第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「絶え間ない革新により、お客様から満足と信頼を頂く製品・サービスを提供し続けることを通し、社会に貢献します。その実現に携わる全ての人々が生き甲斐と働き甲斐を見いだすことのできる企業であり続けます。」を経営理念に掲げ、意思決定・判断の基軸となる価値観を「顧客満足」に置いています。

当社グループのビジョン、すなわち目指す姿は「情報通信と画像のプロフェッショナル」であり、その中心的な実現手段として「デジタル・ネットワーク・ソリューション」によるお客様の問題解決や新たな顧客満足の創造を図ることを追求していきます。

顧客の悩みこそ開発プランの源泉であると考え、顧客からの情報や知識を積極的に吸収して、より高度な技術力と卓越した開発力を磨き続け、「プロに貢献するプロ」として存在し続けることを目指します。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、更なる企業価値向上と、安定して利益を創出できる経営基盤の確立を目指し、平成31年3月期を最終年度とする3ヵ年中期経営計画「New Ikegami Way」を策定しています。本中期経営計画の数値目標につきましては、平成30年5月10日に公表したとおり、市場動向の変化や現況等を総合的に判断し修正しており、改めて公表した数値目標(売上高265億円、営業利益7億円、経常利益6億円、親会社株主に帰属する当期純利益5.5億円)の達成を目指して参ります。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループの主たる事業領域である放送市場につきましては、海外におきましては、現行のフルハイビ
ジョン(2K)から更なる高解像度を目指した4K放送への設備投資の増加と、東南アジア、西アジア、中東地域、中南米地域など、デジタルハイビジョン放送への移行の本格化に伴う設備投資の活性化が引続き見込まれています。また、国内においても2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催へ向けて4K、更に8K対応の設備投資の継続が期待されると同時に、セキュリティ市場でも、安心・安全の確保や防犯・防災意識の高まりによる需要が予想されます。医療機器市場においても世界規模で加速する医療の高度化を背景に、4K、8Kの高画質・高精細映像機器への期待が一層高まっており、検査機市場では、品質、安全性の確保や、作業効率の改善など、様々な分野で検査装置の需要が高まることも見込まれ、当社グループの産業システム事業を取り巻く環境は、今後の成長が期待される状況となっています。

こうした状況の中、当社グループは、より一層厳しさが増すと思われる価格競争や製品技術・開発競争に打ち勝ち、多様化するお客様のニーズに対応するため、技術力強化の加速・推進、海外事業の強化、産業システム事業の拡大・推進を進め、安定して利益が創出できる健全なる経営基盤を確立するための取り組みを更に強化して参ります。

 

(4) 会社の対処すべき課題

当社グループは、3ヵ年中期経営計画「New Ikegami Way」の“目指すべき姿”の実現へ向けて、主要戦略として掲げている事項に注力し、更なる企業価値向上と、安定して利益を創出できる経営基盤の確立を目指します。

 

①「New Ikegami Way」の目指すべき姿

1)事業ポートフォリオ再構築、事業構造転換を図り産業システム事業を次世代の成長の柱に育成する。
2)放送システム事業は確実に利益創出できる安定事業へと脱皮させる。
3)海外事業の抜本的構造改革を断行し、真のグローバル企業に成長・発展する。
4)技術のIkegami として質の高いエンジニア集団を形成し、更なる技術優位性を確立する。
5)製品セグメントの選択と集中を図り、高付加価値製品の開発投入により利益を増出する。

 

②主要戦略

1)成長戦略

・技術力高度化(技術優位性の確立)

コア技術であるIP&T(Image:撮像、Process:画像処理、Transmission:伝送)の徹底強化によりIP・高圧縮伝送・超解像他の更なる高度な技術の獲得とアライアンスによる外部リソースの有効活用により市場優位性の高い差異化製品およびシステムを提供していきます。

・放送システム事業の先進的取り組み加速

当社のベース事業として放送局・官公庁・公営競技等のハイエンド市場に投入できる先進的技術製品の開発および、東京オリンピック・パラリンピックを控え4K、8Kの本格的普及に向けた取り組みを加速するとともに高度なトータルシステムソリューションの提案強化に取り組んでいきます。

