第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、「会社存立の原点は社会の役に立つことである」「経営は創造である」「社員の幸福は会社の発展と共にある」との経営理念を掲げております。また、当社グループ社員の行動指針は、「未来に向かう」「最良に挑む」「独創を貫く」「率直を好む」を謳っております。当社は今後も、これらを普遍的な価値観として尊重しつつ、2018年12月に迎えた創立70周年を機に、2030年までに目指す姿を示す新たな経営ビジョン「FURUNO GLOBAL VISION“NAVI NEXT 2030”」を策定しました。

当社グループは、2030年までの目指す姿を「事業ビジョン」と「人財・企業風土ビジョン」で構成する新たな経営ビジョンとして明示し、その実現に向けた諸活動を展開することを通じて、顧客提供価値と企業価値の両面を持続的かつ発展的に高める方針です。

 

「FURUNO GLOBAL VISION“NAVI NEXT 2030”」の概要は、次のとおりです。

 

① 事業ビジョン「安全安心・快適、人と環境に優しい社会・航海の実現」

この事業ビジョンは、「当社のすべての事業は、海でも陸でも、安全安心かつ快適であることを前提に、人と環境に優しい社会や航海の実現を目指す」という、“わたしたちが最も優先する価値”を表現しています。これまで当社が事業活動で重視してきた「安全安心」「環境」という提供価値を、「安全安心」と「快適」、「環境」と「人」の視点へ拡大することで、既存事業での顧客提供価値の拡充や周辺領域での新規事業育成を推進するための新たな道しるべとします。

当社グループは、世界初の魚群探知機実用化を成し遂げた1948年の創立当時から現在に至るまで、「事業を通じた社会的課題の解決」を果たすべき使命としてまいりました。一方で、国連が採択したSDGs(持続可能な開発目標)の考え方が国際社会の共通認識として醸成されつつある中で、企業が事業活動を通じてその実現に貢献することが求められております。当社グループは今後も、創立当初からの価値観を大切に受け継ぎながら、企業運営並びに事業活動の基本方針の中にSDGsを積極的に取り入れることにします。

 

② 人財・企業風土ビジョン「VALUE through GLOBALIZATION and SPEED」

企業運営における重要な経営資源である人財と企業風土については、経営理念並びに行動指針を普遍的な価値観として尊重した上で、事業ビジョンの実現に向けて重点的に強化・評価する基軸として「VALUE through GLOBALIZATION and SPEED」を謳い、3つのポイントを定めました。

 

(VALUE)さらなる価値共創への挑戦

わたしたちはビジョンを深く理解し、高い自律性を持って行動していくことで、社会へのさらなる価値を、当社に関わるすべてのステークホルダーと「共に」創り上げていきます。

 

(GLOBALIZATION)グローバリゼーションの浸透

わたしたちはグローバルマインドセットを醸成し、ビジョン実現に向けて、社内外の資源を所属、地域、国等の属性に依らず最適かつ最大限に活用いたします。

※グローバルマインドセット:異なる文化・習慣・価値観を持つ人たちやグループに対して影響を与えることを可能とする思考を意味しています。

 

(SPEED)迅速かつ柔軟な判断と行動

 わたしたちは変化することに躊躇せず、新しい時代を創り続けることを目指します。

 

 

当社グループは、創立から間もない1955年に「世界のフルノ」を宣言し、海外展開を加速してまいりました。現在では連結売上高のうち海外売上比率が6割を超え、世界80カ国以上に開発・生産・販売・サービス拠点を有するようになりました。今後は、顧客提供価値と企業価値の最大化を目標に、事業と市場の特性に応じて当社の人財と組織機能をグローバリゼーションの観点からより有機的に活用するとともに、顧客や取引先との連携を積極的に推進することで「名実ともに世界のフルノ」となることを目指します。

 

「FURUNO GLOBAL VISION “NAVI NEXT 2030”」の実現は、次の3つのフェーズに分けて段階的かつ速やかに挑む方針です。

  フェーズ1・・・変える

 事業の体質改善による資源の捻出・体力強化のフェーズ(2021年2月期~2023年2月期)

  フェーズ2・・・つなぐ

 技術と事業の柱・収益構造の構築に向けた行動のフェーズ(2024年2月期~2026年2月期)

  フェーズ3・・・変わる

 あるべき企業規模・収益性・事業構造を実現するフェーズ(2027年2月期~2031年2月期)

 

これらすべてのフェーズが完結する2030年度の成長目標は、連結売上高1,200億円、営業利益率10%、新規事業構成比率30%です。

 

(2)中期経営計画及び目標とする経営指標

当社グループは、2020年2月に、フェーズ1の3年間を対象期間とする中期経営計画を策定いたしました。体質改善・体力強化のための各種取り組み及び個別事業戦略を着実に実行することで収益性を改善し、企業価値を向上させてまいります。経営指標としては利益の確保に加え、資本効率の観点から、自己資本営業利益率向上による企業価値の増大に努めてまいります。また、株主還元に当たっては連結配当性向を重要な経営指標としております。最終年度にあたる2023年2月期には、自己資本営業利益率10%以上を計上し、配当性向30%以上を安定的に実現できる経営基盤を構築いたします。

中期経営計画2年目である当連結会計年度は、自己資本営業利益率5.4%、配当性向は44.8%となりました。自己資本営業利益率は、前連結会計年度比3.1ポイント下降し、5.4%となりました。自己資本営業利益率のうち営業利益に関して、主力事業である舶用事業は体質改善の効果により収益性が全般的に改善しました。一方、産業用事業は減益となり、無線LAN・ハンディターミナル事業はGIGAスクール向け特需が剝落したことにより、大幅に減益となりました。自己資本に関しては、前連結会計年度末と比較して6.8%増加しました。最終年度にあたる2023年2月期の目標である10%以上を目指すため、引き続き舶用事業を中心として各事業セグメントの収益力向上に注力します。また、引き続き中期経営計画にて掲げた「主な体質改善・体力強化の取り組み」及び「個別事業戦略」の実行により上記目標の達成を目指してまいります。

