当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の成果もあり、景気の緩やかな回復基調が継続しました。一方世界経済においては、米国、ヨーロッパ地域でも景気の回復基調が継続しましたが、米国の金融政策正常化の影響、中国をはじめとしたアジア新興国の経済成長の減速や、原油価格の下落による資源国等の景気の下振れなど、依然としてわが国の景気が下押しされるリスクも存在する状況で推移しました。
このような状況下において、当連結会計年度における経営成績の概況につきましては、以下のとおりとなりました。
国内販売につきましては、検査機市場で製薬メーカー向け錠剤検査装置の販売が好調に推移し、売上を伸ばしました。また、セキュリティ市場においても官公庁向け、プラント向け監視システムを中心に売上を伸ばしました。メディカル市場では医療用カメラ、モニタの販売が期待ほど伸びず、前年同期を下回りました。売上の大きな比率を占める放送市場では、更新需要が活発であった中継車システムの販売が好調に推移しましたが、前期に大きく売上を伸ばした伝送システムの販売が年度を通じ平年レベルで推移したため、放送用カメラ、モニタの販売に注力しましたが、例年と比べ第4四半期での販売が大きく伸び悩んだこともあり、国内売上高は前期と比べ減少しました。一方、海外販売においては、韓国で放送用カメラの販売が伸長するとともに、中国においては、積極的に販売展開した医療用カメラ、モニタの売上が伸びました。北米では、前期より注力している学校関連、宗教関連向け放送用カメラシステムの販売が好調に推移するとともに、医療用カメラ、モニタの販売も伸長し、前年同期の売上を上回る結果となりました。前年同期に大きく売上を伸ばした欧州地域では、放送用カメラシステムの販売は前期同期並に推移し、医療用カメラ、モニタの販売が引き続き好調に推移したため、同地域での売上はユーロベースでは増加しましたが、年明け以降の対ユーロでの円高の影響を受け円換算では前年同期の売上を若干下回りました。この結果、連結売上高は前年同期と比べ、1.3%減の245億35百万円となりました(前年同期売上高248億63百万円)。
損益面につきましては、年度を通して販売費及び一般管理費の抑制に努めましたが、個別ベースにおいて、国内の売上高が減少したことと、競争激化による市場価格の下落や、新技術対応案件の想定以上のコストアップによる製造原価率の上昇等が大きく影響したこと、また、年明け以降に為替が円高傾向で推移したこともあり、連結ベースで営業損益は前年同期と比べ5億48百万円減少し、営業利益3億64百万円(前年同期営業利益9億13百万円)となりました。
経常損益につきましては、為替差損等の営業外費用を計上し、経常利益2億81百万円(前年同期経常利益11億59百万円)となりました。
最終損益につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益2億43百万円(前年同期親会社株主に帰属する当期純利益11億9百万円)となりました。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローについては、税金等調整前当期純利益2億84百万円を計上し、減価償却費7億45百万円、退職給付に係る負債の減少額9億33百万円、売上債権の減少額16億49百万円等により、12億69百万円の収入となりました(前年同期比7億84百万円の収入増加)。
投資活動によるキャッシュ・フローについては、有形固定資産の取得による支出3億21百万円、無形固定資産の取得による支出2億13百万円、貸付けによる支出1億20百万円、貸付金の回収による収入29百万円等により、5億67百万円の支出となりました(前年同期比6億96百万円の支出減少)。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、短期借入金の純増額10億20百万円、長期借入金の返済による支出6億70百万円、社債の償還による支出2億円等により、26百万円の支出となりました(前年同期比12億72百万円の支出増加)。
以上の結果により、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ6億65百万円増加し、35億38百万円となりました。
当連結会計年度における生産実績は次のとおりです。
セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
情報通信機器 | 21,902 | △14.8 |
(注) 1 金額は、販売価格によっています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
