文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
当社グループは、「絶え間ない革新により、お客様から満足と信頼を頂く製品・サービスを提供し続けることを通し、社会に貢献します。その実現に携わる全ての人々が生き甲斐と働き甲斐を見いだすことのできる企業であり続けます。」を経営理念に掲げ、意思決定・判断の基軸となる価値観を「顧客満足」に置いています。
当社グループのビジョン、すなわち目指す姿は「情報通信と画像のプロフェッショナル」であり、その中心的な実現手段として「デジタル・ネットワーク・ソリューション」による新たな顧客満足の創造やお客様の問題解決を図ることを目指しています。
顧客の悩みこそ開発プランの源泉であると考え、顧客からの情報や知識を積極的に吸収して、より高度な技術力と卓越した開発力を磨き続け、「プロが満足し得る製品やサービスを提供する会社」として存在し続けることを目指します。
当社グループは、更なる企業価値向上と、安定して利益を創出できる経営基盤の確立を目指し、2019年度から2021年度までの3ヵ年中期経営計画を策定し、2019年5月23日に公表しています。本中期経営計画では、連結売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益を指標として、それぞれの数値目標を以下のとおりとしています。
(単位:百万円)
当社グループの主たる事業領域である放送市場では、国内におきましては、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催を視野に、2018年12月のBS、CS放送における4K、8K本放送の開始を契機とした4K、8K対応設備への需要の更なる増加が期待されています。また、海外におきましても、更なる高解像度を目指した4K放送への設備投資の増加と、放送市場以外でも高精細映像コンテンツの需要の高まりが見込まれています。
医療機器市場におきましても、世界規模での高度医療の普及が進み、4Kによる高精細映像機器の需要が増加するとともに、更に8K対応への期待も高まりを見せており、セキュリティ市場でも安全・安心の確保への意識の高まりから、映像機器の高精細化への要求が増加することが期待されます。また、検査機市場では、品質、安全性の確保や、生産効率の改善など、様々な分野で高精度な画像処理による検査工程の自動化要求が一層高まることも見込まれるなど、産業システム市場におきましても、今後の成長が期待される状況となっています。
こうした状況の中、当社グループは、メーカーとしての基本である製品競争力の更なる強化を進め、メディカル、検査装置、セキュリティの産業システム事業の強化による売上・利益の拡大、既存の放送市場のみならず、高精細映像の需要が見込まれる新規市場への対応を含めた海外事業の拡大への取り組みを推し進め、持続的な企業価値向上を目指して参ります。
当社グループは、2019年度から2021年度までの3ヵ年中期経営計画で策定した数値目標の達成へ向けて、主要戦略として掲げている事項に注力し、持続的な企業価値向上を目指します。

1)絶え間ない技術の研鑽に努め、技術革新に果敢に挑戦し続け、技術優位性の確立により、技術で社会に貢献していく。
2)顧客満足の限りなき追求により、お客様のニーズを逸早く具現化し、常にお客様の信頼と期待に応え続け、安定した経営基盤の構築を図る。
3)その対価を更なる技術力強化の糧とし、技術優位性の向上を図っていくとともに、全てのステークホルダーへの確実なる還元を可能とすべく好循環サイクルを確立していく。
4)好循環サイクルを着実に進化させ続け、全世界に技術で貢献するグローバル企業として、利益ある持続的成長、発展していく。
1)2020年度以降の当社を取り巻く市場環境を見据えた中長期戦略による事業ポートフォリオの再構築、事業構造転換を図り、Quality Innovation(絶え間ない業務品質向上・変革)の飽くなき追求により、更なる利益増出構造を確立し、利益ある持続的成長企業として発展していく。
2)IP&Tのコア技術を追求し、更なる次世代新技術の習得およびアライアンス等による、外部技術リソースの有効活用を図り、「真の技術のIkegami」として技術優位性を確立する。
3)市場・製品の選択と集中を図り、ハイエンドニッチ市場に特化した高付加価値製品の開発、投入により利益増出を図る。
4)放送システム事業はベース事業として、安定した売上高・利益を確保し、事業の長期安定化を図る。