※2010年2月期から2018年2月期の平均自己資本営業利益率は5%

 

主な体質改善・体力強化の取り組み

① 在庫管理の強化及び適正在庫の実現

需要予測精度向上による生産計画の精緻化、物流拠点の適正化等の物流体制の見直し、調達・生産リードタイムの短縮等、グループ一丸となってバリューチェーンのあらゆる領域で在庫削減のための改革を進めます。

中期経営計画2年目の振り返りとしては、商品及び製品の在庫は減少したものの、部材の入手困難によって生産遅延が発生したため、原材料及び仕掛在庫が増加しました。最終年度となる2023年2月期も引き続き、グループをあげた在庫削減活動に取り組んでまいります。

 

② 品質水準の更なる向上

「品質はすべてに優先する」との考えに基づき、各事業部門での基本に戻った品質プロセスの見直しとその着実な実行、品質教育体系の高度化による品質経営人財の育成及び風土の醸成を図ることで、更なる品質ロスコストの削減を目指します。

中期経営計画2年目の振り返りとしては、品質ロスコストの全社売上高比率が低下し、クレームの発生件数も減少しました。また、工程品質の改善の取り組みにおいて、設計要因による工程内不適合が減少しました。最終年度となる2023年2月期も、引き続き、品質ロスコストの削減、クレーム件数の低減、工程品質の改善、設計品質の向上に取り組んでまいります。

 

③ 商品開発機能の最適化

グローバル開発体制の最適化、共通化設計、シミュレーションの活用、検査工程の自動化等を推進することで、開発効率を向上させます。

中期経営計画2年目の振り返りとしては、商品開発コストの最適化を基本戦略とし、現流機の設計変更等によるコストダウン及び研究開発活動における新製品開発の効率化を図り、収益性の改善に取り組みました。また、2021年9月の新研究開発棟(SOUTH WING)竣工により、オープンで快適な開発環境が整いました。最終年度となる2023年2月期も、更なるコストダウンに向けて新製品開発への水平展開と開発効率の向上への取り組みを続け、既存事業から新たに生み出される領域の研究開発を推進してまいります。

 

④ 総合モノづくり機能の最適化

従来より継続的に取り組んできたFPS※活動をさらに進化させ、グローバル生産体制の最適化、生産工程の自動化、コンフィグ生産の拡大等に取り組み、徹底したムダの排除、1/2モノづくりを推進してまいります。

※「Furuno Production System」の略称。当社の特徴である、3多(多機種、多部品、多工数)のモノづくりに適した生産システムの構築を目指しています。

中期経営計画2年目の振り返りとしては、総合モノづくり機能の最適化を基本戦略とし、各種施策に取り組みましたが、世界的な材料供給難の影響で、生産計画に対して多くの未生産が発生しました。最終年度となる2023年2月期は、材料の入荷状況が良化し次第、生産量を最大限に上げ、未生産のキャッチアップに取り組んでまいります。また、体質改善・体力強化に向け、より精度の高い生産計画に基づく受注生産や短サイクルのモノづくりを可能とするスマート工場を目指し、「生産計画」「モノづくり」「現場ITシステム」を改革の3つの柱として活動してまいります。

 

⑤ 戦略投資枠の新設

新規事業育成や先端技術領域を含む研究開発、既存事業における周辺領域への事業拡張、インフラ整備等、フェーズ2以降の将来成長に向けた投資を実施します。

中期経営計画2年目の振り返りとしては、新規育成事業のうち、養殖支援事業ではAIを活用した光学式魚体重測定システム及びデータサービスの提供を開始しました。また、建設テック事業では単管パイプを利用してWi-Fi環境を構築するウェーブガイドLANの拡販を展開しました。最終年度となる2023年2月期は、当社の強みを活かせる領域を「領域拡大事業」と命名し、洋上風力発電分野及び防災・減災関連分野等で事業創出を進めてまいります。

 

 

なお、当社は、当社100%子会社「フルノ九州販売株式会社」及び「フルノ関西販売株式会社」を吸収合併する検討を開始することといたしました。

1.合併の目的

  国内舶用市場での古野電気の直販営業体制と販売子会社の営業・サービス体制の一本化を図ることにより、

  より質の高い営業活動、サービス提供を可能にすること

2.対象子会社の概要

  (1)フルノ九州販売株式会社

     本社:長崎県長崎市

     資本金:60百万円

     代表者:代表取締役社長 宮崎健志

     事業内容:レーダー、魚群探知機、無線通信機器等船舶用電子機器の販売、賃貸及び保守

     テリトリー:九州沖縄全域、山口県

  (2)フルノ関西販売株式会社

     本社:兵庫県神戸市

     資本金:52百万円

     代表者:代表取締役社長 中村敏浩

     事業内容:レーダー、魚群探知機、無線通信機器等船舶用電子機器の販売、賃貸及び保守

     テリトリー:愛知県、三重県、近畿、四国、北陸、山陰(兵庫県~島根県)、岡山県、広島県

3.検討期間

     2023年以降の吸収合併での検討を開始します。

4.今後の予定

     吸収合併の日程、内容等の詳細につきましては、今後、鋭意調整してまいりますが、内容がまとまりまし

     たら、改めて開示する予定です。

 

 

個別事業戦略

(舶用事業)

① 商船向け事業:ライフサイクルサポートの展開+1(プラスワン)

新造船市場におけるシェアの拡大、アフターサービス及び機器更新需要の確実な取り込みを図る「ライフサイクルサポート」をグローバルに推進するとともに、船内のデジタル化を含む自律航行・遠隔操船の実現に向けたアクションを加速します。

 

② 漁業向け事業:ハード・ソフト両面から漁業者を支える「勘と経験の見える化」

フルノグループの祖業としての強みを持つ各種機器の提供に留まらず、漁業を取り巻く様々な課題解決に向けたソリューションをグローバルに提供することで、収益性の更なる向上を目指します。

 

