第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは以下の4項目を基本方針と定め、事業の安定化と成長を目指しております。

・絶え間ない技術の研鑽に努め、技術革新に果敢に挑戦し続け、技術優位性の確立により、技術で社会に貢献していく。

・顧客満足の限りなき追求により、お客様のニーズを逸早く具現化し、常にお客様の信頼と期待に応え続け、安定した経営基盤の構築を図る。

・その対価を更なる技術力強化の糧とし、技術優位性の向上を図っていくとともに、全てのステークホルダーへの確実なる還元を可能とすべく好循環サイクルを確立していく。

・好循環サイクルを着実に進化させ続け、全世界に技術で貢献するグローバル企業として、利益ある持続的成長、発展していく。

 

(2) 目標とする経営指標

世界の経済情勢は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進むことで、世界的に経済活動の制限が緩和されるなど、景気の持ち直しの動きに期待がされていますが、一方で、サプライチェーンの混乱による半導体など様々な部品の調達難、価格高騰に加え、今回のロシアのウクライナ侵攻がもたらす資源価格をはじめとした過度の物価上昇によるインフレが世界経済への悪影響を及ぼすことが懸念されるなど、依然として先行き不透明な状況となっております。

このような状況下において、当社グループの事業領域におきましては、受注について回復の兆しが見られ、既に多くの受注済み物件を確保している状況ではありますが、サプライチェーンの混乱による影響は今後も続くと予想され、収束の時期も見通せないことから、製造・生産のリードタイムの長期化や原価の上昇など、業績への影響が懸念される状況となっております。

当社グループは、こうした状況の中、部品選定の見直し、調達先の多様化に取り組む一方で、取引価格の見直し・改定を進めるなど、サプライチェーンの混乱による影響を最小限に留めるための施策を継続して参ります。併せて、メーカーとしての基本である製品競争力のさらなる強化はもちろん、更なるコスト構造の改善による企業体質の強化、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進など、ウィズコロナ、アフターコロナ下でのニューノーマルへの対応を加速することで、売上・利益の確保に努め、持続的成長と企業価値向上を目指して参ります。

2023年3月期の通期連結業績の目標とする経営指標は、現時点において以下のとおりです。

(単位:百万円)

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属

する当期純利益

21,000

400

350

250

 

注意事項

上記の業績見通しは、当社グループが現時点で合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績は重要なリスク要因や不確実な要素等により異なる可能性があります。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

 当社グループを取り巻くビジネス環境は、中長期の視点では国内外での4Kシステムの需要増加と、更なる高精細を目指した8Kシステムへの期待、放送のデジタル化投資や、安心・安全の確保によるセキュリティー需要、医療用映像機器の高画質、高精細化需要、品質、安全性の確保による検査工程の自動化要求等が高まっていくことが見込まれます。

しかしながら、いまだ新型コロナウイルス感染症による経済活動への影響が継続し、半導体を始めとした原材料の供給不足やコストの上昇など、世界的なサプライチェーンの混乱、さらにはウクライナ情勢の長期化による影響など、依然として先行きは不透明な状況となっております。

 

こうした状況の中、部品選定の見直し、調達先の多様化に取り組む一方で、取引価格の見直し・改定を進めるなど、サプライチェーンの混乱による影響を最小限に留めるための施策を継続して参ります。併せて、メーカーとしての基本である製品競争力のさらなる強化はもちろん、更なるコスト構造の改善による企業体質の強化、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進など、ウィズコロナ、アフターコロナ下でのニューノーマルへの対応を加速することで、売上・利益の確保に努め、持続的成長と企業価値向上を目指して参ります。

 

(4) 会社の対処すべき課題

①サプライチェーンの混乱への対応

新型コロナウイルス感染症の収束が見えない中、サプライチェーンの混乱による半導体など様々な部品の調達難、価格高騰は今後も続くと予測され、依然として先行き不透明な状況となっております。

こうした状況の中、製造・生産のリードタイムの長期化や原価の上昇による業績への影響を最小限に抑制するため、以下の取り組みを進めて参ります。

■部品入手難対策の徹底

□部品選定の見直し

□調達先の多様化

□取引価格の見直し、改定

②放送システム事業の先進的取り組み加速

放送システム事業は、MoIP対応製品の開発を強化するとともに、次世代新技術の習得・活用により高度なトータルシステムソリューションの提案強化に取り組むことで、お客様の更新需要を確実に取り込み、全社の基盤事業として事業の安定化を確立して参ります。