5)新たなる事業ポートフォリオ構築に向けて、産業システム事業を拡大する。
6)海外事業を安定した利益確保ができる事業構造へ転換し、進化させる。
1)成長戦略
□技術力高度化(技術優位性の確立)
コア技術であるIP&T(Image:撮像、Process:画像処理、Transmission:伝送)の更なる深化とIT技術力(MoIP,ソフト,AI他)の強化およびアライアンスによる外部リソースの有効活用により、市場優位性の高い差異化製品およびシステムソリューションを提供していきます。
□放送システム事業の先進的取り組み加速
当社のベース事業として、国内外の放送局・官公庁・公営競技などのハイエンド市場に投入できる先進的技術製品の開発および、4K/8Kの本格的普及に向けた取り組みを加速するとともに、次世代新技術の習得・活用により高度なトータルシステムソリューションの提案強化に取り組んでいきます。
□産業システム事業の強化・拡大
・MS(メディカルソリューション)事業は特に海外事業の拡大と医療機器販売の推進、システムソリューションビジネスの展開を加速して参ります。また、医療の高度化を背景とした高画質・高精細映像機器のニーズにお応えするため、超高精細映像技術(8K)を用いた先進的な製品の開発、市場投入を推進して参ります。
・IS(インスペクションソリューション)事業は既存事業におけるシェア拡大に向けて更なる製品競争力強化と、新たな検査領域市場の開拓を進めて参ります。
・SS(セキュリティソリューション)事業はエリアマーケティング戦略の強化・推進を図りハイエンドニッチ市場に向けた高付加価値製品の拡充により、事業の持続的安定化を図って参ります。
□海外事業の安定化と事業拡大
放送システム事業はエリアマーケティング戦略を強化・推進し、市場の選択と集中を図り確実なる利益確保に努めて参ります。また、産業システム事業のグローバル展開を加速し、特にMS事業の拡大のため海外拠点の強化と新市場への参入を推進していきます。
2)最適生産構造の追求
多様化・高度化する顧客ニーズに対応する「モノづくり」を実現し、かつ更なる利益増出を可能とすべく最適生産構造を追求し、転換していきます。
3)経営基盤の安定化推進
□次世代の経営を担う戦略的な人財採用の継続と教育制度の強化推進による人財育成とガバナンス重視の経営による企業体質の強化を図って参ります。
□絶え間ない業務品質向上(Quality Innovation)の推進によるスピーディーでチャレンジ精神旺盛な企業風土の醸成を行っていきます。
□積極的な財務施策による効果的資金活用と財務基盤の強化を図って参ります。
当社グループは、映像技術を核とした事業基盤の確立に努め、幅広い分野においてメーカーの使命である最先端技術やノウハウを集積した製品・システムを提供し続けています。特に、製品やシステムの提供に際しては、開発・生産・受注・納入という一連の「もの作り」や「販売」のプロセスだけでは表現し得ない多くのノウハウ・専門知識・情報、そして顧客や取引先等のステークホルダーとの間に築かれた信頼感で形成された緊密な関係等を有しており、その面を深化し続けていくことこそが、結果として当社グループの企業価値を高めていくことになると確信しています。
また、逆に、進歩の早い技術変革をリードし続けるために、将来の技術のトレンドを常に意識し、経営資源の集中的再配分により、当社グループが得意とする技術要素を追求することは当然のことながら、必要に応じて関係各社と業務提携を行うなど、顧客のニーズを具現化するための施策に積極的に取り組んでいくことが、中長期的に見て、株主共同の利益創出の源泉になると考えています。
当社取締役会は、上記の顧客や取引先等のステークホルダーとの信頼関係の維持が確保されない当社株式の大量取得行為を行う者や、短期的な投資リターンを追い求めて上記顧客ニーズを具現化するための施策に積極的でない者は、当社の財務および事業の方針の決定をする者として適当でないと考えています。
当社は、上記基本方針に基づき、企業価値ひいては株主共同の利益を害する大量買付行為を防止するための取り組みとして、2007年5月18日より「大規模買付ルール」を導入し、2年ごとの定時株主総会での決議を経て、現在も導入しています。
大規模買付ルールは、当社株式の大量買付が行われる場合の手続を明確にし、株主の皆さまが適切な判断をするために必要かつ十分な情報と時間を確保するとともに、買付者との交渉の機会を確保することにより、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させることを目的としています。
