第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境および対応すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

当社は、以下に掲げる企業理念・経営ビジョン・行動指針を踏まえながら、中期経営基本方針を定めております。

企業理念

社是、社訓に謳っております“明日をつくろう”、“誠実をもって仕事に励もう”、“責任を自覚しお互いに協力しよう”、“良い製品をつくり社会の発展に尽くそう”という創業以来のモノ造りへの精神は不変です。安心、安全、便利で有益な電子部品デバイス・モジュールを開発・提供することによって、お客様に信頼され社会に貢献する企業を目指します。

経営ビジョン

当社は“世の中にないモノを生み出すことに挑戦し、モノ造りを通じてイノベーションを起こす企業、社会に貢献する企業”を目指しています。“センサ&モジュールのHOKURIKU”として従前のご要望にお応えすることはもちろんのこと、持続可能な社会の実現に向けた様々な方面からの新たなニーズや課題への対応を最優先戦略として取組むことで、今後も継続成長してまいります。

行動指針

経営とは“事業継続”であり、“事業継続”の生命線は“拡大”であると考えております。またそのために必要な最重要要素の一つが“社会から信頼され続けること”だと信じています。それは企業ブランド価値が毀損すると“拡大”の長期的展開はなし得ないからです。

当社は定めている行動憲章を遵守していくとともにコンプライアンスを徹底し誠実かつ倫理的な企業活動を推進していきます。また品質と技術に対する至誠の精神を常に忘れず、よい製品をつくるために広い視野と高い目標を持って行動していきます。更に多様性を認め様々な人材の能力発揮で組織の力を高めつつ、社会からの信頼を得られるよう“サステナビリティ経営”を推進してまいります。

中期経営基本方針

2021年度までは事業の「新・選択と集中」活動を推進し事業基盤の強化に努めてまいりました。2022年度からは、これまでの活動をベースに、さらにサステナビリティを意識した事業展開や様々な社会環境変化(トランスフォーメーション)への積極対応で事業のレジリエンス(強靭性)をより強化し、企業価値を一段と高めてまいります。

(2) 中長期的な会社の経営戦略

2026年度に向けた中期経営基本方針を踏まえ、2022年度から2024年度までの3ヵ年の『中期経営計画2024:Plan2024』を策定しました。中期経営計画では、「コア事業の強化」、新需要への「マーケティング強化と事業化推進」、そしてサステナビリティへの取組を軸にした「経営基盤の強化」を経営・事業戦略として、以下の具体的な施策に取り組んでおります。

①コア事業の強化

・新技術(新製品)、新顧客、新分野への販売拡大を推進

・新製品開発への継続的投資と事業ポートフォリオの最適化

・BCP及び海外生産品のグローバル再編を考慮した事業拠点の強化

②マーケティング強化と事業化推進

・自動車部品、各種センサ等のマーケティング強化

・脱炭素、EV化やDX関連の製品開発を推進

③経営基盤の強化

・コーポレートガバナンスの充実化

・サステナビリティ社会への取組みの加速

(3) 目標とする経営指標

当社グループでは、中期経営計画の目標として、2024年度に売上高460億円、営業利益28億円、ROE10%維持を目指しております。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

世界経済は新型コロナウイルスの感染拡大が収束傾向となり、サービス分野の需要に回復が見られる反面、巣ごもり需要の一巡に伴い財需要が停滞しており、さらに欧米の金融不安が先行きの不透明感を強めています。

エレクトロニクス市場におきましても、自動車生産の回復や在庫調整の収束が見込まれるものの、民生用電子機器の需要に力強さが見られず、先行きは予断を許さないものと考えており、当社といたしましては、自動車の電子化、機器の高機能化、IoTなどの技術革新が進む市場の変化に対応した取り組みに努めてまいります。

また、中長期的な観点においても、「コア事業の強化」、「マーケティング強化と事業化推進」、「経営基盤の強化」の3つの方針を柱とする施策を推進してまいります。

①コア事業の強化

車の電装化やEV化が進む中で、ラインナップ増、高機能化など安心、安全な社会で要求される製品の量産化を進め、抵抗器、センサ、モジュール等のコア事業はバランスよく着実に伸長させてまいります。

②マーケティング強化と事業化推進

自動車部品や各種センサ等のマーケティングを強化する目的で組織と人員を充実させるとともに、脱炭素、EV化やDX関連の製品開発をより一層推進してまいります。

③経営基盤の強化

品質重視やコンプライアンスの徹底など、ガバナンス体制を充実させるとともに、当社のマテリアリティに対する取組みを進め、サステナビリティ社会への取組みを加速させてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方および取組は次のとおりであります

なお文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります

(1) サステナビリティについてのガバナンスおよびリスク管理に関する事項

①ガバナンス

サステナビリティの取組みを推進するための取締役会直属の組織として「サステナビリティ委員会」を2022年5月に設置しました。サステナビリティ統括責任者である代表取締役を委員長とし、執行役員および事業本部長を中心に構成しています。同委員会にてサステナビリティに関する方針や目標、実行計画の策定、目標に対する進捗管理や評価、個別施策の審議等を行い、定期的に取締役会に報告や提言を行うこととし、サステナビリティ推進に取り組んでおります。

②リスク管理

サステナビリティ委員会の下部組織としてサステナビリティ部会を設置し、環境、社会貢献、ガバナンス/コンプライアンスの各部会でリスクや機会について情報収集し、リスクへの取組方針や対応策を作成し、サステナビリティ委員会で議論し取締役会へ報告することとしております。また、リスク管理委員会にもリスクについて提言し、全社リスクの管理状況について確認し、取締役会に報告することとしております。なお、取組方針や対応策を中期経営計画に組み込み、戦略への組み込みと実行につなげる体制としております。

 

