第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

 

(1) 経営の基本方針 (経営理念)

ローランド・グループの経営理念は、以下の3つのスローガンに集約されています。これらは、ローランド・グループが何のために存在し、どのような企業であろうとしているのかを表した、創業時から変わらない考え方です。

 

- 創造の喜びを世界にひろめよう

- BIGGESTよりBESTになろう

- 共感を呼ぶ企業にしよう

 

「創造の喜びを世界にひろめよう」

いつでも、誰でも、どこにいても、自分にあった音や映像の楽しみ方に一人でも多くの人がめぐり合える。そんなワクワクする世界の実現を、私たちは目指します。新たな作品を創りだす喜び、仲間たちと楽器を演奏する時の充実感、そして、それを多くの人と分かち合うひととき―無限に拡がる喜びの可能性を、追求し続けます。

 

「BIGGESTよりBESTになろう」

お客様一人ひとりにとって、常にBESTで特別な企業であること。私たちはそのためにたゆまず努力し、最善を尽くします。日々成長し続け、お客様の想いにこたえる。そしてまた、新たな夢や期待を寄せていただく。そんな信頼関係を大切にしていきます。

 

「共感を呼ぶ企業にしよう」

私たちは、支えていただいているお客様、取引先様、そして株主様など多くの方々に愛され、応援される企業を目指します。新しい価値を創り出す中においてもこうした方々の信頼を決して裏切らず、事業活動をよりよく理解していただく。そうして皆様からの共感を力にかえ、すべてのステークホルダーにとっての事業価値を持続的に向上させていきます。

 

(2) 経営環境

 


 

楽器市場は長期にわたって安定的に成長してきました。特に新たな価値を提供する電子楽器は市場全体よりも高い成長を示してきました。また日本市場は縮小傾向にありましたが、海外市場が全体の成長を牽引してきました。結果、電子楽器にフォーカスし、海外市場の成長を取り込める体制を構築している当社は高い成長性を示すことができました。

Withコロナの時代にあってもこの傾向は変わらず、人々の余暇時間は増えていくと考えています。コロナ発生により世界経済は大きく制限を受けていますが、長期化したステイホームをきっかけとして、潜在的な需要が一気に顕在化し、市場が大きく成長したと考えています。またオンライン販売における電子楽器の優位性や当社流通施策の効果、更には当社が推し進めてきたデジタルマーケティングとの親和性も改めて確認できました。

 

(3) 中長期的な経営戦略と対処すべき課題

上記の事業環境認識のもと、当社では2020年12月期からの3年間を対象とした、中期経営計画を策定しています。2014年の非上場化以降、当社は構造改革とともに将来のための成長投資も行い、業績を回復、向上させてきました。2020年12月期からの3年間は、「新たな成長ステージ」と位置付けています。

当社グループの継続的な成長には、顧客をより深く理解した価値ある製品・サービスの提供、欠品や過剰在庫が最小化されたSCM(サプライチェーンマネジメント)の構築、製品・サービスの真の価値を伝える顧客創造活動、そしてそれらを担う人材の育成、及びそれらを支える徹底した見える化とガバナンス強化が重要な課題であると認識しています。引き続き以下の基本方針に則り、事業のさらなる成長を目指していきます。

なお当社では、株主価値や企業価値の向上を計る指標として、ROE(自己資本利益率)及びROIC(投下資本利益率)を重要な経営指標と位置付けています。中期経営計画の最終年度である2022年12月期は売上高728億円、営業利益90億円、親会社株主に帰属する当期純利益62億円、ROE20%以上、ROIC15%以上の達成を目指します。

 

・中期経営計画2020-2022 概要

<ビジョン>

 世界中の人々をワクワクさせる

 

<重点戦略>

 ① <生み出す> 当社にしかできない高付加価値な製品/サービスの開発

 ② <伝える>  顧客創造と熱狂ファンの絆づくりによる市場開拓

 ③ <届ける>  欠品/過剰在庫のない、商品供給を止めない世界一のSCMの実現

 ④ <支える>  成長を支える人づくり、徹底した見える化とガバナンス強化

 

<基本方針>

① 当社にしかできない高付加価値な製品/サービスの開発

当社の独自技術を結集した共通プラットフォームを積極的に活用し、鍵盤楽器、打楽器、ギター関連機器といった既存コア分野での開発効率の向上を図り、収益力を強化します。同時に、新たな市場の創造や、新規顧客の獲得を目指した、当社ならではの付加価値を持った「新機軸(ゲームチェンジャー)製品」の開発も積極的に推し進めます。また、製品発売後においても、更に魅力を向上させるアップデートやコンテンツの継続的な提供により、プロダクトライフサイクルを延長させることで、商品の廃棄を減らし、持続可能な生産、消費を目指します。ソフトウエア音源のサブスクリプションサービスであるRoland Cloudにおいては、会員数増加に向け、継続的なコンテンツ供給体制やアプリ開発体制を構築するとともに、共通プラットフォームを採用したハードウエアとソフトウエアのシームレスな連携により、これまで出来なかった更なる付加価値向上にも取り組んでいきます。
 

② 顧客創造と熱狂ファンの絆づくりによる市場開拓 -Marketing Driven Company-

デジタルマーケティングを活用し、真の顧客ニーズの把握や、かつて楽器演奏をしたことがあるものの現在は辞めてしまっている顧客層の掘り起しを通じて、顧客との絆づくりを強化します。具体的には、楽器市場の成熟した先進国、成長市場である中国・新興国それぞれへの最適なマーケティングを強化し、顧客創造を行っていきます。

 

③ 欠品/過剰在庫のない、商品供給を止めない世界一のSCMの実現

世界一のSCMとは、「効率的なSCM業務を通じて、顧客の求める商品を、顧客の求める場所とタイミングで、常に欠品/過剰在庫なく供給する」当社の考える理想的なSCMの在り方です。その実現に向け、SCM関連データの一元化、見える化を進めることで、需要変動へのタイムリーな対応を可能とした精度の高い生産計画の立案に取り組んでいきます。また、計画的な部材調達と在庫配置、高収益機種への絞り込みによる効率化を進めることで、リードタイムの短縮を図るとともに、BCP(事業継続計画)対策も強化していきます。

 

④ 成長を支える人づくりと、徹底した見える化とガバナンス強化

社員一人ひとりが安心して自分らしく働ける環境整備、社風づくりに加え、人と組織の活性化により、社員と会社の結びつき(エンゲージメント)の強化を図ります。また、生産・在庫・売上・経費データの徹底的な見える化、一元化を進めることで、生産性の向上を図っていきます。加えて、ガバナンスの確立した本社管理部門のグローバル本社機能を更に強化していきます。

 