当連結会計年度における受注状況は次のとおりです。
セグメントの名称 | 受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) |
情報通信機器 | 27,263 | 0.9 | 11,317 | 29.0 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
当連結会計年度における販売実績は次のとおりです。
セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
情報通信機器 | 24,535 | △1.3 |
(注) 1 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
販売高(百万円) | 割合(%) | 販売高(百万円) | 割合(%) | |
日本放送協会 | 4,267 | 17.2 | 3,780 | 15.4 |
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
当社グループを取り巻くビジネス環境は、中長期の視点では国内外での4K、8Kシステムの本格導入、放送のデジタル化投資や、安心・安全の確保によるセキュリティ需要、医療用映像機器の高画質、高精細化需要、ジェネリック医薬品の普及率拡大による検査機需要などが高まっていくことが見込まれます。
こうした認識に基づき、当社グループはグローバル展開を視野に、主力である放送システム事業の維持・拡大と、産業システム事業の強化を強力に推し進め、売上高・利益の拡大を目指すとともに、品質革新による安定的経営基盤の確立を目指し、当社グループが有する最先端の映像技術の源泉をIP&T(Image:撮像、Process:画像処理、Transmission:伝送)技術と位置づけ、顧客満足を追求した製品・技術開発を研鑽し続けます。
その実現にあたり、当社グループでは2016年度を初年度とする3ヵ年中期経営計画「New Ikegami Way」を策定しています。
1) 当社グループの経営ビジョン
① 絶え間ない技術の研鑽に努め、技術革新に果敢に挑戦し続け、技術優位性の確立により、技術で社会に貢献します。
② 顧客満足の限りなき追求により、お客様のニーズを逸早く具現化し、常にお客様の信頼と期待に応え続け、安定した経営基盤の構築を図ります。
③ その対価を更なる技術力強化の糧とし、技術優位性の向上を図っていくと共に、全てのステークホルダーへの確実なる還元を可能とすべく好循環サイクルを確立します。
④ 好循環サイクルを着実に進化させ続け、全世界に技術で貢献するグローバル企業として、利益ある持続的成長、発展していきます。
2) 中期経営計画「New Ikegami Way」の目指すべき姿
① 創立70周年(2016年)を起点とし事業ポートフォリオ再構築、事業構造転換を図り産業システム事業を次世代の成長の柱に育成します。
② 放送システム事業は確実に利益創出できる安定事業へと脱皮させます。
③ 海外事業の抜本的構造改革を断行し、真のグローバル企業に成長・発展します。
④ 技術の池上として質の高いエンジニア集団を形成し、更なる技術優位性を確立します。
⑤ 製品セグメントの選択と集中を図り、高付加価値製品の開発投入により利益を増出します。
① 成長戦略
・技術力高度化(技術優位性の確立)
コア技術であるIP&T(Image:撮像、Process:画像処理、Transmission:伝送)の徹底強化によりIP・ 高圧縮伝送・超解像他の更なる高度な技術の獲得とアライアンスによる外部リソースの有効活用により市場優位性の高い差異化製品およびシステムを提供していきます。
・放送システム事業の先進的取り組み加速
当社のベース事業として放送局・官公庁・公営競技などのハイエンド市場に投入できる先進的技術製品の開発および、東京オリンピック・パラリンピックを控え4K、8Kの本格的普及に向けた取り組みを加速すると共に高度なトータルシステムソリューションの提案強化に取り組んでいきます。
・産業システム事業の強化
当社の次世代成長の柱と位置付け、MS(メディカルソリューション)事業、IS(インスペクションソリューション)事業、SS(セキュリティーソリューション)事業の産業システム3事業の比率を高め成長・拡大していく事で事業構造転換を強力に推進していきます。
・海外事業推進
アジア地域の販売を強化し、放送システム事業の更なる拡大を図り、合わせて産業システム事業のグローバル展開を推進し、売上、利益を拡大するため地域にマッチした戦略製品の開発を進めます。特にMS事業をグローバル事業の柱としていくため既存分野はもとより新分野参入を推進していきます。