③ プレジャーボート向け事業:事業体制の抜本的見直しによるシェア奪還への挑戦

グローバル市場におけるシェアを取り戻すため、事業体制の再構築を進め、顧客視点に立った商品のスピーディな市場投入を図ります。

 

(産業用事業)

① PNT事業:自社商品及びソリューションの進化と、グローバル展開への挑戦

「Positioning・Navigation・Timing」(位置測位・運行支援・時刻同期)の3つの領域で、顧客視点に立った商品及びソリューションの開発を加速させるとともに、時刻同期事業を皮切りに本格的グローバル展開に向けた取り組みを推進します。

 

② ヘルスケア事業:重点地域への経営資源の集中投資による事業拡大

市場の成長が期待される東南アジアを重点地域に定め、各地域の特性に適した商品を提供することでビジネスの拡大を図ります。

 

③ 防衛装備品事業:民生技術の転用による将来成長に向けた先行投資

民生分野で培った技術の防衛用途への応用を推進することにより、長期的視点に立った成長を目指します。

 

(無線LAN・ハンディターミナル事業)

 無線LAN事業:強みをもつ文教向け事業を軸とした経営資源の捻出と、将来成長に向けた先行投資

文教向け市場を引き続き重要市場として捉え、国内無線LAN市場における地位を堅持するとともに、クラウドWi-Fiサービス等で、新たな市場の開拓を推進します。

 

 

(3)経営環境及び対処すべき課題

フェーズ1の最終年度にあたる次期は、引き続き全社一丸となって体質改善・体力強化の取り組みを実行し、産み出した経営資源を将来成長に向けた投資に充てることで、当社グループの持続的成長を可能とする基盤構築に努めてまいります。また、以下の施策に取り組むことによりグループ全体の企業価値を高めてまいります。 

 
① 新たな価値の創造

商船向け事業における「ライフサイクルサポート」戦略の奏功、漁業向け事業におけるハード・ソフト両面から漁業者を支える「勘と経験の見える化」ソリューションのグローバル展開等により、当社グループの収益性は中長期的に向上傾向にありますが、依然改善の余地は大きいと認識しております。また、主力の舶用事業は中期的に安定した売上収益を獲得することが見込まれ、総じて成熟傾向にありますが、船舶のデジタルトランスフォーメーション(DX)を見据えた製品やソリューションの研究開発として、自律航行船実現に向けた動きや、漁業先進国を中心に資源管理型漁業推進の流れが加速しており、当社グループは舶用電子機器のグローバルトップメーカーとして関連技術の研究開発をリードしていく必要があります。産業用分野においても、高齢化や人手不足等、当社グループが解決すべき社会的課題はより多様化し、ますます顕在化しており、対応する商品やソリューションを産み出し続けることが求められています。

 

② 働き方改革の推進

2019年4月より働き方改革関連法が順次施行され、2020年4月には派遣労働者の同一労働同一賃金の実現に向けた改正労働者派遣法の施行、70歳までの雇用延長の法令化が検討される等、従来の雇用や勤務のあり方を見直す動きが広がっております。当社は経営理念のもと、従業員一人ひとりが心身共に健康で、明るく活き活きと働くことができるよう、従業員の健康意識向上と、安心して働きつづけることのできる職場環境の整備に向けた取り組みを推進しています。また、ここ数年ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を推進する一環として長時間労働の削減、有給休暇取得の奨励、その他関連諸制度の整備を実施しております。また、Withコロナの時代を見据えて新しい生活様式にも対応した働き方改革(在宅勤務対応やフレックスタイム制度の拡充、人事処遇制度の改革等)を推進しています。

 

③ 人財の育成、確保

当社は、従業員は、まさに「人財」であり重要な経営資源と認識しております。持続的な成長に向けて、優秀な人財の育成、確保が不可欠であります。特に体質改善・体力強化のためには一人一人の生産性向上が極めて重要であると考えており、階層別研修の充実、従業員のチャレンジを奨励する人事評価制度の新設及び適材適所の配置等に取り組んでまいります。また、失敗を恐れない価値の共創、自主性・自律性の高い人財を増やすこと等を目的に各事業部門及びグループ会社毎の表彰に加え、その中からグループ全体の最優秀賞を選出する社員表彰制度を設けております。なお、多様な人財を活用するため、ダイバーシティ(多様性)を推進するとともに、性別、国籍、年齢等に関係なく採用、評価等を行っており、先進的かつ独創性のある人財発掘等に努めております。

 

④ 配当政策

当社は、配当政策を経営における最重要政策のひとつと位置付けております。現在の中期経営計画(2021年2月期~2023年2月期)では、配当性向30%以上を安定的に実現できる経営基盤を構築することを目標に掲げております。また、内部留保につきましては、将来を見据えた投資や企業体質の一層の強化のために活用してまいりたいと考えております。

 

⑤ 株主、機関投資家等との建設的な対話

当社は、経営方針や成長戦略等について理解促進を図るため、毎年、株主や機関投資家等と100件を超える対話を行うとともに、株主、機関投資家、顧客等ステークホルダーの皆様のご期待に添うよう努めております。また、当社のホームページ等を通じて株主総会や決算内容等の情報を提供していることに加え、ご要望ご質問等に対して迅速かつ、適切に対応するよう心掛けています。

 

 

⑥ コーポレート・ガバナンスの取り組み

当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るため、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでおります。また、経営の健全性や透明性を高めるため、任意の指名・報酬諮問委員会及びコンプライアンス委員会を設置する等、ガバナンスが機能する組織体制を構築することによりリスク回避や不祥事防止に努めております。また、コーポレート・ガバナンス強化の観点から、執行役員制度を導入することにより、経営と執行を分離し、取締役会の意思決定・監督機能と経営方針・戦略立案機能に重点を置いた体制強化を図るとともに、業務執行機能を強化することで、事業環境の変化に迅速適切に対応できる体制を構築してまいります。

 