③成長事業として事業の強化・拡大

MS(メディカルソリューション)事業は、コスト競争力強化、販売機会増出に向けた更なる差異化戦略の追求を加速して参ります。また、超高精細映像技術(8K)を用いた先進的な製品の早期市場投入を目指した実用化試作の加速、新領域技術へのチャレンジにより新たな医療分野への参入も推進して参ります。

IS(インスペクションソリューション)事業は、医薬品市場におけるシェア拡大を目指し、医薬品の品質向上と安定した生産に寄与して参ります。また、産業市場向けに前年度製品化したハニカム構造体検査装置を始めとした表面・構造体検査装置の販売を促進し、併せてアライアンスを含めた他社との効果的連携により新たな検査領域の開拓を継続することで事業拡大を図って参ります。

④安定事業として更なる業績向上

SS(セキュリティーソリューション)事業は、「安全保障」 「安全安心」 「環境」を主題とした新市場展開とハイエンドニッチ市場への経営資源の集中により、事業の持続的安定化を図って参ります。また、既存製品のOEM展開と販路拡大による更なる売上高の拡大を目指して参ります。

⑤海外事業の安定化と事業拡大

放送システム事業は前年度製品化した次世代4Kカメラシステム「UHK-X700/750」の販売促進により、シェア拡大と事業の安定化に努めて参ります。また、MS事業の拡大に向けて、好調を維持している中国市場やEU市場におけるOEM事業の更なる深耕、北米市場における医療機器の認証申請を加速させ、事業の拡大を図って参ります。

⑥働き方改革への取り組み加速

ニューノーマルにおける働き方の実現に向けたDXを推進して参ります。ライフワークバランスの更なる充実のため、テレワークや育児休業・出生時育休等の仕組みの定着を推進いたします。

⑦ESG経営の推進

省電力設備への入替えによる電気使用量の削減と、再生可能エネルギー利用への移行、開発製品の省電力化を推進して参ります。放送機器のリユース販売により、資源の再利用・有効活用を推進して参ります。住み続けられる社会を実現するためのソリューション提案と、全ての人の健康のために医療・検査技術の向上を目指して参ります。透明性、遵法性、誠実性を基本とするガバナンス強化に努めて参ります。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 事業等のリスク

① 新型コロナウイルス感染症の再拡大について

新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進むことで、世界的に経済活動の制限が緩和されるなど、景気の持ち直しの動きに期待がされていますが、今後、新たな変異株の流行により感染が再拡大するなどして、経済活動の停滞が生じた場合、計画されていた案件の延期や規模縮小、新規設備投資の凍結のリスクも見込まれます。こうしたリスクが顕在化した場合、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、こうしたリスクの影響を最小限に留めるため、比較的影響を受けにくいと思われる公共性の高い案件や、投資意欲が旺盛な市場、地域に注力するとともに、コスト構造の改善による企業体質の強化、更に、コロナ禍によるお客様の運用変化や新たなニーズに即したソリューション提案を推進して参ります。

また、当社グループ従業員が新型コロナウイルスに感染し、その感染がグループ内に拡散した場合、操業停止やサプライチェーンの停止等により、経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクを未然に防ぐため、テレワーク・時差通勤の導入、衛生管理の徹底など、感染予防と拡散防止に努めて参ります。

② サプライチェーンの混乱について

コロナ禍の影響によるサプライチェーンの混乱から、半導体をはじめとした様々な部品の調達難および価格の高騰が続いており、現時点において、その収束の見通しもたたない状況となっております。今後、こうした状況が長期化し、さらなる部品の調達難や価格の高騰などのリスクが顕在化した場合、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、こうしたリスクの影響を最小限に留めるため、部品選定の見直しや、調達先の多様化に取り組むとともに、取引価格の見直し・改定を進めて参ります。