② 最適生産構造の追求
内製化とアウトソーシングの最適・効率的生産体制を追求し、品質の絶対確保とさらなるコストダウンの両立を図っていきます。
③ 経営基盤の安定化推進
次世代の経営を担う戦略的な人財採用の継続と教育制度の強化推進による人財育成を行い、絶え間ない業務品質向上(Quality Innovation)の推進によるスピーディーでチャレンジ精神旺盛な企業風土の醸成を行います。また、積極的な財務施策による効果的資金活用と財務基盤の強化を図ります。
当社グループは、映像技術を核とした事業基盤の確立に努め、幅広い分野においてメーカーの使命である最先端技術やノウハウを集積した製品・システムを提供し続けています。特に、製品やシステムの提供に際しては、開発・生産・受注・納入という一連の「もの作り」や「販売」のプロセスだけでは表現し得ない多くのノウハウ・専門知識・情報、そして顧客や取引先等のステークホルダーとの間に築かれた信頼感で形成された緊密な関係等を有しており、その面を深化し続けていくことこそが、結果として当社グループの企業価値を高めていくことになると確信しています。
また、逆に、進歩の早い技術変革をリードし続けるために、将来の技術のトレンドを常に意識し、経営資源の集中的再配分により、当社グループが得意とする技術要素を追求することは当然のことながら、必要に応じて関係各社と業務提携を行うなど、顧客のニーズを具現化するための施策に積極的に取り組んでいくことが、中長期的に見て、株主共同の利益創出の源泉になると考えています。
当社取締役会は、上記の顧客や取引先等のステークホルダーとの信頼関係の維持が確保されない当社株式の大量取得行為を行う者や、短期的な投資リターンを追い求めて上記顧客ニーズを具現化するための施策に積極的でない者は、当社の財務および事業の方針の決定をする者として適当でないと考えています。
当社は、上記基本方針に基づき、企業価値ひいては株主共同の利益を害する大量買付行為を防止するための取り組みとして、平成19年5月18日より「大規模買付ルール」を導入し、2年ごとの定時株主総会での決議を経て、現在も導入しています。
大規模買付ルールは、当社株式の大量買付が行われる場合の手続を明確にし、株主の皆さまが適切な判断をするために必要かつ十分な情報と時間を確保するとともに、買付者との交渉の機会を確保することにより、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させることを目的としています。
当社取締役会は、上記取り組みにつきまして、2年ごとの定時株主総会の決議をとるなどの株主意思を確認するための手続が保障されており、また、客観的合理性ある発動要件が定められ、かつ発動時に独立した特別委員会に諮問するなどの客観的手続が定められていることから、上記基本方針に沿うものであって株主共同の利益を損なうものでなく、かつ会社役員の地位の維持を目的としたものではないと判断しています。
大規模買付ルールの内容は下記当社ホームページよりご参照願います。
<http://www.ikegami.co.jp/ir/company07.html>
買収防衛策
当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項には、以下のようなものがあります。
本項においては、将来に関する事項も含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書の提出日現在において判断したものです。
当社グループは国内のみならず米国、欧州、アジア、中近東、ロシア等の地域で商品を供給しています。従ってこれらの国または地域の経済状況や政治的要因、法的規制等により当社グループの販売活動に悪影響を及ぼす可能性があります。
また当社グループの取引には外貨建てのものが含まれています。そのため当社グループは為替予約等により為替相場の変動リスクをヘッジしていますが、そのリスクを全て排除することは不可能であり、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが行う各事業において、競争の激化による製品価格の低下が進んでおり、今後もより一層の厳しい競争が予想されます。当社グループもコスト削減努力など収益性の改善に全力で取り組んで参りますが、予想よりも急激に競争が激化した場合、各事業の収益面において悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは他の会社またはグループとの連携により、より付加価値の高い商品を提供できると考えています。