・ESGの取り組み

社会が大きな転換期を迎え私たちの生活にも影響を及ぼすなか、心に潤いや豊かさをもたらす音楽が果たす役割はますます大きくなっています。当社は、演奏する場所や時間に制限されることなく、手軽に音楽を楽しむことができる「電子楽器」事業を通じて、人々の生活をより豊かにしていきたいと考えています。

ESGについても、当社ならではの取り組みを行い、持続可能な開発目標(SDGs)の達成を目指しています。成長戦略の一つとして注力しているクラウド・サービス「Roland Cloud」では、電子楽器と連携するソフトウエアやアプリの密接な連携を実現。一つの楽器を様々な形で長くお楽しみいただくことで、環境にも優しい音楽ライフの実現につなげています。

 


 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 経済情勢について

当社グループが製造・販売する電子楽器はいわゆる嗜好品であり、かつ、当社グループは高い付加価値に見合う価格での製品やサービスの提供を重視しているため、当社グループの経営成績は景気動向に影響を受けやすい傾向にあります。また、当社グループは、欧州、北米及び中国を中心に海外における売上の比率が高いため、当社グループの経営成績は世界の経済情勢の影響を受けます。米中貿易摩擦や英国のEU離脱問題の継続、中国経済の成長鈍化に加え、新型コロナウイルスの世界的流行等による個人消費の減速や可処分所得の減少等により、当社グループの主要な販売地域における当社グループの製品やサービスに対する需要が減退する場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響が生じる可能性があります。

 

(2) 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に係る影響について

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴い、当社グループ及び当社グループのサプライヤー、流通業者等が事業を行っている国において、移動やイベント開催等の禁止・制限、自粛要請等による、経済・事業活動の停止・停滞等が継続又は拡大する場合には、工場閉鎖による生産停止、部材調達の制限、個人消費の減速や可処分所得の減少、予期できない経済活動、社会活動、行動様式等の変容によって、当社グループの製品やサービスに対する需要の減少や供給に対する制約、それらに伴う当社グループの取引先の経営状態の悪化、通信・金融サービス・サプライチェーンを含む公共及び民間のインフラの混乱等が生じ、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 中期経営計画等に関するリスク

当社グループは2020年8月に「2020年度-2022年度 中期経営計画」を公表しています。しかしながら、当社グループが中期経営計画を達成することができるか否かは、本「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載された事項を含む多くのリスクや課題の影響を受けます。

中期経営計画を策定する中で、当社グループは、為替相場や原材料相場、新型コロナウイルスの状況等、様々な前提を置いています。このような前提は必ずしも正しいという保証はなく、また、仮にかかる前提が誤っていた場合、当社グループは前提が誤っていたことによる影響に対応して成長戦略又は事業運営を適時に変更することができない可能性があります。

 

(4) 競合他社について

当社グループのブランドはグローバルに認知されており、音質やデザイン、製品の革新性等の面で、高い競争優位性を保持していると自負しています。また、初心者からプロのアーティストまで幅広い演奏者の要望にも応えられるよう、広汎な製品ラインナップを保持しています。これらの努力により、当社グループは、楽器業界における一定の地位を築いてきました。一方で、当社グループは、楽器市場において、国内外の楽器メーカーと激しく競合しています。当社グループの競合他社は、ブランド力、財務、技術、人材、生産能力、研究開発の歴史、コスト競争力、販売力等の点で、当社グループよりも高い競争力を有している場合があります。

加えて、当社グループの製品は、中古製品とも競合しているほか、特に近年においては、アジアを中心とする低価格帯の楽器メーカーが品質を大きく改善し、幅広い製品を競争力の高い価格で提供しており、当社グループとの競合が強まっています。当社グループがこれらの競合先又は競合製品との競争で後れを取ることにより当社グループの国内外の市場シェアが低下する場合や、競争激化に伴う価格下落圧力等が生じる場合は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響が生じる可能性があります。

 

(5) 研究開発活動について

当社グループの製品やサービスに対する需要は消費者の嗜好の影響を強く受けており、当社グループが既存の商品市場における売上を拡大し、又は新規性のある商品の市場開拓に成功するためには、変化する消費者の嗜好を正しく把握して継続的に研究開発活動を行う必要があります。当社グループが、新製品、とりわけ革新的な製品を商業化するためには、長年の研究開発が必要となる場合があります。また、当社グループの研究開発活動は、優れた研究者と技術者の雇用と育成を必要とします。

当社グループにおいて財務や人材等の理由から十分な研究開発活動が継続的に実施できず、消費者の嗜好やその変化に対応した製品やサービスの提供を行うことができなくなる場合や、当社グループの研究開発に想定以上に費用や時間がかかる場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響が生じる可能性があります。

 

(6) 自然災害等不測の事態について

当社グループは、製造拠点をマレーシア、中国及び日本に、物流拠点をマレーシアに、販売拠点は世界各地に有しています。また、各種部品のサプライヤーも世界各地に存在します。

そのため、当社グループの製造拠点、物流拠点、販売拠点又はサプライヤーが所在する国や地域において、地震、津波、洪水、台風等の自然災害、テロ行為、戦争、暴動、労働争議といった政治的・社会的な混乱、コンピュータウイルスの感染やサイバー攻撃等が発生し、当社グループの各拠点やサプライヤーに被害が生じた場合や、電力等のインフラが遮断される又は不安定となることにより、操業・営業や製造・出荷の停止、生産能力の低下、原材料や部品の調達難、製品供給の遅延等が発生した場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響が生じる可能性があります。とりわけ、当社グループの製造・物流機能が集約されているマレーシアにおいてそのようなリスクが顕在化した場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響が生じる可能性が高まります。

また、当社グループの事業拠点は特定の地域に集中しているため、当該地域において上記の自然災害等が発生した場合、当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。例えば、当社グループの本社、国内製造拠点及び研究開発拠点並びに国内事業に係る主要な機能の大部分は、静岡県に集中していますが、富士山の噴火や、東海地震・南海トラフ地震が発生した場合には、当社グループの事業活動に大きな被害をもたらす可能性があります。

 

(7) 原材料の調達について

当社グループの製品には、カスタムICチップ、材木、金属、プラスチック等の各種の原材料や部品が使用されています。当社グループは、原材料等の確保にあたっては、複数のサプライヤーを確保する等、不測の事態には備えているものの、サプライヤーの経営悪化、災害、規制環境の変化等により、当社グループが求める品質及び数量の原材料等の供給に遅延や中断が生じ又は原材料等の価格高騰が生じた場合には、当社グループの製品の製造が困難になり、又は仕入原価の上昇や当社グループ製品の値上げに伴う価格競争力の低下等が発生する可能性があり、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響が生じる可能性があります。

加えて、当社グループは、生産設備を稼働させるために安定的かつ大量の電力供給を受けることが必要です。災害等による電力供給の制限、電力不足や電気料金の値上がり等が生じた場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響が生じる可能性があります。とりわけ、当社グループの生産機能の多くが集約されているマレーシアにおいてそのようなリスクが顕在化した場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響が生じる可能性が高まります。