③ 国際情勢について

当社グループは国内のみならず米国、欧州、アジア、中近東、ロシア等の地域で商品を供給しています。従って、これらの国または地域の経済状況や地政学的要因、法的規制等により当社グループの販売活動に影響を及ぼす可能性があります。特に、ウクライナ情勢が長期化し、資源価格をはじめとした過度の物価上昇によるインフレが世界経済への悪影響を及ぼした場合、また、米国と中国間の貿易摩擦が過熱し、米国による中国への各種規制強化等により、中国のみならず、世界経済にまで景気減速が広がった場合、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、こうしたリスクが顕在化した場合、その影響を最小限に留めるため、米国、ドイツ、シンガポールの現地法人との連携を密にし、各地域の情勢を的確に把握するとともに、サプライチェーンの強化を図って参ります。また、国際情勢の変化に伴う為替相場の変動リスクにも備え、為替予約等によりリスクの最小化に努めて参ります。

④ 災害・事故について

当社グループでは、工場における生産活動に関し、労働安全衛生に配慮するとともに、環境マネジメントシステムISO14001の認証を取得し、地球環境に配慮した生産活動に努めております。また、首都圏における大規模地震の発生などにより本社機能が麻痺した場合に指揮命令系統を早期に確立するための震災マニュアルも策定しています。しかしながら、不測の大規模地震や台風等の自然災害による生産設備の被害、工場における事故、製品輸送・外部倉庫保管中の事故等、不測の事態が発生するリスクが考えられます。これらの事象は、工場の操業や顧客への供給に支障が生じることで、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(2) 品質リスク

① 品質について

当社グループは設計から製造・検査に至るまで、製品の品質および安全性には細心の注意を払っています。しかしながら、製品の品質面でのリスクを全て排除するのは不可能であり、製造物責任(PL)問題を提起される可能性があります。また、その他にも製品の不具合による賠償など品質や安全面での問題を提起される可能性も考えられ、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、こうしたリスクに備え、製品の設計段階からデザインレビューを実施するともに、製品化の前段階での品質、性能評価試験を徹底しています。また、製品として出荷前に品質管理部門での出荷前テストを綿密に実施しています。

② 製品開発について

当社グループは、国内外の市場へ向けた新製品、新技術の開発を進めておりますが、各事業において、市場で競合する各社との競争の激化により、製品競争力が相対的に低下し、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、こうしたリスクが発生しないよう、常に次世代技術の習得・獲得・活用に注力し、各事業において市場でのマーケティング戦略の立案・実行による製品開発へのフィードバックを徹底します。

 

(3) コンプライアンス・リスク

当社グループは、事業の遂行にあたって、国内はもとより、事業を展開する各国において、当該国の法的規制の適用を受けています。これらの法令等に違反した場合や社会的要請に反した行動等により、法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁を受けたり、お客様からの信頼を失ったりする可能性があります。当社グループでは、コンプライアンスの取り組みを横断的に統括するRC委員会を設置し、具体的な計画を策定、実行することで、リスクの未然防止に努めています。また、リスクマネジメントやコンプライアンスに関する研修を通じ、従業員へ法令順守の意識醸成と徹底を推進し、違反や社会規範に反した行為等の発生可能性を低減するよう努めています。

 

(4) 財務制限条項に関するリスク

当社グループは、資金需要に対する機動性と安定性の確保および資金効率向上を図ることを目的に、取引銀行3 行とコミットメントライン契約等を締結しています。これらには純資産の減少および経常損失の計上に関する財務制限条項が付されています。これに抵触し、借入先の請求に基づき借入金の返済を求められた場合、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりです。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、緊急事態宣言や、まん延防止等重点措置が発令されるなど、厳しい状況が継続しましたが、ワクチン接種の普及による感染者数の減少とともに各種政策の効果もあり、景気の持ち直しの動きが見られるものの、半導体を始めとした原材料の供給不足やコストの上昇、さらにオミクロン株による感染者数の増加など、先行き不透明な状況で推移しました。

一方、世界経済におきましては、米国では景気の持ち直しが継続することが期待され、欧州地域でも厳しい状況が残る中で景気が持ち直しつつあります。中国でも感染再拡大の影響により、一部地域で経済活動が抑制されるなか、景気回復の動きが見られましたが、世界規模でのオミクロン株による感染者数の収束までには至らず、米国と中国の対立、さらに、ウクライナ情勢の影響による原材料価格の上昇など、景気の下振れリスクが存在する状況で推移しました。

 

このような状況下において、当社グループの当連結会計年度における経営成績の概要は次のとおりです。

 