・産業システム事業の強化

当社の次世代成長の柱と位置付け、MS(メディカルソリューション)事業、IS(インスペクションソリューション)事業、SS(セキュリティソリューション)事業の産業システム3事業の比率を高め成長・拡大していくことで事業構造転換を強力に推進していきます。

・海外事業推進

アジア地域の販売を強化し、放送システム事業の更なる拡大を図り、併せて産業システム事業のグ

ローバル展開を推進し、売上、利益を拡大させるため地域にマッチした戦略製品の開発を進めます。特にMS事業をグローバル事業の柱としていくため既存分野はもとより新分野参入を推進していきます。

 

2)最適生産構造の追求

内製化とアウトソーシングの最適・効率的生産体制を追求し、品質の絶対確保と更なるコストダウンの両立を図っていきます。

 

3)経営基盤の安定化推進

次世代の経営を担う戦略的な人財採用の継続と教育制度の強化推進による人財育成を行っていきます。
絶え間ない業務品質向上(Quality Innovation)の推進によるスピーディーでチャレンジ精神旺盛な企業風土の醸成を行っていきます。
積極的な財務施策による効果的資金活用と財務基盤の強化を図ります。

 

 

(5) 株式会社の支配に関する基本方針

①基本方針の内容

当社グループは、映像技術を核とした事業基盤の確立に努め、幅広い分野においてメーカーの使命である最先端技術やノウハウを集積した製品・システムを提供し続けています。特に、製品やシステムの提供に際しては、開発・生産・受注・納入という一連の「もの作り」や「販売」のプロセスだけでは表現し得ない多くのノウハウ・専門知識・情報、そして顧客や取引先等のステークホルダーとの間に築かれた信頼感で形成された緊密な関係等を有しており、その面を深化し続けていくことこそが、結果として当社グループの企業価値を高めていくことになると確信しています。

また、逆に、進歩の早い技術変革をリードし続けるために、将来の技術のトレンドを常に意識し、経営資源の集中的再配分により、当社グループが得意とする技術要素を追求することは当然のことながら、必要に応じて関係各社と業務提携を行うなど、顧客のニーズを具現化するための施策に積極的に取り組んでいくことが、中長期的に見て、株主共同の利益創出の源泉になると考えています。

当社取締役会は、上記の顧客や取引先等のステークホルダーとの信頼関係の維持が確保されない当社株式の大量取得行為を行う者や、短期的な投資リターンを追い求めて上記顧客ニーズを具現化するための施策に積極的でない者は、当社の財務および事業の方針の決定をする者として適当でないと考えています。

 

②基本方針に照らして不適切な者によって当社が支配されることを防止するための取り組みの具体的な内容

当社は、上記基本方針に基づき、企業価値ひいては株主共同の利益を害する大量買付行為を防止するための取り組みとして、平成19年5月18日より「大規模買付ルール」を導入し、2年ごとの定時株主総会での決議を経て、現在も導入しています。

大規模買付ルールは、当社株式の大量買付が行われる場合の手続を明確にし、株主の皆さまが適切な判断をするために必要かつ十分な情報と時間を確保するとともに、買付者との交渉の機会を確保することにより、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させることを目的としています。

 

③大規模買付ルールに関する当社取締役会の判断およびその理由

当社取締役会は、上記取り組みにつきまして、2年ごとの定時株主総会の決議をとるなどの株主意思を確認するための手続が保障されており、また、客観的合理性ある発動要件が定められ、かつ発動時に独立した特別委員会に諮問するなどの客観的手続が定められていることから、上記基本方針に沿うものであって株主共同の利益を損なうものでなく、かつ会社役員の地位の維持を目的としたものではないと判断しています。

 

大規模買付ルールの内容は下記当社ホームページよりご参照願います。

<https://www.ikegami.co.jp/company/fs-9>

買収防衛策

 