⑦ サステナビリティへの取り組み

当社は、会社の持続的な成長とともに持続可能な社会を実現するため、ESG(環境・社会・企業統治)やSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みを重視した経営を進めてまいります。環境(環境汚染防止と予防、空調の省エネ化や照明のLED化等電力やCO2排出の削減への取り組み、産業廃棄物の削減等)、社会(多様な人財の活用、地元西宮を本拠地とするプロバスケットボールチームとのオフィシャルメインパートナー契約による地域社会との共生、事業活動、社会活動による貢献等)及び企業統治(健全なコーポレート・ガバナンス体制の確立、社外取締役比率の向上、指名・報酬委員会の設置等)を勘案した経営戦略を推進しており、ステークホルダーの皆様(株主、投資家、顧客、取引先、債権者、従業員、地域社会等)との信頼を構築することにより企業価値の向上に努めております。

 

⑧ SCM(サプライチェーンマネジメント)の改革と推進

当社は、グループ会社を含む企画、開発、調達、製造、物流、販売、サービスの一連のプロセスを最適化することを目的にグループサプライチェーンの抜本的な改革を推進してまいります。具体的には、次期から専門の部署としてSCM改革推進室を設置し、顧客希望納期に合わせた生産、物流網の構築支援や在庫管理、需要予測、生産計画、納期等、各役割に必要な情報の可視化、精緻化、共有化に取り組んでまいります。

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等に与える影響につきまして、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。

また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 調達・生産について

当社グループは、商品を製造するにあたって高品質な原材料、部品等をタイムリー且つ必要数入手するため、信頼のおける仕入先を選定しています。しかし、予期できない自然災害や事故等によるサプライチェーンへの大きな影響、仕入先の経営状態悪化による部品の供給制限や製造中止、市場での需要増加による供給制限等が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、環境への配慮等、サプライチェーンを通して、社会からESG観点での高度な対応が求められています。当社グループは仕入先に対してCSR調達の徹底を図っていますが、仕入先における対応不備により、調達に影響があった場合、商品の販売にも影響を与え、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
 対応策として調達先の所在地情報を一元管理し、地震・水害や工場火災等の発生時に、影響を早期に把握する体制を整備するとともに、第三者機関を活用し、仕入先の財務情報をはじめとする経営リスクを定期的に評価し、リスクレベルに応じた対策を実施しております。また、当社グループのCSR活動をサプライチェーン全体で実践すべく、取引先に対して積極的な啓蒙活動、協力要請及び、必要な支援に努めております。

また、急激な需給環境の変化等により、原材料、部品等の供給不足が続き、生産の遅延が避けられず商品の販売に影響がある場合、及び原材料や部品等の著しい価格変動が商品原価の上昇を招いた場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
 対応策として調達先との関係強化・調整や関係各部門の連携による生産管理の強化等により影響を最小限に抑えることに努めております。

 

(2) 市場環境の変化について

 当社グループは、日本、アジア、欧州、米州等の様々な国・地域に商品を供給しております。従って、これら国・地域の経済状況の変化や対象市場での当社商品に対する需要の変化、また、昨今のウクライナ情勢の緊迫化を始めとする地政学リスクの高まりや米中貿易摩擦等による安全保障、人権関連を中心に国家の政策・法律の変更、関税の引き上げ、製品供給・技術提供の制限等により、生産・物流・営業活動が制限を受け、顧客への製品供給に支障をきたす場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 対応策として関係国の政治・経済情勢や法規制・関税の動向等を、関係部署・関係会社にてグローバルでモニタリングし、最新状況を踏まえた対策を講じております。また、海外子会社を含むグループ全体として適切な貿易管理を行うために、代表取締役社長を最高責任者とした安全保障貿易管理体制の整備や輸出規制・新興技術等に対する取引制限等の政策に対して分析を行い、関係する従業員への教育や必要に応じて取引形態やサプライチェーンの見直し等も行うことにより、事業への影響の低減を図っております。

 

(3) 情報セキュリティについて

当社グループは、事業上の重要情報及び事業の過程で入手した個人情報や取引先等の秘密情報を保有しており、外部からの攻撃や、内部的過失や盗難等により、これらの情報の流出、破壊もしくは改ざん又は情報システムの停止等が引き起こされる可能性があります。このような事態が生じた場合、信用低下、損害賠償等の費用の発生、又は業務の停止等により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
 対応策として「情報セキュリティ基本方針」を定め、当該情報の盗難・紛失等を通じて第三者が不正流用することを防ぐため、情報の取り扱いに関する管理を強化するとともに、法規制強化への対応等も都度実施しています。また、高度化するサイバー攻撃に対する技術的対策・情報リテラシーを高めるための社員教育の実施や、当社を装った不審メール・詐欺サイトに関する社内外への注意喚起等も行っております。

 

 


(4) 新型コロナウィルスの感染拡大について

全世界へ拡大している新型コロナウィルス感染症は、人の動きや経済活動が世界的に制限されております。今後、事態が更に悪化した場合、世界的な経済活動の停滞に伴い売上が減少する等、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

対応策として、従業員、顧客及び取引先の安全を第一に考え、またさらなる感染拡大を防ぐため、在宅勤務等のテレワークや時差出勤の実施、当社主催の会議・集会/セミナー/研修のWeb会議等での代替、海外出張の原則禁止、出張時における行動の記録、事業所内/会議や出張時等でのマスク着用、検温の励行や発熱等体調不良がみられる場合の自宅療養等の施策を実行しております。また、新型感染症への対応を含む事業継続計画(BCP)について継続的な改善を進めております。

 

(5) 自然災害等について

当社グループは、地震、火災、台風、洪水等の災害の発生時にも、事業を継続し、企業としての社会的責任を遂行する義務がありますが、当社グループの本社・研究開発拠点・主要工場は兵庫県南部に集中しており、同地域において大規模な地震、その他事業の継続に支障をきたす災害、事故の影響等が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
  対応策として定期的な防災訓練の実施及び社員の安否確認システムの構築、南海トラフ巨大地震や首都圏直下地震等の大規模地震に対し、事業継続計画(BCP)を策定して災害時の体制整備や資機材の備蓄等を図る等の対策に取り組んでおります。また、事務所の高台・内陸部への移転等、中長期的な対策にも取り組んでおります。