当社取締役会は、上記取り組みにつきまして、2年ごとの定時株主総会の決議をとるなどの株主意思を確認するための手続が保障されており、また、客観的合理性ある発動要件が定められ、かつ発動時に独立した特別委員会に諮問するなどの客観的手続が定められていることから、上記基本方針に沿うものであって株主共同の利益を損なうものでなく、かつ会社役員の地位の維持を目的としたものではないと判断しています。
大規模買付ルールの内容は下記当社ホームページよりご参照願います。
<https://www.ikegami.co.jp/company/fs-9>
買収防衛策
当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項には、以下のようなものがあります。
本項においては、将来に関する事項も含まれておりますが、当該事項は本資料の提出日現在において判断したものです。
当社グループは国内のみならず米国、欧州、アジア、中近東、ロシア等の地域で商品を供給しています。従ってこれらの国または地域の経済状況や政治的要因、法的規制等により当社グループの販売活動に悪影響を及ぼす可能性があります。
また当社グループの取引には外貨建てのものが含まれています。そのため当社グループは為替予約等により為替相場の変動リスクをヘッジしていますが、そのリスクを全て排除することは不可能であり、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが行う各事業において、競争の激化による製品価格の低下が進んでおり、今後もより一層の厳しい競争が予想されます。当社グループもコスト削減努力など収益性の改善に全力で取り組んで参りますが、予想よりも急激に競争が激化した場合、各事業の収益面において悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは他の会社またはグループとの連携により、より付加価値の高い商品を提供できると考えています。しかしながら、関係各社との連携において不具合が生じる等、予期せぬ事態が発生した場合には、事業の展開に遅れが生じる等の悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは設計から製造・検査に至るまで、製品の品質および安全性には細心の注意を払っています。しかしながら製品の品質面でのリスクを全て排除するのは不可能であり、製造物責任(PL)問題を提起される可能性があります。またその他にも製品の不具合による賠償など品質や安全面での問題を提起される可能性も考えられ、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは新製品の開発を積極的に行っていますが、製品開発に遅れが生じた場合、製品の市場への投入が遅れ、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは顧客情報や取引先の情報等の重要情報について、社内での情報管理を徹底し、情報漏洩の防止に万全を期しています。しかしながら、そのリスクを全て排除するのは不可能であり、情報漏洩による信用の低下、訴訟等によるコスト増加等が起こる可能性があります。
当社グループは神奈川県藤沢市、栃木県宇都宮市に生産の拠点をおいており、これらの地域で地震等の大規模災害が発生した場合や、テロ災害、火災事故の発生、新型ウィルスの蔓延等により被害を受ける可能性があります。また、当該拠点エリアにおいて計画停電等が実施された場合、生産活動に支障が出る可能性があります。
(8) 財務制限条項に関するリスク
当社グループは、資金需要に対する機動性と安定性の確保および資金効率向上を図ることを目的に、取引銀行3 行とコミットメントライン契約等を締結しています。これらには純資産の減少および経常損失の計上に関する財務制限条項が付されています。これに抵触し、借入先の請求に基づき借入金の返済を求められた場合、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。また、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っています。
当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって景気の緩やかな回復が継続しました。