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項には、以下のようなものがあります。

本項においては、将来に関する事項も含まれておりますが、当該事項は本資料の提出日現在において判断したものです。

(1) 当社を取り巻く事業環境について

当社グループは、国内のみならず米国、欧州、アジア、中近東、ロシア等の地域で商品を供給しています。従ってこれらの国または地域の経済状況や政治的要因、法的規制等により当社グループの販売活動に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの取引には外貨建てのものが含まれています。そのため当社グループは為替予約等により為替相場の変動リスクをヘッジしていますが、そのリスクを全て排除することは不可能であり、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 事業の収益性・成長性について

当社グループが行う各事業において、競争の激化による製品価格の低下が進んでおり、今後もより一層の厳しい競争が予想されます。当社グループもコスト削減努力など収益性の改善に全力で取り組んで参りますが、予想よりも急激に競争が激化した場合、各事業の収益面において悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 他社との連携について

当社グループは、他の会社またはグループとの連携により、より付加価値の高い商品を提供できると考えています。しかしながら、関係各社との連携において不具合が生じる等、予期せぬ事態が発生した場合には、事業の展開に遅れが生じる等の悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 製品の品質について

当社グループは、設計から製造・検査に至るまで、製品の品質および安全性には細心の注意を払っています。しかしながら、製品の品質面でのリスクを全て排除するのは不可能であり、製造物責任(PL)問題を提起される可能性があります。また、その他にも製品の不具合による賠償など品質や安全面での問題を提起される可能性も考えられ、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 製品の開発について

当社グループは、新製品の開発を積極的に行っていますが、製品開発に遅れが生じた場合、製品の市場への投入が遅れ、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 社内での情報の取り扱いについて

当社グループは、顧客情報や取引先の情報等の重要情報について、社内での情報管理を徹底し、情報漏洩の防止に万全を期しています。しかしながら、そのリスクを全て排除するのは不可能であり、情報漏洩による信用の低下、訴訟等によるコスト増加等が起こる可能性があります。

 

(7) 災害等について

当社グループは、神奈川県藤沢市、栃木県宇都宮市に生産の拠点をおいており、これらの地域で地震等の大規模災害が発生した場合や、テロ災害、火災事故の発生、新型ウィルスの蔓延等により被害を受ける可能性があります。また、当該拠点エリアにおいて計画停電等が実施された場合、生産活動に支障が出る可能性があります。

 

(8) 財務制限条項に関するリスク

当社グループは、資金需要に対する機動性と安定性の確保および資金効率向上を図ることを目的に、取引銀行3 行とコミットメントライン契約等を締結しています。これらには純資産の減少および経常損失の計上に関する財務制限条項が付されています。これに抵触し、借入先の請求に基づき借入金の返済を求められた場合、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用・所得環境の改善が続く中で、各種政策の効果もあって景気の緩やかな回復が継続しました。

一方世界経済においては、米国、欧州地域においても景気の回復が継続しましたが、中国等の新興国の成長の鈍化や英国のEU離脱問題、米国における政策動向による影響等、海外経済の不確実性から、依然としてわが国の景気が下押しされるリスクも存在する状況で推移しました。

 

このような状況下において、当社グループの当連結会計年度における経営成績の概要は次のとおりです。

 

売上高につきましては、前年同期比15.4%増収の262億75百万円となりました(前年同期売上高227億74百万円)。

損益面につきましては、営業損益は前年同期比で39億20百万円改善し、営業利益6億88百万円(前年同期営業損失32億32百万円)、経常損益は前年同期比で39億90百万円改善し、経常利益5億88百万円(前年同期経常損失34億1百万円)、最終損益につきましては、前年同期比で32億94百万円改善し、親会社株主に帰属する当期純利益は5億55百万円(前年同期親会社株主に帰属する当期純損失27億38百万円)となりました。

 

当連結会計年度の売上が前年同期比で増収となった要因としましては、国内の放送市場、公営競技市場等でのデジタルハイビジョン設備の更新需要の増加を受けて、放送システム事業の売上が大きく伸長したことが挙げられます。具体的には、スタジオ・サブシステム、映像伝送システム、中継車システムを始めとした各種システム、放送用カメラ、モニタの販売が増加しました。