サステナビリティ・マネジメント体制

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(2) 気候関連リスク

①ガバナンス

<気候関連リスクと機会にかかわるガバナンス>

当社の主力製品である電子部品は、様々な分野で使われており、製品製造にあたり、サプライチェーン全体では相当のCO2排出量になると認識しています。その認識のもと、気候変動問題を当社が社会的責任を果たし持続的に発展していくための重要課題の一つと捉え、サステナビリティ委員会でマネジメントしております。サステナビリティ委員会は、コーポレートガバナンス体制の一画を担う委員会として取締役会が設置しており、代表取締役が委員長を務め、サステナビリティに関する方針や目標、実行計画の策定、目標に対する進捗管理や評価、個別施策の審議等を行い、定期的に取締役会に報告や提言を行うこととし、サステナビリティ推進に取り組んでおります。

②戦略

<組織の事業・戦略・財務に対する気候関連リスクと機会の影響>

サプライチェーン全体でのCO2排出削減が求められる中、当社全体の排出量を削減できなければ、当社にとってリスクとなり得ます。一方、当社全体の排出量を削減することに加え、排出削減に寄与する製品の開発販売による貢献ができれば、事業拡大の機会となり得ます。

中期経営計画の中で、環境性能に優れた製品の拡大などにより、2030年度までに温室効果ガスの排出量を2017年度比46%削減すること、2050年に自社事業による温室効果ガスの排出量実質ゼロを目指すことを掲げております。

シナリオ分析の詳細

以下のシナリオを使用し、将来にわたり当社の業績に影響する事業リスクと、気候変動の課題解決に対応して創出できる事業機会を特定しています。

・IEA Sustainable Development Scenario(SDS) 1.7℃/2050 1.6℃/2100

・IEA Stated Policies Scenario(STEPS)   2.0℃/2050 2.6℃/2100

・IPCC AR6 SSP1-2.6         1.7℃/2050 1.8℃/2100

・IPCC AR6 SSP2-4.5         2.0℃/2050 2.7℃/2100

シナリオA

世界各国の協調による脱炭素化社会が進む

1.5℃シナリオ

シナリオB

世界各国の気候変動対策の取組みが二極化し脱炭素化が進まない3℃シナリオ

温室効果ガスの削減・吸収・貯蓄・再利用に関する技術(CCS、CCUSなど)、太陽光発電や蓄電システムの低価格化・高性能化等、新技術が新たな経済成長の原動力になりうることが明確となり、国際協調による脱炭素化が進み気温上昇に歯止めがかかる。

当社を取り巻く環境においても脱炭素化に向けた動きが主流となり、車・家電・産業機器など全般的に軽薄短小、環境配慮の付加価値製品が増加し、電子部品業界は需要がさらに高まる。一方、製品に関する規制が高まる。

各国でEV化、太陽光発電、風力発電などの脱炭素インフラへの移行が進むものの、新技術が脱炭素化に与える影響は小さく、更なる気温上昇を招き、異常気象による自然災害の頻発化、激甚化が進む。

当社への影響についても相次ぐ自然災害によりサプライチェーンが分断され、安定的な生産、供給が困難になり、物不足が常態化しインフレが進んでいる。

③リスク管理

<気候関連リスクを識別・評価・管理するために用いるプロセス>

気候変動に伴うリスクには、政策・規制の強化や技術の進展、市場や評判の変化など脱炭素社会への移行に起因するものと、急性的な異常気象の激甚化や慢性的な気温・海面上昇など気候変動の物理的な影響に起因するものが考えられます。また、機会には、資源の効率性向上、再生可能エネルギー化、製品品質の向上、レジリエンス(強靭性)といった側面が考えられます。

当社は、気候関連のリスク・機会の重要性評価に向け、「移行リスク」、「物理的リスク」、「機会」の区分で当社への影響を検討し、発生の可能性や財務上の影響を3段階で評価し、重要なリスクと機会を特定しています。

「移行リスク」、「物理的リスク」、「機会」とも、重要リスク・機会を特定したうえで、取組方針や対応策を検討し、取締役会にて決議しました。今後は年に一度、サステナビリティ委員会で検討を継続し、ブラッシュアップしてまいります。特定されたリスクと機会への取組方針、対応策を中期経営計画に反映し、各事業本部で実行しております。

また、気候関連リスクを、当社の事業戦略に大きな影響を与えるリスクの一つとしてリスク管理委員会に提言し、同委員会で全社リスクの管理状況について確認し、取締役会に報告しております。取締役会では気候変動への対応に関する計画の進捗について定期的に報告を受け、その執行状況を監督してまいります。

 

気候関連リスク・機会

分類

当社への影響

発生の可能性

財務上の影響

リスク

移行

再生可能エネルギーの調達要求などによるコストの増加

炭素税、燃料・エネルギー消費への課税、排出権取引などに伴うコストの増加

製品開発の遅れによる販売機会の逸失や既存製品の陳腐化による売上高の減少

物理的

気候変動に伴う台風や洪水などの災害によりグループ会社が操業できなくなるおよび仕入先の操業停止や交通インフラの麻痺などで部品調達ができなくなる

機会

資源の効率性

より効率的な生産・物流プロセスの構築によるコストの削減

製品/サービス

環境配慮型製品の販売拡大が期待される

EVや自動運転用の電子部品需要の拡大が期待される

 

④指標と目標

<気候関連リスクと機会を評価・管理するための指標と目標>

取締役会で決議した温室効果ガスの排出削減目標を中期経営計画に組み込むとともに、当社の重要課題として特定し、KPIを設定して進捗を管理しております。

a.2050年目標 :温室効果ガスの排出量実質ゼロを目指す

事業に必要な電力を100%再生可能エネルギーに切り替える

b.2030年度目標:Scope1,2 46%削減(2017年度比)