また、仮に、将来当社グループの製造・販売拠点において人件費や物流コストが増加する場合にも、当社グループ製品の値上げに伴う価格競争力の低下等が発生し、ひいては当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響が生じる可能性がありますが、当連結会計年度末現在においてはこれらの事由が発生する具体的な可能性は認識していません。

なお、当社グループは、当社製品の約半数で、旭化成マイクロシステム株式会社の延岡工場で生産する電子部品を使用しています。同工場は2020年10月に火災により生産が停止し、当連結会計年度末現在、復旧の目途は確認できていませんが、当社グループでは、当該部品の在庫及び当該部品を使用する完成品在庫を相当数確保しており、代替部品の調達及びこれによる設計変更の準備を進めています。このため、当連結会計年度末現在において入手可能な情報を前提とすると、当社グループは、当該火災による当社グループの業績への影響は限定的であると見込んでいます。しかしながら、代替部品を合理的な条件で安定的に調達できない場合には、2021年度下半期以降、当社グループの生産活動への制約又は製造コストの増加により、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響が生じる可能性があります。

 

(8) 製品の需要予測及び在庫管理について

当社グループは、当社グループの販売ネットワーク等から得た情報に基づき消費者の需要を予測し、事前に定めた生産計画等に沿って原材料等の調達を行っています。しかし、将来の消費者需要は正確な予測が困難であるため、当社グループの予測と実際の需要が異なる可能性があり、その場合には、在庫不足によって販売機会を逸したり、過剰在庫が生じてキャッシュ・フローへの影響や商品評価損が発生したりすること等により、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響が生じる可能性があります。

 

(9) 製造・販売における第三者への依存について

当社グループは、当社グループ製品の製造・販売において、外部の製造業者や販売代理店等の第三者に依存しています。

これらの第三者に経営環境の悪化や災害等が発生し、又はこれらの第三者が当社グループとの関係悪化や当社グループの競合他社との親密化等を生じさせる場合には、当社グループの製造・販売活動に支障をきたし、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響が生じる可能性があります。また、当該第三者の製造・販売活動の品質等が当社グループの基準を満たさない場合は、当社グループの製品やサービスに係る品質及び評価並びに製造・販売に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) ブランド価値の毀損について

「Roland」や「BOSS」をはじめとする当社グループのブランドは、消費者が当社グループの製品やサービスを購入する動機の一つになっています。当社グループは、継続的に経営資源を投入してブランド力の維持・強化に努めていますが、当社グループのブランド価値は、当社グループの製品等の不具合その他の品質問題、事故、経営陣や従業員等による不正行為、犯罪行為又は不祥事、偽造品やコピー商品の流通等により毀損する可能性があります。

また、メディア報道、インターネットやSNS上の投稿等による風評被害が発生した場合、その内容の真実性や正確性にかかわらず、当社グループの事業、財政状態、経営成績、ブランドイメージ及び社会的信用に悪影響が生じる可能性があります。

当社グループのブランド価値は、当社グループがこれまで新たな市場を切り開く製品や高性能製品等、消費者を魅了する商品を継続的にリリースしてきた実績によって支えられています。また、当社グループは、収益力を計る指標の一つとして製品別の限界利益率の管理を行っていますが、固定費削減努力に加え、付加価値の源泉となるハードウエア、ソフトウエアの双方における技術力やアーティストの感性に響く製品品質、これらにより確立されたブランド力により、限界利益率の維持・向上を図り、競争優位性を築いています。仮に、今後当社グループが、技術力の低迷や適切に消費者の意向が汲み取れないこと等により、消費者を魅了する商品を継続的にリリースすることができなくなった場合には、中長期的には当社グループのブランド価値の低下により、 当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響が生じる可能性があります。

 

(11) 海外で事業活動を行うことについて

当社グループは、世界各地に製造・販売拠点を有しており、海外においてマレーシア、中国に製造子会社を有しています。また、収益の大部分は海外から得ています。

海外で事業活動を行うにあたっては、政治・経済環境の不確実性、環境・安全・労働・貿易等の法規制の新設又は変更、移転価格税制を含む税制の変更、ビジネスにおける標準や慣行の相違、海外子会社の実効的な経営管理の困難性等のリスクが存在すると考えています。

これらのリスクが顕在化することにより、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響が生じる可能性があります。

 

(12) クラウドベースのサービス特有のリスクについて

当社グループは、2017年9月に、音楽・メディア制作者向けのクラウドを利用した高品位のソフトウエア音源のサブスクリプションサービスであるRoland Cloudの提供を開始しました。このRoland Cloudは、外部業者が提供するクラウドベースのサービスに依存しています。かかるサービス自体や、当該外部業者のシステム、インターネットに係るインフラ、当社グループのシステム等について、災害、コンピュータウイルスの感染やサイバー攻撃等により障害が生じた場合や、当社グループのシステム等の適時の更新、改修等を行えない場合等においては、Roland Cloudのサービスが中断・遅延し、又は当該サービスに対する信頼性が低下する可能性があります。また、当社グループがRoland Cloudのサービスを適切かつ継続的に提供するため必要となるシステムの保守、維持、更新等のために想定以上の費用が発生する可能性もあります。

これらの場合、当社グループの事業、財政状態、経営成績、ブランドイメージ及び社会的信用に悪影響が生じる可能性があります。

 

(13) システム等に関するリスクについて

当社グループは、事業活動全般及び当社グループの製品において、様々な情報システムを利用しています。これらのシステムが当社グループの想定通りに機能しない場合や、災害、戦争、テロ行為、コンピュータウイルスの感染やサイバー攻撃等によりシステム障害が発生した場合には、当社グループの業務やサービス提供の停止、重要なデータの喪失、対応費用の発生等により、当社グループの事業、財政状態、経営成績、ブランドイメージ及び社会的信用に悪影響が生じる可能性があります。

 

(14) 為替レートの変動について

当社グループは製造・販売活動をグローバルに展開しており、収益の大部分は海外から得ています。このため、当社グループは、米ドル及びユーロを中心とする為替レートの変動に伴う影響を受けます。

また、当社グループの海外子会社の現地通貨建ての資産・負債等は、当社グループの連結財務諸表作成の際には円換算されるため、当社グループの財政状態は為替レートの変動による影響を受けます。米ドル及びユーロに加え、近年では中国をはじめとする米ドル又はユーロ圏以外の地域における事業拡大に伴い、これらの地域の為替レートの変動による影響も増加しています。

当社グループは為替レートの変動による影響の一部を最小限に抑えるために、先物為替ヘッジ取引を行っています。しかしながら、為替レートの変動による影響を全て又は完全に排除することはできないため、為替レートの変動状況によっては、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響が生じる可能性があります。