しかしながら、関係各社との連携において不具合が生じるなど、予期せぬ事態が発生した場合には、事業の展開に遅れが生じるなどの悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは設計から製造・検査に至るまで、製品の品質および安全性には細心の注意を払っています。しかしながら製品の品質面でのリスクを全て排除するのは不可能であり、製造物責任(PL)問題を提起される可能性があります。またその他にも製品の不具合による賠償など品質や安全面での問題を提起される可能性も考えられ、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは新製品の開発を積極的に行っていますが、製品開発に遅れが生じた場合、製品の市場への投入が遅れ、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは顧客情報や取引先の情報などの重要情報について、社内での情報管理を徹底し、情報漏洩の防止に万全を期しています。しかしながら、そのリスクを全て排除するのは不可能であり、情報漏洩による信用の低下、訴訟等によるコスト増加などが起こる可能性があります。
当社グループは神奈川県藤沢市、栃木県宇都宮市に生産の拠点をおいており、これらの地域で地震などの大規模災害が発生した場合や、テロ災害、火災事故の発生、新型ウィルスの蔓延などにより被害を受ける可能性があります。また、当該拠点エリアにおいて計画停電等が実施された場合、生産活動に支障が出る可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループは、顧客に満足して頂ける製品を創造するために常に技術を磨き、「技術の池上」と評価を頂けるよう、積極的に研究開発活動を行っています。 研究開発は、主に技術開発センター(川崎市)で要素技術・機能開発を行い、プロダクトセンター(宇都宮市)とシステムセンター(藤沢市)で、製品化開発を行っています。 また、グループ外企業との分業と連携により、自社のコア技術開発とスピードある製品開発を実現しています。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、18億74百万円です。
放送システム事業関連では、デジタル放送番組素材の撮影取材、中継伝送、編集制作、放送番組の送出・基幹網伝送に注力して、番組制作機器、有線/無線中継機器およびネットワーク機器の研究開発を行っています。 また、総務省の推進する4K・8Kロードマップを重視した研究、製品開発に取り組んでいます。 当連結会計年度では以下の主な成果がありました。
放送カメラでは、4Kシステムカメラ新シリーズ「UNICAM XE」の最初の製品として、2/3型 800万画素(4K)CMOSセンサを搭載した新開発4K 3CMOSシステムカメラ「UHK-430」を製品化しました。また、同時に、3機種のビューファインダ、大型レンズ装着用のシステムエキスパンダやマスターコントロールパネル「MCP-300」などの周辺装置も併せて製品化しました。この「UHK-430」は、3月にドバイで開催されたCABSAT展示会で製品発表し、既存のHD放送用カメラの操作性と運用性を踏襲した4Kシステムカメラとして注目を集めました。「UHK-430」は4KとHD(2K)のサイマル運用が可能なカメラシステムとして、今後4K対応を検討されている放送各社のスタジオや中継車の機器更新需要に対応していきます。
8Kスーパーハイビジョンカメラにおいては、昨年度に日本放送協会(NHK)様と共同開発した第4世代カメラの追加納入を行いました。来るべき東京オリンピック・パラリンピックに向けて、スポーツ分野における運用が期待されます。併せて昨今4K/8Kにおいて映像の表現力向上を目的として標準化されるHDR(High Dynamic Range)の対応を行いました。
現行HDカメラでは、ヘリコプタ搭載用高感度カメラ「HDL-F3000」を開発しました。従来機種とインタフェース等の互換性をとることで、ヘリコプタの防振雲台を大型化する事無く使用可能なため、ヘリコプタ航続距離などの運用面に寄与します。
放送モニタでは、放送市場がHD(2K)から4K、さらに8Kと高精細化が進むことに伴い、表示系ヒューマンインタフェースのモニタの重要性は増しています。当社では従来の運用性を踏襲しつつ、4K、8K時代に求められる新たな機能に対応したモニタの製品開発を進めています。
昨年度は今後、HD(2K)のみならず4K、8K対応の幅広い放送モニタの製品化を見越し、共通プラットフォームの開発を進めました。この開発によりモニタ製品の効率化を図っていきます。さらに、4K、8Kで求められる高色域表現、HDR対応の開発も進めています。