 

(6) 為替変動について

当社グループは、海外子会社及び代理店を経由して海外市場へ販売を行っており、連結売上高に占める海外売上高の割合は当連結会計年度において62.4%と高い状況にあります。このため、為替相場の変動は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
  対応策として、社内規程に基づき事業活動の中で発生する為替取引リスクを正確に把握・管理し、適切な為替リスクヘッジを行うことにより、為替差損を極小化する施策を実施しております。また、為替リスクヘッジ取引は、将来の市場変動による損失の回避、コストの確定等を目的とし、事業活動から生じる為替取引に限定し、実需に基づかない投機取引は行わないことを基本方針としております。

 

(7) 舶用事業への依存について

当社グループの連結売上高に対する舶用事業の売上高比率は当連結会計年度において83.2%と、依存度の高い状況が続いております。対象となる漁業向け市場は資源減少に伴い世界的に漁獲高・漁船数の管理が強化されており、商船向け市場はこれまで大きな景気変動を繰り返しています。またプレジャーボート向け市場は欧米の景気及び個人消費動向に影響を受けます。漁業向け市場における管理漁業化の一層の進展や商船需給の悪化、欧米諸国の景気の悪化等に伴い、舶用電子機器の需要が縮小する可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

対応策として、事業ポートフォリオの多様性を確保しつつバランスの良い成長を実現するため、新規事業領域を含む産業用事業の拡大を目指していく方針であります。

 

(8) 知的財産権について

当社グループは、自社が製造する製品に関連して、特許等の知的財産権を保有しておりますが、当社グループが保有する知的財産権に対し異議申立がなされたり、無効請求がなされる可能性があります。また、当社グループが知的財産権に関し訴訟を提起されたり、当社グループが自らの知的財産権を保全するために訴訟を提起しなければならない可能性があります。このような重大な係争問題が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
  対応策として、自社が保有している知的財産権の権利確保及び他社が保有している知的財産権の調査による係争発生のリスク低減を図っております。

 

(9) 価格競争について

 当社グループの市場における価格競争は、舶用電子機器、産業用電子機器とも大変厳しくなっており、今後もこの傾向は継続するものと予想されます。新たな競合先の台頭、競合他社の低価格商品の投入等により、さらに価格競争が激化し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
  対応策として、製造コストの削減をフェーズ1における最重要の取り組みとして位置付け、在庫・品質・生産・開発の各部門によるコスト削減に努めるとともに、デジタルを活用した高付加価値商品の拡販等により、かかる価格低下傾向に対処しております。

 

(10) 人財の確保について

当社グループの将来の成長・発展は、科学・技術、マネジメント分野等での優秀な人財の確保に大きく依存しています。当社グループは、事業の拡大やグローバル推進を図るため、積極的な採用活動を行っていますが、人財確保における競争は年々高まっており、それが困難となった場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
  対応策として目標管理制度に基づいた公平な評価・充実した処遇制度等の仕組みを構築するとともに、自律型人財やグローバル人財を育成し、当社グループの価値観、知識及びモノづくりのDNAを伝える教育プログラムの拡充に取り組み、在籍している従業員の流出防止や当社の求める人財の獲得に努めております。

 

(11) 品質について

当社グループは、ISO規格認定された品質システムを構築し、それに従った各種商品の開発や製造を行い、品質チェック体制の整備を図り、品質監査を行う等グループをあげてすべての商品の品質向上を継続的に努めております。しかしながら、品質上の欠陥(規制物質含有を含む)や、それに起因するリコールが発生する可能性があります。当社製品のリコールや製造物責任の追及がなされた場合、回収コストや損害賠償等の費用が発生し、また売上が減少するおそれがあります。さらに当社ブランドを冠した製品の品質上の欠陥によりブランドの信用が失墜し、企業としての存続を危うくする事態を招くことも想定されます。これらが発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
  対応策として国際規格ISO9001で認定された品質システムを構築しそれに従った開発・製造や、本社の品質関係部門による指導等により、品質管理体制の整備・強化に努めるとともに、製造物責任賠償保険に加入する等の対策を講じております。また、製品・システムに関するサイバーセキュリティ基本方針の制定や脆弱性の報告受付フォームを当社ホームページに開設する等、製品・システムのサイバーセキュリティ確保を進めております。

 

(12) 法規制・コンプライアンスについて

当社グループは、事業の展開において適用を受けている、国内外の各種法令・規制や行政による許認可等に違反した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
  対応策として、法令・社会規範・契約・社内ルール等に則った活動を推進するために、社外の弁護士や監査役を含めた「コンプライアンス委員会」を設置するとともに、役員・従業員へ各種研修や教育を行い、周知・啓蒙に努めております。また、コンプライアンス違反の予防・把握のために、社内外に相談・通報窓口「フルノほっとライン」を設けた内部通報制度を整備しております。

 

(13) 環境について

 当社グループは、大気汚染、水質汚染、有害物質、廃棄物、商品リサイクル及び土壌・地下水の汚染等に関する種々の環境関連法令及び規制等の適用を受けておりますが、自然災害、事故等により、環境汚染が発生する可能性があります。このような事態が生じた場合、信用低下、損害賠償等の費用の発生、又は業務の停止等により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
  対応策として環境関連法令及び規制等に従った商品の開発や製造を行い、チェック体制の整備を図り、監査を行う等、グループを挙げて環境保全の対応を実施しております。また、CSR活動をサプライチェーン全体で実践すべく、当社資材調達基本方針を取引先にも共有し、環境配慮の要請等を行っております。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が進みましたが、先進国を中心にワクチン接種が進展し、経済活動の再開が進んだ結果、全体としては景気持ち直しの動きが継続しました。一方で、米中貿易摩擦の長期化、資源価格の上昇、半導体をはじめとする部材の供給不足による景気への影響が懸念されております。米国では、インフレの進行や金融引き締めの加速等の懸念材料はあるものの、大規模な経済対策等により経済活動の正常化が進展し、個人消費の増加や設備投資の拡大が持続した結果、景気は着実に回復しました。欧州では、各国で経済活動の制限が段階的に緩和され、景気が拡大しましたが、足元ではウクライナ情勢の緊迫化、エネルギー価格の高騰等が景気減速の懸念となっています。中国では、「ゼロコロナ政策」の長期化や電力制限等の政府の規制に加え、資源価格の高騰で景気の回復ペースは減速しています。わが国においては、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言の解除等により、経済活動の正常化が進みましたが、新たな変異株の流行や資源価格の高騰等、依然として予断を許さない状況が続いており、先行きは不透明な状況です。