 

(15) 季節要因が業績に及ぼす影響について

当社グループの業績は、11月の中国での光棍節(いわゆる独身の日)や米国をはじめとするブラックフライデーにおける商戦、及びクリスマス時期を中心とした12月の年末商戦の結果に大きく左右される傾向にあるため、下期の比重が相対的に高くなっています。したがって、年末年始に向けた売上高が景気動向の影響等により減少した場合は、当社グループの年間の業績に悪影響が生じる可能性があります。

 

(16) 知的財産権について

当社グループは、独自技術や当社グループの製品及びサービスに関する特許、登録商標等の知的財産権の取得、維持及び保護に努めています。しかしながら、当社グループが事業を行っている国又は地域の中には、知的財産権に対する有効な保護手段が整備されていないか、保護手段が限定的な状況にある場所もあり、一部の国又は地域において十分な知的財産権の取得ができていない可能性や、第三者による当社グループの知的財産権の侵害の防止が十分ではない可能性があります。当社グループの製品と類似し、若しくは模倣した製品が販売され、又は違法コピー等が流通する場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響が生じる可能性があります。

また、当社グループは、事前に他社の権利を侵害していないか十分確認を行っていますが、当社グループが意図せず第三者の知的財産権を侵害する可能性や、今後当社グループの事業分野において第三者の特許権等が新たに成立し、当社グループを当事者とする知的財産権の帰属等に関する紛争が生じたり、当社グループが知的財産権の侵害に関する損害賠償や使用差止等の訴訟や請求を受けたりする可能性があります。

上記に加えて、当社グループでは、従業員が当社グループの職務に関して新しい知的財産権を生み出した場合には、社内規程に基づき報奨金を支払っていますが、当該従業員や元従業員から当該報奨金の額等に関して訴訟等を提起される可能性は否定できません。これらの訴訟やクレーム等が提起された場合には、当社グループの事業、財政状態、経営成績、ブランドイメージ及び社会的信用に悪影響が生じる可能性があります。

 

(17) 製品・サービスの欠陥等について

当社グループの製品又はサービスに予期しない欠陥が生じた場合や、当社グループの製品又はサービスが仕様どおりに機能しない場合等において、製品・サービスの回収、中断・遅延、修理、改修、設計の変更等により、当社グループの事業、財政状態、経営成績、ブランドイメージ及び社会的信用に悪影響が生じる可能性があります。

また、当社グループの製品又はサービスの欠陥や瑕疵により、当社グループが製造・販売活動を展開している国及び地域で、製造物責任等に基づく訴訟その他の法的手続の当事者となるリスクを有しています。当社グループがかかる訴訟その他の法的手続の当事者となり、多額の損害賠償金や罰金等の支払いを命じられる等の場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響が生じる可能性があります。

 

(18) 大株主との関係について

当社は、米国ワシントン州を拠点とし、主として日本の上場株式への投資を目的とするTaiyo Pacific Partners L.P.(以下「タイヨウ・パシフィック・パートナーズ」という。)が投資助言を行うファンドから投資を受けており、当連結会計年度末現在において、かかるファンドが当社の親会社以外の支配株主となっています。また、当社の社外取締役の2名は、タイヨウ・パシフィック・パートナーズから派遣されています。

タイヨウ・パシフィック・パートナーズは、当社の事業や経営方針に関して有する利益は、他の株主の利益と異なる可能性があります。また、当社の役員の選解任やその他株主の承認を必要とする事項について影響を与える等、当社の株主総会決議の結果に重要な影響を及ぼす可能性があります。

また、タイヨウ・パシフィック・パートナーズが当社株式を市場内外で売却する場合又はその懸念が市場において認識される場合、当社株式の需給の悪化又はそのおそれにより、当社株式の市場価格に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(19) 法規制等について

当社グループはグローバルに事業活動を行っており、当社グループが事業活動を行っている国及び地域における労働安全衛生、労使関係、外国投資規制、外資規制、国家安全保障、消費者保護、競争政策、税制及び環境保護等に関連する様々な法律及び規制の対象となっています。これらの法律又は規制に違反した場合、当社グループは民事上、刑事上、又は規制上の罰則等が科せられたりすることによって、当社グループの事業、財政状態、経営成績、ブランドイメージ及び社会的信用に悪影響が生じる可能性があります。

この点に関連して、当連結会計年度末現在において当社グループは中国での競争法違反に関する当局の調査を受け、協力的に対応しています。当社としては当該調査事案により当社グループに生じうる影響は軽微であると考えているものの、当局による決定内容等によっては当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

以上のほか、当社グループの事業に適用される法律又は規制が新たに制定され、又は重要な変更等がなされた場合、その順守対応のための費用が増加し、製品の製造販売活動や設備投資、物流等が制約を受けること等によって、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響が生じる可能性があります。

 

(20) 訴訟等について

当社グループは、グローバルに事業を展開しているため、様々な国又は地域において、消費者、取引先、従業員等から製造物責任、契約違反、労働問題等に関して訴訟の提起を受け、又は規制当局による措置、処分等に服するリスクを有しています。訴訟等の結果又は規制当局による措置等の内容によっては、当社グループに多額の損害賠償金、罰金又は課徴金等の支払いが命じられ、当社グループの事業活動の制約や当社グループの経営資源の分散が生じることにより、当社グループの事業、財政状態、経営成績、ブランドイメージ及び社会的信用に悪影響が生じる可能性があります。

 

(21) 個人情報について

当社グループでは、顧客サポート、クラウドサービスの提供等において、多数の顧客の個人情報を保有しています。当社グループは個人情報等の適切な管理に努めていますが、個人情報の漏えいが生じた場合には、規制当局による措置や処分等の対象となって顧客からの信頼や当社グループのブランドイメージ及び社会的信用が毀損する可能性があるほか、対応するためのコストの負担が生じること等によって、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響が生じる可能性があります。

 

(22) 減損について

当社グループは多くの有形及び無形の固定資産を保有しています。固定資産の連結貸借対照表計上額につきましては、当該資産から得られる将来のキャッシュ・フローの見積りに基づく残存価額の回収可能性を定期的に評価していますが、他社との競合その他の理由によって事業収益性が低下し当該資産が十分なキャッシュ・フローを創出できないと判断される場合は、減損損失が発生し、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響が生じる可能性があります。

 

(23) 人材確保及び特定の人物への依存について

当社グループが厳しい事業環境下において競争優位性を確保するためには、経営陣及び経営管理、研究開発、製造、営業等の各分野において優秀な人材を確保することが重要です。しかしながら、専門性の高い優秀な人材の数は限られており、人材の採用及び確保の競争は激化しています。当社グループが優秀な人材を十分に確保できない場合は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響が生じる可能性があります。また、当社グループから、専門性の高い優秀な人材が競合他社に移籍した場合、その者が有する当社グループの知識やノウハウの流出により、当社グループの競争優位性が損なわれる可能性があります。

