当社グループは、製品の製造に使用する原材料や部品を複数のサプライヤーから調達しています。これらのサプライヤーとは、安定的な取引を行っておりますが、市況の変化による価格の高騰、品不足、品質問題、製造の中止、取引条件の変更等、原材料や部品の不足が生じる可能性があります。その場合、製造原価の上昇、生産調整さらには生産停止を招く等、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、技術革新のスピードが速く、価格競争が激しい電子部品業界に属しています。そのため、顧客からの発注及び発注見通し並びに市場動向の分析に基づき生産計画を決定していますが、想定外の市場環境の変化などにより過剰在庫が生じる可能性があります。当該過剰在庫に係る評価損の計上により業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

④技術革新の動向

当社グループが属する電子部品業界は、技術革新のスピードが速く、顧客要求の変化も頻繁であり、将来にわたって当社グループの売上高を維持・拡大していくためには、革新的な新製品の開発を適切なタイミングで実施していくことが重要となっております。

当社グループでは、新技術や新製品開発に必要な研究開発投資を積極的に行っておりますが、実行した研究開発投資は必ずしも将来の売上高ならびに収益向上に結びつくとは限らず、また、急速な技術革新に当社が遅れをとった場合、当社グループの事業、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑤急激な外国為替および株価の変動

当社グループの当連結会計年度の海外売上高の割合は、68.4%(前期は69.0%)と高水準にあり、為替変動の影響を強く受けております。このため、為替予約および外貨建仕入の増加策等によるリスクヘッジを行っておりますが、これにより当該リスクを完全に回避できる保証はありません。

また、当社グループでは時価のある有価証券を保有しており、株価の下落や低迷により、有価証券の減損が必要となるリスクがあります。

これらのリスクにより、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑥減損会計の適用

今後、減損の兆候がある資産グループについて、将来のキャッシュ・フローにより固定資産の簿価を回収できないと判断される場合には、減損損失の計上により、当社グループの事業、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑦税務に関するリスク

当社グループは、国外に製造拠点、販売拠点を有しており、グループ会社間の取引も多く発生しております。グループ会社間の国際的な取引価格に関しては、適用される各国の移転価格税制等の観点からも適切な取引価格となるよう留意しております。しかしながら、税務当局または税関当局との見解の相違等により、取引価格が不適切であるとの指摘を受け追加の税負担が生じる可能性があります。

また、繰延税金資産については、実現可能と見込まれる利益計画およびそれに基づく将来の課税所得の見込みにより、回収可能性の評価を行っております。将来において利益計画が実現できない場合等に、繰延税金資産に対する評価性引当金の積み増しが必要となり、当社グループの当期純利益および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 特定の取引先、製品、技術等への高い依存度

①モジュール製品の動向

液晶コントロールモジュールを主体とするモジュール製品の販売は、回路設計技術、高密度実装技術を背景として顧客の開発段階から参入し、資材調達、製造も含めた総合的な製品力を持って拡販するため、経営資源(人、物、金)投入の観点から、特定の顧客への依存度が高くなっております。

モジュール製品の当連結会計年度の売上高は20,415百万円(前期は25,893百万円)、連結売上高に占める割合は52.7%(前期は57.5%)であります。

モジュール製品は電子部品であり、消費者が使用する最終製品ではないため、その需要は、将来の予測できない顧客のパフォーマンスあるいはその市場の変化によって変動し、業績および財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

②新製品の拡販

当社グループは、成長分野であるカーエレクトロニクス、IT関連をターゲットに、MEMSセンサ、小型湿度センサ、超薄型圧電積層素子、極小チップ部品、無線モジュールなどの新製品の拡販を図っております。

当社グループの製品は主に電子部品であり、消費者が使用する最終製品ではないため、電子部品を使用して最終製品を作る顧客の動向およびその市場の変化に大きく影響を受けます。また、新製品開発では同業他社と激しい競争を行っており、同業他社が当社より優位な製品を先駆けて販売する可能性もあります。

上記リスクをはじめとして、将来、当社グループが予測していない状況変化が生じ、新製品の拡販が未達となった場合、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 中国依存度の高まり