一方世界経済においては、米国では、景気の回復が着実に継続し、ヨーロッパ地域においても景気の緩やかな回復が継続しましたが、米国の保護主義的な通商政策の影響により、中国の景気動向が緩やかに減速するなど、海外経済の不確実性から、依然としてわが国の景気が下押しされるリスクも存在する状況で推移しました。
このような状況下において、当社グループの当連結会計年度における経営成績の概要は次のとおりです。
売上高につきましては、前年同期比5.0%減収の249億56百万円となりました(前年同期売上高262億75百万円)。
損益面につきましては、営業損益は前年同期比で59.2%増の営業利益10億95百万円(前年同期営業利益6億88百万円)、経常損益は前年同期比で85.8%増の経常利益10億94百万円(前年同期経常利益5億88百万円)、最終損益につきましては、前年度期比で52.1%増の親会社株主に帰属する当期純利益は8億45百万円(前年同期親会社株主に帰属する当期純利益5億55百万円)となりました。
当連結会計年度の売上が前年同期比で減収となった要因としましては、国内の放送市場で放送カメラおよび放送システムの販売が前年同期ほどの伸びが見られず、連結売上高の大きな割合を占める放送システム事業全体の売上高が減少したことが挙げられます。一方で、デジタルハイビジョン設備の更新需要は引続き順調に推移しており、放送用無線伝送装置の大型案件を受注するとともに、中継車システムの販売も前年同期並みを維持しました。
国内の放送市場では、地上デジタル放送スタート時に導入した設備の更新が進み始めるのに併せて、2018年12月にBS、CS放送における4K、8K本放送が開始されるなど、2020年の東京オリンピック、パラリンピックを視野に入れた4K対応機器、システムの採用が徐々に進んでおり、この傾向は今後も続くと予想しています。しかしながら、地上デジタル放送スタート時の各放送局が同時期に設備導入を進めたのとは違い、今回の更新需要は各放送局によって段階的に進むと見込んでいます。
国内の産業システム事業では、検査装置事業で、錠剤検査装置の販売が堅調に推移するとともに、錠剤印刷装置の受注を獲得するなど、前年同期の売上を上回りました。セキュリティ事業においても公共市場およびプラント市場向け等の監視カメラシステムの販売が順調に推移したことにより、前年同期の売上を上回りました。メディカル事業では、医療用カメラの販売は前年同期並みで推移しましたが、医療用モニタの販売が減少した影響もあり、売上高は前年同期を若干下回りました。
海外においては、中国、東南アジア地域においてOEM契約等を含め、医療用カメラ、モニタの販売が増加し、放送用カメラの販売も東南アジア地域を中心に堅調に推移したことにより、アジア地域での売上高は増加しました。欧州地域でも医療用カメラ、モニタの販売が年度を通じて堅調に推移しましたが、北米地域で、メディカル事業の販売が低調に推移するとともに、第4四半期における放送用カメラ、モニタの販売が例年ほどの伸びが見られませんでした。
以上により、国内の産業システム事業およびアジア地域での売上高は増加しましたが、国内の放送システム事業の売上減が影響し、当連結会計年度の売上高は、期初に予想していた265億円を下回る結果となりました。
当連結会計年度の損益につきましては、売上高は減少しましたが、高利益率案件の獲得による粗利益の増加、および継続的に取り組んでいる生産効率の改善等により原価低減が進んだことから、営業損益は前年同期比で4億7百万円増加し、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益と併せ、前年同期および期初予想を大きく上回る結果となりました。
生産、受注および販売の実績は、次のとおりです。
当連結会計年度における生産実績は次のとおりです。
(注) 1. 金額は、販売価格によっています。
2. 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
当連結会計年度における受注実績は次のとおりです。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
当連結会計年度における販売実績は次のとおりです。
(注) 1. 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合
2. 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