電力の再生可能エネルギー比率:30%

(3) 多様性の確保に向けた人材育成方針と社内環境整備方針

①戦略

a.人材育成方針

通信教育、集合研修、eラーニングなど学びの形態は増えてきています。様々な形態の中で語学教育やデジタル人材の育成研修、リーダーシップ研修、意識改革研修のトレーニングなど、教育体系に基づく年度計画により教育を実施するとともに、時代にマッチしたタイムリーな教育を受けられるよう、年度計画に入っていない教育についても各事業本部の裁量で受講を進められるなど、柔軟な対応を進めます。

今後も、「働き方改革」「ダイバーシティ推進」に向けて業務改革を推進できるよう、個々のスキルを高める為の教育を継続してまいります。

b.社内環境整備方針

人種・国籍・性別・年齢・宗教・心身障がいの有無等に関わらず、多様な人材がライフスタイルにあった働き方で個性と能力を発揮できる企業風土づくりを推進します。

多様な人材を尊重するとともに様々な視点を受容し、活躍の場を提供することで、変化し続けるビジネス環境に対応し企業価値を高めていきます。これまでも中途採用者の拡大、女性登用などを推進してきましたが、更に快適で働きやすい明るい職場づくりなどの環境整備、心身の健康づくりに積極的に取り組んでまいります。

出産・育児・介護、その他の様々なライフイベントが発生しても仕事と両立できるよう支援制度を整えることで、すべての社員が継続して働きやすい職場となるよう「育児休業」や「介護休業」だけでなく、復職後の「短時間勤務」なども含めて環境整備を進めております。

こうした環境を維持・発展させるため、定期的に個人別の面談を実施するとともに、労使会議も開催するなど、多様な目線からの意見聴取等を継続して風通しの良い企業風土を構築いたします。

②指標と目標

主な指標と目標は以下のとおりです。

指標

目標

実績(当連結会計年度)

管理職に占める女性労働者の割合

2030年までに5%

3.8%

男性の育児休業等取得率

70%(2023年)

33.3%

男女の賃金の格差

目標は定めず結果として改善を図る

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況経理の状況等に関する事項のうち投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には次のようなものがあります

なお文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります

(1) 経済情勢の急激な変動によるリスク

当社グループは世界の電子機器メーカー等に抵抗器、モジュール製品等の電子部品を製造販売しておりますが、電子機器の需要動向は、日本、欧米、アジアの各市場における経済情勢に大きく左右されます。そのため、各市場における景気後退など経済情勢の急激な変動は、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(主な対応策)

当社グループは、安定的な受注の確保を図るため、ライフサイクルの長い自動車向けの拡販を進めるとともに、幅広い分野で使用されるよう製品開発および拡販を進めております。また、急激な受注の減少に伴い発生する余剰コストを抑制するため、製販拠点の綿密な連携により市場および顧客の生産動向を迅速に把握するとともに、生産拠点の分散化や稼働日数の柔軟な調整等により機動的に対応しております。

(2) 原材料等の調達におけるリスク

原材料等の調達におけるリスクとしては、各国の輸出入規制や治安悪化、感染症の蔓延、災害などによる原材料等の供給中断、資源の枯渇による供給停止や、市況の変化等による価格の高騰が生じる可能性があります。これらの場合、製造原価の上昇、生産調整さらには生産停止を招く等、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは、技術革新のスピードが速く、価格競争が激しい電子部品業界に属しており、想定外の市場環境の変化などにより過剰在庫が生じる可能性があります。当該過剰在庫に係る評価損の計上により業績および財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(主な対応策)

原材料の調達状況については随時モニタリングを行い、適正在庫の確保、複数のサプライヤーからの調達、複数国からの調達を進めております。また、過剰在庫が生じないよう、顧客からの発注及び発注見通しならびに市場動向の分析に基づき生産計画を決定しています。

(3) 新技術・製品開発に関するリスク

当社グループが扱う電子部品事業は、技術革新のスピードが速く、顧客要求の変化も激しくなっており、将来にわたって当社グループの企業価値や企業収益を維持・拡大していくためには市場の需要に応え適切なタイミングで価値ある新製品の開発を進めていくことが、益々重要になっております。しかし、変化の激しいエレクトロニクス業界の将来の需要を的確に予測し、技術革新による魅力的な新製品をタイムリーに開発・供給し続けることが出来るとは限りません。市場の急激な変化や急速な技術革新に当社が遅れを取った場合には、当社グループの事業・業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(主な対応策)

新製品開発にあたっては開発活動の各段階で、新たに組織化したマーケティング部門が新製品の市場性の分析や技術動向の予測をフィードバックし、市場変化への対応を進めております。また、新規事業を推進するための機能を強化し、開発成果の評価・検証を行い開発の実効性と効率性を高めております。さらに、現有技術分野における新商品開発に加え、これらを活用したソフトウエア技術を含むサービス分野にまで幅を広げた商品の開発を進めております。

(4) 為替相場および株価の急激な変動に伴うリスク

当社グループの連結ベースでの海外売上高比率は、当期55.9%(前期は54.2%)と高水準にあり、生産拠点も海外に展開していることから、為替変動は当社グループの外貨建取引から発生する収益・費用や資産・負債の評価額を変動させ、業績および財務状況に影響を及ぼします。また、当社グループでは時価のある有価証券を保有しており、株価の下落や低迷により、有価証券の減損が必要となるリスクがあります。これらのリスクにより、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(主な対応策)

米ドル建ての製品販売が多いこと、また、米ドルおよびアジア通貨に対する円との為替相場の変動が大きいことを踏まえ、当社と海外子会社との取引(部材の支給、製品の仕入、製品の販売)は原則米ドル建てとし、海外子会社の為替変動リスク低減を図っております。一方、日本サイドは資材調達において米ドル建てを活用することで、米ドル建て収益との相殺を図るとともに、米ドル円相場の変動に伴うリスクに対し、為替予約等を行い低減に努めております。また、有価証券のうち政策保有株式については、リターンを踏まえた中長期的な観点から、毎期、保有継続の是非を判断しており、保有意義が希薄化した株式は順次売却・縮減していく方針としております。