このような経済環境の中、当社グループの関連する市場において、舶用分野のうち商船向け市場では、新造船の受注環境は回復基調となり、また、欧州での換装需要が大幅に回復しました。漁業向け市場では需要が順調に増加しており、プレジャーボート向け市場での需要は、北米を中心に拡大傾向が続きました。産業用事業では、自動車関連市場における需要を背景にETC車載器の需要が好調に推移しました。また、メディカルヘルスケア市場におけるIVD(体外診断用医療機器)等の機器設置需要は堅調に増加しました。国内の教育ICT市場においては、『GIGAスクール構想』が2021年3月にほぼ完了しましたが、ICT整備の需要は底堅く推移しました。

当連結会計年度に適用した米ドル及びユーロの平均為替レートはそれぞれ109円及び130円であり、前年同期に比べ米ドルは約1.7%、ユーロは約6.6%の円安水準で推移しました。

以上の状況の中、当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高847億8千3百万円前年同期比3.1%増)とわずかに増収となる一方で、売上総利益316億3千8百万円前年同期比2.6%増)となったものの、営業利益25億3千2百万円前年同期比32.3%減)、経常利益37億1千7百万円前年同期比22.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益28億1千4百万円前年同期比28.7%減)といずれも大幅な減益となりました。

売上高については、舶用事業が前年同期比で増収となった一方で、産業用事業及び無線LAN・ハンディターミナル事業は前年同期比で減収となりました。

利益については、舶用事業が前年同期比で大幅に増益となった一方で、産業用事業及び無線LAN・ハンディターミナル事業は前年同期比で減益となりました。

 

当連結会計年度のセグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

 

① 舶用事業

舶用事業の分野では、北米でプレジャーボート向け機器の販売が引き続き拡大しました。欧州では商船向け機器の販売が引き続き好調でした。また、日本では、農林水産省の経営継続補助金の対象となる案件が引き続き売上に貢献しました。しかしながら足元では、原材料、部品等の供給不足や物流費高騰が損益に与える影響が続いています。この結果、舶用事業の売上高は705億3千5百万円前年同期比12.1%増)となりました。セグメント利益は27億7千2百万円(前年同期比276.5%増)となりました。

 

② 産業用事業

産業用事業の分野では、PNT事業のうちETC車載器は自動車用品量販店向けを中心に販売は好調に推移し、またGNSSタイミング製品も5Gエリア拡大に伴い携帯電話基地局向けの販売が増加しましたが、OEM受託製品の販売が減少したことにより減収となりました。ヘルスケア事業のうち国内での骨密度測定器の販売と東南アジアでの生化学分析装置及び専用試薬の販売が増加したため、増収となりました。この結果、産業用事業の売上高は103億8千1百万円前年同期比4.0%減)となりました。セグメント損失は2千3百万円(前年同期のセグメント利益は3億2千万円)となりました。

 

③ 無線LAN・ハンディターミナル事業

無線LAN・ハンディターミナル事業の分野では、無線LANアクセスポイントにおけるGIGAスクール構想向け特需の剥落により、大幅な減収となりました。この結果、無線LAN・ハンディターミナル事業の売上高は35億5千2百万円前年同期比56.8%減)となりました。セグメント利益は4億4千6百万円(前年同期比83.9%減)となりました。

 

④ その他

その他の売上高は3億1千3百万円前年同期比9.7%増)、セグメント損失は3億5千9百万円(前年同期のセグメント損失は1千9百万円)となりました。

 

生産、受注及び販売の実績は次のとおりであります。

 

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年3月1日 至 2022年2月28日)

 

金額(百万円)

前年同期比(%)

舶用事業

45,167

+22.5

産業用事業

10,322

+11.2

無線LAN・ハンディターミナル事業

2,353

△65.1

その他

合計

57,843

+9.4

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 金額は販売価格によっております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

② 受注実績

当社グループの製品は、一部の受注生産を除き見込生産を行っております。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年3月1日 至 2022年2月28日

 

金額(百万円)

前年同期比(%)

舶用事業

70,535

+12.1

産業用事業

10,381

△4.0

無線LAN・ハンディターミナル事業

3,552

△56.8

その他

313

+9.7

合計

84,783

+3.1

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析

1)資産、負債及び純資産の状況

①  資産

流動資産は前連結会計年度末と比較して12億3千9百万円増加し、620億1千万円となりました。これは主に、受取手形及び売掛金21億9千4百万円減少したものの、原材料及び貯蔵品35億7千2百万円増加したことによるものであります。

固定資産は前連結会計年度末と比較して24億8千4百万円増加し、239億6千3百万円となりました。これは主に、建物及び構築物が29億8千5百万円増加したことによるものであります。

以上の結果、当連結会計年度末の資産合計は前連結会計年度末と比較して37億2千4百万円増加し、859億7千3百万円となりました。

 

 ②  負債

流動負債は前連結会計年度末と比較して20億9千3百万円増加し、250億2千3百万円となりました。これは主に、電子記録債務13億8千1百万円増加したことによるものであります。

固定負債は前連結会計年度末と比較して5億5千7百万円減少し、130億6千8百万円となりました。これは主に、長期借入金9億円減少したことによるものであります。

以上の結果、当連結会計年度末の負債合計は前連結会計年度末と比較して15億3千6百万円増加して、380億9千2百万円となりました。

 