売上高につきましては、前年同期比15.5%減収の184億70百万円となりました(前年同期売上高218億50百万円)。

損益面につきましては、営業損益は前年同期比で37.3%減の営業利益2億55百万円(前年同期営業利益4億7百万円)、経常損益は前年同期比で41.1%減の経常利益2億93百万円(前年同期経常利益4億98百万円)、最終損益につきましては、前年度期比で59.7%減の親会社株主に帰属する当期純利益1億78百万円(前年同期親会社株主に帰属する当期純利益4億44百万円)となりました。

 

当連結会計年度の売上高は、半導体を始めとした様々な原材料の供給不足や価格の高騰など、サプライチェーンの混乱の影響が想定以上に拡大したことにより、下半期、特に第4四半期の売上高の確保に直結する受注活動に納期および価格の面で多大な影響が生じ、予定していた受注案件の確保ができなかったこと、また一部受注済み物件の売上計上時期が来期へ後ろ倒しとなったことも影響し、前年同期の売上高を下回る結果となりました。

放送システム事業では、欧州地域で放送用カメラシステムの販売が堅調に推移しましたが、国内で、前年同期に売上を伸ばした放送用スタジオサブシステムの販売が減少したことなどが影響し、売上高は前年同期を下回りました。

産業システム事業でも、メディカル事業は国内、海外ともに医療用カメラ、モニターの販売が堅調に推移するなど、前年同期の売上高を上回りましたが、セキュリティー事業、検査装置事業におきましては、第4四半期での売上が想定ほど伸びず、前年同期を下回る売上高となりました。

 

当連結会計年度の損益につきましては、大幅な売上高の減少による粗利減、ならびに半導体を始めとした原材料の価格上昇に伴い、販売価格の改定等粗利減の極小化施策を展開して参りましたが、営業利益は前年同期比で減益となりました。

経常損益につきましては、為替差益などを営業外収益に計上しましたが、前年同期比で減益となり、最終損益につきましても同様に減益となりました。

 

 

生産、受注および販売の実績は、次のとおりです。

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績は次のとおりです。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

情報通信機器

19,684

△9.4

 

(注) 金額は、販売価格によっています。

 

② 受注実績

当連結会計年度における受注実績は次のとおりです。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

情報通信機器

22,217

10.4

16,276

29.9

 

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績は次のとおりです。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

情報通信機器

18,470

△15.5

 

(注) 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

日本放送協会

6,603

30.2

2,655

14.4

 

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末の総資産は、274億4百万円であり、前連結会計年度末に比べ23億79百万円増加しました。流動資産は、現金及び預金、電子記録債権、商品及び製品の減少、売掛金、仕掛品、原材料及び貯蔵品の増加等により、前連結会計年度末に比べ22億45百万円増の223億77百万円となりました。固定資産は、有形固定資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ1億33百万円増の50億26百万円となりました。

負債総額は136億93百万円であり、前連結会計年度末に比べ21億57百万円増加しました。流動負債は、短期借入金の増加等により前連結会計年度末に比べ12億35百万円増の86億26百万円となりました。固定負債は、社債の減少、長期借入金の増加等により、前連結会計年度末に比べ9億21百万円増の50億67百万円となりました。

純資産については、前連結会計年度末に比べ2億21百万円増加し、137億10百万円となりました。これは主として、利益剰余金、為替換算調整勘定の増加によるものです。この結果、自己資本比率は、50.0%(前連結会計年度末53.9%)となりました。

 

翌連結会計年度につきましては、半導体など様々な部品の調達難、価格高騰など、サプライチェーンの混乱に収束の見通しも立たない状況ではありますが、前述の2023年3月期の業績目標を達成すべく、その影響を最小限に留め、売上高の確保と、さらなる利益創出を目指し、資金の流動性も確保しつつ、更なる財務基盤の強化を図って参ります。

 

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローについては、税金等調整前当期純利益2億68百万円を計上し、減価償却費5億54百万円、売上債権の増加3億66百万円、棚卸資産の増加16億13百万円、仕入債務の増加5億96百万円、未払消費税等の減少4億74百万円等により、16億20百万円の支出となりました(前年同期比27億83百万円の支出増加)。

投資活動によるキャッシュ・フローについては、有形固定資産の取得による支出9億52百万円、無形固定資産の取得による支出30百万円等により、9億85百万円の支出となりました(前年同期比2億56百万円の支出増加)。