当連結会計年度末の総資産は、276億2百万円であり、前連結会計年度末に比べ1億58百万円増加しました。流動資産は、現金及び預金、電子記録債権および仕掛品の増加、受取手形及び売掛金の減少等により、前連結会計年度末に比べ3億41百円増の232億70百万円となりました。固定資産は、有形固定資産、無形固定資産の減少、投資有価証券の増加等により、前連結会計年度末に比べ1億82百万円減の43億31百万円となりました。
負債総額は152億42百万円であり、前連結会計年度末に比べ4億61百万円減少しました。流動負債は、支払手形及び買掛金の減少、電子記録債務の増加等により前連結会計年度末に比べ7億67百万円増の124億43百万円となりました。固定負債は、社債、長期借入金の減少等により、前連結会計年度末に比べ12億29百万円減の27億98百万円となりました。
純資産については、前連結会計年度末に比べ6億20百万円増加し、123億59百万円となりました。
純資産の変動の主な要因は、営業活動および生産効率の改善等の成果によって、利益剰余金が前年同期比6億54百万円増加したことによります。この結果、自己資本比率は、44.8%(前連結会計年度末42.8%)となりました。
翌連結会計年度につきましても、前述のとおり目標とする経営指標の達成を目指し、資金の流動性も確保しつつ、更なる財務基盤の強化を図って参ります。
当連結会計期間における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ7億15百万円増加し、61億57百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローについては、税金等調整前当期純利益10億68百万円を計上し、減価償却費6億69百万円、売上債権の減少額13億86百万円、たな卸資産の増加額4億52百万円、仕入債務の増加額3億76百万円等により、29億38百万円の収入となりました(前年同期比51億78百万円の収入増加)。
投資活動によるキャッシュ・フローについては、有形固定資産の取得による支出3億54百万円、無形固定資産の取得による支出55百万円等により、4億5百万円の支出となりました(前年同期比1億9百万円の支出増加)。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、短期借入金の純減額3億45百万円、長期借入金の返済による支出9億13百万円、社債の償還による支出2億12百万円等により、18億10百万円の支出となりました(前年同期比7億29百万円の支出増加)。
資金の財源および資金の流動性についての分析は次のとおりです。
当社グループの資金需要は、主に製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費のほか、設備の新設、改修に係る投資となります。特に、放送市場におけるデジタルハイビジョン設備の更新需要の納入に係る仕入代金の資金需要が生じています。また、近年においては、新たな収益源泉を拡充するため産業システム事業の投資への資金需要が発生しています。これらの資金需要の財源については、自己資金のほか、金融機関からの借入および社債発行により調達することとしています。
資金の流動性については、前述の製品の納入に係る仕入代金の他、突発的な資金需要に対しても機動的に資金を調達できるよう金融機関との間で総額45億円のコミットメントライン契約を締結しており、流動性リスクに備えています。
該当事項はありません。
当社グループは、お客様に満足して頂ける製品を創造するために常に技術を磨き、「技術の池上」と評価を頂けるよう、積極的に研究開発活動を行っています。研究開発は、主に技術開発センター(川崎市)で要素技術・機能開発を行い、プロダクトセンター(宇都宮市)とシステムセンター(藤沢市)では、主に製品化開発を行っています。 また、グループ外企業との分業と連携により、自社のコア技術開発とスピードある製品開発を実現しています。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、
放送システム事業関連では、デジタル放送番組素材の撮影取材、中継伝送、編集制作、放送番組の送出・基幹網伝送に注力して、番組制作機器、有線/無線中継機器およびネットワーク機器の研究開発を行っています。 また、総務省の推進する超高精細映像技術(4K・8K)のロードマップを重視した研究、製品開発に取り組んでいます。