 

(5) 固定資産の減損リスク

当社グループは主として電子部品の製造のために固定資産を保有しておりますが、減損の兆候を把握し、将来のキャッシュ・フローにより固定資産の簿価を回収できないと判断される場合には、減損損失の計上により、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(主な対応策)

当社グループは、従来の家電や情報通信機器向けから、今後成長および安定した収益が見込める自動車向けに事業の主体を移しており、現時点では、事業収益の構造的な悪化は見込んでおりません。また、設備投資に当たっては、複数の生産拠点および多品種で使用できるよう汎用性を高めるなど、回収不能リスクも踏まえて開発・検討を行うことで、将来の減損回避に努めております。

(6) 税務に関するリスク

当社グループは、国内外に製造拠点、販売拠点を有しており、グループ会社間の取引も多く発生しております。グループ会社間の国際的な取引価格に関しては、適用される各国の移転価格税制等の観点からも適切な取引価格となるよう留意しております。しかしながら、税務当局との見解の相違等により、取引価額が不適切であるとの指摘を受け追加の税負担が生じる可能性があり、このような事態が生じた場合、当社グループの業績および財務状況に悪影を及ぼす可能性があります。また、繰延税金資産について、業績の悪化等により評価性引当額の積み増しが必要となった場合、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(主な対応策)

毎期、同期文書の作成を通してリスク分析を行うとともに、商流の変更時や新規取引開始時には、外部専門家への相談を行うなど、リスクの回避に努めております。また、繰延税金資産の回収可能額算定に使用する将来の課税所得については、事業計画だけではなく、過年度の業績を加味し、未達成リスクも織り込むことで、評価性引当額積み増しリスクの低減を図っております。

(7) 特定の取引先、製品、技術等への依存度が高いモジュール製品の動向

モジュール製品の販売は、回路設計技術、高密度実装技術を背景として顧客の開発段階から参入し、資材調達、製造も含めた総合的な製品力をもって拡販するため、経営資源(人、物、金)投入の観点から、特定顧客への依存度が高くなっております。また、モジュール製品の販売は、特に自動車市場向けの売上比率が高く、その市場動向によって当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(主な対応策)

当社グループの製品を幅広い用途、顧客に販売するなど、特定の顧客への依存度を下げる取組を実施しております。また、サステナビリティ関連やDX関連のニーズが高まることにより、当社の技術を活かした製品の開発・販売を進め、特定の製品への依存度を下げる取組を進めております。

(8) 新製品の拡販

当社グループは、成長分野であるカーエレクトロニクス、IT関連をターゲットにMEMSセンサ、小型湿度センサ、超薄型圧電積層素子、極小チップ部品、無線モジュールなどの新製品の拡販を図っております。また、今後成長が見込まれているIoT関連向けでは無線システムの引き合いが多くなっております。こうした成長分野においては、グローバルな競争がより激化し、過度な価格競争に巻き込まれる可能性があります。また、同業他社が当社より優位な製品を先駆けて販売する可能性もあります。

上記リスクをはじめとして、将来、当社グループが予測していない状況変化が生じ、新製品の拡販が未達となった場合、業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(9) 海外(中国)依存による事業展開リスク

当社グループは、中国及び東南アジアに生産拠点を展開しており、それぞれの地域・国における経済動向および政治・社会情勢に変化が起こった場合あるいは予期せぬ災害等が発生した場合、事業の遂行に問題が生じ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。特に米中の緊張感の高まりやウクライナ情勢、感染症の拡大など、国際情勢の変化が大きくなっていると認識しております。

(主な対応策)

当社はグローバルな地政学リスクの影響を勘案し、多方面から情報を収集し有事に対応できる体制を整えるとともに、東南アジアでの生産体制を増強するとともに安定生産を図り、リスクの分散を進めております。

(10)法規制等のリスク

当社グループが事業を展開する国内外において、商取引、反トラスト、知的財産権、製造物責任、環境、労務、税制、事業投資の認可、輸出入規制等の様々な規制を受けております。当社グループではこれらの規制を遵守し事業活動を行っておりますが、関連する規制への抵触、役員・従業員による不正行為が完全に回避できない可能性があります。このような事象が発生した場合、法的な処分、訴訟の提起、さらには事業停止に至るリスクや企業ブランドの低下、社会的信用の失墜等のリスクがあります。また、規制が強化された場合、規制対応のための多額な費用負担等で事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

(主な対応策)

当社グループでは、コンプライアンスに関するリスク低減とコンプライアンス意識向上に向け、以下の活動を実施しております。

・サステナビリティ委員会にガバナンス/コンプライアンス部会を設置し、コンプライアンス情報の収集、分析を進め取締役会に報告

・グループ会社を含めた社内コンプライアンス教育の実施

(11)気候変動リスク

気候変動リスクには、政策・規制の強化、技術の進展、市場や評判の変化など脱炭素社会への移行に起因する「移行リスク」および急性的な異常気象の激甚化、慢性的な気温・海面上昇など気候変動による物理的な影響に起因する「物理的リスク」があります。

当社における「移行リスク」および「物理的リスク」は以下のとおりです。

「移行リスク」

・再生可能エネルギーの調達要求などによるコストの増加

・炭素税、燃料・エネルギー消費への課税、排出権取引などに伴うコストの増加

・製品開発の遅れによる販売機会の逸失や既存製品の陳腐化による売上高の減少

「物理的リスク」

・気候変動に伴う台風や洪水などの災害により、グループ会社が操業できなくなるリスクおよび仕入先の操業停止や交通インフラの麻痺などで部品調達ができなくなるリスク

(主な対応策)