国内の放送市場では、地上波デジタル放送スタート時に導入した設備の更新が進み始めるのに併せて、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを視野に入れた4K対応機器、システムの採用が徐々に進んでおり、この傾向は今後も続くと予想しています。しかしながら、地上デジタル放送スタート時の各放送局が同時期に設備導入を進めたのとは違い、今回の更新需要は各放送局によって段階的に進むと見込んでいます。

国内の産業システム事業では、メディカル事業において、高度医療の普及による高精細映像の需要の高まりから、4K対応を始め医療用モニタの販売が堅調に推移するとともに、眼科向けに医療用4Kカメラの浸透が進んでいます。セキュリティ事業においても、プラント向け、鉄道市場向け等、当社が得意とするハイスペックな監視カメラシステムの販売が堅調に推移しています。検査装置事業においては、製薬市場の設備投資動向が減速傾向で推移しましたが、健康食品の需要増によるサプリメント分野からの検査装置需要を取り込むなど、連結売上高に占める割合は放送システム事業には及びませんが、売上増加の要因となっています。

一方、海外においては、北米地域で、放送用カメラシステム、医療用カメラ、モニタの販売が堅調に推移したことにより前年同期の売上を上回りましたが、欧州地域では、放送用カメラシステム、医療用カメラ、モニタの売上が減少し、アジア地域でも中国、韓国での放送用カメラ、モニタの販売が大幅に減少し、第3四半期まで順調に推移していた中国での医療用カメラ、モニタの販売が、第4四半期で減速した影響もあり、前年同期の売上を下回りました。

以上により、海外での売上は減少しましたが、国内での放送システム事業の売上が大きく伸長したことと、産業システム事業の販売も堅調に推移したことにより、当連結会計年度の売上は、期初に予想していた260億円を上回ることができました。

 

当連結会計年度の損益につきましては、売上高の増加と併せ、継続して実施してきましたコスト構造の改善が進み、国内の大型案件において、その成果が表れたこともあり、営業利益は期初予想の6億円を上回りました。

経常利益は、為替変動の影響による為替差損等の営業外費用を計上したこともあり、期初予想の6億円を若干下回る結果となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、コーポレート・ガバナンス・コードに則り、当社の保有する投資有価証券の一部売却による売却益、および確定拠出年金制度への移行による退職給付制度改定益等を特別利益に計上したこと等もあり、期初予想の5億5千万円を上回ることができました。

 

生産、受注および販売の実績は、次のとおりです。

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績は次のとおりです。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

情報通信機器

25,816

24.4

 

(注) 1 金額は、販売価格によっています。

2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

② 受注実績

当連結会計年度における受注実績は次のとおりです。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

情報通信機器

23,685

△13.1

13,598

20.2

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績は次のとおりです。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

情報通信機器

26,275

15.4

 

(注) 1  主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

日本放送協会

2,282

10.0

4,061

15.5

 

2  上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末の総資産は、274億44百万円であり、前連結会計年度末に比べ12億30百万円減少しました。流動資産は、現金及び預金の減少、受取手形及び売掛金の増加等により、前連結会計年度末に比べ10億円減の229億60百万円となりました。固定資産は、無形固定資産の減少等により、前連結会計年度末に比べ2億29百万円減の44億83百万円となりました。

流動資産の変動の主な要因としましては、前連結会計年度末に確定給付企業年金制度を終了し、最低積立基準額に対する積立不足額17億24百万円を当連結会計年度に一括して支払った影響等により現金及び預金が36億31百万円減少しました。また、国内の放送システム事業が堅調に推移し、3月末納入案件が増加した結果、当連結会計年度末の受取手形及び売掛金と電子記録債権を合算した売掛債権は、前連結会計年度末に比べて29億3百万円の増加となりました。固定資産の減少要因は、主に無形固定資産の減価償却費の計上1億91百万円によるものです。

負債総額は157億4百万円であり、前連結会計年度末に比べ18億46百万円減少しました。流動負債は、支払手形及び買掛金、未払金の減少、電子記録債権(でんさい)による支払の開始による電子記録債務の増加等により前連結会計年度末に比べ8億23百万円減の116億76百万円となりました。固定負債は、社債、長期借入金、長期未払金の減少等により、前連結会計年度末に比べ10億23百万円減の40億28百万円となりました。