財務活動によるキャッシュ・フローについては、短期借入金の純増加9億90百万円、長期借入れによる収入24億97百万円、長期借入金の返済による支出8億82百万円、社債の償還による支出3億12百万円等により、20億59百万円の収入となりました(前年同期比27億68百万円の収入増加)。

 

(4) 資金の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの資金需要は、主に製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費のほか、設備の新設、改修に係る投資となります。特に、放送市場におけるデジタルハイビジョン設備の更新需要の納入に係る仕入代金の資金需要が生じています。また、近年においては、新たな収益源泉を拡充するため産業システム事業の投資への資金需要が発生しています。これらの資金需要の財源については、自己資金のほか、金融機関からの借入および社債発行により調達することとしています。

資金の流動性については、前述の製品の納入に係る仕入代金の他、突発的な資金需要に対しても機動的に資金を調達できるよう金融機関との間で総額40億円のコミットメントライン契約を締結しており、流動性リスクに備えています。

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いていますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

当社グループが行う重要な見積りは以下のものです。

 

①貸倒引当金

 当社グループの売上高は季節的変動が著しく、第4四半期連結会計期間に売上が集中する傾向にあります。この期間の売上債権の回収は翌連結会計年度に行われることから、貸倒引当金の会計上の見積りは重要なものとなります。

 当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しています。

 当社グループは、適切な与信管理を行い、一般債権の貸倒実績率が低い状況で推移していますが、売上増加により期末時の債権が増加したり、多額の貸倒れが発生した場合、貸倒引当金の金額が増加する可能性があります。

 

②投資(有価証券)の評価・減損

 当社グループは、取引先との中長期的な取引・関係維持、シナジー創出等、企業価値の維持・発展等を目的として、この目的に合致した株式を保有しています。これらの株式には、取引所に上場されている上場株式と上場されていない非上場株式があります。

 当社グループは、保有株式の評価については、上場株式は取引所の市場価格、非上場株式は取得価額で行っています。

 

 保有株式の減損については、上場株式においては、個別銘柄毎に市場価格と取得価額を比較して50%以上下落した場合は、合理的な反証がない限り著しい下落とみなし減損処理を行い、2期連続して下落幅が30%以上50%未満の範囲で推移した場合、市況および銘柄固有の要因分析を行い、今後の回復可能性を判断して減損処理を行っています。また、非上場株式においては、個別銘柄毎に1株あたり純資産額と取得価額を比較して50%以上下落した場合は、今後の回復可能性を判断して減損処理を行っています。

 保有目的が合致しなくなった場合、その株式を売却する場合があります。また、市況悪化や投資先の業績悪化により、保有株式の減損処理を行う場合があります。

 

③固定資産の減損

 当社グループは、固定資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合、一定の条件の下で回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額する会計処理を行っています。

 当社グループの業績の悪化や事業再編、固定資産の用途変更など、固定資産の回収可能性を著しく低下させる変化が生じた場合、減損処理を行う可能性があります。

 

④繰延税金資産の回収可能性

 当社グループは、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」の分類に応じて、会計上の資産・負債の金額と税務上の資産・負債の金額との差額および税務上の繰越欠損金(一時差異等)に係る税金の額から将来の会計期間において回収が見込まれない税金の額を控除して繰延税金資産に計上しています。

 回収の見込額は課税所得に影響を受けるため、業績の悪化により将来の課税所得の減少が見込まれる場合、繰延税金資産の減少および法人税等調整額の増加となる可能性があります。また、税制改正により将来の法定実効税率に変更が生じた場合、繰延税金資産の計上額に影響を与え、法人税等調整額が変動する可能性があります。

 

⑤退職給付関係 

 当社グループは、従業員の退職給付に充てるため、非積立型確定給付制度(退職一時金制度)および確定拠出制度を採用しています。このうち退職一時金制度においては、原則法による数理計算をしています。数理計算の計算基礎には、割引率、予定死亡率、予定退職率、予想昇給率があります。

 数理計算による退職給付債務の見込額と実際の退職給付債務の金額との差額は、未認識数理計算上の差異として翌期以降費用処理していますので、翌期以降の費用に影響があります。

 退職給付関係の計上額等は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(退職給付関係)」に記載しています。