当社グループは、中国を有望な成長市場として、また、コスト・納期面で有利な海外生産拠点として、事業戦略に位置づけておりますが、政治・社会・経済情勢に変化が起こった場合あるいは予期せぬ災害等が発生した場合、業績に悪影響を与える可能性があります。

(4) 製造物責任に係るリスク

当社グループは、技術革新著しいエレクトロニクス業界における顧客の厳しい要求に対応するため、国際品質マネジメント規格(ISO9001、IATF16949等)に従い、徹底した品質管理を行い、多様な製品を製造しておりますが、現時点での技術・管理レベルを超える事故が発生し、提供する製品に欠陥が生じる可能性があります。また、製造物賠償責任保険に加入しておりますが、賠償額を十分にカバーできる保証はありません。

当社製品に欠陥が生じ、リコールや製造物責任の追求がなされた場合は、多額のコストや当社グループに対する評価の低下を通じて、当社グループの事業、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(5) 国内外の法規制等のリスク

当社グループが事業を展開する国および地域における法令または規則の重要な変更は、当社の事業展開に影響を与え、種々の費用増をもたらすことが懸念されます。また、当社グループは、環境理念として、「地球環境の保全が人類共通の重要課題の一つであることを認識し、持続可能な社会の構築に向けて、企業活動のあらゆる面で環境の保全に配慮して行動する」ことを明示していますが、環境法令・規制の強化に伴う費用の増加が懸念されます。これらのことが、当社グループの事業、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(6) 気候変動・災害等のリスク

当社グループは、生産設備における定期的な災害防止検査・点検を実施しており、またBCP(事業継続計画)を策定、社員安否確認システムを構築し、緊急時の対応を定めていますが、災害などによる悪影響を完全に阻止または軽減できる保証はありません。異常気象・気候変動等による不可避的な地震や津波、台風や洪水、浸水、火山の噴火等の自然災害やそれに起因する大規模停電、電力不足および未知のウィルス感染症等によって大きな被害を受ける可能性があります。それらの影響を受け、製造中断、輸送ルート寸断、情報通信インフラの損壊等の被害が生じた場合等には、受注や供給が滞り、当社グループの事業、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

特に年初に発生した新型コロナウイルスは、いまだ収束の見通しは立っておりません。この影響が継続・拡大した場合は、当社や取引先の工場稼働の悪化要因になりサプライチェーンへも影響する等、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があるとともに、テレワークやWeb会議等を含め従業員の働き方にも影響を与える可能性があります。

(7) 情報セキュリティにおけるリスク

当社グループは、グループ内や取引先の機密情報や個人情報を有しています。これらの情報は、グループ全体で管理体制を構築し、外部流出、破壊、改ざん等がないよう、運用管理とITセキュリティ、施設セキュリティの強化、社員教育、訓練等を実施しております。しかしながら、悪意をもった外部からの攻撃や内部の過失等により、これらの情報の流出、破壊もしくは改ざんまたは情報システムの停止等が発生する可能性があります。

このような事態が生じた場合には、信用低下、損害賠償、復旧費用等の発生、または業務の停止等により、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の世界経済は、米国では堅調な個人消費が下支えし景気は底堅く推移したものの、欧州は製造業の低迷が長期化し、中国は米国による関税引上げ影響により、景気減速が続きました。さらに年明けから、新型コロナウイルスの感染拡大により、世界的に経済活動が停滞する状況となりました。

わが国におきましても、外需の減少に伴い輸出が低調に推移し個人消費も減速基調にあるなかで、新型コロナウイルス感染の影響により一層厳しい状況となりました。

そのような環境下、エレクトロニクス市場におきましては情報通信機器関連の停滞基調が続き、車載関連も電子化が進展しているものの自動車の生産台数が世界的に減少したことから、電子部品需要は弱含みで推移しました。