負債の変動の要因としましては、前述のとおり、前連結会計年度末の確定給付企業年金制度終了により、最低積立基準額に対する積立不足額17億24百万円を当連結会計年度に一括支払し、未払金が減少しました。また、有利子負債残高は、当連結会計年度に8億82百万円減少となりました。この内訳は、短期借入金70百万円減少、一年以内返済予定も含めた長期借入金4億48百万円減少、一年以内償還予定も含めた社債3億12百万円減少、一年以内返済予定も含めたリース債務51百万円減少です。

 

純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ6億16百万円増加し、117億39百万円となりました。純資産の変動の主な要因につきましては、前連結会計年度の業績悪化から、営業活動の成果によって黒字回復を達成したことにより、利益剰余金が前年同期比4億92百万円増加したことによります。この結果、自己資本比率は、42.8%(前連結会計年度末38.8%)となりました。
 翌連結会計年度につきましても、前述のとおり目標とする経営指標の達成を目指し、資金の流動性も確保しつつ、更なる財務基盤の強化を図って参ります

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ36億31百万円減少し、54億41百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、税金等調整前当期純利益6億42百万円を計上し、減価償却費6億84百万円、売上債権の増加額28億98百万円、仕入債務の増加額5億67百万円、未払金の減少額19億9百万円等により、22億40百万円の支出となりました(前年同期比49億29百万円の支出増加)。

投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、有形固定資産の取得による支出2億44百万円、無形固定資産の取得による支出75百万円、投資有価証券の売却による収入39百万円等により、2億95百万円の支出となりました(前年同期比12億4百万円の支出増加)。

財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、リース債務の返済による支出1億65百万円、長期借入れによる収入4億49百万円、長期借入金の返済による支出9億48百万円、社債の償還による支出3億12百万円等により、10億81百万円の支出となりました(前年同期比30億55百万円の支出増加)。

 

資金の財源および資金の流動性についての分析は次のとおりです。

 

当社グループの資金需要は、主に製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費のほか、設備の新設、改修に係る投資となります。特に、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて国内の放送システム関連製品の納入に係る仕入代金の資金需要が生じています。また、近年においては、新たな収益源泉を拡充するため産業システム事業の投資への資金需要が発生しています。これらの資金需要の財源については、自己資金のほか、金融機関からの借入および社債発行により調達することとしています。

資金の流動性につきましては、前述の製品の納入に係る仕入代金のほか、突発的な資金需要に対しても機動的に資金を調達できるよう金融機関との間で総額45億円のコミットメントライン契約を締結しており、流動性リスクに備えています。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、顧客に満足して頂ける製品を創造するために常に技術を磨き、「技術の池上」と評価を頂けるよう、積極的に研究開発活動を行っています。 研究開発は、主に技術開発センター(川崎市)で要素技術・機能開発を行い、プロダクトセンター(宇都宮市)とシステムセンター(藤沢市)では、主に製品化開発を行っています。また、グループ外企業との分業と連携により、自社のコア技術開発とスピードある製品開発を実現しています。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、19億42百万円です。

 

(1) 放送システム事業関連

放送システム事業関連では、デジタル放送番組素材の撮影取材、中継伝送、編集制作、放送番組の送出・基幹網伝送に注力して、番組制作機器、有線/無線中継機器およびネットワーク機器の研究開発を行っています。また、総務省の推進する超高精細映像技術(4K・8K)のロードマップを重視した研究、製品開発に取り組んでいます。

 

放送用カメラ・モニタでは、当連結会計年度において、以下の開発成果がありました。

 

4K放送カメラは、4Kとして世界初のスタジオタイプカメラ「UHK-435」を製品化することで、4KシステムカメラUHK-430のシリーズラインアップの充実を図りました。「UHK-435」は大型レンズ装着に適した構造とすることで、従来のビルドアップユニット装着と比べて放送現場でのセッティングを容易としました。更に、屋外のス
ポーツ中継など砂埃の多い厳しい環境下でも耐環境性に優れ、国内外の需要に応えました。