放送用カメラ・モニタでは、今年度、以下の開発成果がありました。
放送カメラでは、放送市場のIP化の流れに応え4Kシステムカメラ「UHK-430」、「UHK-435」の信号インターフェイスとして、SMPTE ST-2110規格に対応し1本のケーブルで4K映像を非圧縮で伝送する25GbE(25 Gigabit Ethernet)のオプションモジュールを開発しました。これにより、従来のベースバンドと同様に非圧縮での4K映像の高画質伝送を可能とし、インターネット技術を用いた映像・音声等の伝送方式MoIP(Media over IP)の活用が進む放送現場に柔軟なソリューションを提供して参ります。
また、4K映像をお天気カメラなど多目的用途で活用できるBOXタイプの4K Multi Purpose Camera「UHL-43」を開発しました。4Kシステムカメラと同じ3板式を採用し、「UHK-430」と同等の画質性能を誇ります。高画質の4K情報カメラ用途はもとより、遠隔スタジオのリモートカメラ等、様々な用途で番組制作の効率化に寄与するものと期待されています。
放送モニタでは、放送市場で要求される4Kモニタの製品を開発しました。マスターモニタとして、高画質、高安定度、さらにHDR(High Dynamic Range)表現に向け通常モニタの約3倍の輝度(最大1000cd/㎡)を実現した「HQLM-3125X」を製品リリースしました。国内キー局をはじめ、多くのお客様から好評を頂いております。また、HD(2K)信号でもHDR対応が進みつつあることから、昨年度製品リリースしたHDモニタ60シリーズ(9型、15型、17型の3サイズ)向けに、HDR信号を表示可能とするオプションソフトウェアを開発しました。特に海外ではHDモニタに対するHDR対応の要求が高く、今後の販売に寄与するものと期待されます。
これらカメラおよびモニタ製品は米国放送機器展NAB2019(2019.4、ラスベガス)に出展し注目を集めました。MoIP、HDRの対応で、お客様の幅広い運用に応えていきます。
放送映像音声スタジオ機器・システムでは、今年度、以下の開発成果がありました。
2018年12月にBS、CS放送で4K本放送が開始されました。新開発の4K大型スイッチャ「MuPS-5000」シリーズ、4Kシステム周辺機器「OnePackⅡ」は、放送局の4K最新設備として本放送を支えるとともに、次世代放送設備として実績を積み、今後の4K放送システム構築に寄与して参ります。
「MuPS-5000」シリーズは、今後の4K放送に向けた放送局のシステム設備更新需要の中核となる製品として、4K映像制作の充実、4Kシステム運用におけるフレキシビリティを目指し、三次元映像効果機能、入出力の4K/2K映像変換機能の機能強化開発を図りました。
さらに、従来のHD(2K)運用に対しても、高い4K処理能力を活かし、従来の4倍~8倍の系統機能を可能とし高付加価値を実現しました。
また、4Kシステムを構築する際、システムごとに要求の異なる解像度や色域変換、またHDR変換機能などを柔軟に設定できるシステム周辺機器「OnePackⅡ」を開発しました。ソフトウェアで各機能を実現することで、柔軟性の高い、多系統、多機能複合型の周辺機能をコンパクトに収めることを可能としました。2018年9月から放送局に納入を開始し、小型軽量を活かし、中継車、ヘリコプタなどの省スペース環境での4Kシステム構築に貢献して参ります。
今後、地上波デジタル放送開始15年を経て第二次となるHD(2K)システムの更新需要に向け、4K、HD(2K)の充実した映像制作ソリューションを提案して参ります。
無線伝送・通信機器では、今年度、以下の開発成果がありました。
無線伝送・通信機器では、放送局向けに超高精細度テレビジョン(4K・8K)の伝送を目的とした新規格ARIB STD-B71への対応を視野に入れるとともに、新たなIPネットワーク素材信号形態にも対応した無線伝送装置として新型FPU装置「PF-900」を開発しました。この新型FPU装置「PF-900」は4K高画質映像信号とIP素材データの同時伝送を可能にした機能に加え、消費電力を従来のFPU装置と同等以下、かつ小型・軽量化を実現しました。
また、1.2GHz帯/2.3GHz帯のデュアルバンド対応・SISO方式超小型FPU装置「PP-90」をベースに、新たに7GHz帯に対応したFPU装置「PP-97」も開発しました。
デジタルFPU装置導入から15年以上経過しており更新需要に向け、4K対応新型FPU装置「PF-900」ならびに超小型FPU装置「PP-97」を核として、各放送局様への積極的な販売活動を行って参ります。