 

⑥製品保証引当金

 当社グループは、製品のアフターサービスに伴う費用の支出に備えるため、過去の実績率に基づいて算出した見積額および特定の製品に対する個別に算出した発生見込額を計上しています。

 当社グループは、設計から製造・検査に至るまで、製品の品質および安全性には細心の注意を払っています。また、製品として出荷前に品質管理部門での出荷前テストを綿密に実施しています。

 しかしながら、出荷後に想定外の不良が発生することで、多くの修理費用が発生した場合、製品保証引当金の金額が増加する可能性があります。

 

⑦棚卸資産の評価

 当社は、製品、仕掛品については個別法による原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)、原材料については移動平均法による原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)により評価していますが、連結子会社は、主として先入先出法による低価法を採用しています。

 棚卸資産の評価および算定については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)(棚卸資産の評価)」に記載しています。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、お客様に満足して頂ける製品を創造するために常に技術を磨き、「技術の池上」と評価を頂けるよう、積極的に研究開発活動を行っています。研究開発は、プロダクトセンター(宇都宮市)とシステムセンター(藤沢市)において、事業毎に要素技術・機能開発・製品化開発を行っています。 また、グループ外企業との分業と連携により、自社のコア技術開発とスピードある製品開発を実現しています。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、1,685百万円です。

 

(1) 放送システム事業関連

放送システム事業関連では、番組制作から放送番組の送出・基幹網伝送に渡るデジタル放送機器に注力した研究開発を進めています。特に総務省の推進する超高精細映像技術4K・8Kのロードマップを重視した撮影機器、有線/無線中継機器、ネットワーク機器、および将来を見据えた新しい制作のワーキングスタイルに着目した研究開発に取り組んでいます。

 

放送用カメラでは、今年度、以下の開発成果がありました。

 

スタジオ番組制作および屋外中継向けに、大型レンズとの組合せ運用に特化した4K/HDカメラ「UHK-X750」を開発しました。本機は従来のポータブルカメラにビルドアップユニットを用いた場合と比較し、大型レンズの装着・セッティングを容易にすることで運用性向上を図るとともに、ビューファインダーをレンズの光軸に近い位置に設置可能な構造とすることで、カメラマンにとって良好なカメラワークを提供します。さらに、屋外運用で重要な砂塵対策として筐体にワンピース構造を採用し、安定した動作を実現しました。

また、中継現場での長距離映像伝送を実現すべく、カメラヘッドへの送電能力を強化したカメラコントロールユニット「CCU-X100」の開発も行いました。これにより、「UHK-X750」、「UHK-X700」との組みあわせで幅広い中継制作の運用性向上を提供します。なお、機能向上にも関わらず最新の回路技術を駆使することで3Uラックマウントサイズながら従来機種に比べて軽量化を実現しました。

カメラの機能面では「UHK-X700」、「UHK-X750」の映像制作の幅を広げる共通のオプション機能としてHFR(High Frame Rate)撮影機能の開発を行いました。4Kフォーマットで2倍速、HDフォーマットでは8倍速の高速撮影への対応により、スロー再生映像が要求されるスポーツ撮影用途等において威力を発揮します。

その他のオプション機能として、MoIP(Media over IP)インタフェースの開発も行いました。放送システムのIP化が進む中で、国際的な標準規格SMPTE ST 2110に準拠し、NMOS IS-04/05に対応しています。このオプション機能であるMoIPインタフェースの実装により、海外を中心にIPシステムへの導入が始まっています。今後、国内でもIP化の要求が進むことが予想されています。

 

放送映像音声スタジオ機器では、今年度、以下の開発成果がありました。

 

昨今、地方放送ローカル局、末端小規模設備更新の需要増加に応えるべく、ビデオスイッチャ「MuPS-5000」シリーズの大型、中型ラインアップ製品に加え小型ラインアップとして、省スペース、廉価版モデルの開発をしました。