当社グループの経営は、現経営陣の能力と貢献に相当程度依存しています。何らかの理由により現経営陣が退任し、その代替となり得る人材が確保できない場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響が生じる可能性があります。

 

(24) 企業買収・資本業務提携等について

当社グループは、当社グループの企業競争力の強化や収益性の向上、市場シェアの維持・拡大等のために企業買収、他社との資本業務提携や合弁会社への出資、設立等を行う可能性があります。これらに際しては事前に十分な検討を行った上で判断するものの、資金調達の問題や事業上又は規制上の制約等によって実行できない可能性や、実行後、当社グループへの統合が順調に進まず、当初想定したような収益や事業上のシナジーが実現できない可能性等があり、そのような場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響が生じる可能性があります。

 

(25) 退職給付制度について

当社グループは、数理計算によって算出される退職給付費用を負担しています。数理計算の前提条件に変更が生じた場合、将来の確定給付費用、確定給付制度債務及び必要拠出額に影響を与え、その結果、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響が生じる可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり、経営者は、決算日における資産・負債及び報告期間における収益・費用の金額並びに開示に影響を与える見積りを行っています。これらの見積りについては、過去の実績や状況等に応じ合理的に判断をしていますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載していますが、経営者が行う見積りや判断のうち、特に次の重要な会計方針及び見積りが財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があると考えています。

(a) たな卸資産の評価

当社グループは、保有するたな卸資産について、正味売却価額又は再調達原価に基づき収益性の低下による簿価切り下げを認識しています。また、一定期間を超えて滞留するたな卸資産について、過去の実績及び将来の計画に基づき滞留期間を見積り、滞留期間に応じた評価により簿価切り下げを認識しています。将来の市場価格の変動や競争激化に伴う価格下落圧力等が生じる場合及び当社グループの需要予測と実際の需要が異なる等により在庫状況に変化が生じた場合にはたな卸資産の簿価を切下げ、評価損を計上する可能性があります。

 

(b) 固定資産の減損

当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損の要否を検討し、固定資産に減損が見込まれる場合は、将来キャッシュ・フローの現在価値又は正味売却価額に基づいて減損損失を計上しています。将来の事業計画の変更や経営環境等の悪化により将来キャッシュ・フローの見積りが著しく減少する場合は、減損損失を計上する可能性があります。

 

(c) 投資の減損

当社グループは、時価のある有価証券について、市場価格等が取得原価に比べて50%以上下落した場合に、原則として減損処理を行っています。また、下落率が30%以上50%未満の有価証券については、過去2年間の平均下落率においても概ね30%以上に該当した場合に減損処理を行っています。時価のない有価証券については、その発行会社の財政状態の悪化により実質価額が取得原価に比べて50%以上下落した場合に、原則として減損処理を行っています。将来の市況悪化又は投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失又は簿価の回収不能が発生した場合、評価損を計上する可能性があります。

 

(d) 繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、繰延税金資産の算定にあたって、将来の業績予測やタックス・プランニングを基に将来の課税所得を見積り、繰延税金資産の回収可能性を判断しています。経営環境等の悪化により、その見積りに変更が生じた場合は、繰延税金資産が取り崩されることにより税金費用を計上する可能性があります。

 

(e) 退職給付債務の算定

当社は確定給付企業年金制度(キャッシュバランスプラン)を採用しており、従業員の退職給付費用及び退職給付債務について、数理計算に使用される前提条件に基づいて算定しています。これらの前提条件には、割引率、退職率、死亡率及び昇給率、年金選択率、年金資産の期待運用収益率等の重要な見積りが含まれており、特に損益に重要な影響を与えると思われる割引率については、期末における日本の長期国債の利回りを基礎として設定しています。また、長期期待運用収益率については、運用方針等に基づき設定しています。実際の結果が前提条件と異なる場合や前提条件が変更された場合、その影響は累計され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来の会計期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。

 

(2) 経営成績等の状況の概要並びに経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延により経済活動が大きく制限されました。当第3四半期以降では感染拡大防止策の緩和もみられましたが、第2波、第3波とされる感染拡大により、先行きは依然として不透明な状況が継続しました。

当社の属する楽器業界においても影響は免れず、各国の感染拡大防止策により、取引先の販売店舗の多くが休業となり、当社においても中国工場及び主力であるマレーシア工場が一時操業停止となりました。一方で、長期化したステイホームを契機として楽器需要が増加、特にインターネット販売に適した電子楽器に対する需要は大きく増加しました。

このような環境下、当社グループでは「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 中長期的な経営戦略と対処すべき課題」に記載している「世界中の人々をワクワクさせる」というビジョンのもと、重点戦略である「当社にしかできない高付加価値な製品/サービスの開発」、「顧客創造と熱狂ファンの絆づくりによる市場開拓」、「欠品/過剰在庫のない事業継続にも配慮したSCMの実現」、「成長を支える人づくりと、徹底した見える化によるガバナンス強化」に取り組みました。
「当社にしかできない高付加価値な製品/サービスの開発」においては、市場競争力強化を目指した主要製品群のリニューアル、ラインアップ追加に加え、休眠層の活性化や新規顧客の獲得を目指した製品開発に引き続き取り組みました。開発プロセスにおいては、中長期的な成長を視野に、様々な製品カテゴリーにおいて共通プラットフォームの活用を進めました。また、より効率的に素早くアイデアを製品化できる一括企画も推進しました。加えて、新規事業基盤の創出のため、様々なソフトウエア音源をクラウド経由で提供するサービス“Roland Cloud”のコンテンツ拡充及び、更に魅力を高める新サービス開発に向けた体制作りに注力しました。5月には、当社ハードウエアとソフトウエアでのデータ互換を実現するソフトウエア・シンセサイザー「ZENOLOGY」を発表しました。
「顧客創造と熱狂ファンの絆づくりによる市場開拓」においては、引き続きデジタルマーケティングの活用を推進しました。新型コロナウイルス感染症の拡大防止策として多くの音楽イベントが中止となるなか、世界中のミュージシャンやキー・インフルエンサーとのパートナーシップにより魅力的なデジタルコンテンツを作成し、多くの顕在/潜在顧客の方々に情報を届けました。10月には、国内において、オンラインでのユーザー参加型イベント「ROLAND/BOSS プレイヤーズ・サミット」を開催しました。地域面では、主要市場である北米、欧州を中心に、コロナ禍で顕在化した電子楽器に対する巣ごもり需要に対応するため、オンラインを中心とした効果的な営業活動に取り組みました。
「欠品/過剰在庫のない事業継続にも配慮したSCMの実現」においては、新型コロナウイルス感染症の拡大防止策による主力工場の操業停止はあったものの、製造現場の感染症対策を進めることで早期に操業を再開し、また需要増加と再度の活動制限に備え、大幅な増産と適切な在庫配置に努めました。