移行リスクについては、事業活動において発生する温室効果ガスの排出を削減するために、省エネの推進、再生可能エネルギーの導入および環境配慮型製品の開発に取組んでおります。物理的リスクについては、BCP管理体制を強化するとともに、BCP運用状況の評価を年1回以上実施しております。

(12)情報セキュリティに関するリスク

当社グループは、取引先の機密情報や個人情報を有しております。これらの情報は、グループ全体で管理体制を構築し、運用管理と情報セキュリティの強化を実施しております。しかしながら、複雑化するサイバー攻撃や不正アクセス、内部の過失等により、これら情報の破壊や改ざん、流出、または情報システムの停止等が発生する可能性があります。

(主な対応策)

当社グループでは、情報セキュリティシステムによる不正アクセスの制限と監視、外部機関による情報セキュリティの脆弱性診断を実施し、管理体制の強化に努めております。また、当社情報セキュリティ規定に基づくソフトウエアや情報機器持出し制限や監視、情報リテラシーを高める目的での社員セキュリティ教育、万が一の脅威に備え迅速に対応するためのウイルス対策訓練等、事業活動停止を回避する対策の実施に取り組んでおります。

(13)知的財産権に関するリスク

当社グループは、知的財産権を重要な経営資源と捉え、事業活動を支える技術を保護し、他社との差別化を図り、事業を拡大するために、特許・意匠・商標等の知的財産権を獲得しております。しかし、競合他社が同様の技術を開発することで当社の独自性が低下したり、海外において充分な保護の措置が取られなかったり、当社の製品が模倣され商機を失うようなリスクがあります。また、当社が第三者の知的財産権を侵害するとして、第三者から販売の差し止めや損害賠償の請求を受けたり、実施許諾料を求められたり、あるいは訴訟を提起されるリスクがあります。さらに他社との協業や共同研究・共同開発が活性化している中、知的財産権に関する契約のトラブルなどが発生すると、当社事業に悪影響を与えるリスクがあります。

(主な対応策)

当社グループでは、特許などの出願前に、先行技術調査を徹底すると共に、各国の知的財産に関する法律・審査基準やプロセスを把握し、更に、海外での特許取得の効果・意義の検討を加え、知的財産権取得の精度アップ、効率向上に努めております。また、自社製品・サービスの開発段階から、第三者の知的財産権の調査を行い、自社製品・サービスとの比較検討を行うことで、第三者の知的財産権を侵害するリスクを低減することや、開発効率の向上に努めております。製品・サービスの開発に関わる技術者全員には、知的財産の重要性や第三者の知的財産権侵害リスク等について啓蒙を図ることのみならず、技術者自らが先行技術を調査できるよう教育を進めております。さらに、他社との協業や共同研究・共同開発においては、事前の契約内容について、専門部署を含めた精査を充分に行った上で事業を進めております。

(14)新型コロナウイルスの感染拡大に関わるリスク

当社グループにおいては、安全衛生管理を念頭においた3密回避の職場レイアウトを継続し、従業員個人の判断によるマスクエチケットの協力を呼びかけることで、従業員の健康維持に取り組んでおります。およそ3年に渡るコロナ禍での事業活動で得られた教訓を活用し、従業員への感染症予防対策の啓発活動は継続する一方で、アフターコロナの社会経済活動への順応も視野に入れた事業運営を進めております。

(主な対応策)

新型コロナウイルス感染症につきましては、本年5月に感染症5類相当に変更され、リスクも低減されてきたと認識しております。今後、新たな感染症などのリスクが顕在化した場合には、これまでの経験を活かして具体的な対応策が策定された時点で情報提供いたします。

(15)顧客の信用リスク

当社は世界各地の機器メーカーを中心に電子部品を供給しておりますが、顧客の業績が悪化した場合、売上債権等の回収ができず、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(主な対応策)

当社グループは、新規取引時には外部信用リスク評価も参考にして取引条件等の設定を行い、顧客の財務状況の定期的確認や随時、売上債権の状況を把握すること等により、債権回収リスクの低減に努めております。

(16)M&A、業務提携、戦略的投資に係るリスク

当社グループは、持続的な成長と企業価値向上に向けた新技術の獲得、新規事業領域への参入、既存事業の競争力強化を目的として、必要に応じてM&A、業務提携、戦略的投資を実施しております。しかしながら、市場環境や競争環境に著しい変化が発生した場合は、事業計画通りに投資効果を得られず、当社グループの業績や成長に影響を及ぼす可能性があります。

(主な対応策)

検討に際しては、当社の事業計画に照らし合わせ、市場、新規技術の動向や顧客ニーズ、相手先企業の経営状況等のリスク分析を行ったうえで判断しております。また実行された案件についての定期的な検証を行い、戦略の見直しを実施しております。

(17)人材の採用・確保に係るリスク

当社グループは、品質と技術を重視した製品づくりを進めておりますが、事業を拡大していく上で、専門性や多様な能力を有する人材確保の必要性がますます高まっています。一方、少子高齢化や労働人口の減少等、雇用環境の変化が進んでおり、人材確保が進まなかった場合、事業展開、業績及び成長に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主な対応策)

人材確保のために、計画的な新規採用や経験者の中途採用に積極的に取り組んでおります。また、公正な評価での登用・処遇を行うことで、従業員エンゲージメントを高め、多様な人材が中核人材として活躍できるよう、人材の定着を図っております。

(18)製品の品質、製造物責任に関するリスク

当社グループは、至誠の精神に基づく「お客様第一」「品質重点」を基本方針とし、国内外製造拠点において国際品質マネジメント規格(ISO9001、IATF16949他)に従い、徹底した品質管理を行い多様な製品を製造しております。しかしながら、全ての製品に欠陥が発生しないという保証はなく、将来において予期せぬ不具合が発生すること等により、製造物賠償責任保険の範囲を超える賠償責任を問われる可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績、財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(主な対応策)