セキュリティ機器関連では、市場での高画質化、ネットワーク化のニーズへの対応を引続き進めています。
アナログのメリットを生かしながらフルHD(1920×1080)の映像を撮影・録画できる監視カメラの規格「AHD2.0」に対応した高感度フルHDカラーカメラ「ISD-890」を開発し、販売を開始しました。本製品の投入により、新たにケーブルを布線することなく既設の同軸ケーブルを用いてフルHD監視システムの構築が可能となりました。さらに、アナログコンポジット信号を同時に出力できるため、既存アナログカメラシステムのカメラの入れ替え・更新も対応可能となっています。既存のインフラ設備を無駄にすることなく有効活用することで、コストの抑制や工期の短縮の特長を活かし、鉄道市場、プラント市場、公共市場を中心に販売を推進して参ります。
また、IPネットワーク化では、同軸でのIP伝送環境が進みつつあることから、昨年度開発したH.265対応のネットワークカメラ「IPD-210シリーズ」を用いて、既存の監視カメラシステムの敷設同軸ケーブルを活用したIPネットワークカメラシステムのソリューションを開始しました。これにより、新規LANケーブルを敷設する手間とコストを大幅に抑制するとともに、同軸ケーブルによるネットワーク構築と、ネットワークカメラの利便性(1本のケーブルで映像伝送、カメラ制御、PoE(Power over Ethernet)給電)の提供を可能としました。
今後の高画質化、監視映像のネットワーク化のニーズの高まりに対し、新設需要のみならず既存のインフラを活用した、様々な設備更新のご要望に最適なソリューションの提供を行って参ります。
メディカル機器関連では、微細手術の高度化を支える映像装置の研究開発を進めています。
医療用カメラでは、最近の近赤外光による診断に対応すべく、近赤外光と可視光の同時撮影による映像合成メディカルカメラを開発し、製品リリースを行いました。
また、医療用4K単板カメラの製品化にあたり、手術中に求められるカメラ操作機能について新たなヒューマン
インターフェイスを開発し、2018年11月にドイツのデュッセルドルフで開催された世界最大級の医療機器展示MEDICA 2018に出展を行い注目を集めました。
さらに、眼科用途の微細手術の新たなソリューションとして高精細4K映像機器による3D手術顕微鏡カメラシステム(Vigilate〔商標登録〕)を開発しました。このシステムは、医師が顕微鏡を覗き込むことなく、3Dモニタを見ながら手術を行う、「Heads Up Surgery」と呼ばれるシステムで、医師の手術中の姿勢等の負担を軽減し手術の信頼性向上と効率化に寄与することを目指しています。
今後も、デジタル映像技術を駆使し微細手術の新たなソリューションを展開して参ります。
検査機器関連では、お客様の製品品質の向上を支えるために、画像処理とメカトロニクスを融合した検査装置システムの研究開発を行い、事業拡大に努めています。
医薬市場向け製品である、X線による錠剤内部検査装置「TIE-XR」の製品シリーズとして、昨年末にアメリカで認可されたデジタル錠剤(錠剤の中にチップ部品が内蔵され、服用後、体内で胃液と反応して微弱電波を発信し、体外で電波検知することで服用確認が可能な錠剤)向け検査装置を業界に先駆け開発しました。この装置はデジタル錠剤に内蔵されたチップ部品の有無や、複数チップの混入による不良錠剤の検出を行う装置で、微細な検出精度に対応した新たなX線検査エンジンを開発し実現しました。既存の錠剤検査装置TIE-9000シリーズと併せて、錠剤医薬品市場へ更なるソリューションを提供して参ります。
新たな市場向け検査装置として、産業市場向け枚葉検査装置を開発しました。従来の検査対象は金属箔や高機能フィルム等の連続したシート状のものに限られていましたが、新たにカットされた単体の対象物を高精度(30μm)、高速処理(850MHz)で検査可能にした「PIE-650M」を開発販売しました。本検査装置は当社独自の画像処理エンジンを搭載し、高精度な不良検出を実現するとともに、検査シミュレーション機能による不良検出画像の解析を行うことで生産ラインの不良要因分析に活用されています。本検査装置は生産ラインでの稼働を始めており、お客様から高い評価を得ています。
今後の検査事業領域拡大に向け、新たな検査手法や技術開発において、他企業とのアライアンス等を積極的に進め、お客様に新たなソリューションを提供して参ります。