こうした状況のなかで、当社グループにおきましては新規分野への拡販を図る一方、引続き生産効率の改善に努めました。

その結果、当連結会計年度の経営成績は、モジュール製品の受注減を主因に、売上高38,711百万円(前期比△14.0%)、営業利益833百万円(同△38.0%)、経常利益918百万円(同△41.3%)、親会社株主に帰属する当期純利益663百万円(同△14.5%)となりました。

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

・電子部品

電子部品は、全般的な海外需要の不振に伴いモジュール製品の受注が減速したことを主因に、売上高37,823百万円(前期比△13.9%)、営業利益1,770百万円(同△22.6%)となりました。

・金型・機械設備

金型・機械設備は、金型の売上はほぼ前期水準となったものの機械設備の売上が停滞したことから、売上高784百万円(同△16.6%)、営業利益40百万円(同△5.2%)となりました。

・その他

その他は、商品仕入及び不動産業等にかかる事業であり、売上高は498百万円(同△14.6%)となり、営業利益は110百万円(同+5.8%)となりました。

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,015百万円増加し、6,020百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は6,863百万円となりました。これは、税金等調整前当期純利益900百万円、減価償却費1,163百万円に対し、売上債権が5,419百万円、たな卸資産が1,431百万円、それぞれ減少し、仕入債務の減少は1,989百万円に留まったことが主因であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は1,273百万円となりました。これは、固定資産の取得による支出1,221百万円などによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は3,610百万円となりました。これは、借入金の純減3,132百万円、配当金の支払い251百万円などによるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

電子部品(百万円)

37,556

△13.0

金型・機械設備(百万円)

656

+24.7

合計(報告セグメント)(百万円)

38,213

△12.6

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.商品仕入実績

当連結会計年度の報告セグメントに属していない「その他」に含まれる商品仕入実績を示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

その他(㈱大泉製作所商品仕入)

(百万円)

226

△27.2

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

電子部品

37,038

△17.1

6,212

△11.2

金型・機械設備

656

+24.7

165

+520.7

報告セグメント計

37,695

△16.6

6,377

△9.2

その他

331

△31.3

8

△81.4

合計

38,026

△16.8

6,386

△9.7

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.為替換算による差額等は、受注高に含めて調整しております。

 

d.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

電子部品(百万円)

37,823

△13.9

金型・機械設備(百万円)

518

△20.7

報告セグメント計(百万円)

38,341

△14.0

その他(百万円)

370

△17.1

合計(百万円)

38,711

△14.0

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

無錫夏普電子元器件㈲

7,724

17.2

7,251

18.7

3.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(事業全体の経営成績)

・売上高

売上高は、全般的な海外需要の不振に伴い、モジュール製品の受注が減速したことを主因に、前期に対し6,322百万円減少(前期比△14.0%)し、38,711百万円となりました。

・売上原価

売上原価は、売上高の減少に伴い、前期に対し5,563百万円減少(同△14.4%)し、33,009百万円となり、売上原価率は材料費率の高いモジュール製品の売上高ウエイトが低下したことから、85.3%と、前期に対し低下しました。

・販売費及び一般管理費

販売費及び一般管理費におきましては、減収に伴ない経費の抑制に努めた結果、前期に対し248百万円減少(同△4.9%)し、4,869百万円となりましたが、販管費率としては、12.6%と、前期に対し上昇しました。

・営業外損益(営業外収益及び営業外費用)

営業外損益の純額は85百万円の益(前連結会計年度は220百万円の益)となりました。前期は円安にシフトしたため、為替差益を236百万円計上しましたが、当期は為替差益が19百万円に留まったことが主因であります。

・経常利益

営業利益の減少および為替差益の減少を主因に、前期に対し646百万円減少し、918百万円(前期比△41.3%)となりました。

・特別損益(特別利益及び特別損失)

特別損益の純額は17百万円の損(前期は392百万円の損)となりました。前期は特別損失として、米国における集団民事訴訟の和解契約締結に伴なう訴訟和解金339百万円を計上しましたが、当期は特別利益、特別損失とも特段の計上はありませんでした。

・税金費用(法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額)