「成長を支える人づくりと、徹底した見える化によるガバナンス強化」においては、主に新型コロナウイルス感染症の対策として、グローバルでのテレワーク導入やオンライン会議等の積極的な活用により、会社と社員のエンゲージメントを高め、多様な働き方に対応できる職場環境や人事制度作りを推進しました。

 

(a) 売上高

当連結会計年度の売上高は64,044百万円(前期比1.3%増)となりました。主要カテゴリーの状況は次のとおりです。

 

(鍵盤楽器)
  主要カテゴリーでは、ポータブルタイプの電子ピアノ「FPシリーズ」や電子キーボード「GOシリーズ」が、顕在化した巣ごもり需要による効果もあり、特にオンライン販売において好調に推移しました。当第3四半期以降は北米での販路拡大も軌道に乗り、販売は伸長しました。

以上により、鍵盤楽器の売上高は17,842百万円(前期比4.3%増)となりました。

 

(管打楽器)

主要カテゴリーでは、電子ドラムは、中国において新型コロナウイルス感染症による音楽教室営業停止の影響が長期化したものの、新製品のVドラム・アコースティック・デザイン・シリーズが好調に推移し、主に欧州、日本において、販売は伸長しました。

 電子管楽器は、顕在化した巣ごもり需要による効果もあり、主に欧州、中国、新興国において、好調に推移しました。

以上により、管打楽器の売上高は14,620百万円(前期比2.9%増)となりました。

 

(ギター関連機器)

主要カテゴリーでは、ギターエフェクトは、記録した演奏を再生しながらそれにあわせて演奏を楽しむことができるルーパーシリーズが欧州で好調に推移したものの、北米、日本、新興国において新型コロナウイルス感染症による店頭販売の減少とライブ需要減少の影響が長期化し、販売は減少しました。

楽器用アンプは、巣ごもり需要による小型アンプ市場の活性化が見られました。当社ではギターアンプの人気シリーズ「KATANA」のリニューアル効果に加え、前期投入したワイヤレス・ヘッドホン型パーソナル・ギターアンプ・システム「WAZA-AIR」が引き続き好調に推移し、販売は伸長しました。

以上により、ギター関連機器の売上高は16,712百万円(前期比0.2%減)となりました。

 

クリエーション関連機器&サービス
  主要カテゴリーでは、シンセサイザーは、コンパクトサイズのステージピアノ「RD-88」、フラッグシップ・シンセサイザー「JUPITER-X」等の新製品が好調に推移したものの、新型コロナウイルス感染症によるライブ需要減少により、販売は減少しました。

ダンス&DJは、前期発売新製品の反動減により、販売は減少しました。

ソフトウエア/サービス分野は、Roland Cloudでの新料金プラン設定や、ソフトウエア音源の新たな販売プランの開始、ソフトウエアのバージョンアップ等が奏功し、販売は大きく伸長しました。

以上により、クリエーション関連機器&サービスの売上高は8,010百万円(前期比3.1%減)となりました。

 

(映像音響機器)

主要カテゴリーでは、ビデオ関連製品は、新型コロナウイルス感染症により、イベント・レンタル需要の落ち込みがあったものの、ライブとオンライン配信を同時に行うハイブリッド・イベントの新たな需要や、企業や教育、個人の配信需要の高まりにより、関連製品の販売は大きく伸長しました。

音響関連機器は、設備投資需要の減少により苦戦しました。

以上により、映像音響機器の売上高は4,597百万円(前期比7.2%増)となりました。

 

(b) 営業利益

売上高の増加に伴い売上総利益が増加したことに加え、コロナ禍を契機に経費の使い方を見直し、販売費及び一般管理費を削減したことにより、当連結会計年度の営業利益は7,115百万円(前期比35.0%増)となりました。

 

(c) 経常利益

営業外収益は154百万円、営業外費用は992百万円となりました。営業外費用では売上割引576百万円及び上場に関連する一時的な費用として上場関連費用133百万円が発生しました。

以上の結果、当連結会計年度の経常利益は6,277百万円(前期比32.8%増)となりました。

 

(d) 親会社株主に帰属する当期純利益

特別利益は125百万円、特別損失は556百万円となりました。特別損失では、一部の欧州子会社において現地競争法当局の調査を受けていましたが、2020年9月に課徴金決定通知を受領したことにより、競争法関連損失として343百万円を計上しました。また新型コロナウイルス感染症による影響で、当社グループの主力生産拠点であるマレーシア工場が政府による活動制限令により一時操業停止となり、当該工場が通常生産に復帰するまでの期間における固定費を、新型コロナウイルス感染症関連損失として183百万円計上しました。なお、税金費用は1,538百万円でした。

以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は4,301百万円(前期比63.6%増)となりました。

「経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標」として位置付けているROE(自己資本利益率)及びROIC(投下資本利益率)について、ROEは上記のとおり親会社株主に帰属する当期純利益が増加し、また適切な株主還元を実施したことにより、22.7%(対前期比+8.3ポイント)となりました。ROICは、上記のとおり営業利益が増加したことにより、22.1%(対前期比+5.5ポイント)となりました。

 

 

(e) 生産、受注及び販売の実績

 当社グループは電子楽器事業の単一セグメントであるため、セグメントに関連付けては記載していません。

 

(イ)生産実績

品目

第49期連結会計年度

(自 2020年 1月 1日
  至 2020年12月31日)

前期比(%)

鍵盤楽器(百万円)

19,254

+7.2

管打楽器(百万円)

17,490

+18.2

ギター関連機器(百万円)

18,532

+4.9

クリエーション関連機器&

サービス(百万円)

8,411

△10.3

映像音響機器(百万円)

4,739

+26.3

その他(百万円)

1,615

+41.6

合計(百万円)

70,043

+8.3

 

(注)1.金額は、販売価格によっています。

   2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

(ロ)受注実績

当社グループは、需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。

 

(ハ)販売実績

品目

第49期連結会計年度

(自 2020年 1月 1日
    至 2020年12月31日)

前期比(%)

鍵盤楽器(百万円)

17,842

+4.3

管打楽器(百万円)

14,620

+2.9

ギター関連機器(百万円)

16,712

△0.2

クリエーション関連機器&

サービス(百万円)

8,010

△3.1

映像音響機器(百万円)

4,597

+7.2

その他(百万円)

2,261

△14.2

合計(百万円)

64,044

+1.3

 

(注)上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

(3) 財政状態の分析

総資産は、前連結会計年度末と比較して2,563百万円増加し、46,096百万円となりました。その主な要因は、売上債権が2,982百万円減少した一方、下記に詳述するキャッシュ・フローの状況により現金及び預金が2,017百万円、たな卸資産が3,859百万円それぞれ増加したことによるものです。