HD放送カメラでは、海外市場で要求されるマルチフォーマットおよびHDR(ハイダイナミックレンジ)に対応した「HDK-99」を開発し、米国で開催された世界最大規模の放送機器展NAB2018に出展しました。昨年度製品化したHDK-73に引続き、海外で要求の多いHDでのHDR運用に対応し販売を進めていきます。

 

放送モニタでは、放送市場で要求される4Kモニタの製品開発を行い製品発表しました。31型4Kモニタ「HQLM-3120W」、HDRマスターモニタとして最大1000cd/㎡の輝度を誇る「HQLM-3125X」および、放送システム構築で主力となる、17型4Kモニタ「HQLM-1720WR」の3機種を昨年11月に幕張メッセで開催されたInterBEE2017において発表しました。「HQLM-3120W」は2018年3月に製品リリースをしました。残り2機種も2018年に製品リリースを予定しています。

HDモニタについては国内外の根強い需要に応えるため、新たな製品の投入を行いました。60シリーズと名付け、9型、15型、17型の3サイズ6機種を製品リリースしました。更に、24型も開発し、米国の放送機器展NAB2018に出展しました。新ラインアップを揃えることで、お客様の幅広い運用に応えていきます。

 

放送映像音声スタジオ機器・システムでは、当連結会計年度において、以下の開発成果がありました。

 

2018年12月のBS、CS放送での4K本放送に向け、次世代4K大型スイッチャ「MuPS-5000」シリーズを開発しました。「MuPS-5000」シリーズは、映像入出力インターフェースとして4Kの伝送新規格である12G-SDI信号に対応し、HDの8倍の画像データを処理する高速画像処理エンジンを組み込んだ新型スイッチャプロセッサを開発、搭載しています。これにより、現行HDスイッチャと同等の系統、機能を備え、更にサイマル送出も可能な次世代4Kシステム機器の中核を成すものです。昨年11月に幕張メッセで開催されたInterBEE2017に出展し、2018年度から製品をリリースして参ります。

現行の大型スイッチャ「MuPS-4000」は動画ファイルの合成機能を従来の4chから8chへ拡張するなど、映像制作現場の利便性向上の機能強化を図り、お客様から好評を得ました。

これらの新機種および機能拡充により、4K映像制作での需要に応えていきます。

また、近年のインターネット技術による放送のIT化に向け、Media over IP関連技術の研究と製品開発を進めています。昨年のInterBEE2017では、リモートプロダクション向けソリューションを想定したIP伝送装置の技術展示を行い注目を集めました。今後、放送業界のIT化ソリューションとして技術動向を見据えながら対応製品の開発を進めるとともに、次世代放送システムの提案を行って参ります。

 

無線伝送・通信機器では、当連結会計年度において、以下の開発成果がありました。

 

無線伝送・通信機器では、放送局様向けに1.2GHz帯/2.3GHz帯のデュアルバンド対応・SISO方式超小型FPU受信装置「PP-90」を開発し、販売を開始しました。送信装置と受信装置を組み合わせることで、リターンビデオやカメラリモートコントロールに対応したワイヤレスカメラシステムとして使用することができ、スポーツ中継やコンサート中継等の番組制作に威力を発揮しています。また、FPU装置としては、超高精細度テレビジョン(4K・8K)の伝送を目的とした規格ARIB STD-B71が策定されたことから、この新規格への対応を視野にいれるととともに、新たなIPネットワーク素材信号形態にも対応した無線伝送装置として新型FPU装置を開発しました。今後、各放送局様へ積極的な販売活動を行って参ります。

 