税金等調整前当期純利益は、900百万円となり、前期に対し272百万円減少(前期比△23.2%)し、法人税、住民税及び事業税は、49百万円の減少となりました。

また、法人税等調整額としては、前期は連結納税上の繰越欠損金を使い切り105百万円となりましたが、当期は△3百万円となりました。税金費用合計としては、前期に対し158百万円減少(同△40.1%)し、236百万円となりました。

・親会社株主に帰属する当期純利益

親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益、特別損益(損)、税金費用の計上などから、663百万円(同△14.5%)となり、1株当たり当期純利益金額は79.24円(前期は92.70円)となりました。

(事業全体の財政状態)

・現金及び預金

前期は受注回復に伴ない運転資金が必要となったことから、現金及び預金は減少しましたが、当期は受注減により生産水準が低下したことから、売上債権、たな卸資産が減少し、前期末に対し1,971百万円増加(前期比+37.5%)し、7,228百万円となりました。

・売上債権(受取手形及び売掛金)

売上高が減少基調となったことから、前期末に対し5,610百万円減少(同△42.3%)し、7,648百万円となりました。

・たな卸資産

生産の減少に伴ない、前期末に対し1,518百万円減少(同△22.3%)し、5,286百万円となりました。

・有形固定資産及び無形固定資産

減価償却費1,163百万円に対し、設備投資は1,484百万円となったことなどから、前期末に対し194百万円増加(同+2.0%)し、9,927百万円となりました。

・繰延税金資産

繰延税金資産は、法人税等調整額△3百万円(益)による増加などから、前期末に対し10百万円増加(同+0.8%)し、1,434百万円となりました。

・仕入債務(支払手形及び買掛金)

仕入債務は生産の減少に伴ない、前期末に対し2,075百万円減少(同△27.3%)し、5,526百万円となりました。

・退職給付に係る負債

勤務費用と利息費用の計上により221百万円増加し、退職給付の支払いにより305百万円減少した他、未認識数理計算上の差異が40百万円発生(負債減)したことなどから、当期末の退職給付に係る負債は、前期末に対し123百万円減少(同△2.6%)し、4,631百万円となりました。

 

・有利子負債(短期借入金、長期借入金)

有利子負債は、前期末に比べ3,132百万円減少(同△25.1%)し、9,338百万円となりました。

・純資産の部

純資産の部の合計は、前期末に対し15百万円増加(同+0.1%)し、12,656百万円となりました。

純資産の部の増減の概要は次のとおりであります。

株主資本は、親会社株主に帰属する当期純利益により663百万円増加しましたが、剰余金の配当により251百万円減少したことなどから、前期末に対し407百万円増加(同+3.3%)し、12,701百万円となりました。

その他の包括利益累計額は、アジア通貨安円高により為替換算調整勘定が286百万円減少したこと、株安によりその他有価証券評価差額金が174百万円減少したことを主因に、前期末に対し385百万円減少(同△113.4%)し、△45百万円となりました。

非支配株主持分は、当期において子会社の野村エンジニアリング㈱の株式を追加取得し、完全子会社としたことから、当期末は、残高がなくなりました(前期末は7百万円)。

(セグメントごとの経営成績等)

・電子部品

チップ抵抗器において車載向け受注の増加に対応し、国内において約4億円の増産投資を行った一方、モジュール製品においては、受注が減少基調となったことから、前期比減収減益となりました。

・金型・機械設備

金型の売上はほぼ前期水準となりましたが、機械設備の売上が停滞したことから、前期比減収減益となりました。

・その他

売上高は、㈱大泉製作所製品の受注減により、前期比減となり、利益は不動産業を主体に前期比増となりました。

(経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)

当社グループは、ROE6%以上を目標としております。ROEは前々期は9.1%、前期は6.2%でしたが、当期は5.2%と、目標には届きませんでした。

情報通信機器向け需要において成長に鈍化がみられるなかで、当社は、自動車の電子化の進展に伴い、安定受注で、かつ高付加価値が見込めるカーエレクトロニクス分野への製品の拡販と開発に注力しており、徐々に成果に現れてきていましたが、当期は自動車生産の世界的減速の影響を受けました。