負債は、前連結会計年度末と比較して640百万円増加し、25,945百万円となりました。その主な要因は、借入金が1,394百万円減少した一方、仕入債務が1,097百万円、賞与引当金が346百万円増加したことによるものです。

純資産は、前連結会計年度末と比較して1,923百万円増加し、20,151百万円となりました。その主な要因は、剰余金の配当が2,275百万円あったことに加え、主要国通貨に対する円高進行により為替換算調整勘定が487百万円減少した一方、親会社株主に帰属する当期純利益が4,301百万円あったことによるものです。

以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末と比較して1.7ポイント上昇し、43.1%となりました。

 

 

(4) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前期に比べ2,017百万円増加し、期末残高は10,832百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は、主として税金等調整前当期純利益により、6,902百万円(前期より1,910百万円の収入増)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、主として有形固定資産の取得による支出により、901百万円(前期より686百万円の支出減)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、主として配当金の支払及び借入金の返済により、3,669百万円(前期より523百万円の支出増)となりました。

 

(5) 経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

(6) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの主な資金需要は、当社グループ製品を製造するための原材料の仕入、労務費、外部委託にて製造された当社グループ商品の仕入、研究開発費や広告販促費等の営業費用の運転資金及び製造設備の刷新、拡充です。

当社グループは、必要な運転資金及び設備投資資金について、自己資金又は外部借入で対応しています。効率的な資金調達を行うため、取引金融機関とコミットメントライン契約を締結し、流動性リスクを管理しています。当連結会計年度末において、これらの契約に基づく当社グループの借入未実行残高は8,000百万円です。

当社グループは、今後とも営業活動によって得る自己資金を基本的な資金源としながら、資金繰りの見通しや市場金利の状況を考慮し、必要に応じて銀行借入を活用することで資金調達コストを抑制し、資本効率の最適化を図ります。

 

 

 

[参考情報]

当社グループは、投資家が当社グループの業績評価を行い、当社グループの企業価値を把握するうえで有用な情報を提供することを目的として、連結財務諸表に記載された売上高以外に、当社グループの主要な市場ごとの外部顧客への売上高及び製品カテゴリーごとの外部顧客への売上高の推移を下表のとおり把握しています。

 

(1) 地域ごとの売上高

 

(単位:百万円)

 

2016年

2017年

2018年

2019年

2020年

日本

8,817

17.4%

8,807

15.4%

8,683

14.2%

9,237

14.6%

9,066

14.2%

北米 (注)1

14,803

29.1%

17,056

29.8%

18,169

29.7%

18,914

29.9%

19,963

31.2%

欧州 (注)2

16,291

32.1%

18,810

32.8%

19,751

32.3%

19,518

30.9%

21,027

32.8%

中国 (注)3

3,559

7.0%

4,267

7.4%

6,005

9.8%

7,194

11.4%

6,304

9.8%

アジア・オセアニア・その他の地域

7,297

14.4%

8,379

14.6%

8,543

14.0%

8,381

13.2%

7,682

12.0%

合計

50,768

100.0%

57,320

100.0%

61,153

100.0%

63,247

100.0%

64,044

100.0%

 

 

(注)1.アメリカ及びカナダでの売上高になります。

  2.オーストリア、ベルギー、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、

オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ロシア、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ及び英国での売上高

を含みます。

3.中国本土での売上高になります。

 

(2) 製品カテゴリーごとの売上高

 

(単位:百万円)

 

2016年

2017年

2018年

2019年

2020年

鍵盤楽器

11,898

23.4%

14,126

24.6%

15,551

25.4%

17,104

27.0%

17,842

27.9%

管打楽器

11,903

23.5%

12,363

21.6%

14,351

23.5%

14,205

22.4%

14,620

22.8%

ギター関連機器

12,286

24.2%

14,596

25.5%

16,411

26.8%

16,744

26.5%

16,712

26.1%

クリエーション関連

機器&サービス

7,871

15.5%

8,693

15.2%

7,647

12.5%

8,267

13.1%

8,010

12.5%

映像音響機器

4,861

9.6%

5,173

9.0%

4,624

7.6%

4,289

6.8%

4,597

7.2%

その他

1,947

3.8%

2,366

4.1%

2,566

4.2%

2,634

4.2%

2,261

3.5%

合計

50,768

100.0%

57,320

100.0%

61,153

100.0%

63,247

100.0%

64,044

100.0%

 

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

賃貸借契約

契約会社名

相手先名

契約締結日

契約内容

契約期間

Roland Manufacturing
Malaysia Sdn. Bhd. 

Formosa

Prosonic

Industries Berhad

2019年12月1日

電子楽器の製造を行うための工場、倉庫及びオフィス

2019年12月1日から

2022年11月30日まで

 

※2019年12月に更新日が到来したため、新たに再契約しています。本契約において、借主である当社には追加3年の更新オプションが付与されており、当社の意志で更新が可能になっています。

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、グループ全体で利用可能な基礎的要素技術の先行開発と、製品カテゴリーに特化した技術開発の二つに分けられます。基礎的要素技術の先行開発については、当社の基礎技術部、応用技術部にて行っています。また、製品カテゴリーに特化した技術開発については、当社の機構技術部、システム開発部、デザイン部及び製品開発部門にて行っています。

なお、当社及び連結子会社の事業は、電子楽器の製造販売であり、区分すべき事業セグメントが存在しないため単一セグメントとなっており、セグメント情報に関連付けては記載していません。

 

技術部門で行っている研究開発の具体的なテーマとしては、楽音合成、モデリング、音響効果、音響解析、高効率符号化等のデジタル信号処理アルゴリズムの開発、USBやイーサネット、Bluetooth等の通信規格を利用したオーディオやMIDI(Musical Instrument Digital Interface)の伝送を行う通信技術及び楽器の音色を合成(シンセサイズ)したり、オリジナルの音声に付加効果(エフェクト)をかけたりするオリジナルのシステムLSIの開発を行っています。上記に加えて、当社のネットワークサービスであるRoland Cloudのワールドワイドのプラットフォームの開発も進めています。共通顧客データベース、Webサービスに加え、コンテンツ/ソフトウエアの販売、更にはグローバル・カスタマー・サービスの基盤として充実させていきます。

一方で、製品カテゴリーに特化した技術としては、鍵盤、パーカッションや管楽器などの演奏のためのセンサー技術、ギター関連事業製品のサウンドエフェクト技術、ビデオ映像機器用の映像処理技術の開発などがあります。

具体的な内容は次のとおりです。

 

(a)BMC共通プラットフォーム(注1)