(2) 産業システム事業関連

セキュリティ機器関連では、最新圧縮方式であるH.265対応の高品質、高感度フルHDネットワークカメラ6機種とネットワークレコーダ2機種を新たに開発し、販売を開始しました。H.265は従来のH.264比で大幅な効率化が実現でき、今後の映像監視市場におけるデファクトスタンダードになることが期待される圧縮方式です。H.265対応カメラとして、ボックス型「IPD-BX210」、耐衝撃屋外ドーム型「IPD-VR210」、バレット型「IPD-BL210」、屋内パンチルト・ミニドーム型「IPD-PT210」、屋外コンビネーションドーム型「IPD-SP210T」、屋内
コンビネーションドーム型「IPD-SP210U」の6機種、H.265対応ネットワークレコーダとして、ネットワークレ
コーダ「INR-1116-16P/1132-16P」の2機種のラインアップ化を達成しました。これらは、従来の当社フルHDネットワークカメラシリーズ同様、複雑なネットワーク設定を排除した簡単設定、操作を継続して実現しており、システム設置の利便性はそのままで、更に性能を向上させたフルHDネットワーク監視ソリューションの提供が可能となりました。

今後、当社納入実績の多い公共・社会インフラ市場において、製品ラインアップ化した「タッチパネル操作器 TPC-100」、「PCレスIPカメラ分割表示装置 IMV-90」とともに、従来型アナログシステムからネットワークカメラシステムへの更新を目指し、監視ソリューションの高度化を図るべく、販売拡大を推進していきます。

 

メディカル機器関連では、微細手術の高度化を支える映像装置の研究開発を進めています。

 

医療用カメラでは、最近の近赤外光による診断に対応すべく、近赤外光と可視光を同時撮影して一つの映像として合成可能なメディカルカメラを開発しました。本カメラは昨年10月に名古屋で開催された日本脳神経外科学会で技術参考出展を行い注目を集めました。また、解像度がHDの縦横2倍の医療用4K単板カメラを開発し、世界最大級の医療機器展示MEDICA 2017(11月、デュッセルドルフ)に出展し、多くの引き合いを受けました。

医療用モニタでは、微細手術を高精細な映像表示で支える、医療用4Kモニタ2機種「MLW-3110U」、「MLW-3110U Type3D」を製品化しました。「MLW-3110U」は、高輝度(525cd/㎡)・高コントラスト(1500:1)を誇り、手術顕微鏡の光学解像度に迫る高精細な4K映像の表示を可能としました。また、「MLW-3110U Type3D」は、偏光メガネによる3D観察時にも十分な明るさを提供できる高輝度設計により、明るく高精細な3D映像の表現を可能としました。

昨年10月、東京で開催された日本臨床眼科学会に、眼科用途の微細手術の新たなソリューションとして高精細4K機器による3D手術顕微鏡カメラシステムの参考出展を行い注目を集めました。

今後も、デジタル映像技術を駆使し微細手術の新たなソリューションを展開して参ります。

 

検査機器関連では、お客様の製品品質の向上を支えるために、画像処理とメカトロニクスを融合した検査装置システムの研究開発を行い、事業拡大に努めています。

 

昨年開発を行ったインクジェット方式の錠剤印刷装置「TIE-9000P」は、多種多様の錠剤(形状およびコー
ティング等)においても高品質な印刷を目指し、継続してインク、搬送機構、画像処理の高度化を進めて参りました。これにより、印刷が難しいと言われる表面コーテイングの錠剤においても、他錠剤への転写や錠剤間の擦れによる印刷劣化(耐擦過性)に優れた高速印刷を実現し、お客様から高い評価を得ています。既存の錠剤検査装置TIE-9000シリーズと併せて、錠剤医薬品市場へ更なるソリューションを提供して参ります。

 

新たな市場向け検査装置として、自動車排ガス浄化フィルタの検査装置を開発しました。検査対象の排ガス浄化フィルタは、微細多穴加工を施し筒状にしたセラミックに排ガス触媒を塗布したものです。このフィルタは、穴が微細で多種多様の形状をもつことから、生産ライン上での自動検査が難しく、長らく目視検査を行っていました。本検査装置は当社独自の光学設計により鮮明な微細多穴画像の取り込みに成功し、高精度の欠陥検出を実現しました。本検査装置は生産ラインでの稼働を始め、お客様から高い評価を得ています。

 

今後の検査事業領域拡大に向け、新たな検査手法や技術開発について、大学との共同研究、更に他企業とのアライアンスを積極的に進めています。