本小型スイッチャは従来の小型ジャンルで実績を伸ばしてきた3Uラックマウントサイズを踏襲し、当社独自の回路技術により省スペースながら内蔵エンジンは強力な映像制作機能を搭載しました。これにより4K/2K映像フォーマットのいずれも入出力数は40入力20出力を実現し、4Kでも2Kと同様の映像システム系統が組めるアドバンテージとなっております。さらに、4Kと2K間の解像度、HDR/SDR、色域変換機能を搭載すると共に、サイマルキャスト制作までサポートをしています。さらに、2K映像制作は、従来HDスイッチャの4倍以上の機能搭載を実現し、多系統マルチビューワ出力機能と共に、小規模システムにおける高付加価値の提供を可能にしました。現在見込み生産活動、販売活動に入っており、2022年7月から順次納入開始して参ります。今後、キー局、準キー局のスタジオサブ、大中型中継車システムに納入実績に引き続き、小規模廉価市場に対しても、高い映像制作ソリューションを伴って訴求すると共に、非放送分野の映像制作市場に単体製品として販売を強化して参ります。

システム構成時のキーデバイスの一つである周辺機器「OnePackⅡシリーズ」では、映像コンテンツの制作・配信で重要となる映像変換機能として高品質な映像変換を実現した3D LUT(Look Up Table)を開発しました。開発した3D LUTは当社独自の「フィルタ補間方式」により、他社採用のアルゴリズム(三角錐補間、立方体補間等)と比較しバンディングノイズを大幅に低減しました。この3D LUT採用により、単なる計算式による映像方式変換ではなく、例えば、映像制作現場の4K HDR⇔2K SDR変換における各種Logカーブ要求や、ドラマ、映画撮影のグレーディング収録要求など、映像の異なる色空間への変換、或いは色そのものを変換するグレーディング用途への拡大を可能としました。今後は放送ライブ市場にとどまらずドラマ制作市場にも訴求して参ります。

その他、放送ライブシステムの運用で重要となるタリー制御システムにおいて、制御ソフトウェアの一新を図り、多系統化、および、従来のドットマトリクス表示器からグラフィック液晶表示パネルへの変更等のリニューアル開発をしました。これにより、ベクトルフォント表示によるデザイン性向上、表示情報の高自由度化など機能性の向上が図られたと共に、放送モニタ棚の新たな提案材料として、SI’erへの販売含め訴求して参ります。

 

放送システムにおいては、今年度、以下の開発成果がありました。

 

放送市場のIP化の流れの中、放送システムにおいては柔軟なシステム構築と運用性の実現が期待されるMoIP(Media over IP) 方式への感心が高まっており、関連する装置およびソフトウェアの開発を進めております。MoIPの導入にあたっては、映像伝送の既存方式であるSDI(Serial Digital Interface)との混在したシステム構築が欠かせないことから、キーデバイス装置としてSDIとMoIPを相互に変換するIP Media GW(Gateway)の開発を進め、SMPTE ST.2110のメディア伝送規格に準拠し、AMWA NMOSによるシステム制御に対応した機能開発とMoIPモジュールの開発を行いました。現在、2022年度中の製品化に向けて装置の仕上げと接続性検証を継続して参ります。

また、MoIPシステム構築の要となるソフトウェアのブロードキャストコントローラ(BC)の基本機能開発を行いました。BCはMoIP機器の管理、メディア間のコネクション制御と管理、通信や装置の状態監視などシステム構築の中核機能を担うものになります。今後はシステムアップからシステム運用に至るGUIを開発して参ります。

この他、放送番組内で使用されるテロップ、静止画およびタイトル動画などの映像配信の3Dファイルフォーマットの主流と注目されるglTF(GL Transmission Format)形式に対応した2K/4K送出のソフトウェア機能を開発しました。報道番組をはじめ今後多種多用な番組製作に活用できる技術として期待できます。

 

無線伝送・通信機器では、今年度、以下の開発成果がありました。

 

放送局向け4K対応FPU装置「PF-900」のFPU受信基地局更新需要への対応のため、さらなる受信性能向上の開発と、電波受信状況の監視利便性を目指しリアルタイム監視を可能とする受信状況データ伝送機能を開発し追加実装しました。特に後者の機能は、パソコン端末で表示することで、複数のFPU受信装置から送られてきた受信状況データをPC端末で表示することで、同時に監視することを可能とし、オペレータ業務の負担軽減に寄与します。

 

(2) 産業システム事業関連

セキュリティー機器関連では、高画質化、ネットワーク化の市場ニーズのほか、様々な顧客ニーズに対応したシステム、ソリューションの提供を推進しています。

 