当社グループでは、製品の開発段階より設計審査でのデザインレビューを十分に重ねた信頼のおける製品を量産化し、工程パトロール、内部品質監査、購入先監査、信頼性試験等を通じて品質保証体制の向上に努めております。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の世界経済は、コロナ禍で生じた供給制約にウクライナ情勢による資源調達難が加わったことからインフレが進行し、さらに中国のゼロコロナ政策による都市封鎖および規制緩和後の感染急拡大の影響やグローバルに継続する半導体供給問題などにより、欧米、アジアとも景気は減速基調となりました。

わが国におきましては、ウイズコロナの生活様式定着に伴い個人消費の持ち直しが見られましたが、資源価格の高騰および円安に伴う物価上昇から回復の動きは緩やかなものとなりました。

そのような環境下、エレクトロニクス市場におきましては、自動車の生産が中国の都市封鎖および半導体の供給制約継続により伸び悩み、また、スマートフォンやパソコンの需要が減少したことから、電子機器の生産および電子部品需要は弱含みの推移となりました。

こうした状況のなかで、当社グループにおきましては、付加価値率の高い新分野への拡販を図る一方、生産効率の改善に努めました。

その結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高が45,459百万円(前期比+12.4%)、営業利益は2,941百万円(同+41.7%)となり、経常利益は円安に伴い為替差益515百万円を計上したことから3,581百万円(同+40.6%)となりましたが、顧客の民事再生手続開始の申立てに伴う取引先関連事業損失2,004百万円およびカナダにおける集団民事訴訟の和解金93百万円を特別損失に計上したことから、親会社株主に帰属する当期純利益は647百万円(同△66.8%)となりました。

セグメントの業績は、次のとおりであります。

・電子部品

電子部品は、自動車関連向けを主体にモジュール製品が増加し、売上高44,425百万円(前期比+12.4%)、営業利益3,907百万円(同+29.3%)となりました。

・金型・機械設備

金型・機械設備は、金型がアミューズメント向けに、機械設備が外部顧客向けにそれぞれ増加したことから、売上高763百万円(同+12.2%)、営業利益47百万円(同+167.6%)となりました。

・その他

その他は、商品仕入及び不動産業等にかかる事業であり、売上高563百万円(同△14.0%)、営業利益95百万円(同+1.2%)となりました。

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ848百万円増加し、6,253百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は629百万円となりました。これは、税金等調整前当期純利益1,499百万円、減価償却費1,097百万円に対し、棚卸資産が2,336百万円増加したことなどによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は1,045百万円となりました。これは、固定資産の取得による支出757百万円などによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は773百万円となりました。これは、借入金の純増1,284百万円、配当金の支払い376百万円などによるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

電子部品(百万円)

44,395

11.0

金型・機械設備(百万円)

592

39.4

合計(報告セグメント)(百万円)

44,988

11.3

(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

b.商品仕入実績

当連結会計年度の報告セグメントに属していない「その他」に含まれる商品仕入実績を示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

その他(㈱大泉製作所商品仕入)

(百万円)

306

△22.8

(注)金額は販売価格によっております。

 

c.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

電子部品

39,269

△16.6

11,955

△30.1

金型・機械設備

794

47.9

331

150.0

報告セグメント計

40,064

△15.8

12,287

△28.7

その他

415

△25.6

28

△43.2

合計

40,480

△15.9

12,315

△28.8

(注)為替換算による差額等は、受注高に含めて調整しております。

 

d.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

電子部品(百万円)

44,425

12.4

金型・機械設備(百万円)

595

44.4

報告セグメント計(百万円)

45,021

12.8

その他(百万円)

437

△17.0

合計(百万円)

45,459

12.4

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

無錫夏普電子元器件㈲

6,766

16.7

7,922

17.4

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(事業全体の経営成績)

・売上高

売上高は、自動車関連向けを主体にモジュール製品が増加したことおよび円安となったことから、前期に対し5,010百万円増加(前期比+12.4%)し、45,459百万円となりました。

・売上原価

売上原価は、売上高の増加に伴い、前期に対し4,073百万円増加(同+12.2%)し、37,560百万円となり、売上原価率は材料価格および物流費の上昇があったものの、円安となったこと、付加価値率の高い新分野への拡販および生産効率の改善により、82.6%と、前期(82.8%)に対し低下しました。

・販売費及び一般管理費

販売費及び一般管理費におきましては、増収に伴う物流費等の増加などから、前期に対し70百万円増加(同+1.5%)し、4,956百万円となりましたが、販管費率としては、10.9%と、前期(12.1%)に対し低下しました。

・営業外損益(営業外収益及び営業外費用)

営業外損益の純額は639百万円の益(前連結会計年度は472百万円の益)となりました。米ドルの独歩高が進行し、為替差益が、前期392百万円に対し、当期は515百万円とさらに増加しました。

・経常利益

営業利益の増加および為替差損益の良化を主因に、前期に対し1,033百万円増加し、3,581百万円(前期比+40.6%)となりました。

・特別損益(特別利益及び特別損失)

特別損益の純額は2,082百万円の損(前期は46百万円の損)となりました。前期は特段の計上はありませんでしたが、当期は顧客の民事再生手続開始の申立てに伴う取引先関連事業損失2,004百万円およびカナダにおける集団民事訴訟の和解金93百万円を特別損失に計上しました。

・税金費用(法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額)

税金等調整前当期純利益は、1,499百万円となり、前期に対し1,002百万円減少(前期比△40.1%)し、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合算した税金費用合計としては、前期に対し299百万円増加(同+54.2%)し、851百万円となりました。

税金等調整前当期純利益に対する税金費用合計の比率は、前期22.1%に対し、当期56.8%と親会社の法定実効税率30.5%に対し大きく上回りました。前期は収益力の改善に伴い、退職給付引当金や税務上の繰越欠損金に係る繰延税金資産に対する評価性引当額が減少し、当期も引き続き収益力の改善に伴い、税務上の繰越欠損金に係る繰延税金資産に対する評価性引当額が減少しましたが、顧客の民事再生手続開始の申立てに伴う取引先関連事業損失2,004百万円が税務上、損金不算入となり、かつ、一時差異に係る繰延税金資産についても全額評価性引当となったためであります。