③ 純資産 

純資産は前連結会計年度末と比較して21億8千8百万円増加し、478億8千万円となりました。これは主に、為替換算調整勘定(借方計上)が17億6千万円減少したことによるものであります。この結果、当連結会計年度の自己資本比率は前連結会計年度の55.1%からほぼ横這いの55.7%となりました。また、中期経営計画(2021年2月期~2023年2月期)で経営指標として設定した自己資本営業利益率については、前連結会計年度の8.6%から3.1ポイント下降して5.4%となりました。

 

(当社グループの自己資本営業利益率の推移)

 

2018年2月期

2019年2月期

2020年2月期

2021年2月期

2022年2月期

自己資本営業利益率(%)

5.4

12.0

5.8

8.6

5.4

 

(注) 自己資本営業利益率(%)の算出方法:営業利益/自己資本

 

2) キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動によるキャッシュ・フローが61億9千3百万円増加したものの、投資活動によるキャッシュ・フローが43億8千9百万円、財務活動によるキャッシュ・フローが35億1千8百万円、それぞれ減少したことにより、前連結会計年度末と比較して9億4千万円減少138億6千4百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

① 営業活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度において営業活動による資金の増加は61億9千3百万円となりました(前連結会計年度比27.3%減)。これは主に、たな卸資産が増加したものの、税金等調整前当期純利益及び減価償却費を計上したこと並びに売上債権が減少したことによるものであります。

 

② 投資活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度において投資活動による資金の減少は43億8千9百万円となりました(前連結会計年度は45億5千3百万円の減少)。これは主に、有形固定資産の取得及び無形固定資産の取得によるものであります。

 

③ 財務活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度において財務活動による資金の減少は35億1千8百万円となりました(前連結会計年度は8億5千万円の減少)。これは主に、配当金の支払及び連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出によるものであります。

 

 

(当社グループのキャッシュ・フロー指標の推移)

 

2018年2月期

2019年2月期

2020年2月期

2021年2月期

2022年2月期

自己資本比率(%)

49.8

52.0

55.1

55.1

55.7

時価ベースの自己資本比率(%)

31.1

37.5

38.0

40.4

37.9

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

2.7

2.6

1.2

1.2

1.6

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

43.3

46.2

85.2

86.8

67.4

 

(注)1.各指標の算出方法は、次のとおりです。

自己資本比率(%) : 自己資本/ 総資産

時価ベースの自己資本比率(%)  : 株式時価総額/ 総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) : 有利子負債/ 営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) : 営業キャッシュ・フロー/ 利払い

2.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しています。

3.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しています。

4.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。

5.有利子負債は、連結貸借対照表上に計上している短期借入金1年内返済予定の長期借入金及び長期借入金を対象にしています。

6.利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。

 

3)資本の財源及び資金の流動性

 当社グループは、安定した収益を確保するための運転資金及び将来成長に向けた投資に必要な資金は、営業活動によるキャッシュ・フローを源泉としておりますが、資本コストや自己資本比率等を総合的に勘案し、必要に応じて金融機関からの借入により調達しております。

なお、当連結会計年度末における資金の残高は138億6千4百万円、有利子負債の残高は96億2百万円となっております。

また、金融・資本市場の混乱や緊急で資金が必要となる場合に備え、複数の金融機関とコミットメントライン契約及び当座借越契約を締結し、資金の流動性を確保しております。

 

(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える会計上の見積りを行っております。これらの見積りは、過去の実績等を勘案し慎重に検討したうえで行い、継続して評価・判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性によって異なる場合があります。

会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

また、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積りへの影響は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

当社は、2021年9月22日開催の取締役会において、2022年3月1日を効力発生日として、当社旧ICTエンジニアリング部門に係る衛星通信事業に関する権利義務を、当社の連結子会社である協立電波サービス株式会社が会社分割により承継することを決議し、下記のとおり、吸収分割契約を締結しました。本会社分割による連結財務諸表への影響はありません。

 

1.会社分割の目的

当社グループの競争力強化と事業運営の更なる効率化を図るために行うものであります。

 

2.本会社分割の要旨

(1) 本会社分割の日程

吸収分割契約承認取締役会 2021年9月22日

吸収分割契約締結日 2021年9月22日

吸収分割効力発生日 2022年3月1日

(2) 本会社分割の方式

当社を分割会社とし、当社の完全子会社である協立電波サービス株式会社を承継会社とする吸収分割(簡易吸収分割)

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、創業以来、漁業及び海運業の安全安心の向上に寄与すべく、舶用電子機器の研究開発を継続して行ってまいりました。

舶用電子機器の「漁業用の魚群探知機」に使用する超音波技術、同じく「漁業用の無線機」に使用する電波通信技術、「舶用レーダー」に使用するマイクロ波技術、「舶用位置測定装置」に使用する電波航法技術等を中心に始まったフルノの研究開発の分野は、現在では機器のデジタル化に伴う情報処理技術、画像処理技術及びメカトロニクス技術へと広がっております。

事業分野の視点では、舶用電子機器市場に止まらず、この技術を他市場に応用することを目指して、陸上産業機器、医療機器、無線LAN機器及び防衛装備品機器へと展開を広げてきました。これらの研究開発業務は、各要素研究を技術研究所、各事業分野の製品開発を各事業部開発部門にて行っております。

組織横断的な視点から各研究開発部門を統括し、効率向上と活性化を図ることを目的としてR&D統括センターを設けております。また、グループの研究開発活動にかかわる知的財産権の拡充を図り、適切に管理・活用する専門の組織として知的財産部を設けております。

当連結会計年度における研究開発費の総額は5,458百万円であり、売上高に対する比率は6.4%であります。

セグメント別の主な研究開発活動及び今後の展開は次のとおりであります。

 

(1) 舶用事業

商船・漁業・プレジャーボート市場向け分野

当社グループの中核事業部門として、技術研究所の成果物を、しっかりとした品質と信頼性を確保しつつ、統一的なデザインをもって商品化することで、フルノブランドを確立してまいりました。