昨年の11月に開催された国際放送機器展に4K対応モニタの参考出展を行い、製品化に向けて幅広いお客様から貴重なご意見を頂きました。これらの貴重なご意見を基に製品化を進めています。
また、8Kスーパーハイビジョンモニタは、まず55型8K LCDパネルを採用し、製品化前の技術検証として8Kスーパーハイビジョンカメラの画質評価および展示会にてデモンストレーション等を実施しました。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、制作用として小型化の8Kスーパーハイビジョンモニタが望まれており、インタフェース技術、HDR技術を含め、製品化の開発を進めていきます。
放送映像音声スタジオ機器・システムとしては、放送局需要をターゲットとした「MuPS-4000大型スイッチャ」の映像制作機能の高度化を進めました。
2018年の4K BS放送の本放送では、スイッチャに4Kフォーマットの映像制作機能が必要となるため、まずは、4K画面内への映像インポーズ機能を加え、本格的な4K映像制作に対応しました。
また、2K、4K映像を記録・再生できる動画(静止画)ファイル機能を新しく開発しました。任意の映像をリアルタイム送出できる映像制作の新たな機能として提案することで、複数の放送局への納入に繋がりました。
さらに、2016年からの小型SNG中継車の更新需要に向け、大型スイッチャの制作機能(多チャンネルのエフェクタの他、フレームシンクロナイザ、カラーコレクタ、マルチビューワ等)をそのまま踏襲しつつも3Uのラック収納サイズに収めた、省スペース小型スイッチャを新開発しました。
大型から小型システムまで、今後高まるシステム更新需要に向け幅広い映像制作システムの提案をしていきます。
無線伝送・通信機器では、700MHz帯FPUの周波数移行に対応した1.2GHz帯/2.3GHz帯のデユアルバンド対応・SISO方式超小型FPU送信装置「PP-90」を開発し、販売を開始しました。この「PP-90」は、徹底した小型・軽量化を図ることで業界最軽量の約1kgを実現しました。本体には、最新のH.265コーデックを内蔵し、放送番組素材伝送で重要な、超低遅延・高画質映像伝送を実現しています。さらに、5W出力の電力増幅器も同時に開発し小型・高出力での運用が可能なことから、ロードレースのバイクカメラ等で使用されました。「PP-90」は低消費電力化と合わせワイヤレスカメラやイベント中継等、様々な中継形態への活用が期待されています。
また、海外向けFPUとして「PF-531A」を開発し、東南アジア、西アジア、大洋州地域から販売を開始しました。PF-531(国内モデル)の高い耐環境性能(直射日光、雨に強い構造)を継承し、高温・多湿な東南アジア、西アジア、大洋州地域の気候に対応しました。各国により異なる無線周波数帯に対応したユニット類を用意し、積極的な販売活動を行っていきます。
セキュリティ機器関連では、市場での高画質化、ネットワーク化のニーズの高まりに対応したフルHDネットワークカメラシリーズの開発を行い、ラインアップの拡充を図りました。
一昨年、フルHDネットワークカメラ「IPD-BX300」(ボックス型)、「IPD-DM300」(ドーム型)とフルHDネットワークレコーダ「INR-1008P/1016P」(PoE対応)を開発し好評を得ました。そこで昨年度はさらに顧客の多様化するニーズに対応すべくフルHDネットワークカメラ5機種、統合ソフトウェア一式を開発し、販売を開始しました。
フルHDネットワークカメラのラインアップとして、屋外ハウジング一体型「IPD-BL300」、耐衝撃屋外ドーム型「IPD-VR300」、屋内パンチルト・ミニドーム型「IPD-PT200」、屋外コンピネーションドーム型「IPD-SP200T」、屋内コンピネーションドーム型「IPD-SP200U」の5機種を追加開発しました。また、カメラ台数の多い大規模システムに対応すべくフルHDネットワークカメラシリーズとネットワークレコーダ2機種を接続し運用することが可能な統合監視ソフトウェア「INR-1000SW」も開発し、多様なご要望に合わせて分割画面表示やマップ表示のカスタマイズなどが行えるソリューションを提供しました。
当社のフルHDネットワークカメラは発売以来、最新のH.264画像圧縮技術による高画質と、複雑なネットワーク設定を排除し簡単設定、操作を実現したことにより、店舗系では大手コンビニエンスストアチェーン2社の推奨メーカーとなりました。その他、フランチャイズチェーン店や量販店、さらに、テナントビル、マンションや老人ホーム向けに多くの受注を獲得しました。特に、老人ホームの案件では、40個所の統合監視としてカメラ総数600台を遠隔監視できる大規模システムを実現しています。