また、年明けから新型コロナウイルス感染が世界的に拡大したことから、中国およびアセアン地区における子会社が操業率の低下を強いられましたが、中国子会社の決算期は12月期であること、また、アセアン地区の社会的規制は3月以降であったことから、生産面での直接的な影響は当連結会計年度におきましては限定的なものに留まりました。しかし、受注面におきましては、各品種総じて年度末にかけ減少基調となったことから減収減益となり、2020年度はこの影響がさらに大きくなることが懸念されます。

感染収束の見通しが不透明ななかで、需要回復の時期や水準の予測は困難な状況であり、当面は経費の抑制により対応せざるを得ないものと考えておりますが、このような環境下においては、変革する市場ニーズにマッチした製品の提案が急務であり、当社のセンサ技術、回路設計技術、無線技術の融合を図ることでIoTなどの新分野への参入に取り組んでおります。

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フロー

当連結会計年度は、営業活動によるキャッシュ・フローが、税金等調整前当期純利益、減価償却、売上債権およびたな卸資産の減少などにより6,863百万円となり、投資活動によるキャッシュ・フローが設備投資を主因に△1,273百万円、財務活動によるキャッシュ・フローが借入金の純減を主因に、△3,610百万円となったことなどから、当期末における連結ベースの現金及び現金同等物は、前期末に対し2,015百万円増加(同+50.3%)し、6,020百万円となりました。

b.財務政策

運転資金は、自己資金および金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資などの長期資金は、自己資金および金融機関からの長期借入を基本としております。

c.重要な資本的支出の予定およびその資金の調達源

当期後1年間の設備投資は、総額1,200百万円を計画しておりますが、その所要資金は主として、自己資金および金融機関からの長期借入金をもって充当する予定であります。

③重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

新型コロナウイルスの感染につきましては、当年度内に収束に向かうものと考えており、将来長期にわたる経営環境の悪化は想定しておりません。

ただし、第2波などによる影響が長期化した場合は、繰延税金資産の回収可能性および固定資産減損の見積りに影響する可能性があります。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発体制は、電子部品事業を主体にグローバルに展開する顧客の声を第一として、市場ニーズの変化に迅速に対応し、スピーディーに新製品を送り出すため、(1)センサ・デバイス開発及びセンサ・デバイスに回路やソフトウエアを含めたトータルソリューションとしての商品展開や、各事業本部にまたがる案件のプロジェクト推進を図る開発部門、(2)既存製品の応用開発及び製造技術の改善を図る当社並びに子会社の開発部門の2組織で構成されております。また、新たに次世代高速通信(5G)や電気自動車(EV)等の次世代技術のマーケティング及びビジネス構築を行う部門を設置し、開発の効率化・スピードアップ化を図っております。

なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、880百万円となっております。

(1) 電子部品

モバイル分野は、牽引役だったスマートフォンの成長が鈍化してきている一方で、次世代高速通信である「5G」通信への実用化が進み始めており、更に新たな成長分野としてあらゆるモノがインターネットにつながる「IoT」関連分野が生産部門を中心に普及、加速しております。また、自動車分野は、CASE(コネクティッド、自動化、シェアリング、電動化)を中心に大きな変革の時代を迎えており、EVへの移行やADAS(先進運転支援システム)に代表される自動運転等の新技術が搭載されはじめ、センサや電装品の需要増加が期待されています。一方で新型コロナウィルスの影響で、テレワーク等のコミュニケーションのデジタル化や、宅配等のサービス提供の非接触化、生産の省人化・合理化(非密化)が進み、社会・産業構造の転換が加速する可能性があります。

こうした市場環境の変化に対応すべく、当社は、市場のニーズをいち早く察知し、新規顧客の開拓と製品開発を強力に推進しております。IoT関連商品では、315MHz帯、400MHz帯、920MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯の無線モジュールの他、太陽電池と無線ネットワーク+センサをワンパッケージにした商品の開発を進め、今後とも拡大が予想されるIoT分野への用途展開を推進しております。