近年、航海の安全性向上及び船員の労務負担軽減を目的に、自動運航に向けた研究開発を進めています。「船舶のデジタルトランスフォーメーション」をテーマに、AR(拡張現実)技術を用いて航行に必要な情報を重畳表示する「AR ナビゲージョンシステム」、VR(仮想現実)技術を用いて見張り業務を支援する「3D Bird View」、LiDARとカメラ等のセンサーを用いて船体と岸壁との距離・角度を高精度に計測して安全な離着岸を支援する「離着岸支援システム」等、自動運航を実現するための各種システムを開発しています。

今後も、激化する市場競争に打ち勝つための基盤強化及びさらなる開発効率の向上に継続して取り組んでまいります。

具体的には、

・ 安全安心・快適、人と環境に優しい航海の実現に寄与する自律航行システムの研究開発の推進
 ・ 資源管理型漁業、漁業経営の効率化に寄与するスマート漁業に向けた研究開発の推進

・ 製造原価低減及び、ソフトウェア開発プロセスの改善と自動検査拡大による開発効率の改善

等に取り組んでまいります。
 

インフラ維持管理・気象観測システム分野

舶用機器の技術を応用した沿岸モニタリングシステム、舶用レーダー技術を応用した気象観測システム、衛星測位技術を応用した地盤変位観測システム等、社会インフラへのソリューション開発を進めてまいりました。今後も、これら基本システム提供をもとに、顧客が必要とするシステムやアプリケーションのパッケージ化を進めることで、販売の促進に取り組んでまいります。

 

 当連結会計年度における研究開発費の金額は4,071百万円であります。
 

 

(2) 産業用事業

PNT事業

社会インフラのOEM供給に始まったPNT事業は、無線通信技術を応用したETC車載器、衛星測位システム技術を基にした車載用GNSS受信機等の位置情報機器及びこれを応用したタイミング機器(衛星測位システムは測位原理により、位置だけでなく正確な時刻(タイミング)も知ることができ、この機能は日々進化する高速情報通信インフラに欠かせないものとなっています)等を加えることで事業拡大を進めてきました。新たにETC車載器での無線通信による車両認識と、ナンバープレート読取装置での画像による車両認識を組み合わせた車両入退管理サービスであるFLOWVIS(フロービス)の展開をスタートしました。また衛星測位システム技術では、中国の測位衛星(北斗)にも対応した、補正データなしで位置情報精度50㎝を実現する車載用多周波GNSS受信チップを新たに開発いたしました。今後も、無線技術と衛星測位システム技術を活用した製品開発を進めると同時に、これら技術を融合させた新たな価値創造に資する技術開発にも取り組んでまいります。

 

ヘルスケア事業

フルノの持つ超音波技術の医療機器分野への展開から始まったヘルスケア事業の研究開発は、生化学自動分析装置、超音波骨密度測定装置の機能向上を進めてまいりました。また、開発品質の向上と効率の向上を目指しプロセス改善にも引き続き、取り組んでまいります。

 

防衛装備品事業

航空機用電子機器の供給から始まったフルノの防衛装備品事業は、舶用事業と同様に、顧客からの強い信頼を得ており、継続して防衛省のニーズに対応しております。信頼ある商品・サービスを通じて防衛装備品を持続的に提供することが、国民の安全・安心・平和の維持に貢献するという認識のもと、事業成長のためのニーズの先取りと衛星測位や水中音響分野における将来技術の先行開発に取り組んでおります。

 

当連結会計年度における研究開発費の金額は633百万円であります。

 

(3) 無線LAN・ハンディターミナル事業

舶用電子機器開発で培った無線通信技術、情報処理技術を陸上物流に応用することから始まった、当該事業は、顧客ニーズにマッチした信頼性の高い商品と手厚いサポートをもとに、文教市場で高いシェアを持つに至っております。

最新Wi-Fi規格へ対応した製品開発や新たな市場創出のためのサブギガ帯Wi-Fi(新規格802.11ahに準拠)の技術開発、クラウド関連の技術開発の取り組みを進めております。

 

当連結会計年度における研究開発費の金額は169百万円であります。

 

(4) その他

 「NAVI NEXT 2030」のもと、技術研究所ではSPC&Iにより「技術のフルノ」を維持・発展させつつ、「既存事業の強化」と「新規事業の創出」に取り組むこととしております。当連結会計年度には、新規市場の創出に向けて、ハンドヘルドのワイヤレス超音波プローブの活用分野探索等、共同研究及び市場評価のパートナーを広く募集するとともに、ダム・河川・港湾向けのマルチビームソナーによる自動計測技術及び小型無人船や、ビル建設現場向け/トンネル現場向け/地下現場向けの無線LANシステム等の研究開発を進めてまいりました。

今後も「NAVI NEXT 2030」における施策、具体的には、
・既存事業の競争力強化に向けた基盤技術の研究
・新規市場/新商品の創造に係る研究

・社内外の知見の結集と融合によるオープンイノベーションへの取り組み
等に取り組んでまいります。
 

 

新規育成事業

「NAVI NEXT 2030」では売上高1,200億円のうち、新規事業比率30%を目標に掲げております。新規事業を生み出していくためには、将来成長のための継続した投資は必要であることから、「戦略投資枠」を設定しており、新規事業の育成は戦略投資枠の対象とし、それらの育成に係る費用を事業部門とは別枠とする「新規育成事業」の考え方を導入し、それらへの挑戦を推進しております。「新規育成事業」の内、養殖支援事業については養殖関連の機器製造・販売とデータ解析サービス事業を本格的に始動し、建設テック事業については建設市場向けDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、 建設業界のデジタル化・遠隔施工を実現するため、現場環境に適した通信やセンサー機器の販売を積極的に展開しています。前連結会計年度に引き続き、社内研究開発を起点とした技術やアイデア、他社との協業をベースとした新規事業創出活動を継続します。また、今後は特に、既存事業における周辺領域への事業拡張を「領域拡大事業」として事業化に向けた活動を加速します。

 

当連結会計年度における事業セグメントに帰属しない研究所における研究開発費の金額は583百万円であります。