今後は、当社納入実績の多い公共、プラント市場向けに新設や従来型アナログシステムからネットワークカメラシステムへの更新を図るべく、高画像圧縮技術、ハイエンドネットワークカメラ、システム周辺機器の拡充を進め監視ソリューションの高度化を図っていきます。
メディカル機器関連では微細手術の高度化を支える映像装置の研究開発を進めています。
手術顕微鏡、術野カメラシステム等、さまざまな場面で活用頂く医療用カメラの高精細最高機種として、高感度4K出力カメラ「MKC-704KHD」と、高解像度4Kカメラ「MKC-750UHD」を製品化しました。 MKC-704KHDは、FULL HD(1920×1080)の4倍の4K映像(3840×2160)を出力し、当社医療用カメラとして最高感度の2000lx/F17(LINE MIX ON)を達成しています。さらに特殊画像補正機能の搭載により、微細部分の表現力、解像感、被写界深度を格段に向上させたことにより、ヘッドアップサージャリーや低照度の眼科手術などの用途に効果を発揮します。MKC-750UHDは、4K(3840×2160)デジタルプロセスの搭載により従来のHD方式(1920×1080)と比較して4倍高精細な映像を実現。限界解像度1600本、S/N56dBの高画質を達成しており、高画質が必要な今後の医療分野に4Kソリューションの入力カメラとして注目を集めています。
MKC-704KHDでは、4K対応の専用手術顕微鏡アダプタを使用することで、ICG、フルオレセイン、5-ALAの高感度高画質による撮影が可能となり、眼科をはじめ、脳神経外科や整形外科など外科分野での活躍も期待されています。
また、高精細の表示機器としてのモニタ開発を進めており、今年度、新型モニタのラインアップを発表し新たなソリューション提案を行っていきます。
検査機器関連では、お客様の製品品質の向上を支えるために、画像処理とメカトロニクスを融合した検査装置システムの研究開発を行い、事業拡大に努めています。
主要製品である錠剤検査装置TIE-9000シリーズでは、昨年度、X線錠剤内部検査装置「TIE-XR」を製品化しました。また、昨年7月のインターフェックスジャパンで錠剤検査装置との連動モデルを発表し、ジェネリック医薬品の大手メーカーに納入実績を得ました。
さらに、患者の高齢化に伴う錠剤医薬品の識別改善の要求に応えて、非接触型のインクジェット錠剤印刷装置「TIE-9000P」の研究開発を進め、同展示会に参考出展し注目を集めました。政府の後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用促進方針による錠剤医薬品の需要増に応えるべく、検査性能の向上、新機能の研究開発を進め、さらなるソリューションの提供を継続していきます。
一方、平面検査市場では高速搬送による高精度検出に対応する16,000画素850MHz高速ラインカメラの検査機器を開発し、2016年4月の高機能フィルム展にPIE-650平面検査装置として製品発表し販売を始めました。本装置は、すでに大手銅箔メーカーからの受注を獲得し、本年9月納入予定です。今後、業界最速、高解像度の平面検査装置として機能強化を進め、お客様への新たなソリューションを展開していきます。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当連結会計年度末の総資産は、299億67百万円であり、前連結会計年度末に比べ14億39百万円減少しました。流動資産は現金及び預金の増加、受取手形及び売掛金の減少等により、前連結会計年度末に比べ12億75百万円減の241億11百万円となりました。固定資産は投資有価証券の減少等により、前連結会計年度末に比べ1億64百万円減の58 億56百万円となりました。
負債総額は165億73百万円であり、前連結会計年度末に比べ9億12百万円減少しました。流動負債は、短期借入金の増加、支払手形及び買掛金の減少等により前連結会計年度末に比べ3億6百万円増の94億94百万円となりました。固定負債は、社債、長期借入金、退職給付に係る負債の減少等により、前連結会計年度末に比べ12億18 百万円減の70億78百万円となりました。
純資産については、前連結会計年度末に比べ5億27百万円減少し、133億93百万円となりました。これは主として、親会社株主に帰属する当期純利益の減少によるものです。
この結果、自己資本比率は、44.7%(前連結会計年度末44.3%)となりました。
「1<業績等の概要> (1) 業績、および (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。