各種環境プラント市場では、システムの中核となるモニタリング制御システムについて新たに「TPC-110」を開発しました。これにより、旧機種の「TPC-100」から、動画性(フレームレート)、解像度の性能アップを図り、現場状況をより明瞭、精細に確認・監視することを可能としました。さらに、クレードル型として無線通信に対応し可搬型としたことで中央制御室からの持ち出し運用も可能となり、利便性の高いプラント監視を可能にしました。また、VMS(Video Management System)への対応を図ったことで他社カメラもサポート可能となりました。これにより、既存の他社システムとの融合、連携が可能となり、映像による遠隔での支援機能の充実と効率的かつ安定したプラント施設の監視・運営のソリューションを提案して参ります。

鉄道市場においては、全国的に進む駅のホームドア設置や省人化によるワンマン運転化に向けた安全確認用監視システムのソリューションを提供して参りました。今後とも、無線伝送システムを始めとする装置の開発を進め、安全確認用監視システムの拡張性・利便性向上を図り、プラットホームでの乗客の乗降や列車出発時の安全確保に貢献して参ります。

 

メディカル機器関連では、微細手術の高度化を支える映像装置の研究開発を進めています。

 

内視鏡カメラでは当社独自の画像処理技術によって、手術時の生体内組織の同定・区域特定等をサポートするICG蛍光観察における視認性向上技術、および手術映像の強調機能技術等の開発を行いました。本機能を当社の既存カメラに組込みアップデートすることで様々な手術への応用が可能となることから、OEM供給している医療機器メーカーから好評を博しています。

今後とも他社との差異化を図るべく機能改善の開発を継続し、低侵襲手術を始めとした医療技術の向上、発展に貢献して参ります。

また、手術にまつわる手術室、機材管理等の間接業務の効率化にも着目し、間接業務の統括管理システムおよび手術室を想定した制御アプリケーションの開発、さらに、医療従事者の使いやすいGUIなどの開発に取り組んでいます。

今後も最先端のデジタル映像技術を駆使し、医療現場に真に求められる新たなソリューションを展開して参ります。

 

検査機器関連では、お客様の製品品質の向上を支えるために、画像処理とメカトロニクスを融合した検査装置システムの研究開発を行い、事業拡大に努めています。

 

医薬市場では 近年、超高齢化社会の進行と、ジェネリック医薬品の使用促進による医薬品生産量の急速な増加を背景として、より高速で高精度な医薬品検査を行い、品質を担保する検査装置に対するニーズが高まっています。その中で錠剤の外観検査においては、高い水準で安定した品質を維持するために、錠剤全周の異物付着や汚れ、割れ、欠け、形状不良など様々な不良を高精度で検出するとともに、刻印錠、割線錠のように凹部を持った錠剤の形状欠陥検査においても精度向上が求められています。

この状況において2020年11月に新製品として市場投入した錠剤外観検査装置「TIE-10000」に対し、2021年度は検査品質向上や生産性向上のソリューションとして、不良検出のシミュレーション機能を開発いたしました。本機能により検査品質基準を効率よく設定でき製品品質の安定化に寄与すると共に、生産ラインへのフィードバック情報としても活用が期待されます。今後は蓄積したAI技術を活用し、さらなる製品価値向上の開発を推進して参ります。

また、製品ラインナップとして、生産終了したTIE-9000シリーズでしたが、市場からの強い要望もありをTIE-9000Aシリーズとしてリニューアル開発を行い、2022年3月より市場で稼働開始しています。さらに、錠剤印刷装置のTIE-9000P/4500Pに、錠剤外観検査装置に搭載されている「3D形状欠陥検査機能」と「側面検査機能」を搭載可能とするための開発を行いました。これにより、錠剤印刷装置1台で錠剤への印刷と全数外観検査を実現し、2022年3月にPress Releaseしました。

産業市場の自動検査の要求が一段と増える中、枚葉検査装置「PIE-650M」の新機能開発として、フィルム等のコシのない被検査体、いわゆる軟性フィルムの搬送を特殊なチャッキングと搬送構造を開発し、2021年度より市場投入を開始しました。ニーズを捉えたことで引合いが増えており、今後、他企業との技術アライアンス等も含め、更なるソリューションを提供して参ります。

人から自動化への流れは速く、検査システムに関してのワンストップソリューションを目指し開発提供して参ります。