センサ関連では、応答速度が世界最速の容量式湿度センサを開発しました。応答速度が従来品の10秒に比べ1秒と大幅に短縮した上、大きさは2.0×2.0×1.25ミリと業界最小クラスであり、自動車のエアコンの省エネ用途やヘルスケア分野等各種分野への用途開発を図っております。また、小型で低消費電流タイプの電流センサを開発しました。センサ素子は自社開発の磁気センサを使用しております。取付け易いクリップ構造であり、既存設備にも後付け可能で、太陽光発電のストリング監視システムの他、電力の見える化等各種電流計測用に適しています。

MEMS製品では、2.2ミリ角、厚さ0.9ミリの世界最小クラスの非接触温度センサを開発しました。チップ内にセンシングとリファレンスの2つのセンサ部を形成し、その差分を出力する方式となっているため、サーモパイル式等の他の赤外線センサに比べ、環境温度に影響されにくい特長があります。小型低背で表面実装可能である利点を生かし、各種分野への用途開発を進めています。また、日常の動きである人体の運動や腕の軽い動きに合わせて発電することが出来る円盤形の小型発電機を研究開発しております。円盤形であるため回転数の計測にも使用可能であり、今後IoT分野を始めとする各種分野への展開が期待されます。

また、フォースセンサは、従来品に加えて2.2×1.8×1.0ミリと超小型のフォースセンサを開発しました。小型・低背かつ出力がリニアで使いやすく、荷重の微小変化が直線的に検知できるため、調理家電やスタイラスペン等への用途に最適であり、更に高信頼性が要求される医療用や車載用向けに対応すべく開発を推進しております。一方、従来からの主力製品である半導体圧力センサの応用展開として、給湯器や白物家電向けの省エネ対応機器用に水位センサ、2.5ミリ角と小型サイズの気圧センサを製品化しております。

圧電部品は、車載向けを中心に用途開発を強化するとともに、更なる材料開発を行い性能向上と展開エリアの拡大を図ると共に、シミュレーション解析による応力・熱膨張・セラミック駆動・固有振動解析等による検証を積極的に導入し、開発のスピードアップを図っております。

安全部品では、回路保護用にチップヒューズを製品化しております。各種電子機器に対応出来るように、1005サイズ、1608、2012をラインナップしております。

抵抗器は、信頼性が要求されるHEV、EV等の車載分野やパワーエレクトロニクス分野向けに高電力チップ抵抗器や耐サージ形高電力チップ抵抗器等の高機能チップ部品を開発し、展開しております。耐サージチップ抵抗器及び高電力チップ抵抗器は、宇宙開発用信頼性保証チップ形皮膜抵抗器として宇宙航空研究開発機構(JAXA)の認定も取得しております。また、更なる高電力の要求に対応すべく3W、5Wタイプのハイワッテージタイプもシリーズ化しました。この他、ますます用途が拡大している電流検出用のチップ金属板抵抗器は、2012サイズの0.5W品から、11.4×6.9ミリの5W品迄を取り揃え、ラインナップを強化しております。スイッチは、洗濯機に代表される白物家電向けを主な用途とした防水型タクティールスイッチに新たにSMDタイプを追加し、ラインナップを強化しました。

新製品の開発に当たっては、大学等の公共研究機関をはじめ、ソフトウエアメーカーや材料メーカー、その他メーカーとのコラボレーションを積極的に実施し、高機能化と市場ニーズにあった製品の開発をスピーディーに推進しております。

環境対応としましては、環境推進室を中心に、ISO14001体制を推進し、省エネ活動を実施するとともに、RoHS指令やREACH規則等の特定有害物質使用制限の対策を全社的に強力に展開しております。

なお、当事業に係る研究開発費は、880百万円となっております。

(2) 金型・機械設備

金型分野においても、ユーザーのプレス・成形部品の小型化、多層化、高密度化及びマルチ化等の構造的変化が著しく、これに対応すべく金型製造技術の高度化を図っておりますが、研究開発費としては金額的に重要性が乏しく区分管理は行っておりません。

(3) その他

主として仕入販売事業であり、当社グループとしては特に研究開発活動は行っておりません。