・親会社株主に帰属する当期純利益

親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益、特別損益(損)、税金費用の計上などから、647百万円(同△66.8%)となり、1株当たり当期純利益金額は77.36円(前期は232.89円)となりました。

(事業全体の財政状態)

・現金及び預金

取引先関連事業損失は期末に発生したため、資金的には影響が小さかったことから、経常利益の増加を主因に現金及び預金は前期末に対し1,046百万円増加(前期比+14.9%)し、8,052百万円となりました。

・売上債権(受取手形及び売掛金)

期末にかけ売上水準が低下したことから、当期末の売上債権は、前期末に対し1,001百万円減少(同△9.1%)し、10,064百万円となりました。

・棚卸資産

生産水準の上昇および部材調達難を背景に、当期末の棚卸資産は、前期末に対し2,103百万円増加(同+26.6%)し、10,021百万円となりました。

・有形固定資産及び無形固定資産

減価償却費1,097百万円に対し、設備投資は922百万円となったことなどから、有形固定資産及び無形固定資産の合計は、前期末に対し150百万円減少(同△1.6%)し、9,138百万円となりました。

・繰延税金資産

繰延税金資産は、法人税等調整額277百万円(損)の計上を主因に、前期末に対し296百万円減少(同△19.4%)し、1,232百万円となりました。

・仕入債務(支払手形及び買掛金)

仕入債務は生産水準の上昇および部材調達難を背景に、前期末に対し245百万円増加(同+3.3%)し、7,737百万円となりました。

・退職給付に係る負債

勤務費用と利息費用の計上により202百万円増加し、退職給付の支払いにより501百万円減少した他、未認識数理計算上の差異が△91百万円発生(負債減)したことなどから、当期末の退職給付に係る負債は、前期末に対し384百万円減少(同△8.7%)し、4,050百万円となりました。

・有利子負債(短期借入金、長期借入金)

有利子負債は、棚卸資産の増加に伴う短期借入金の増加を主因に、前期末に比べ1,284百万円増加(同+13.1%)し、11,088百万円となりました。

・純資産の部

純資産の部の合計は、前期末に対し1,157百万円増加(同+7.3%)し、17,107百万円となりました。

純資産の部の増減の概要は次のとおりであります。

株主資本は、親会社株主に帰属する当期純利益により647百万円増加しましたが、剰余金の配当により376百万円減少したことなどから、前期末に対し274百万円増加(同+1.9%)し、14,886百万円となりました。

その他の包括利益累計額は、アジア通貨高円安により為替換算調整勘定が726百万円増加したことを主因に、前期末に対し882百万円増加し、2,221百万円(前期末は1,338百万円)となりました。

(セグメントごとの経営成績等)

・電子部品

自動車関連向けを主体にモジュール製品が増加したことおよび円安となったことを主因に、前期比増収増益となりました。

・金型・機械設備

金型がアミューズメント向けに、機械設備が外部顧客向けにそれぞれ増加したことから、前期比増収増益となりました。

・その他

売上高は、㈱大泉製作所製品の受注減により、前期比では減収となりましたが、収益は若干増加しました。

(経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)

当社グループは、2022年5月10日に発表した中期経営計画におきまして、ROE10%以上を目標として掲げました。ROEは、前期13.3%に対し、当期は多額の特別損失を計上したため、3.9%に留まりましたが、営業利益および経常利益は増加しており、収益力は着実に上昇しております。

当社は、自動車の電子化の進展に伴い、安定受注で、かつ高付加価値が見込めるカーエレクトロニクス分野への製品の拡販と開発に注力してきましたが、成果に現れてきました。

エレクトロニクス市場におきましては、巣ごもり需要の一巡に伴い、足元では民生用機器の需要に力強さが見られず、電子部品需要は在庫調整基調にありますが、中長期的には拡大が見込まれますので、当社としましては、変革する市場ニーズにマッチした製品の提案が急務と認識しており、当社のセンサ技術、回路設計技術、無線技術の融合を図ることで自動車の電子化、機器の高機能化、IoTなど技術革新が進む市場の変化への対応に取り組んでおります。

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フロー

当連結会計年度は、営業活動によるキャッシュ・フローが、利益の計上を主因に629百万円となりました。また、投資活動によるキャッシュ・フローは設備投資を主体に△1,045百万円となり、財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払い376百万円、借入金の純増1,284百万円などにより773百万円となったことなどから、当期末における連結ベースの現金及び現金同等物は、前期末に対し848百万円増加(同+15.7%)し、6,253百万円となりました。

b.財務政策

運転資金は、自己資金および金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資などの長期資金は、自己資金および金融機関からの長期借入を基本としております。

c.重要な資本的支出の予定およびその資金の調達源

当期後1年間の設備投資は、総額1,400百万円を計画しておりますが、その所要資金は主として、自己資金および金融機関からの長期借入金をもって充当する予定であります。

③重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

当期は取引先の民事再生手続開始の申立てに伴い、同取引先に対する売掛金全額について貸倒引当金を計上するとともに、同取引先向けの棚卸資産金額について0円まで簿価を切り下げ、同取引先向けの部材等の発注残金額について取引先関連事業損失引当金を計上しておりますが、取引先の民事再生手続の進捗、部材等の仕入先などとの交渉が損失見込額に影響を与える可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発体制は、電子部品事業を主体にグローバルに展開する顧客の声を第一として、市場ニーズの変化に迅速に対応し、スピーディーに新製品を送り出すため、(1)センサ・デバイス開発およびセンサ・デバイスに回路やソフトウエアを含めたトータルソリューションとしての商品展開や、各事業本部にまたがる案件のプロジェクト推進を図る開発部門、(2)既存製品の応用開発および製造技術の改善を図る当社ならびに子会社の開発部門の2組織で構成されております。

なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、773百万円となっております。

(1) 電子部品

ICT分野は、次世代高速通信である5G通信への普及が進み、新たな成長分野としてあらゆるモノがインターネットにつながるIoT関連分野が生産部門を中心に普及、加速しております。また、自動車分野は、CASE(コネクティッド、自動化、シェアリング、電動化)を中心に大きな変革の時代を迎えており、特に脱炭素社会に向けて海外メーカーを中心にEVへの移行が進みはじめ、ADAS(先進運転支援システム)に代表される自動運転等の新技術が標準的に搭載されるようになり、センサや電装品の需要増加が期待されています。一方で原材料や電気代等の高騰の影響もあり、生産の省人化・合理化、間接部門の効率化等、企業のAI利用とDX(デジタルトランスフォーメーション)が急速に進展し、社会・産業構造の転換が加速しております。こうした市場環境の変化に対応すべく、当社は、市場のニーズをいち早く察知し、新規顧客の開拓と製品開発を強力に推進しております。

IoT関連商品では、429MHz帯、920MHz帯をはじめ全6種類の周波数帯を揃えた特定小電力無線モジュールのほか太陽電池と無線ネットワーク+センサをワンパッケージにした商品を製品化しています。また専用端末機を産業車両に取り付けることで位置情報、稼働情報、危険運転操作情報等を検知することができるサブスク型のIoTサービスの提供を開始しました。屋内外に渡ってシームレスに位置情報を検知できることに加え、端末機に内蔵の各種センサ(加速度センサやジャイロセンサ等)を使用し稼働情報、危険運転操作情報を検知することが可能です。データはクラウド上にアップロードすることで、アプリを使用してリアルタイムに情報を把握することができます。さらに登山者や山間部作業者の位置検知システム(ヤマシストネットワークシステム)を開発しました。専用端末(ヤマシスト)は従来品に比べ小型化(10.4×6.9×2.6ミリ)を達成し、ポケットなどに入れて持ち運びやすくなっております。

システム開発に関しては、さらに用途開発を推進し、今後とも拡大が予想されるIoT分野への用途展開を推進しております。

センサ関連では、応答速度が世界最速の容量式湿度センサを開発しました。応答速度が従来品の10秒に比べ1秒と大幅に短縮した上、大きさは2.0×2.0×1.25ミリと業界最小クラスであり、自動車のエアコンの省エネ用途やヘルスケア分野等各種分野への用途開発を図っております。

MEMS製品では、従来品に加えて2.2×1.8×1.0ミリと超小型のフォースセンサを開発しました。小型・低背かつ出力がリニアで使いやすく、荷重の微小変化が直線的に検知できるため、調理家電やスタイラスペン等への用途に最適であり、さらに高信頼性が要求される医療用や車載用向けに対応すべく開発を推進しております。一方、従来からの主力製品である半導体圧力センサの応用展開として、給湯器や白物家電向けの省エネ対応機器用に水位センサ、2.5ミリ角と小型サイズの気圧センサを製品化しております。

圧電部品は、車載向けを中心に用途開発を強化するとともに、さらなる材料開発を行い性能向上と展開エリアの拡大を図っております。加えて、シミュレーション解析による応力・熱膨張・セラミック駆動・固有振動解析等による検証を積極的に導入し、開発のスピードアップを図っております。

安全部品では、独自の素材、構造によって強力なアーク抑制特性を実現した速断タイプのチップヒューズを開発しました。サイズは1608サイズの小型低背でありながら、定格電圧が75Vと高電圧です。優れた耐アーク性能により、過電流・過電圧が印加されても溶断時の発煙・発火の危険性が極めて少ないことが特長であり、高電圧が加わる二次側回路の保護や、小サイズ・低コストが求められるセンサ回路の過電流・過電圧保護に最適です。また、回路保護用にチップヒューズを製品化しております。各種電子機器に対応出来るように、1005、1608、2012の各サイズをラインナップしております。更に、静電気放電の回路保護素子として、表面実装タイプのESDプロテクタを製品化しました。1005、1608,2012サイズを取り揃えております。

抵抗器は、信頼性が要求されるHEV、EV等の車載分野やパワーエレクトロニクス分野向けに高電力チップ抵抗器や耐サージ形高電力チップ抵抗器等の高機能チップ部品を開発し、展開しております。耐サージチップ抵抗器及び高電力チップ抵抗器は、宇宙開発用信頼性保証チップ形皮膜抵抗器として宇宙航空研究開発機構(JAXA)の認定も取得しております。また、さらなる高電力の要求に対応すべく3W、5Wタイプのハイワッテージタイプもシリーズ化しました。このほか、ますます用途が拡大している電流検出用のチップ金属板抵抗器は、2012サイズの0.5W品から、11.4×6.9ミリの5W品迄を取り揃えております。スイッチは、洗濯機に代表される白物家電向けを主な用途とした防水型タクティールスイッチに新たにSMDタイプを追加し、ラインナップを強化しました。

新製品の開発に当たっては、大学等の公共研究機関をはじめ、ソフトウエアメーカーや材料メーカー、その他メーカーとのコラボレーションを積極的に実施し、高機能化と市場ニーズにあった製品の開発をスピーディーに推進しております。

なお、当事業に係る研究開発費は、773百万円となっております。

(2) 金型・機械設備

金型分野においても、ユーザーのプレス・成形部品の小型化、多層化、高密度化及びマルチ化等の構造的変化が著しく、これに対応すべく金型製造技術の高度化を図っておりますが、研究開発費としては金額的に重要性が乏しく区分管理は行っておりません。

(3) その他

主として仕入販売事業であり、当社グループとしては特に研究開発活動は行っておりません。