当社は自社電子楽器の心臓部である音源とエフェクター用オリジナル・システムLSIの開発に取り組んできました。これらの独自システムLSIは、当社の差別化要因となるコア技術として進化を続け、最新LSIであるBMC(Behavior Modeling Core)では、様々なジャンルの楽器を生み出すことのできる共通プラットフォームを構築しました。この共通プラットフォームにより、高品質、高機能製品の早期開発や、競争力のある価格が可能となっています。

2020年は、電子和太鼓TAIKO-1や電子管楽器Aerophone Proのような、新しいジャンルの製品への実装を行い、従来の電子楽器の枠を超えた表現力を実現することができました。

(注1)従来ピアノ、シンセ、ドラム等楽器の種類毎に音源をつくっていたものを、各機器で利用できる音源として必要な機能を一つのチップに実装し共通基盤としたものをいいます。

 

(b)新世代音源「ZEN-Core」(注2)の展開

2019年に開発したシンセサイザー向け新世代音源技術(ZEN-Core)は、音源メモリの拡大による楽器の表現力豊かなサウンド、解像度を上げたコントロールによる滑らかな演奏表現、製品間のコンテンツ互換性を実現し、更にモデリング技術により、デジタル音源でありながらアナログシンセサイザーのような深みやダイナミクスを持つ出音を可能にしています。

2020年はこのZEN-Coreを上述の電子管楽器Aerophone Proにも搭載し応用領域を広げています。更に、それまでBMC上でのみ動作していたZEN-Coreをコンピュータ上のソフトウエア音源にも移植し、ZENOLOGYとしてリリースしました。ハードウエア、ソフトウエアを問わず音色や演奏データに互換性を持たせ、音楽制作からライブ演奏まで一貫した、スムーズで迅速なワークフローを実現しました。

  (注2)BMC、コンピューター上で動作する拡張及びカスタマイズ可能なシンセサイザー音源をいいます。

 

(c)デジタル信号処理技術

当社は音源技術と並び、音声を音楽的な表現に処理する高精度、高品位のデジタル信号処理技術も培ってきました。例えば、楽器が置かれている室内やホールの残響効果をシミュレートして楽器音だけでなく音場までも再現する技術や、ギターの弦振動を32bit/96kHz浮動小数点の高精度で演算するギター・マルチ・エフェクターの開発、また歌声を素材としてハーモニーを付加したり、低く太い声やその反対の声質に変えたりすることができるボイスエフェクターの開発なども行っています。ここでもBMCなどオリジナル・システムLSIが使用されています。

ZEN-Core搭載製品のマルチ・エフェクトでは、音源の音に音場効果を付加したり、わざと歪ませて目立つ音にしたりしていますが、2020年はこれらもコンピューター上のソフトウエアに移植し、ZENOLOGYの一部として出音に効果を付与しています。

 

(d)BOSS技術の開発

BOSSブランドの製品においては、長年にわたるエフェクト/アンプ開発で培ってきたBOSSの知識と経験を、32bit浮動小数点演算による業界最高クラスの超高音質信号処理技術として最新LSIであるBMC上に応用し、高度なアルゴリズムにより設計された最新のエフェクトと多彩なルーティングやアサイン/コントロール機能により、最高の表現力を実現しています。これら技術をポータブルなサイズに凝縮し、2020年10月にリリースした、ホームスタジオからライブステージまでシーンを選ばず活躍できるGT-1000Coreに搭載しました。

また、刻々と変化するギター演奏の音から、信号処理の対象となる周波数成分を抽出するトラッキング技術を磨き、原音に様々なタイプのオクターブサウンドをより正確で自然なフィーリングで付加するコンパクトペダルOC-5を2020年10月に発売しました。分厚いモノフォニック・オクターブ・サウンドや音域をシフトしたコード演奏など、かつてないほどの広い音域で、最高の演奏性と洗練されたサウンドを実現しました。

アンプ・カテゴリにおいては、真空管アンプの一つ一つのパーツの精密な動作、更にそれぞれが相互に作用し合って起きる複雑な振る舞いを徹底的に分析し、アンプ全体をトータルに設計する技術「Tube Logic」を更に発展させました。2020年12月発売のNextone Specialでは、DSPでのデジタル信号処理とアナログ回路の電流/電圧を相互にフィード・バック/フォワードするハイブリッドな設計で、より躍動感のある真空管アンプのサウンドと弾き心地を実現しました。

 

(e)ビデオ信号処理技術

当社は放送やイベントといったプロの映像制作、映像演出の現場でも通用する映像機器を開発しています。2019年より、4K解像度やHDR(High Dynamic Rangeの略、従来に比べてより広い明暗の幅を表現できる表示技術)といった最新のニーズに応えつつ、従来フォーマットの映像信号にも対応し両者間をシームレスに変換/出力できる独自の「ULTRA SCALER機能」を開発し、多様化するプロの映像現場で柔軟な運用を可能にしています。2020年10月には、上記に加え、HDMI 240/144/120 Hzのハイフレームレート入力/スルー出力にも対応したVC-100UHDを発売し、近年勢いを増しつつあるeスポーツイベントでの配信需要にも応えています。

またローランド独自のビデオ録画再生機能を実装した製品として、2020年11月にビデオ・インスタント・リプレイヤー P-20HDを製品化しました。HDビデオ映像をリアルタイムでスムーズに録画再生することにこだわって開発した結果、スケーラーを搭載した2系統のHDMI入力によるシームレスな画面切り替えを実現し、また録画メディアにSDカードを、録画フォーマットに汎用的なH.264を採用することで、大容量SDカードに低ビットレートでも高品質を保ち小さいファイルサイズで高画質な映像を長時間録画することが可能となりました。加えて録画を継続しながら、任意のシーンを抜き出して、直感的な操作でスロー再生できるインスタント・リプレイ機能を実現しました。

 

(f)Roland Cloud

2017年からサービスの提供を開始した、音楽・メディア制作者向けのクラウドを利用したソフトウエア音源のサブスクリプション(月額・年額の定額会費制)サービスであるRoland Cloudにおいては、ネットワーク上のプラットフォームの整備を継続して行っています。またハードウエア楽器側のコンテンツ・プロテクトの仕組み構築、管理アプリRoland Cloud Managerのユーザー認証機能の充実と併せて三位一体で開発を進め、2020年5月には新たなサブスクリプション・プランのサービスの提供を開始しました。

これに合わせて、上述したZENOLOGYをサービスに加えることで、コンテンツ/プラグインソフトの購入、PC上での音源・各種設定の管理、ZEN-Core対応ハードウエア製品への保存・活用までをトータルでサポートすることが可能になりました。これにより、音楽制作からライブ演奏まで一貫した、スムーズで迅速なワークフローを実現しました。

 

以上のような研究開発活動の成果により、「世界中の人々をワクワクさせる」ビジョンを実現する製品やサービスを継続的に市場に供給していきます。

なお、当連結会計年度の研究開発費は、4,039百万円です。